HDFの仕組みとHDとの違い

第39回島根県腎友会総会
「HDFの仕組みとHDとの違い」
姫野クリニック
大田姫野クリニック
福村 宏
内
容
・原理と方法
・特徴(症状の変化)
・高齢者への適応
透析医学会会誌・HDF研究会会誌・HPM研究会会誌・しっかり透析の
ヒケツ(鈴木一之著)から抜粋しました。
血液透析濾過(HDF)の患者数
全患者数約30万人
HDF患者数21,671人
25000
20000
AFBF
人数
15000
6852
10000
5000
14016
4829
プッシュプルHDF
オンラインHDF
4890
オフラインHDF
9299
9421
8573
7160
2009年
2010年
2011年
2012年
0
透析医学会調査
HDF とは?
血液透析(HD) 拡散
+
血液濾過(HF) 濾過
血液透析濾過(HDF)
HDFの仕組み
補充液
P
除水量+補充液量
透析液
補充液
尿毒素
毒
60
毒
毒
毒
35000
毒
毒
70000
尿毒素の大きさは分子量で表され、小さ
い物から大きなものまであります。
尿毒素は約90種類あると言われていま
す.
HDFフィルタの構造
フィルタの構造
血
液
原
理
•溶質が濃度差の方向に双方
が同じ濃度になるまで移動
する.
•溶質のサイズが小さいほど
移動速度が速い
透
析
液
透
析
液
血
液
原理
水分だと思って
下さい
濾過をかけると黒く血液透
析では除去できにくい大き
な毒素が抜ける.
P
P
透
析
液
透
析
液
除去特性
まとめ
血液透析濾過(HDF)とは
血液回路に補液を3L/h~15L/h注入して
補液と同量の除水をすることで,血液透析で
では抜けにくい毒素を除去する治療.
内容
・原理と方法
・特徴(症状の変化)
・高齢者への適応
HDF有効例①
•
•
•
•
•
•
透析低血圧を起こしずらい
透析後疲労感が少ない
食欲不振を改善する
るいそうが進行しない
かゆみ・イライラを低減する
色素沈着を予防・改善する
ある山形の病院,震災後HDFを
中止したら47%の患者に症状
出現.
掻痒感
倦怠感
痙攣
疼痛
胸部症状
眩暈・耳鳴
イライラ
睡眠障害
頭痛・頭部不快感
血圧低下
食欲低下
HDF有効例②
レストレス症候群(RLS)の改善
足がむずむず,イライラする.
睡眠障害
透析困難症の改善
透析中の血圧低下.
透析後の気分不快
栄養状態の改善
食欲抑制物質の除去.
HDF有効例③
炎症性サイトカインの低下
透析アミロイドーシスに有効
透析中の循環動態の安定
食欲が低下せず,栄養状態が良好に保たれる.
筋肉量が落ちない.
患者ヒアリングの結果
患者
評価開始時
評価終了時(12L/hに変更2週間後)
・疲れやすい
・透析中の低血圧がある
・透析後の疲労感が少し良くなった
・肌つやが全身よくなった
・下肢つりが続いている
・食欲の改善
・下肢つりがなくなった
・透析後の行動意欲向上
・背中のかゆみがかなり減った
・手足の冷感がなくなり,眠りやすくなった
C
・下肢つりが続いている
・唇がただれる
・透析中と帰宅後の下肢つりが減った
D
・下肢つりが続いている
・下肢つりがなくなった
・疲れやすい,歩くのも疲れる ・透析後の疲労感が少なくなった
・透析中の低血圧がある
・食欲が増した
E
・変わりはない
A
B
・透析後の疲労感が少なくなった
まとめ
内容
・原理と方法
・特徴(症状の変化)
・高齢者への適応
当院の高齢透析患者の現状
大田姫野クリニック
方 法
検討項目
・透析時間,血流量,透析方法,Kt/V
・Alb,GNRI,%CGR,nPCR
・DW,血圧,体重増加
過去1年間の経過について検討した.
治療内容
当院
透析医学会調査
血流量(ml/min)
259±37
197.3
治療時間(h)
4.8±0.5
3.94
HD
1名
オンラインHDF
10名
体重増加率と増加量
(%)
(Kg)
6
2日間隔
(%)
(Kg)
6
5
5
増加率 4
4
3
3
2
2
1
1
0
0
増加量
1月 3月 5月 7月 9月 11月
1日間隔
1月 3月 5月 7月 9月 11月
透析前後の血圧
(mm/Hg)
2日間隔
(mm/Hg)
180
180
透析前 160
160
140
140
透析後 120
120
100
100
80
80
透析前
2
60
1日間隔
60
40
40
透析後
2
20
20
0
0
1月 3月 5月 7月 9月 11月
1月 3月 5月 7月 9月 11月
Kt/v・nPCR
2.4
(g/kg/day)
1.2
1.1
2.2
1
2
1.8
kt/V
0.9
1.6
0.8
1.4
0.7
1.2
1
0.6
0.8
0.5
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
nPCR
(kg)
48
47
DW・%CGR
(X100%)
1.2
1.0
46
45
44
43
0.8
0.6
0.4
42
41
40
0.2
0.0
DW
%CGR
GNRI・Alb
(g)
110.0
5
105.0
4.5
GNRI
100.0
4
95.0
Alb
90.0
3.5
85.0
3
80.0
2.5
75.0
70.0
2
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
考 察
• 昨年1年間の経過から体重増加率3~5%を超
えることなく安定した透析ができた.
• 一方食事内容や栄養の面が懸念されるがDWが
低下する事もなく大きな変化はなかった.
• 透析後の血圧低下はなく帰宅もスムーズで翌日
の生活にも透析の疲労倦怠感がみられない.
• 痩せることなく栄養状態も保持できる大きな要因
十分な透析をする事
オンラインHDF後の食事もしっかり食べれる事
結語
• 十分な治療と十分な食事によって,QOLを維
持できていたと思われる.
• 血液透析濾過(HDF)はそのための有効な手
段です.
お疲れ様でした.
ご質問がありましたら
ご遠慮なくして下さい