有限要素法とその誤差解析入門

有限要素法とその誤差解析入門
目標: 微分方程式に対する代表的な数値解法である有限要素法(finite element method) に
ついて、その原理と誤差解析の最新成果を理解することを目標とします。
概要:21 世紀の科学技術を支える大きな柱の一つは、現象を記述し解析する微分方程式
論とそれに対する数値解法です。微分方程式に対する有力な数値解法としては、有限差分
法、有限要素法、境界要素法、有限体積法などがあります。この講義では、特に楕円型境
界値問題に対する有限要素法とその誤差解析について解説します。
有限要素法は、Lebesgue 積分、関数解析を駆使した現代的な微分方程式論と相性がよ
く、電子計算機の爆発的な発展とともに 1970 年代から盛んに研究され、現在では、少な
くとも数学的な基礎部分については、しっかりした体系がほぼ完成されているとされてき
ました。しかし最近、有限要素法の数学的基礎理論の核心となる部分で、新たな発見があ
りました。この講義では有限要素法の誤差解析について、入門から最新の成果までを詳し
く説明します。講義の流れとしては、以下の通りです。
• まず、1 次元、2 次元の簡単な楕円型境界値問題に対して、区分的 k 次有限要素法を
定義します。
• 次に、有限要素法により得られた数値解 (有限要素解 (finite element solution) とよ
ばれます) の真の解との誤差を上から評価する C´ea の補題を紹介します。 C´ea の補
題より、有限要素解の誤差は有限要素よばれる有界領域 (主に三角形、四辺形、四
面体など) 上の関数補間の誤差に帰着されることがわかります。
• 1 次元の区間上、あるいは 2 次元の三角形上での関数補間の誤差の評価について解
説します。特に、三角形上の Lagrange 補間の誤差について、最近得られた三角形の
外接円の半径を使う誤差評価の導出を詳しく説明します。
評価方法: 提出されたレポートの内容で、成績を評価します。
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