1.8 添付文書(案) Nihon Schering K.K. 1.8 添付文書(案) 66 1.8 添付文書(案) Page 1 of 6 Nihon Schering K.K. 1.8 添付文書(案) 1.8.1 効能・効果及びその設定根拠 効能・効果 磁気共鳴コンピューター断層撮影における肝腫瘍の造影 [設定根拠] 国内で実施した肝限局性悪性肝病変を有する又は疑われる患者を対象とした第Ⅲ相試験において, 「病巣検出における sensitivity」と「正しく病変タイプが鑑別された病巣の割合」の二つの主要 評価項目について,対照の造影らせんコンピューター断層撮影(造影 CT)と群内比較した.病巣検出 と病巣鑑別の評価は,病巣検出の SOR(Standard of reference)あるいは及び病巣鑑別の SOR の結 果に基づき評価した. 病巣検出における sensitivity は,本剤投与前・後磁気共鳴コンピューター断層撮影(投与前・ 後 MRI)では造影 CT と比べて 3 名中 2 名の読影医評価において有意に高く,3 名の読影医平均及び 治験担当医の両方の結果においても,投与前・後 MRI は造影 CT より sensitivity が 7%向上し,有 意な向上が認められた.一部の患者において実施したフェルモキシデス造影 MRI との比較において, 3 名の読影医及び治験担当医のいずれでも本剤投与前・後 MRI の sensitivity が高く,本剤は少な くともフェルモキシデスと同程度の病巣検出能を有すると考えられた. 「正しく病変タイプが鑑別された病巣の割合」は,投与前・後 MRI の割合が造影 CT に比べて読影 医 3 名及び治験担当医で高く,いずれの結果でも本剤投与前・後 MRI の造影 CT に対する非劣性が検 証された. 国内での第Ⅲ相試験では,治験実施計画書に適合した解析集団(PPS:Per protocol set)解析対 象 151 例の 87%を肝細胞癌(HCC:Hepatocellular carcinoma)例が占め,転移性肝癌例は 15 例 (10%)と少なかった.2.7.3.3.2.1 海外データの外挿可能性の検討に示した根拠に基づき,欧米 で実施された第Ⅲ相検証的試験の成績を日本人に外挿することは可能と判断し,以下にその成績を 要約する. 海外では,病巣検出と病巣鑑別が別の試験で,それぞれについて同一のプロトコールで 2 試験ずつ 実施された.いずれも,投与前 MRI に対する優越性を検証する目的で実施しているが,造影 CT との 比較も行った.検出能を検討した試験では,病巣検出の sensitivity では 2 試験の治験担当医の結 果では投与前・後 MRI が造影 CT より優れていた.2 試験で計 6 名の読影医が評価した結果,5 名で 投与前・後 MRI が造影 CT より sensitivity が高かったが,有意差は認められなかった.2 試験の解 析対象となった病巣(302 個及び 316 個)のうち 171 個(57%)及び 189 個(60%)が転移性肝癌 病巣であった. 鑑別能を検討した試験では,患者の組み入れ時に転移性肝癌とそれ以外の限局性肝病巣を層別割 付し,主要な良悪性肝腫瘍(転移性肝癌,HCC の他に,血管腫,限局性結節性過形成,など)がバ ランス良く組み入れられた.2 試験の読影医計 6 名の結果では,投与前・後 MRI は造影 CT に比べ 5 名で「正しく病変タイプが鑑別された病巣の割合」が高く,2 名の読影医では造影 CT に対する有意 差が認められ,2 試験の治験担当医の結果でも有意差が認められた.この結果から,より広範な肝 67 1.8 添付文書(案) Page 2 of 6 Nihon Schering K.K. 腫瘍患者の集団において,本剤投与前・後 MRI は CT と比べて少なくとも同程度の病巣鑑別能を有す ることが確認された. 