平成26年度認定試験問題・模範解答(PDF)

1) 日本糖尿病療養指導士(CDEJ)について誤っているのはどれか。1つ選べ。
a. わが国では 2013 年現在約 18000 人認定されている。
b. 療養指導業務は医師の治療方針に沿っておこなわれる。
c. 療養指導では患者をエンパワーメントすることが原則である。
d. 各コメディカル専門職種の医療法に定めれらている業務とは異なる。
e. 糖尿病患者の療養指導に従事するコメディカルスタッフに与えられる。
正解: d
解説:
CDE による療養指導の業務は、医師の治療方針に沿って、日本の医療法で定められてい
る各医療専門職種の業務に則っておこなわれるものであって、異なるものではない。
ガイドブック 2014 の該当頁: 2
~ 5
2) 糖尿病療養指導の基本について、正しいのはどれか。1つ選べ。
a. 医療法に抵触してはならない。
b. 医師の指示のもとでおこなう必要はない。
c. 初診患者の情報は看護師のみ知っていればよい。
d. チームアプローチは特殊な症例のみを把握する。
e. カンファランスは医師と看護師がおこなう。
正解: a
解説:
療養指導は、各職種の医療法に則って、各コメディカルスタッフの医療職の種類別によ
りきめられている業務範囲において、医師の指示のもとでおこなうことと規定されてい
る。全職種参加によるチームアプローチ、カンファランスが重要である。
ガイドブック 2014 の該当頁: 7
~ 9
1
3)
糖尿病と診断できないのはどれか。1つ選べ。
a. 空腹時血糖値 128 mg/dL、同時に測定した HbA1c 値 6.7 %。
b. 1 か月前の随時血糖値 210 mg/dL、本日の空腹時血糖値 135 mg/dL。
c. 1 か月前の HbA1c 6.7%、本日の空腹時血糖値 122 mg/dL、HbA1c 6.5%。
d. 本日の随時血糖値 358 mg/dL、口渇,多尿,3 か月間で 6kg の体重減少。
e. 1 か月前の空腹時血糖値 130 mg/dL、本日の空腹時血糖値 122 mg/dL、HbA1c 値
6.6 %。
正解: c
解説:1 回の採血で,血糖値と HbA1c 値がともに糖尿病型の場合(a),あるいは別の日
に行った検査で,糖尿病型が再確認(b, e)できれば糖尿病と診断できる.ただし,初回
検査と再検査の少なくとも一方で,必ず血糖値の基準を満たしていることが必要であり
HbA1c のみの反復検査は不可.したがって,(c)は糖尿病と診断できない.また血糖値
が糖尿病型を示し,口渇,多飲,多尿,体重減少などの糖尿病の典型的な症状が存在す
れば糖尿病と診断できる(d).
ガイドブック 2014 の該当頁: 19~20
4)
1 型糖尿病の特徴として該当しないのはどれか。1つ選べ。
a. 家系内の糖尿病は 2 型の場合より少ない.
b. 肥満とは関係がない.
c. ケトーシスに陥りやすい.
d. 発症は小児~思春期に多い.
e. 初めに経口血糖降下薬で治療する.
正解: e
解説:1 型糖尿病はインスリンを合成・分泌する膵β細胞の破壊によって発症する糖尿
病である.通常はインスリンの絶対的な欠乏に至り,ケトーシス・ケトアシドーシスに
陥りやすく(c)、インスリン注射で治療する(e)。やせ型で若年発症が多いが(b, d),中
高年にも認められる。遺伝的素因は 2 型の場合より少ない(a).
ガイドブック 2014 の該当頁: 22~23
2
5)
37 歳の女性.妊娠 10 週に,空腹時血糖値 150 mg/dL,HbA1c 値 7.8 %を指摘された.
これまで血糖値の異常を指摘されたことはない.診断はどれか。1つ選べ。
a. 1 型糖尿病
b. 2 型糖尿病
c. 遺伝的異常による糖尿病
d. 内分泌疾患による糖尿病
e. 妊娠糖尿病
正解: b
解説: 本症例は妊娠中に初めて発見された糖代謝異常であるが,明らかな糖尿病であ
ると診断できるため,妊娠糖尿病には含まれない.なお,妊娠糖尿病は妊娠中に初めて
発見または発症した“糖尿病にいたっていない”糖代謝異常である.
ガイドブック 2014 の該当頁: 22~27
6)
43 歳の男性.健康診断で異常を指摘された.身長 168cm,体重 85kg,BMI30.1 kg/m2,
血圧 146/92 mmHg,空腹時血糖値 142 mg/dL, HbA1c 6.9 %,中性脂肪 245 mg/dL,HDL
コレステロール 35 mg/dL,LDL コレステロール 152 mg/dL,尿糖(-),尿蛋白(±).
本症例において、おこなうべき検査のうち,正しくないのはどれか。1つ選べ。
a. ウェスト周囲長
b. 経口ブドウ糖負荷試験
c. 尿中アルブミン
d. アキレス腱反射
e. 眼底検査
正解: b
解説: 本症例においては空腹時血糖値と HbA1c ともに糖尿病型を示しており,本結果
のみで糖尿病と診断されるため,診断のための経口ブドウ糖負荷試験は原則として行わ
ない.糖尿病合併症評価のための尿アルブミン,アキレス腱反射,振動覚,眼底検査は
必須である.またメタボリック症候群の評価のためのウェスト周囲長も必要である.
