家庭薬研究 N o .5 2 1 (1986) 〔原著〕 甘草中のグリチルリチンの湯液への移行率(第一報)※ 一一一一葛根湯・小青竜湯 成川 一 郎 西本初博 中田るり子 石田裕子 吉井美矢子 I c h i r o NARIKAWA H a t s u h i r o NISHIMOTO Miyako YOSHII R u r i k o NAKADA Yuko I SHIDA 東亜製薬株式会社試験研究室※※ 甘草は,現在我が国で公的に認められている漢方処方 2 10処方中 1 4 7処方に配合され,その配合率 は70%に達し,また,その使用総量も他の漢方生薬民比べて圧倒的に多い。したがって,その主成分 グリチノレリチン陀ついての物性や薬理効果等については多数報告されている。しかし,市場品につい ての実状ゃ,実際比漢方湯液として服用される場合のグリチノレリチン利用率等についてはほとんど報 告がない。 我々は主産地,東北 ・西北並びに新彊産の甘草について TLC及 びHP LCのパターンを比較し, 更l とこれらを単独もしくは漢方処方として煎出した場合の各湯液中へのグ リチルリチン移行率(利用 率)を経時的に求め ,若干の知見を得たので報告する。 実験の部 I 甘草の産地別 TLC並びに HPLCパターンについて 1 .試 料 : 東北甘草 ,西北甘草 ,新彊甘草の各細切品 その他の生薬は ,市場一般品の各細切品 2 . 試験方法 1 ) TLCI ) 各甘草を酢酸エチノレで抽出した液を検液とする。 展 開 液 : ベンゼン ・酢酸エテノレ ・酢酸混液( 2 5:2 5:1) 発色法:① UV (365r u n) 照 射 ②希硫酸噴露後 1 0 5° 3∼5分間加熱 2) HPLC 各甘草については,水 ・メタノーノレ混液( 1 :1 )で抽出した液を遠心分離して検液とする。 漢方処方については熱水抽出後,遠心分離した液を検液とする。 HPLC条件 カ ラ ム : Waters 社 製 R a d i a l-PAK Z型加圧モ ジューノレ NOVA-PAK C1 s (Bm 祝 I D×l O c m) カラム温度:室温 検 出 波 長 : 254n m 移 動 相 : 水 ・アセトニトリ Jレ・酢 酸混液( 6 5:3 2:3) 流 量 ; 2 . 0mt/ min ※ 第 5回家庭薬開発研究会シンポジウ ム発表 (富 山 , 1985年 11月 6日) ※ ※ 〒 930-03 富 山県中新川郡上市町若 杉 55 - 21- TEL 0764 ( 7 2 ) 1010 3 . 試験結果 TLC 各産地の甘草につき TLCを行った結果については, p hotol及 び 2 K,また ,乙れらを用 hot o3及 び 4I 乙示した。乙れによれは噺彊産甘草及び ζ れ いた漢方処方の結果については, p を用いた漢方処方にのみ Rf約乱5I 乙特有の黄緑色のけい光スポッ トを検出し ,乙のけい光スポ ットは希硫酸噴霧後, 10 5 ° で 3∼5分間の加熱により濃赤色を呈した。 カ ンゾウの確認 一一, 一一一一−・一一一一 一‘ λヴ f v 事 photo. I TLC,甘草 UV時 新 ~t ~t 彊 小柴胡湯製剤 麻 杏甘石湯製剤 小青竜湯製剤 内 市 号 、 , 一 phσ to3 . TLC,甘草 ,葛槙湯, 小青竜湯 UV時 ゴ ボ ザ ル 申一葛捜湯加川湾辛夷製剤 弘ザ巴 一 麻杏意甘湯製剤 b pi’ 二各 一平 胃 散 製 剤 ? E 一 一 大黄甘草湯製剤 , ド 葛根湯製剤 一 一 新彊甘草 西 北甘 草 東 北 甘草 甘東西薪 草 北 北彊 西 photo2 . TLC,甘草,希硫酸噴霧時 小青竜湯︵新彊︶ 小青竜湯︵西北︶ ﹂ 一小青竜湯︵東北︶ 川 一新 彊 甘 草 草 草 草 葛根湯 甘 甘 甘 葛根湯 北北 彊 葛根湯 新彊 西 東 photo4 . TLC,漢方エキス製剤 UV時 HPLC 各産地の甘草及び乙れを用いた漢方処方はっき ,HPLCを行った結果については Fig.Iに示 5 分 K特有のピークが した。乙れによれば新彊産甘草及び乙れを用いた漢方処方にのみ ,R工 約 1 認められたが,乙のピークは先に TLCにおいて認められた新彊産甘草特有のスポット部分の抽 出液についての H PLCのピークとは一致しなかった。 ー − ' ) ' )- 葛恨湯(東北甘草) 葛級副(西北 t t草 葛被溺(新彊甘草) Gl y Gl Y . Gb . 強 小膏竜湯(東北甘草)!\小育竜湯(西北甘草)日|小青竜湯(新彊甘草) Gh : , 東北甘草 西北甘草 新彊甘草 Glx Gb Gb. 1 甘草及び湯液の HPLCパターン Fig.. L 円 内角U I 甘草中グリチルリチンの湯液中への移行率について l 試 料 : 実 験 !と同じ。 2 . 試験方法 1)甘草中グリチJレリチンの定量 水 ・メタノーノレ混液( 1 :1)を用いて 3回各 1時間還流抽出後,抽出液を合わせて一定量 とした液につき HPLCにより定量する。 2)漢方処方還流抽出液中のグリチノレリチン定量 漢方処方の原生薬にその 2 0 倍量の水を加え,沸騰後 2時間撹持還流抽出を行 う。沸騰開始後 3 0 分毎に抽出液の一定量を採取し,遠心分離した上澄液につき HPLC~r.. より定量する。 3)漢方処方開放抽出液中のグリチルリチン定量 漢方処方の原生薬にその20 倍量の水を加え,抽出水量が約半量になるまで煮沸,後布としし, 更に遠心分離した上澄液につき HPLCKより定量する。 抽出方法及び前処理 抽出方法 還流 h 1 I出 開童女紬出 原生薬+ 20倍量の水 原 生 寮 +20 倍量 の水 甘 箪 2g 水・メタノー J レ混被 ( 1 :I) ・ 90 l 加え 、 1時 間還 流 沸殴後 2時間境伴抽出 水量が約半量 になるまで煮務 3回錬 り 返 し 抽 出 す る 30 分毎に一定量を 1 1取 ・ 話量被は布ごしする 紬出被を合わせ、 300 1に メスアップ 1 1取 後 遺 心 分権 ・ 遠心分 緩 ( 40 00r P• 2 0 分) ( 4000rp 2 0 分) 水・メタノール混厳 ( 1 :1 )で 2倍 に 希 釈 上澄液ろ過 ︶ hv 且J フ , , .イ − ヲ ンIll 上澄被をろ過 プ ン メ ,、 ‘ , メンプランフィ J レタ ー ろ過し H P LC へ (メンプラン フィ J レ タ ー) HPLCへ HPLCへ 3 . 試験結果 1)甘草中のグ リチノレリ チン霊 各産地の甘草につき定量を行っ た結果について Tab l e1 .K示した。乙の値からは甘草の産地 別にグリチノレリチン含有量の大差は認められなかった。 Tabl e. I 産地別甘草のグリチルリチン含有率〈%〉 東北甘草 ( I ) 東北甘草( 2 ) 4.16 4.34 - 西北甘草 3.4 6 ?A - 新彊甘草 4.53 2)甘草中グリチルリチンの湯液への移行率 各産地の甘草に含まれるダリチルリチンの湯液中への移行率を経時的に求めて F i g .2に示し 5 ∼75%で,甘草花よって移行率に約 10%の差が認められた。 た。乙れによれば,移行率は6 l0 0 グ チ 80 j レ チ ン 移 行 率 60 ‘ 、 f 、 J 40 各甘草中のグリチルリチン含有率(%) 口 東北甘草 ( 1 ) 4.16 × 東北甘草( 2) 4.34 。 ! : : , 西北甘草 3.4 6 新彊甘草 4.5 3 20 。 bp 30 60 90 12 0 時間(分) Fig. 2 . 産地別甘草の熱水中へのグリチルリチン移行率 〈還流抽出〉 -2 5ー 3)漢方処方中グリチノレリチンの湯液への移行率 各産地別甘草を用いた葛根湯並びに小青竜湯につき,グリチノレリチンの湯液中への移行率を 経時的に求めて F ig .3I C示した。 乙れによれば,グリチノレリチンの溶出量は ,いずれも沸騰後60∼90分で最大となり,これは, 先l 乙報告したマオウ中エフェドリンの場液中溶出の経過に一致する。 一方,溶出率について葛根湯においては65∼75%,小青竜湯においては25∼40%と両処方に 格差が認められた。 10 0 各甘草中のグリチルリチン含有率(%) ロ 東 北 甘 草 (1) 4 .16 20 x 東北甘草( 2 ) 4.34 t : . 西北甘草 3.4 6 0 新彊甘草 4.53 。 bp 30 60 90 12 0 時間(分) Fig. 3 . 葛根湯・小青竜湯の湯液中へのグリチルリチン移行率 〈還流抽出〉 − ?広一 4) 還 r u 白出と開放抽出におけるグリチ Jレリチンの移行率 葛根湯,小青竜湯についてそれぞれに還流抽出と開放抽出を行いグリチノレリチンの移行率を求 めて Ta b le2で比較した。これによれば選流抽出の方が開放抽出の場合よりも,いずれも定量値 が高く ,その差は 7∼25%とぱらついた。 Table2 . 還流抽出と開放抽出のグリチルリン移行率の比較 甘草の産地 耳慣 主事 設 東北甘草 ( 1 ) 東北甘草( 2 ) 西北甘草 新彊甘草 還流抽出 67.3% 76.1%・ 66.4% 75.3% 開放袖出 52.9% 52.1% 54.9% 52.5% 還流抽出 34.6% 42.2% 28.1% 38. 4,, 開放抽出 26.8% 17.7% 21.2% 25.7,, 主島 J、事号壱邑詣島 ノ 5 ) pHの変化とグリチノレリチンの移行率 小青竜湯湯液のグリチノレリチン移行率が葛根湯のそれに比 べて著しく低い原因につき検討した。 Tab le3は葛根湯と小青竜湯の構成生薬を比較したものである。小青竜湯のグリチJレリチン移行 率を低下させる原因が,小青竜湯中のいずれかの配合生薬にあると考え,半夏抜き,細辛抜き, 五味子抜きでそれぞれ小青竜湯湯液を作り ,各湯液中へのグリチノレ リチン移行率を求めて ,その ig.4K示した。五味子抜きの小青竜湯が約 50% のグリチJレリチン移行率を示したのに対 結果を F して ,半夏抜き,細辛抜きの場合は小青竜湯そのものと大差はなかった。そ乙で五味子抽出液に hot o5K見られるような綿状の沈殿を生 グリチノレリチンの水溶液を加え,加熱してみたと乙ろ p じた。 . 2,小青竜湯湯液の pHは 4 . 2と両湯液の pHK差があるのは,小青竜 一方葛根湯湯液の pHは 5 湯中に配合されている五味子 中の有機酸によるものと判断される。そ乙で小青竜湯湯液の pHを O . l NKOH添加により順次変化させて定量した。その結果,五味子抜き小青竜湯とほぼ同じ pH 値において定量値はほぼ一致し,移行率は約50%に達した。 Table3 . 構成生薬の比較 葛根湯 pH:5 . 2 小青竜湯 pH:4 . 2 黄枝薬草委 麻桂弓甘乾 黄枝薬草委 麻桂弓甘生 葛大 根 ×半夏 藁 ×細辛 . 1 O五味子 pH:3 -2 7- phot o. 5 60 「 五味子按き小青竜湯 〆 グ チ jレ チ ン 移 行 率 、 ‘ ” 50 。 i‘ 40 0 ' % 土手夏抜き小青竜湯 細辛抜き小青竜湯 げし如、 ι 20 3. 0 4.0 5. 0 6.0 pH 7.0 8 . 0 Fig. 4 . 小青竜湯湯液+O . IN-KOHで pH調整した場合 のグリチルリチン移行率〈%〉 考 察 現在市場に出廻っている東北産並びに西北産甘草 K比べて,新彊産甘草は,グリチ Jレリチンの含量 としては大差がなく,その他の含有成分の種類が異なることを改めて確認した。漢方薬市場において は,甘草の使用に関し産地を云々する傾向があるが,新彊産甘草には少なくとも 2種類の特有な成分 が認められた。 一方,漢方処方湯液中のグリチ Jレリチンの動向が,他の生薬成分によって影響を受ける乙とは寸づ:1 2 ) l 乙考えられる。国立衛生試験所の野口は pHの低下で‘甘草中グリチ Jレリチンと黄連中ベノレペリンが結 合して沈殿を生じると報告している。今回の我々の実験において小青竜湯中に配合されている五味子 抽 出 航 グ リ チJレリチンの水溶液を加えると綿状の沈殿を生じたが,乙れと岡山とが小荷揚の湯 液中でも起乙っているものと判断され,その沈殿物が遠心分離やろ過の過程でろ別されて定量値の減 少をひき起としたと考えられる。したがって小青竜湯湯液の場合,古典で指示されているように,煎出 後,沈殿が浮遊状態にある熱い内に自の粗い布でろ過して服用するととがより効果的である乙とが判 ,明した。 また,開放抽出の場合に定量値カ河正下したのは,開放抽出の場合抽出液が約半量に濃縮され,湯液 ‘ 中グリチノレリチン濃度も高まり,生薬残置中に包含残存して定量Kあずからない分の湯液に含まれる グリチノレリチン量も多いためのばらつきと考えられる。 A以上,漢方湯液においては,その調製方法によって格差が生じることが多く,湯液の調製のみなら ず,エキス製剤の製造工程において も,各漢方処方の特性を十分に検討したよで,より効果的な抽出 処理方法を採用すべきである。 - 28- f 参考文献 1 ) 西本和光:甘草の品質,現代東洋医学. 2) 野 口 2N o .1(1981) VOl 衛: Studies on the PharmaceuticalQuali t y Evaluation o fCrude Drug Preparations Used i n Oriental Medicine “ Karnpo” V l . 