Contents 電流帰還バイアス回路 アナログ電子回路 hパラメータを用いた回路解析 名城大学 理工学部 材料機能工学科 岩谷 素顕 E-mail: [email protected] 6-2 6-1 電流帰還バイアス回路 電流帰還バイアス回路 Siを用いた増幅回路では主流(安定性が高いため) ここに信号を入力 ICはどう決めるのか? 何故回路の安定性が良いか? IC RB ICが増加すると RC VCC IB VBB REでの電圧降下↑ IA 通常REに掛かる電圧は (約1/5~1/10)VCC IAはIBの約10倍に設計する 電圧を制御 6-3 VCC VBE 増加を抑制して、安定度が向上 RE RC IB VBEが減少⇒IC↓ IE V CE VBE RA IC RB VBB RA IE VCE RE IA 6-4 考え方 考え方 RA, RB, RC, REを適当に設定する必要がある この回路は増幅回路として使用する IC RB IC RB RC 入力 出力 VBE VBB RA VBE VBB RA VCE RE IA RE IA 6-5 VCC IB VCC IB RC 6-6 VCE 電流帰還バイアス回路 なぜ負荷線の中点に動作点(無信号時) を持ってくるのか? A級動作と呼ぶ Siトランジスタとして最も標準的な回路 RA, RB, RC, REを適当に設定する 負荷線 IC RB RC VCC IB IE VBE VBB RA 動作点 IC VCE 動作点 RE IA 交流信号を効率よく 増幅するためには? 6-7 負荷線の中点になるようにICを制御 演習問題 下記の回路について考える。この回路において、電源電 圧VCC=10V、無信号時コレクタ電流IC=4mA、hFE=100とした時のRA、 RB、RC、REを求めよ。ただし、 REに掛かる電圧は1/5VCCとする。 解答 VCC IB VBE 条件: REにかかる電圧が2V IC=4mA RB RB RC VBB RA VCE IC IC RB 6-8 VCE RE RC RC IB VBB RA VBB RA IA IB VBE VBE RE RE IA IA IE hFE=100なので、IB=40A またIAはIBの約10倍なのでIA =400A またエミッタ電流は、 IE=4mA+40A≒4.0 mA IC 2 VCC よってREが求まる RE 4m 500 VCC 青いループで考えて VCE VCE RAIA=2+0.6⇔RA=6.5[k] IC=4mA、VCE=5Vなので RCIC=5V⇔RC=1250[ 赤いループで考えて RB(IA+IB) +RAIA=10⇔RB=16.8[k] 6-9 6-10 小信号(<10mW)増幅回路設計の基本的 考え方 これからの話の流れ トランジスタ(Tr) 小信号(<10mW)増幅回路の場合 ⇒hパラメータによる等価回路で解く 増幅回路 交流信号:微弱 大信号の場合 ⇒負荷線を活用して解析する 直流バイアス 考え方が異なるので、それぞれを勉強していく どれくらい増幅するか? 6-11 6-12 電流増幅度 Ai 交流信号 C ib ic B C 出力の交流信号:vce IB, ib E ie=ic+ib 入力の交流信号:vbe 6-13 hFE IC 直流電流増幅率 IB h fe ic 交流電流増幅率 ib B npn型 npn型 IC, ic E IE=IC+IB ie=ic+ib 直流は大文字 交流は小文字 6-14 電流帰還バイアス回路 hパラメータによるトランジスタの記述 トランジスタを数式的に解くために IC RB RC VCC IB VCE C B VCE VBE RE E E IA 6-15 このままでは数学的に解くの が難しい IC IB VBE VBB RA hパラメータによる等価回路 電流IB,ICと電圧VBE,VCEの関 係があればよいのでは? 6-16 代表的なトランジスタの特性 IC-VCE特性 線形とは? ⇒比例関係 比例だと 大信号の場合 非線形 IC [mA] Vcc R c 30 小信号の場合 6-17 6-18 IB=0.3mA 20 IB=0.2mA 10 0 ほぼ線形 IB=0.4mA IB=0.1mA 0 5 10 15 20 VCC VCE [V] 式を使って記載 計算で増幅率 などを計算可能 トランジスタの特性 B VCE VBE E E IB=0.4mA IB=0.3mA 20 IB=0.2mA 10 0 ICは何で決まるのか? 5 0.16 VCE VBE -1.0 -0.5 0.0 0.5 VBE [V] 1.0 IBに依存 また、VCEにも若干依存 式的に書くとしたら・・・ 6-19 0.00 VBEは何で決まるのか? 