風評被害を根絶する 食品放射線検出装置 独立行政法人理化学研究所 戎崎俊一、 戎崎俊一、Marco Casolino 羽場弘光、 羽場弘光、東出一洋 Lech Wiktor Piotorowski 株式会社 株式会社ジーテック 会社ジーテック 後藤昌幸、 後藤昌幸、久永勇 背景 • 福島第一原発の事故後、大量の放射性物質が環境に 放出され、日本の国土に広く分布している。 • 特に福島県では事故から4年となる今でも、食品に関す る風評被害に悩まされている。 すべての食品の放射能を測定し客観的 に安全性を示すことが必要になる。 2 従来型のガンマ線検出器 • ガンマ線を検知する部分(シンチ レータ)が底面にあることから、食 品の形によっては、正確な測定が 難しい • 正確に測定を行うために食品を 小さく破砕して、シンチレータに対 する距離を一定にする必要があ る。 →測定を行った食品をそのまま店 頭に並べて販売することができな い。 鉛 遮 蔽 食品 シンチレータ検出器 従来型のガンマ 従来型のガンマ線検出器 のガンマ線検出器 3 検出器の開発目標 1. 食品を破壊せずに放射線測 定が行える。 2. 有形の食品の測定が可能で 感度が一様である。 3. ほぼ全立体角をカバーしてい て、高い幾何学的効率を持つ。 • プラスチックシンチレータで試 料を覆い、大きな立体角を得 る。 • 光ファイバーを使って検出感 度を一様にする。 シンチレータ検出器 鉛 遮 蔽 食品 開発したガンマ 開発したガンマ線検出器 したガンマ線検出器 4 装置概要 20cm 25cm Si-PM 10cm • 円筒形プラスチックシン チレータとCsIシンチレー Si-PM タで出来ている。 • 円筒形プラスチックシン チレータの側面に光ファ イバーを巻いて光を読 み出す。 光ファイバー • シンチレータからの読み 出しは全てSi-PMを使用。 プラスチック • プラスチックシンチレー シンチレータ タのみの測定と底のCsI Si-PM シンチレータも用いたハ イブリッド測定の2種類 CsIシンチレータ の測定モード。 5 円筒形プラスチック シンチレータ (上面) 試作器の写真 CsIシンチレータ 円筒形プラスチック シンチレータ (側面) 6 試作機の写真 7 解析方法: プラスチックシンチレータ • コンプトン散乱による発光が中心となり、CsとKからのガンマ 線スペクトルが重なる。 →立ち上がりの位置の違いからCsのカウント数を推定する。 頻度 137Cs+40K 40K 137Cs 光子数 8 解析方法: プラスチックシンチレータ plastic 線量[Bq] A[/s] B[/s] Total[/s] 検出効率 単一線源を用いて、検出効 率の評価を行う。 A Cs α B = M K , M = γ β δ a b Cs −1 A −1 K = M B , M = c d 土 15000 894±1 37.1±0.3 931±1 0.06179 ±0.00009 塩化カリウム 893 108.89±0.07 34.47±0.03 143.36±0.08 0.16044 ±0.00008 単一線源の結果から関係 式を求めて混合線源でのセ シウムとカリウムの割合を 計算した。 9 解析方法: ハイブリッド測定 • カウント数が多いプラスチックシンチレータと線源ごとの ピークを確認できるCsIシンチレータによるハイブリッド測定 • プラスチックシンチレータによ るカウント数 • プラスチックシンチレータのセ シウムとカリウムの検出効率 40K 137Cs + CsIシンチレータによる セシウムとカリウムの割合 137Cs 40K 10 測定結果:玄米認証標準物質 試料の線量 線源 線量[Bq] セシウム137,134 135 カリウム40 38 • 日本分析化学会から購 入した玄米認証標準物 質 • プラスチックのボトルに 詰めて測定 • 質量:489.52g バックグランド測定1時間 カウント数[/s] 線量[Bq] A B Cs K 8.2 0.350 137 0 ±0.2 ±0.08 ±8 ±3 30分 138 ±4 11 測定 時間 プラスチック シンチレータ ハイブリッド測定 測定結果:玄米認証標準物質 -プラスチックカプセル試料の線量 線源 線量[Bq] セシウム137,134 35.20 カリウム40 9.6 • 玄米認証標準物質 • プラスチックカプセルに 詰めて測定 • 野菜や果物を想定した 形 • 質量:125g バックグランド測定1時間 カウント数[/s] 線量[Bq] A B Cs K 2.5 0.07 44 0 ±0.2 ±0.07 ±7 ±2 1時間 33 ±1112 測定 時間 プラスチック シンチレータ ハイブリッド測定 測定結果:50Bq/Kgセシウム137溶液 試料の線量 線源 線量[Bq] セシウム137,134 25 カリウム40 0 • 50Bq/Kgに調整したセ シウム137溶液 • 500mlプラスチックのボ トルに詰めて測定 • 質量:501g バックグランド測定1時間 プラスチック シンチレータ ハイブリッド測定 測定 カウント数[/s] 線量[Bq] A B Cs K 時間 1.2 0 0以下 28 ±0.2 ±7 ±2 1時間 19 ±4 13 検出感度とスクリーニングレベル • 検出感度(バックグランド測定1時間) 試料500g、試料測定30分で標準偏差が約12Bq/Kg になる。 • スクリーニングレベル(基準値:100Bq/Kg、バック グランド測定1時間) 試料500g、試料測定10分で誤差も含めて基準値以 下になる。(80Bq/Kg以下) 14 現地での実地試験 • 福島県南相馬市で行われた「JAまつり」に参加し、 LANFOSを使って実際の食品の放射能を測定した。 • 生産者の方からは「測定装置が簡便であり便利で あると同時に、実際の放射能を示すことで、消費者 に安心して買っていただける」と好評だった。 15 想定される用途 • 販売する食品の放射能を測定し、そのまま販 売できる。 • 大型化によって、箱詰めされた食品の放射能 を測定することができる。 16 実用化に向けた課題 • すべての食品の放射能を測定することを考え ると、測定時間が長い →今後大型装置を開発する 17 企業への期待 • 低コスト化による本装置の普及の推進 18 本技術に関する知的財産権 • 発明の名称 :放射能測定装置、食品用 冷蔵庫、放射線算出装置、放射能算出方 法及びプログラム • 出願番号 :特願2014-039414 • 出願人 :独立行政法人理化学研究 株式会社ジーテック • 発明者 :Marco Casolino 戎崎俊一 後藤昌幸 19 産学連携の経歴(任意) • 2012年-2015年 JST研究成果展開事業(先端計測分 析技術・機器開発プログラム)に採択 20 お問い合わせ先 独立行政法人理化学研究所 主任研究員 戎崎俊一 TEL 048-467-9414 FAX 048-467-9074 e-mail [email protected] 21
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