微分積分学続論I レポート問題と略解

微分積分学続論 I (担当:浅岡) レポート問題
5 月 13 日 17 時までに全学共通教育レポート BOX に提出すること.
1. R2 上ベクトル場 X を X(x, y) = (−y + 1, x + 1) で定める.曲線

(t, 0)
(t ∈ [0, 1])
l(t) =
(1, t − 1) (t ∈ [1, 2])
(t ∈ [0, 1])
k(t) = (t, t2 )
∫
∫
2
1
X · dl,
について,線分積分
0
X · dk を求めよ.
0
2. R2 上のベクトル場 X, Y を次のように定めたとき,それぞれについて
スカラーポテンシャルを持つ場合にはそれを一つ求めよ.そうでない場
合は,持たない理由を答えよ.
X(x, y) = (6x5 − 5x4 y 3 + y, 4y 3 + 3x5 y 2 − x)
Y (x, y) = (6x5 − 5x4 y 3 + y, 4y 3 − 3x5 y 2 + x).
3. R2 上のベクトル場 X と実 2 次行列 A に対して,R2 上のベクトル場 Y
を
Y (⃗x) = A · X(A−1⃗x)
で定める.このとき,すべての ⃗x について,
div Y (⃗x) = (div X)(A−1⃗x)
が成り立つことを示せ.
4. RN の凸な開部分集合 U と p⃗ ∈ U , f ∈ C ∞ (U ) に対して,U 上のベク
トル場 X = (X1 , . . . , XN ) を
∫
Xi (⃗x) =
0
1
tN −1 (xi − pi )f ((1 − t)⃗p + t⃗x) dt
(ただし,⃗x = (x1 , . . . , xN ), p⃗ = (p1 , . . . , pN )) で定めたとき,div X = f
となることを示せ.(実は U が凸でないときも,すべての f ∈ C ∞ (U ) に
対して,div X = f となる X ∈ X(U ) は存在する.可能ならば,これも
示せ)
5 月 18 日までに,略解を浅岡の web page
http://www.math.kyoto-u.ac.jp/~asaoka/lectures/
に置いておきます.
微分積分学続論 I (担当:浅岡) レポート問題 略解
(注) あくまで略解なので,細部は自分で埋めること.
∫ 2
∫ 1
∫ 2
1.
X · dl =
(1, t + 1) · (1, 0) dt +
(2 − t, 2) · (0, 1) dt = 3.
0
0
1
∫ 1
∫ 1
∫ 1
7
2
t2 + 2t + 1 dt = .
(−t + 1, t + 1) · (1, 2t) dt =
X · dk =
3
0
0
0
∂X1
∂X2
̸=
なので,X はスカラーポテンシャルを持たない.
∂y
∂x
Y は f (x, y) = x6 + y 4 − x5 y 3 + xy をスカラーポテンシャルとして持つ.
2.
3. A = (aij ), A−1 = (aij ) と置くと,
2
∑
aki aij = A−1 · A の (k, j)-成分 = δkj
i=1
(ただし,∂kj = 1 (j = k), 0 (k ̸= j)) であることに注意すると,
Yi (⃗x) =
3
∑
aij Xj (A−1⃗x)
j=1
より,
2
∑
∂
div Y (⃗x) =
∂xi
i=1
=
2
∑
(
=
)
aij Xj (A ⃗x)
j=1
Xj −1
∂ k1
(A ⃗x) ·
(a x1 + ak2 x2 + ak3 x2 )
xk
∂xi
aij
∂Xj −1
(A ⃗x) · aki
∂xk
i,j,k=1
2
∑
∂Xj −1
=
(A ⃗x) · δkj
∂x
k
j,k=1
=
2
∑
∂Xj
j=1
−1
aij
i,j,k=1
2
∑
3
∑
∂xj
(A−1⃗x)
= (div X)(A−1⃗x).
4. 今の状況 (C ∞ 級関数の区間の上の積分) では微分と積分の順序の交換
が可能なので,l(t) = (1 − t)⃗
p + t⃗x と置くと,
N
∑
∂Xi
i=1
∂xi
=t
N −1
∫
1
=
∫
0
·
(
N ∫
∑
i=1
0
1
(
)
∂f
(l(t)) · t dt
f (l(t)) + (xi − pi )
∂xi
)
N
∑
∂f
(l(t)) · (xi − pi ) dt
N tN −1 · f (l(t)) + tN ·
∂x
i
i=1
]
d [N
t · f (l(t)) dt
0 dt
[N
]1
= t · f (l(t)) 0 = f (⃗x).
=
1