テルモ株式会社 - 日本IVR学会

1
テルモ株式会社
テルモメディカルプラネクス
高 橋 誠
Terumo cop. Terumo Medical Pranex Makoto Takahashi
The IVR Summer Seminar was held in the objective of learning animal experiment operation and IVR
techniques. In the next four series, we will present the method of animal preparation, keep swine,
anatomy, experiment technique, for doctors who plan to begin animal experiment.
はじめに
IVR 学会学術夏季セミナーを, IVR の動物実験手技の
【Table 1】
動物種
体 重
ブタ
(単飼)
<15 o
25 o まで
50 o まで
100 o まで
200 o まで
200 o<
習得と同時に IVR 技術を学ぶと題して開催した。その
後, 動物実験の基本的な事項についてまとめるという大
役を仰せつかり, これから動物実験を行う先生方を対象
として, 動物実験の準備, 動物概要, 解剖, 血管走行, 実
験手技概要を4 回シリーズで紙面に掲載させていただく。
床面積
0.72 g
1.08 g
1.35 g
2.16 g
4.32 g
5.4 g 以上
高さ
−
−
−
−
−
−
NIH の指針(1996 年)に基本的に準拠
動物実験を始めるにあたり
2)
動物実験を実施する場合, 動物愛護の観点から適切に
るが, 実験用動物として扱う場合は, 【Table 2】のよ
行わなければならない。どの種の動物を実験に用いる
うな屋内環境下で個別飼育することが望ましい 。あま
のか, 入手した動物に合った飼育環境(空調, ケージス
り不潔にすると感染症が発生する恐れがある。感染症
ペースなど)から始まり, 実験プロトコールを作成し,
を防ぐ方法の一つは, 搬入された時点での検疫をしっか
実験で得られるであろう結果を推察して, 必要な器具,
りすることである。
1)
薬剤を準備する。実験後, 飼育して経過を観察するか,
実験施設により検疫方法は異なるが, 例として体重測
病理組織を作成するか等, 一連の流れを想定する必要が
定, 洗浄を兼ねた容姿検査, 入荷時の記録(産地農場の
ある。動物を入手してすぐには実験できない。動物は
ワクチネーション状況等)の確認を実施する。特に呼吸
人間と同じくデリケートであるため, 動物が実験施設に
器症状については鼻汁, 咳, 呼吸音等の異常確認は念入
搬入されてから少なくとも検疫をかねて 1 週間以上は,
搬入した環境に慣れさせる(予備飼育)必要がある。
飼育環境
動物の飼育は, その種にあったケージのサイズを選ぶ
必要がある。
【Table 1】はその例であるが, 体重が増加
するほど当然, 床面積が広くなる。長期間飼育をする実
験を計画するなら, 動物が成長しても良いケージの大き
さを選ぶ必要がある。
動物はヒトと同様, 温度, 湿度, 光, 音に影響される。
家畜ブタなどは屋外の豚舎などで群飼育も可能であ
56(56)
【Table 2】
動物種
家畜類(ブタ)
温 度
湿 度
換気回数
気流速度
塵 挨
落下細菌
16 ∼ 27 ℃
30 %∼ 70 %(許容範囲)
10 ∼ 20 回/時
10 ∼ 25b /秒(許容範囲)
規定無し
30 個以下**
(動物を飼育していないコンベンショナル区域)
アンモニア濃度で 20 ppm を越えない
150 ∼ 300 ルクス(床上 40 ∼ 85b)
60 ホンを越えない
臭 気
照 明
騒 音
動物実験の基礎 1
りに実施する必要がある。更に実験に影響しうる項目
実験などに適しているミニブタ(Yucatan 種など)があ
