MRI

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MRI
検査上級者への道
MRI検査上級者への道
頭 部 領 域 編
頭 部 領 域 編
専門病院の実際
日本医科大学付属病院放射線科
土橋俊男、松村善雄、松本 剛、新田武史
MR Imaging
MR Imaging
頭部領域における施設の特徴
当院のMRI装置は、
GE社製1.5T装置2台、
PHILIPS社
告としては、
3Tを利用した頭部MRI検査の実際ということで、
製1.5T装置1台、
3T装置1台、
日立メディコ社製オープン型
3T(PHILIPS社製Achieva 3T)
に絞った内容で記載する。
0.3T装置1台である。全MRI検査の約55%が頭部検査で
国内において、3Tの臨床応用は始まったばかりである。
ある。磁場強度別に検査部位を分けることはしていないが、
頭部での有用性は多くが認めるところであり、脊椎、腹部、
GE社製装置では頭部、
骨盤、
四肢領域を中心に検査を行っ
骨盤部および四肢・関節でも3Tの有用性を活かした臨床
ている。一方、
PHILIPS社製装置では、
頭部、
頚部、
脊椎、
応用が期待されている。
このような観点から、
当院の3Tでは、
心臓、乳房、上腹部を中心に検査を行っている。これらは、
特に検査部位を限定した使用は行っていない。心臓を含め
装置の特徴を考慮して分類している。今回、
当院からの報
た全ての部位の検査を行っている。
3T-MRIを用いた頭部領域における臨床検査への取り組み
1. 代表的な疾患別の撮像方法
いる。造影剤を使用できない検査では、T2WIの矢状断面
基本的な撮像方法は1.5Tと同じであるが、
3T-MRIの特
を追加している。
徴である高いSNRを利用した高分解能撮像が全ての検査
③血管病変
で行われている。特に、
下垂体を対象とした撮像では、
FOV
3D-TOFを用いたMRAを撮像後、
T2WI、
T1WIおよび
=160mm、
スライス厚=3mm、
マトリクスサイズ=352×211(周
FLAIRの横断面を撮像する。必要に応じてT2*画像を追
波数方向×位相方向)
を使用している。
加する。
①腫瘍・転移性腫瘍
急性期脳梗塞が疑われる場合は、
DWI(拡散強調画像)
造影前にT1WI、
T2WIおよびFLAIRの横断面を撮像す
を最初に撮像する。
る。造影剤投与後、
横断面と冠状断面のT1WIを撮像する。
36
必要に応じて矢状断面を追加する。聴神経腫瘍等の後頭
2. 3T-MRIの利点
蓋窩病変では、
スライス厚=3mm、
スライス間隔=0.3mm、
3Tの最大の利点は、
SNRの向上である。特に、
頭部では
FOV=180mm、
matrix=256×204で撮像する。1.5Tでは、
MRAの画質改善が著しい。図1に1.5Tと3TのMRAの比
スライス厚が4mmで3分41秒の撮像時間であるが、
3Tでは
較画像を示す。それぞれルーチン検査で使用している撮像
スライス厚を3mmにしても撮像時間は3分14秒と短くなって
条件で、
同一ボランティアを撮像した画像である。3Tで細い
いる。
血管の描出が大きく改善しているのが分かる。
また、
内頚動
②下垂体腫瘍
脈の描出も向上している
(図1矢印)。前者は、
SNRの向上
造影前にT1WIの矢状断面、
冠状断面およびT2WIの冠
とT1延長による脳実質信号の抑制効果が関係していると考
状断面を撮像する。造影剤投与後、
T1WIの冠状断面と矢
えられる。後者は、
out of phaseのTEが短いため、
dephase
状断面を撮像する。
効果の減少が関係していると考えられる。
ダイナミック撮像を行う場合は、
磁化率artifact防止のため、
一方、
注意が必要な点としては、
SARの増加、
磁化率効
高速SE法(ETL=3)
を用いて撮像を行う
(撮像のタイミング
果の増大、
RF penetrationの低下による信号の不均一、
そ
は「造影剤の投与方法」を参照)。当院では、時間分解能
して1.5Tとのコントラストの差が挙げられる。頭部では、
SE法
を上げるために、
keyhole技術をダイナミック撮像に使用して
におけるT1WIのコントラスト低下と、
T2WIにおける淡蒼球、