13C N MR St u d i e s on Diberberinemonoglycyr r h iz inate and Related Compounds, 生薬学雑誌, 39(2) 101∼1 05(1 985) ]• nH d nL 家庭薬研究 N o . 53 0(1986) 【原著〕 直打錠の成分 Cp 値による均一↑生の改善~ 小 西 良 宜 河 内 敏 夫 Yoshinob u KONISHI 田中 T o s h i oKAWAUCHI 悲 Tsutomu TANAKA テイカ製薬株式会社※※ 製薬企業は,有効でかつ安全性の高い優良な医薬品を供給するため,製造工程全般にわたる品質管 理を組織的陀進めている。 今回,直打錠の A製品について均一性の向上を目差し,製造部門と品質官理部門が協力して成分含 量についての工程能力指数 Cp. Cpk値を算出した。工程能力が低い成分については,その原因を調 正 ー. − 、 査 ・改良する乙とにより,製品均一性が改善されたので報告する。 製品及び工程の概要 A製品の処方は,アセトアミノフェンが5 0% ,ア リルイソプロピルアセチノレ尿素が1 0%及び無水カ フェインカ)8 . 3 %である( Table l)o・その製造工程は主薬及び賦形薬を混合し, 2 0メッシ ュのふるい 主 を通過させ,再度混合し直接打錠している( Fig.1) 。 薬 眠形薬 Table. I A製品の処方内容 300 50. 0 % アリルイソプロピルアセチル尿素 60 1o .0 % 無水カフヱイン 50 8. 3 % 賦形薬等 190 31. 7 % 600 100. 0% アセトアミノフェン 5 十 €i 込 打 錠 (単位呼 j Fig.. I A製品の製造工程 実験の部 l 現状把握 A製品に配合されているアリノレイソプロピルアセチノレ尿素は,社内品質管理部のデータによると, 定量値が規格幅中でばらついており( Fig.2),ロ ット聞のばらつきを小さくするため ,成分含量 の工程能力指数 Cp. Cpk値を算出し,工程能力が低い要因を検討した。 ※ 第 5回家庭薬開発研究会シンポジウム発表 3 0 富山市荒川 250 ※※干 9 (富山, 1985年 1 1月 6日) TEL 0764 (31) 8881 -: r n- 正 2 . Cp.Cpk値の算出方法 F i g .3I L .示すように,Cp値は規格幅分の 6σ (標準偏差)であり,その意味すると乙ろは ロy ト聞において ,標準どおりの作業が行われたときに ,どの程度の品質,つまり 一定の製品が製造で きるかを示すものである。すなわち分布のピークが高く,ピーク幅の狭いほど大きい値となる。 Cpk値は ,ζ の Cp値にカタヨリ度,つまり平均値と中心値を加味したものであり,分布のピー クが高く,幅が狭くても平均値が中心値からずれるほど値は小さくなる。 % 110 −一 一一 一一一一一一一一一一 一一一 一一一一 一 一 。 。 0 。。 。 。 。。 。。 。 。 。 。 。 。 。 。 。 。。 。 。 − − − − − − −−− ー − −-0− ー ー ー ・ ・・ ・ -4---−ー一一ーー ー一一ーーーーー ーーーーー一一。一 一 ー ・o _ o _ _ _ _ _ _ __ 100 0 。 司 5 90 5 1 0 1 5 2 0 2 5 3 0 Fi g . 2. アリルイ ソプロピ ルアセチ J ,尿素の定量値 I Su -SL Cp=一一 一一一 一一一 6σ 3 5 ロット数 ( 上限規格〉 ー 〈下限規格〉 一 6×〈標準偏 差〉 Su -SL (上限 規格) ー (下限規格〉 Cp k = (1-K)一一一 一一一= (1-f J 93 リ度〉 × 6σ 6×(標準偏差) ~ l (Su +SL ) /2 -xl K= (Su -SL)/ 2 Cp Cp k ・・ 4 Su SL Su Fig. 3 . Gp, Cpk値の算出方法 -3 1一 L 汚L 3 . Cp, Cpk値の工程能力有無の判断 Cp,Cpk値から工程能力を判断すると ,Cp(又は Cpk)値が 1 . 6 7以上であれば工程能力は十 . 3 3以上であれば工程能力 分過ぎ,管理の簡素化,コスト低減などを行う乙とができる。 167未満 1 0以上であれば工程能力は は 寸 づ :1であり,その状態を維持する乙とが必要である。また, 133未満 1 寸 づ :1 とはいえないまでもまずまずであり,管理体制を整え管理を十分行う必要がある。 10未満であ れば工程能力が不足しているので改善が必要となる (Table2 )。 Table 2. 工程能力の有無の判断 No (p(文はCpk) 値 Cp孟1 . 67 工程能力有無の判断 処 置 工程能力は十分すぎる 2 l.67>Cp孟1.33 工程能力は十分である 理想的な状態なので維持する 3 l.33>Cp孟1.0 工程能力は十分とはいえ 工程能力をしっか り行い、管 ないがまずまずである 理状態に保つ .0 >Cp ~0. 67 工程能力は不足している 4 1 全数選別、工程の管理・改善 を必要とする 5 品 質 の 改 善、原因の追求を行 い、緊急な対策を必要とする 0.67>Cp 工程能力は非常に不足し ている Table 3 . 各成分の Cp, Cpk値 \ \ \ アセトアミノフェン 含量最大値 104.5% 含量最小値 95. l% 平 1 直 川イソja t : J i7げ J i尿蒙|無水カフェイン ]06. 9% 96. 6 % 94.7% l02. l6 % 97. 18% l . 888 2.984 l . 478 cp値 l.766 l. I17 2. 255 C pk値 1.7 19 o .875 1.6 19 均 標準偏差 99. 73 % l02. 2 % n=35 4 .現状分析 A製品について 3 5ロット,各ロット 3 0錠の定量値から各成分の工程能力指数 Cp, Cpk値を求め T こ 。 乙の結果を Table2 K基づき判断すれば,アセ トアミ ノフェン及び無水カフェイ ンでは工程能力 値0 . 8 75で工程能力は不十分 は十分であったが,アリノレイソプロピノレアセテJレ尿素においては Cpk であった( Ta b l e3 ) 。 - 32- 5 . 要因分析 アリ JレイソプロピJレアセチノレ尿素の工程能力指数Cp. Cpk値を L 3 3以上に改善するため ,その 要因を分析した。 ( 1)定量の精度の不足。 ( 2 )原料の定量値がぱらついている。 ( 3 ) アリ Jレイソプ ロピノレアセチノレ尿素が均一 になっていない。その要因として , 。 粒度がぱらついている。 。 混合時間及び割合が少ない。 以上の要因について,それぞれ検討を試みた。 結果及び考察 1 定量の精度 A製品のアリ Jレイソプロピノレ尿素を液体クロマトグラフ法 1)で定量したととろ,変動係数 CV値 1%であ り , 精度が高い乙の定量法に問題 はなかった。 Table 4 . アリルイソプ口ピルアセチル尿素の定量値 〈%〉 2 . 原料の定量値 I00. 7 1 1 99. 5 2 99. 3 1 2 I00. 6 3 98. 6 1 3 99. 1 4 100. 9 1 4 99. 2 5 99. 2 1 5 I00. 5 6 I00. 9 1 6 99. 4 7 I00. 7 1 7 99. 8 x=99. 75 8 99.4 1 8 99. 0 σ=O.795 9 I00. 8 1 9 98.6 c v=0. 797 I O 99. 1 2 0 99. 7 原料2 0ロッ トを定量したとこ ろ,平均値 は 99 . 75• CV値は 0 . 797であり ,原料の 定量値には問題はなかっ た (Table4 )。 3 . 粒度分布 各原料 1 0ロッ 卜について粒度分布を調べ たと乙ろ ,それぞれの粒度分布は ,Tabl e 5K 示すとおりであった。 Table 5 . 各成分の粒度 手 立 アセ トアミノフ ェン 度 ∼3 2 m esh 一一 3 2∼4 8 me sh 一一一一一 4 8∼8 0m e sh 8 0me shp a ss ゐ ロ' 5 十 。 。 。 11rnイソフロ ~Jll七予Jl 尿素 40. 0% 32. 5 % 8. 5 % 100% 19. 0% 100 % 100. 0% -3 3- 無水カフヱイ ン 。 。 。 10 0 % 100% そ乙で,アリルイソプロピノレアセチノレ尿素の粒度分布が広いととにより,定 量 値 比 影 響 を 及 ぼ す ig .4) 。 乙とが考えられ,検討するため次の 3タイプの原料を用いて検討を行った( F n u − − − 且 日 % 1 0 0 7 5 5 0 、 > . :1•• " ' / 2 5 。 3 2 4 8 3 2 8 0 4 8 8 0 32 4 8 8 0 m e sh Fig.4 . 粒度が異なるタイプの原料 I 粒度分布の平均値に近いもの 1 3 2メ y シュ及び4 8メッシュ残留ほぼ半々のもの 皿 8 0メッシ ュパス 1 0 0%のもの 3タイプの定量値から工程能力指数 Cp’Cpk値を求めた( Tabl e6 )。その結果から粒度のばら つきが大きいほど定量値のばらつきも大きい乙とがわかった。 Table 6 . 3タイプの原料の Cp, Cpk値 \ \ Iを使用 成 分 名 71JI!イソ;ae1'7~7!l 尿素 σ x cp値 Cpk 値 1 0 3 . 2 3 % 3 . 0 4 l . 096 0. 74 1 Eを使用 I I 9 9 . 2 8 % 5. 2 7 0. 632 0. 586 田を使用 I I 1 0 2 . 0 9 % l . 3 3 2. 506 1 . 982 アセトアミノフェン 1 0 0. 9 9 % 0. 9 6 3. 472 3.. l28 無水カフェイ ン 9 8 . 7 3 % l . 4 0 2.489 2. l72 I ,I I (n=8) , - 34ー 皿 (n=lO) 4 . 混合時間及び配合割合 混合時間の多少の増減で、は,定量値のバラツキの程度は従来と変らなかった。 Table7R. . 示 す A製品及び B製品を用いて配合割合の関係について検討した。 B製品は造粒後, . . 1 5%配合のマレイン酸クロノレフェ 打錠と条件は異なるが,配合割合の非常 K少ないものとして, 0 0 0ロット比おける各成分の Cp. Cpk値を求めた( Tab le ニラ ミンを選んだ。 A製品及び B製品 1 8 )。無水カフェインでは Cp, Cpk値が共に低く,マレイン酸ク ロJレフェニラミンでは Cpk値 0 . .994であり,工程能力が不足していることが分かつた。 Table 7 . A • B製品の成分配合割合 \ \ \ \ \ A 製 ロロ アセトアミノフェン 50. 0 % 了 . , 品 シ ソ7 ピ 日l J 了間』尿素 1o .0 % 無水カフェイン 8. 3 % マ L イン酸フ a /~フ工 ニ ラ ミン 製 ロロ 13. 7 % 1. 59 % 0. 15 % Table 8 . A A B ・B製品の Cp, Cpk値 製 ロロ よ子\ Cpi 直 アセトアミノフェン 1. 766 ? ' I l lイ ソ7 ピ 日J l 7 t f l '尿素 1. 117 o .875 無 水 カ フ ェ イ ン 2. 255 1.6 19 cpkf直 B 製 cp値 1.7 19 2. 4 35 . 一 ロロ Cpk値 2. 323 l.464 1. 153 l. I57 0. 99 4 一一一− 一一− マLイン酸ク a l JJ. rこ うり タ まとめ 以上の結果から, 工程能力指数 Cp,Cpk値の改善には,アリノレイソプロピルアセチ Jレ尿素の粒度 0メ yシュを通過するものとする乙とが必要と考 を,アセトアミノフェン及び無水カフェインと同じ8 0メッシュを 100%通過する原料を用いた。 えられたので,以後の製造陀は, 8 8 0メジシ ュを 1 0 0%通過する原料を用いて製造した 21ロットにおいて,アリルイソプロピルアセチ g.5 ), Cp.Cpk値を求めたと乙ろ, Cp1 . 7 1 5 , ノレ尿素の定量値のばらつきは小さくなっており( Fi Cpk1 . 560と明らかに工程能力が向上した( Table9 )。 乙のととより混合時閣の短縮や ,仕込量の増大など管理の簡素化が期待 8れる。 なお ,配合割合の非常民少ない成分の工程能力の改善には,今後,さらには検討の必要がある。 phu 内 ペU μ Ji % 110 & 』 』 & A A A 企 100 企 一 A A A A & ‘ ー A A A 90 5 1 0 2 0 1 5 ロット数 2 5 Fig. 5 . アリルイソプロピルアセチ } ( . .尿素の定量値 \ \ \ アセトアミノフェン 7 '))~ イソ} O ピIll 七子I~ 尿素 含量平均値 99・ . 18% 99. 10 % 98. 30% 標準偏差 1 . 798 1 . 992 1 . 760 cp値 1 . 900 1 . 715 1 . 94 l Cpkf 直 I . 744 I . 560 I . 610 改 = 差 無水カフェイ ン 後 含量平均値 99. 73% 102. 16% 97. 1896 標準偏差 I . 888 2. 984 I . 478 cp値 1 . 766 1. 1I7 2. 255 Cp k 値 I . 7 19 0. 