CALET-TASCプロトタイプの CERN-SPSによる性能実証試験 片平亮、植山良貴、小澤俊介、笠原克昌、金子翔伍、 小谷太郎、鳥居祥二、中川友進、中村政則、 仁井田多絵、村田彬、吉田圭佑、田村忠久 A 、 片寄祐作 B 、清水雄輝 C 、赤池陽水 D 、他CALETチーム 早大理工研、神奈川大工A、横国大工B、 JAXA/SEUCC、東大宇宙線研D 日本物理学会 第69回秋季大会@京都産業大学 13aSP-6 研究概要 研究目的 CALET-TASCプロトタイプのエネルギー決定精度および 電子陽子識別性能の実証 CALETプロトタイプを用いたCERN-SPS加速器のビー ム実験による較正 • 粒子数換算 • 出力の温度補正 実験結果とシミュレーションの比較 • シミュレーションコードはEPICS、Geant4を使用 • 以下の値について、実験値とシミュレーションで比較 粒子数分布 エネルギー分解能 シャワー横拡がり 電子陽子識別性能 日本物理学会 第69回秋季大会@京都産業大学 CALET-TASCプロトタイプの構成 beam Electronic Box IMC PWO+PMT(外側はESR) 78 318 350 120 [mm] 460 170 𝑥 𝑦 TASC CALET プロトタイプ • • • • 𝑧 PWO+APD/PD(外側はESR) PWO(19mm×20mm×326mm) 3本(X方向のみ)×12層 1層目:PMT読み出し(トリガー) CALET実機と異なる 2層目以降:APD/PD読み出し (16本×12層) PWOの外側は反射材のESRで包装 PWOの本数以外は CALET実機と同じ Beam方向に対してPWOを12層設置→CALET実機と同じ放射長を再現 日本物理学会 第69回秋季大会@京都産業大学 27X0 シミュレーションとイベント選別方法 シミュレーション • EPICS v9.13(Cosmos v7.62) ハドロン相互作用モデル: jam、dpmjet3、qgsjet2 • Geant4 v4.94.p03 ハドロン相互作用モデル: QGSP、FTFP イベント選別方法 • High Energy Shower Trigger IMCの7層目+8層目のエネルギー損失 ≧ 15MIPs TASCの1層目のエネルギー損失 ≧ 55MIPs • 入射位置の選別 Si Trackerから求めたシャワー軸がTASC中心から±5mm以内の イベントを使用 • コンタミ成分&マルチヒットイベント除去 TASCにおけるシャワーの粒子数分布から除去 日本物理学会 第69回秋季大会@京都産業大学 Si Trackerを用いたPWOの座標算出 • PWOの位置を特定するため にSi TrackerのStripを使用 • TASC各層について、PWOの トリガー効率とSi stripの位置 の相関からPWO座標を算出 • Si Stripの間隔は0.732mm Si Tracker *IMCは省略してある TASC beam 12本 フィッティング関数 Ttop 0 Ttop 1 Ttop 2 TASC1層目におけるトリガー効率 フィッティング関数のパラメータ(TASC1層目) [cm] μ1 a b Ttop0 0.109 0.819 Ttop1 0.116 0.822 -1.11 Ttop2 0.125 0.820 0.815 μ2 σ1 -1.19 日本物理学会 第69回秋季大会@京都産業大学 0.744 σ2 0.117 0.123 -0.107 0.0924 粒子数換算 • ミューオンを入射したときの各PWOの出力波高分布に対して、Landau分 布にGauss分布を畳み込んだ関数でフィッティング • フィッティング関数のMPの値を1MIPと定義する • ミューオンの出力波高分布のうち、値が0.7MIP以上となる割合は約85% で、前ページのトリガー効率の図とconsistent pedestal muon 0.7MIP ~85% Gauss分布 あるPWOにおける出力波高分布 日本物理学会 第69回秋季大会@京都産業大学 Landau分布に Gauss分布を畳 み込んだ関数 電子の出力を用いた温度補正 • PWOおよびAPD/PDの温度変化による出力の変化を補正 • TASCに熱電対を取り付け、温度を測定 • 電子150GeVを照射したときの装置の温度と各PWOの出力波高分布の Meanの相関から、温度と出力の相関を求めた • ミューオン照射時のTASCの温度(24.6℃)を基準として、出力値を補正 • シミュレーション(EPICS)と粒子数分布が最も合うのは24.4℃を基準にした とき →温度測定の誤差:0.2℃ 24.1℃ 24.1℃ 24.2℃ 24.7℃ 25.5℃ 電子 150GeV 電子 150GeV あるPWOにおける各温度での出力波高分布 ミューオン照射時 のTASCの温度 あるPWOにおける温度による出力の変化 日本物理学会 第69回秋季大会@京都産業大学 粒子数分布 • 実験結果とシミュレーションで粒子数 分布を比較した • 陽子に関しては、異なるハドロン相互 作用モデルを用いて比較した 電子 100GeV Exp EPICS Geant4 Experiment EPICS① dpmjet3 EPICS② phits < 2GeV < jam EPICS③ phits < 2GeV < dpmjet3 EPICS④ dpmjet3 < 80GeV < qgsjet2 Geant4① QGSP Geant4② FTFP 陽子 350GeV EPICS③ EPICS④ EPICS① EPICS④ phits < 2GeV < EPICS② dpmjet3 << 80GeV Geant4① dpmjet3 dpmjet3 80GeV dpmjet3 < 2GeV < jam Geant4 <phits QGSP <qgsjet2 qgsjet2 ② FTFP Meanは~1% 以内の範囲で 一致 Meanは~4%以 内の範囲で一致 TASCの粒子数分布の和 TASCの粒子数分布の和 Exp: ミューオン照射時のTASCの温度(24.6℃)を基準に出力を補正 日本物理学会 第69回秋季大会@京都産業大学 エネルギー分解能 peak • 最頻値から±34%の範囲に入る 分布の幅の半分の長さをエネル ギー分解能と定義 • 実験値とシミュレーションは0.4% 以内の範囲で一致 34% 34% 電子 100GeV TASCの粒子数分布の和 Exp EPICS Geant4 フィッティング関数 𝑅 𝐸 = 𝑎 𝐸/100GeV ⊕𝑏 系統的誤差 統計的誤差 フィッティング関数のパラメータ ~0.5%以内の 範囲で一致 各エネルギーにおけるエネルギー分解能 𝑎 𝑏 Exp 1.96 % 0.934 % EPICS 1.83 % 2.95×10-5 % Geant4 1.95 % 3.10×10-5 % 日本物理学会 第69回秋季大会@京都産業大学 シャワー横拡がり • IMCから求めたシャワー軸を利用して、TASC中のシャワーの横拡がりを算出 • シャワー横拡がりは電子陽子識別の際にパラメータとして使用 Experiment EPICS① dpmjet3 EPICS② phits < 2GeV < jam EPICS③ phits < 2GeV < dpmjet3 EPICS④ dpmjet3 < 80GeV < qgsjet2 Geant4① QGSP Geant4② FTFP 電子 100GeV Exp EPICS Geant4 陽子 350GeV 実験値とEPICS④ は~0.2%の範囲で Meanが一致 Meanは~2.5%以 内の範囲で一致 TASCにおけるシャワー横拡がり EPICS④ EPICS④ dpmjet3 < 80GeV EPICS③ Geant4① Geant4 EPICS② dpmjet3 < 80GeV EPICS① <phits qgsjet2 2GeV QGSP ② FTFP phits <<2GeV <<jam < qgsjet2 dpmjet3 dpmjet3 TASCにおけるシャワー横拡がり 日本物理学会 第69回秋季大会@京都産業大学 電子陽子識別性能 • 電子100GeVと陽子350GeVを使用して、電子/陽子識別性能を検証 EPICS① dpmjet3 EPICS② phits < 2GeV < jam • シャワーの形状の違いを利用 EPICS③ phits < 2GeV < dpmjet3 EPICS④ dpmjet3 < 80GeV < qgsjet2 Geant4① QGSP 実験 電子100GeV Geant4② FTFP 陽子350GeV 横軸:シャワー横拡がり 縦軸:検出器下部の粒子数分布比 電子残存率と陽子残存率 ±2σ 電子残存率 電子と陽子のイベント数と残存率の推移(実験) 電子 イベント数 生成イベント