米国企業結合会計 SFAS141R

米国企業結合会計 SFAS 141R
2008年3月13日(木)
担当:内部監査室 加藤英之
国際会計基準 米国会計基準
6月 SFAS 141確定
6月 SFAS 142確定
2001
2002
2003
2004
2005
10月ノーウォーク
2006
2007
2月 MOU
2008
1月 IFRS 3改定
1月 IAS 27改定
2009
日本会計基準
合意
10月 企業結合会計基準
12月 IAS 27確定
3月 IFRS 3確定
6月 IFRS 3改定案 6月 SFAS 141改定案
6月 IAS27改定案 6月 ARB 51改定案
12月 事業分離会計基準
12月 適用指針
12月 SFAS 141R確定 12月 企業結合会計の見
直しに関する論点整理
12月 SFAS 160確定
?
?
米国会計基準も経済的単一体説に移行
親会社説
経済的単一体説
資本とは区別する
資本に含める
少数株主損益
当期の損益から控除する
損益計算書での表示なし
少数株主が残る株式取得
に於ける「のれん」の認識
部分のれん方式
全部のれん方式
少数株主持分
(非支配株主持分)
損益取引
支配が継続したままでの
親会社持分変動により生
じる差額の処理(持分変動
差額)
支配の獲得時又は喪失時
に於ける既存の投資額の
時価評価
しない
資本取引
する
2008年1月 IFRS3/IAS27改定
米国会計基準と国際会計基準
残された差異の主要なもの
SFAS141Rは、議決権比率基準を踏襲。
SFAS141Rは、非支配株主持分を公正
価額で測定。
IFRS3Rでは、非支配株主持分を
公正価額、又は、被取得企業の公正価
額ベースの純資産に対する持分
の孰れかで測定(オプション)。
SFAS141改定案からの変更点(1)
改定案では、2006年12月16日以降開始
する事業年度中に完了consummateし
た企業結合から適用で、早期適用奨励
であったが、2008年12月16日以降開始
する事業年度中に完了した企業結合か
ら適用に変更。又、早期適用は禁止。
SFAS141改定案からの変更点(2)
補償資産Indemnification Assetsは、
関連する偶発債務と同額で評価するこ
とを明確化。
SFAS141改定案からの変更点(3)
改定案では、偶発資産/偶発負債を取
得日に於ける公正価額で測定。
SFAS141Rは、偶発資産/偶発負債を
契約上のものと契約外のものとに区分。
認識/測定の方法を異にする。
以下、SFAS141からの変更点を主体に
説明
SFAS141Rの目的
企業結合に掛かる
•財務報告情報の適切性
•表示上の忠実性
•比較可能性
SFAS141Rの適用範囲
• 単一又は複数の事業Businessの支配を獲
得した場合にSFAS141Rが適用される。
• SFAS141Rは、SFAS141とは異なり、相
互会社Mutual Enterprise (mutual insurance
company, credit union, cooperatives)の結合
にも適用される。
SFAS141R非適用の取引
SFAS141と同様、下記は対象外
• ジョイントベンチャーの形成
• 事業Businessに該当しない資産の取得
• 共通支配下の取引
• 非営利企業間の企業結合又は非営利企
業による営利事業の取得
取得法 Acquisition Method
手順自体は、SFAS141と同様
(1) 取得企業の特定
(2) 取得日の決定
(3) 被取得企業の取得資産、引受負債、
非支配株主持分の認識と測定
(4) 取得日に於けるのれん又は割安購
入Bargain Purchaseによる利益の認識
と測定
取得企業の特定
• SFAS141Rは、取得企業Acquirerの定
義を変更してはいない。
• 被取得企業の支配を獲得した企業が取
得企業。
• 取得された企業がVIEであり、VIEの主
たる受益者が取得企業であれば、
SFAS141Rが適用されることを明確化。
取得日の決定
• 他のGAAPと平仄をとり、企業結合上
の取得日Acquisition dateは、被取得
企業に対する支配を取得した日
