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木原記念こども科学賞
第20回 作品集
2012年
主催:財団法人木原記念横浜生命科学振興財団
後援:神奈川県教育委員会・横浜市教育委員会
川崎市教育委員会・横浜市立大学木原生物学研究所
目
次
はしがき
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
受賞者一覧・
「作品を読んで」
小学校低学年の部
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
2
小学校高学年の部
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
中学校の部
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
4
6
優秀賞要約
小学校低学年の部
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8
小学校高学年の部
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 9
中学校の部
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10
最優秀賞
やさいでつくるみどりのカーテン
横浜市立榎が丘小学校
2年 吉田
夕里子
・・・・・・・・・ 11
もぐらじゃないよオケラだよ
川崎市立西梶ヶ谷小学校
6年 和田
悠也
木原記念こども科学賞に応募されるみなさんへ
・・・・・・・・・ 25
・・・・・・・・・・・・ 33
第21回(2013年)
『木原記念こども科学賞』作品募集のお知らせ・・ 34
第20回木原記念こども科学賞の選考結果
・・・・・・・・・・・・・・ 35
第20回木原記念こども科学賞応募校一覧
・・・・・・・・・・・・・・ 36
表紙の絵
「もぐらじゃないよオケラだよ」(川崎市立西梶ヶ谷小学校6年
和田
悠也)
はしがき
「木原記念こども科学賞」第20回という節目の年に財団常務理事となり、初めて
選考委員長という大役を務めさせて頂きました。ご応募頂いた全ての作品を読ませて
頂きましたが、全作品に共通して「楽しい作品である」と感じました。
斬新な着眼点、地道な観察、そしてさまざまな手法で行われた実験等、生徒さんの
持つ好奇心と探求心が作品に満ち溢れ、彼らの可能性が無限であることに改めて気づ
かされました。
ふとした疑問を自由研究に発展させる機会が少なくなっている中で、彼らの好奇
心・探究心が作品という形になるまでには、保護者の方や先生方等、周りの大人の協
力や導きが不可欠であったろうと思います。「木原記念こども科学賞」が、自然や生
き物に対する生徒さんの不思議体験を育み、科学力を伸ばしていくためのきっかけと
して少しでもお役に立てれば、こんなにうれしいことはありません。
最後になりましたが、選考委員の方々には、選考にあたり作品熟読の上で熱心に討
議していただき、誠にありがとうございました。また、作品をお寄せいただいた学校
の皆様方やご後援を頂いた関係団体の皆様方に、この場をお借りして深く感謝申し上
げます。
2012年12月
選考委員会委員長
財団法人木原記念横浜生命科学振興財団
常務理事
木原
小田 祥二
均博士について
木原 均博士(1893~1986)は、東京に生まれ、麻布学園を経て北海道大学を卒業、京都大学
教授、国立遺伝学研究所長などを歴任されました。この間、コムギのふるさとを求めて学術探索
に出かけ、パンコムギの祖先を発見したり、タネナシスイカを作るなど、植物遺伝学の分野で多
