富士通のネットワークサービスへの取組み - Fujitsu

富士通のネットワークサービスへの取組み
Fujitsu’s Approach to Network Services
あらまし
56, 5, 09,2005
近年,ブロードバンドネットワークの普及や無線技術の進歩に伴って,様々な端末が高
速化されたネットワークにアクセスし,映像や音楽などの様々なアプリケーションを利用で
きるようになった。このようなネットワーク環境の変化に伴って,お客様のビジネス環境に
おいても,アプリケーションサービス,ユビキタス,セキュリティなどの分野に対して,
ネットワークサービスが密接に関係するようになっている。また,このような環境の変化と
ともに,ITを活用した業務形態やビジネスモデルが急速に普及している。
富士通のネットワークサービスでは,お客様のビジネス環境やネットワーク環境の変化
に対応した付加価値の高いサービスの提供を行っている。
本稿では,富士通のネットワークサービスについて,現状と新しい取組みとして,アプ
リケーションやプロダクトなどと連携したサービスの概要や特長を紹介する。
Abstract
With the recent spread of broadband networks and progress in wireless technology,
corporate users can now access high-speed networks and use a wide range of audio/video
applications.
As a result, network services have become closely integrated with the
application services, ubiquitous networks, and security measures used by our customers.
Moreover, these environmental changes are stimulating a rapid diversification of IT-based
business styles and models. To cope with the changes in customers’ business and network
environments, Fujitsu offers network services that provide highly added value. This paper
outlines the current status and new approaches of Fujitsu’s network services that cooperate
with applications and products.
熊木弘泰(くまき ひろやす)
企画開発センターシステム開発部
所属
現在,企業ネットワーク向けのサー
ビス,プロダクト企画,開発に
従事。
426
FUJITSU.56, 5, p.426-431 (09,2005)
富士通のネットワークサービスへの取組み
ま え が き
(2) アプリケーションアウトソーシング
アプリケーションアウトソーシングでは,ASP
近年,光ファイバなどを用いたネットワークのブ
(Application Service Provider)サービスとしてお
ロードバンド化が一段と進み,安価で高速なネット
客様業務と連携したWebシステムや音声・映像など
ワーク回線を基盤とした企業ネットワークが構築さ
のコミュニケーションツールを提供している。
れるようになった。また,無線技術の進歩によって,
代表的なサービスとしては,Webシステムの企画
多くの企業で無線LAN環境が導入され始めている。
からアプリケーション開発・サイト構築,システム
携帯電話会社も広範囲なエリアをカバーする定額制
運用までをワンストップで提供する「Webインテグ
のデータ通信サービスを提供しており,企業ネット
レーション&システムマネジメントサービス」や,
ワークでは,これらのサービスを利用したモバイル
高品質・高セキュリティな法人向けメールホスティ
環境の整備が進められている。これらのサービスで
ングサービスとして「FENICSメールサービス」な
は,携帯電話やPDAなどの様々なデバイスを用い
どを提供している。
て,音声・映像のコミュニケーションやインター
ネットへのアクセスが可能となる。
(3) ネットワークインテグレーション
これまで富士通が対応した多くのネットワークイ
このように,現在のネットワークサービスでは,
ンテグレーションを通じて培われたノウハウと豊富
様々なデバイスに対して必要な機能を利用場所の制
な経験に基づいて,お客様の多様なニーズに合わせ
約なしに提供できるようになってきている。
た最適なネットワークの提案から設計,構築,運用
富士通のネットワークサービスでは,お客様のビ
ジネス環境に柔軟に対応するため,回線サービスに
加えて,アプリケーションやネットワーク機器と連
携した付加価値の高いサービスを提供している。
本稿では,富士通のネットワークサービスを中心
に,昨今のネットワーク環境の変化とそれに対する
富士通の取組みについて紹介する。
富士通のネットワークソリューション
お客様のネットワーク利用形態や要件は多様化し
ており,この要件に柔軟に対応したネットワークソ
リューションの提供が求められている。富士通では,
を行っている。
(4) ネットワークプロダクト
富士通のネットワーク機器は,スイッチから
WANアクセスルータ,IPテレフォニー関連装置ま
で,企業で利用されるネットワーク機器を幅広くラ
インナップしている。
また,セキュリティや高度マネジメント機能など,
企業の要望する新しい機能を有する製品も提供して
きている。
ネットワーク環境の変化
富士通では,前章で述べたようなネットワークソ