• 取得日に下記の項目を測定
1. 取得した資産、引受けた負債
2. 非支配株主持分の公正価額
3. (取得対価の公正価額---後述)
「看做し取得日」
• SFAS141Rは、「看做し取得日」を廃
止。
• SFAS141では、取得企業は企業結合の
開始日から完了日の間に到来する会計
期末を取得日とすることが認められて
いた(パラ48) 。
全面時価評価法の採用
• SFAS141Rは、従来の部分時価評価法
を廃止し、全面時価評価法を採用。
• 即ち、SFAS141Rでは、取得企業が支
配を獲得した時点での持分比率が100%
に満たない場合でも、取得した資産/
引受けた負債の全てを、自身の持分部
分だけではなく非支配株主の持分部分
も含めて、原則として公正価額で評価。
公正価額評価
• 公正価額での評価方法は、SFAS157に
委ねる。
• SFAS141が原則公正価額を標榜しなが
らも項目別に評価方法を規定していた
のと異なる。
• 公正価額で評価された資産に関しては、
回収可能性の評価も含めて、評価性引
当金の設定は行わない。
公正価額評価の例外(1)
• 但し、SFAS141Rでも、特定の項目に
ついては、公正価額以外での評価が行
われる。
公正価額評価の例外(2)
• SFAS141から引継いだもの
• (a) 繰 延 税 金 / 資 産 は 、 SFAS109 並 び に
FIN48による(c)
• (b) 従 業 員 ベ ネ フ ィ ッ ト は 、 APB12 、
SFAS43 、 SFAS87 / 88 、 SFAS106 、
SFAS112、SFAS146、SFAS158による
• (c) 株式報酬の資産/負債は、SFAS123Rによ
る
• (d) 売却目的保有の資産は、SFAS144による
公正価額評価の例外(3)
SFAS141Rで修正されたもの
• (e) 偶発資産並びに偶発債務
公正価額評価の例外(4)
SFAS141Rで新たに追加されたもの
• (f) 補償資産Indemnification Assets
• (g) 買戻された権利Reacquired Rights
• 以下、(e)、(f)、(g)に付いて説明
(e) 偶発資産並びに偶発債務
SFAS141Rでは、偶発資産/負債は、当該資産
/負債が、契約上のものであるか契約外のも
のであるかにより、評価方法を異にする 。
契約外の偶発資産/負債に付いては、認識もさ
れない場合が生じる。
IFRS3Rでは、区分することなく、偶発資産/
負債は、全て公正価額で評価する。
契約上の偶発資産/債務
Contractual Contingencies
• 契約上の偶発資産/債務は、取得日に
於いて公正価額で測定する。
契約外の偶発資産/債務
Noncontractual Contingencies
契約外の偶発資産/債務は、取得日に於いて、
50%超の確率(more likely than not基準)で、
偶発事象により資産/負債が生じている可能
性があると判断される場合にのみ、公正価額
で測定する。
• この場合、資産/負債はSFAC6の定義を満た
していなければならない。
• More likely than not基準を満たさない場合
には、資産/負債として認識しない(公正価
額評価の例外)。
【SFAC6 資産/負債の定義】
25. Assets are probable future economic benefits
obtained or controlled by a particular entity as a
result of past transactions or events.
35. Liabilities are probable future sacrifices of
economic benefits arising from present obligations
of a particular entity to transfer assets or provide
services to other entities in the future as a result of
past transactions or events.