ビームのコン タミ粒子除去 入射位置選別 シャワートリガー 電子残存率 (%) 50146 17348 99.6 307332 80105 (7.48±1.56)×10 –5 –5 90.0% (4.47±1.12)×10 電子100GeVと陽子350GeVのエネルギー損失 400000 100 90.0% EPICS① 陽子残存率 400000 32717 17598 陽子 イベント数 実験値 陽子残存率 –5 EPICS② 90.0% (7.26±1.42)×10 EPICS③ 90.0% (3.73±0.974)×10 EPICS④ 実験 90.0% (6.74±1.34)×10 Geant4① 90.0% (3.13±0.904)×10 90.0% (9.32±1.49)×10 –5 1 0.261 Geant4② エネルギーカット 16979 96.5 4333 1.41×10-2 電子/陽子選別 15840 90.0 23 7.48×10-5 電子100GeV 陽子350GeV 実験値はEPICS②、EPICS④、 Geant4②と誤差の範囲で一致 シャワー形状による電子/陽子選別方法 日本物理学会 第69回秋季大会@京都産業大学 –5 –5 –5 ・ ・ まとめ CERN-SPS加速器のビームを用いてCALET-TASCプロ トタイプの観測性能実証試験を行った 実験値とシミュレーションで、以下の値について比較した 実験値と実験値に対するシミュレーションの差(%) 粒子 電子100GeV 陽子350GeV 実験値 EPICS(%) Geant4(%) 実験値 EPICS(%) Geant4(%) 粒子数平均値 4.04×103 1.08 1.72 5.92×103 -4.17*1 6.78*2 エネルギー分解能 2.09 -0.410 -0.240 シャワー横拡がり 平均値 0.826 -2.59 -2.35 1.05 -0.239*1 -1.16*2 実験値とシミュレーションの電子残存率と陽子残存率 電子残存率 陽子残存率 実験値 90.0% (7.48±1.56)×10 – 5 EPICS*1 90.0% (6.74±1.34)×10 – 5 Geant4*2 90.0% (9.32±1.49)×10 – 5 *1 dpmjet3 < 80GeV < qgsjet2 日本物理学会 第69回秋季大会@京都産業大学 *2 FTFP END 日本物理学会 第69回秋季大会@京都産業大学 粒子数分布のMeanの実験値とシミュレーションの差(%) e- 10GeV e- 30GeV e- 100GeV e- 150GeV e- 290GeV EPICS -0.820 1.63 1.08 0.739 5.04 Geant4 -0.695 1.72 1.45 1.22 5.49 粒子数分布のMeanの実験値とシミュレーションの差(%) p 30GeV p 100GeV p 350GeV EPICS① -13.6 -2.54 -7.01 EPICS② -17.6 -3.67 -6.05 EPICS③ -16.0 -6.54 -10.0 EPICS④ -13.6 4.08 -4.17 Geant4① -13.8 8.70 6.78 Geant4② -15.9 -4.89 -10.6 日本物理学会 第69回秋季大会@京都産業大学 エネルギー分解能(%) e- 10GeV e- 30GeV e- 100GeV e- 150GeV e- 290GeV Exp 6.23 3.76 2.09 1.56 1.64 EPICS 6.02 3.31 1.60 1.28 0.947 Geant4 6.44 3.46 1.85 1.28 0.947 シャワー横拡がりのMeanの実験値とシミュレーションの差(%) e- 10GeV e- 30GeV e- 100GeV e- 150GeV e- 290GeV EPICS -0.909 -1.75 -2.59 -2.89 -3.06 Geant4 -0.185 -1.31 -2.35 -3.42 -1.66 シャワー横拡がりのMeanの実験値とシミュレーションの差(%) p 30GeV p 100GeV p 350GeV EPICS① 2.58 0.629 1.04 EPICS② -0.385 -1.54 -3.31 EPICS③ -1.62 -3.81 -0.566 EPICS④ -0.367 -1.61 -0.239 Geant4① 