以上の成績から,本剤の効能・効果を「磁気共鳴コンピューター断層撮影における肝腫瘍の造 影」と設定した. 1.8.2 用法・用量及びその設定根拠 用法・用量 通常,成人には本剤 0.1mL/kg を静脈内投与する. [設定根拠] 申請資料中の試験成績は本剤の Gd 量を単位としているが,医療現場での利便性を考慮して添付文 書中には当該注射剤の容量 mL を単位として表示する.なお,0.1mL/kg は 25μmol/kg に相当する. 第Ⅱ相用量探索試験としてヨーロッパ及び本邦で本剤 12.5,25,50μmol/kg の静脈内投与による 有効性及び安全性を検討した結果,「診断の確信度」あるいは「造影による診断能の向上性の総合 評価」はいずれの用量でもじゅうぶんな向上性を示し,3 用量群間に統計学的に有意な差は認めら れなかった.次にヨーロッパで実施した試験では,被験用量を 3,6,12.5 及び 25μmol/kg とし, プラセボに対する各用量の有効性を比較検討した.本剤投与により臨床的に必要とされる「診断の 確信度」に関する有効率をあらかじめ 55%と設定し,それを上まわる有効性が認められたのは 25μ mol/kg のみであった.また,プラセボに対して統計学的に有意な向上性が認められたのは 12.5 及 び 25μmol/kg の 2 用量であった.特に,HCC の患者と肝硬変を合併する患者において,25μmol/kg は 12.5μmol/kg に比して向上率が高かった. 第Ⅲ相試験として,本邦,米国及びヨーロッパで肝腫瘍の患者に本剤 25μmol/kg を静脈内投与し て病巣に対する検出能及び鑑別診断能が幅広く検討された.投与前 MRI と比較して,投与前・後 MRI あるいは投与後 MRI は一貫して高い検出能及び鑑別診断能を示した.造影らせん CT と比較した 場合も,本剤投与による MRI の方が全般的に高い検出能を示した. 安全性については,いずれの試験でも,また,いずれの用量でも問題となるものは認められな かった. 以上の臨床試験の結果から,本剤の用法・用量を「通常,成人には本剤 0.1mL/kg を静脈内投与す る.」とした. 68 1.8 添付文書(案) Page 3 of Nihon Schering K.K. 1.8.3 使用上の注意(案)及びその設定根拠 国内外の臨床試験及び非臨床試験の結果並びに類薬に基づき,効能・効果,用法・用量,使用上 の注意(案)及びその設定根拠について示した. 使用上の注意(案) 設定根拠 【禁忌】(次の患者には投与しないこと) 本剤の成分又はガドリニウム系造影剤に対 し過敏症の既往歴のある患者 【原則禁忌】(次の患者には投与しない ことを原則とするが、特に必要とする場 合には慎重に投与すること) 【禁忌】の項 本剤の成分又はガドリニウム系造影剤に対し 過敏症の既往歴のある患者では,本剤投与によ りアレルギー反応が強く現れるおそれがあ り,また,過敏症発現の可能性が高くなる場 合があるため記載した. 【原則禁忌】の項 (1)一般状態の極度に悪い患者は種々の危険性 が予測されるため記載した. (2)類薬でショック,アナフィラキシー様症状 が報告されているため記載した. (1)一般状態の極度に悪い患者 (2)気管支喘息の患者 [類薬でショック,アナフィラキシー様 症状が報告されている.] 【使用上の注意】 【使用上の注意】の項 1.慎重投与(次の患者には慎重に投与する こと) 1.慎重投与 (1),(2),(3)本人あるいは家族にアレルギー 体質のある患者及び薬物過敏症の既往歴の ある患者は,一般に薬物投与に対して副作 (2)両親,兄弟に気管支喘息,アレルギー性鼻 用を発現しやすいので,慎重に投与する必 炎,発疹,蕁麻疹等を起こしやすいアレル 要があるため記載した. ギー体質を有する患者 安全性統合解析の結果から,アレルギーの 既往のある患者では,既往のない患者に比 (3)薬物過敏症の既往歴のある患者 らべ,頭痛,悪心,浮動性めまい,発疹の (4)重篤な腎障害のある患者[排泄が遅延する 発現頻度が高かったため記載した. おそれがある.] (4)特別な集団での試験において,透析を必要 とするような末期腎不全患者では,消失半 減期の延長,AUC の増大及び全身クリアラ ンスの低下が認められたため記載した.