農業農村整備の概要

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農業農村整備の概要
1.上北管内の環境公共
1-1.環境公共の取組地区
六戸地区【集落基盤整備事業】
六戸町
本地区では、農業用排水路の法面が恒常的に崩落し、周辺農地や隣接する施設に被害を与えている
ことから、農家の維持管理労力を軽減するため、水路を改修しています。
整備に先立ち「六戸地区環境公共推進協議会」が設立され、排水路内の生き物調査を行ったところ、
ヤマメ、ドジョウ、カワニナ等の生き物が生息していることが確認されました。そこで生物の専門家
と共に工事開始前に排水路内に生息している生き物を捕獲し、工区外へ移動させることにしました。
また、整備する水路に環境配慮区間を設け、魚類の生息場所や植生に配慮した整備を行っています。
排水路の生き物を捕獲し工区外へ移動
整備された環境配慮区間
切田辰ノ口地区【ため池等事業(用排水施設整備】
十和田市
本地区では、老朽化し崩落の恐れのある農業用用水路の水路トンネルの改修を計画しています。
計画策定の際、水路トンネル内にコウモリが生息していることが確認され、こうした生物に配慮し
た工事をする必要が出てきました。
そのため、農家・行政のメンバーからなる「切田辰ノ口・南川原地区環境公共推進協議会」を設立
し、バットボックスの設置を設計するなど対応策を検討しているほか、専門家による現地調査も予定
しています。
水路トンネル内で確認されたコウモリ
環境公共推進協議会
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1-2.環境公共における地域住民活動
一本木沢ビオトープ協議会の活動
一本木沢ビオトープは、稲生川の整備と農地の減少により利用されなくなった農業用ため池を活用
し、県営一本木沢地区農村振興総合整備事業で整備された施設です。
本ビオトープを野生生物の生態観察等を通した子ども達の環境教育の場とし、住民・学校・行政等
との協調を図りながら、人と自然が共生できる環境の創出を図ることを目的として「一本木沢ビオト
ープ協議会」が設立されました。
協議会ではオオクチバスやブルーギルなどの外来種駆除や自然観察会・学習会を開催するなどして、
地域に根差した活動を展開しています。
一本木沢ビオトープ
ビオトープでの野鳥観察
稲生川せせらぎ活動委員会の活動
稲生川ふれあい公園は、稲生川沿いに位置する親水公園であり、国営相坂川左岸農業水利事業の
整備により生じた遊休地を、国営農業用水再編対策事業(地域用水機能増進型)及び地域用水機能
増進事業を活用して整備されました。
現在、稲生川せせらぎ活動委員会を設立し、十和田市内の16町内会も参加して、ふれあい公園の
清掃・除草・植栽活動等を行っています。
このような活動は、地域が主体となり水路周辺の環境の整備・維持管理を行っている事例であり、
環境公共の目指すべき姿となっています。
地域住民が行う植栽活動の様子
ふれあい公園内の田んぼで田植え体験
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2.農地・水保全管理支払交付金
◆ 目 的
農地や水路などは、長年にわたり多くの人々の手によって守られてきましたが、近年
における農村の過疎化、高齢化、混住化等の進行により、これらを維持していくことが
難しくなってきています。
そこで、これからは農地や水路などを、農業者だけではなく地域住民も含めた形で
守っていくことが必要となっており、これを支援することを目的に「農地・水保全管理
支払交付金」を実施しています。
◆ 制度内容
1) 共同活動支援
地域共同で行う農地・水路等の資源の日常管理と農村環境向上の取組を支援
① 実施期間(第2期対策)
平成24年度から平成28年度までの5年間
② 交付単価
《10a当たり 水田:4,400円/年 畑:2,800円/年 草地:400円/年》 の5~10割
※第1期対策(平成19~23年度)から5年間以上実施している地区は、基本単価の5~7.5割
③ 実施状況
交 付 金 算 定 面 積 ( ha )
