35 高強度鋼板の穴抜き加工における 増肉および熱処理による疲労強度の向上 極限成形システム研究室 小坂 良太 自動車の軽量化 高強度鋼板の適用 超高張力鋼板の適用 超高張力鋼板 熱処理による高強度化 成形 炭素鋼板 せん断された穴への応力集中 成形 熱処理 疲労強度の低下 目的 穴縁の増肉 穴縁の増肉形状最適化による疲労強度の向上 焼入れ鋼板の穴抜き条件最適化による疲労強度の向上 35 高強度鋼板の穴抜き加工における 増肉および熱処理による疲労強度の向上 1)超高張力鋼板の増肉による疲労強度の向上 2)焼入れ鋼板の穴抜き条件最適化による 疲労強度の向上 超高張力鋼板の増肉穴抜き加工条件 ∅10 テーパ パンチ d =8,9mm 2 1.4 板押え ∅10.02 b d = 8,9mm b 段付き ダイス h h 板材(JSC980Y) h =0.3~0.9mm b =0.75,1,1.25mm (1) 加工前 (2) 穴抜き (3) 増肉 増肉穴抜き加工における穴縁面 だれ せん断面 (Ra 0.23) 破断面 (Ra 0.81) (a) 穴抜き だれ 平滑面 (Ra 0.06) 1mm だれ 平滑面 (Ra 0.10) 破断面 (b) d =8mm,h =0.9mm,b =1mm だれ 平滑面 (Ra 0.07) (c) d =9mm,h =0.3mm,b =0.75mm (d) d =9mm,h =0.3mm,b =1.25mm 増肉穴抜き加工における穴縁面構成 だれ d =8mm 0 b 上面からの距離 x /mm d x d =9mm だ れ せ 0.5 ん 断 面 破 断 1.0 面 平 滑 面 1.5 破 断 面 2.0 2.5 穴抜き h =0.3mm 0.5mm 0.7mm 0.9mm b =1mm 曲げおよび引張疲労試験結果 破断までの繰返し数/×10⁴ 回 50 b =0.75mm 40 30 20 b =1mm b =1mm b =1.25mm b =1mm b =1.25mm b =1mm b =0.75mm 10 0 穴抜き 0.5 増肉高さ h /mm (a) 曲げ疲労試験結果 穴抜き 1 0 0.5 増肉高さ h /mm (b) 引張疲労試験結果 1 疲労強度におよぼす剛性の影響 引張荷重 曲げ荷重 曲げ荷重[kN] 中央部たわみ量[mm] 50 h =0.9mm, b =1mm 40 h =0.7mm 30 20 10 0 h =0.5mm h =0.3mm, b =0.75mm 穴抜き 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 曲げ剛性 /kN・mm-1 破断までの繰返し数/×10⁴ 回 破断までの繰返し数/×10⁴ 回 曲げ剛性= 30 40 50 40 引張荷重[kN] 引張剛性= 伸び量[mm] h =0.3mm, b =0.75mm 30 20 10 h =0.9mm, b =1mm h =0.7mm h =0.5mm 穴抜き 0 9.0 9.2 9.4 9.6 9.8 引張剛性 /kN・mm-1 10 35 高強度鋼板の穴抜き加工における 増肉および熱処理による疲労強度の向上 1)超高張力鋼板の増肉による疲労強度の向上 2)焼入れ鋼板の穴抜き条件最適化による 疲労強度の向上 穴抜き加工条件と使用した鋼材 ∅10.5 4.5 パンチ ∅10.00 板押え 熱処理条件 温度 時間 冷却方法 [℃] [min] 焼入れ 870 40 油冷 焼戻し 300 60 空冷 板材(S35C) ∅ 10.09 ∅ 10.63 ∅ 11.35 ダイス クリアランス比 c =1,7,15% 機械的特性 引張強さ [MPa] 熱処理なし 465 熱処理あり 1610 硬さ [HV] 138 502 熱処理あり・なしの穴縁面と穴縁面構成 0 1mm 熱処理 なし だ れ 上面からの距離 /mm 1 熱処理 あり 2 3 4 c =1% 7% 15% せ ん 断 面 5 破 断 面 c =1% 7% 15% 熱処理された鋼板の疲労強度に及ぼす 穴抜きクリアランス比の影響 亀裂発生 ∅10 20 破断面 せん断面 c =1% c =1% 7% 15% 104 105 7% 15% 106 (a)熱処理あり(引張強さ1610MPa) 104 105 106 (b) 熱処理なし(引張強さ465MPa) 増肉穴抜き加工方法・加工条件 ∅10.5 ∅10 テーパ パンチ 1 板材 ∅10.09 2.5 4.5 ∅7 5 板押え 段付き ダイス (1) 加工前 (2) 穴抜き (3) 増肉 増肉穴抜き加工結果 0 だれ 穴抜き c =1% せん断面 破断面 だれ 増肉 穴抜き 上面からの距離 /mm 1mm 1 だ れ せ ん 断 面 2 3 4 平滑面 5 破断面 6 平 滑 面 破 断 面 穴抜き 増肉 c =1% 穴抜き 増肉穴抜き加工による疲労強度の向上 穴縁面表面粗さの向上 1mm Ra 0.13 Ra 0.28 増肉穴抜き Ra 0.70 c =1% 104 105 熱処理ありの疲労試験結果 106 引張剛性 / kN・mm-1 c =1% 20 16 増肉穴抜き 引張剛性の向上 17.9 18.8 12 8 4 0 c =1% 増肉穴抜き まとめ • 超高張力鋼薄板材において増肉高さの大きい増肉穴抜き 加工を行うことで,曲げ疲労試験の破断までの繰返し数 を穴抜きと比べて5.3倍増加できた. • だれの小さい増肉穴抜き加工を行うことで,引張疲労試 験の破断までの繰返し数を穴抜きと比べて16.4倍増加で きた. • 熱処理用厚板材において熱処理なしでは,1%のクリアラ ンス比で穴抜き加工すると疲労限の応力は15%より約1.1 倍高くなった.熱処理ありでは約1.5倍高くなった. • 熱処理用厚板材において増肉穴抜き加工を行うことで穴 抜きと比べて疲労限の応力を1.3倍向上できた.
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