『異装の考現学』 - 日本生活学会

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2010.2.26 発行
段の暮らし=ケの異装をも発掘しようとする。普段
の装いの周辺で生起する「変わっている」という感
情や「違和感」は、それとは知らずに排除や拒否の
大会実行委員長 横川公子
感情を醸し出し、われわれの一般的な装いを表明す
日本生活学会第 37 回大会(2010
(2010 年度)総会・研
ることになる。現代日本の装いはすばやい流行の変
究発表大会は、平成 22 年 5 月 8 日(土)、9 日(日)に
化に従い、
「社会的身体」として成長するに足ること
武庫川女子大学中央キャンパスにおいて開催します。 がないように見える。が、異装の感情を紡ぎだす共
今大会では、理事会からの要請もあって、前回の
通の親密さというものを、キモノのような伝統的衣
食生活に次いで衣生活に関するテーマに注目したい
文化とは別に形成しているのではないか。装うこと
ということで、公開シンポジウム『異装の考現学』
を通して醸し出される違和感は、美的にも規範的に
を立ち上げました。暮らしの中の異装というのは、
も、さらにモノ的にも、如何なる折り合いをつけて
「何か変だな」
「変わっている」と気になる装いのこ
いるのか。
とをさしています。こうした気になる装いをめぐっ
このような視点と意気込みで、下記のような内容
て、日常的な目線から生活文化を炙り出したいと思
を盛り込みました。
「異装の考現学」は、卑近なとこ
います。
ろで起こっていることに注目するが故に、突出した
学術的な調査でなくとも、旅に出て異文化の中に
ものを対象とする流行論からはすり抜けてしまうよ
身をおくと、自文化の中では、日ごろ当たり前のよ
うな、新たなファッション論を模索する可能性をも
うに思い込んでいた暮らしぶりが、実は多用な生活
秘めていると考えたいのです。
文化の様相を呈していることを改めて知らされるこ
また今大会には相対的に若い世代の研究発表が
とがある。異装は、文字通り普段とは異なる「変わ
集まりました。フレッシュな視点で生活学を問う場
っている」
という印象を与える装いのことを指すが、 になることを期待しています。
自文化のなかでは、普段とは異なる特別に目に付く
会場や宿泊の案内は別に載せています。多くの方
装いをさすことが多い。これは意図的なハレの異装
の参加をお待ちしています。
といってもよい。それに対して異装の考現学は、普
『異装の考現学』
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告知板
:
・
・
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第 回 総会・
シンポジウム・
研究発表大会
大会実行委員長 横川 公子
副実行委員長 井上 雅人
会計 水野 優子
庶務 企画 森田雅子 村瀬敬子 森ゆかり
8558
会期 2010年5月8日(
土)
~9日(
日)
会場 武庫川女子大学 中央キャンパス
TEL 0798 45 9865
1
663
兵庫県西宮市池開町6
10
〒
『
生活学論叢』
投稿論文募集
締切:2010年4月末日(
必着)
締切:2010年 月末日(
必着)
投稿原稿は3部提出
(
うち2部コピー 執筆者名と所属名
を消すこと)
審査通信費:一万円を投稿時に同封
投稿規程・
執筆要項
『
生活学論叢』
を参照
フォーマットは学会 に掲載
抜刷代は実費、掲載料は一万円
vol.
HP 16
vol. vol.
