卒業論文発表 アバランシェフォトダイオードを 用いた2次元撮像カメラの開発 河合研究室 齋藤 孝男 目次 アバランシェフォトダイオード(APD)について シンチレータを用いた撮像の原理 APD 4素子を用いたアンガーカメラ 偏光の観察 32ch APD arrayについて 今後に向けて APDとは? APD 内部の高い電場により 信号を増幅できる フォトダイオード(光検出器) p+p n →低エネルギーの 信号もノイズと 分離できる i n+ hν 増幅 E avalanche APDの特徴 量子効率 % 小型で頑丈 時間分解能速い 赤外線~軟X線にも 感度がある →広波長で観測可能 量子効率がよい 100 APD 50 PMT 0 200 400 600 800 λ →光電子増倍管に代わる光検出器 1000 1200 nm さらなる応用として… APDでの2次元撮像 APDで行う利点 天体からのX線・g線を観測する場合、人工衛星 への搭載を考えると、小型かつ頑丈であること が必要 医学用としても小型化することによって、より人 体に密着でき、少ない被爆量で診察できる シンチレータを用いた撮像の原理 アンガーカメラ 各APDからの信号の重みから位置を出す → X or g線でのイメージが得られる X 線 光 子 APD1 APD2 1 2 × シンチレータ APD3 APD4 3 4 実験その1(アンガーカメラのテスト) 5cm角1cm厚 CsI(Tl) + 5mmAPD x 4 の4ch アンガーカメラを製作 高エネルギー加速器研究機構(KEK)にて 70keV 0.1mmf モノクロ偏光ビームにより、 1cm間隔で 25点スキャンした。 5cm 5mm 実験1セットアップ Beam Line 実験1の結果(1) 見事に入射位置を 分解した! 5cm 2次元イメージ 実験1の結果(2) 5~15mm (FWHM) の 分解能 →間隔が約 4cmである事 を考えると約1/3 検出器の四隅で感度がよい x軸に射影したもの 実験その2(偏光の観察) 前面にプラスチックシンチレータ (5x5x20mm) + Pb遮蔽板(2mm厚)を置き、コンプトン散乱させ て偏光を観察した。 d r02 2 1 = ( 2 sin 2 cos2 ) d 2 Klein-仁科の式 → η=90°に散乱されやすい θ 偏光ビーム プラスチック シンチレータ (散乱体) 鉛 板 APD CsI結晶 偏 光 ベ η ク ト ル 実験2の結果 45°回転 Q=0.14 検出器の対角線 方向に偏光が向く ように回転させて 配置 偏光方向 135°回転 Q=0.23 特定方向にイベント が偏っている →偏光が見えた! 実験その3(APD array) 32ch array型 APDを用いて イメージングを行うために、 まず各チャンネルのAPDの 評価を個別に行う。 array型 APD 1.6x1.6mm 32個 55Feの5.9keV X線をそれぞ れのAPDに照射し、そのス ペクトルを取得した。 32ch preamp 実験3の結果 よくそろったスペクトルが得られた。 今後の課題 APD array 32ch array型 APD でのイメージを取得 (VA / TA利用など) 中心の分解能改善の ために5ch アンガー カメラの作成 イメージと平行した スペクトルの取得 読み出し CsI ライトガイド VA / TA コンプトン散乱の微分散乱断面積 d r 1 2 2 = ( 2 sin cos ) d 2 2 2 0 h 1 2 h 1 (h / mec )(1 cos ) h h :入射光子エネルギー :散乱光子エネルギー APDとは? 光電子増倍管とフォトダイオードの特徴を併せ 持った放射線検出器 小さい 直接入射でもシンチレータをつけてでもX線を読 み出す事が出来る →幅広い波長域で利用可能 日本の次世代X線天文衛星「NeXT」にAPDの搭 載を検討中 実験1セットアップ VME ADC1へ Gateなど ADC2へ ADC3へ 光 源 コ リ メ ー タ ADC4へ CsI + APD プ リ メ器 波 ア イ 高 ン アン 弁 プ ン 別 プ コインシデンス 回路 結果 結果 コンプトン散乱させると… 入射光子が偏光している場合、 散乱光子はその電場方向と垂直方向に 散乱されやすい X or g 電場方向 e- 特定方向にイベントが偏っている →偏光が見えた! 45°回転 135°回転 ビームの偏光方向 放射線用撮像検出器の必要性 X線・g線での撮像観測は、高エネルギーの天体 現象を観測する上で重要 →空間構造を把握することにより、より詳しい 物理を解明できる 放射性同位体とともに用いて、人体、特に内部 の構造を調べることができる。 →体内での放射性同位体の動きから、体の 異常を早期に発見できる
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