ま た,本剤の排泄臓器は肝臓及び腎臓である ことから,慎重投与とした. (1)アレルギー性鼻炎、発疹、蕁麻疹等を起こ しやすいアレルギー体質を有する患者 69 6 1.8 添付文書(案) Page 4 of Nihon Schering K.K. 使用上の注意(案) 設定根拠 2.重要な基本的注意 2.重要な基本的注意 (1)本剤の投与にあたっては,気管支喘息等の アレルギー体質等について十分な問診を行 うこと. (1)投与にあたっては,気管支喘息等のアレル ギー体質について十分な問診を行うことが 必要であるため記載した. (2)ショック,アナフィラキシー様症状等の重 (2)類薬でショック等の重篤な副作用が,ま 篤な副作用が発現するおそれがあるので, た,本剤 500μmol/kg を投与された健康男 本剤の投与にあたっては,救急処置の準備 性 1 例においてアナフィラキシー様反応が を行うとともに,投与後も患者の状態を十 報告されているため記載した. 分に観察すること. 3.副作用 3.副作用 総症例 1,755 例中 76 例(4.33%)に副作用が 国内外の臨床試験における副作用発現例並び 認められた.主な副作用は,血管拡張(熱感, に類薬による副作用の発現報告に基づいた. 潮紅)16 件(0.91%),悪心 12 件(0.68%), 味覚倒錯 9 件(0.51%),頭痛 8 件(0.46%) 等であった.(申請時:国内及び海外臨床試 験の合計) (1)本剤 500μmol/kg を投与された健康男性 1 (1)重大な副作用 例においてアナフィラキシー様反応が報告 アナフィラキシー様症状 されているため記載した. アナフィラキシー様症状があらわれること があるので,投与後も観察を十分に行い, 異常が認められた場合には適切な処置を行 うこと. (2)重大な副作用(類薬) (2)ショックが類薬で報告されているため記載 ショック した. ショックを起こすことがあるので、投与後 も観察を十分に行い、異常が認められた場 合には適切な処置を行うこと。 (3)その他の副作用 (3)国内外の第Ⅱ相及びⅢ相臨床試験(計 1755 下記の副作用があらわれることがあるの 例 ) で 見ら れ た副 作 用の発 現 頻度 に 基づ で,観察を十分に行い,必要に応じ適切な き,0.1%以上の頻度で発現した副作用を 処置を行うこと. 記載した. 種 頻 類 度 0.1~1.0%未満 過敏症 発疹、そう痒 精神神経系 頭痛、めまい 循環器 血圧上昇 呼吸器 呼吸困難 消化器 悪心、嘔吐、下痢 その他 血管拡張(熱感、潮紅)、味覚倒錯、 異常感覚、嗅覚錯誤、投与部位疼痛 70 6 1.8 添付文書(案) Page 5 of Nihon Schering K.K. 使用上の注意(案) 設定根拠 4.高齢者への投与 一般に高齢者では生理機能が低下しているの で,患者の状態を十分に観察しながら慎重に 投与すること. 4.高齢者への投与 5.妊婦,産婦,授乳婦等への投与 (1)妊娠中の投与に関する安全性は確立してい ないので,妊婦又は妊娠している可能性の ある女性には,診断上の有益性が危険性を 上回ると判断される場合にのみ投与するこ と.[使用経験がない.] 5.妊婦,産婦,授乳婦等への投与 (2)本剤投与後 24 時間は授乳を避けさせるこ と.[動物実験(ラット)で乳汁中に移行す ることが報告されている.] (2)動物実験で乳汁中に移行することが報告さ れているため記載した.本剤とほぼ同じ血 漿中半減期を示す他のガドリニウム製剤に 基づいた. 6.小児等への投与 低出生体重児,新生児,乳児,幼児又は小児 に対する安全性は確立していない.