主に以下の四つのカテゴリにおいて,お客様の要件
リューションを提供してきているが,ネットワーク
に対応できるネットワークソリューションを提供し
の高速化や,デバイスの技術革新などによりネット
ている。
ワークを取り巻く環境には様々な変化が生じている。
(1) ネットワークサービス
● ネットワーク利用形態における変化
富士通の回線サービス(FENICS)では,IP-
近年では,光ファイバやADSLといった高速・常
VPN(Virtual Private Network)や広域イーサ
時接続・ベストエフォート型のブロードバンドネッ
ネットなどの企業イントラネットインフラソリュー
トワークが安価に提供されるようになり,企業での
ションと,接続サービスを中心としたインターネッ
利用も活発化してきている。また,携帯電話や
トインフラソリューションを,多彩なアクセス回線
PDAなどの小型のネットワーク端末が,インター
と信頼性の高いバックボーンのもとに展開している。
ネットを介した業務システム連携などで利用される
また「セキュリティ」
「コミュニケーション」
「モ
ようになっている。このような新しいネットワーク
バイル」などのニーズの高い機能との組合せを可能
利用形態の普及とともに,運用管理者に対しては,
にした豊富なオプションサービスも提供している。
端末管理やセキュリティなどへの高度な対策が求め
られるようになっている。これらの新たな要件に対
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富士通のネットワークサービスへの取組み
して,アプリケーションの有する高度な機能とネッ
タプライズ向けスイッチやWANアクセスルータ,
トワークとの連携により,トータルなネットワーク
IPテレフォニー関連装置などを提供している。近
管理を可能とするソリューションも提供されている。
年の技術進歩の高速化により,プロダクトにおける
● 回線サービスにおける変化
機能価値の早期低下や製品寿命の短期化が顕著に
サービスの急速な普及により,ADSLや光ファイ
なっている。このため,富士通では,サービスやプ
バなどのブロードバンド回線が高速化・低廉化して
ロダクト部門間の連携を強化し,お客様から得られ
いる。無線LAN(ホットスポット)や携帯電話な
たニーズを相互に早期反映させることにより,付加
どのモバイルネットワークサービスは,定額制サー
価値の高いネットワークサービスを提供している。
ビスの導入や利用端末の低価格化などによって普及
例えば,ネットワークプロダクト開発をネットワー
が進んでいる。また,回線サービスの多様化に伴い,
クサービスと一体で行い,新機能(セキュリティ,
多くの通信キャリア・プロバイダが様々な価格や品
認証,管理・監視機能など)をプロダクトに対して
質のサービスを提供しており,ネットワークアクセ
積極的に反映し,ネットワークの高機能化に対応し
ス回線環境の選択が複雑化してきている。
ている。
このような状況において,企業は多種多様なネッ
トワークサービスの中から,費用や利用形態に応じ
(2) アプリケーションとの連携
前述のとおり,近年のネットワークシステムは,
て自身に最適なサービスを選択する必要がある。
アプリケーションや業務と密接な関係を持つように
● ネットワークプロダクトにおける変化
なっている。富士通では,多くのお客様へのシステ
技術進歩の高速化に伴って,機能価値の早期低下
ムインテグレーションを通じて培った導入・運用に
や製品寿命の短期化が顕著になっている。これに
おけるノウハウを生かし,ネットワークアプリケー
よって,企業では製品選定や導入時期の決定が困難
ション(セキュリティやモバイルなど)機能と回線
になっている。また,ネットワークの多様化に伴い,
サービスの柔軟な組合せを可能にするサービスであ
ネットワークサービスにおいても,セキュリティや
るFENICS-ASを提供している。
ASPなどの高レイヤな機能に対するニーズが強く
本サービスでは,Webシステムやコミュニケー
なっている。その中で,ネットワークプロダクトに
ションツールなどに代表されるアプリケーションと
は,サービス機能に対する柔軟な対応が求められて
ネットワークサービスとを組み合わせた複雑なシス
いる。
テム構築へのトータルなサポートを行っている。
● 運用環境における変化
近年,ネットワークの複雑化や回線サービスの多
ネットワークサービスとアプリケーション,およ
びプロダクトとの連携イメージを図-1に示す。
様化に伴って,運用管理者の負荷が増加している。
運用管理者は,上述したネットワーク環境の変化に
おいて,ネットワーク設計・構築やセキュリティ対
お客様 策,障害復旧,監視などの多くの作業をトータルに
要望のフィードバック
サービス提供
実施しなければならない。これらの作業に対応する
お客様要望
ためには,高度な技術や専門知識が必要となること
から,運用負荷軽減などを目的としたアウトソーシ
プロダクト
FENICS
富士通のネットワークサービスへの取組み
本章では,前章で述べた「ネットワーク環境の変
化」に対する取組みについて紹介する。
● ネットワークサービスとの連携
(1) ネットワークの高機能化
富士通ではネットワークプロダクトとして,エン
428
FENICS-AS
アウトソーシング
ネットワークアプリケーション機能
ングソリューションに対するニーズも高まっている。
ルータ
IP-VPN
セキュリティ
Webシステム
LANスイッチ
インターネット接続
認証
Moblie-LCM
IPテレフォニー
Web-VPN
コミュニケーション
業務アプリケーション
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
ネットワークサービス
図-1 ネットワークサービスとの連携
Fig.1- Cooperation with network service.