18 17
・
第 37 回大会
第 37 回総会・研究発表大会
委員会報告
会期・会場 告知板参照
●プログラム予定
5月8日(土)
13:00-14:00 総会 MM 館1階メディアホール
14:15-14:30 会長挨拶
14:30-16:30 公開シンポジウム 『異装の考現学』
MM 館1階メディアホール
基調講演 武田佐知子 (大阪大学)
「異装の考古学から考現学へ(仮)」
話題提供
井上 雅人(武庫川女子大学)
<総務委員会報告>
▼理事選挙について
5/9 の第36回日本生活学会総会において改正され
た選挙規約に基づき、7/11 第 2 回理事会、9/26 第 3
回理事会の決定を受けて、
選挙管理委員
(宮坂卓也、
佐藤宏亮、青木いづみ)
、担当理事(高増雅子)のも
とで、2010・2011 年度理事選挙が行われています。
1/20 に投票が締め切られ、1/25 に開票され、2/20
の第 4 回理事会で新理事が決定しました。
会員の皆様には、選挙にご協力いただき、ありが
とうございました。
「今和次郎の服装研究 着るを視るまなざし」
▼早稲田大学エクステンションセンター・オープンカレ
「コスプレを街へ 六甲アイランドを発端にして」
ッジにて『「生活学」原点から未来へ』を開講
難波 功士(関西学院大学)
「生活学」の提唱者である今和次郎ゆかりの早稲
「関西の若者文化と異装 「関西らしさ」の系譜と現在」
田大学を会場に、2010 年 1 月・2 月にわたって、市
東 園子(大阪大学大学院生)
民向けの連続公開講座(全 16 講)を開催しました。
「男役/娘役らしさを装う タカラジェンヌの私服の演出」
どれもが
「生活」
をキーワードに現代社会を批評し、
16:30-17:30 パネルディスカッション(司会 横川公子)
より良い生活と社会を構築して行くためのアプロー
18:00-20:00 懇親会 クリステリア 4 階
チを多角的に示すものとして、受講生の評判をとて
5月9日(日)
も高いものでした。
10:00-12:00 研究発表 MM館5 階506・507 教室、7 階
以下に、講義概要をお伝えします。
701・723 教室
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
12:30-14:00 ポスターセッション MM館 1 階ロビー
その 1 < 食と家族(午前の講座)>
14:00-16:00 研究発表 MM館5 階506・507 教室、7 階
【1】1/9 児童自立支援施設と食
701・723 教室
阿部祥子 佛教大学教授
●会 場:武庫川女子大学 中央キャンパス
児童自立支援施設の概要を踏まえ、北海道家庭学
〒663-8558 兵庫県西宮市池開町 6-46
校での子どもと職員、職員家族のこれまでについて
TEL:0798-45-9865
ハードとソフトを重ねて詳述し、その核に食がある
ことをみる。
●交通機関
【2】1/16 いまどき都会の孤食・共食─食生態学から─
〒663-8558 兵庫県西宮市池開町 6-46
阪神電鉄「鳴尾」から徒歩約 7 分、
「武庫川」から徒
足立己幸 名古屋学芸大学大学院教授
歩約 10 分、あるいは、JR「甲子園口」から阪神バス
生活と食環境のかかわりで“人間の食”のあり方
約 13 分武庫川女子大前下車
やその実践方法を研究する食生態学の立場から、孤
食・共食と食育について考える
●大会参加費
【3】1/23 都市空間としてのカフェ
会員 3,000 円
非会員 4,000 円
宮内 正 女子栄養大学教授
シンポジウムのみ参加の非会員は無料
*9日のお弁当: 1,000 円
気軽で自由だが、何となく落ち着かない(いやむ
しろ騒々しい)
。この違和感の原因は何か。一見、輸
●懇親会費:一般 5,000 円、学生 1,000 円
*お振込みの代金は欠席の場合も返金いたしません。 入文化のように見えるが、じつは、意外に多面的・
*大会申し込みに関するお問い合わせ
多元的なカフェという空間について考える。
663-8558 兵庫県西宮市池開町6-46 武庫川女子大学
【4】1/30 歴史人口学から見た家族
生活環境学部生活環境学科都市デザイン第 2 研究室
─子育てと介護をどう支えるか─
水野 優子 TEL&Fax.0798-45-9865
鬼頭 宏 上智大学教授
E-mail:[email protected]
日本の超少子化が、近代化に伴う家族の変質、す
☆宿泊される場合は、各自で手配してください。
なわち核家族化がすすんでいるにもかかわらず、夫
婦で子育てをするうえで社会が必要な支援制度を準
百々 徹(神戸ファッション美術館)
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備できていないことを指摘し、一連の生活システム