875 1 . 6 19 改 韮 z コ I J I J Table 9 . 工程能力 文献 1) 小鍛治まち子 :高速液体クロマ トグラフ法による製剤中のアリルイソプロピルアセチノ レ尿素の 定量,家庭薬研究 3 45 (1984) 2 ) 木 暮 正 夫 : 工程能力の理論とその応用,日科技連 - 36ー (1975) { 家庭薬研究 N o .5 3 7 (1 9 8 6) C原 著 〕 糖 衣 錠 の 結 合 剤 に つ い て※ 吉岡 毅 正川康明 T a k e s h iYOSHIOKA Y a s u a k iMASAKAWA 清水正彦 Masahiko SH IMIZU 株式会社贋貫堂※※ 糖衣錠とは製錠した錠剤を白糖等の物質で剤皮を施したもので,服用時の苦味・刺激性の防止 , 剤 皮の防湿効果による錠剤の変質防止,外観上の美しさによる商品価値の向上 ,着色による錠剤の識別 等の目的で一般に用いられている剤形である。従来,乙の糖衣錠を製造する際に使用する剤皮には, 糖衣層の強度を高めたり,裸錠と糖衣層間または糖衣層間同士の結合力を高めるため に , ゼラチンや アラビアコ。 ム等の結合剤が使用されている。しかしながら,乙れらの結合剤にも問題がある。例 え ば, ゼラチンを用いると経目的に褐変現象を起したり,糖衣層の不溶化をきたして崩壊時聞が遅延すると とがある 。 また,アラビアゴムを用いた場合 Kは結合力が不充分で衝撃等 Kよるひび割れ等が発生す る乙とカまある。 そ乙で,今回ひとつの試みとして ,食品加工分野において実績のあるプノレランを結合剤として検討 してみた。 ‘ , ‘ 日HIG c jr MH 1\ C− H JoH −ロ 一一 ロH − ロ o日 u I/ n H H110111 九\Yω u −− IZ 一 日 ハu一 叩 E αLFHD半日 。 \ y ロu唱11L HO O 一一 , ‘− − 一日一 H、 C H O 一H 。 比 イO 口 uvtlL 、\ノ〆 ぱu u一 HK[﹂ O .圃 一 u OH KO J〆\、 qu 一 日 日 一 −− 一 O Cl FHQH H 白|﹂ ym H O一 一一 日一日一 p o 札イ UH −− ﹄ ﹀ ハ \、/ 〆 ロu ct p H D半日 O a − ,− − − H H一 C l/H O平日 HFO H 強 (C5H1005)n Fig.. I プJ I ,ラン (Pullulan) プノレランは .プJレラリア ・プノレランスの培養はより得られる菌体外粘質物で,その構造は . Fig,1 のとおり α − 1・4結合による 3個のクツ レコースから成るマ Jレトトリ オー スが,α − 1 ・6結合で繰 り返し鎖状に結合した天然高分子重合体である。 ※ 第 5回家庭薬開発研究会シンポジウム発表 ※ ※ 干930 富山市梅沢町 2- 9- 1 (富山 , 1985年 11月 6日 〉 T EL 0764 (24) 2271 -3 7ー 糖衣錠の試製方法 1 )下掛け 装置 菊水製作所製 No.16-D 25cm パン直径 回転数 条件 方法 30 rpm 裸錠仕込量 5009 結合液 l回注加量 8∼ 14c c 散布剤 l回散布量 3 59 温風温度 50∼60℃ 温風送風時間 15∼20min 裸錠を糖衣パンに入れ回転させながら調製した結合液を注加し,かき回しながら液を 錠剤表面に行きわたらせた後,散布剤を振りかけて更にかき回し温風を送り乾燥し, 1 前 乙れを繰り返す。 裸錠 1錠重量 2101 T l J /tab 下掛け終了 l錠重量 3 2 0 1 T l l J /t ab 2) 上 掛 け 装置 菊水製作所製 No.16-D パン直径 回転数 条件 方法 25c m 3 0rpm 仕込量 5009 被覆液 l回注加量 4∼6c c 温風温度 50∼ 60℃ 温風送風時間 1 0∼15min 下掛け終了錠を糖衣ノマンに入れ回転させながら調製した被覆液を注加し,かき回しな がら錠剤表面に均等に行きわたらせた後,温風を送り乾燥し,乙れを繰り返すb 上掛け開始 l錠重量 320呼/ t a b 上掛け終了 l錠重量 360呼/ t a b 試験方法 1) 崩 壊 試 験 日局「一般試験法 36 .崩壊試験法」の被覆錠の項目に従った。但し,ディスクは使用せずに行っ T こ 。 2)落下衝撃試験 2 . 5c mφ× 150c mのガラス管を垂直に立てビーカを受け皿として l錠ずつ l回落下させ糖衣錠の 状態を観察した。 3 ) 接着強度鼠験 *試験用チップ 1m ゆ× 2c mの塩化ビニーJレ製円柱の一方の面にフックを取り付け他の面を平らに切削した もので,切削面からフックの荷重部まで、の距離を 3 4 仰とした。 - ~8- 試験用チップの切削面を接着面とし,乙 の表面に結合液を塗布し,チップ同士を接 着し乾燥( 70℃ 6時間)してから更に減 0℃ 圧乾燥( 7 20mmHg 4時間)した後 シリカゲノレデシケ ータ中で放冷したものを 試料とする。 0 09/min 試料は Fig.2の様に固定し, 4 400g/min の速度で荷重していき,接着面が離れた時 Fig. 2 . 接着強度試験方法 の重量を測定する。 実験 . I Table 1 . の 1. 2' 3の処方による結合液を調整し.散布剤は沈降炭酸カノレシウム・タルク = 2: )により下掛けを行い,できあがった下掛け錠を各々瓶詰めし, 4 0 lの混合物を用いて各々試製方法 1 . ! : > ' ℃で保存し, 1ヶ月ごとに試験方法 1 )崩壊試験を実施した。乙の崩壊試験は,ー錠ずつ個々に剤皮だ けが完全に崩壊するまでの時聞を秒単位で読み取った(以後の崩壊試験も全て同様に行った。)その .f (.示す。 結果は Table2 Table. I 下掛け結合液処方 1 Acacia v 2 3 1199 1カ月 805 2870 1720 4% 2カ月 941 2941 1805 3カ月 949 3572 2783 50% 50% 製 34% 44% 46% i 口 ~ 計 PVP 2270 50% 水 PULLULAN 1017 6% p Acacia 初期 精製臼糖 精 n=l2 16% PULLULAN p Table 2 . 経日崩壊試験結果 (単位: sec) *数値は試料 1 2 個の合計崩壊時間 100% 100% 100% ζ 乙で得られたデータから経自による要因を A,結合剤の違いによる要因を Bとして くり返し数12 の二元配置の分散分析を行った結果は Tabl e3 .となり,要因 A, B Kは高度に有意差が認められた。 Table 3 . 分散分析表 要因 s v φ A 114833 . 3 3 38277 . 77 B 658444 . 5 2 329222 . 25 A ×B 67183.7 6 11197.28 1288 . 69 e 171396 133 T 1011857 . 5 144 -3 9- L Fo * * 2 9 . 703 O * * 2 5 5 . 47 8 . 689 次l 乙各結合剤閣の有意差を調べると 結合剤聞の有意差 >6.85 I= 1 16 . 41>6 . 85 I=139 . 41>6 . 85 IBI-B2 I= 510.62 IBI- B3 IB2 - B3 F (1 ,1 2 0 ,0 . 0 1 )=6 . 8 5 となり,各原料間 ζ lは崩壊速度 K差があるといえる。そこで各原料閣の母平均を推定しグラフ化する とFig.3となった。 Pを用いるととにより,それぞれ崩壊時聞に差があり, とのようにアラビアゴム,プノレラン, P v / 買序はアラビアゴム, pvp,プノレランのI J 買に短かいといえる。また,初期の崩壊時聞に対する そのI 経日後の崩壊時間の割合をみると, Fig.4となり,アラビアゴムは全く崩壊の遅延が認めらなかった が PvPはかなり遅延し,プルランも遅延するとと が解っ た。 3 0 0 崩 ーアラビア ープルラン PVP P AU 、 u ’ n ’ 壊 後 日 ・ て1 J J J J 一 ﹂ E J 4 ; : ﹂ J J ’ ’ ’ ’ − , J’J﹂ a −−﹂ a ,噌 ・田 ・’ J ’ ’ ’ ;J J ; ・:’ : : ; ・ − 二J 0 a −’﹂ ﹂’圃 A ’困 a a ’司 f a ニ − z 、 . , − − ・ ・ ﹂ −− = 一 ・﹂ − − − − 2 ・ ; 2 ・ ﹂ 二 ; − ・ − − − ; − ・﹂ − ; ・・・ 目 : ・ ﹂・ , ’ . −− 目 −− a− 。 ( . . .. 期 初 −−−− / ~, 、, 、 EE 噌 I 2 0 0 1… ……… h −− 1 0 0 ”、 np hu nu unHV ' ¥ . J 'l / 4 ・・ ・ 4 . , ・ : : よ . . − ・ ・ ’, − −− − − , − .. − ・ ・, − ’. 回 .. . . . − ., . . .,− ... . . 間 ( s e c ) u / \ \ 時 2 0 0 s o l ・ …・ー ? 。 B1 B2 (Acacia) (PULLULAN) Fig. 3 . 初期 B3 1ヶ月 (PVP) Fig. 4 . 崩壊時間の経日変化 グラフイヒ 実験 2 . 裸錠 210m g/tab 実験 1のアラビアゴム結合液と散布剤 下掛け錠 3 20呼/ tab 上掛け液処方 N o .1 終了 36 0m g /tab 2ヶ月 上掛け液処方 N o .2 終了 - 40- 360m g/tab 3ヶ月 Table4 .上掛り液処方 Ta ble5 . 糖衣錠硬度 2 1 白 糖 糖製 65 % 65 % N 1 . 5% x PULLULA N 製 精 20 20 9 . 935 9 .505 35 % 33 . 5% s 24 . 9255 17 .7695 100 % 100 % v 13119 0 . 8885 7 J て 計 正 ロ 』 2 (モンサント硬度計による測定) 実験 1. で用 いたアラビア コ・ム 結合液 と 散布剤で 320~/ t abまで下掛けし,更にTabl e4 . の上掛け a bまで上掛けする。乙のできあがり糖衣錠の硬度を測定 した結果 Tabl e5 . 液 1, 2 で各々 360~/ t K示すとおりとなった。 乙の結果から等分散と平均値の差の検定を常法に従い行うと Fo= 148く F (2 0 ,2 0 ,0 .05/ 2) = 2 . 46 分散に差があるとはいえない( α =5% ) t0 = 1 .28く t (3 8 ,0 .05)= 2 .21 糖衣錠の硬度比は差があるとはいえない( α=5% ) となり, 上樹け層にプJレランを1 .5%添加しても硬度に影響を与えるとはいえない。 しかし試験方法 2 ) " 落下衝撃試験を行うと Tab le6 . のとおり プルラ ンを添加することにより .落下衝撃K対し糖衣錠が強 くなると思われる。次 K ,糖衣錠を瓶詰めし40℃で保存し, 1ヶ月 ごとに崩壊試験を実施した。その 結果は Tabl e7 . となり ,経 自による要因を A,上掛け液処方の違いによる要因を Bとして,くり返し 数 12の二元配置の分散分析を行っ た結果 Ta b le8 .のとおりとなり ,要因 A. BKは有意差が認められ なかった。更に グラフ化すると F ig . 5 . となる。 . 落下衝撃試験結果 Table6 1 2 欠 け 25 4 ヒ ビ? 25 46 50 50 合 計 Table7 . よ掛り錠崩壊試験 12030 1ヶ月 11541 10991 2ケ月 16329 13233 3ケ月 13910 12524 初 1 崩壊時 期 (単位 :s e c ) 2 13838 n=l 2 2 00 0 1000 *数値は話料12個の合計崩壊時間 間 ( s e c ) Table8 .分散分析表 要因 s B j=654.6 v Fo . 2302 6 . 66 0 3 34563 や A 1036910 B 108370 1 108370 A×B 519550 3 173183 . 33 0 . 1153 e 1 .32126×10 1 88 1501431 .8 T 133791×10 1 1 95 乱0722 B1 B2 (PULLULAN 添加) Fig. 5 . グ ラフ 化 -4 1ー 乙のように,上掛け層にプノレランを添加する乙とによって,崩壊時聞に影響を与えずに耐衝撃性 を 向上させる乙とができるものと思われる。 実験 3 . 実験 1 . で用いた下出け用結合液 1, 2 (Tabl e9 .)について ,試験方法 3) ,接着強度試験を行った と乙ろ Table 1 0 .f 乙示す結果となった。 Table9 . 接着強度試験結合液処方 1 Acacia 精 2 1 16 % PULLULAN 精製 Table 1 0 . 接着強度試験結果 6% 臼 糖 50 % 50 % 水 34 % 44 % 計 100 % 100% 製 注 口 』 2 N 10 x 339 449 . 5 245190 514122 . 5 s v 27243 . 3 10 57124 .7 乙れから等分散 と平均値の差の検定を常法に従い行うと =1 . 582< F (9 ,9 ,0 . 05/ 2 )=4 .03 Fo 分散に差がある とはいえない( α=5% ) to =1 . 