くの業績を挙げられました。特にコムギの遺伝学では、「コムギ博士」として国際的に高く評価
され、1948 年には文化勲章を受章。また、日本のスキー界の草分けでもあり、冬季オリンピック
の選手団長を2度つとめるなど、
「スポーツ博士」として活躍されました。1955 年、博士は(財)
木原生物学研究所を京都から横浜(南区六ッ川)へ移し、亡くなるまで研究活動を続けられまし
た。旧研究所跡は、現在、
「横浜こども植物園」となって市民に親しまれています。晩年は、日
常生活の中のふとした疑問を確かめたり、観察する「小さい実験」を楽しまれました。
1
受賞者一覧
小学校低学年の部
応募総数
73作品
最優秀賞(1作品)
題
名
名
前
学
校
学
年
やさいでつくる
みどりのカーテン
吉田
夕里子
横浜市立榎が丘小学校
2年
優秀賞(2作品)
題
名
名
前
学
校
学
年
はじめての
タガメ飼育記ろく
小林
裕太
捜真小学校
3年
セミの研究
髙橋
和希
小田原市立足柄小学校
3年
努力賞(4作品)
題
名
ドジョウのエドジョウ
どこにいく
名
前
学
校
学
年
石井
大輝
藤沢市立新林小学校
2年
研究
木村
真彩
相模原市立大野小学校
2年
虫の足の形
青木
茉侑
聖ヨゼフ学園小学校
3年
花の分かい
岩原
妃里
聖ヨゼフ学園小学校
3年
セミの羽化の観察と
イラスト:「さがみがわのさかなたち」
(相模原市立田名小学校1年
宇崎 愛実)より
2
作品を読んで
選考委員
近藤 幸信
(横浜市立文庫小学校)
今年も多くの作品と出会うことができて、私たちも大変楽しく審査をしました。ど
の作品も子どもらしい、発想や着眼点があり、見ていて「わくわく」し、また、ほほ
えましくもありました。作品を出した子どもたちみんなが科学の心をもっていること
をうれしく思います。
その中で優秀作品を選ぶにあたって、わたしたちはかなり悩みました。どれもよい
作品ばかりだからです。そのなかであえて選ぶので、特に注目した点は「調べる方法
と記録のとりかた」がていねいで、その結果を「自分なりに考えて」まとめている作
品ということになりました。
最優秀賞の「やさいでつくるみどりのカーテン」は、昨年度緑のカーテンを研究し
て、今年度は「野菜」でできないかと考えて実際に種を蒔いて育てた観察記録です。
昨年度の研究をさらに発展して研究しているのがすばらしいと思いました。細かに観
察し、種類ごとののび方、害虫や病気などについても調べ、「野菜栽培の手引き」の
ようです。「エコ」に加えて「野菜を収穫する喜び」も味わえたのではと思いました。
優秀賞の二作品は、長期間にわたって継続して観察し、膨大な記録をとった力作で
した。「はじめてのタガメ飼育記ろく」は、卵から幼虫、成虫にいたるまでの細かな
観察記録で、見ているわたしたちも「う~ん」とうなるくらいのすばらしい作品でし
た。
「セミの研究」は、近くの林で300匹近くのセミを採集して調査をしたものです。
アブラセミの体重を測り、オスよりメスが重いということをグラフ化したり、マーキ
ングして林に放し、再び見つけてその様子を記録したりと、大変興味深いものでした。
身近な自然にふれ、じっくり観察していくことで、いままで見えていなかったこ
とを発見していくのだと感じました。これから自然とじっくり向き合ってほしいと思
います。
イラスト:「この夏 2012 ぼくが見つけた虫たち
~アメリカ・日本へん~」
(湯河原町立吉浜小学校3年 橋本 龍之介)より
3
受賞者一覧
小学校高学年の部
応募総数
101作品
最優秀賞(1作品)
題 名
名
前
学
校
学
年
もぐらじゃないよ
オケラだよ
和田
悠也
川崎市立西梶ヶ谷小学校
6年
優秀賞(2作品)
題 名
アメンボ研究所
名
前
学
校
学
年
渡邉
一登
