アルミニウム合金容器のしごき加工におけるSiO2粒子を含む潤滑剤

アルミニウム合金容器のしごき加工における
SiO2粒子を含む潤滑剤による耐焼付き性の向上
極限成形システム研究室 杉浦 開
電池用ケースの製造
強く接触,
焼付き
深絞り加工 深絞り容器 しごき加工
切削加工
SiO2粒子
直接接触の抑制
SiO2粒子
(粒径:0.01μm)
工具
切削油
二次電池用ケース
成形限界の向上
(アルミニウム合金容器) 被削材
電気自動車
目的:アルミニウム合金容器のしごき加工における
SiO2粒子を含む潤滑剤による耐焼付き性の向上.
アルミニウム合金容器のしごき加工における
SiO2粒子を含む潤滑剤による耐焼付き性の向上
• SiO2 粒子を含む潤滑剤によるしごき
加工
• SiO2粒子による高潤滑メカニズム
SiO2粒子を用いた潤滑剤によるしごき加工条件
dp=32.85~33.41mm
実しごき率
r=22~44%
dp
100mm/s
パンチ
容器
ブランク
アルミニウム合金A3003-O
(直径:66mm,板厚:0.6mm)
潤滑剤+SiO2粒子
(粒径:0.01μm)
W=0~5wt%(0~2vol%)
潤滑剤
パラフィン系鉱油
(動粘度ν=10,170,500mm2/s)
c
f 34
硬さ/HV
A3003-O
SiO2
ダイス
230
950
1550
0
0.5
容器の表面
100
軸方向位置 /µm
最大高さ:0.32μm
200
高さ /µm
平均粗さ:0.35μmRa
0.1mm
高さ /µm
2 4
ダイスの表面
0
100
軸方向位置 /µm
200
0.1μm
0.1mm
高さ /µm
2 4
容器及びダイスの表面性状
平均粗さ:0.01μmRa
潤滑剤に含まれる
SiO2粒子(at1wt%):約1015[個/cm3]
0
軸方向位置 /µm
0.3
加工後の容器外観
焼付き
0.1mm
(a) W=0.1wt%,
r=23.4%
焼付き
(a) W=0.5wt%,
r=33.8%
(b) W=5wt%,
r=25.7%
(ⅰ) ν=10mm2/s
(b) W=2wt%,
r=34.0%
(ⅱ) ν=170mm2/s
焼付き
(a) W=0.1wt%,
r=34.8%
(b) W=2wt%,
r=33.3%
(ⅲ) ν=500mm2/s
低・高粘度潤滑剤を用いた加工における成形限界
観察部
焼付き
良好
0.1mm
実しごき率 r /%
50
40
30
20
焼付き
焼付き,
破断
混合なし
成形限界
良好
混合なし
成形限界
10
0 0.5 1
0.1
2
3
4
5
0.5 1
2
3
0.1
SiO2混合量W /wt%
(a) ν=10mm2/s
(b) ν=500mm2/s
荷重-ストローク線図(r=25%程度)
しごき荷重 /kN
20
ν=500mm2/s,W=0wt%
ν=500mm2/s,W=1wt%
ν=10mm2/s,W=0wt%
ν=10mm2/s,W=5wt%
15
10
5
0
5
10
15
20
25
ストローク /mm
30
35
40
アルミニウム合金容器のしごき加工における
SiO2粒子を含む潤滑剤による耐焼付き性の向上
• SiO2 粒子を含む潤滑剤によるしごき
加工
• SiO2粒子による高潤滑メカニズム
SiO2粒子による高潤滑メカニズム
パンチ
容器(0.35μmRa)
潤滑剤+SiO2粒子
(粒径:0.01μm)
SiO2
粒子
0.1μm
しごきダイス
(0.01μmRa)
(b’) 加工中
(b”) 加工中
(ⅰ)直接接触の抑制
焼付き
(a) 加工前 (b) 加工中
(b’) 加工中
(b”) 加工中
(ⅱ)研磨作用
SiO2粒子の研磨作用による焼付きの減少
1mm
0.1mm
焼付き
再度
しごき加工
パンチ
(a) 焼付かせたダイス表面
容器
焼付き減少
焼付き
(b) しごき加工後のダイス表面
結言
1)潤滑剤にSiO2粒子を混合させることにより,混
合なしに比べて高いしごき率での成形を可能に
した.
2)SiO2 粒子による高潤滑メカニズムは,SiO2 粒
子による容器とダイスの直接接触の抑制,研磨
作用によるものであった.