(f) 補償資産
Indemnification Assets
• 補償資産は、関連する偶発債務と同額
で評価するので、公正価額になるとは
限らない(公正価額評価の例外)。
更に、補償資産の評価では、補償契約
の限度額があれば減額し、回収可能性
も考慮される。
(g) 買戻された権利
Reacquired Rights
• 取得企業が、企業結合以前に、被取得企業に
無形資産(ライセンス、フランチャイズ等)
を販売していた場合、SFAS141Rでは、当該
買戻された権利は認識可能な資産としてのれ
んとは区分して認識する。
• 認識された無形資産は、関連する契約の残存
契約期間に基づいて測定する。
• 市場参加者が公正価額を決定するに当たり、
契約更新の可能性を考慮に入れるか否かは無
視する(公正価額測定の例外)。
SFAS141Rの「のれん」
• SFAS141Rは「のれん」の定義を変更。
• SFAS141Rは、全部のれん方式を採用。
• SFAS141では、部分のれん方式、即ち
• 取得対価が、取得した資産から引受け
た負債を控除した金額(公正価額ベー
ス)に対する持分相当額を上回る部分
がのれん 。
全体の「のれん」
(a) 被取得企業の企業としての公正価額、即ち
• (1) 取得対価の公正価額
• (2) 非支配株主持分の公正価額
• (3) 既取得持分の取得日に於ける公正価額
の合計が
(b) 取得資産マイナス引受負債(公正価額)
を超過する部分
• 100%未満の持分を取得した場合、のれんに
は非支配株主に帰属する部分が含まれること
になる(全部のれん)。
取得企業に帰属する「のれん」
•
•
•
•
(1) 取得対価の公正価額
(2) 既取得持分の取得日に於ける公正価額
の合計が
取得資産マイナス引受負債(公正価額)に対
する取得企業の持分
を超過する部分
• この部分は、SFAS141の「のれん」と同様
非支配株主に帰属する「のれ
ん」
• 非支配株主に帰属する「のれん」は、
全体の「のれん」から取得企業に帰属
する「のれん」を差引いた残りの部分
【設例】 Appendix A
para A107より作成
取得資産(原則、公正価額)
17,800
引受負債(原則、公正価額)
5,000
非支配株主持分(公正価額)
3,300
純資産(公正価額)
12,800
取得対価(公正価額)
12,000
のれん(差額)
2,500
のれんの配分
取得対価
非支配株主持分
企業体としての公正価額
公正価額ベースの純資産
全体としてののれん
12,000
3,300
15,300
12,800
2,500 (a)
取得対価
公正価額ベースの純資産に対する持分
取得企業に帰属するのれん
12,000
9,600
2,400 (b)
非支配株主に帰属するのれん
100 (a)-(b)
SFAS141Rの「のれん」
全部のれん方式を採用
非支配株主の「のれん」
100
非支配株主持分(公正価額)
3,300
非支配株主
(時価純資産×持分比率)
3,200
取得企業
(時価純資産×持分比率)
9,600
取得企業の「のれん」
2,400
取得対価(公正価額)
12,000
IFRS3Rの「のれん」
全部のれん方式、又は、部分のれん方式の選択
非支配株主の
「のれん」
100
非支配株主持分
(公正価額)
3,300
非支配株主
(時価純資産×持分比
率)
3,200
取得企業
(時価純資産×持分比率)
9,600
取得企業の「のれん」
2,400
取得対価(公正価額)
12,000
非支配株主
(時価純資産×持分比率)
3,200
非支配株主持分
(時価純資産×持分比率)
3,200
取得企業
(時価純資産×持分比率)
9,600
取得対価(公正価額)
12,000
取得企業の「のれん」
2,400
IFRS3Rは、IRRS3の部分のれん方式に、
SFAS141Rの全部のれん方式をオプションとして追加
割安購入Bargain Purchase
• SFAS141では、Bargain Purchaseが生じた
場合、再検討を行った上、それでも残った部
分に付いては、被取得企業から取得した特定
の資産(その他の非流動資産)から控除する。
控除しきれない場合に初めて、特別利益とし
て計上する。
• SFAS141Rでは、SFAS141と同様な再検討を
行うが、それでも残った部分に付いては、そ
の他の流動資産から控除はせず、直ちに営業
上の利益として計上する。
取得対価
Consideration Transferred
• 取得対価は、取得日に於ける下記の項目の公
正価額の合計として測定する
•
•
•
•
•
企業結合にあたり、
取得企業が譲渡した資産
取得企業が引受けた負債
取得企業が発行した持分証券
(段階的な株式取得の場合は後述)
発行持分証券の公正価額(1)
• SFAS141Rでは、取得企業が対価とし
