無線システム報告 25 送信システム実験 2015年5月1日 kikyouya 1.パワーアッテネータ とりあえず手に入った抵抗で実験してみたところ、-32dB、耐入力最大1Wのものは比較的簡単に製作できた。 そこで図にのってメタルグレーズの1Wチップ抵抗(330 Ω)を発注し、耐入力6W、-36dBものを製作した。 簡易スペクトラムアナライザ(GIGAST V5)で測定したところ、1GHz程度まで特に問題ないレベルで減衰させら れたので今後、実験用に使用できる。 (ただし、チップ抵抗であり、放熱の問題はあるので連続6Wは厳しいと考えられる) 2.送信機実験 2.1.VFO 送信用のVFOは受信用と比べ、出力が大きいほうがよいと思われる。また、周波数変換用ではないので通信に使 う周波数そのものを発振する必要がある。 VFOの発振可能周波数範囲はあまり広くないほうがよい。発振可能範囲が広いということは制御電圧の変化に敏 感になるということで、わずかなノイズが入ってもCN比(キャリア/ノイズ比)が悪化する。 あまり範囲を狭くしても使いにくいだけなので、ほどほどの性能にする必要がある。 今回はコルピッツ発振回路+エミッタ接地バッファでVFOを組み立てている。 電源電圧3.3Vで、出力約0dBm、周波数範囲432MHz~439MHzなのでアマチュア無線430MHz帯の宇宙 通信用周波数範囲は十分に発振できる。 発振用トランジスタのベースに変調信号を入力すると、周波数変調をかけることができる。 2.2.PLLの検討 スプリアスを減らすのであれば整数型のPLLを選択するほうがよい。フラクショナル型のスプリアスを減らすのは簡 単ではなく、送信には使いにくい。(しっかりしたフィルタ、シールドが可能ならば使用可能だが、小型の実験基板向き ではない) ただし、これまでの実績からアナログデバイセス社のPLL、ADF4110を選択する。 リファレンス周波数は20MHzを分周した20KHzにする。ループフィルタは当初メーカー推奨回路のものを利用し、 後にチューニングを考える。 2.3.パワーアンプ 送信機である以上、十分な出力が必要になる。 現在、アバゴテクノロジーのAVT-55689広帯域アンプが出力バッファとして約+20dBmまで出力を出せる。 その後、バイポーラトランジスタで+30dBm近くまで増幅したいと考えている。候補はNXPのBLT50。 今回、電源にはリチウムポリマー電池1セルまたはニッケル水素電池3セルを想定しているので、電圧は3.6~4. 2Vであり、どこまで安定した出力が得られるかまで含めて実験を行う必要がある。 3.変調系 発振用トランジスタのベースに変調信号を注入することでベース・コレクタ間容量がわずかに変化するので周波数 変調をかけることができる。多少のAM分も乗るが増幅段がC級になるのであまり気にしないことにする。 変調幅の制御はダイオードリミッタと抵抗によるアッテネータで行う。 4.システムコントロール 今回は手持ちの関係で、PIC18F45J10を使用する。 AVRを使ったマイクロモデムと同等と思われるCPUパワーはあるので、PICから変調をかけてデジタルデータの送 信実験も考慮する。(AFSKだけでなく、直接FSKも考慮) 5.今後の予定 ファームウェア開発が必要なのでまだ未定ではあるが、できるだけ早急に通信実験ができる体制まで持っていく。 質問事項等あれば [email protected] まで。
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