[使用経 験がない.] 6.小児等への投与 小児等を対象とした試験を実施していないた め,平成 9 年 4 月 25 日薬発第 607 号通知に基 づいた. 7.適用上の注意 (1)投与経路:本剤は静脈内投与にのみ使用す ること. (2)投与前 : 1)動物実験でリファンピシン類の投与によ り本剤の肝細胞への取り込みが阻害さ れ,肝実質の信号増強効果が低下するこ とが示されている. 2)血清フェリチン値が顕著に高い患者で は,本剤による肝実質の信号増強効果が 減弱する可能性がある.[肝臓のフェリ チンが磁化率効果を示す.] 3)血清ビリルビン値が 3mg/dL を超える患 者において,本剤投与後の肝実質の信号 増強効果が減弱したとの報告がある(薬 物動態の項参照). このような患者で信号増強の減弱がみら れた場合であっても,追加投与はしない こと.[本剤は有機アニオン輸送担体に より肝細胞に取り込まれるため,ビリル ビンと競合すると考えられる.] 投与経路,投与前,投与時,撮影時の注意等 を具体的に示した. 71 平成 9 年 4 月 25 日薬発第 607 号通知に基づい た. (1)妊婦,産婦,授乳婦等を対象とした試験を 実施していないため,平成 9 年 4 月 25 日 薬発第 607 号通知に基づいた. (1)投与経路が静脈内投与であるため記載し た. (2)1)動物実験でリファンピシンとの併用にお いて肝実質の信号増強効果の低下がみら れているため記載した. 2)3)特別な集団での試験において肝信号増 強効果の減弱がみられているため記載し た. 6 1.8 添付文書(案) Page 6 of Nihon Schering K.K. 使用上の注意(案) 設定根拠 (3)投与時 : 1)静脈内投与により血管痛,静脈炎があら われることがある. 2)誤って血管外に造影剤を漏出させた場合 (3)1)2)類薬で認められているため記載した. には,発赤,腫脹,水疱,疼痛等があら われることがあるので,注入時に十分注 意すること. (4)1)臨床試験において,本剤の病巣鑑別(心 (4)撮影時 : 的診断)における有効性をダイナミック 1)本剤をボーラス投与後にダイナミック撮 撮像を行い評価していることから記載し 像(動脈相,門脈相,平衡相)を行うこ た. とにより,造影パターンによる質的診断 の情報が得られる. 2)第Ⅱ相試験の結果,20 分後に行った撮 2)肝細胞造影相は,本剤投与 20 分後から 像における信号増強効果(S/N 比)は,そ 撮影可能で,信号増強効果は少なくとも の後に行った撮像と比べて有意な差が見 2 時間持続する. られなかった.また,ドイツでの第 I 相 試験で肝の MRI 撮像を経時的に行った結 (5)開封後 :1 回の検査にのみ使用すること. 果,25μmol/kg 投与後少なくとも 2 時間 肝信号の増強効果は持続したため記載し た. 8.その他の注意 外国で,重篤な腎障害のある患者において, 他のガドリニウム系造影剤使用後に腎性全身 性線維症(Nephrogenic Systemic Fibrosis, NSF)を発現した症例が報告されている. 8.その他の注意 類薬で報告されているため記載した. 72 6 (案) 2007 年 7 月作成(新様式第 1 版) 貯 日本標準商品分類番号 87729 法:室温保存 承認番号 薬価収載 販売開始 国際誕生 使用期限:外箱、容器に使用期限 を表示 MRI 用肝臓造影剤 2004 年 3 月 EOB・プリモビスト®注シリンジ EOB・Primovist® Inj. Syringe (ガドキセト酸ナトリウム注射液) 【禁忌】(次の患者には投与しないこと) 本剤の成分又はガドリニウム系造影剤に対し過敏症の既往歴のある患者 【原則禁忌】(次の患者には投与しないことを原則とするが、特に必要とする場合には慎重に投与す ること) (1)一般状態の極度に悪い患者 (2)気管支喘息の患者 [類薬でショック、アナフィラキシー様症状が報告されている。] 