第5章 運動とエネルギー

第5章 運動とエネルギー
1節 運動の速さと向き
2節 力がはたらく運動とはたらかない運動
3節 仕事とエネルギー
1節.運動の速さと向き
1 物体の運動のようす
1.物体の運動のようす
時間の経過にしたがって、
物体の位置が変化すること
物体の運動
2.速さ
100m
10秒
=
1秒間にどのくらい移動するか
単位あたりの距離=速さ
移動 た距離
移動した距離
速さ
速さ=
移動にかかった時間
速さの種類
瞬間の速さ
平均の速さ
100m
10秒
速い
100m
10秒
遅い
2節.力がはたらくときの運動と
はたらかない運動
力とは?
1.物体の形が変わる
2.物体が動きはじめたり向きが変わっ
たりして 運動のようすが変わる
たりして、運動のようすが変わる
3 物体が支えられている
3.物体が支えられている
例えば
① 物体どうしが接してはたらく力
物体どう が接
はたらく力
弾性の力 摩擦の力 抗力
弾性の力・摩擦の力・抗力
② 物体どうしが離れていてもはたらく力
重力・磁石の力・電気の力
1.力がはたらく運動
力
運動
(A)斜面を下る運動
1.斜面にそった
実験1
力の大きさをはかる
(ばねばかり)
2.台車の運動を記録する
3.斜面の角度を変えて
台車の運動を記録する
斜面の角度を測る
直角三角形
この角度
なら測れる
三角形の内角の和は
180°だから
計算で求められる
斜面にそった力 1
力の大きさは
場所によってかわ
るのだろうか
斜面にそった下向きの力
1.8N
1.8N
1 8N
1.8N
1.8N
どこでも同じ
斜面にそった力 2
1.0 N
角度を変えた時
変わるのだろうか
1 8N
1.8N
台車にはたらく力の大きさは、斜面が急なほど大きい
斜面にそった力はどこから生まれるのか
1. 力の合成・分解
(1)合力(ごうりょく)
①一直線上の同じ向きの2力の合成=もとの2つの力の大きさに等しい
合力
3N+2N
5N
②一直線上の反対向きの2力の合成=もとの2つの力の大きさの差
3N−2N
1N
③直線上にない2力の合成=平行四辺形の法則
1人だと
負けてしまう
2人なら・・・
1人分の力は小さい
けれど、力を合わせ
た合力は、勝つ。
F1
平行四辺形の法則
平行四辺形の対角線の
向きと長さで表される。
合力
F2
F1より少し大きい
F2より少し大きい
・・・・・『平行四辺形の法則』が通用しない時・・・・・
『平行 辺形 法則』 通用 な 時
F1=F2 の場合
F1
120°
合力
F2
平行四辺形の法則 が使えない時
2つの力の間が120°の時、
2つの力の間が120
の時、
合力はF1、F2と等しくなる。
また、2つの力の間が120°より
大きくなる時、合力は小さくなる。
(2)分解
物体に加えた力のはたらきが、加えた方向とちがう方向に現れることがある
斜め上向きに引っ張っても 車は斜め上向きには動かず 水平方向に動く
斜め上向きに引っ張っても、車は斜め上向きには動かず、水平方向に動く
引っ 張っているのに、
張っているのに
動きが小さい
よく動く
なぜ?