ガイドブック 2014 の該当頁: 19、31~33
3
7)
わが国における第二次世界大戦後の 2 型糖尿病患者数の増加の背景として,正し
くないのはどれか.1つ選べ。
a. 自動車保有台数の増加
b. エネルギー摂取量の増加
c. 脂肪摂取量の増加
d. 動物性たんぱく質摂取量の増加
e. 食物繊維摂取量の減少
正解: b
解説: 2 型糖尿病の患者数は,第二次大戦後,自動車の登録台数に比例して増加した.
その背景としては,運動量の減少のみならず,動物性たんぱく質,脂質,単純糖質の摂
取量の増加,食物繊維の摂取量の減少などの食生活習慣の変化による影響が考えられる.
なお,戦後から今日に至るまでの間,エネルギー摂取量の増加はなくむしろ減少傾向に
ある.
ガイドブック 2014 の該当頁: 36~37
8)
わが国における糖尿病の現状と課題について,正しいのはどれか.1つ選べ。
a. 糖尿病とその予備軍である人は約 200 万人と推計される
b. 糖尿病が強く疑われる者のうち治療中の者は増加している
c. 50 歳未満の未治療者は少ない
d. メタボリックシンドロームの特定健康診査の受診率は 80%を超えた
e. 糖尿病治療は専門医のいる病院に集約させる
正解: b
解説: 厚生労働省が発表した「平成 24 年国民健康・栄養調査」の推計によると,糖尿
病が強く疑われる者(HbA1c≧6.5%)は 950 万人,糖尿病の可能性を否定できない人(糖
尿病の予備軍,6.0≦HbA1c<6.5%)は 1,100 万人とされている(a).糖尿病が強く疑わ
れる者のうち,現在治療を受けている者の割合は全体で 65.2%と(b)増加している一方
で,50 歳未満では男女とも 40%前後にとどまっており,若年層の未治療・治療中断をい
かに減らすかが課題である(c).
特定健康診査の受診者は約 45.0%にとどまっている(d).
糖尿病専門医の数は限られているので,かかりつけ医との連携を継続して実践していく
ことが必要である(e).
ガイドブック 2014 の該当頁: 36~41
4
9) 糖尿病の治療目標について正しいのはどれか。1つ選べ。
a. 血圧管理は合併症予防に関係しない
b. 低血糖の危険性は考慮しない
c. 余命短い患者では HbA1c の正常化をめざす
d. 細小血管障害の予防には HbA1c 7.0%未満を目標にする
e. HbA1c7.0%未満に対応する食後2時間血糖値は 250 mg/dL である
正解: d
解説:ガイドブック 44 ページ、表1の理解を確認する
糖尿病治療の目標は合併症の発症と進展の阻止、健常人と変わらない QOL と寿命の維持
であり、これを達成するために体重、血糖、血圧、脂質のコントロール維持が必要であ
る。合併症の発症・進展予防のためには HbA1c7.0%未満が推奨され、これは空腹時血
糖 130mg/dl 未満、食後 2 時間血糖 180mg/dl に対応する。治療目標は年齢、罹病期間、
臓器障害、低血糖、サポート体制を考慮し個別に設定する。
ガイドブック 2014 の該当頁:
44
10)インスリン吸収速度を遅延させる因子はどれか。1つ選べ。
a.
局所マッサージ
b.
運動
c.
食事
d.
喫煙
e.
高温
正解:d
解説:運動、食事、高温、局所マッサージはインスリン吸収速度を亢進させる
ガイドブック 2014 の該当頁:
76
5
11) 糖尿病の食事療法について正しいのはどれか。1つ選べ。
a. 摂取エネルギー量は少ないほどよい
b. 食物繊維の摂取を推奨する
c. 食品交換表の1単位は 100Kcal である
d. 炭水化物のエネルギー比率は 30%にする
e. 表5の食品は全体エネルギーの 50%にする
正解: b
解説:
適正なエネルギー摂取量を摂取することが大切である。食物繊維は 1 日 20~25g 以上が
推奨される。食品交換表の 1 単位は 80Kcal である。
炭水化物のエネルギー比率は 50-60%、
たんぱく質は標準体重 1kg あたり 1.0~1.2g 摂取する。表5は脂質を多く食品であり、
脂質の摂取量は炭水化物、たんぱく質の残りである。
ガイドブック 2014 の該当頁:
50 ~ 52
12) 63 歳の男性。10 年前から 2 型糖尿病にて通院していた。最近、体重増加、血糖コ
ントロール悪化のため、専門医に紹介された。身長 158 cm、体重 75 kg。HbA1c 9.0 %。
グリミクロン 80 mg/日、メトホルミン 1500 mg/日、アログリプチン 25 mg/日を服用中
である。主治医はまず食事療法の再指導を指示した。
正しいのはどれか。1つ選べ。
a. サプリメントの摂取を勧める
b. 表3の食品は摂取エネルギーの 60%とする
c. 間食は1日の指示単位の範囲内で摂取する
d. アルコールは表1の食品と交換する
e. アルコール飲料は4単位まで許可する
正解: c
解説:サプリメント、健康食品はその効果や長期服用における副作用に関するエビデン
スが欠けており積極的には勧められない。表 3 はたんぱく質を多く含む食品で、たんぱ
く質は標準体重 1kg あたり 1.0~1.2g/日(摂取エネルギーの 10~20%)とする.アル
コールは主治医が認める場合1日1-2単位まで許可する。他の栄養素との交換はでき
ない。本症例ではメトホルミンも使用されており、アルコールは控えたほうがよい。
ガイドブック 2014 の該当頁:
54
~ 56
6
13) 運動療法開始時のメディカルチェックとして必要でないのはどれか。1つ選べ。