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被殻、
内包後脚などの低信号化が挙げられる。
1.5Tに比べ約2倍のSNRを有するため、
1/4の撮像時間
で同等のSNRを確保できることになる。そのため、短時間
撮像が必要な場合は、撮像時間短縮に有用ではある。
し
かしながら、SE法を用いたT1などでは、SARの問題でTR
あたりの撮像枚数が減少するため、期待したほど撮像時
間の短縮はできない。逆に、
撮像時間が延長することもある。
例えば、
頭部ルーチン検査で使用するT1WIで比較すると、
1.5Tではスライス20枚をTR=520ms、
TE=12msで撮像可
能である。加算回数1回で撮像時間は2分15秒となる。一方、
a
3 T では S A R の 問 題 でスライス2 0 枚を撮 像 するには
b
図1 頭部MRAの比較(3Tvs1.5T)
TE=10msの設定で、TRは714msにする必要がある。T1
a:3Tでの画像。TEはout of phaseの3.45msを使用。
b:1.5Tでの画像。TEはout of phaseの6.9msを使用。
3Tで細い血管の描出と、矢印で示した内頚動脈の描出が向
上している。内 頚 動 脈 に 関しては、両 画 像とも f l o w
compensationを使用しているが、out of phaseのTEが短い
ため、dephase効果の減少が影響していると考えられる。
コントラストの問題でこのままでは撮像できないため、2回に
分割して撮像することになる。
ところが、T1のコントラストを
考慮するとTRは450ms程度に設定するため(TRの設定
に関してはQ&Aの2に記載)、
加算回数1回で撮像時間は
位相エンコード方向
3分7秒となってしまう。
3. 検査の特徴
1.5Tとのコントラストの違いがあるので、
撮像条件は3T独
自の設定となる。当院では、
高いSNRを撮像時間短縮では
なく、
空間分解能の向上に利用している。1.5Tと3Tのルー
a
チン検査用のシーケンスにおける空間分解能の比較を図2
に示す。ピンの見え方に大きな違いがあるのが分かる。3T
a:1.5TのT2WIの撮像条件
b:3TのT2WIの撮像条件
ピンの径および間隔は、太いほうから2.0mm、1.0mm、0.75mm、
0.5mmである。
では、
ピン径および間隔が0.75mmまで分離可能である。
MR Imaging
b
図2 空間分解能の比較
頭部領域のMRI検査法
表1∼3に、疾患毎の基本的な撮像パラメータを示す。FLAIRの
TIは、
2800msに設定している。T1が延長するため1.5Tより長めに設
定する必要があると思われたが、
当院では1.5Tと同じ設定になってい
る。1.5Tと3TのFLAIR画像の比較を図3に示す。CSFの抑制効果
に差がないことが分かる。DWIでは、
画像歪を低減する目的で、
受信
帯域幅の広帯域化とSENSE factorを大きくしている。下垂体では、
高空間分解撮像を行っている。
撮像パラメータの工夫としては、
3Tの特徴である高いSNRを利用
した空間分解能の向上を目的とした設定と、
欠点であるSAR上昇を
抑える設定である。
表1 頭部ルーチン
a
b
図3 FLAIRの比較(3Tvs1.5T)
a:1.5TのFLAIR画像
TR=11000ms、TE=140ms、TI=2800ms、ETL=40
b:3TのFLAIR画像
TR=11000ms、TE=120ms、TI=2800ms、ETL=35
■MRI機種 Achieva 3.0T(PHILIPS社製)
Basic Information
順番 撮像法
撮像
断面
Time
シーケンス
TR
TE
FA
FOV
ETL
Matrix
(msec)(msec) (°)
(mm)
スライス厚 Gap
BandWidth
スライス数 息止
(mm) (mm)
(Hz/pixel)
その他
multi slab
TE=out of phase
1
MRA
axial
5:51
FFE
25
3.45
─
200 512×204
0.6
─
160
─
144.8
2
T2WI
axial
2:07
TSE
3623
90
90 13
240 400×280
5.5
1.5
20
─
273.4
3
FLAIR