FUJITSU.56, 5, (09,2005)
富士通のネットワークサービスへの取組み
● LCM(Life Cycle Management)によるIT環境
介する。
● マネージドインターネットVPNサービス
のトータルサポート
IT環境の整備において,ネットワーク環境,運
ブロードバンド回線の低価格化や高速化による利
用環境の変化から,お客様のネットワークの運用負
便性の向上に伴って,インターネットを基盤とした
荷が大きくなってきている。また,ネットワーク環
システムと企業イントラネットが普及している。し
境の急激な変化によって,最適なサービスの選定や
かし,回線の低価格化や企業システムのインター
導入時期の決定が難しくなっている。このような変
ネット化の一方で,利用拠点の拡大・縮小やセキュ
化に対応するため,IT環境の企画・調達から,導
リティ確保などに伴うネットワーク設定の複雑化に
入・運用までをトータルに管理するライフサイクル
よって,お客様の運用管理負荷は増加している。
このような状況に対して,富士通ではお客様拠点
管理が重要になってきている。
富士通では,このニーズに対応するため,お客様
ルータの運用管理や監視,設定サポートを一元化し
の様々なネットワーク環境におけるライフサイクル
たサービスを提供する。本サービスでは,富士通の
(企画・調達・導入・運用・廃棄)をワンストップ
VPN管理サーバがお客様ルータと連携して上記
化したソリューションとして,LCMを提供してい
サービスを提供する。本サービスの適用イメージを
る(図-2)。代表的なソリューションとして,お客
図-3に示す。
様のモバイル環境をモバイル回線サービスやモバイ
ル端末の資産管理などを通してトータルにサポート
するMobile-LCMが挙げられる。また,新しい取組
みとしては,近年急速に普及しているIP電話サー
また,VPN管理サーバがお客様ルータに提供す
る主な機能を以下に紹介する。
(1) セキュアなネットワーク環境構築を簡便化
既存の技術では,VPNを構成するために,各拠
ビスに対して,IPテレフォニーLCMを提供している。
点ルータに設定を行う必要があり,構成変更は作業
お客様はLCMソリューションを利用することで,
負荷や,導入時間などに難があった。本サービスで
複雑な運用をアウトソーシングし,コア業務に集中
はVPN管理サーバは,インターネットに接続され
できる。あわせて,TCO(Total Cost of Ownership)
たお客様ルータ間のVPNを富士通データセンタで
削減や,設計から運用までの富士通でのワンストッ
集中管理できる。これにより,お客様の運用管理負
プ化,運用負荷軽減などを実現できる。
荷を軽減するとともに,拠点間の接続先のグルーピ
富士通のネットワークサービスへの新たな取組み
ングや,VPNの接続・切断をリアルタイムに制御
することができる。今後拡大が予想されている,電
前章で述べた「ネットワークの高機能化」「アプ
子商取引のためのエクストラネットや,企業内通信
リケーションとの連携」
「LCMによるIT環境のトー
のセキュリティ強化などのインフラとしての需要が
タルサポート」に対する富士通の新しい取組みを紹
見込まれる。
富士通データセンタ
管理サーバ
企画
廃棄
調達
Life Cycle
Management
Web 管理ポータル
本社
連携
導入
ルータの状態表示
ルータ設定サポート
VPNを集中管理
リモート管理・監視)
お客様
ルータ
インターネット
運用
お客様
ルータ
お客様
ルータ
支店A
制御
図-2 LCMイメージ
Fig.2-Image of LCM.
