I4 高速炉蒸気発生器伝熱管のセルフウェステージ現象に関する研究

I4
高速炉蒸気発生器伝熱管のセルフウェステージ現象に関する研究
伝熱管表面における流体・構造の熱的連成のモデル化
Study on self-wastage Phenomenon at heat transfer tube in steam generator of sodium-cooled fast reactor
-Thermal coupling of fluid and structure at surface of heat transfer tube量子システムデザイン工学領域 08E11018 小島早織(Saori KOJIMA)
Abstract: In a steam generator of sodium-cooled fast reactor, sodium-water reaction, caused by failure of heat
transfer tube, will damage the leakage itself (so called self-wastage phenomenon). In the previous research, a
numerical simulation tool, SERAPHIM has been developed. In the present study, a thermal coupling of fluid and
structure has been introduced into SERAPHIM code and numerical analyses are carried out to investigate the
influence of the heat transfer between fluid and structure.
Keywords: steam generator of sodium-cooled fast reactor, heat transfer tube, sodium-water reaction, self-wastage
phenomenon, thermal coupling analysis
1.序論
高速炉蒸気発生器伝熱管の微小亀裂から伝熱管内部の水蒸気が漏れ出すと,ナトリウムー水反応に伴
う伝熱管亀裂の自己拡大(セルフウェステージ)現象が発生する.現在,多次元ナトリウムー水反応解
析コード SERAPHIM1)が開発されているが,本コードを用いた既往のセルフウェステージ現象評価の研
究
2)では伝熱管表面は断熱とされている.そこで本研究では流体と構造の熱的連成モデルを構築し,
SERAPHIM コードへの導入を行った.
2.ナトリウムー水反応数値計算への組み込み
構造側熱伝導の支配方程式を以下に示す.
ρ𝐶𝑝
𝜕𝑇
𝜕
𝜕𝑇
𝜕
𝜕𝑇
=
(𝜆 ) +
(𝜆 )
𝜕𝑡 𝜕𝑥 𝜕𝑥
𝜕𝑦 𝜕𝑦
数値解法は逐次緩和法を用い,
境界条件として流体部との
図 1 10[msec]のときの質量平均温度
熱輸送を考慮し,熱的連成を行った.流体部との熱輸送に
ついては,多相成分を考慮した熱伝導モデルを用いた.
3.セルフウェステージ現象評価
解析体系は 2 次元とし,幅 7.5m,厚み 50m の亀裂か
ら 1.0m/s で 1.5MPa の水蒸気が流出する体系をもとに,構
図 2 構造部周辺(図 1 の黒枠部)
築したモデルにおける解析を実施した.図 1 及び 2 に示
すように,流体側から構造側への熱移行が正しく計算されており,本モデルの妥当性が確認された.ま
た漏えい初期では亀裂からある程度離れた位置で構造材温度が上昇することが判明した.
4.結論
SERAPHIM コードに流体・構造の熱的連成モデルを導入し,コードの妥当性を確認した.また漏えい
初期における構造材の温度上昇傾向を把握した.
参考文献
1) 高田孝他,化学反応を含む多成分・多相流数値解析手法の開発―多次元ナトリウムー水反応解析コー
ド SERAPHIM―, JNC,JNC TN9400 2001-125,2002.
2) 山口彰他,高速炉蒸気発生器における伝熱管破損事象に関する研究;
(36)数値解析を用いたセルフウ
ェステージ定量化,原子力学会 2014 年秋の大会,K27,2014.