203く t(1 8 ,0 . 05 )= 2 . 101 下掛け結合液の接着強度に差があるとはいえない( α=5%) となり,下掛け結合液として用いたアラビアゴム液とプルラン液は,今回の接着強度試験では ,統計 的に差が認められないといえる。しかしながら実験データの平均値が示すように ,プノレランを使用し た方が接着力が強い傾向にあるように思われる。 結 論 今回の実験においては ,1 6%アラビアゴム下掛け結合液と 6 %プ ノレラン下掛け結合液の接着強度は, プノレランを用いた方が強い傾向にあるように思われる。しかし ,初期の崩壊時間はアラビアゴムを用 いた方が崩壊時聞が短かく,崩壊遅延も認められなかった。 一方,上担当け液ζ lプノレランを添加したと 乙ろ糖衣錠の耐衝撃性を向上させる乙とが解った。 ー − A? - 長 家庭薬研究 N o .5 4 3(1 9 8 6) 〔原著〕 サリチル酸グリコールとノニル酸ワニリルアミド含有 ぺレット貼付剤 KTの作用について※ 北本祐子 野村 Yuko KITAMOTO 明 A k i r a NOMURA 横井秀輔 H i d e h a r u YOKOI リードケミカ Jレ株式会社 研究開発部※※ ペレ y ト貼付剤 KTは主成分としてサリチノレ酸グリコ ーノレと局所刺激作用を有するノ ニノレ酸ワニリ 百 ノレアミド(以下 NAと略)を含有し,ぺレット状に成形した新しい製剤であり,患部のポイントをお " ' " Sえて温感刺激を与え,皮膚に密着して薬物が吸収される。乙れらの特徴に加えて, KT貼付 l とより 貼付部位の皮膚血流量の増加と皮膚温度の上昇のある乙とが実験動物レベノレ(ウサギ)陀おいて認め られている;)今回成人男女のボランティアにより KT貼付部位の皮膚血流量と皮膚温度の変化陀つい て検討したので報告する。 実験の部 1) 被 験 材 料 ( 1 ) ぺレット貼付剤 KT (以下 KT と略) 2 m mの鮮創膏で、固定した貼付剤で,有効成分とし 薬剤を直径 6聞のペレット状に成形し,直径2 て 1粒中, d P ,ーカンフル 0 . 8 m g 'R ,ーメント − )レ3 . 2 T n g,ジフェンヒドラミン 0 . 3 2m g,サリチル酸グy リコーノ レ6 . 4 7 T l & 1,ノ ニノレ酸ワニリノレアミド 16呼を含有す る 。 ( 2 ) 比較対照試料 1 K Tの膏体から NA を除いた成分を KT と同ーのぺレッ ト状に成形して紳創膏に固定した。 ( 3 ) 比較対照試料 2 KT と同ーの形状を有する コルクを紳創膏 K固定した。 ( 4) 被 験 者 年 令2 2∼3 5才の健康成人男女ボランティアを対象とした。 2) 実 験 方 法 ( 1)皮膚血流量の測定 3 ∼26°の室内で被験者は椅子に腰かけ手はほぼ心臓の高きで机上に静置し,中指中節骨 室温2 . 2 ) 3 ) 上部の皮膚にセンサ ーを取りつけ,熱勾配式組織血流計 _ , , (バイオメアイカルサイエンス K . K . BT G -1 )はより,試料貼付後6 0 分間の皮膚血流量変化を測定した。試料は第三中手骨と第四 . 4 ) 5 ) 中手骨間上部の皮膚 K貼付した。また,血流量は電解式組織血流計 エンス正に (バイオメデ、イカノレサイ RBF-1 )によりあらかじめウサギ耳介を用いて測定し,絶対値を算出して乙れ を外挿した。結果は,試料貼付前の血流量に対する貼付後の変化を百分率で表わした。 ※ 第 5国家庭薬開発研究会シンポジウム発表 ※ ※ 〒9 3 0 富山市日俣 77- 3 (富山, 1985年 11月 6日) TEL 0764 (25) 1978 -4 3- ( 2 ) 皮膚温度の測定 室 温2 3∼26°の室内で被験者をベッ ト上に横臥させ毛布をかけて環境に順応させた後 ,腰椎部 の皮膚温度を測定した。測定は皮膚表面と試料の聞に温度センサ一(宝工業 K民 XK67)を固 定し ,表面温度計(宝工業 K .K D641)により貼付前後の皮膚温度の変化を測定した。皮庸温 度の測定値はチャ ート上で 2分間隔で数値を読み取り, 6 . 0分毎の平均皮膚温度を求めた。 実験結果 1) 皮 膚 血 流 量 測定した 5例のうち22才女性の例を Fi g .lK示した。 KT貼付後20 分∼6 0 分に持続的な血流量の 増加が認められた。また比較対照試料 1の貼付により 2 0分∼6 0分後の血流量は貼付前に比較 しほと んど変化が認められなかった。比較対照試料 2の場合, KTのような上昇はみられず逆に減少の傾 向が認められた。 Fig.2.~C:. は24才男性の例を示した。 K T貼付によって乙の例でも,持続的な血流 量の増加が認められた。 比靭棟、試料 lでは2 0分後の減少陀続いて4 0∼6 0 分後に増加が認められた が , KT貼付時にみられた著しい変化はみられなかった。比較対照試料 2の貼付では20 分後に若干 の増加が認められた以外は貼付前と比較して全く変化が認められなかった。測定例全例の6 0 分後の 血流量変化の平均は, KTで 10 幻%の増加,比較対照試料 lで 0.54%の増加 ,比較対照試料 2で 2.9%の減少であ った。 20 40 血 流 量変化 血 流 量 変 化 ( % ) 民同 1 ( -10 -20 20min 40min 20min 40min 60m1n 60min Fig.2. Fi g .I . 試料貼付によ る血流量変化 (22 才,女性 〉 試料貼付による血流量変化 (24才,男性 〉 2)皮庸温度 測定例を Fig.3 ,4f C : .示した。 3- 1は2 8 才男性の例で, KT貼付前の腰椎部の皮膚温は ,3 5 . 4° ∼3 6 . 2°,平均 35 . 9 ° ,KT貼付1 0 ∼2 0分後よ り徐々に皮膚温度は上昇し最高 1 . 20の皮膚温度の上 昇を示した。また貼付後6 0 分間の皮膚温度の変化は平均 0 . 9。の上昇を示し J以後 ω。前後の上昇が 約 3時間持続した。 3-2は3 1 才男性の例で,貼付前の皮膚温度は平均 35 . 8°,貼付後6 0 分間の皮 膚温度の上昇は 0 . 8 ° , 3- 3は2 7 才男性の例で,乙の場合が測定例中最も低く 0 . 3。の上昇にとどま った。皮膚温度の上昇は測定例( 1 2例)全例 K認められ,最高 12。,最低 0 . 3。で平均 0 . 5 4°の上昇 を示したム比較対照、試料 lでは貼付前の皮膚温度が 3 5 . 6。 ∼3 6 . 2°f L . 対して貼付後の皮膚温度は 3 5 . 7° -4 4ー ∼ 36 . 4°であり差は認められなかった( 4ー 1 )。また,比較対照試料 2では貼付前の皮膚温度が 35 . 7° ∼ 36 . 1° R . . 対して ,貼付後では 35.7に 36.3°であり皮膚温度の変化は認められなかった。 3 B ・ ト 貼付 3-1 M(28) 3 7 "' 3 6 ' 。 3 5 ' 2 3 3 B ' 皮 3-2 M(31) 貼付 膚 4 4-} M(31) l i t料 1貼付 3 7 " 3 7 ' i l f i . a 度 『 皮 。 3 5 ' 2 3 3 5' l 電 4 。 2 4 3 : 岨 目 巴 3 8 ・ ト 3-3 M(27) 貼付 3 7 ・ ト 3 5 ・ 4-2 M ( 3 1 ) ° 民 料2 貼付 3 7 ・ 。 3 5 ' 2 3 4 時 間 Fig.3 . KT貼付による皮膚表面温度変化 。 2 3 4 時 間 Fig. 4 . 対照試料貼付による皮膚表面温度変化 考 察 KTをヒト皮膚 K適用した場合,貼付部位の末梢血流の増加と,皮膚表面温度の上昇が認められ, NA を含まない比較対照試料 1' 2では乙れらの変化が認められなかった乙とから,温度上昇と血流 量増加は温感成分である NAによるものと判断された。また, ζの作用は NAKより知覚神経が刺激 3され末梢血管の拡張 l乙伴って血流量が増加し,その結果,皮膚温度が上昇するものと考えられる。温 ∼ 感成分の作用については,ラジトにおいてカプサイシンの静注により皮膚温度が 2 . 3 4 . 5°上昇する 乙とが報告のされているが,外用貼付剤 KTの貼付陀よって表面血流量の増加と皮膚温度の上昇が認 められた乙とは極めて興味ある作用である。一方,薬物の経皮吸収は皮膚表面温度比よって変化する 乙とが知られており,例えばサリチル酸の吸収量と温度は正の相闘を示す ζ とが報告されている。7) このことは,皮膚温上昇によって皮脂粘度が低下し,その結果,角質層中への薬物の拡散を高め,更 に血流量の増加陀よって薬物の吸収量が増大するものと考える乙とができる。本研究の結果, KTの 貼付において薬物吸収Kノニノレ酸ワニリ Jレアミドの皮膚刺激作用が関与しているととが考えられる。 - 45ー 文 献 1 )リードケミカルK . K . 研究部告 :未発表 ( 1 9 8 5) 2 )L.P.Carter,R .Erspamer, W J . Bro;C o r t i c a l Blood Flow :Thermal D i f f u s i o n vs I s o t o p eClear a n c e ,Stroke, 1 2,5 1 3( 1 9 81) 3)甲州啓二,遠藤俊郎,高久 晃,斉藤建夫 ;P e l t i e r Stack を利用した電極による連続的局所 脳血流測定の試み,第2 5回日本神経学会総会講演要旨集, 1 3 8( 1 9 8 4 ) 4 )K.Koshu,T.Endo, A.Takaku,T .S a i t o ;Measuremento fr e g i o n a lb l o o df l o wu s i n g hydrogen gas generated by e l e c t r o l y s i s , Stroke,1 3 , 48 3( 1 9 8 2) 5 )J .Donnerer,F.Lembeck;Heatl o s s react ion t oc a p s a i c i nthrough a p e r i p h e r a l si t e o fa c t i o n , Br.J . Pharmacol. ,7 9,7 1 9( 1 9 8 3) 6 )T.Arita,R.Hori,T. Anmo, M.Washitake, M.Akatsu, T.Yajima;Studies o n Percutaneous Absorption o f Drugs,Chem. Pharm.B u l l . ,1 8,1 0 4 5 (1 9 7 0 ) 持 ; a ( -4 6- 家庭薬研究 N o .5 47(1986) 【原著〕 Zymogen活性化機構におよぽすオウバク成分の影響※ 上 川 浩 Hi ro s h iKAMIKAWA 株式会社贋貫堂 研究開発部※※ 消化性酵素プロテア ーゼは,生体内において牌臓中で不活性な酵素前駆体,つまり Zymogenとし て合成される。乙の前駆体が小腸に分館、注れ,小腸に存在する活性化因子の作用を受けて,初めて活 性型の酵素に変換される。 ぬ ぜ 乙の活性化機構の例として,勝臓中の不活 性なトリプシノ ーゲンが ,小腸中の活性化因 |生薬成分 | 子であるエンテロキナーセ’ の作用をうけて活 性型のトリプシンに変換され,このトリプシ 小路 ンが残りのトリプシノ ーゲンはもちろんの乙 トリプシノーゲン v 工トリ プシン (酵素前駆体) エンテ ロキナーゼ ( 醇 索 ) と,他の Zymogenをも活性化させるという, (活性化因子) )(F i g.1 ) 段階的な機構が考えられている。I 前報 Kおいて,乙の Zymogen活性化機精 Fig. . I プロテアーゼ活性化機構の例 児およぼす生薬成分の影響の,試験管内解析 方法 Kついて検討した。乙れにより,センブリやゲンチアナ等のいわゆる苦味健胃薬が乙の活性化機 構を増強させ ,また,共にベルペリンを主成分とするオウレンとオウバク陀ついては,オウレンやベ Jレペリンがやは り増強的に働くのに対し,オウパクでは逆K ζ れを抑制する ζ とを見出し,報告した。2) 今回 ,オウ バクのもつプロテアーゼ活性化機構応対する抑制作用に注目 し,その作用機構や化学的 成分との関係について検討した結果について報告する。 実験方法 ~ 1 . 臓器抽出液: C3H/He系雄性マウスより解臓および小腸を摘出し,洗浄後それぞれ精製水を加 / o(W/V)磨砕液を調製した。とれを 1 2 , 000× 8で 30分間遠 え,ガラス製ホモジナイザーで 20o 心した後,その上清を各臓器抽出液とした。3 )乙れらを凍結保存し,用時溶解してプロテアーゼ活性 測定に用いた。 2 . 薄層クロマトグラフィ -~[ よる分画法:シリカゲ川O F2s4 プレー ト ( Merck : f : l ) を用い, 九一ブタノ ーノ レ ・酢酸・水( 3:1:1 )混液を展開溶媒として展開後 ,紫外線照射によ って検出 志れるバンドごとに簿層をかきとり,精製水で抽出した。 3 . 電気泳動法による分画法:支持体に0 . 7 %アガロースゲJレ (0 . 5 c m×lOcm×3 0 c m)を用い,定電流2 0 m Aで 1時間泳動した。その後 1c m 間隔で、ゲノレを切断し,液体窒素を用いて凍結,融解を繰り返し てゲルマトリ νクスを破壊し,精製水で抽出した。 ※ 第 5国家庭薬開発研究会発表 (富山 ・ 1985年 11月 6日) ※※〒 9 3 0 富 山市梅沢町 2- 9ー l TEL 0764 (24) 2271 -4 7一 4 . カラムクロマトグラフィーによる分画法; DEAEーセルロースおよび C Mーセルロース( Whatman DE-52, . CM-5 2)カラムを用いて,それぞれ O.lM Glysine-NaOH 緩衝液.( pH9 . 0)および O . l M AcOH-AcONa 緩衝液( pH4 . 0)でイオン交換クロマトグラフィーを,また, Sephadex Gー 2 5(Pharmacia)を用いてゲノレろ過を行い,各分画ごとに分取した。 5 . プロテアーゼ活性測定法:酵素前駆体として牒臓抽出液,また活性化因子として小腸抽出液また は精製トリプシン( DIFCO)溶液を用い,乙れらを希釈,混合し,さらに生薬抽出液または分画 0∼2 0 7 1 1 g相当量およびリン酸緩衝液( pH7 . 4)を加える。乙れを3 7℃で6 0分 液を原生薬に換算して 1 間インキュベーションしてプロテアーゼを活性化させた後に,基質として 1%カゼイン溶液 (Hammarsten氏法カゼイン 19を l/15Mリン酸ナトリウム溶液7 5 m £ 1乙加熱溶解した後精製水で 1 0 0£ mとする 。 )1m tを加え,さらに3防士間インキュベーションとして蛋白を分解させた後, 0.8M トリクロノレ酢酸溶液を 1m t加えて未分解の蛋白を沈殿させる。これを室温で、 2 0 分間放置後遠心し, その上清液を Im eとる。乙とに 0.4M炭酸水素ナトリウム 5mtと lNフェ ノーノレ試薬 1mtを加え, 37℃ で2 0 分間インキュベーションして呈色させ,その 660nmにおける吸光度を測定してプロテアーゼ、 , 活性とする。 4) 実験結果 乙のプロテアーゼ、 活性化機構におよぼす生薬成分の影響の作用機構を知るために,精製トリプシン のみに対する生薬抽出液の作用について検討した。 その結果,すでに活性を持ったトリプシンに対しては,オウレン等の増強作用はみられず,オウパ クによる抑制作用がわずかに認められたのみであった( Fig,2。 ) 次 K ,小腸抽出液のかわりに精製トリプシンを活性化因子として用いた場合は,オウレンの増強作 用はやはり認められなかったが,オウバクでは,小腸抽出液の場合と同様な強い抑制作用が認められ た( Fig,3) 。 ζ の ζ とより,活性化の増強成分は,トリプシンに対しては直接には働かないが,抑制成分はトリ プシンに直接作用してその効果を発現するものと考えられる。 e control ムオウレン ロオウバク 1 . 0 . μ . , . 〉 、 凶 巴 ω Eコ 込 F寸 υ , . . 。0.5 司 + ふ 仏 /ロ バ/ 1 0 2 0 4 0 D o s eo fT r y p s i n (児/m l l ) 8 0 Fig. 2 . 精製トリプシンに対するオウレン,オウバクの効果 - 48- 吃1 1 . 0 . . > . . . , ・ 4 同 ロ ω Eコ ム •"'1 オ / n u 内 〆 内/ 0 . 5 Cオ 0. 0 ペ ンク M レバ . . , −ム ロ . . . . 喝 υ ~ b . ~」二口 ロ ロ ー 一 一 ー − 1 0 Dose of Trypsin ( 0 氾I n & ) 2 Fig.3 . 精製卜りプシンを活性化物質としたときのオウレン,オウパクの プロテアーゼ活性化機構に対する効果 ー ー − × / 〉 、 -~ 1 . 0 凶 c C l ) c . . . . 市 υ . . , 0. C コ × ー 『 ∼ 』 』 ー 一 一 一 日 ム−−つ 。 .叶 。 co nt r o l 0. 5 ロ ・ / // ρ γ 会三三; 守一 ー 二L s 1 0 ×A 口 多 ム −O . / . × − ・ − ・ − − ・ ー ー 曹 〈 ごf f . . , 四川省産 東北地方産 長野県産 四国産 6 0 Doseof Trypsin ( 児l a & ) Fig.4 . 産地によるオウパクのプロテアーゼ活性化機構に対する効果 次に,産地の異なる各種のオウバクについて,そのプ ロテアーゼ活性化の抑制作用について比較検 討した。その結果,国内産 ,中国産共に産地にかかわらず抑制作用を示すが,その強さには ,産地に よって大きな差が認められた( F i g .4) 。 次 K ,乙のオウバクの抑制作用と化学的成分との関連性を明らかにしたいと考え,オウバク抽出液 を種々の方法により分画し,そのプロテアーゼ活性化機構に対する抑帝I J f F 用について検討した。 まず,シリカゲノレ薄層クロマドグラフィーによる分画成分について検討した。 しかし,その結果, どのフラクションにも抑制作用が認められなかった( F ig.5)。その理由としては ,抑制成分の Rf 値が, ベノレペリン等の増強成分のそれと近く ,抑制成分の効果が阻害されているか,また は , シリカ - 49ー ゲ Jレの酸性により抑制成分の活性が失われてしまった可能性等が考えられる 。 そ乙で, − 電気泳動法による分画を試みた。乙の分画成分について抑制作用を検討したと乙ろ ,原点 付近民活性がみられた( Fig.6 )。乙のととにより,抑制成分は電気的に中性 もし くは弱い負の電荷 をもつか,または非常に高分子の物質であると予想された。 乙乙で,オウパクには粘性物質が多く含まれ,水で抽出するとかなり粘度が高 くなり,濃縮等後の 処理が困難民なるため,他の溶媒による抽出を試みた。 1 . 5 〉 、 みJ ・ 叶 明 c : 1 .0 ao H 同帽。叶 ~ . . . . ・ ・ . ・ . . .− . .. 0 . 5 。 0. 2 0.4 0. 6 0. 8 1 . 0 R f 値 Fig.5 . 薄層ク ロマトグラフィー法によるオウパク分画成分の効果 1 . 5 : > . ゐJ ・ 4 由 ~ 1 . 0 0 . . . . 咽 0 . . . + > 。0.5 0. . . . . . .. .. . . . Origin + Fig .6 . 電気泳動法によるオウバク分画成分の効果 まず,メタ ノーJレ抽出エキス児つ いて ,プロテア ーゼ、活性化に対する作用 について検討 した。しか し , メタノ ーノ レ 抽出エキ スには抑制作用は認めら れず( Fig.7) , その他アセ トンやアセ トニ ト リル でも同様であっ た。 _c;( )- 司 ・ 的 己 ω コ E 司 。 ・ 4 . . i 0 . 5 ム e control ム MeOH抽出 O 。 一 / / ー 一 // , ~ーL Cコ // // 1 .0 〉. るJ 水抽出 0 ー ー ー 一 一 ー 一ー 一 一 一 一 一 ー ー の − 」 ー 0 . 4 耳 ) Dose of Intestine( Fig. 7 . オウバクの メタ ノール抽出成分の効果 ・ 一 一 ー= = = = ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー 1 .0 〉、 + ' 司 ・ 8ミ ミ ミ ミ ミ & 的 巳 由 コ E . . i 市 υ ・ 4 今 一 , 0. Cコ e control 0. 5 0 80%CH3CN ム 70%CH3CN 口 ( 0 ローーーー口 5 1 0 口 60%CH3CN 口 一 一 一 一 − Z O Doseof Trypsin ( 児l o & ) 40 Fig.8 . オウパクのアセトニトリル・水混液による抽出成分の効果 そとで,アセトニトリノレと水の混液を抽出溶媒児用い,その比率を変えて検討した( Fig,8 )。そ の結果,アセトニトリル60%以下で、抑制成分が抽出されると共に,粘性物質は 50%程度でも抽出され ないことが分かつた。そ乙で,以下の分画法は,オウバクをメタノーノレで抽出した残査をさらに50% アセト ニトリ ノレで、抽出,濃縮したも のについて行う乙とにした。 乙,陰イオン交換体である DEAEーセ ルロースを用いてカラムクロマ トグラフィーを行った結 次l 果,非吸着部分 K抑制作用が認められた( Fig.9)。さらに,乙の非吸着部分を陽イオン交換体であ i g . る C Mーセノレロースカラムで分画したと乙ろ,やはり非吸着部分に活性のあることがわかった( F 1 0 λ 乙の結果からも抑制成分は中性物質であると推定され, と一致する。 ζ れは先の電気泳動法による分画の結果 Fhu さらに DEAEーセノレ ロー スにも C Mーセノレロ ースにも吸着されないフラクションを Sephadex G -25を用いてゲJ レろ過を行った結果 ,最初に溶出されるフランクション l 乙活性が認められた(Fig. 1 1 ) 0 従ってとの抑制成分は比較的分子量の大きな物質であると推定される。 .. / / / / d も 。 ~D . . . ・ υ e 叶 # t J c コ ' I . 0 .5 . e control ロ 0 Frー l ム Fr-2 t : : . ( II 口 − α 2 .5 o 5 1 0 D o s eo fT r y p s i n (児 /m Q ) Fr-3 2 0 Fi g.9 . DEAEーセルロースによるオウバ ク分画成分の効果 γ 口 守 三三シづ− 。 L t ! J ! i I . . 同 ~ 己 コ c . Q J . . . υ 伺 ・ 叶 + > l コ I . 0. 5 e control 0 Fr-1 ム Fr-2 口 --!::. ・ o- o 2 . 5 5 Fi g.I0 . ~ D os eo fT ry p s i n( p g / m l ! . ) Z O cMーセルロースによるオウバク分画成分の効果 Fr-3 お 半 u F同 nL 1 . 0 〉 . . j . . > ・ 4 的 ロ 白 @ . . 1 ・ 叶 0 国 + 一 ’ 0 . . Cコ 0 . 5 e control ム f 0 Fr-1 ム F r-2 ー ー ー ー0 [ { @ 2 . 5 5 1 0 D o s eo fT r y p s i n (児/ m l ! ) 2 0 Fig. I. I Sephadex G- 25によるオウバク分画成分の効果 結論および考察 以上の研究結果から,オウパクのもつプロテア 一ゼ ある成分がトリプシン』ζ直接作用し,その一種の蛋自分解作用である活性化因子としての作用を阻害 することによって発現され,また,その抑制成分は中性かつ水溶性であり,比較的大きな分子量をも った熱安定性の高い物質であるととが示唆された。 今後さらに研究を継続し,乙の抑制成分の更に詳しい化学的性質や,また,ベノレペリン等他の成分 との関連性,オウバクのもつ消炎作用との関連性等についても明らかにしたいと考えている。 謝 辞 本研究を行うにあたり,御指導いただきました富山医科薬科大学和漢薬研究所病態生化学部門 荻田善一教授は ,また生薬試料を恵与いただきました春陽堂薬房社長 安倍政利氏に深謝致します。 ⑮ 参考文献 1 ) K u n i t z , M. : Formation o ft r y p s i n from crystal l i n et r y p si nogen by means o f ent e r o k i n a s e. J. Gen. P h y s i o l . ,2 2 ,429-446 ( 1 9 3 9) o .4 ,2 3( 1 9 8 5) 2) 上川 浩: Zymogen 活性化刺 激物質の解析方法,家庭薬研究N 3) 磯部正治,荻田善一:二次元電気泳動法によるマウス騨由来プロテアーゼ ・ザイモーゲンの 等 電 点 決 定 法 生 物 物 理 化 学,2 7 '341-345 ( 1 9 8 3) .J.Rosenbraugh, A.L.Farr and R .J .R a n d a l l:Protein measurement 4 ) Lowry,0 .H.,N w i th f o l i n phenolreagent. J .B i ol.Chem., 1 9 3, 2 65-275 ( 1 9 5 1 ) Fhd qtu 家庭薬研究 N o .5 54(1 9 86) 〔原著〕 B群ビタミンと共存するパントテン酸カルシウムの 分解について※ 高崎慎 一 吉 田 S h i n i c h i TAKASAKT 浩昭 HiroakiYOSHIDA 第 一薬品工業株式会社※※ パントテン酸は生体内で補酵素 C0 Aを構成する重要な物質として良く知られており,市販の総合 ビタミン剤には,パントテン酸カノレシウムなどの比較的安定な形で多くの配合例が見られる。一方, ぷ弘山 吃 種々のビタミンと同時ζ l配合された際の不安定性についても多くの報告がある。 I) ∼3 ) パントテン酸カルシウムの定量法としては− ,微生物定霊法 0をはじめ多くの方法が知られているが, 今 回 ,高速液体クロマトグラフ 5)を用いて定量を行い, B群ビタミンと共存する際の分解の要因につい て 若干 の知見を得たので報告する。 Table . I 検体の構成 実験の部 パン トテン酸カルシウム: 1 . 