ぜ
力を分解する=分力を求めること
もとの力
平行四辺形の法則
もとの力を対角線とする
平行四辺形をかくと、
その平行四辺形のとなり
あう2辺がそれぞれの
分力となる。
(分解のしかたは無数)
分力
F1
F2
分力
分力で動くので力が小さい
2. 力がはたらいていないとき、物体にはたらく力
球が面から受ける力
(抗力)
運動の向き
摩擦のない面
球が地球から受ける力
(重力)
3. 一つの力を2つの向きに分解する
一人で持つと
重力と同じ力で
持つ。
おもりを上向きに
支える力
重力
2人で持つと、
重力より小さい力で持
つことになる。
分力F2
分力F1
平行四辺形の2辺が
分力になる。
したがって、重力より
小さくなる。
小さくなる
重力
4. 斜面にそった下向きの力
斜面 そ
下向き 力
球が面から受ける力(抗力)
分力a
分力b:斜面を垂直に押す力
球が地球から受ける力(重力)
1.球が地球から受ける力(重力)
球が地球から受ける力(重力)
2.重力は下り斜面よってaとbに分けられる。
分力a
分力b:斜面を垂直に押す力
3.分力b(斜面を垂直に押す力)が生じた ことで、球が面から受ける力(抗力)が 生まれた。
球が面から受ける力(抗力)
分力a
分力b:斜面を垂直に押す力
4.分力bと抗力は等しい力なので打ち消される。
球が面から受ける力(抗力)
分力a
分力b:斜面を垂直に押す力
5.残った分力aの力が球を加速させる。
分力a
5. 斜面の角度と分力の大きさ
球が面から受ける力(抗力)
分力a
分力a
球が地球から受ける力(重力)
分力b:斜面を垂直に押す力
球が面から受ける力(抗力)
分力a
分力a
球が地球から受ける力(重力)
分力b 斜面を垂直に押す力
分力b:斜面を垂直に押す力
分力a<分力A
したがって、傾斜角度が大きい方が分力も大きい。
記録タイマ のしくみ
記録タイマーのしくみ
東日本50Hz
1/50秒ごとに1打点
1/10秒ごとに5打点
1/10秒ごとに5打点
1秒ごとに50打点
1/10秒に動いた距離
記録のとり方と
テープの処理
だんだん速くなる運動(運動の向きに力がはたらく)
瞬間の速さ
0.1秒間に
進む距離
平均の速さ
0.6秒間に
進む距離の平均
加速
実験結果
1 0N
1.0N
1 8N
1.8N
並べてはった
並べては
た
テープから、
わかること
物体にはたらく力が大きいほど 速さの増加も大きい
物体にはたらく力が大きいほど、速さの増加も大きい
(B)落下運動
物体が重力の向きに落下した時
物体が重力の向きに落下した時、
どんな運動をするだろうか。
同じ大きさの
重力がはたら
き続ける
速さは、しだいに速くなる
(C)摩擦力がはたらく運動 1
運動の向き
ッッッ・・・
スッー
運動
静止
向き=右向き
向き=なし
速さ=20cm/秒
速さ=0cm/秒
止まる
運動 向き 逆 向き
運動の向きと逆の向き
摩擦力
なぜ「静止」なのか
静力の
基礎
力がつりあった平衡状態
テコ
静力学
斜
斜面
滑車
力学現象
(力の効果)
方向
強さ
運動学
力の合成・分解の性質 前提
摩擦力がはたらく運動 2
だんだんおそくなる運動(運動の逆向きに力がはたらく)
減速
力がはたらく物体の運動では、
力がはたらく物体の運動では
その速さや向きが変わることがある
2.力がはたらかない運動
(A)等速直線運動
実験2
台車を軽く手で押す
斜面にそった力 0
実験結果
1. 進行方向に 力 は、はたらいていない
2. 物体に力がはたらかないとき、 速さ は変わらない
速さが変わらず 直線上を動く運動
速さが変わらず、直線上を動く運動
等速直線運動
距離〔 〕 速さ〔 /秒〕 時間〔秒〕
距離〔m〕=速さ〔m/秒〕×時間〔秒〕
力がつりあっている場合
身近な
等速直線運動
車の場合
力がはたらいていない場合と同じ
等速直線運動
雨粒の場合
雨粒
スピードが
スピ
ドが
増す
雨粒
スピードは
同じ
雨粒
雨粒
抵抗力
重力
雨粒
重力
雨粒
(B)慣性の法則
物体は 外から力を加えない限り、
静止しているときは いつまでも 静止 し続けようとし
運動 しているときは
いつまでも 等速直線運動 を 続けようとする
すべての
物体は
慣性をもってい
る
慣性の法則
動き始める時
静止
静止
静止
運動
止まる時
運動
運動
運動
静止
3.力をおよぼし合う運動
作用 反作用の法則
作用・反作用の法則
1.反対の向き
壁を押す力
壁に押し返される力
2.同じ力の大きさ
3.一直線上
力は2つの物体の間で 必ず一対 になって はたらく
『つり合い』
と 『作用・反作用』
おもりが糸に引かれる力
張力
おもりが地球に引かれる力
重力
糸がおもりを引く力
作用
おもりが糸を引く力
反作用
同じ物体が
受けている
力ではない
同じ物体が
受けている
合力が「0」
張力 重力
張力=重力
作用 反作用
作用→反作用
3節 仕事とエネルギー
1.仕事とは?
作業する量を考える
(a)
(b)
1m
(c)
1m
2m
1kg
2kg
1kg
持ち上げる力
10N
20N
10N
持ち上げる高さ
1m
1m
2m
作業した量の大きさ
(A)物体を持ち上げる仕事
重力にさからって
持ち上げるときの力
仕事=力の大きさ×力の向きに動いた距離
事
向
離
持ち上げる力
1N
100g
1m
仕事= 1(N) × 1(m)
1(N・m)
m)
= 1(N
= 1(J)
単位 ジ
単位:ジュール
重力
1N
仕事量は?