FUJITSU.56, 5, (09,2005)
支店B
お客様
ルータ
支店C
暗号化通信
図-3 マネージドインターネットVPNサービス
Fig.3-Managed Internet VPN service.
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富士通のネットワークサービスへの取組み
(2) Web管理ポータルの提供
話と業務システムやメールサーバを連携したソ
本サービスでは,Web管理ポータルを運用管理者
リューションを提供している。システム開発者は,
に提供する。Web管理ポータルでは,VPN管理
本ソリューションを利用することにより,これまで
サーバと連携し,お客様ルータの接続状態をリアル
NTT DoCoMoや,auなど携帯電話キャリア個別に
タイムに確認できる。また,Web管理ポータルは,
構築していたシステムを共通化できる。
お客様ルータの設定を自動的に生成する機能を有す
ると同時に,お客様ルータの設定を管理する。
また,本ソリューションでは,サーバへの接続に
際して,インターネットと独立した閉域なネット
ワークを経由する。このため,端末に対して高負荷
(3) システム連携インタフェースの提供
本サービスは,前述のVPN管理サーバを経由し
て,拠点に設置したルータのリアルタイムな管理を
となるSSL(Secure Socket Layer)などの暗号処
理なしに携帯電話からのアクセスを実現できる。
可能にする。また,その管理インタフェースをSDK
さらに,ゲートウェイ装置においてパターン認証
(Software Development Kit)として提供し,ルー
を実施することにより,ネットワーク接続時のセ
タ管理の外部システムとの連携も可能にする。これ
キュリティを確保している。パターン認証とは,パ
により,EC(Electronic Commerce)システムと
スワードの形状パターンと順番を覚えておき,Web
連携したセキュリティネットワークや,センタシス
ブラウザを用いてアクセスした数字の表(乱数表)
テム障害時の全拠点の自動回線切替えなど,開発シ
から,形状パターンと順番に該当する数字をパス
ステムとネットワークを融合した自律的なシステム
ワードとする認証方式である。パターン認証では,
を実現できる。富士通では,本機能を利用してセ
前記乱数表を接続ごとに変更することによってワン
キュリティサービスや負荷分散サービスなどの提供
タイムパスワードを提供する。
本ソリューションの概要および特長を図-5に示す。
を予定している。
● IPテレフォニーLCM
負荷分散機能の適用例を図-4に示す。
近年のIP電話サービスの普及とともに,企業の
● 携帯電話接続サービス
近年では,様々なデバイス(ノートパソコン,PDA,
内線通話においてもIP化による低価格化や定額化
携帯電話など)のネットワーク接続環境が整備され
が可能となった。あわせて,企業のIP電話環境で
ている。とくに携帯電話は,接続エリアの広域化や
は,プレゼンス管理やユニファイドメッセージング
端末の高機能化によってビジネス環境での利用も増
(音声メールなど)などの付加機能による業務効率
化,無線LAN環境でのIP電話導入などの事例も増
えている。
富士通では,「携帯電話接続サービス」として,
セキュアな通信において,マルチキャリアな携帯電
えている。
このような状況において,企業の運用管理者には,
導入装置のオープン化やマルチベンダ化への対応と
富士通データセンタ
VPN管理
サーバ
ともに,無線LANを含めた高機能なIP電話環境の
負荷分散
システム
本社
連携
輻輳
お客様
ルータ
トラヒック情報
お客様
ルータ
接続先切替
ルー
タ切
替指
示
お客様
ルータ
お客様
ルータ
支店A
制御
支店B
•メールサーバ
•業務システム
専用線
専用線
支店C
専用線
暗号化通信
柔軟なシステム
設定変更・照会
高いセキュリティ
お客様
ルータ
図-4 負荷分散機能の適用例
Fig.4-Example of application of load distribution
function.
430
マルチキャリア
ゲート
ウェイ
FENICS
お客様拠点
高度な接続認証
(パターン認証)
図-5 携帯電話接続サービス
Fig.5-Cellular-phone connection service.