a. 空腹時血糖値
b. 眼底検査
c. 尿蛋白
d. 足部の観察
e. 便潜血検査
正解: e
解説:運動開始時の検査 p59, 表 8
糖尿病の状態、合併症や運動障害の有無・程度などから、運動療法実施の可否を判定す
る。可能な場合には具体的な運動処方(種類、強度、時間、頻度)を決定し、不可の場
合は専門治療を優先する。
ガイドブック 2014 の該当頁:
59
14) 運動療法について正しいのはどれか。1つ選べ。
a. 週1日では効果がない
b. レジスタンス運動は効果がない
c. 持続時間 60 分以下は効果がない
d. 食後1-2時間に実施する
e. 運動強度が強いほど効果がある
正解: d
解説:運動によるインスリン感受性改善効果は運動後 3 日以内に低下し始め 1 週間で消
失する。運動療法は有酸素運動がすすめられるが、レジスタンス運動も基礎代謝量の維
持・増加や関節疾患の予防などに有効である。運動時間は 20 分以上の持続が好ましい。
運動強度は「楽である」~「ややきつい」と感じる程度が至適であり、「きつい」と感
じる運動は運動後に血糖値上昇の危険がある。
ガイドブック 2014 の該当頁:
58 ~ 61
7
15) 運動による消費エネルギー2 単位(体重 60kg の場合)に相当する運動として誤り
はどれか。1つ選べ。
a. 歩行(70m/分)40 分間
b. 水泳(平泳ぎ)15 分間
c. 軽いジョギング 20 分間
d. 自転車(平地 10Km/時間)30 分間
e. 登山 30 分間
正解: e
解説:
p.61 表 10
体重 60kg の人が 2 単位(160kcal)消費するために必要な運動時間は、軽い運動に分類さ
れる歩行で約 40 分、自転車で約 30 分、中等度の運動である軽いジョギングで約 20 分、
強い運動に分類される水泳であれば約 15 分である。登山は中等度~強い運動である。
ガイドブック 2014 の該当頁:
61
16) 積極的に運動療法をすべきではない病態のうち、誤りはどれか。1 つ選べ。
a. 腎不全
b. 肥満
c. 尿ケトン体 強陽性
d. 起立性低血圧
e. 空腹時血糖値 350 mg/dL
正解: b
解説: 63 ページ、表 11、糖尿病三台合併症と運動の適否参照
腎不全期や起立性低血圧では ADL 維持のための運動処方を行う。空腹時血糖 250mg/dl
以上で尿ケトン陽性、または尿ケトン陰性でも空腹時血糖 300mg/dl 以上の場合には、
高血糖やケトーシスを誘発・増悪させることがある。
ガイドブック 2014 の該当頁:
62~63
8
17) 糖尿病治療薬について正しいのはどれか。1つ選べ。
a. DPP-4 阻害薬は単独投与では低血糖が多い
b. スルホニル尿素薬による低血糖はまれである
c. SGLT2 阻害薬は小腸からのブドウ糖吸収を阻害する
d. ビグアナイド薬はヨード造影剤使用前に服薬を継続させる
e. αグルコシダーゼ阻害薬投与時の低血糖はブドウ糖を摂取させる
正解: e
解説: 患者指導を行う上で必要な各経口薬の特徴を知っておく
DPP-4 阻害剤の血糖降下作用はブドウ糖濃度依存性なので、単独投与では低血糖の可能
性は少ない。スルホニル尿素薬はインスリン分泌を促進する薬剤であり、最も多い副作
用が低血糖である。SGLT2 阻害薬は腎尿細管におけるブドウ糖再吸収を阻害する。ヨー
ド造影剤使用前後は乳酸アシドーシス予防のためビグアナイド薬を服薬しないように
指導する。
ガイドブック 2014 の該当頁:
65
~ 70
18) 52 歳の男性。デスクワークが多い会社員。口渇、多飲、全身倦怠感にて受診した。
身長 160cm, 体重 80kg、血圧 172/90mmHg, 検尿:尿糖 3+, 蛋白(-), ケトン体(-)。
空腹時血糖値 265 mg/dL, HbA1c 10.5 %, 中性脂肪 460 mg/dL, LDL コレステロール 150
mg/dl. 眼底所見:異常なし。
適切な食事療法の療養指導はどれか。1つ選べ。
a. 塩分 10g/日
b. 蛋白
35g/日
c. 糖尿病食 18 単位
d. ビール大ビン1本/日 許可
e. 野菜1日 100g 以下
正解: c
解説:
BMI 31kg/m2 と肥満、脂質異常症、高血圧症をみとめる。適切な摂取エネルギ
ーは、標準体重 56.3KgⅩ 25= 1400kcal、糖尿病食 18 単位、塩分 6g/日、野菜 300g/日
の食事療法が適切である。また、中性脂肪高値、血糖コントロール不良よりアルコール
摂取は不可である。蛋白尿はなく、高度の蛋白制限食は不要である。
ガイドブック 2014 の該当頁:
50 ~ 57
9
19) 72 歳の女性。糖尿病罹病歴 20 年。身長 156 cm、体重 50 kg。腎症2期、増殖前網
膜症、軽度末梢神経障害を認める。2年前より、グリメピリド 4 mg/日、ボグリボース
0.6 mg/日、シタグリプチン 50 mg/日にて治療されてきたが、最近血糖コントロールが
悪化、空腹時血糖値 180 mg/dL、HbA1c 9.4 %となり、主治医は、持効型インスリン注
射1日1回と投与中の経口薬の併用療法導入を指示した。
誤っている療養指導はどれか。1つ選べ。
a. 低血糖時はブドウ糖を摂取する
b. インスリン注射前に空打ちをする
c. 血糖自己測定により朝食前血糖を測定する
d. 嘔吐時は頻回に血糖を測定する
e. 食事摂取不良時にインスリンを減量しない
正解: e