axial
2:45
TIR
11000
120
90 35
240 272×218
5.5
1.5
20
─
437.7
TI=2800ms
4
T1WI
axial
3:07
SE
450
10
90
─
240 256×256
5.5
1.5
20
─
207.1
5
DWI
axial
0:32
SE-EPI
2460
50
90
─
240 256×128
5.5
1.5
20
─
1674.1
18
B値=1000
DWIでは、SENSE factorを2.5に設定している。高速SE法のrefocusing pulseのflip angleは100°
である。FLAIRのrefocusing pulseのflip angleは120°
である。
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表2 下垂体
■MRI機種 Achieva 3.0T(PHILIPS社製)
Basic Information
順番 撮像法
撮像
断面
Time
シーケンス
TR
TE
FA
FOV
ETL
Matrix
(msec)(msec) (°)
(mm)
スライス厚 Gap
BandWidth
スライス数 息止
(mm) (mm)
(Hz/pixel)
1
T1WI
sagittal
3:25
SE
536
13
90
─
160 352×211
3
0
13
─
175.1
2
T1WI
coronal
3:13
SE
504
13
90
─
160 352×211
3
0
13
─
180.1
3
T2WI
coronal
4:02
TSE
3500
100
90 11
160 352×282
3
0
13
─
144.1
4 Dynamic coronal
1:21
TSE
500
11.5
90
3
160 240×156
3
0
4
─
217.7
5 Gd-T1WI coronal
3:13
SE
504
13
90
─
160 352×211
3
0
13
─
180.1
6 Gd-T1WI sagittal
3:25
SE
536
13
90
─
160 352×211
3
0
13
─
175.1
その他
総スライス枚数=20
(4×5 phase)
表3 腫瘍
■MRI機種 Achieva 3.0T(PHILIPS社製)
Basic Information
順番 撮像法
撮像
断面
Time
シーケンス
TR
TE
FA
FOV
ETL
Matrix
(msec)(msec) (°)
(mm)
スライス厚 Gap
BandWidth
スライス数 息止
(mm) (mm)
(Hz/pixel)
1
T2WI
axial
2:07
TSE
3623
90
90 13
240 400×280
5.5
1.5
20
─
273.4
2
FLAIR
axial
2:45
TIR
11000
120
90 35
240 272×218
5.5
1.5
20
─
437.7
3
T1WI
axial
3:07
SE
450
10
90
─
240 256×256
5.5
1.5
20
─
207.1
4 Gd-T1WI axial
3:07
SE
450
10
90
─
240 256×256
5.5
1.5
20
─
207.1
5 Gd-T1WI coronal
3:07
SE
450
10
90
─
240 256×256
5.5
1.5
20
─
207.1
Matrixの表示は、周波数エンコード方向×位相エンコード方向
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症例画像
拡大画像
図5 下垂体腺腫
下垂体柄の右側に、造影剤投与直後の画像で淡い3mm程度の造影不良域が認められ(矢印)、microadenomaが示唆された。
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その他
TI=2800ms
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a
b
c
d
e
図6 転移性脳腫瘍
肺がんの転移性脳腫瘍
a:T1WI(造影前) b:T2WI(造影前) c:FLAIR(造影前) d:T1WI(造影後) e:T1WI(造影後、冠状断面)