葉山町立上山口小学校
4年
饗場
立輝
横浜市立川上北小学校
5年
ナガサキアゲハの
調査
努力賞(2作品)
題 名
ツバメ
名
和田
前
学
朋子
校
学
年
聖ヨゼフ学園小学校
6年
横浜市立舞岡小学校
6年
ニホンヤモリ・ニホン
アマガエル観察日記
表
政標
イラスト:
「猫について」
(茅ヶ崎市立松浪小学校6年
4
与那覇
友香)より
作品を読んで
選考委員
前島 潤
(横浜市立馬場小学校)
毎年、子どもたちの作品を読むのが楽しみでなりません。子どもならではの発想に
基づいた観察や実験に驚いたり、感心させられたりすることが多いからです。応募さ
れてきた作品は自然事象に関する宝の山のようにも思えます。
今年も、素晴らしい作品たちに出会いました。どの作品も、時間をかけて研究対象
や事象へ熱心に向き合う小さな研究者たちの姿が目に浮かぶものでした。
その中で最優秀賞に輝いた作品「もぐらじゃないよオケラだよ」は、ひと際選考委
員の目を引きました。飼育観察を通してオケラの生態を探究していく内容も素晴らし
いのですが、作者自身も感想で述べているように、誰にでも分かりやすく、楽しく最
後まで読める表現の工夫に力を入れた点が高く評価されました。イラストで説明され
ていく研究の様子にいつの間にか引き込まれていきます。オケラを中心とするスケッ
チの細かい描写にも驚かされました。対象を細かく観察しなければ描けないものだか
らです。改めて観察におけるスケッチの大切さを感じさせてくれました。
優秀賞「アメンボ研究所」は、アメンボのにおいとアメンボが浮かぶ秘密を明らか
にしていく作品です。捕獲したアメンボ一匹一匹のにおいをかいだり、身近なたくさ
んの液体にアメンボを浮かせてみたりと、検証のために観察・実験を繰り返し、デー
タを集めていった点が評価されました。
もう一つの優秀賞「ナガサキアゲハの調査」は、近年、温暖化とともに分布を広げ
ていると言われているナガサキアゲハの生息状況を調査する作品でした。成虫の存在、
幼虫の存在を野外観察に時間を費やして明らかにしていく熱意が素晴らしく、幼虫飼
育の記録も大変詳細で素晴らしいものでした。
子どもたちの自然離れ、理科離れが心配されていますが、科学賞に応募された子ど
もたちの作品を読む限り、そんな心配は吹き飛んでしまいます。この子どもたちによ
って、たくさんの自然の不思議が明らかになっていくことを期待してしまうのです。
イラスト:「セミのぬけがらのひみつ」
(聖ヨゼフ学園小学校4年 今泉 勝太郎)より
5
受賞者一覧
中学校の部
応募総数
22作品
優秀賞(2作品)
題
名
オジギソウ
~お辞儀する仕組み~
名
前
学
大西遵/片野晃輔
髙木爽馬/新倉壮人
古川湧太/山田優樹
ミジンコ研究
エサの違いによる繁殖の
藤牧
舞
校
学
年
横浜市立青葉台中学校
3年
横浜市立舞岡中学校
2年
差と音に対する反応
努力賞(3作品)
題
名
イナダ(ブリ)の解剖
とイカの比較
名
前
学
校
学
年
高橋
文哉
神奈川県立
平塚中等教育学校
石井
友梨
関東学院六浦中学校
1年
今村
直人
関東学院六浦中学校
1年
3年
ホタルの住む環境と
カワニナの生態
ワラジムシの
行動性質について
イラスト:「人間に近いサル
イラスト:「ジャイアントパンダのひみつ」
『チンパンジー』」
(聖ヨゼフ学園小学校6年 阪井 瑠南)より
6
(聖ヨゼフ学園小学校4年 恒川 雛乃)より
作品を読んで
選考委員
青木 理
(横浜市立末吉中学校)
「理科が好きな生徒はこんなに大勢いるんだ」そんなうれしい気持ちで、今年度の作
品を見させていただきました。昨今、小中学生の理科嫌いの話題を多く耳にしますが、
これだけ熱心に実験・観察に取り組んでいる皆さんがいることは本当にすばらしいこと