1.54 -2.20 -1.16 Geant4② 1.03 -2.31 -1.09 日本物理学会 第69回秋季大会@京都産業大学 𝑧 CALET検出器 <CHD> CHarge Detector → 電荷測定 • Plastic Scintillator (32mm×10mm×448mm) 14本×2層(X,Y) <IMC> IMaging Calorimeter → 入射粒子の飛跡測定、エネルギー測定 • Scintillating Fiber (1mm×1mm×448mm) 448本×(X,Y)×8層 • W板 0.2X0×5枚+1X0×2枚(合計3X0) <TASC> Total AbSorption Calorimeter →エネルギー測定、粒子識別 • PWO(20mm×19mm×326mm) 16本×(X,Y)×12層(合計27X0) 1層目:PMT読み出し(トリガー) 2層目以降:APD/PD読み出し 𝑦 𝑥 12層 16本 16本 TASC構造図 326mm PbWO4 (PWO)結晶 (SICCAS社) 20mm Φ 8mm 19mm 13.4 mm PMT(浜松ホトニクス社) APD 19.7mm PD 日本物理学会 第69回秋季大会@京都産業大学 APD/PD デュアルパッケージ (浜松ホトニクス社) TASCの信号読み出し PD+Low Gain アンプに対する各チャンネルのgain比 13.4mm 19.7mm PD 2.4×2.4mm2 S10937-9351 (浜松ホトニクス社) APD/PD gain ①APD+High Gain Shaper 50 × 18 × 30 = 2.7×104 ②APD+Low Gain Shaper 50 × 18 × 1 = 9.0×102 ③PD+High Gain Shaper 1 × 1 × 30 = 30 ④PD+Low Gain Shaper 1 × 1 × 1 = 1 ① APD + High Gain アンプ ② APD + Low Gain アンプ ③ PD + High Gain アンプ ④ PD + Low Gain アンプ APD,PDに各々Gainの異なる回路を 用いることで Effective ADC [ch] APD 10×10mm2 アンプ gain比 受光面積 比 ch 6桁以上のダイナミックレンジを確保 APD 4000 ① ② 総gain比 PD ③ ④ 400 40 4 10-1 100 101 102 103 104 105 106 日本物理学会 第69回秋季大会@京都産業大学 [MIP] Landau分布にGauss分布を畳み込んだ関数 ペデスタルのゆらぎをGauss分布を 畳み込むことで補正 分布がランダウ分布になると仮定 畳み込み 𝜎 ・・・ Most Probable Value (MP) Gauss分布 𝑦 = 𝑔(𝑥) 𝑥 Landau分布 ・・・ 𝑦 = 𝑓(𝑥) 𝑥 Gauss distribution 𝑥2 𝑔 𝑥 = exp − 2 2 2𝜎 2𝜋𝜎 1 Landau distribution 1 𝑓 𝑥 = 𝜋 ∞ exp(−𝑡 log 𝑡 − 𝑥𝑡) sin 𝜋𝑡 𝑑𝑡 0 Landau分布にGauss分布を畳み込んだ関数 (𝑓 ∗ 𝑔)(𝑧) (𝑓 ∗ 𝑔) 𝑧 = ∫ 𝛿 𝑧 − 𝑥 + 𝑦 𝑓 𝑥 𝑔 𝑦 𝑑𝑥𝑑𝑦 日本物理学会 第69回秋季大会@京都産業大学 CERN-SPS2011実験概要 Beam Tracker • Si strip (Siの間隔:0.183mm) 512本(x方向)×4層(z方向) 512本(y方向)×4層(z方向) 512本を4本ずつまとめて読み出し CHD • Plastic Scintillator 4層(z方向) (38mm×450mm×10mm) PMT読み出し IMC CALETプロトタイプの上面図と側面図 • Scifi(1mm×448mm×1mm) 32本(x方向)×8層(z方向) 64chMAPMT×4で読み出し • W板 0.2X0×5枚+1X0×2枚 (合計3X0) 実験に使用した粒子とエネルギー 粒子 電子 陽子 ミューオン エネルギー(GeV/c) 10,30,100,150,290 30,100,350 150 日本物理学会 第69回秋季大会@京都産業大学
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