【組成・性状】 販売名 EOB・プリモビスト注シリンジ 内容量(mL) 成分・含量 5 10 1mL 中、ガドキセト酸ナトリウム 181.43mg 含有 添 加 物 1 シリンジ中の成分量(mg) 907.15 1814.30 トロメタモール(mg/mL) 6.055 12.110 5 10 カロキセト酸三ナトリウム(mg/mL) pH 調整剤(2 成分) 適量 色・性状 無色~微黄色澄明の注射液 浸透圧比(生理食塩液に対する比) 約2 pH 6.8~8.0 【効能・効果】 磁気共鳴コンピューター断層撮影における肝腫瘍の造影 【用法・用量】 通常、成人には本剤 0.1mL/kg を静脈内投与する。 73 【使用上の注意】 1.慎重投与(次の患者には慎重に投与すること) (1)アレルギー性鼻炎、発疹、蕁麻疹等を起こしやすいアレルギー体質を有する患者 (2)両親、兄弟に気管支喘息、アレルギー性鼻炎、発疹、蕁麻疹等を起こしやすいアレルギー体質を 有する患者 (3)薬物過敏症の既往歴のある患者 (4)重篤な腎障害のある患者[排泄が遅延するおそれがある。] 2.重要な基本的注意 (1)本剤の投与にあたっては、気管支喘息等のアレルギー体質等について十分な問診を行うこと。 (2)ショック、アナフィラキシー様症状等の重篤な副作用が発現するおそれがあるので、本剤の投与 にあたっては、救急処置の準備を行うとともに、投与後も患者の状態を十分に観察すること。 3.副作用 総症例 1,755 例中 76 例(4.33%)に副作用が認められた。主な副作用は、血管拡張(熱感、潮紅)16 件(0.91%)、悪心 12 件(0.68%)、味覚倒錯 9 件(0.51%)、頭痛 8 件(0.46%)等であった。(申請 時:国内及び海外臨床試験の合計) (1)重大な副作用 アナフィラキシー様症状 アナフィラキシー様症状があらわれることがあるので、投与後も観察を十分に行い、異常が認めら れた場合には適切な処置を行うこと。 (2)重大な副作用(類薬) ショック ショックを起こすことがあるので、投与後も観察を十分に行い、異常が認められた場合には適切な 処置を行うこと。 (3)その他の副作用 下記の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、必要に応じ適切な処置を行うこと。 頻 度 種 類 過 敏 0.1~1.0%未満 症 発疹、そう痒 精 神 神 経 系 頭痛、めまい 循 環 器 血圧上昇 呼 吸 器 呼吸困難 消 化 器 悪心、嘔吐、下痢 そ の 他 血管拡張(熱感、潮紅)、味覚倒錯、異常感覚、嗅覚錯誤、投与部位疼痛 4.高齢者への投与 一般に高齢者では生理機能が低下しているので、患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与する こと。 5.妊婦、産婦、授乳婦等への投与 (1)妊娠中の投与に関する安全性は確立していないので、妊婦又は妊娠している可能性のある女性に は、診断上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること。[使用経験がない。] (2)本剤投与後 24 時間は授乳を避けさせること。[動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報 告されている。] 74 6.小児等への投与 低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していない。[使用経験がない。] 7.適用上の注意 (1)投与経路: 本剤は静脈内投与にのみ使用すること。 (2)投与前 : 1) 動物実験でリファンピシン類の投与により本剤の肝細胞への取り込みが阻害され、肝実質の信号 増強効果が低下することが示されている。 