の新しい伝統を構築する時代に直面していることを
訴える。
【5】2/6 家族のライフステージと食
小林多寿子 日本女子大学教授
戦後、平均寿命の伸びや晩婚化、核家族化の進展
で家族のありようは大きく変わった。家族の変化は
私たちの食にどのような影響をあたえてきたのか。
「おひとりさまの食卓」を例としてみながら、現代
家族のライフステージと食の関係を考える。
【6】2/13 あらゆる世代を活かして生きる
─アフリカ社会から学ぶ─
和崎春日 中部大学教授
アフリカの世代や性別を基礎とした人間関係や
社会関係が、いかに弱者になりがちな老や幼少を包
摂・統合しながら、
社会を創り上げているか、
を学び、
21 世紀日本社会の指針の一つとする。
【7】2/20 家庭の生成と変容をめぐって
─家族・庭・和楽団欒─
水島かな江 奈良教育大学特任教授
ガーデニングは、以前は家庭園芸と呼ばれた生活
の中で園芸や庭造りを楽しむことである。家族と庭
の関係を追いながら、家庭の変容過程を 紹介する。
歴史的流れを背景にして、これからの家庭と庭や園
芸について一緒に考える。
【8】2/27 東京の食文化
高増雅子 日本女子大学准教授
明治、大正、昭和と時代の移り変わりの中で、巨
大都市・東京人は何を食べ、どう暮らしていたか。
農文協「日本の食生活全集聞き書」及び当時の写真
や資料を基に、東京の下町と山の手、都市部と農村
部の食文化について比較する。
関係”の技とこころを学ぶ。
【3】1/23 同潤会に学べ
内田青蔵 神奈川大学教授
大正期の住宅界の動向を紹介しつつ、関東大震災
による東京・横浜の住宅不足を解消するため海外か
ら寄せられた義捐金をもとに創設された同潤会の果
たした役割を振り返る。
【4】1/30 都市社会と「農」
進士五十八 早稲田大学客員教授 東京農業大学教授
「農」の多面的機能を活用し、都市に自然性と人
間性を回復する。
「農」とは、産業であるが、環 境、
空間、景観、人材、文化でもある。農業、農地、農
村、農民、農家にはそれぞれ深い意味がある。人工
巨大都市が失った価値と意味を「農」に学ぶ。
【5】2/6 宇宙観・世界観がつくる住まいと集落
─アジア少数民族の原風景─
上田博之 大阪市立大学大学院准教授
現代社会の問題(子どもの孤食や非行の問題、高
齢者の介護問題など)に住宅が大きく関わっている
と言われている。生活風景の中で終の棲家となる住
宅は、どのようにつくられるべきなのか。その解き
方・考え方 をアジアの少数民族の住宅から見いだす。
【6】2/13 街が宇宙と結んで人びとを救済する
─都市の祭り・大文字の知恵─
和崎春日 中部大学教授
乾いた都市空間 に、どんな意味を載せて潤いあ
る社会生活を創りだしうるかを、日本の代表的な都
市祭礼「京都大文字五山送り火」から考える。大文
字の都市の祭りの実際をひとつずつ見ていくと、そ
こに深い工夫がしかけられていることがわかる。都
市が宇宙と交信する日本都市の智の力を探る。
【7】2/20 棚田の謎 ─何度も不況を乗り越えてきた
伝統的な暮しの景観構造─
真島俊一 TEM 研究所所長
島国であり山国であり田に適する平地は少ない
日本の代表的な耕作地である棚田の景観を取り上げ、
その伝統的な特長を解剖する。時代ごとに導入した
技術を捨てず、現在も活用している事に注目し、時
代ごとの問題を反映しつつ、現代にたどり着いた棚
田について考える。
【8】2/27 生活財から住生活を考える─シニア世代の
問題点─
真島麗子 TEM 研究所研究員 学習院女子大学講師
道具は、広い意味で、私達の五体(頭・首・胸・手・
足)や五感(視・聴・臭・味・触)の動きを補助する物
として作られ、使われてきた造形物の総称である。
住まいの中に溢れる生活財の現状に着目し、生活財
を抜きにしては語れない住生活の様々な問題点につ
いて考える。
その 2 <住まいと景観(午後の講座)>
【1】1/9 景観とまちづくり
─市民自治を表現する生活景─
後藤春彦 早稲田大学教授
「景観」とはいったい何か? 私たちはどのよう
に景観を眺めているのか? 私たちをとりまく、視
覚的な環境としての「景観」について考える。
「景観」は時代を映す鏡のような存在でもあり、
景観から現代社会を解読するとともに、新しい「景
観」
の姿から将来の社会像も読み取ることができる。
【2】1/16 美しい景観の原点・日本庭園の技と心
進士五十八 早稲田大学客員教授 東京農業大学教授
「庭園」の形、創り方には、美しい景観、
「用と
景」
の調和した環境づくりの原則が すべて網羅され
ている。日本庭園の特徴である「縮景」
「借景」
「樹
芸」
「然(さ)び」の具体例で、人間と自然の“いい
3
なお、この公開講座に日本生活学会から派遣され
る講師は無報酬とし、早稲田大学エクステンション