FUJITSU.56, 5, (09,2005)
IP Pathfinder SIPサーバ
認証サーバ
高度なテレフォニー機能を持つ
SIP対応の呼制御サーバ
無線LANクライアントのユーザ認証
給電L2スイッチ
ワイヤレスコントローラ
アクセスポイント
アクセスポイント
SIP-phone
WirelessIP5000
コミュニ
ケーション
高度認証
プレゼンスサーバ
FOMA® N900iL
WirelessIP5000
FOMA® N900iL ワイヤレスコントローラ 企業内無線LANの携帯端末
FOMA®と企業内無線LANの
二つのモードを持つ携帯端末
各アクセスポイントの制御
高速ハンドオーバ・音声優先機能
図-6 IPテレフォニーLCM
Fig.6-IP telephony LCM.
ネットワークプラットフォーム
認証サーバ
プレゼンスサーバ
個人のプレゼンス状態を管理
情報漏えい
対策
業務
アプリケーション
連携
不正利用
対策
富士通のネットワークサービス
ネットワーク装置
(ルータ,LANスイッチ,ファイアウォールなど)
回線サービス(FENICS) 侵入検知
フォトニックネットワーク
IPv6
暗号化
複合認証
プレゼンス管理
プラグアンドプレイ
ユビキタス
デバイス制御
ネットワーク環境情報
セキュリティ確保
デバイス
IP Pathfinder
Mobile-LCMサービス
サービス
富士通のネットワークサービスへの取組み
認証情報
設定の簡易化・自動化
携帯端末
商品(RFID)
センサ
デバイス状態
シンクライアント
情報家電
・・・
図-7 ネットワークサービスの実現イメージ
Fig.7-Realization image of network service.
業ネットワークの運用管理において,ユビキタス化
設計,構築,運用などへの対応が求められる。
富士通では,お客様のIP電話環境をLCMによる
トータルサポートに基づいてアウトソーシングする
されたネットワークを利用する端末の管理や情報漏
えい対策が求められる。
富士通では,ルータやLANスイッチ,ファイア
IPテレフォニーLCMを提供している。これにより,
ウォールなどのネットワーク装置に高度なセキュリ
お客様の運用管理負荷を軽減し,新しい技術へのス
ティ技術や端末管理技術を適用し,管理者の運用負
ムーズな対応を実現する。
荷軽減を実現するとともに,ネットワークサービス
本サービスでは,お客様要件のヒアリングから設
の高機能化を効果的に実現していく。例えば,「端
計や構築,運用および新技術の導入提案までをお客
末と利用者」などの利用環境情報の組合せによる高
様専任のサービスマネージャによってワンストップ
度認証や,シンクライアント利用による情報漏えい
化する。運用においては,お客様事業所に設置した
対策をネットワーク装置と連携して効果的に行う
ネットワーク機器の監視を行い,24時間365日の安
サービスを検討中である。また,プラグアンドプレ
定運用を実現する。また,既存のFENICS IP電話
イ機能による設定の簡易化・自動化や端末のプレゼ
サービスとの連携も可能にする。
ンス情報に基づく端末状態に応じた制御を行うサー
IPテレフォニーLCMにおけるモバイルソリュー
ションの構成例を図-6に示す。
ビスなども実現していく。上記の実現イメージを
図-7に示す。
富士通のネットワークサービスが実現する世界
本章では,今後富士通が実現していくサービス機
能について紹介する。
む
す
び
本稿で述べたとおり,富士通では,ネットワーク
環境の変化に対応するため,アプリケーション連携
RFIDやIPv6などの技術の進展やu-Japanなどの
やプロダクト連携,LCMによるトータルサポート
国家プロジェクト推進によって,ユビキタス社会の
などによって,新しいネットワークサービスをお客
到来が近づいている。ユビキタス化によって,接続
様に提供している。ITを活用した業務形態やビジ
方法や接続場所の制約がなくなり,商品や情報家電,
ネスモデルは,環境の変化を伴いながら急速に普及
センサなどのネットワーク利用も可能となる。この
している。また,インターネットに代表されるネッ
ため,企業ネットワークにおいても,様々な場所か
トワークは,お客様の企業経営を支える重要な基盤
ら膨大な数の端末が企業ネットワークにアクセス
となっている。
することになる。また,企業における情報管理は,
富士通は,上記変化におけるお客様のニーズに対
e-文書法や個人情報保護法の施行に伴い,今後もま
して,付加価値の高い最適なネットワークサービス
すます重要になるものと考えられる。このため,企
を継続して提供していく所存である。
FUJITSU.56, 5, (09,2005)
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