については事前に確認することが必要である。また, 感
る 。【Table 5】は, ミニブタの体重, 成長度合いを示
染症の殆どが下痢, 発熱, 呼吸器症状を伴うものが多く,
したものである。
こららが発生した場合は人畜共通伝染病を含め専門家
の判断にまかせることが望ましい。
3)
豚の疾病については【Table 3】に示す 。
【Table 3】
病 名
外貌所見
豚丹毒
豚萎縮性鼻炎(AR)
大腸菌感染病
豚赤痢
豚ヘモフィルス感染病
流行性肺炎(SEP)
発熱,
鼻汁,
下痢,
血便,
急死,
肺炎,
皮膚チアノーゼ, じんましん
アイパッチ, 鼻曲がり
浮腫病
下痢
発熱, 咳
乾性咳嗽, 増体率低下
豚コレラ
豚伝染性胃
日本脳炎
オーエスキー病
トキソプラズマ病
発熱, 下痢, 神経症状
嘔吐, 水様性下痢
神経症状
発熱, 下痢, 紳経症状
発熱, 肺炎
病原体
豚丹毒菌
気管支敗血症菌
大腸菌
豚赤痢菌
ヘモフィルス菌
豚肺マイコプラズマ
豚コレラウィルス
豚伝染性胃腸炎ウィルス
日本脳炎ウィルス
仮性狂犬病ウィルス
トキソプラズマ原虫
8)
【Table 5】
Minipig-Hanford
Minipig-Yucatan Micropig-Yucatan
Age Weight
Age Weight
Age Weight
(mo)(o)
(mo)(o)
(mo)(o)
1 4-7
1 3-6
1 3-5
2 8 - 11
2 7-9
2 6-8
3 12 - 19
3 10 - 15
3 9 - 12
4 20 - 27
4 15 - 20
4 12 - 14
5 25 - 33
5 20 - 25
5 14 - 16
6 34 - 42
6 25 - 30
6 16 - 20
8 40 - 50
8 35 - 45
8 25 - 35
10 45 - 55
10 45 - 55
10 30 - 40
12 55 - 70 male
12 55 - 65 male
12 55 - 65 male
50 - 65 female
45 - 50 female
35 - 45 female
source : Reprinted with permission of Charles River Laboratories, lnc
実験に適している食用ブタは, 生後 3 ∼ 4 ヵ月ぐらい
の, 体重 30 ∼ 50o の個体が扱いやすい。ミニブタは, 6
【Table 3】にも含まれるが, 豚が関与する代表的な
4)
人畜共通伝染病を示す 。
【Table 4】
もし, 飼育中のブタで疑陽性になった場合でも, 感染
範囲を広げないため, 屠殺処分を実施する必要があり,
実験施設に動物が搬入された時点の検疫を十分に実施
することは大切である。
∼ 12 ヵ月ぐらいの個体が体重も 40 ∼ 50 o ぐらいであ
り成熟しているため, 長期実験には適している。ただ
し, ミニブタは入手が食用ブタより難しく高価である。
飼料は, たんぱく質, 脂肪の消化は旺盛であるが, 繊
維質を大量に消化することはできない。
飼料摂取量は発育ステージに合わせて, 与えるのが望
ましく, 飼育環境, 温度を考えながら給餌量を決定す
【Table 4】
代表的な人畜共通伝染病
ウイルス:日本脳炎, インフルエンザ, 水泡性口炎
細 菌 病:サルモネラ病, 仮性結核, エルシニア, パスツレラ, ブルセラ病,
類丹毒, 炭疽(法), 結核, 否定型抗酸菌病, レブトスビラ病, カ
ンビロバ クター病
真 菌 病:皮膚糸状菌病, カンジタ病
寄生虫病:トキソプラズマ病, ニューモシスティス(カリニ肺炎, クリスト
スポリジウム病, サルコシスティス病, 線虫病(トリヒナ病),
肥大吸虫病, 有コウ嚢虫病, エキノコックッス
動物種
る。摂取量は「日本飼料標準」(1998)を参考して欲しい。
ブタを扱う上の諸注意
微生物コントロールされた SPF ブタ(特定な微生物に
感染していないことが明らかなバリアシステム内で飼