実験その l 塩 酸 ピ リ ド キ シン : 86 リボフラピ ン : B2 チアミンジスルフィ ド : TDS ニ コチン酸アミ ド : N・A 1) 試 験 方 法 パントテン酸カルシウムを中心に,塩 酸ピリドキシン,リボフラピン,チアミ 検体必 | ンジス Jレフィド及びニコ チン酸アミドを 各々組合せ,均一混合した1 6の検体を作 IP-Ca 2 IP-Ca+B6 u a a z p 町パV 5 m m,高さ 2 5 m mの 秤 検体をそれぞれ径2 0°・密 閉 及 量ピンに入れ,室温密閉, 5 h v n, ・ 自 民 戸 び室温・ 75%RHの各条件下で 3週 間 の 経時変化試験を行い,高速液体クロマト WJ V 11111 内 Hu w の定量を行った。 ’A n γ ’ HPLCの条件 白内‘パ 紫外部吸光光度計 w 0mm) (検出波長: 21 a na − 、 1 カラム:メノレク社製, リクロカ ー ト p JV NH2タイプ( 5μm) l6 カラム温度: 4 0° P-Ca+B2 P-Ca+N・A P-Ca+TDS P-Ca+86+82 P-Ca+B6+N・A P-Ca+B5+TDS uwA グラフを用いてパントテン酸カルシウム 借 成 ビ タ ミ ン 1 内︽ 成した( Tabl e1) 。 P-Ca P-Ca+B6+82 +N・A Pー Ca+B5+B2 +TDS P-Ca+B5+B2 +TDS+N・A P-Ca+B2+N・A P-Ca+B2+TDS P-Ca+B2+N・ A+TDS Pー Ca+85+N・A+TDS P-Ca+N・A+TDS 0 m g '8 5は約 1 0 0 7 1 l 9 . 82は約5 0 呼, P-Caは約 5 は約 1 0 0勾・ TDSは約 5 0 却を精密 K量る。 ※ 第 5国家庭薬開発研究会シンポジウム ※ ※ 〒930 富 山市奥田町 6ー 10 (富山, 1985年 11月 6日) TEL 0764 (32) 8571 一 − i : ; A- N・A 移動相:アセトニトリル: 5mMリン酸緩衝液( 8 :2 ) 内部標準物質 :ァ スコルビン酸 2)試験結果 16の検体のパント テン酸カノレシウムの経時変化試験では,室温密閉 ,50。・密閉及び室温・ 75% R Hのいずれの条件でも変化がほとんど認められなかった。 2 . 実験その 2 1)試 験 方 法 実験 lと同様に16検体を 40°・75%RHの条件下で 5週間の経時変化試験を行った。 2) 試 験 結 果 パントテン酸カルシウムの分解は,パントテン酸カノレシウムに塩酸ピリドキ シンを含む検体 (N o .2 ,6 ,7 ,8 ,9 ,10 ,1 1 , 15 )に著しく , 5週間 目のパントテン酸カノレシウム残存率が90%未満で 『 、 ~· . . > " あった。 Table3.を 5週間目のバントテン酸カルシウム残存率が90% 以上( Fi g.I ), 70%以上90%未 満( Fig.2 )及び70%未満( Fig.3 )に分類し,比較した。 その結果 ,Fig.l, Fig.2のとおり,塩酸ピリドキ シンがパントテン酸カノレシウムの分解に影 響を与えており,さらに Fig.3のとおりニコチ ン酸アミドの共存が ,その分解を促進していた。 Tab 工e3 . パント テン酪カル シウムの 経時変化〈実験その 2) Table2 . パントテン酸カルシウムの 経時変化〈実験その I) (40。 ー75% RH条件 ) (%) 広 ふ 室温ー密閉 5 0。一密閉 室温ー75%RH 7日後 2 1日後 7日後 21日後 7日後 21日後 1 101 .1 10 1 . 7 100 . 1 1 00 . 3 9 9 . 3 l00 . 9 2 l0 2 . 4 l00 . 3 99 . 1 1 0 3 . 0 l00 . 1 3 l00 . 6 9 9 . 3 l019 l02 . 0 4 l01 . 9 l02 . 0 99 . 8 100 . 3 5 l02 . 7 l01 .7 l019 6 l00 . 3 9 9 . 6 7 l01 . 8 8 (%) 検体J伝 1週後 2週後 3週後 4週後 5週後 1 101 . 4 l00 . 5 10 0 . 3 98 . 6 96 . 1 99 . 9 2 95 . 1 9 0 . 3 85 . 7 812 7 9 . 3 99 . 4 9 9 . 8 3 1OQ4 99 . 6 9 8 . 9 9 7 . 7 9 3 . 7 l00 . 3 99 . 7 4 99 . 7 1 00 . 2 99 . 2 9 5 . 5 92 . 1 1 00 . 1 l0 1 . 3 l01 . 2 5 1 00 . 7 100 . 2 9 9 . 7 9 7 . l 94 . 6 1 02 . 8 99 . 4 100 . 5 10 1 . 1 6 9 7 .4 92 . 3 8 6 . 5 8 3 . 5 8 0 . 3 l02 .1 1 02 . 6 99 . 4 98 . 9 98 . 7 7 9 1 . 2 8 4 . 4 7 7 . 5 7 0 . 2 6 4 . 9 9 7 . 8 99 . 9 1 01 . 3 1 0 0 . 3 9R6 l01 . 6 8 95 . 1 92 . 5 8 8 . 3 8 3 . 0 77 . 7 9 9 8 . 9 l00 . 9 100 . 6 1 00 . 5 99 . 5 99 . 2 9 91 .7 84 . 5 74 . 6 6 5 . 6 49 . 8 l0 l0 1 . 3 1 0 1 . 1 1017 1 0 1 . 8 10 1 . 6 99 . 7 10 95 . 8 9 1 . l 8 6 . 0 7 9 . 6 7 5 . 0 1l 9 8 . 2 9 9 . 8 l03 . 0 1016 1013 1 00 . 5 11 90 . 7 8 5 . 2 79 . 7 7 1 . 0 6 0 . 5 12 l02 . 1 102 . 2 1 02 . 4 1 0 3 . 3 1 0 2 . 1 99 . 9 12 100 . 8 100 . 3 9 8 . 2 97 . 0 9 4 . 4 l3 9 8 . 5 9 9 . 6 101 . 8 102 .1 99 . 1 100 . 4 13 9 9 . 2 99 . 6 98 . 6 96 . 7 95 . 6 14 99 . 1 l018 99 . 5 99 . 1 99 . l 9 9 . 2 14 99 . 4 100 . 1 9 8 . 0 9 5 . 0 9 2 . 3 l5 9 9 . 6 1 01 . 1 99 . 1 99 . 1 9 8 . 5 l0O . l 15 9 1 . 9 83 . 8 75 . 5 70 . 0 6 2 . 5 16 1 0 0 . 6 99 . 0 99 . 2 98 . 6 98 . 6 99 . 0 16 100 . 2 99 . 5 9 8 . 3 9 7 . 6 9 4 . 8 F同U phu ‘ 00 100 ‘ , , ya a M 守 I i i ! ” 宅 , ~ • t o a a桟 存 率 的 問 . 蚤 存 z ( 胡 。 , 6- 6 悼 修 S ローロ 岨 1$ • ・−・ 憤体 s 80 . . .−ー企 倹 体 ’ 2 .−. 憤惇 13 0一0 檀 悼 6- 6 世体。 2 住 ロー ロ 慎体 8 ・− −・ 憤体 叫 @ー@極体川 企 ー・A検体,。 。 , A ・ 観 回目白“ a 1町 ! , 目 ム 十 百 2a e 2 s拘 Y日 1.目 盛時 目 2 I日 28B 3s 日 訟 Fig.2 .パント テン酸カルシウム残存率 70%以上 90%未満〉 Fig_ . I. パント テン酸カルシウム残存率 90%以上 100%宋満〉 c c 》 ,00ト テ , = ’ ” " • \。 盟 存 車 t 噌 、 ぶ :\ ・ 0 銭 搭 、 串 ( 叫 70 0-0 祖 惨 Y 6- 6 ~ 1$ ' 口一口檀体 H .−. 憤 体 円 。‘ ローロ慣体 ・−・ 個体 a . ._,・憤 1$ s \ Y 目、 •B 隆 司 E n 21日 288 HB 7日 姐 崎 Fig.3 . パントテン酸カルシウム残存率 70% 未満〉 I4日 B 2 1凶 t t Fig.4 . パントテン酸カルシウムの経時変化 〈実験その 3) c n hv r﹁M 3 . 実験その 3 1 )試験方法 製剤上の観点から ,次の 5つの検体を作成し, 5 0・ 。 75%R Hの苛酷条件下で, 3週間の経時 変化試験を行った。 検体 1:パン トテン酸カルシウム及び賦形薬からなる頼粒を作 ’ り,乙れをマ Jレメライザーで球 形化した後 ,AEAを 3 %コーティングした頼粒とする。別に塩酸ピリドキシン,チ アミンジスルフィド,ニ コチ ン酸アミド,リボフラピン及び賦形薬から成る別頼粒を 作り,以上の 2種の頼粒を混合し,さらに滑沢剤を加えて再度混合し ,径 9mm</J,重量 約2 5 01 l l l Jの錠剤とし,乙れに H pCを 5 %コーティングしたもの。 検体 2 :検体 l中AEAコーテインク.を行っていないもの。 検体 3 :塩酸ピリドキシン及び賦形薬からなる頼粒を作り .乙 れをマノレメライザーで球形化し た後, AEAを 3%コーテ ィングし頼粒 とする。別にパントテン酸カノレ、ンウム ,チア ミンジスノレフィド,ニコチン酸アミド.リボフラピン及び賦形薬からなる頼粒を作る。 以上 2種の頼粒を混合し ,滑沢剤を加えて再度混合し ,径 91 1 l 1 1 !ゆ,重量約 2 5 01 l l l Jの錠 剤とし, HpCを 5 %コーティングしたもの。 検体 4 :検体 3中AEAコーテ インク.を行っていないもの。 検体 5 :パン トテ ン酸カノレシウム,塩酸ピリドキシン,チアミンクスノレフィド, ニコ チン酸ア ミド,リボフラピンに賦形薬を加え造粒し,滑沢剤を加えて混合し,径 9m m .</J,重量 約2 5 0呼の錠剤とし, H pCを 5 %コーティングしたもの。 制賦形薬はパレイショデ、ンプン ,乳糖 ,結品セルロ ースを 2 :1 :1の割合で混合したものを 使用。 検体 l錠中ノマントテン酸カルシウムは 1 0 呼,塩酸ピリドキシンは 2 0 1 1 1 1 J . リボフラピンは 1 0 1 l l l J,ニコチン酸アミドは 1 07 吻,チアミンジスノレフィドは 1 0 1 1 1 1 Jを含有する。 2) 試 験 結 果 いずれの検体もパントテン酸カルシウムにかなりの経時変化を認めたが,検体J仮 5が他の 4検 体に比して変化が著しかった。 塩酸ピリドキシンを別頼粒として造粒したのち錠剤とする方が ,パン トテン酸カ J vシウムを別 頼粒としたり,又 5種のビタミン全部を同一頼粒として錠剤とする場合より経時変化が少なかっ た。 なお ,検体J仮 3と必 4のAEAコーティ ングの有無による差異はなかった( F i g .4) 。 考 察 パン トテン酸カルシウムは比較的安定な物質であるにもかかわらず,高温・ 高湿という条件と B群 ビタミン中でも塩酸ピリドキシンが共存する場合にはバントテン酸カノレシウムの分解が進行し,製剤 化を検討する際には, B群ビタミンからパントテン酸カ Jレシウムを分離するよりも,乙の分解要因で ある塩酸ピリドキシンを分離するほうがより良い効果を期待する乙 . とができるものと考えられる。 今回の実験は,各ビタミンの検討や賦形薬等製剤上の検討は不十分であるが, 一つの問題提起とし て報告した。 - 57- 文 献 1 )前川秀幸ら :薬剤学 2 6 ,1 2 0( 1 9 6 6) 2 ) A.B o j a r s k i:Diss.Pharm. Pharmacol.1 9 ,2 9 7( 1 9 6 7 ) 3 ) 山本隆一:薬誌 . 7 9 ,4 1 9( 1 9 59) 4) 衛 生 試 験 法 ・註 解 p 225 (日本薬学会編 1 9 8 0 ,金原出版 ) 5 ) 。 T.J. Hudson e ta l :J .Pharm,Sci.7 3, 1 1 3( 1 9 8 4 ) -5 8ー 家庭薬研究 N o .5 5 9(1 9 8 6) 【原著〉 HPLCによるビタミン B2誘導体定量法の検討※ 田 中 良 一 堀 茂 地 R y o i c h i TANAKA Sh i ge ru HORICHI 才 木 良 リ 員 黒 瀬 映 子 E i k o KUROSE Y o s h i n o r i SAIKI ヌ 玉Z 三 < 満 M i t s u r u NOTO 能 局 尾 美代子 MiyokoTAKAO 試験開発部※※ 東亜薬品株式会社 医薬品として使用されるビタミン B2類には,リボフラピン(以下 FRと略),リン酸リボフラピ ン(以下 FM Nと略),フラピンアデニンジヌクレオチド(以下 FA Dと略)等,数種の誘導体があ り,それぞれの特徴,生体内活性を利用した製品が開発されている。 2誘導体の定量法は種々検討されているが ,基本的にはフラピン核の光特性を利 乙れらビタミン B 用し,吸光度,蛍光強度を測定するのが一般的である。しかし, ζ れらの方法では操作が簡便ではな く,ま た変質した際 に含量の低下を正確に察知する乙と が困難である場合がある等の問題もある。 今回, FR及 び FADの定量法について検討を行い若干の知見を得たので報告する 。 . I 実験の部 1)標準品及び検体 FR標準品は国立衛生試験所標準品(日局標準品)を, FAD標準品は局外規 FAD をエタノ − Jレから 再結品を くり返し ,乾燥後定量する とき.換算した脱水物 K対し含量98%以上のものを用い た。検体として弊社製 FR配合内服固型製剤 3種 ,FAD配合液剤 1種を用いた。 2)蛍光強度測定装置 目立 1 3 9型分光光度計,蛍光強度測定用付属装置( 139ー 0480. 139ー 0500 )を用いた。 3)吸光度測定装置 目立 1 0 0-3 0型分ヨ匂も度計を用いた。 '~ 4 ) H PLC装置 及び LC-6A,検出器:島津 SPD-2A(紫外部)及ぴ Sp 送液ユニット:島津 LC- 3A D-6AV(可視部,紫外部),データ処理装置:島津 CR-lB及 び CR-3Aを用いた。 2 . F R の検討 1)ノレミフラピン蛍光法 常法 I)に従い行った。 2 ) H PLC法(紫外部検出,可視部検出) L .示した。 定量操作を Chart.lI 測定波長 270nmでは試料溶液と標準溶液の FRの内部標準物質K対するピー ク高さ比を測定し, 内部標準法で表示量 K対する含有率を算出する。 (富山, 1985年 11月 6日) ※ 第 5回家庭薬開発研究会シンポジウム ※ ※ 〒939-05 富山市三郷 26番地 TEL 0764 (78) 5100 Qd z d 皇準溢溢 A cO H (1 → 400)200m l AcOH(l→ 4 0 0)4 0m l 水浴上 6 0分加温溶解 1 水浴上 6 0分加温抽出 FR 2 安息香酸 冷却 H20 冷却 す 唱 / 1 l 2 IS 2m l 3 0m l tt2o IS 2m l E ~ 0 0) AcOH(l→ 5 1 0 μI 1 0 μI JS:0.7%安息香酸・メタノール溶液 Column Car r ie r : … 一 Chemcopak7・O D SH(φ4mm × 2 5c m) FI o wr a t e :I . 0mI /min H~l· … C Detection :2 7 0 n m(0.04AUFS ) ,4 4 5 n m(0. 02AUFS ) ・ Columnt e m p :3 5 Fig, . I Chart . I FRの H p L C法 FR及び安息香酸 のクロマトグラム 測定波長 4 45nmでは試料溶液と標準溶液の FRのピーク高さを測定し絶対検量線法で表示量民 対する含有率を算出する。 標準溶液のク ロマトグラムFi g ,lf L .示す。 FRと内部標準物質(安息香酸)は良好に分離されて ' Vる 。 検量線はいずれも原点を通る良好な直線性を示 した。(紫外部:?” = 0 . 9997,可視部 :γ = 0 .9999 ) 添加回収実験を検体 3種( A,B. C )につ いて行った。 2 70nm ではいずれの検体でも分離は -6 0- 良好で防害は認められず, 445nmでは FR以外のピークは認められなかっ た (Fig.2)。結果は Table1R . 示したとおり良好な値を示した。 ト 減 諒: z sf T守;−&, : 67 1 1 ・』 じ;~ でオ~ - ー + 屯 Tすですで , じ と A 十与F 与ゐ昂 @• − ヤ ヒ − fL B 互手孟 6 .•~S 付~よ. 十士?士争 じ ; : : 争 串干与寺串 士号?骨骨 ι ア L﹁lLr n u じ ; : : : 事帝 f 今?号号 ~宇、担 吾号マ噌 紫外部におけるクロマ トグラム 可視部におけるクロマトグラム Fig.2. FR配合製剤の クロマトグラフ 多 Table . 1 F R配合製剤の涜加回収実験( H P LC法〉 回収率(%) η, 検体 配合主成分 A アセ トアミノフェン エテンザミド マレイン酸クロノレフェニラン £ d 一塩酸メチルエ フェドリン 無水カフェイン リボフラピン( FR) へスペリジン 99 . 3 98 . 8 6 B ピオタミン リボフラピン( FR) 塩酸ピリドキシン パン トテ ン酸カルシウム シアノ コ/てラシン 98 . 9 9 9 . 5 6 c リボフラピン( FR) コ。オウ ニ ンジン末 1 0 1 . 1 100 . 8 6 -6 1ー 紫外部 可視部 1 . 0 ① 朱 処g FR o . s ② 古宙局処理 FR Q . 6 量 ミ 場 0 . 4 c = , 、、 、 、 \ 0 . 21 ②\ 1 / 、 . ; − . 3 0 0 2 0 0 s o u l l O O 6 0 0 ( n m > 波長 m n A W ~ ~~ 的 AVAJVJJV ~ I~ h 。 ” 叫す申 。、. , 喧 N ①− 2 7 0 閣 ①− 4 4 5 n 1 1 1 ~- 270畑 Fig,3 . FRの吸収曲線と HpLCクロマトグラム R-445 畑 nL PO 3)苛酷処理品の定量比較 Table 2 . 各定量法による定量結果比較 上記検体 A. B, Cを粉砕し ,紫外線照 射の苛酷処理を行い各定量法によって FR 定量法 の残存率を未処理品の定量値を 100 . 0%と 検体 して求めた( Tabl e 2 )。検体 A では 3法 ともほぼ同ーの値を示したが,検体 B, C t t ~" ¥ 光 法 で は 飴 怯 が 他 の 2法に比べて高い値を示 した。 4 ) FR標準品の苛酷処理品 H P LC法紫外部 FR標準品の氷酢酸( 1→ 500)溶液に 500W白色光を照射し,その前後の吸収曲 ー線と H P LCクロマトグラムを Fig.3f L . 示 H P LC法可視部 した。苛酷処理品には FRの分解物と思わ れるピークが認められる。 残存率(%) 未処理品 苛酷処理品 A 100 . 0 98 . 7 B 100 . 0 9 7 . 8 c 100 . 0 100 . 0 A 100 . 0 97 . 4 B 100 . 0 90 . 0 c 100 . 0 94 . 5 A 100 . 0 98 . 4 B 100 . 0 93 . 2 c 100 . 0 94 . 7 3 . F AD の検討 1) 吸 光 度 法 Chart .2f L . 示した操作で調製した試料溶液及び標準溶液について 450nmにおける吸光度を測定 し表示量K対する含有率を算出する。 検量線はほぼ原点を通る良好な直線性を示した(ア= 1000 )。又添加回収率も良好であった。 2 ) H PLC法(紫外部検出) 定量操作を Chart.3I L . 示した。 試料溶液及び標準溶液の FA Dの内部標準物質に対するピーク高さ比を測定し表示量に対する含 有率を算出する。 検量線はほぼ原点を通る良好な直線性を示した( γ= l.000 )。又添加回収率も良好であった。 3)金属塩分解法 . 局外規間収載された定霊法 2 )を準用した( Chart.4) 。 4)苛酷処理品の定量比較 試料 I L .500W白色光照射の苛酷処理を行い, Table 3 . 各定量法による定量結果比較 各定量法によって残存率を未処理品の定量値を 100 . 0%として求めた( Tabl e .3)。吸光度法 残存率(%) 定量法 は他の 2法に比べ高い値を示している。 上記苛酷処理を行う前後の試料の H P LCク 吸光度 ロマトグラムを Fig.4I 乙示した。苛酷処理品に 法 H PL C 法 は FADの分解物と思われるピークが認められ (紫外部) 金属塩分解法 (局外規法) る。文 FAD標準品水溶液 K同様の苛酷処理を 行う前後の吸収曲線を Fig,5に示す。 未処理品 苛酷処理品 100 . 0 86 . 6 100 . 0 6 9 . 3 100 . 0 719 4 . 他 の ビ タ ミ ン B2 誘 導 体 Fig,6及ひ’ F i g .7ICFM N 水溶液及び酪酸リボフラピン( F R - B )エタノーノレ溶液について 500 W 白色光照射の苛酷処理を行う前後の吸収曲線を示す。 4 内 u phu 起型溢遮 墨準盗遮 F A D 0.9111d~1.凶 HzO 十 L Chart. 2 . F ADの吸光度法 盆盤益法 皇準盗盗 F A D 3m~ 対応量 FAD 3 0悶又 !H20 A c0E t 1 0m l 」旦旦L ↓ 振とう 1 0分 1 0悶l I AcOEt 1 0 I centr. ( 3 0 0 0 r p m ) 振とう 10分 centr.(3000rpm) 水層 5m l . J H2 0 50m l 水層 5m l . L H2 0 5 0m l J . 5m l 5悶 l 5 μI 5 μI IS :0.2%べ以外71 日ー l水溶液 CoI umn :Ch emcopak7・O O S H(φ4mm × 25Cll ) Carrier : K H2 P04(1 →500)・ M e0H(4:1) FI ow r a t e :1 .2mI /則 n Detection :259nm(0.04AUF S ) Columnt e m p : 45・ Chart. 3 . F ADの H P LC法 - 64ー (1) 総フラピン量 盤準盗盗 話型益法 EJL 足並 AcOH(l→1 0 0 )2 0 0 m l 水浴上溶解 ZnCI っs o l . 水浴中謁分 H20 5 0 0m l ↓ 1 0m l ↓ H20 冷却 HっO 」旦旦L 」旦旦L ↓ 4 5 0 n m (As) t s o n m (At) t 1 At 総フラピン量(m g / m l ) =FR標準品(m g)×一一×一一 As 5 0 0 (2) FADのピーク面積比 HPLC操作条件 C o l u m n :C h e m c o p a k7 0 D S H(φ4mm× お c m) C a r r i e r :KH2 P04 (1→5 0 0)・ M e0H(4:1) FI o wr a t e :0 .7mI /min Det e c ti o n :4 5 0 n m(0. 1 6AUFS) C o l u m nt e m p :4 5・ I n je c ti o n :5 μI 1 . 0 8×Tl F ADのピーク面積比 1 . 0 8×T1+T2 Tl: F ADピーク面積 T2:類縁物質ピーク面積総和 、 . (3) 8 2 9 . 5 2 (m g / m l )=Ft×Fr×一一一一 F AD量 3 7 6 . 3 7 Ft:総フラピン量( 1) Fr:FADのピーク面積比( 2) Chart. 4 . F ADの金属塩分解法〈局外規法〉 -6 5- r ・ 1 m wωψし 小 . え − ω .守 − ・ . . . 同 町. 仰のω AW r 、 ),If), c ’ F ・ . 匂: I " , _ . 恥m wr悲 劇糾 日 r ・ 、 ¥ iO < t ' > ・ (>J . ω 九叫 § S J 円 マ ①一未処理試料 2 5 9 n m ②ー苛酷処理試料 2 5 9 n m ①一未処理試料 4 5 0 n m ②ー苛酷処理試料 4 5 0 n m Fig.4. 試料のクロマトグラム 1 . 0 0 . 8 0 . 6 M m栄沓 ① 未処理 FAD ② 苛酷処理 FAD 0 . 4 、 、 、 、 、 、、 、 、 ヘ φ 0 . 2 。 2 0 0 3 0 0 4 0 0 5 0 0 n m ) 波長 ( . F ADの吸収曲線 Fig.5 6 0 0 n h v ハhu 1 . 0 0 . 8 ①未処理 FMN 制以南蛮 ② 苛酷処理 FMN 0 . 6 0. 4 。 ー\ / \ こ一一@ 、 、 、 、 、 句\ \ OL 2 0 0 、 J『 圃 − 圃 ・ ー ー 司 固 司 , ... .. . . .. . . . . . . . 喝 圃 司・ ー・ 回 ・ ー − − − − − − − − − −− − ー ー ー ョ ー − ・圃 圃圃 圃・ ・ ・ ・ z 3 0 0 4 0 0 5 0 0 6 0 0 波長 (nm) Fig,6 . FMNの吸収曲線 1 . 0 ① 未処理 ¥ I t業 ② 苛 酷処理 FR-B I !I ¥ ・I. ' II 0 . 6 FR-B 0 . 4 ① 0 . 2 。 2 0 0 30 0 5 0 0 400 波長 (nm) F i g .7 . FR-Bの吸収曲線 -6 7- 600 圃 ・ 4 5 . 結果 .考察 FR. FAD等のビタミン B2誘導体は必ずしも安定ではなく,その分解生成物は多様で測定波長 付近に吸光度,蛍光度をもつものも多い。そのため定量法によってはそれら分解生成物を含めた値を 示すととになる。( FRのJレミフラピン蛍光法では, FRをJレミフラピン K分解しその蛍光強度を測 とより一部jレミフラビンに分解していた場合にはより高い定量値を示すであ 定するので, FRが光等l ろうし, FADの吸光度法では, FADの分解物には可視部( 450nm付近)に吸光度をもつものも 多く,乙れらの存在下ではより高い定量値を示す乙とになる。) HPLCを用いる方法では乙れらの 分解生成物をより良く分離し,定量が行えるのでより正確な定量値を示していると考えられる。特に 変質している可能性のある検体についてよりすぐれた方法であると思われる。 しかし今回は分解生成物ゃ,苛酷条件と分解経路等については確認しておらず,乙れらについては 今後さらに検討が必要であると考えられる。 