造影剤の投与方法
下垂体のダイナミック撮像を例にとり、造影剤の投与方法を述べる。
3Tでは、
時間分解能向上のためにkeyhole技術を使用して撮像を行っ
ている。preを撮像した後、
造影剤を投与し連続5回の撮像を繰り返すが、
keyhole技術を使用したダイナミック検査の経験が少ないため、
以下の2
方式を検討している
(図4)。
図4aは、
preを撮像した後、
同じシーケンスをコピーしてダイナミック撮像
を開始する。keyhole技術を使用しているため、
一連の最初と最後の撮
像時間が長くなる
(37秒)が、
その間の撮像はデータの収集率を40%に
設定しているため17秒になる。造影剤投与直後の撮像時間が長いため、
撮像開始20秒後に造影剤を投与している。
図4bは、
ダイナミック撮像を行う一連の中でpreを撮像する方法で、
造影
剤投与直後の撮像時間が短いため、
撮像開始と造影剤投与が同時になる。 図4 下垂体ダイナミック撮像のプロトコール
図5で示した下垂体腺腫の例は、
図4aの方式で撮像しているが、
最
近では図4bの手法を用いている。
Keyhole技術を利用しているため、一連の撮像の最初と最後の撮像時間とそ
の間の撮像時間が異なっている。a方式とb方式を検討中である。
a方式では、撮像開始20秒後に造影剤を投与する。b方式では、撮像開始と造
影剤投与が同時である。
用語解説
SAR
RF pulseを照射することによる人体への単位重量あたりの熱エネルギーの蓄積(吸収電力)を示す。specific absorption rate(比吸収
率)と呼ばれ、RF照射による人体の安全性を考える指標とされている。磁場強度の2乗に比例して増加する。3Tでは1.5Tの4倍のSAR上
昇となり、大きな問題となる場合がある。
磁化率効果
撮像領域あるいは周辺において、磁化率の異なる物質が存在することによって信号強度や画像に対する影響を及ぼす効果を指す。強磁性
体が存在する近傍や、生体内の磁化率が異なる組織が接する部位(頭部では、空気と組織が接する下垂体、副鼻腔など)で、信号強度の低下
や画像の歪みが発生する効果である。この磁化率効果は、静磁場強度が高いほど増大する。3Tでは、磁化率効果が増大するが、
この増大を
利用したSWI(susceptibility weighted imaging)と呼ばれる撮像方法が注目されている。
キーホール撮像
k-space内の中心部分のみを高速で撮像し、
時間分解能を向上する撮像方法。頭部では、その下垂体等のダイナミック検査の撮像時間短縮
に使用される。実際の撮像では、
ダイナミックスキャンの最初と最後をfullでデータ収集を行い、
その間のスキャンはk-spaceの中心部分だけデー
タ収集を行う。画像再構成は、
fullでデータ収集したk-spaceの高周波成分をコピーして行う。動きの影響が大きい心臓等では使用できない。
Vol.5 No.4(2007)
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Q&A
Q1
3T-MRIを扱う上で、特に注意を要することは?
A
Q2
3Tの安全性に関して注意する点は、磁性体に対する吸引力の上昇と、SARの増大が挙げられる。
磁性体に対する吸引力は、磁場強度が高くなるほど強くなる。3Tは、非常に強い静磁場強度である。しかしながら、最近
の3Tはマグネットも小型化され、
シールド技術の進歩により漏洩磁場の範囲も1.5Tとそれほど大きな差はない。これは、
ガントリーの開口部で急激に磁場強度が減衰していることになり、1.5Tと比較して開口部付近の磁場の傾斜が急になって
いることを物語っている。したがって、
ガントリーに近づくと急に吸引力が強くなるため、磁性体の持ち込み防止には細心
の注意が必要である。
SARは電磁波の組織吸収率であり、静磁場強度の2乗に比例して上昇する。そのため、RF照射が体温上昇や火傷の原
因となる可能性がある。3Tでは、撮像パラメータ設定において、画質とSARの両面を考慮する必要がある。例として、高
速SE法ではrefocusing pulseのflip angleを100∼120°
程度に設定して、SNRとSARのバランスをとっている。
3T-MRIの頭部領域における課題は?