解説: 初回インスリン治療導入時は、低血糖、シックデイのさいの対応等を特に高齢
者においては十分おこなう必要がある。特に食事摂取低下時のインスリン、経口薬減量
中止は重篤な低血糖を回避するために重要である。
ガイドブック 2014 の該当頁:
73~78, 184~186
20)36 歳の男性。IT 企業の会社員。30 歳頃より会社健診にて尿糖を指摘されていたが
放置していた。今回、健診にて高血糖指摘され受診した。自覚症状はない。身長 165 cm、
体重 81.6 kg、ウェスト 98 cm、血圧 130/85 mmHg、空腹時血糖値 145 mg/dl, HbA1c 8.3 %。
蛋白尿、網膜症、神経障害、心疾患を認めない。デスクワーク中心の仕事で、電車通勤
である。主治医は、まず生活習慣改善指導を指示した。
誤っている療養指導はどれか。1つ選べ。
a. 運動時の脈拍自己測定
b. 1回 30 分、週 5 日の運動
c. 運動前後のストレッチング
d. 発熱時の運動の継続
e. 通勤での運動量増加
正解: d
解説: 肥満を伴った2型糖尿病で、初回治療時の生活習慣改善指導において、運動療
法に関する指導に関する問題である。発熱時やシックデイなどの際は、高血糖や脱水の
リスクがあり、無理な運動はしないように指導することが大切である。
ガイドブック 2014 の該当頁:
60 ~ 64
10
21)患者のセルフケア行動に影響する要因で誤っているのはどれか。1つ選べ。
a. 医療者の態度
b. セルフエフィカシー(自己効力感)
c. ヘルスローカスオブコントロール(健康に関するコントロールの所在)
d. 患者の学歴
e. 家族の協力
正解: d
解説:
患者の学歴は主な要因には含まれない。糖尿病教育の介入効果は、必ずしも患者の学歴
とは相関しない。
ガイドブック 2014 の該当頁:
86
~ 90
22)患者教育における変化ステージを促進する援助について、誤っているのはどれか。
1つ選べ。
a. 前熟考期--------患者個別の利益と不利益を明らかにする。
b. 熟考期----------家族の協力を促す。
c. 準備期----------具体的な行動目標を設定する。
d. 行動期----------シックデイ時の対処法を考える。
e. 維持期----------患者の QOL、負担について確認する。
正解: a
解説:
患者が問題を認識する以前の否認、逃避時期にあたる前熟考期には、まず患者自身の感
情や考えを聞き一般的情報の提供を行うのが優先である。患者個別の利益と不利益を明
らかにするのは熟考期が望ましい。
ガイドブック 2014 の該当頁:
93
~ 94
11
23)糖尿病に合併した高血圧症での第一選択薬はどれか。1つ選べ。
a.
アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)
b.
カルシウム拮抗薬
c.
α遮断薬
d.
β遮断薬
e.
利尿薬
正解:a
解説:高血圧治療ガイドライン 2014 にて ACE 阻害薬、ARB が第一選択薬として推奨さ
れている
ガイドブック 2014 の該当頁:
164、170~171
24)糖尿病と精神疾患に関して正しいものはどれか。1 つ選べ。
a. うつ状態では低血糖はみられにくい
b. うつ病合併と慢性合併症のリスクは無関係である
c. 低血糖の恐怖を減らすには血糖値自覚訓練は無効である
d. 摂食障害時にはむちゃ喰い後のインスリンの過剰投与がみられやすい
e. 減食は摂食障害発症の要因である
正解: e
解説:
うつ状態では低血糖、高血糖いずれの変化も起こりうる。うつ病合併例では血糖コント
ロールが悪化しやすく合併症のリスクが高い。血糖値自覚訓練などで、低血糖に効果的
に対処できる自信を育てる。摂食障害時は、むちゃ喰いをする一方体重増加に対する恐
怖からインスリン自己注射の省略がみられやすい。
ガイドブック 2014 の該当頁:
98
12
25) 65 歳の男性。50 歳で 2 型糖尿病と診断され、経口血糖降下薬を内服加療中である。
合併症なし。これまで生活指導を受けたが、仕事の多忙を理由に実践していなかった。
今回外来受診時に本人より、定年退職したのでこれから生活を変えたいと話し始めた。
身長 168 cm、体重 80 kg、HbA1c 8.5 %。
不適切な療養指導はどれか。1つ選べ。
a. 生活習慣を問題認識できたことを評価する
b. 現段階での開始が遅いことを説明する
c. 食事習慣を変えることによる影響について話し合う
d. 運動開始後起こりうる身体的変化について説明する
e. 家族にも話し合いに加わってもらう
正解: b
解説:
初期とはいえないが大きな合併症のみられない患者。退職を機に熟考期に入ったと考え
られ、生活習慣の改善が伴えば減量やさらなる血糖コントロール改善などが見込めると
思われる。
糖尿病への意識の改善が見え始めた患者に対し b.は患者自身のやる気を阻害しかねな
い言動であり不適切である。その他の選択肢はすべて熟考期の介入法として適切である。
ガイドブック 2014 の該当頁:
26)
93
糖尿病の患者教育について,正しいのはどれか.1つ選べ。
a. 患者がより健康な生活を達成するために行われる
b. 教育目標は一律に設定される
c. 患者家族は対象外である
d. エンパワーメント法は不適切である
e. 「開かれた質問」は時間の浪費である
正解: a
解説: 患者教育は,「患者がより健康な生活を達成するために行われるもの」である.