文献 1 ) 岩尾裕之 ,高尾百合子:ビタミンの分析, 76 ,講談社( 1972 ) 2) 厚生省薬務局審査課監修;日本薬局方外医薬品成分規格 1983追補, 209,薬業時報社( 1984) - 68- 家庭薬研究 N o .5 6 9(1 98 6) 【原著〉 動物胆中の胆汁酸の HPLC定量j 1 { ' 日水裕子 Yu koHIMIZU 能村 修 Os amu NOMURA 松 原 良充 Y o s i m i t u MATSUBARA 大協薬品工業株式会社 試験研究室※※ 家庭薬中l ζ苦味健胃剤として配合される動物胆中の胆汁酸は,従来,比色法,l)TLC 法~) GC法 3 ) などの定霊法が多く報告されている。 今回 ,動物胆の加水分解生成物から ,セップパック C1sカー トリッジを用いて遊離胆汁酸を分離し , .S t e l l凶 等の 珠 山 ) に し た が っ てフェナシ Jレエステ Jレ誘導体とした後, 得られた蹴胆汁酸を F HPLCで定量する方法について検討し,回収率,再現性とも良好な結果が得られたので報告する。 実験の部 l . 標準品 , 試薬及び試料 1 )標準品 p .2 0 2∼ コー Jレ酸(以下 c):和光純薬製のものを 70%エタノーノレで 2回再結晶する。( m. 2 0 5℃),デオキシ コール酸(以下 DC):東京化成製のものを無水エタノ − )レで 2回再結晶す る 。 (m . p . 1 7 5∼1 7 9℃),ケノデオキ シコ ール酸(以下 CDC ):Aldrich社製 ,含量98%. ウノレソデオキシコ ール酸(以下 UDC) :Si gma 社製,含量99%。 2) 試 薬 − α Bromoacetophenone(以下 BAP):東京化成製。 Triethylamine (以下 TEA) : 和光純薬製。 セップバック C1 sカートリ ッジ( Wat e r s社製) :あらかじめメタノー Jレ2m t,水 2m tで順次 t 洗浄しておく。 3) 試 料 牛胆(国産),熊胆(インド産) ,牛黄 2 . 試料の前処理 1) メタノーノレ抽出液の調製 }1 乙メタノ 試料 1f −レ50mtを加え , 1時間ずつ 3回還流抽出する。抽出液をあわせて ,メタノ J 0 0m tとする。 ーノレで正確に 2 2)抱合胆汁酸の加水分解 3 ) メタノ ーノレ抽出液の I Om tを大型試験管にとり ,溶媒を留去後 3N-NaOH液 5m tを加えて,オ ートクレーブ中 1 2 0℃で 4時間加熱分解する。 ※ 第 5回家庭薬開発研究会シンポジウ ム発表 3 9-0 5 富山市水橋畠等字花井 173-3 ※ ※ 〒9 -6 9- (富山 , 1985年 1 1月 6日) ・ T EL 0 764 (78) 1 121 3)遊離胆汁酸の分離 加水分解後,内容物をビーカーにとりだし,希塩酸及び OlN一塩酸で pH7.3とし,更に水を加 えて正確に 5 0 m . £ とする。その 4m eをセップパ νクC18カートリッジに流し,水 2m tで洗浄した後 メタノ −) レ3m eで、溶出する。溶出液を減圧で留去し,残留物にエタノ − )レ2m eを加えて溶かす。 3 . 遊離胆汁酸のフェナシノレエステノレ化 遊離胆汁酸のエタノーノレ溶液( c17lllj Dc0 . 57 l l l jを含む) I fC10%TEAーアセトニトリノレ溶液, 15%BAPーアセトニトリル溶液各 1m tを加え, 50℃の水浴中で 2時間加熱還流する。冷後,メタ ノーノレを加えて2 5 m £ とする。 4 . HPLC条件 装置:島津高速液体クロマトグラフ LCー 3A,検出器:紫外分光光度計検出器 SPD-2A. カラム: ZorbaxODS(Du-Pont社製, 4 . 6 l 1 1 1 1 !×2 5 c m),移動相: 80%メタノ レー水,流速 0 . 8 −) 0℃,測定波長: 2 4 0nm。 mt/min ,温度: 6 実験結果 l HPLC条件の設定 逆相系カラムを用いて, C. DC, CDC. UDC の 4成分を同時に分離定量できる条件につい て検討した。メタノールー水系で、各成分の保持比 K’を調べた結果は, F i g .IK示すとおりである。 最も良好な分離を示す条件でのクロマトグラムをChart 1 .k示す。 Chart 1 . c 10 きTn f i : I 'il•J.'ilQ. ' ! I Q.' i l ' J . し れ UDC c 5 UDC DC 90 印 70MeOH % Fig 1 .R e l a t i o n s h i p so t c a p a c i t yt a c t o代k ’ ) v s. m o b i l ep h a s e c o m p o s i t i o n 2 . フェナシノレエステノレ化の条件 C l . 0 7 ! / l j , DC0 . 5 m gについて,反応温度及び時間,試薬量について検討を行った。 1)反応温度及び時間 C及び Dc K過剰の TEA及び BAPを加え,反応温度 3 0 ° ,5 0 ° ,8 0 ° の場合について時間ご とにフェナシノレエステルのピーク高さを調べた( F i g .2)。以後 5 0。で 2時間加熱するととにし f こ 。 2)試薬量 T EA5m g ,I Om g ,1 5 m gの場合について, BAPを2 . 5∼2 5 7 ! / l j 迄変化させて 5 0°の水浴で 2時間 i g _ 3のように, BAPl07lllj以上で TEA~r.関係なく,ピ 加熱し,ピーク高さの変化を調べた。 F ーク高さはほぼ一定である。試料中の共存物質による試薬の消費と過剰の試薬によるカラムへの - 70ー 影響を考慮して, TEAlOmg,BAP15呼を加える乙とにする。 10 一 一 − 3° 0 一 一 − 500 E よ と …o o o £= DO ~ c 1 0 一 一 一 5mg E 一ー 一− 1 0mg ---1 5m g u Z二 DO Q) 工 二 ω己 v −の 」J C . c f 。 4 Rd 3 2 に. ︸ 。 6 Ti m e th η0 1 0 1 5 20 25BAPcm~,) F i g 3 .C o m p a r i s o no tL a b e l i n gR e a g e n t s amount<TEAa n dBAP) TEA amount 5 . 1 0 . 15mg F i g 2. C o n d i t i o n sO I L a b el i n gR e a c ti o n R e a c t i o nT e m o .3 0 ° .50 ° .8 0 ° 3 . フェナシノレエステルの安定性 i g . 4のとおり時間的に安定である。 生成された胆汁酸のフェナシルエステルは, F 4 . 検量線の作成 C. UDC (0 . 3 3∼167mg/25m£) • CDC. D C(0 . 16∼0 . 8 3 m g /2 5 m £ )の範囲内で絶対検量 線F ig. 5を作成した。 4成分とも原点を通 り直線性を示す 。 c -20 ε υ ~ 10 E 急1 ー ~ u } ~ 。 5 ~ 。; a . . 5 一 , 、 ~ ~ 。 DC 。 10 n : > 工 。 Q ニ ) 05 UDC 2 3 4 5 Tim ・ e c h「) 6 7 8 1 a b i l i 1 y o t Phenacyl e s t e「 F i g4 . S 1 . 0 1 5c mg ) r= 0 .9997 c 1.0000 CDC 1. 00 07 DC 0.99 57 F i g 5 . C ah o 「 a t 1 0 「 'C u r v e0 1 Bi l ea c i d s 5 . 加水分解生成物の分離 加水分解後.遊離胆汁酸を中性でセップパック C18カートリッジ内 K吸着させた後,水洗しメタ ノー Jレてe溶出させる 。溶出ぬ必要なメタノーノレの量を調べた結果を F i g. 6I L .示す。また Tabl elの ようにカー トリッ ジによる遊離胆汁酸の回収率は,標準品,動物胆に既知量の標準品を添加した場 合とも良好であった。 -7 1ー UDC c E10 。。 ∞ < l . l 包 ・・ ・ c o DC < l . l 止 CDC o. 2 3 4 ・色 ・ ・ Acids 1 00.5 99.1 o .66 0,90 0.62 101.0 2. 2 S S c 。 v Galla De 1ych l ie cid 9 7 .7 98.4S d v, S nd r • CV ・ 。 ch !Jc c』d U d rd v. 97. S n ( n = S ) CV 1.0IS 5 Bile Ura 。 do 。 iy 。 。 ・ ch。 !Jc・ cjd Chen do IY- 。 Ch ! Jc巴 ・Jd 工 二 三ζ Rec v ry ( 1r eet 闘 n tod by Sep- ~ok Cl8cart吋 句e ) u 工 二 。・ Tuu f。 r ・ . T ble I 』 00, 4 I .2 8 J O I. 3 0.94 I .2 1 ( n = S ) 5MeOH<ml> Fig 6 l u t e d MeOH amou n t o t .E sc a r t r i d g e Sep-P a kC1 6 . 動物胆の定量結果 牛胆( chart 2 ),熊胆( chart 3 ),牛黄( chart 4 )について胆汁酸を定量し ,その結果を Tabl e2に示す。 。 ) また,牛胆については GC法(メチル化法)でも定量を行ない HP LC法と比較した(Table 3 Chart 2 . ・ ・ of 仁 Bile Acid• (n=S) ・ . ν CV Chart 3 . ( n : S ) UDC 2 .6 2 9 . : z i o . e s i 50.3 J ,6 8 0.3 2.9 1.39$ 0. 00 1. 5 4 ・ ・ 。 M ulto f De、er•1n・tl 。n ι 。 mparu 。 n of 。・ Ch Uc cld Chart 4 . 25.3 $ . C V 。 c 3 I .1 6. 0 S ( 1rnat闘 nied c I O.I !. 7 . 2 CV CDC 1 」i ; ; ; ; 三 ・ cholic cid 2.06S ・ . ) u. ( H : J.I i白. uu. 。・ Urad 0玄y 2 .7 S T ble3. 内『 TE l l 翼 。ych。 Uc cid De cholic cld ・・ C 制 Bezo r v . 吉T肉PT 司 o. ·~~. <:' <J.•Jn. ・ ・ Cholie cjd ι 。 w Gall DC 。 de 友 。y’ Chen ・ c Sear Gall ••. (n=S) CV 三Tit~T of Deter•inatjon (Treat ented by Sep-Pak CJ8国 rtrid1e) エ ー と = 』 ・ R e ulta . T ble2 o . 自 由Z 25. J J l.07J by 。f ・ B i』e Acjd• HPLC 。 jn C v Galh GC CH CJ, ExtracUon) ・ Chen。de。•Y 。。 ・ choHc Cl d De 11ch He cjd 2. 5 9. 6 2. 3 4 ! .04 2.2 自. 0 s . o e 0. 9 3 nL , ηe まとめ HPLCによる胆汁酸の定量は, コール酸, デオキシ コーJレ酸,ケノデオ工 キショーノレ酸,ウノレソデ 同時定量が可能であり,特にデオキシコーノレ酸n 勿 〆ヨ2守キシ コーノレ酸 l とつ オキシ コール酸の 4成分、 いて充分な分離が得られた。また, GC法に比べて検出感度が良く〉 微量の試料について定量が可能 であり ,セップパック G1 sカートリ ジヅの使用』とより回収率が改善注れた。今後、 ,製剤分析に応用す るため K内部標準法で、 の検討が必要で、あるー 。 - A; . 文献 ( 1 ) 飛田忠嗣, 江尻千鶴子:牛胆中 の コール酸類の 定量法につ いて ( 第 3報 ),富山県薬事研究 1 9 7 9 . 11 9 8 1 . 3) 所所報 ( - ( 2 ) 江尻千鶴子, 田中彰雄,大久保睦子:牛胆中のコ ール酸類の定量法について (第 l報 ),富 9 7 7 . 4∼ 1 9 7 9. 3 ) 山県薬事研究所所報 (1 ( 3) 宇治昭,滝浦潔:熊胆に関する研究 (第一報)グスクロマ トグ ラフィーによる熊胆中の胆汁 . 酸の定量 ( 4) 江尻千鶴子,飛田忠嗣:牛胆中のコ ール酸類の定量法について ( 第 2報 ), 富 山県薬事研究 9 7 9. 4∼ 1 9 81 .3) 所所報 (1 ( 5 ) Stel l aard F .,Hache y D.L .,andKl e in P.D.:Separa t io nd B i le Aci d s as The ir PhenacylEsters by High -Pressure L i q u i dC l i romat og ra phy,Ana l.Bioc hem 8 7 , 3 5 9 ( 1 978) . -7 3-
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