2) 血清フェリチン値が顕著に高い患者では、本剤による肝実質の信号増強効果が減弱する可能性が ある。[肝臓のフェリチンが磁化率効果を示す。] 3) 血清ビリルビン値が 3mg/dL を超える患者において、本剤投与後の肝実質の信号増強効果が減弱 したとの報告がある(薬物動態の項参照)。 このような患者で信号増強効果の減弱がみられた場合であっても、追加投与はしないこと。[本 剤は有機アニオン輸送担体により肝細胞に取り込まれるため、ビリルビンと競合すると考えられ る。] (3)投与時 : 1) 静脈内投与により血管痛、静脈炎があらわれることがある。 2) 誤って血管外に造影剤を漏出させた場合には、発赤、腫脹、水疱、疼痛等があらわれることがあ るので、注入時に十分注意すること。 (4)撮影時 : 1) 本剤をボーラス投与後にダイナミック撮像(動脈相、門脈相、平衡相)を行うことにより、造影 パターンによる質的診断の情報が得られる。 2) 肝細胞造影相は、本剤投与 20 分後から撮影可能で、信号増強効果は少なくとも 2 時間持続する。 (5)開封後 :1 回の検査にのみ使用すること。 8.その他の注意 外国で、重篤な腎障害のある患者において、他のガドリニウム系造影剤使用後に腎性全身性線維症 (Nephrogenic Systemic Fibrosis、NSF)を発現した症例が報告されている。 【薬物動態】 1.血中濃度 健康成人男子(6 名)に本剤 0.1mL/kg を静脈内投与したとき、ガドリニウム(Gd)は二相性で血 中から消失した。1)(血漿中半減期:α相 0.11 時間、β相 1.3 時間) 血漿中濃度(μmol/L) 500 平均値±標準編差 400 (n=6) 300 200 100 0 0 2 4 投与後時間(時間) 75 6 8 程度の異なる腎障害患者に本剤 0.1mL/kg を静脈内投与したとき、血液透析を必要とする重篤な腎 障害のある患者では、健康成人に比べてAUC0-∞が 6 倍に上昇し、血漿中半減期が著明に延長した。2) (外国データ) ■ 腎機能低下症例における本剤の AUC0-∞及び血漿中半減期 2) AUC0-∞ μmol・h/mL 血漿中半減期 時間 正常 a) 160(20.4) 1.8(0.2) 中等度(クレアチニンクリアランス:30 ~50mL/分)a) 237(69.0) 2.2(1.0) 重篤 b) 903(275) 20 (6.9) 腎障害の程度 a) 6 例、b)4 例の平均値(標準偏差) 2.排泄 健康成人男子(6 名)に本剤 0.1mL/kg を静脈内投与したとき、投与後 4 日目までに投与した Gd の 約 57%が尿中に、39%が糞中に排泄された。1) 肝障害患者における排泄 程度の異なる肝障害患者各 6 例に本剤 0.1mL/kg を静脈内投与したとき、軽度及び中等度肝障害 (Child-Pugh 分類 A 及び B)患者では、糞中への排泄率は 21%と健康成人の 31%と比べて低かった が、有意な肝実質の信号増強効果の減弱はみられなかった。重度肝障害(Child-Pugh 分類 C)患者で は糞中への排泄率は 6%まで低下した。血清ビリルビン値が 3mg/dL を超えた患者では糞中排泄率は 0.5%未満に低下し、肝実質の信号増強効果の減弱が認められた 2)(外国データ)。 【臨床成績】 造影 CT を対照(群内比較)とした国内臨床試験において、悪性肝腫瘍又はその疑いの患者 151 例に おける本剤投与前後の MRI での病巣検出能及び病巣鑑別能の結果は以下のとおりであった。 病巣検出能 肝切除部の病理診断と残存肝の術中超音波の組み合せ、又は CTA、CTAP 及び追跡 MRI 検査を組み合せ た全肝の結果を標準参照(Standard of Reference:SOR)として、病巣検出の感度を算出した。 