教育目標は,個々の対象に適応した目標を個別に設定する.教育は患者だけでなく,家
族や日常生活と深く関わる人にも必要である.患者自身が能動的に学習するエンパワー
メント法の考え方は有効である.イエスかノーで答えられない疑問詞で始まる質問は,
患者から見た光景が把握できる.
ガイドブック 2014 の該当頁: 102~104
13
27)
患者教育の方法について,正しいものはどれか.1つ選べ。
a. 外来での教育では,治療中断者は対象外である
b. 入院での教育は,知識を系統的に学習することが可能である
c. 初期教育が出来ていれば,継続的な教育は不要である
d. 糖尿病教室では,専門用語の習得をめざす
e. グループ討論には医療スタッフは参加しない
正解: b
解説: 治療中断後に来院した患者の教育では,まず受診したことを認め,現時点から
改善していけることを中心に個別指導する.入院での教育は,初期教育として知識を系
統的に学習することが可能である.療養は一生にわたる継続的な営みであり,教育も継
続的に行われる.糖尿病教室において,講師は専門用語を避け,分かりやすく話すこと
が重要である.グループ討論中に,患者が疑問や不安をもったり,誤解をしたりする場
合は,医療スタッフによる討論を前向きに展開する援助が必要である.
ガイドブック 2014 の該当頁: 105~109
28)
療養指導とそのための教材として,正しくないのはどれか.1つ選べ。
a. 動機づけ
----- グラフ化体重日記
b. 食事療法
----- 食品交換表
c. 運動療法
----- エンパワーメント法
d. 薬物療法
----- 薬の見本
e. インスリン療法 ----- 注射手技のチェックリスト
正解: c
解説: 運動療法のための教材としては,運動施設,運動コースの地図,各種運動器具,
模範ビデオ,歩数計,運動のチェックリスト,心拍モニター計などがあげられる.エン
パワーメント法は患者自身の糖尿病管理能力を引き出すアプローチの一つである。
ガイドブック 2014 の該当頁: 105~109
14
29)
療養指導のためのアセスメント項目について,正しくないのはどれか.1つ選べ。
a. 血糖値
b. 足病変
c. 喫煙習慣
d. 経済状況
e. 腫瘍マーカー
正解: e
解説:療養指導のための情報収集・アセスメントとしては,「身体的所見・コントロー
ル状態」,「合併症の有無と程度」を把握し,「治療に関すること」を医師に確認したう
えで,患者の「生活状況やライフスタイル」,
「心理・社会面」を把握し,患者と話し合
いながら療養指導を計画する.
ガイドブック 2014 の該当頁: 112~113
30)
療養指導士の客観的評価について,該当しないのはどれか.1つ選べ。
a. 治療を中断する患者の数(割合)が減った
b. 患者の HbA1c 目標値への達成率が増加した
c. ケトアシドーシスによる入院回数が減った
d. 糖尿病での入院患者の在院日数が短縮した
e. 外来受診患者数が増えた
正解: e
解説:療養指導士の客観的評価法として,指導目標の達成度,代謝管理指標の達成度,
入院回数の減少,在院日数の短縮,心理的・社会的な評価,の5点があげられる.
ガイドブック 2014 の該当頁: 125
15
31)エンパワーメント法の主体となるのはどれか。1つ選べ。
a.
医師
b.
患者
c.
看護師
d.
薬剤師
e.
栄養士
正解:b
解説:エンパワーメント法の基本的な考え方は、糖尿病は患者のものであり、患者自身
がその問題を解決し、目標を立て自己管理を行うことである。
ガイドブック 2014 の該当頁:
87~88
32)変化ステージを促進する援助における介入法として適切ではないのはどれか。1つ
選べ。
a.
前熟考期に感情を聞く。
b.
熟考期に利益・障害のバランスを変える。
c.
行動期にセルフエフィカシーを用いたアプローチを利用する。
d.
維持期に患者会活動を勧める。
e.