10 15 20 VCC VCE [V] 0.08 0.04 E E 依存するパラメータは2つ IC=A×IB+B×VCE 0.12 C B IB=0.1mA 0 IC IB IB [mA] C IC [mA] IC IB トランジスタの特性 Vcc R c 30 VBE=C×IB+D×VCE (CとDは定数) (AとBは定数) 6-20 小信号の場合 トランジスタを線形な箱だと考える hieの求め方? VBE=C×IB+D×VCE (CとDは定数) 0.01 610[Ω1 52.4 μA 36 μA IC=A×IB+B×VCE (AとBは定数) 交流の場合 vbe hie i h c fe 6-21 hre ib hoe vce hRE I B hOE VCE これは小さいので 無視可能 IC [mA] 6-23 0.08 0.00 6-22 hFE IB=0.2mA IB=0.1mA 0 5 -0.5 0.0 0.5 VBE [V] 入力電圧 0.7±0.005V 1.0 これは小さいので 無視可能 IB=0.3mA 10 拡大すると -1.0 この式は何を表しているか? vbe hie i h c fe IB=0.4mA 20 0 0.12 0.04 hfeの求め方? Vcc R c 30 0.16 IB [mA] VBE C D I B hIE I A B V h CE FE C 入力インピーダンスhie 10 15 20 VCC VCE [V] h fe IC IB hre ib vbe hieib ⇔ hoe vce ic h feib オームの法則と等価 電圧 電流 vbe hieib ic ib 抵抗(等価) 6-24 等価 回路 B = vbe E ib hie この式は何を表しているか? hパラメータの等価回路 これは小さいので 無視可能 hre ib vbe hieib ⇔ hoe vce ic h feib vbe hie i h c fe 電流 電流 ic h feib 等価 回路 h ・i fe b = ic 比例定数 hfe・ib vbe IiCc IB ib C C B vce hie vce V CE vbe VBE E E E E C 等価だと考えて良い vce E 6-25 ic ib B 抵抗と電流源の回路なので 電気回路のように回路を解くことができる 6-26 次に増幅度の計算-中域周波数の場合下記のような回路を考える 実際のトランジスタに hパラメータを適用してみましょう 電圧増幅度はいくらか? IC RB VCC RC IB Vo Vi R A 6-27 RL RE 6-28 その前にコンデンサの扱い方の復習 IC RB RC VCC このコンデンサの役 割と扱い方について 復習: トランジスタ増幅回路を作った時の問題点 IC 出力電圧 出力電流 入力電流 入力電圧 出力電圧 IB Vo Vi R A 6-29 振幅を増大させることは可能 RE RL 問題点 そのまま信号をトランジスタに入れると波形が変わってしまう 6-30 交流だけ取り出すためには ポイント: コンデンサを使う トランジスタを使った増幅回路 RC IC RB IB Vi VCC VCE VBB VBEを常に0.6V以上にする 問題点: 電池が2個必要 交流成分はどうやって取り 出すのか? 何らかの方法で交流成分を取り出す コンデンサに直流電源を繋いだ場合 i i E C コンデンサに交流電源を繋いだ場合 i + 直流バイアス 入力信号 1 C jC のインピーダンスを持つ e 増幅 = 6-31 開放=抵抗∞ E 交流成分は通過可能 6-32 解決方法:電流帰還バイアス増幅回路+コンデンサ コンデンサの役割 IC 直流が逆方向にRB かからないように RC コンデンサの特徴 直流成分は通さない 交流成分は通過可能 ⇒直流成分と交流成分をうまく組み合わせて適切な増 幅回路を実現する VCC 直流と交流を分離 IB Vo Vi R A RL RE 6-33 6-34 次に直流と交流を分けて考えたい 一緒に扱うよりも分けて考えたほうが楽 IC RB RC 回路を設計する上で知りたいのは 主に直流 ここをいくらに するか? VCC 6-35 RC RE VCC IB Vo Vi R A Vo Vi R A RB 直流 IB 交流 IC RE RL RL 6-36 何倍に増幅されるか? 交流信号 重ね合わせの定理 線形回路が多数の信号源を有する場合、任意の節点間 電圧、任意の枝電流は、個々の信号源が単独で存在し ている場合の値の和に等しい。ただし、考えていない電 圧源は短絡除去、電流源は開放除去するものとする。 問題 下の図の回路の直流信号等価回路と交流信号等価 回路を書きなさい。またhパラメータを用いた実用等価回路 を書きなさい 直流信号等価回路・・・直流信号に注目した回路 交流信号等価回路・・・交流信号に注目した回路 複数の電源と分岐がある回路で、1つだけ電源を残した 回路図を電源毎に用意して、回路図毎に電圧(電流)を 求め、最後に全回路図の電圧(電流)を合計して回路解 析を行う方法 ステップ1 : 電源を1つだけ残した回路図を、電源毎に 作成する ステップ2 : 回路図毎に電圧(電流)を求める ステップ3 : 電源毎に求めた電圧(電流)を合計する 6-37 RB vi RB 短絡 VCC RC RB RC VCC RB RB ひっくり返し ても良いはず R C vo 短絡 RL vo 電位は同じ 6-40 6-39 さらに回路変形 ic ib hfe・ib 本日のまとめ C hパラメータの導入 vce hie RB hie E E vi RB Rac hfeii Rac 交流等価回路、直流等価回路の考え方の説明 ii 次回はこの考え方を使って回路の解析を行います。 vo vo Rac=RL//RC Rac=RL//RC 6-41 RL これに注目 直流信号等価回路 短絡 開放 VCC RC vi vo RL vi vo では交流信号等価回路は? これに注目 vbe RL 6-38 まずは直流信号等価回路 B VCC RC RLとRCは並列という意味 hパラメータによる実用 等価回路 6-42
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