です。選考は分野ごと、専門的な基準で判断させてもらいました。中学校の部は、残念
ながら特に完成度の高い研究に贈る、最優秀賞はなしとさせていただきましたが、優れ
た研究についての優秀賞を2つ選ばせてもらいました。
「オジギソウ~お辞儀する仕組み~」は、普段あまり動きの見えない植物の中にあっ
て、はっきりとした動きを示し誰もが興味・関心を持つであろうオジギソウに着目した
ところに、題材選択の優れた感性を感じました。疑問、目的、仮説、実験、考察の筋道
がしっかり貫かれており、考えられる範囲で条件を変えて実験し、その結果の考察も的
確でさらに新たな発見も驚きをもって記載されているなど、とても質の高い研究レポー
トに仕上がっています。
「ミジンコ研究~エサの違いによる繁殖の差と音に対する反応~」では、小さな生物
に対する限りない探求心と緻密なデータ収集に研究者としてのすばらしい資質を感じま
した。はじめに文献よりミジンコの生態を詳しく調べ、次に目的、実験、データ収集を
根気よく丁寧に行って結果と考察を導いています。エサや反応の条件に身近なものを用
いている点も中学生らしさを感じ、さらに課題と反省の中で次の研究に対する意欲や目
的が示され、今後の発展が期待される研究レポートになっています。
この2作品以外の研究も、それぞれ「研究の主旨、方法、結果、考察、まとめ」とい
う基本的な流れがしっかり整った実験・観察が行われ、それを記録したレポートもよく
まとまっています。
特に感心した点は、現在の情報化社会の中で、ともすれば簡単に研究結果やデータを
得られるかもしれないテーマに対して、まず自分の手、
・目を使って実験・観察し、自分
なりの考察や発見をしていることです。
「まず、自分でやってみる」これが科学の最初の
一歩ではないでしょうか。自分でやる中で、工夫や方法を考え、失敗や挫折をくり返す
中で新しい発見や感動を得ることができるのだと思います。
現在、活躍している科学者の人たちもみんな、この最初の一歩からスタートしている
ことでしょう。皆さんの今後の科学分野での活躍に期待しています。
イラスト:
「ゲンジボタルの一生」
(聖ヨゼフ学園小学校4年 早瀬 麻位子)より
7
優秀賞要約
卵は7日~10日でふ化し、幼虫に
なる。幼虫は、1令幼中から5令幼虫ま
はじめてのタガメ飼育記ろく
で脱皮して成長し、5令幼虫が羽化して
捜真小学校
成虫になる。
3年 小林 裕太
ふ化して1令幼虫になる数は、80匹
~100匹で、脱皮して成長するごとに
少なくなっていき、羽化して成虫になれ
タガメの飼育を始めたのは、日本を代
たのは、5匹~10匹くらいだった。幼
表する水生こん虫のタガメにとても興味
虫にとっての脱皮はとても大変で、失敗
があり、観察したいと思ったことがきか
すると体が締め付けられて、死んでしま
っけである。
うことがわかった。
飼育する時は、水質をきれいにし、
タガメを飼育してみて、今までのどの
水温は28℃前後がちょうどよい。えさ
生き物よりも難しくて大変だと思った。
には、えさ用の金魚やめだか、オタマジ
幼虫の死亡数を減らすには、水温、えさ
ャクシをあげた。
の選び方、水質、飼うための入れ物など
タガメは、はんしょく期になるとオス
がニオイを出してメスを呼び交尾をする。 の条件に注意が必要であることがわかっ
た。
メスは水面から出た杭に産卵し、オスが
それを守っていた。
ら別に記録をする。これを21日間続け
て、全部で288匹捕まえた。
番号が付いたセミは、21日間で5
1匹見つけて、そのうち6匹は死んでい
た。
成虫の重さについては、ビニール袋に
入れて測った。幼虫の重さを量った結果
から考えると、メスの方が重いと予想し
ていた。結果は成虫もメスの方が重かっ
た。グラフにするとオスは2.1~2.