(a)
(b)
1m
(c)
1m
2m
1kg
2kg
1kg
持ち上げる力
10N
20N
10N
持ち上げる高さ
1m
1m
2m
仕事
10J
20J
20J
仕事 大きさ 同
仕事の大きさは同じ
(B)物体を床の上で動かす仕事
仕事= 1(N) × 1(m)
= 1(N・m)
= 1(J)
摩擦力にさからってする力
加え続ける力
1N
机
摩擦力
1m
2.道具を使う仕事
(A)滑車を利用した仕事
動滑車
定滑車
F
F
W
W
F=1/2W
W=F
小さな力で物体を持ち上げる役割
力の向きを変える役割
手で持ち上げた場合
定滑車を使った場合
動滑車を使った場合
50N
2m
1
1m
100N
100N
1m
1m
10kg
加えた力(N)
移動した距離(m)
仕事(J)
1m
1m
10kg
10kg
100
100
50
1
1
2
100
100仕事の大きさは同じ
100
(B)てこを利用した仕事
a:支点から作用点までの距離
支点 ら作用点ま
距離
支点
作用点
力点
支点 ら力点ま
距離
b:支点から力点までの距離
W:重力
F:加える力
重力 ×支点から作用点までの距離= 加える力 ×支点から力点までの距離
W×a= F×b
F: 50N
0.5m
W:10kg=100N
力をはたらかせる距離:大
100(N)×
( ) 1(m)
( ) = 50(N)
( ) × 2(m)
( )
必要な力:小
1m
50N
1m
0.5m
道具を使うと、力は小さくなるが、
10kg=100N
10kg
100N
力をはたらかせる距離は大きくなる
50N
2m
仕事の大きさは変わらない
仕事の原理
1m
10kg
3.仕事率
人が10秒で荷物を持ち上げる
クレーンが5秒で荷物を持ち上げる
仕事=100(N)×1(m))
仕事=100(N)×1(
=100(N・m)
=100(J)
仕事=100(N)×1(m))
仕事=100(N)×1(
=100(N・m)
=100(J)
仕事率=100(J)÷10(秒)
=10(J/秒)
=10(W)
仕事率=100(J)÷10(秒)
=5(J/秒)
=20(W)
1m
1m
10kg (100N)
10kg (100N)
単位時間にする仕事
仕事率
事率
=
仕事の大きさ
仕事に要した時間
仕事率の単位
1(W)=1(J)/1(秒)
4.エネルギーとは?
光らせる
物質ではない
いろいろな仕事をする能力
能
(光が持つエネルギー) (電気が持つエネルギー)
音を聞く
物体が仕事ができる
状態にある時
単位:J
(熱が持つエネルギー)
映像をみる
(音が持つエネルギー)
化学変化
焼く
モーターをまわす
(電気が持つエネルギー)
エネルギー
(化学変化を利用したエネルギー)
原子力発電所
(核分裂をして出すエネルギー)
を持
を持っている
る
(エネルギーの量は、物体がすることのできる「仕事の量」で見積もるので、仕事と同じ単位)
5 エネルギ の移り変わり
5.エネルギーの移り変わり
(A)位置エネルギー
高いところにある物体が
持っているエネルギー
位置エネルギー
落ちて
釘にあたると
仕事をした と なる
仕事をしたことになる
位置
エネルギーは
物体の位置が高いほど大きく、質量が大きいほど大きい
(B)運動エネルギー
静止している物体にエネルギーが、移動した
運動を
運動をしている物体が持つエネルギー
る物体が持
ネ ギ
運動
エネルギーは
ネ ギ
運動エネルギー
押し動かされた
物体の速さガ大きいほど大きく、質量が大きいほど大きい
(C)弾性エネルギー
物体を
飛ばすことが
できる
ばねを
縮める
その結果
元に戻ろうとする力が生じる
弾性エネルギー
その他のエネルギの種類
•電気エネルギー
電気 ネルギ
•熱エネルギー
•光エネルギー
光 ネルギ
•音エネルギー
•化学エネルギー
•核エネルギー
核エネルギ
(D)エネルギーの移り変わり
仕事→電気→光
仕事→電気→運動
仕事→電気→熱
減った分(逃げた分)=熱や音
減った分(逃げた分)
熱や音 他のエネルギ
他のエネルギーに変わる
に変わる