て発行した持分証券の公正価額は、取
得日に測定される。
• 現行のGAAP(EITF 99-12)では、企
業結合の条件が合意され公表された日
(合意日)の前後数日の株価により公正
価額が測定されている。
発行持分証券の公正価額(2)
• SFAS141Rでは、取得企業と被取得企
業とが対価として持分証券を交換する
場合、取得対価の公正価額は、取得日
に於ける被取得企業の持分証券の公正
価額の方が取得企業のそれよりも信頼
性が高いとされる。
偶発対価
Contingent Consideration
• SFAS141Rでは、偶発対価は取得日に
於いて、その公正価額で認識。
• 偶発対価は、その性質に基づき、負債
又は資本として認識。
• 負債又は資本の区分に関しては、
SFAS150、 SFAS133、 EITF00-19等
を適用。
段階的な株式取得
Step Acquisition
• SFAS141Rでは、支配を獲得する以前に取得
していた被取得企業の株式は、取得日に公正
価額で評価替えを行い、評価差額は損益計算
書で、期間損益として認識することに変更。
• 当該公正価額は、支配獲得時に新たに取得し
た株式の公正価額並びに非支配株主持分の公
正価額と共に、被取得企業の企業体としての
公正価額を構成する。
取得対価が無い企業結合
• SFAS141Rは、被取得企業の株式等の購入
Purchase無しに事業の支配を獲得する場合
にも適用されることを明確化
1. 被取得企業が既存の投資家に支配権を与え
るために、自己株式を買戻す
2. 非支配株主(少数株主)の拒否権消滅
3. 契約のみ by Contract Alone
• この故に、従来のPurchase Methodと云う
用語を、取得法 Acquisition Methodに変更
測定期間Measurement Period
• SFAS141の配分期間Allocation Periodと同
様
• 測定期間は、取得日から1年以内、且つ
• 取得日に於ける下記の項目の認識と測定に
関する情報収集が完了すれば終了
1. 取得資産/引受負債/非支配株主持分
2. 取得対価
3. 既取得持分
4. のれん又は割安購入
測定期間中の修正
• SFAS141では、配分期間中に新しい情報に基
づいて修正を行う必要が生じた場合には、将
来に向けて修正を行う。
• SFAS141Rでは、前頁の項目の取得日に於け
る暫定金額に修正が生じれば、「のれん」が
同額修正されて調整されることになる。
• 又、SFAS141Rでは、取得日に於ける暫定金
額に修正が生じれば、過年度の比較情報を改
定しなければならない(リステイト)。
• 測定期間後の修正は、SFAS154上エラー扱い。
取得対価の範囲
• SFAS141Rでは、取引価額の一部が、
被取得企業から取得企業への便益供与
の対価として被取得企業に対して支払
われたものであるならば、当該支払は、
被取得企業の取得対価には含まれず、
期間費用として処理することを明確化。
企業結合の直接費用
• SFAS141では、企業結合の直接費用は、取得
対価の一部を構成する。
• SFAS141Rでは、企業結合の直接費用は、発
生時に費用とする。
• 又、取得企業が、被取得企業又はその旧持主
に対して、取得関連費用を払戻すと云うアレ
ンジメントをした場合、これらの費用は取得
費用ではなく、発生時に期間費用とする。
リストラ費用 (1)
• SFAS141Rは、現行のEITF95-3を廃止
• 企業結合に関連して将来発生することが予
想されるリストラ費用で
1. 事業からの撤退
2. 従業員の解雇
3. 従業員の移転
• に係るものは被取得企業から引受けた負債
とはならない(企業結合後に生じた負債)
リストラ費用 (2)
• リストラ費用は、下記の条件が全て満
たされている場合のみ、取得企業が引
受ける負債となる。
1. 被取得企業自身が当該リストラ計画を
有している。
2. 取得日に於いて被結合企業のもとで
SFAS146の条件を満たしている。
事後測定
Subsequent Measurement
• SFAS141Rは、下記の4項目に関して
は、企業結合後に於ける事後測定の方
法を特別に規定している
• (a) 買戻された権利
• (b) 偶発資産並びに偶発債務
• (c) 補償資産
• (d) 偶発対価
買戻された権利の事後測定
•無形資産として買戻された権利
Reacquired Rightsは、契約の残存期間
で償却。
• その後、当該権利を第三者に譲渡した
場合、簿価を基準に売却損益を決定。
偶発資産/債務の事後測定(1)
• 取得日に認識された偶発資産/債務は、
その後新しい情報が入手されない限り、
取得時の公正価額のままで計上。
偶発資産/債務の事後測定(2)
•
•
1.
2.