再発に対して、不適切な行動の引き金となった考え方を調べる。
正解:c
解説:行動期には①より高度な知識と技術の提供、②問題解決技術、③再発予防訓練、
④行動療法(強化など)といった介入法が適切である。
ガイドブック 2014 の該当頁:
93~94
16
33)学童期の糖尿病患者に対する療養指導として正しいものはどれか。2つ選べ。
a. 担任の交代時には家族から病状について説明する
b. 糖尿病サマーキャンプの参加は有効である
c. 給食は個別対応にしてもらう
d. 周囲に自分の病状を説明しない
e. クラブ活動は禁止しない
正解: b, e
解説:
担任の交代時には必要に応じて医療者からも病状説明を加える。給食は食べる量や食品
交換の調節を行うこともあるが、特別扱いの必要はなく周囲と一緒に食べる事を優先す
る。周囲に自分の病状を正しく説明することは、患児の支援につながる。クラブ活動は、
それに応じた食事時間とインスリン指示設定が必要だが、むしろ積極的に参加を促して
よい。
ガイドブック 2014 の該当頁:
130
~ 131
34)糖尿病患者の就労に関する療養指導として正しいものはどれか。1つ選べ。
a. 交通機関の運転手になることはできない
b. 失明すると取得できる資格はない
c. 高所作業者の低血糖に配慮する
d. 勤務時間が不規則な就労は禁止する
e. 職場への病状説明は避ける
正解: c
解説:
制限・条件はあるが低血糖や起立性低血圧に留意すれば交通機関の運転手になれないわ
けではない。失明しても、あんまマッサージ指圧師、はり師、きゅう師などの資格や、
法律職(弁護士、司法書士、行政書士など)の資格は取得可能である。職場への病状説
明により個別の配慮が促されることはありうるが、理解を促すこともあり一概にいえな
い。
ガイドブック 2014 の該当頁:
138
~ 139
17
35)糖尿病教室について誤っているのはどれか。1つ選べ。
a.
講師は専門用語を多用する
b.
効率のよい教育方法である
c.
受講患者のアンケートを活用する
d.
最新の研究は患者の関心度が高い
e.
繰り返し受講することは有用である
正解:a
解説:糖尿病教室はグループを対象とした効率のよい、系統的な教育方法である。講師
は専門用語を避け、やさしい言葉でわかりやすく話すことが重要である。さらに、教室
の内容は多すぎたり難解なものは敬遠される。一度受講しても理解が不十分な場合、忘
れてしまう場合があるため、再受講することの意味は大きい。受講患者のアンケートを
参考に、患者の希望にあったプログラムの見直しが必要である。
ガイドブック 2014 の該当頁:
107~108
36) 15 歳の男子中学生。2週間前から感冒様症状が出現、1 週間前からお茶を 1 日 4L
程度飲むようになり母親とともに受診。随時血糖 250mg/dl、HbA1c 9.6%、抗 GAD 抗体
陽性にて 1 型糖尿病と診断され、強化インスリン療法が開始された。来春から野球推薦
枠での高校進学を控えている。
不適切な療養指導はどれか。1つ選べ。
a. 病気に対する思いを聞く
b. 患者や両親に患者会への参加を提案する
c. 合併症に関する教育を行う
d. 進学先の変更を依頼する
e. 練習内容を把握する
正解: d
解説:
思春期発症の 1 型糖尿病患者で、スポーツでの高校進学を控えた大事な時期である。病
気に対する本人および家族の受け入れが今後を大きく左右するため、初回教育は大変重
要である。d 以外の選択肢はすべて、本人および家族が病気に向き合い主体的に自己管
理に取り組むために重要である。また、糖尿病であることを理由に希望校への進学を諦
める必要はなく、情報収集を事前に行い、対応について相談し備えることが重要である。
ガイドブック 2014 の該当頁:
133
~ 134
18
37) 75 歳の女性。34 歳で 2 型糖尿病と診断され、50 歳より強化インスリン療法にて治
療中である。冠動脈ステント留置術を 2 回受けている。今回、脳梗塞を発症し入院加療
を受けたが、左半身麻痺症状が残った。独居で身寄りはいない。HbA1c 7.8 %。
適切な療養指導はどれか。1つ選べ。
a. HbA1c 7.0%未満を目標とする
b. 患者自身の人生観は考慮しない
c. 標準体重 1kg 当たり 30~35kcal を摂取する
d. インスリン療法の変更は考慮しない
e. 入院中に介護保険を申請する
正解: e
解説:
罹病期間が長く大血管症を合併している高齢糖尿病患者の症例。ADL も低下しており、
低血糖リスクも高いため血糖コントロールは HbA1c 7.0%未満にこだわらず低血糖を防
ぐ配慮が必要である。高齢者としての価値観・人生観への理解した上で指導にあたる。
ADL 低下症例であり、エネルギー設定としては 25~30kcal/日が適当と考える。身近に
家族がいない場合は社会サービスにおける介護者の存在が重要であり、治療内容やシッ
クデイ時の対応について担当者と情報共有しておくべきである。第 1 号被保険者に該当
する状態であり、今後スムーズに介護サービスを受けられるよう早くから介護保険に関
する情報を提供する。
ガイドブック 2014 の該当頁:
140
~ 146
38) 低血糖について誤っているのはどれか。1つ選べ。
a. 腎機能障害患者で生じやすい
b. アルコールは血糖低下作用を増強する
c. スルホニル尿素薬が関与すると遷延しやすい
d. グルカゴンを注射を行う
