スライド - 宮崎県健康づくり推進センター

人工死産の要因と対策
~人工妊娠中絶(人工死産)に関する
アンケート調査から見えてきたもの~
○井上優美子 福島貴紀 森木大輔 永野秀子 (宮崎県健康増進課)
瀧口俊一(延岡保健所兼高千穂保健所)
はじめに
死産について
死産について
妊 娠 週 数
満12週
満22週
出生
人口動態
統
計
死産(自然+人工)
自然死産
人工死産(法による)
周産期死亡
母体保護
統
計
人工妊娠中絶
注) は未満を示す。
注 母体保護法による人工妊娠中絶について、平成3年('91)以降は、従来の
「妊娠満23週以前」が「妊娠満22週未満」に改められた。
人工死産率は、全国平均を大きく上回り、
ワースト1位となっている。
人工死産率の年次推移(出産千対)
17年 21年 22年 23年 24年 25年
全国
16.7 13.5 13.0 12.8 12.6 12.5
宮崎
29.4 21.9 20.3 20.2 19.6 18.9
順位
W1 W2 W1 W1 W1 W1
W:ワースト
目的
本県は人工死産率が高い状
況であり、人工死産は妊娠週数
が遅いほど、女性の健康に影響
を及ぼす。
そのため、今後の効果的な対
策を講ずるための、基礎データ
を得ることを目的に調査を実施
した。
方法
1 対象者
・人工妊娠中絶(前期中絶:12週未満)
・人工妊娠中絶(人工死産:12週以降)
・妊産婦
2 期間 平成26年9月~平成27年3月
3 方法 自記式アンケート(聞き取り含む)
4 アンケート内容
前回調査(平成17~18年度)を参考
に、人工死産調査検討委員会にて検討
結果
協力者の概要
前期中絶
人工 (12週未満)
妊娠 人工死産
中絶 (12週以降)
小計
妊産婦
人数
平均
年齢
標準
偏差
133
29.97
±7.53
40
26.72
±9.36
173
29.21
±8.08
164
30.23
±5.28
1)中絶群と妊産婦
の比較
※中絶群:前期中絶+人工死産
中絶群には身近に相談者が
いない人がいる
いる
100%
妊産婦
***
中絶群
89.6%
0%
身近に相談者が
50%
いる
10.4%
100%
いない
χ²-test *** p <0.001
中絶群は公的な相談窓口を
知っている人が少ない。
妊産婦
知っている
20.9%
知らない
79.1%
**
中絶群
5.2%
0%
94.8%
50%
100%
χ²-test ** p <0.01
中絶群は低容量ピルを
知っている人の割合が少ない
知っている
妊産婦
知らない
34.1%
64.6%
*
52.6%
中絶群
0%
45.7%
50%
知っている=よく知っている、ある程度知っている
知らない=あまり知らない、まったく知らない
100%
χ²-test * p <0.05
2)前期中絶と人工
死産の比較
人工死産群は妊娠検査薬で妊娠を
確認した人の割合が少ない。
はい
人工死産
67.5%
いいえ
27.5%
*
87.2%
前期中絶
0%
50%
9.0%
100%
χ²-test * p <0.05
人工死産群は中絶できる週数が法律で定め
られていることを知っている人が少ない
知っていた
人工死産
知らなかった
47.5
47.5%
**
75.9%
前期中絶
0%
50%
21.8
100%
χ²-test ** p <0.01
3)平成17年度との比較
平成17年度調査より、学校や仕事の都
合で休みを取ることが難しい人が増加
(%)
100
H17年度
H26年度
50
***
0
χ²-test *** p <0.001
手術の時期が妊娠12週以降になった理由
考察
①人工妊娠中絶群の特徴
●身近に相談できる人がいない。
⇒相談対応の周知
●妊娠・出産に関する正しい知識
が乏しい。 ⇒健康教育
②人工死産群の特徴
妊娠検査薬で確認した割合が低い。
⇒相談対応の充実
③平成17年度との比較(人工死産)
●「妊娠に気づくのが遅れた」、
「決断できなかった」が増加。
⇒相談対応の周知
●「学校や仕事の都合で休みが取れ
なかった」が増加。
④人工死産件数の割合(人口動態統計)
●10代~24歳、35~39歳
の割合が増加
(10年前との比較)
●10代、20~24歳が多い。
(全国比較)
⇒健康教育、家族計画の強化
⑤繰り返し中絶する人が多い。
⇒人工妊娠中絶時の指導
今後の対策
●相談対応の充実と周知
女性専門相談センター「スマイル」、各保健所
●思春期健康教育の強化
ピアカウンセラーによるピアカウンセリング及び助産
師による健康教育)
●家族計画・避妊指導の強化
産婦人科医療機関での退院時、人工妊娠中絶時
ご清聴ありがとうございました。