6gに集中しているが、メスはきれいな
山形だった。
セミの研究をしていると色々なセミの
場面に出会えてうれしい。これからも
色々なことを調べて、セミのことをもっ
ともっと知りたい。
セミの研究
小田原市立足柄小学校
3年 髙橋 和希
1年生の時からセミについて調べてい
て、抜けがら集めや幼虫の重さ調べ、羽
の観察をしていた。今年は、梅林で見つ
けたアブラゼミの成虫の羽に番号を付け
てどこまで飛んでいるのか、どのくらい
生きるのかを調べた。また、捕まえた時
に成虫の重さも量った。
調べ方は、夜セミが寝ている間に捕ま
えて、羽に番号を付ける。別の日に番号
が付いていないセミを捕まえたら番号を
付け、番号が付いているセミを見つけた
8
優秀賞要約
アメンボ研究所
葉山町立上山口小学校
4 年 渡邉 一登
図鑑に「アメンボという名前は、あめのよ
うな甘いにおいを出すことからつけられた」
と書いてある。家の付近にアメンボが多数い
るのを思い出し、本当にあめのにおいがする
のかを詳しく調べようと思った。
調査は、種類、性別、生息地、体のどの部
分からどのようなにおいがするか、水に浮く
のはなぜかを確かめてみた。
結果 ①においは胸部から出す。ミルクテ
ィーと昆布の佃煮の2種類に区別でき、後者
ナガサキアゲハの調査
横浜市立川上北小学校
5年 饗場 立輝
近所で多くの昆虫を見かけ、小さい頃
から捕まえては観察を続けてきた。昨年
の夏に初めてオスのナガサキアゲハを見
つけ、その大きさと横浜に生息している
ことに驚き、調べようと思った。成虫、
4齢幼虫を採集し、飼育と観察を行った。
フサウツギ周辺で別種を含む複数個体
を採集、夕方、4齢の大きい幼虫を見つ
け飼育開始。24時頃終齢への脱皮開始。
ハンドブックの写真とほぼ同じ色合いに
なり観察を継続。終齢になって5日目の
夕方、食欲が無く、翌日飼育箱にくっつ
いたまま動かなくなる。21時過ぎ
9
は本に記載されているカンロ飴のにおいと
同じ。ナミアメンボはカンロ飴(シマアメン
ボはミント)のにおい。 ②匂いを出す時と
出さない時がある。体長10㎜以下の小さな
固体はにおいを出さない。 ③性別(腹部下
部の三角突起があるのがオス)によるにおい
のちがい、生息地の水によるにおいの違いは
ない。 ④水の種類(次の水溶液:洗濯洗剤、
台所洗剤、シャンプー、コーヒー、牛乳…)
によっては溺れる。 ⑤アメンボが水に浮く
のは、足の先に細かな突起があり、油を出し
ているから。
アメンボが棲みやすい環境を守っていく
ことが大切だと思った。また、何匹かのアメ
ンボを死なせてしまったことはかわいそう
なことをしたと思った。
最後の糞をして前踊、踊化開始。体の横
にし、皮が下がり、皮を脱ぐために暴れ、
23時頃蛹になる。踊化から10日後、
黒い線が見え始めやがて消え、翌日全体
が真黒になり、羽化が近づく。残念なが
ら登校、母に写真撮影を頼む。蛹の横に
切れ目、羽化スタート。約5分で羽が完
成。
羽化した個体はオスで、各部を観察後
自然に帰す。蛹の抜け殻の大きさに驚い
た。成体のオス・メス共に観察でき、南
方系と翅の白い部分がやや異なることが
分かった。
ナガサキアゲハは温暖化の指標種で、
ここ数年近所でクマゼミの鳴き声を聞く
こと、平均気温の上昇に伴いアカボシマ
ダラ等と共に生息域が北上しているかも
しれないと思った。
優秀賞要約
応を示した。
力による変化として、指やピンセット
による刺激を行ったが、この場合にも
“お辞儀”反応を示した。ただし、植物
上部でのみ反応し、下部では反応は見ら
れなかった。
光の変化としては、昼間に植物を暗所
に移した場合に“お辞儀”反応を示した。
また、一日を通しての変化を観察してみ
ると昼間は葉を開いており、夜のみ葉を
閉じること、また室内の暗い場所に置い