育されたブタ)を入手し使用できれば, 安定した(長期)
実験の実施が可能である。しかし, SPF を入手しても実
験施設や飼育環境がバリアシステムと同様でないと意
味がなくなる。
実験に用いる動物は, マウス, ラットからヤギ, ヒツ
ジまでさまざまで, 目的に応じた種を選ぶ必要がある。
今回のシリーズでは, 循環器系, 消化器系などがヒトに
似ているブタを取り上げ述べていく。
ブタは, 偶蹄目, イノシシ科に属し, 雑食, 多産のた
め肉用家畜として育成されてきた。近年, ブタの循環器
系, 消化器系などがヒトに似ているため, 実験用動物と
して利用されることが多くなった。【Fig.1】
ブタの品種は, 大きく 2 品種ある。一般に食用ブタと
されている中型ヨークシャ, バークシャ, ランドレース
種などと, それぞれの交雑種である。また, 体重増加が
食用ブタほどなく, 種の系統がはっきりしており, 長期
【Fig.1】
(57)57
動物実験の基礎 1
通常の食用ブタは, 微生物コントロールはされていな
いため, 疾病に感染している場合もある。また, 呼吸器
去勢を施すこともある。ミニブタでも 50 o 超えること
から成豚では♀の方が扱い易く危険も回避できる。
疾患や肺炎を起こし易い動物種なので, 搬入後, 予備飼
育期間は特に注意をし, 同室で既に飼育されているブタ
ブタの解剖
に汚染しないことに気をつけなればならない。また, 人
骨格【Fig.2】
畜共通伝染病【Table.4】は皆無ではないことから, 実
験の際には, 手袋, マスクを使用する。
脊椎数は以下に示すが, 品種により多少差異ある。
脊柱として, 頸椎 7, 胸椎 14 ∼ 16, 腰椎 7, 仙椎 4, 尾
ブタの性質は, 神経質で興奮しやすい。実験前の麻酔
椎 21 ∼ 23 であり, 豚の頸椎は家畜の中で最も短く, 全
投与時に, 注射針を刺した刺激で暴れることがあるの
頸椎に外側椎孔がある。胸椎は 1 から 3 番までが棘突起
で, 迅速に麻酔投与をする必要がある。1 回で投与がで
が高い。4 個の仙椎は結合して仙骨となるが骨化完了ま
きなかった場合は, 落ち着かせてから再投与をする。で
で 1 年かかる。
きれば興奮を起こさせない麻酔導入が望ましい。更に,
乾燥に弱く神経質でもあるため, 養豚場から実験棟の飼
育室に移動した時などの環境変化によっても肺炎を起
こすことがある。
肋骨として, 真肋骨 7, 仮肋骨 7 ∼ 8, 胸骨, 胸骨柄 1,
胸骨体 4, 剣突起 1, 各骨体は軟骨板で結合される。
歯式は J 3/3, C 1/1, P 4/4, M 3/3 で哺乳類の基本数
とされている。
雌雄は, ♀を用いる場合が多い。♂よりもおとなしい
前肢骨について, 肩甲骨は大きく逆三角形であり, 上
ため, 飼育・実験の際, 扱いやすい。♂を用いる場合は
腕骨は牛に類似しており大結節は上腕骨頭よりそびえた
ち, 指の末節骨の先端は蹄で囲まれてお
り, 有蹄類の特徴といえる。第 3 と第 4
が主蹄で第 2 と第5 が副蹄をなす。
後肢骨について, 寛骨は腸骨, 恥骨及
び坐骨からなり, 大腿骨は最も長い骨で
豚の大転子は骨頭と同じ高さにある。
蹄も前肢と同様第 3, 4 が大きく, 第 2,
第 4 が小さい。
筋肉走行【Fig.3】
皮筋は, 体幹皮筋・広頸筋・前頭筋
などがあり, 体幹皮筋は最も発達する。
頭部の筋肉は眼の周囲の眼輪筋, 口
裂を囲む口輪筋, 耳の耳介筋などが発
【Fig.2】
達し, また咀嚼筋として発達した咬筋,
側頭筋, 翼突筋などがある。
脊柱の筋は, 頸部の浅い層に板状筋
があり, 深層には頸最長筋, 頸二腹筋
などがある。脊柱起立筋として, 頸,
背, 腰部にわってみられる胸最長筋
(俗にロース)があり, 腸骨稜, 寛結節
および仙結節, 腰椎棘突起におこり,
各腰, 胸椎の関節突起に終止しながら,
終腱は第七頸椎の横突起に終止し, 腰
部最長筋ともいう。