D
E
仕事→熱
F
熱→仕事
光→電気→仕事
G 化学エネルギー
光
熱
音
酸素
水
水素
発熱反応
2H2 + O2
分子の内部に
エネルギー
エネルギ
を蓄えている
→ 2H2O +
光エネルギー
光エネルギ
熱エネルギー
音エネルギ
音エネルギー
H 光エネルギー
光エネルギ
光エネルギー
外部からエネルギーを
吸収して
CO2+H2O
+(光エネルギー)→ 有機物
+ O2
この中に化学エ
ネルギーが詰
まっている
I 化学エネルギー
有機物 + O2 → CO2+H2O +(化学エネルギー)
エネルギーと
いうバト を渡す
いうバトンを渡す
筋肉を動かす
呼吸をする
心臓が動く
エネルギー の 移り変わり
物質ではないが
物質
はな が
そこには、
存在している
エネルギーの地球の総量は一定
J 熱量の計算
熱エネルギ の量 熱量
熱エネルギーの量=熱量
物体の得た熱量
温
度
上
昇
熱量(cal)=(水の質量g)×(温度上昇℃)
水
仕事 → 熱
1gの水の温度を1℃上昇させるのに必要な
熱エネルギーを1cal(カロリー)という
電流による発熱量:ジュール熱
熱量(cal)=0.24×(電力)×(時間)
温
度
上
昇
熱量(cal)=0 24Wt
熱量(cal)=0.24Wt
水
電気 → 熱
電力量
電流による発熱量は、電力量に比例する
電力量・エネルギーの量・仕事率について
ワットという単位はもともと
仕事率と呼ばれる量の単位
(仕事率は 1秒間あたり何
(仕事率は、1秒間あたり何J
の仕事をしたかを表す)
なぜ、仕事率の
なぜ
仕事率
単位がWなの?
電熱器具の光・熱を出す能力を表す時=電力(W)という単位を使う
「1Wは、電熱線に1Vの電圧をかけて1Aの電流が流れている時、
1秒間に どれだけの仕事をする能力があるかを表している」
1秒間に、どれだけの仕事をする能力があるかを表している」
電力= 電圧×電流
W = EI
1秒間にどれだけの電気エネルギーが、
他のエネルギーに移り変わるかを
表すのが「電力」
かけた時間の分だけ仕事をする(エネルギーが移り変わる)
電力量= 電力×時間
= Wt
また
電力量=仕事の量 =エネルギーの量=J
ゆえに
1Wのとき、1秒間に発生する熱エネルギーの量(熱量)は、1Jである
Wt =J
W=J/t ・・・仕事率のこと
(電圧×電流の値が1秒間に変化する電気エネルギーを表すように電圧の単位が決められている)
(電圧
電流の値が1秒間に変化する電気 ネルギ を表すように電圧の単位が決められている)
仕事による発熱と電流による発熱
仕事の量4.2J
温
度
上
昇
1
℃
4.2Jの仕事の量は、
1cal(カロリー)の熱量(熱エネルギー)にエネルギー転換を行い、
その結果1gの水の温度を1℃上昇させることができる
熱量のこと
水1
水1g
エネルギーの量=仕事の量=電力量
1(cal)
1(cal)=
4 2(J) Wt
4.2(J)=Wt
この式を変形すると
仕事 → 熱
熱量(cal)= Wt/ 4.2
熱量(cal)=0.24 Wt
熱量は電力量に比例する
電気 → 熱
物体が得た熱量Q=電流による熱量Q
温
度
上
昇
(水の質量g)×(温度上昇℃)= 0.24 Wt
水
実際には
(E)力学的エネルギー
摩擦力・空気抵抗のため
↓
同じ高さにならない
↓
他のエネルギーに変わる
位置エネルギー 2
位置エネルギー10
運動エネルギー
運動
ギ
8
運動エネルギー 0
位置エネルギー 0
運動エネルギー 10
位置エネルギー
位置エネルギ
+
運動エネルギー
運動エネルギ
力学的エネルギー
和が一定に保たれることを
力学的エネルギー の 保存
(F)エネルギーの保存
仕事・電気・光・熱
仕事・電気・光・熱
音エネルギー2+運動エネルギー
7
ギ
1J(位置エネルギー)
100
100g
ネ ギ
やりとり
エネルギーのやりとり
音エネルギー1+電気エネルギー9
ギ
ギ
運動エネルギー10
1m
エネルギーの総和は変化なく
エネルギ
の総和は変化なく、一定
定
エネルギーの保存