A
3Tの課題としては、SARの増加、磁化率効果の増強、RF penetrationの低下による信号の不均一、T1の延長などが
指摘されている。実際に、3Tを使用して頭部を撮像すると、SE法におけるT1WIのコントラスト低下と、画像の均一性低下
が一番の問題点であった。高速IR法で撮像すると強いT1コントラストが得られるが、1.5Tとのコントラストの違いが大き
な問題となった。当院のように、複数台の装置がある場合、常に3Tで検査ができるとは限らない。また、以前の画像との比
較を行うことも少なくない。そのため、画像のコントラストが大きく異なっていたり、造影効果に差があったりした場合、診
断に支障をきたすことも考えられる。以上の理由から、当院ではSE法を用いたT1WIを基本としているが、撮像条件の設
定が課題となった。表1に示した撮像条件決定においては、
ファントムによる基礎実験とボランティアによる比較を行った。
ファントムによる実験では、
0.01mmol、
0.1mmol、
1mmolのGd希釈水溶液と蒸留水のCNRを求
めた。また、
ボランティアによる検討では、白質と
灰白質のCNRを測定した。どちらも、評価は組
織間測定法を使用した。なお、CNRの測定を行
うため、QDコイルを用いて撮像を行った。それ
ぞれの結果を図7に示すが、
ファントムおよびボラ
ンティア共にTR450msで一番CNRが高かった。
これらの結果から、当院ではTRを450msに設
定している。
3Tでは、T1が延長するためTRを長めに設定
す る 必 要 が あ ると 考 え て い た が 、実 際 に は 図7 ファントムおよびボランティア頭部でのCNR
CNRの測定を行うためQDコイルを使用し、SENSEやCLEAR等の信号強度補正は行ってい
450msでCNRが最大となった。
ない。CNRの評価には、組織間測定法を使用。
Q3
3T-MRIは、1.5Tよりも撮像時間がかかりますか?
A
40
SNRが約2倍向上することは述べたが、その効果を時間分解能に向ければ、撮像時間はかなり短縮可能である。しかし
ながら、実際の撮像では、高分解能撮像を実施したり、SARの制限でスライス枚数が減少したり、撮像時間の短縮効果は期
待できない。SE法を用いたT1では、SARの問題で1.5Tに比べTRあたりの撮像枚数が減少する。そのため、2回に分割
して撮像を行う必要があり、撮像時間はかえって延長する。当院では、高画質化に3Tの特徴を利用することを第1にシーケ
ンス設定を行っているため、撮像時間は1.5Tと同じか若干長い設定になっている。
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おわりに
3Tを用いた頭部検査について記載した。装置の使用経
当院においては、
TE>TRが可能なPRESTOと呼ばれるシー
験が浅いため、
現時点では高磁場装置の利点を十分に引
ケンスを用いたVen-BOLD画像を磁化率強調画像として
き出しているとは言えない。
しかしながら、
SNRの向上および
撮像している
(図8)。
空間分解能の向上についての優位性は発揮できていると
思われる。今回記載した内容は、臨床使用2ヶ月での撮像
方法である。今後、使用経験を重ねることにより、撮像方法
が変更になることやパラメータの設定が変更になることもあ
ると思われる。
3Tは、
1.5TよりもSNRが向上するが、
磁化率効果の増大、
SARの増加、T1、T2の延長、
コントラストの変化等があり、
1.5Tのパラメータをそのまま使用することはできない。3Tの
特性を理解した撮像方法および撮像パラメータの設定が必
要である。また、磁化率効果の増大は、磁化率が異なる組
織周辺での著しい信号低下や画像の歪みなど診断上重大
な問題となる。
しかしながら、
この磁化率効果増大を利用し
た新しい画像コントラストであるSWIが最近注目されている。
図8 PRESTOシーケンスを用いた磁化率強調画像(Ven-BOLD)
TR/TE/FA=23/30/10
Matrix:352×78.5%、scan%:100、K-spaceシャッター
FOV:240mm、SENSE factor:2
スライス厚:1.0mm(0.5mm間隔)、130slice
表示スライス厚:mIP(最小値投影)、12mm 撮像時間:3:59
<文献>
1)滝沢 修: 3T MRIの特性と臨床応用のための技術. INNERVISION21
(9): 1-5, 2006
2)原田雅史ほか:頭部における有用性. INNERVISION21(9): 6-10, 2006
3)吉川宏起:MR装置の高磁場化. 日本磁気共鳴医学会雑誌26(4): 162164, 2006
4)佐々木真理ほか: 3T MRIの中枢神経系疾患への応用. 日本磁気共鳴
医学会雑誌26(4): 165-172, 2006
5)原田雅史: 中枢神経領域を中心とした3T MRSの応用. 日本磁気共鳴
医学会雑誌26(4): 173-188, 2006
6)梅田雅宏ほか: 超高磁場MRIの特徴と問題点. 日本磁気共鳴医学会雑
誌26(4): 189-199, 2006
Vol.5 No.4(2007)
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