胸壁の筋は呼吸に関しており, 外肋
間筋, 内肋間筋, 肋骨挙筋がある。ま
た, 呼吸筋の 1 種で腹腔と胸腔を分け
【Fig.3】
58(58)
る横隔膜がある。
動物実験の基礎 1
腹壁の筋肉は内臓を支えるため 4 つの筋肉からなり,
る。内腔は粘膜で覆われている。
腹壁の浅層を後下走する外腹斜筋, その下層する腹横
肺は左肺が右肺よりかなり小さい。この小さな左肺
筋, それにこれらの筋の鞘に包まれ下腹部を縦走し恥骨
は心切痕により前葉と中葉に分けられ, さらに葉間裂に
に終止する腹直筋からなる。腹直筋が正中にて会合す
より構成された後葉の三葉からなる。
【Fig.4】一方右は
る部分を白線という。
前葉, 中葉, 後葉と副葉の四葉からなる。
前肢の筋は自由前肢骨の個々の骨を結ぶ筋で, 肩甲,
気管支の分支様式は反芻獣に似ており, いずれも主幹
上腕部の主な筋として, 三角筋, 棘上, 棘下筋, 大円筋,
と気管支が発達している。なかでもブタに特徴的なの
上腕三頭筋, 上腕二頭筋, 上腕筋などがある。前腕部か
は本来の気管支より前位に, 直接気管から右前葉に向か
ら指骨への主な筋として, 総指伸筋および外側指伸筋お
う側枝が出ており, すなわち気管気管支が認められる点
よび浅指, 深指屈筋などがあり, 総指伸筋は各末節骨の
である。
伸筋突起に, 深指屈筋は同じ末節骨の屈筋面に終止する。
後肢の筋肉は脊柱と寛骨および大腿骨を結ぶ主な筋
心臓
として, 大腰筋, 腸骨筋, 小腰筋, 臀筋などがある。大
心臓は繊維性と漿膜性の心膜に包まれ先端を下に向
腿骨から踵骨隆起に終止する下腿三頭筋は腓腹筋およ
けた鈍円錐形である。【Fig.5】心臓は右心室前縁が第三
びヒラメ筋(豚特有の筋)からなり, 終腱はアキレス腱
肋間, 左心室の後縁が第六肋間に位置し, 心臓の体積
となる。また, 大腿骨, 下腿から趾骨へ向かう主な筋と
3/5 は体軸より左半にあり, 心底中と心尖結ぶ長軸が斜
して, 長趾および深趾屈筋は前肢と同じように末節骨に
めに傾いている。また, 冠動脈は右冠動脈, 左回旋枝,
4)
終止する 。
左前下後枝及び冠静脈を有する。心臓は胸腔において
ある程度の稼動性があり, 豚は仰向けに固定した場合は
呼吸器系
鼻は吻鼻の形をとり, 皮膚面は鋭敏感覚器官となって
程度は個体差があるが, 背中方向および右側に僅かに移
動する。
いる。基部は鼻中隔から分化した吻鼻骨があるため, 鼻
尖は堅固で地面を掘り起こすに便利である。鼻腔は鼻
肝臓
中隔により左右分かれ, 外鼻孔と後鼻孔と咽頭腔により
肝臓は前腹部にあり, 直接横隔膜と接し, 体長軸の右
通じる。後鼻孔を通じて咽頭に開口する。鼻腔は嗅細
に片寄る。比較的大きく赤褐色を呈する。【Fig.6】横隔
胞が存在する。
膜と接する前面を横隔面, 臓器と接する後面を臓側面と
喉頭は気管の入り口にあたり, 鼻腔から気管に向かう
いう。葉間切痕により外側左葉, 内側左葉, 方形葉, 内
呼吸道と, 口腔から食道に通じる消化器道が咽頭で交差
側右葉, 外側右葉および尾状葉の 6 葉に分けられる。外
した底部が存在する。咽頭は, 豚ではほぼ円形で食物嚥
側左葉が最大で, 方形葉は発達が悪く肝臓の腹縁に届か
下のときは反転して咽頭口を閉鎖し, かなり深い位置に
ない。尾状葉も小さい。内側の右葉の内側位に胆嚢窩
あり, 小型の豚でも 10 b 以上ある。咽頭内腔には発声
があり, 胆嚢も埋没している。肝臓は背位の大静脈溝を
器をもつ。
縦走する後大静脈, 肝冠状間膜, 肝鎌状間膜, 肝円索に
気管は 33 から 36 個幅の狭い気管軟骨輪からなる。豚
より保定されるが, 肝冠状間膜, 肝鎌状間膜は極めて発
は首が短いためその数も少ない。この軟骨輪は背壁の
達が悪い。ほかの家畜よりも小葉間結合織が発達して
一部では軟骨を欠いているが, 横断面は円筒形を呈す
いるので, 肝小葉が肉眼的に見られるのも特徴である。
膵臓
膵臓は胃の後葉にあって体軸の右に偏り, 十二指腸基
