米国モントレー水族館の水産物持続性評価制度の日本漁業への適用

米国モントレー水族館の
水産資源持続性評価制度の
日本漁業への適用
勝川俊雄@東京海洋大学
モントレー水族館 Seafood Watch
• 1999年から持続的な水産物のリストを無料
配布
• 消費者への啓蒙活動に努めている
シェフが持続的な魚食教育の主役
• 提携レストランも多数存在する
• 消費者に直接メッセージを送れる
東京オリンピック
オリンピックの調達方針(Food Vision)
持続的であることが証
明された水産物のみ
を扱う
MSCのエコラベルのみ
欧米のMSC認証漁業
エコラベルの役割
• 消費者には、きちんと管理された魚と、乱獲さ
れた魚の区別がつかない
• 管理されている魚には、目印となるラベルを
貼ることで、消費者が資源管理を応援できる
ようにする
• 客観的な指標に基づき、漁業の持続性を評
価する必要がある
持続性が価値であり、差別化要因
• 持続的でない水産物は買ってもらえない
– 米・カナダ・EU・ロシアのマクドナルド
– 米大手小売りウォルマート
– ロンドン・リオ・オリンピック
• 持続性は、一部の物好きの自己満足ではなく、水産
ビジネスの中心になっている
水産エコラベルの歴史
1991 大西洋タラの崩壊
漁業の責任に関する議論が高まる
1995 FAOが「責任ある漁業の行動規範」を策
定
1997 MSC / Seafood Watch誕生
様々な水産エコラベルが誕生
2005 FAOが水産エコラベルのガイドラインを
作成
漁業の持続性評価のワークショップ
評価方法
FAOのガイドラインに基づく評価
対象資
源
• 漁業への弾力性
• 資源の状態
• 漁獲の状態
スコア
ランク付け
BestChoice
混獲
• 同上
(対象は混獲魚種)
資源管
理
•
•
•
•
•
生態系
• 漁具の影響
• 生態系への影響
資源管理方針
資源回復策
モニタリング
実績
透明性etc…
スコア
ト
ー
タ
ル
ス
コ
ア
(>3.2)
GoodArternative
(>2.2)
Avoid
(<2.2)
スコア
スコア
Criteria1 資源状態
• F1.1 Inherent Vulnerability
–FishBaseのVulnerability
• F1.2 Abundance
– 再生産に十分な親がいるか
• F1.3 Fishing Mortality
– 漁獲圧は持続的な水準かどうか
Criteria3 管理実効性
• F3.1 Harvest Strategy
• F3.2 Bycatch Management
Strategy
Criteria3 資源管理と混獲管理に対す
る基本的事項
魚種/スコア
トータル
C1
C2
C3
C4
Recommend
ation
マイワシ太平洋系群
1.979
4.472
×
1
1.732
Avoid
マアジ太平洋系群
1.348
1.414
×
1
1.732
Avoid
マサバ太平洋系群
1.348
1.414
×
1
1.732
Avoid
ゴマサバ太平洋系群
1.817
3.464
×
1
1.732
Avoid
サンマ太平洋北西系群
1.97
4.472
×
1
1.710
Avoid
スケトウダラ日本海北部系群
1.26
1.414
×
1
1.414
Avoid
スケトウダラ太平洋系群
1.782
4
×
1
1.414
Avoid
ズワイガニ日本海系群
1.782
4
×
1
1.414
Avoid
スルメイカ冬季発生系群
2.154
4.472
×
1
2.236
Avoid
イカナゴ伊勢・三河湾系群
3.732
4.472
×
3
3.873
Best Choice
カタクチイワシ太平洋系群
1.906
4
×
1
1.732
Avoid
ブリ
1.906
4
×
1
1.732
Avoid
ウルメイワシ太平洋系群
1.697
2.82
×
1
1.732
Avoid
マダラ太平洋北部系群
1.782
4
×
1
1.414
Avoid
1.26
1.414
×
1
1.414
Avoid
1.348
1.414
×
1
1.732
Avoid
ホッケ道北系群
クロマグロ太平洋系群
日本の漁業は軒並み赤信号
• 混獲のデータが無い
• 資源管理の枠組みの不備
– 維持すべき最低資源量(Blim)がない
– Blimを下回ったら、どうやって資源を回復させる
かが決められていない
– ただ評価をしているだけで、管理をしていない
2020までのミッション
• 水産エコラベル認証をとれるレベルまで、日本の漁
業管理を改善する
– 輸出ビジネスの成長
– オリンピックで日本の海の幸を提供
• やるべきこと
– 混獲データの収集
– Blimitの設定と、それを下回った場合の回復措置
の決定