e. 自律神経障害合併患者は交感神経症状が顕著である
正解: e
解説:
自律神経合併例の低血糖では、交感神経症状(動悸、ふるえ、冷汗等)に乏しく無自覚
性低血糖となることがある。
ガイドブック 2014 の該当頁:
148
~ 150
19
39) 高血糖による急性合併症について誤っているのはどれか。1つ選べ。
a. 糖尿病ケトアシドーシスでは、アセトン臭を認める
b. 糖尿病ケトアシドーシスでは尿中ケトン体が陽性となる
c. 高浸透圧高血糖症候群は、高齢 2 型糖尿病患者に多い
d. 糖尿病ケトアシドーシスは高カロリー輸液時に多い
e. 糖尿病ケトアシドーシスの成因は、絶対的インスリン不足である
正解: d
解説:
高カロリー輸液時やステロイド治療時に多いのは、高浸透圧高血糖症候群である。
ガイドブック 2014 の該当頁:
150~153
40) 糖尿病神経障害の療養指導について正しい組み合わせはどれか。1つ選べ。
a. 感覚神経障害
---
こたつの温度は高めに設定する
b. 有痛性神経障害 ---
痛みは我慢するように指導する
c. 起立性低血圧症 ---
弾性ストッキング着用を指導する
d. 無自覚性低血糖 ---
血糖測定回数を減らす
e. 動眼神経麻痺
モノフィラメントにより評価する
---
正解: c
解説:
a. 感覚神経障害に対してこたつの温度は高めに設定すると低温やけどのリスクとなる。
b. 有痛性神経障害では痛みにより不眠やうつ状態が生じることもある。痛みに対して
は,消炎鎮痛薬、末梢性神経障害性疼痛治療薬(プレガバリンやデユロキセチン)、抗
痙攣薬(カルバマゼピンやガバペンチン)
、抗うつ薬(イミプラミン)
、抗不整脈薬(メ
キシレチン)などが用いられる。
c. 起立性低血圧症に対して、急激な体位変換をしないように指導する。弾性ストッキ
ング着用を指導する。
d. 無自覚性低血糖-血糖測定を頻回にするように指導する。食事の量や運動の変動幅が
少なくなるよう指導する。就寝前の補食を指導する。
e. 動眼神経麻痺は、循環障害による単神経障害である。モノフィラメント検査は感覚
障害のよい評価方法である。
ガイドブック 2014 の該当頁:
157~159
20
41) 糖尿病腎症の治療・療養指導について正しい組み合わせはどれか。1つ選べ。
a. 腎症 1 期 ---- 蛋白制限食
b. 腎症 2 期 ---- カリウム制限
c. 腎症 3 期 ---- 減塩
d. 腎症 4 期 ---- カロリー制限
e. 腎症 5 期 ---- 厳格な血糖コントロール
正解: c
解説:
a. 蛋白制限食は 3 期以降で指導する。
b. カリウム制限は 3 期で高カリウム血症を認める例と腎症 4 期以降で指導する。
c. 糖尿病性腎症 3 期以降は減塩指導を行う。
d. 糖尿病性腎症 4 期では蛋白異化亢進を防ぐためにエネルギー指導を増量する。
e. 腎症 2 期では厳格な血糖コントロールと血圧管理により尿中アルブミンが減少し
うるが、5 期では低血糖リスクとなりやすいため、患者の病状に合わせて適切な目標値
を設定する。
ガイドブック 2014 の該当頁:
162~166
42) 糖尿病足病変のリスクのうち誤っているのはどれか。1 つ選べ。
a. 高度視力障害者
b. ヘビースモーカー
c. 下肢振動覚正常
d. HbA1c
9.0%
e. 独居高齢者
正解: c
解説:
a.視力障害が高度な場合足の視認が不可能なのでリスクである
b. 喫煙は末梢動脈性疾患のリスク因子である
c. 合併症が進行していない糖尿病であり、選択肢中では足病変リスクは低い
d. 血糖コントロール不良であり、リスクが高い
e. 独居の高齢者は足の衛生保持が不十分な可能性がありリスクである
ガイドブック 2014 の該当頁:
174
21
43) 糖尿病でリスクが増加するものとして適切でないものはどれか。1 つ選べ。
a. 易感染性
b. 前立腺がん
c. 歯周病
d. 認知症
e. 骨折
正解: b
解説:
糖尿病では膵臓癌、肝臓癌、大腸癌の罹患リスクが高い。前立腺がんは減少傾向にある。
ガイドブック 2014 の該当頁:
178~182
44) 70 歳の女性。意識障害にて救急搬送された。痙攣を認める。血圧 94/60mmHg、血糖
値 900 mg/dl、HbA1c 9.0 %、尿ケトン(±)、動脈血 PH 7.35、SpO2 97%、頭部 CT 異常
なし。意識障害の原因として最も考えられるのはどれか。1つ選べ。
a. 低血糖
b. 脳出血
c. 心筋梗塞
d. 糖尿病ケトアシドーシス
e. 高浸透圧高血糖症候群
正解: e
解説:
血糖値が 900 mg/dl にて低血糖は否定。けいれんを認めるが頭部 CT 異常なく脳出血は
否定。血圧が低下しており心筋梗塞の可能性はあるが低酸素血症も認めず、痙攣、意識
障害をきたす程度ではない。尿ケトン(±)、動脈血 PH 7.35 にてケトアシドーシスは
否定。血糖値が 900 mg/dl と高度に上昇しており、高浸透圧高血糖症候群による意識障
害が最も考えられる。
ガイドブック 2014 の該当頁:
150~153
22
45)36 歳の女性。来院日の2日前より下痢、嘔吐があり、昨日から口渇、多尿を認め、
次第に意識レベルが低下したため救急搬送された。血糖 870 ㎎/dl、尿ケトン(4+)、
HbA1c7.2%(NGSP)、動脈血 PH 7.05,血中 C ペプチドは測定感度以下、頭部 CT 異常なし。
診断はどれか。1つ選べ。
a.