部に沿って位置する。【Fig.7】中央の腺体から幅広く,
短い膵右葉は十二指腸に沿って十二指腸曲に達する。
狭く長い膵左葉は脾臓近くに達する。豚では背中膵臓
から出る副膵管のみが胆管開口部後ろ位置 12 b ∼ 15 b
のところに小十二指腸乳頭として開口する。
胆管
【Fig.4】
胆管は左右胆管と, これらが合わさり総胆管となり,
(59)59
動物実験の基礎 1
途中から胆嚢からの胆嚢胆管を出し十二指腸に開口す
向かい, 斜め前に進み空腸にいたる。総胆管および副膵
る。【Fig.8】開口部は膵管の開口部と異なり, 豚では副
管開口部である大および小十二指腸乳頭は幽門から 2 b
膵管優位である。開口部位置および胆嚢位置について
と 10 から 2 5b 後方にある。空腸は全長約 16 c で, 腸
は膵臓および肝臓に述べたとおりである。
管は右および下腹部でスプリング状に湾曲している。
胃は, 比較的大きな嚢状の器官であり, 5.7 ∼ 8 L の大
きさで横隔膜と肝臓の直後にあり, 左側に片寄る。
小腸は, 十二指腸は肝臓の臓側面を右に走り, 後方に
盲腸は 20 ∼ 40 b, 直径 8 ∼ 10 b 円筒形であり, 左腎
臓後端から後方に向かい, 盲腸尖は鼠径部付近に後壁に
接する。結腸は 4 から 4.5 c で, 結腸は始め盲腸と同じ
【Fig.5】
【Fig.6】
60(60)
腹側
肺側
動物実験の基礎 1
【Fig.7】
【Fig.8】
次回は, ブタの血管走行とアンギオグラフの対比を述
べる。
【Fig.9】
太さであるが, 次第に細くなり 3 ∼ 4 回左旋回(求心回)
して胃に達し, ここで反転(中心曲)して, 求心回の内
側に沿って背方に旋回(遠心回)する。これは豚特有の
円錐結腸を形成する。
腎臓
腎臓は腹腔腰部にあって脊柱, 腹部大動脈, 後大静脈
を介して左右一対あり, 第一から第四腰椎の肋骨突起の
腹位にあたる。【Fig.9】背面は疎性結合織で腹腔に緩や
かに付着し, 腹面を腹膜で覆われる。左腎は右腎よりも
前位にあるが移動しやすく, 時は骨盤腹腔近くまで移動
することがある。暗赤色でインゲン豆状の平滑な器官
であり, 腎門は脊柱側の窪んだところに位置し, 尿管,
脈管, 神経が出入りする。腎臓の表面は繊維皮膜に包ま
れるが, 割面でみると腎乳頭が 10 から 12 個あり小腎杯,
大腎杯が形成され, 腎盤に会合して尿管に続く。
【文献】
1)日本建築学会編:平成 8 年版 ガイドライン・実験
動物施設の建築および設備ガイドライン, アドスリー,
1996.
2)National Research Council : Guide for the care and
use of laboratory animals, National Academy Press,
USA, 1996.
3)「実験動物の基礎と技術 2 各論」日本実験動物編:
丸善株式会社, 東京, p152 - 171, 1989.
4)西中川 駿, 原田悦守, 松本光春, et al :「豚病学−
生理・疾病・飼養−」柏崎 守編. 近代出版, 第 4
版, 東京, 1999, p3 - 35, p599.
5)「日本飼養標準・豚(1998 年版)」農林水産省農林水
産技術会議事務局編:中央畜産会出版, 東京, 1998.
6)加藤喜太郎:「家畜比較解剖図説」, 養賢堂, 東京,
1983, 7 版.
7)Robert BC, et al : FETAL PIG, McGraw-Hill Higher
Education, 1997.
8)Swindle MM : Surgery, Anesthesia & Experimental
Techniques in Swine, Iowa State Press, 1998.
9)倉益茂実, 宮沢忠雄, 梅沢英彦, et al : 実験動物テキ
スト05各論 豚, 日本実験動物研究会教育部会編.
日本実験動物研究会, 東京, 1975.
(61)61