た場合一日を通して葉を閉じているこ
とが観察された。
このことから、オジギソウは色々な変
化に対して“お辞儀”反応していること
が判った。これはオジギソウが身を守る
ためやエネルギー浪費を防ぐためでは
ないかと考えている。
オジギソウ
~お辞儀する仕組み~
横浜市立青葉台中学校
大西
新倉
3年
遵/片野 晃輔/髙木 爽馬
壮人/古川 湧太/山田 優樹
葉を閉じる“お辞儀”をすることで有
名な“オジギソウ”がどのような時にお
辞儀をするのか興味を持ち調査した。ま
ず、オジギソウがどのような変化に反応
するかを考えると、熱、力、光の 3 つが
あり、また 1 日を通しての変化も観察し
てみることにした。
熱の変化として、熱した金属を近づけ
る事による急激な温度上昇とドライア
イスによる急激な温度低下の場合を見
てみた。どちらの場合にも“お辞儀”反
ミジンコ研究
~エサの違いによる繁殖の差と
音に対する反応~
横浜市立舞岡中学校
藤牧
2年
舞
ミジンコを飼い始めた。メダカの餌を
与えていたが一定数以上には増えない。
そんな時、大学の研究所ではミジンコに
液体クロレラを餌として与え、暗室で一
日中ライトを当て育成しているとの話
を聞いた。そこで本当はどんな餌を与え
ると一番繁殖するのか調べてみようと
思った。また、ミジンコは光が当たる場
所に集まることを観察していたので、音
でも反応を示すかも調べようと思った。
餌としてメダカのエサ、ドライイース
ト、青汁の 3 種類を使い、また光なしの
10
条件(メダカのエサのみ)でも飼育して
みた。培養 8 日目には、光なし条件では
ミジンコが死滅していた。飼育 14 日目ま
でにメダカのエサ、ドライイーストでは
水に濁りがみられ、ミジンコの数も増加
しなくなった。だが一方、青汁では数の
増加が著しく数えることが困難となっ
た。顕微鏡で観察してみると微生物が大
量に発生していた。また音の実験として
ミジンコ飼育器に 30-18000Hz の音を流
したが、変化は観察できなかった。
これら実験から、ミジンコの餌として
は青汁が良い事、音に関しては反応しな
い事が判った。また、ミジンコの繁殖に
は水の濁りの有無が重要である事も判
り、与えた餌だけでなくそれから発生す
る微生物も重要であることが示唆され
た。今後もミジンコの色々な事を調べて
行きたい。
やさいでつくるみどりのカーテン
最優秀賞
横浜市立榎が丘小学校
2 年 吉田 夕里子
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
「もぐらじゃないよオケラだよ」
最優秀賞
川崎市立西梶ヶ谷小学校
6 年 和田 悠也
25
26
27
28
29
30
31
32
木原記念こども科学賞
テーマ
動物や植物の不思議や
生きものとのふれあい
応募されるみなさんへ
1.実験や観察のまとめかた
2.感想文の書き方
■実験や観察を始めたきっかけを書きましょう
・どうして観察や実験をしようと思ったか
■最初に、自分で書こうと思ったことについて考えま
しょう
・調べるときは、参考書、百科事典、図鑑などが役に
立ちます
■実験や観察のしかたを書きましょう
・どのような計画をたてたか
・どんな材料を使ったか
・なにをどのように実験し、観察したか
・どのように調べたか
■記録をとりましょう
・観察したことや実験の結果を記録しましょう
スケッチをするとより正確な観察ができます
また観察したことがほかの人にもよくわかりま
す
・日にち、時刻天気、長さ、大きさ、重さ、早さなど
を正確に記録します。色、手ざわり、音、におい、
味なども記録しておきましょう。
■記録や結果を整理しましょう
・表にまとめてみる
・グラフをつくってみる(折れ線グラフがよいか、棒
グラフがよいかも考える)
■発見したことやわかったことを書きましょう