交 付 金
市 町 村
地 区 数
田
畑
計
( 千 円 )
草 地
39,743
十 和 田 市
14
903
903
七 戸 町
1,837
40,415
26
1,837
おいらせ町
3
124
1
125
4,037
564
18,228
東 北 町
4
564
六 ヶ 所 村
11
331
209
410
950
16,162
計
58
3,760
209
410
4,379
118,585
平成26年4月時点
2) 向上活動支援
水路等施設の長寿命化の取組みを支援。
① 実施期間
平成23年度から平成28年度の間の3~5年間
② 交付単価
《10a当たり 水田:4,400円/年 畑:2,000円/年 草地:400円/年》
③ 実施状況
交 付 金 算 定 面 積 ( ha )
市 町 村
地 区 数
田
畑
草 地
計
七 戸 町
6
237
237
おいらせ町
1
40
40
六 ヶ 所 村
1
82
82
計
8
359
0
0
359
交 付 金
( 千 円 )
10,445
1,771
3,619
15,835
平成26年4月時点
共同活動支援
(農道の適正管理 砂利補充)
(榎林地区環境保全隊)
向上活動支援
(ゲート類等の保守管理の徹底)
(二ッ森環境保全隊)
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3.中山間地域等直接支払交付金
◆ 目 的
中山間地域は、平野部に比べて傾斜地が多く農業生産の条件が不利なことから、過疎
化や農業者の高齢化が進み、担い手の減少や耕作放棄地が増加し、多面的機能の低下が
懸念されています。
本制度は、中山間地域において協定を締結した集落や農業者に対し、生産条件の不利
性を補う交付金を直接的に支払い、農業生産活動の継続や多面的機能の維持・増進活動
を支援します。
◆ 制度の内容
1) 実施期間(第3期対策)
平成22年度から平成26年度までの5年間
2) 対象地域
地域振興6法(「特定農山村法」、「山村振興法」、「過疎法」、「半島振興法」他)に指定され
ている地域【通常地域】及びこれに準じるとして知事が認める地域【特認地域】
3) 対象農用地の傾斜要件等
① 急傾斜の農用地(田:1/20以上、畑・草地・採草放牧地:傾斜度15度以上)
② 緩傾斜の農用地(田:1/100以上、畑・草地・採草放牧地:傾斜度8度以上)他
4) 対象農用地の団地要件等
① 集落協定
1ha以上のまとまりを持つ一団の農用地(連担していなくても集落協定に基づく農用地の保全
に向けた共同取組活動が行われる複数の団地の合計が1ha以上であれば対象)
② 個別協定
認定農業者等が利用権設定や作業委託を受けている農地(基本的に自作地は対象外であるが、
3ha以上経営している場合や一団の農用地全てを耕作している場合は自作地も対象)
5) 活動要件
集落マスタープラン作成、農業生産活動等・多面的機能増進活動の実施、農業生産活動
等の体制整備
6) 交付単価
(単位:円/10a)
地
目
等
田
畑
草 地
採草放牧地
急 傾 斜
21,000
11,500
10,500
1,000
緩 傾 斜 等
8,000
3,500
3,000
300
※農業生産活動等の体制整備を実施しない場合、交付単価は8割となる。
※土地利用調整・法人設立等、交付金加算措置もある。
◆ 実施状況
市 町 村
十 和 田 市
野 辺 地 町
七 戸 町
横 浜 町
東 北 町
六 ヶ 所 村
計
協 定 数
交
付
田
30
1
6
20
3
2
62
金
算 定
畑
302
9
87
335
70
面
草
積 (
地
55
803
0
223
278
ha
)
計
302
9
87
389
70
223
1,080
交 付 金
( 千 円 )
52,429
597
13,531
26,892
5,609
6,690
105,748
平成26年4月時点
水路の泥上げ
(十和田市 向村集落協定)
草刈り作業
(十和田市 長谷地集落協定)
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