背圧付加押出しによるボンド磁石の強度向上

30 背圧付加押出しによる
ボンド磁石の強度向上
極限成形システム研究室 谷口 俊哉
例:ドアミラー用モータ
ボンド磁石の密度向上
磁気特性向上
焼結磁石
100個以上の小型モータ
ネオジムボンド磁石の製造工程および問題点
粉末が整列
熱硬化
薄帯状
低延性
急冷法
空隙により
ボンド剤
圧粉成形 減少困難 密度・強度低下
改善案
粉末を流動
空隙減少
目的:材料流動により空隙を減少させ密度・強度を向上させる
30 背圧付加押出しによる
ボンド磁石の強度向上
1. 背圧付加押出しによる円柱圧粉体の
成形
2. 円柱圧粉体の強度向上および密度
3. 円筒圧粉体への背圧付加押出しの
適用
単純圧粉および背圧付加押出しにおける
金型寸法と磁性粉末
10
上パンチ
500μm
磁性粉末
コ
ン
テ 圧粉体
ナ
p
下パンチ
(a)単純圧粉
10
段
付
き
コ
ン
テ
ナ
押出し比0.7
上パンチ面圧
1.0~1.8Gpa
p
12
背圧一定
(b)背圧付加押出し
実験工程
180℃1時間
Nd-Fe-B磁性粉末
ボンド剤4vol%添加
評価
圧粉体
圧粉成形
熱硬化処理
単純圧粉および背圧付加押出し
による圧粉体
5mm
肩部
欠け
コンテナ段付き部
パンチ非接触
抜き出し時
(a) 単純圧粉
(b) 背圧付加
30 背圧付加押出しによる
ボンド磁石の強度向上
1. 背圧付加押出しによる円柱圧粉体の
成形
2. 円柱圧粉体の強度向上および密度
3. 円筒圧粉体への背圧付加押出しの
適用
単純圧粉および背圧付加押出し
圧粉体断面写真
平均粒径
81.6μm
41.2μm
31.2μm
500μm
41.2μm
38.1μm
36.9μm
(a) 単純圧粉
(b) 背圧付加
ビッカース硬さ試験による
接合強度の評価
圧痕
接合:弱
圧痕:大
上面
測定不可
接合:強
圧痕:小
上面
外周のみ
固化
平均硬さ
165HV5
(a) 単純圧粉
(b) 背圧付加
粉末一つの硬さでは
なく結合力の評価
[HV5]
400
350
全体が
300
固化
250
200
150
平均硬さ
100
200HV5
50
単純圧粉および背圧付加押出しにおける
円柱圧粉体密度と下パンチ面圧の関係
圧粉体密度 [g/cm3]
6.6
6.4
割れ
発生
背圧付加
6.2
単純圧粉
6.0
5.8
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
1.2
下パンチ面圧 p [GPa]
1.4
1.6
せん断試験における
各成形条件の最大せん断応力
最大せん断応力=最大せん断荷重/せん断面積A
5
0
単純
圧粉
背圧
付加
(a) 熱硬化処理前
100%
向上
p = 0.97GPa
10
40%
向上
p = 1.15GPa
15
p = 0.97GPa
最大せん断応力 [MPa]
A
20
p = 1.26GPa
V =200mm/min
単純
圧粉
背圧
付加
(b) 熱硬化処理後
背圧付加押出しp=1GPaにおける圧粉体密度および
最大せん断応力に及ぼすボンド剤含有量の影響
6.6
圧粉体密度 [g/cm3]
密度
6.4
15
せん断応力
6.2
単純圧粉
p = 1.26Gpa
6.0
5.8
0
10
1.0
2.0
3.0
4.0
ボンド剤含有量 [vol%]
5
0
5.0
ボンド量調整:ボンド剤4%粉末+ボンド剤無添加粉末
最大せん断応力 [MPa]
20
30 背圧付加押出しによる
ボンド磁石の強度向上
1.背圧付加押出しによる円柱圧粉体の
成形方法
2.円柱圧粉体の高密度圧粉成形
3.背圧付加押出しの円筒圧粉体への
適用
円筒ボンド磁石における単純圧粉および
背圧付加押出し成形方法
14
12
6
14
6
押出し比0.74
上パンチ
コ
ン
テ
ナ
スリーブ
固定
ピ
ン
圧粉体
p
下パンチ
(a) 単純圧粉
段差形状
p
(b) 背圧付加押出し
単純圧粉および背圧付加押出し
による円筒圧粉体,p =1.0GPa
粉末未充満
5mm
(a) 単純圧粉
(b) 背圧付加
トリミング
4g
3g
トリミング
単純圧粉および背圧付加押出しにおける
円筒圧粉体密度と下パンチ面圧の関係
圧粉体密度 [g/cm3 ]
6.6
6.4
背圧付加
6.2
クラック
発生
6.0
5.8
0
単純圧粉
0.2
0.4
0.6
0.8
1.0
1.2
下パンチ面圧 p[Gpa]
1.4
1.6
各成形方法における圧環試験による
下パンチ面圧と圧環強度の関係
F
e
圧環強度 K [MPa]
𝐹(𝐷 − 𝑒)
𝐾=
𝐿𝑒 2
JISZ2507
圧環強度 K[MPa]
L
D
40
30
背圧付加
1.6倍向上
20
10
0
単純圧粉
0.4
0.8
1.2
下パンチ面圧 p[GPa]
1.6
結言
1. 背圧付加押出しを用いて成形を行うことで,円柱
ボンド磁石のせん断強度は40%向上した
2. 1.6vol%の磁性粉末において背圧付加押出しに
よって強度を維持しながら密度が4.5%向上した.
3. 背圧付加押出しによって成形された円筒ボンド
磁石の圧粉体密度は単純圧粉に比べて3%向上
し,圧環強度は1.6倍となった.