・観察や実験をしてあなたが発見したことやわかった
ことを書きます。これが全体のまとめになります
■文章を書き始めます
・表題と自分の名前を書きます
・次に、感想文を書こうと思ったきっかけを書きまし
ょう
・続けて、調べたことや自分の考えを順序よく書きま
す
・このとき、調べたことと自分の考えとをはっきり区
別しましょう
・自分の考え(感想)を書いて、しめくくります
■ひととおり書き終わったら、次のことを考えながら
読みなおしましょう
・書きたすことはないか
・削るところはないか
・書く順序はよいか
・字が間違っていないか
・書き表し方はよいか
■表題が内容をよくあらわしているかどうか
・もう一度見直しましょう
■感想文の最後に
・調べた本、辞典、図鑑などを書きます
・指導していただいた方の名前を書きます
■最後に感想を書きましょう
・感想、意見、疑問、これからしてみようと思うこと
などを書きます
・参考にした本、雑誌、図鑑などを最後にかきます
・指導していただいた方の名前も書きましょう
33
木
原
第21回(2013 年)
記 念 こ ど も 科
作品募集のお知らせ
学
賞
“生きものの不思議”
身近な動物や植物の不思議を
観察してみよう・調べてみよう・考えてみよう
コムギの遺伝学で世界的に有名な木原均博士は、道ばたの草から大発見!
博士は、学校へ通う途中で採集したスイバのつぼみを顕微鏡で調べて、高等植物にもオスと
メスを区別する染色体があることを、世界で初めて発見しました。
私たちの身のまわりには、動植物のいのちの不思議がたくさんあります。わかっているよ
うでわからないことが、まだまだたくさん残されています。
動物や植物について、おもしろいな、不思議だな、どうしてかなと思ったことを、さああ
なたも作品にまとめて、
「木原記念こども科学賞」に応募しませんか。
主催:財団法人木原記念横浜生命科学振興財団
後援:未定
【募
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
集
要
項】
課
題:
「動物や植物の不思議なことや生きものとのふれあい」についての観察、
調査、実験。生きものと関係のない課題は受付けません。
対
象:神奈川県内の小・中学生の個人またはグループ
募集締切:9月下旬(予定)
。詳細は募集案内(6月頃学校に送付)をご覧下さい。
応募方法:
① 作品の大きさは A3 判(297mm×420mm)までとします。
② 応募する作品には、観察や調査、実験に至った動機、参考にした図書やインターネ
ット情報など(いわゆる「引用」)を必ず明記して下さい。
③ 作品は、未発表のものに限ります。
④ 作品の表紙として指定の『応募用紙』を必ず付けて、
「作品名・学校名・学年・名前
(フリガナ)
」を記入して下さい。
⑤ 応募用紙を付けた作品のコピー(A4判:210mm×297mm:拡大・縮小可、ただし 1
枚づつコピー)を 1 部添えて下さい。
⑥ 作品は、学校ごとに取りまとめて、指定の『応募用紙一覧表』に記入してお送り下
さい。
選
考:主催者が委嘱する選考委員により選考を行います。
入選発表と表彰式:12月(予定)
素晴らしい作品には、最優秀賞、優秀賞及び努力賞を贈り表彰します。入選者の発表は
学校を通じて行います。
応募作品は、原則としてお返しします。
送付先および問合わせ先:
(財)木原記念横浜生命科学振興財団
〒230-0045 神奈川県横浜市鶴見区末広町 1-6
TEL.045(502)4810 FAX.045(502)9810
E-MAIL.[email protected]
34
第20回(平成24年)木原記念こども科学賞の選考結果
選考部門
最優秀賞
優秀賞
努力賞
計
応募数
小学校1~3年の部
1
2
4
7