新しい情報を入手した場合(洗替法)
偶発債務は、下記の孰れか大きい方
取得日の公正価額、又は
SFAS5を適用した場合に認識する金額
• 偶発資産は、下記の孰れか小さい方
1. 取得日の公正価額、又は
2. 将来の清算価額の最善見積額
偶発資産/債務の事後測定(3)
• 取得企業は、
• 偶発資産/債務が解消されたか、又は
more likely than not基準を満たさなく
なった場合
• に初めて偶発資産/負債の認識を中止
補償資産の事後測定
• 補償資産は、決算日毎に、関連する補
償資産/負債と同額で評価するが、補
償契約の限度額があれば減額する。
• 公正価額での評価が行われない補償資
産に付いては、回収可能性も考慮する。
偶発対価の事後測定(1)
• 資本に区分された偶発対価は、取得後
は再測定しない。
• (偶発事象が解消しても、戻されるこ
とはない)。
偶発対価の事後測定(2)
• 負債に区分された偶発対価は、取得後
も解消する迄、毎期公正価額で再測定。
• 価値変動額は、期間損益として認識。
• SFAS133が適用されるヘッジ手段に付
いては、その他の包括利益として認識。
SFAS141Rの適用日
• 2008年12月16日以降に開始する事業年度中
に完了consummateした企業結合から適用。
• 早期適用は禁止。
• 将来に向けて適用。
• 遡及適用は行わない(例外あり。次頁)。
• 取得日が適用開始事業年度に先行する企業結
合で取得した資産又は引受けた負債を適用開
始事業年度になってから調整することは認め
られない。
遡及適用禁止の例外
•但し、所得税の取扱いに関しては、
SFAS141RがEITF93-7を廃止したので、企
業結合により取得した繰延税金の調整並びに
不確実な税務ポジション残高の調整を、のれ
んを相手勘定として行うことは最早出来なく
なった(繰延税金の評価引当金の調整は、
EITF93-7でも、期間費用)。
• これらの調整は、SFAS141Rの適用開始事業
年度を待たず、税金費用として会計処理しな
ければならない(リステイトも必要)。
測定期間中
測定期間後
のれんの修正
(残余があれ
ば、期間税金
費用)
のれんの修正
(残余があれ
ば、期間税金
費用)
取得日に存在した事実に基
づくもの
のれんの修正
(残余があれ
ば、期間税金
費用)
事実が判明し
た事業年度の
期間税金費用
取得日後に発生した事実に
基づくもの
事象の発生し
た企業年度の
期間税金費用
事象の発生し
た企業年度の
期間税金費用
SFAS140、EITF93-7
SFAS141R
以下、Appendix A、Bの論点
• 事業Businessの定義
• 使用予定のない取得資産
• 仕掛研究開発費
事業Businessの定義
• SFAS141Rは 、 EITF98-3 の事業 Business の
定義を変更。経済的に自立Self-sustainingし
ている必要は無く、又、産出Outputを有する
必要もなくなったので、従前は資産取得と見
なされていた取引が、SFAS141Rでは、企業
結合と見なされることも有り得る。
使用予定のない取得資産
• 取得企業は、取得した資産を使用しな
いと云う選択を行った場合でも、取得
時の評価でも取得後の減損の評価でも、
当該資産は市場参加者にとっての最善
の利用法に基づき公正価額で評価する。
• このことは、取得した資産が無形資産
であっても同じ。
仕掛研究開発費(1)
• SFAS141R で は 、 仕 掛 研 究 開 発 費 In-Process
Research and Developmentは、公正価額で評価。
• 被取得企業が、研究開発を行っていた場合、
研究開発費は発生時に費用として処理されて
いる筈だが、取得の時点で被取得企業が当該
研究開発資産を使用中又は使用予定の場合に
は、当該研究開発資産は取得企業にとって取
得された仕掛研究開発費となる。
• SFAS141では、仕掛研究開発費は、取得日に
公正価額に基づき、費用配分を行った後、直
ちに費用として処理。
仕掛研究開発費(2)
• SFAS141Rは、SFAS142を改定。
• 仕掛研究開発費に付いては、関連する研究開
発活動が完成されるまで又は中止されるまで、
耐用年数が確定できない無形資産として会計
処理。
• SFAS141Rは、企業結合とは関係の無い研究
開発費の会計処理を変更したわけではない。
• 使用中であれば、過年度に費用処理されたも
のも公正価額で計上。
仕掛研究開発費(3)
• 仕掛研究開発活動が完成した場合は、
その耐用年数に亘り償却。
• 中止された場合は、他に転用すること
ができなければ、一括費用処理。