センターより支給される謝金は日本生活学会の運営
資金に充当させていただきました。
進士会長はじめ、
講師をおつとめいただいた会員のみなさんに感謝申
し上げます。
(総務委員長・後藤春彦 記)
<『生活学論叢』編集委員会>
現在、第 16 号の編集を行っています。今回は、
投稿論文数が少なく、薄い冊子となってしまいまし
た。どうぞ、会員の皆様、沢山の論文をお待ちして
います。なお、論文は、研究ノートと研究論文があ
ります。大学院生の場合は、研究ノートとして現在
行っている研究の中間報告的なものでも可能です。
また、論文以外に生活学に係る史料の紹介、新書の
紹介も受け付けたいと思いますし、また、制作にか
かわっている方は、ご自分の手掛けた作品の紹介な
どを書いていただいても結構です。審査委員会で議
論しますが、委員会の承諾が得られれば、そうした
記事(本文 4 ページ程度)や書評(本文1・2 ペー
ジ程度)なども随時受け付けたいと思っています。
奮って、投稿してください。
●『生活学論叢』の投稿規程の一部変更
『生活学論叢』
の投稿規程の一部を変更することに
なりました。これまでの投稿論文の規定では投稿者
は 2 名までしか認められておりませんでしたが、次
号以降連名者の人数制限が無くなります。ただし、
連名者はすべて学会員であることが必要です。
(編集委員会委員長・内田青蔵 記)
事務局よりお知らせ
●学会記録
*2009 年度理事会
第 3 回&第 2 回生活学カフェ 2009.9.26 早稲田大学
第4回&第 3 回生活学カフェ 2010.2.20 早稲田大学
*『生活学論叢』編集委員会
VOL.15 第 3 回 2009.9.17 早稲田大学
VOL.16 第1回 2009.11.6、第 2 回 2009.12.11、第 3
回 2010.1.15 早稲田大学
*選挙管理委員会
2009.10.30、2010.1.25 早稲田大学
●会員異動 (2009 年8 月~2010 年2 月)
<入会者>
山村高淑(北海道大学)
、脇田道子(慶応義塾大学大学
院)
、浅野史代(名古屋大学大学院)
、垣原登志子(愛
媛大学)
、下本英津子(名古屋大学大学院)
、荒井三津
子(北海道文教大学)
、赤松弘揮(TCC 学際研究所ボラン
ティア団体ユー・アイ・アソシエーション)
、徳山孝子
(神戸松蔭女子学院大学)
、長岡 慶(早稲田大学学生)
、
守屋亜記子(川崎医療福祉大学)
<退会者>
古賀繭子、安場規子、山口安子、大久保洋子、林空志、
石井幹太、渡邉喜代美、鈴木弘子、石田路子、村上紀
子、小橋川さつき、安楽玲子、木村修一
●献本御礼
・仙台市教育委員会
仙台市文化財調査報告書第 351 集、第 352 集
・石毛直道著 『飲食文化論文集』 清水弘文堂書房
・国立民族学博物館 2009 要覧
・上原敬二著 『人のつくった森』東京農大出版会
(進士五十八氏より)
・『オランダの社会住宅』アンドレ オウヴェハンド・
ヘルスケ ファン ダーレン共著 角橋徹也訳
ドメス出版(ドメス出版より)
・日本住宅会議編
『格差社会の居住貧困』
住宅白書 2009
-2010 ドメス出版(ドメス出版より)
・岩田三代編『伝統食の未来』
(食の文化フォーラム 27)
ドメス出版(ドメス出版より)
・住宅総合研究財団住教育委員会編『屋根のない学校』
萌文社
・美濃加茂ふるさとファイル№14 『ていねいな暮ら
しのあったころ』
・山村高淑、張天新、藤木庸介編著 『世界遺産と地
域振興』世界思想社
・西村大志編著『夜食の文化誌』青弓社
・
(有)編集座『住む』no.31、no.32
・日本民俗学会『日本民俗学』257、258
・博報堂 「広告」Vol.380
・住宅総合研究財団『すまいろん』92 号、93 号
・日本計量史学会『計量史研究』Vol.31no.2
・日本民具学会 『民具研究』第 140 号
●その他
2009 年 7 月よりメールアドレスが変更になりました。
[email protected]です。お間違えのないよ
うお願いいたします。
学会費未納の方は納入をお願いいたします。
また、メールアドレス登録をしていない方はアドレス
登録をお願いいたします。
日本生活学会 NEWS 第 26 巻第 2 号 (通巻 77 号)
2010 年 2 月 26 日発行
編集発行人 日本生活学会
編集責任者 宮内 正
発行所
TEL/FAX
E-mail
Webpage
振替
4
〒169-8555 東京都新宿区大久保 3-4-1
早稲田大学西早稲田キャンパス
55 号館S棟 402A
03-3208-3494
[email protected]
http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsl/
00140-7―43597