1 型糖尿病
b.
2 型糖尿病
c.
妊娠糖尿病
d.
薬剤性糖尿病
e.
遺伝子異常による糖尿病
正解:a
解説:1 型糖尿病は膵β細胞の破壊により発症する糖尿病で、通常は絶対的なインスリ
ン欠乏に至る。血糖値 870 ㎎/dl と急激な血糖上昇を認め、血中 C ペプチド感度以下、
ケトアシドーシスなどインスリン欠乏の所見を示しており、1 型糖尿病と考えられる。
抗 GAD 抗体は 60−80%に認められるが必須の所見ではない。
ガイドブック 2014 の該当頁:
22-23
46)62 歳の男性。両下肢の浮腫と視力低下を主訴に来院した。50 歳頃高血糖を指摘さ
れたが、放置していた。身長 175 ㎝、体重 78 ㎏、血圧 180/95 mmHg、両下肢に浮腫を
認める。尿糖(+)、尿蛋白(3+)、空腹時血糖値 160 mg/dl、血清アルブミン 2.7g/dl(正
常値 3.7~5.5g/dl)、血清クレアチニン 2.5 mg/dl、Na 140 mEq/L、K 4.5 mEq/L。
治療のうち適切でないのはどれか。1 つ選べ。
a.
降圧薬
b.
利尿薬
c.
蛋白制限食
d.
塩分制限食
e.
超低カロリー食(VLCD)
解答:e
解説:糖尿病腎症 4 期の症例である。糖尿病腎症の食事療法の基本は塩分制限と蛋白制
限であり、4 期では塩分 5-7g/day、蛋白 0.6-0.8 g/kg/day とする。また本例は高血圧
を合併しており、病期によらず 6g/day の塩分制限が望ましい。蛋白尿が 1g/day を超
える場合は 125/75mmHg 未満を降圧目標とし、塩分制限に加え ACE 阻害薬や ARB を第一
選択として降圧治療を行う。浮腫軽減のために利尿薬も投与される。蛋白異化が亢進す
るためカロリー制限は行わず、4 期では 30-35kcal/kg/day の摂取を指導する。
ガイドブック 2014 の該当頁:
165
23
47-48)63 歳の女性。主婦。健康診断で血糖高値を指摘され、来院した。身長 158 ㎝、
体重 63 ㎏、BMI 25.2 kg/m2、脈拍 66/分、血圧 136/84 mmHg.単純糖尿病網膜症、下
肢腱反射正常、両側振動覚軽度低下。空腹時血糖 168 mg/dl、クレアチニン 0.6 mg/dl、
中性脂肪 108 mg/dl、HDL コレステロール 68 mg/dl、LDL コレステロール 126 mg/dl、
HbA1c 8.4 %(NGSP)
尿蛋白(±)、尿糖(1+)、尿ケトン(-)、尿アルブミン 60 mg/gCr
安静時心電図:異常所見なし
適切な 1 日の指示カロリーはどれか。1つ選べ。
a.
1000 kcal
b.
1500 kcal
c.
2000 kcal
d.
2500 kcal
e.
3000 kcal
避けるべき運動はどれか。1つ選べ。
a
テニス
b
山登り
c
ジョギング
d
ベンチプレス
e
エアロビクス
正解:(47)b, (48)d
解説:身長 158cm より、理想体重は約 55kg。主婦で身体活動量は軽労作と考えると、
適正なエネルギー摂取量は 25~30 kcal/kg 標準体重で 1375~1650kcal となる。
BMI 25.2
で減量も必要であることを考えると、選択肢の中では b の 1500kcal (27.3 kcal/kg 標
準体重)が適正である。
糖尿病合併症として、単純網膜症、早期腎症(2 期)、神経障害を認める。いずれも
激しい運動でなければ運動制限は不要であるが、網膜症があれば、いずれの病期でもバ
ルサルバ型運動(息をこらえて力む運動)は避けるべきである。
ガイドブック 2014 の該当頁:
51, 60~63
24
49)旅行、運転時の患者指導として適切でないものはどれか。1 つ選べ。
a. 海外旅行時の飛行機内ではインスリン注射を中止する
b. 海外旅行時に日本糖尿病協会発行の「英文の糖尿病カード」を持参する
c. 長距離運転では休憩中に SMBG を行う
d. 運転時は車に補食できるものを常備する
e. 運転中に低血糖を起こした場合は、安全な場所に停車する
正解: a
解説:
飛行機内でもインスリンや経口糖尿病薬は中止せず、事前に医師と時差を考慮した注
射時間や服薬時間について相談しておく。
ガイドブック 2014 の該当頁:
193、197
50)82 歳の女性。低血糖発作にて救急車で搬送された。意識レベル JCS10、血糖 30mg/dl
であった。ただちにブドウ糖静注を行い、15 分後に血糖 187mg/dl であったが、90 分後
には血糖 58mg/dl であった。家人によると、1種類の経口血糖降下薬を服薬中である。
処方されていると思われる薬剤はどれか。1つ選べ。
a.
スルホニル尿素薬
b.
チアゾリジン薬
c.
ビグアナイド薬
d.
DPP-4阻害薬
e.
α―グルコシダーゼ阻害薬
正解:a
解説:スルホニル尿素薬は、高齢者で遷延性低血糖の危険がある。b~e は単独投与で
の低血糖はまれ。
ガイドブック 2014 の該当頁:
66
25