73
小学校4~6年の部
1
2
2
5
101
中学校の部
0
2
3
5
22
2
6
9
17
196
最優秀賞
優秀賞
努力賞
計
第1回(平成5年)
4
10
12
26
第2回(平成6年)
9
15
38
62
第3回(平成7年)
2
10
31
121
第4回(平成8年)
3
8
15
122
第5回(平成9年)
3
8
21
161
第6回(平成10年)
3
9
23
192
第7回(平成11年)
3
10
15
160
第8回(平成12年)
3
11
17
215
第9回(平成13年)
3
10
16
193
第10回(平成14年)
3
8
19
300
第11回(平成15年)
3
8
16
260
第12回(平成16年)
2
9
16
213
第13回(平成17年)
2
6
12
288
第14回(平成18年)
3
6
12
236
第15回(平成19年)
3
7
12
266
第16回(平成20年)
2
6
6
239
第17回(平成21年)
3
6
7
224
第18回(平成22年)
2
6
8
253
第19回(平成23年)
2
6
8
211
58
159
304
3,742
(参考 過去の選考結果)
第1回~第19回
計
35
第20回木原記念こども科学賞
応募校一覧
(総数54校 順不同)
ー小学校
横浜市
川崎市
厚木市
小田原市
秦野市
相模原市
41校―
市立榎が丘小学校
市立岡津小学校
市立港南台第一小学校
藤沢市
市立市場小学校
市立川上北小学校
市立すすき野小学校
市立汲沢小学校
市立舞岡小学校
市立中村小学校
市立十日市場小学校
市立釜利谷小学校
市立三保小学校
市立下野谷小学校
平塚市
市立勝田小学校
聖ヨゼフ学園小学校
捜真小学校
市立土橋小学校
市立西梶ヶ谷小学校
市立厚木第二小学校
市立上荻野小学校
市立上依知小学校
市立桜井小学校
横浜市
茅ヶ崎市
南足柄市
葉山町
愛川町
湯河原町
市立新林小学校
市立辻堂小学校
市立松浪小学校
市立大原小学校
市立金目小学校
市立南足柄小学校
町立上山口小学校
町立中津小学校
町立吉浜小学校
―中学校
市立新玉小学校
市立足柄小学校
市立広畑小学校
市立東小学校
市立本町小学校
市立富士見小学校
市立大野小学校
市立田名小学校
市立上鶴間小学校
市立谷口台小学校
36
13校―
相模原市
藤沢市
伊勢原市
平塚市
市立舞岡中学校
市立青葉台中学校
横浜国立大学教育人間科
学部附属鎌倉中学校
関東学院六浦中学校
市立内出中学校
市立片瀬中学校
市立成瀬中学校
市立江陽中学校
茅ヶ崎市
秦野市
湯河原町
箱根町
神奈川県立平塚中等
教育学校
市立梅田中学校
市立渋沢中学校
町立湯河原中学校
函嶺白百合学園中学校
第20回木原記念こども科学賞
選考委員会委員名簿(敬称略)
横浜市立末吉中学校副校長
青木
理
横浜市環境創造局担当係長
安藤
正和
横浜市立西富岡小学校教諭
上山
勝平
公立大学法人横浜市立大学助教
岸井
正浩
横浜市立文庫小学校教諭
近藤
幸信
横浜市立上白根小学校教諭
坂井
敦
洗足学園小学校教諭
古尾谷
浩之
横浜市立馬場小学校教諭
前島
潤
神奈川学園中学校高等学校教諭
吉田
博之
公立大学法人横浜市立大学准教授
一色
正之
木原記念横浜生命科学振興財団常務理事
小田
祥二
イラスト:「ミジンコの増え方」
(葉山町立上山口小学校5年
イラスト:「植物のなかまわけ」
藤原 美穂)より
(葉山町立上山口小学校6年
藤原 弘樹)より
第20回木原記念こども科学賞作品集
発行年月
2012年12月
発行
財団法人木原記念横浜生命科学振興財団
〒230-0045
神奈川県横浜市鶴見区末広町1-6
TEL.045(502)4810 FAX.045(502)981 0
E-Mail:[email protected]