病巣検出における感度(一致病巣数*/総病巣数**) 本剤投与前後 MRI 造影 CT 読影医1 66.2%(227/343) 60.6%(208/343) 読影医2 67.1%(233/347) 63.1%(219/347) 読影医3 69.1%(235/340) 57.6%(196/340) 67.5% 60.5% 読影医平均 *:SOR と一致した部位で検出された病巣数 **:病巣検出の SOR の総病巣数 病巣鑑別能(質的診断能) 病巣鑑別の SOR とした、病理診断あるいは CTA 及び CTAP を組み合わせた結果(肝細胞癌)、病理診 断(その他の肝悪性腫瘍)、病理診断又は画像診断法の結果(良性腫瘍)をもとに、病巣鑑別(病変タ イプ)が SOR と一致した比率を算出した。SOR の総病巣の内訳は、読影医により、肝細胞癌 85~86%、 転移性肝癌 6%、肝のう胞 3%、腺腫様過形成 3%他であった。 76 病巣鑑別(病変タイプ)が SOR と一致した比率 (一致病巣数/総病巣数*) 本剤投与前後 MRI 造影 CT 読影医1 50.6%(159/314) 49.0%(154/314) 読影医2 59.7%(190/318) 57.2%(182/318) 読影医3 60.1%(187/311) 52.7%(164/311) 56.8% 53.0% 読影医平均 *:鑑別の SOR の総病巣数 【薬効薬理】 本剤中のガドリニウムイオン(Gd3+)は常磁性を示すため、磁気共鳴現象において水素原子核(プロ トン)の緩和を促進し、緩和時間を短縮する。このため特に T1 強調 MR 画像上でコントラストが増強す る。3、4) 本剤は血管及び細胞間隙に分布するだけでなく、エトキシベンジル基があるため肝細胞にも取りこま れる。このため、肝細胞機能を消失あるいは保有していない病巣は造影されず、肝実質と病巣とのコン トラストが増強する。5) 【有効成分に関する理化学的知見】 構造式: 一般名:ガドキセト酸ナトリウム(Gadoxetate Sodium) 化学名:Disodium N-{(2S)-2-[bis(carboxymethyl)amino]-3-(4-ethoxyphenyl)propyl}-N{2-[bis(carboxymethyl)amino]ethyl}glycinato(5-)gadolinate(2-) 分子式:C23H28GdN3Na2O11 分子量:725.71 性 状:本品は白色の粉末である。 溶解性:本品は水に溶けやすく、エタノール(95)にやや溶けやすい。 【包 装】 注射剤 シリンジ 5 mL×1、5 mL×5、10 mL×1、10 mL×5 【主要文献】 1)筒井弘一ほか、バイエル薬品社内資料(1999) 2)Grandy R ほか、バイエル薬品社内資料(2002) 3)倉内万佐代ほか、画像診断、8(4):450 (1988) 4)Brasch、R.C.、Radiology 147:781 (1983) 5)Van Beers B.E.、J Magn Reson Imaging. 4(3):351 (1994) 77 【文献請求先】 バイエル薬品株式会社・学術情報 〒532-8577 大阪市淀川区宮原三丁目 5 番 36 号 製造販売元(輸入) バイエル薬品株式会社 大阪市淀川区宮原三丁目5 番 36 号 78 1.9 一般的名称に係る文書 Nihon Schering K.K. 1.9 一般的名称に係る文書 79 1.9 一般的名称に係る文書 Page 1 of 1 Nihon Schering K.K. 1.9 1.9.1 一般的名称に係る文書 JAN 平成 16 年 9 月 24 日及び平成 16 年 12 月 20 日に開催された医薬品名称専門協議において,以下の とおり決定され,平成 17 年 6 月 23 日付 薬食審査発第 0623001 号により通知された. JAN : (日本名) ガドキセト酸ナトリウム (英 名) Gadoxetate Sodium 化学名 : (日本名) N-{(2S)-2-[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-3-(4-エトキシ フェニル)プロピル}-N-{2-[ビス(カルボキシメチル)アミノ]エ チル}グリシナト(5-)ガドリニウム酸(2-) 二ナトリウム塩 (英 文) Disodium N-{(2S)-2-[bis(carboxymethyl)amino]-3-(4ethoxyphenyl)propyl}-N-{2-[bis(carboxymethyl)amino]ethyl} glycinato(5-)gadolinate(2-) なお,「Gadoxetate Sodium」は,既に国際的名称(INN)に「gadoxetic acid」として登 録されている. 80 1.10 毒薬劇薬等の指定審査資料のまとめ Nihon Schering K.K. 1.10 毒薬・劇薬等の指定審査資料のまとめ 81 毒薬・劇薬等の指定審査資料のまとめ N-{(2S)-2-[ビス(カルボキシメチル)アミノ]-3-(4-エトキシフェニル)プロピ 化 学 名 ・ 別 名 ル}-N-{2-[ビス(カルボキシメチル)アミノ]エチル}グリシナト(5-)ガドリニ ウム酸(2-) 二ナトリウム塩(別名ガドキセト酸ナトリウム)及びその製剤 構 造 式 効 能・効 果 磁気共鳴コンピューター断層撮影における肝腫瘍の造影 用 法・用 量 通常,成人には本剤 0.1mL/kg を静脈内投与する. 劇 薬 等 の 指 定 原体:指定医薬品 製剤:指定医薬品,処方せん医薬品 市 販 名 及 び 有 製剤:EOB・プリモビスト注シリンジ(1mL 中,ガドキセト酸ナトリウム 181.43 mg 含有) 効成分・分量 毒 性 急 性 概略の致死量(g/kg) マウス a) ラット a) イ ヌ 亜急性 a) 静脈内 ♂ 10.9 ♀ 7.3 ♂ 9.1 ♂,♀ >2.2 動 物 種 投与期間 投与経路 ラット 無毒性量 4 静脈内 [投与回数] 0, 145, 1451 435mg/kg 以上で腎 臓の近位尿細管上 皮の空胞化、1451 mg/kg で腎重量の増 加、12 週間の休薬 後、回復 363 726mg/kg で血液学 的パラメータの軽 度な変化(ヘモグロ ビンとヘマトクリ ットの減少、血小板 数の増加)、363mg/ kg 以上で腎臓の近 位尿細管上皮の空 胞化、9 週間の休薬 後、回復 435, 1451 28~31 7 日/週 ラット a) 主な所見 (mg/kg/日) (mg/kg/日) (週) b) 投与量 4 静脈内 0, 73, 363, [投与回数] 726 16~18 5 日/週 82 イ ヌ b) 4 [投与回数] 静脈内 0, 73, 218, 726 73 218mg/kg 以上で摂 餌量、体重増加率 の軽度減少、726 mg/kg で腎臓の近 位尿細管上皮の空 胞化 静脈内 0, 73, 363, 726 363 726mg/kg で 摂 餌 量、体重増加率の 減少 28~31 7 日/週 イ ヌ a) 4 [投与回数] 16~18 5 日/週 a):362.86mg/mL(0.5mmol/mL)を用いた試験 b):181.43mg/mL(0.25mmol/mL)を用いた試験 副 会 作 用 副作用発現率 76/1755=4.3% 臨床検査異常発現率 56/1755=3.2% 副作用の種類 件数 臨床検査異常値の種類 件数 血管拡張(熱感,潮紅) 16 件 血清鉄上昇 14 件 悪心 12 件 血清鉄低下 9件 味覚倒錯 9件 総ビリルビン上昇 8件 白血球数低下 5件 頭痛 8件 等 (第Ⅰ相臨床試験を除く国内・海外臨床 AST(GOT)上昇 5件 試験成績を合計) ALT(GPT)上昇 5件 等 (第Ⅰ相臨床試験を除く国内・海外臨床 試験成績を合計) 社 日本シエーリング株式会社(現 バイエル薬品株式会社) 製剤:輸入 83
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