抄録集はこちら - 日本インプラント臨床研究会

タイムスケジュール
《午前の部》
9:30〈新企画〉フレッシュマンプレゼンテーション
9:30~9:40 青栁 恵子先生
9:40~9:50 百瀬 康仁先生
10:00 開会
10:05~10:25 会員発表
10:05~10:15 梅津 正喜先生
10:15~10:25 澤口 通洋先生
10:25~10:35 福西 雅史先生
10:40~12:00 セレクテッドドクターによるシンポジウム
テーマ「リカバリーについて」
木村
水口
健二先生:インプラント上部構造破折の考察
稔之先生:様々なインプラント治療におけるトラブルリカバリー
(クレスタルアプローチを中心に)
小倉 隆一先生:クレスタルアプローチによる上顎拳上術(SFE)で、
上顎洞炎を引き起こした症例
12:00~13:00 昼食
《午後の部》~特別講演~
13:00~17:00
古賀テクノガーデン歯科
古賀 剛人先生
インプラント治療のリスクマネージメント再考
~エビデンスとバイオロジーから考える治療・メインテナンス戦略~
17:30~ 懇親会
会場 美食米門 品川店 ビショクマイモン シナガワテン
電話 050-5789-5174
住所 〒108-0075 (JR 品川駅 徒歩 1 分)
日本語演題
英文タイトル
キーワード
発表者名
フレッシュマンプレゼンテーション
上顎前歯欠損部にサージカルガイドを用いてインプラント治療を
行った1症例
A case report of dental implant treatment with a surgical guide
for missing of the anterior maxilla
上顎前歯欠損部
青栁
恵子
サージカルガイド
発表年月日
綿密なプランニング
疼痛の軽減
平成 27 年 4 月 12 日
【要旨】
患者:54 歳 、男性
初診:2015 年 1 月
主訴:左上の乳歯が揺れて違和感がある
既往歴:特記事項なし
現病歴:前医ではインプラント治療を行っていなかった為、長野県塩尻市でホームページを
検索したところ、当院がインプラントに実績があることを知り受診した。
現症:上顎両側犬歯部に先天的欠損、上顎左側乳犬歯の晩期残存を認めた。
全身所見は特記事項なし。口腔内所見は、永久歯欠損部の顎堤の頬舌幅径、近遠心幅径
ならびに角化歯肉の幅は十分にある。
また、左側犬歯部については対合歯の挺出や隣在歯の傾斜も見られない。
プラークコントロールは良好であった。
検査結果:パノラマエックス線写真では、残存歯・顎関節ともに異常は認められなかった。
全体的に骨吸収は見られず、上顎左側犬歯部では抜歯後の治癒状態は良好であった。
診断名:上顎両側犬歯の先天性欠損
永久歯の先天性欠損となったケースでは、歯槽骨の吸収が認められ、インプラント埋入が困難に
なる恐れがあります。今回、隣在歯が天然歯であったことからも、患者は固定性ブリッジを選択
されずにインプラント治療を希望されました。
【考察および結論】
上顎左側犬歯欠損部にインプラント埋入を計画するにあたり、単独歯欠損部にサージカルガイド
を選択するか迷いました。しかし、患者の不安と疼痛を最小限にできることをお伝えすることで、
積極的にインプラント治療を選択していただけることを期待して、フラップレス術式において、
サージカルガイドを用いてインプラント埋入する計画をたてました。
術前準備でサージカルガイドを用いた CT 撮影で綿密な治療計画をたてました。
その結果、疼痛の軽減と手術時間の短縮ができ、患者の要求に応えることができました。
インプラント治療によって両隣在歯の咬合力負担を軽減させ、歯槽骨を保護するためにも、
治療後の経過観察を注意深く行い、審美性を継続する必要があると考えられます。
そこで、インプラント治療のスペシャリストの諸先生方に前歯部インプラント体の選択法と
犬歯部への咬合をどのように付与するかについてご意見とご教授を賜りたいと思います。
日本語演題
フレッシュマンプレゼンテーション
両側遊離端欠損の患者の鉤歯の負担を減らすために
インプラント治療を計画している一症例
A case of implant planning for the Kennedy class Ⅰ partially edentulous
英文タイトル
mandible
両側遊離端欠損
鉤歯
キーワード
発表者名
百瀬
康仁
発表年月日
平成 27 年 4 月 12 日
【要旨】
患者は70歳女性、10年以上前に下顎臼歯を歯周病にて抜歯され、RPI 鉤の金属床を装着し
た。その後定期的にメンテナンスを行っており、口腔内環境は良好に維持されてきたが、鉤歯で
ある45に数年前より負担過重が原因と思われる一度の動揺を認めるが症状はない。
義歯は長期間使用しているため人工歯は摩耗し、対合歯は挺出しているが、義歯に不満はない
とのこと。顎関節に自覚症状はない。全身的な特記事項はないが、大きな外科処置は避けたいと
いう患者の希望がある。
【考察および結論】
現在の鉤歯の負担を減らすために、義歯を新製し、鉤歯を増やすか欠損部にインプラントを
埋入し固定性のブリッジにするかアタッチメントを装着し、IOD にする治療計画を立案している
が、それぞれの治療法を行う場合にどのような点を注意して治療を進めればいいか、また長期的
にどの方法が口腔内の安定を得やすいと思われるのか、経験の豊富な先生にご教示いただければ
幸いです。
日本語演題
ソケットプリザーベーションテクニックによる硬・軟組織の治癒
Hard and soft tissue healing in alveolar socket preservation technique
英文タイトル
自家骨,口蓋
キーワード
発表者名
梅津
正喜
発表年月日
平成 27 年 4 月 12 日
≪症例の概要≫
抜歯後、歯槽骨の喪失は角化粘膜の前庭の幅の減少を引き起こし、インプラント補綴後のクラウ
ン歯頸部はうすい非角化歯槽粘膜によって囲まれる。
インプラント周囲硬軟組織の管理は審美的な結果に重要な問題と考えられる。
≪発表理由≫
ソケットプリザベーションは抜歯の際に各種補填材やバリヤメンブレンを用いて骨再生の場を
維持し、抜歯窩内の骨形成の促進を図る処置である。
抜歯後の顎堤吸収を抑制又は遅延させ、抜歯部の骨と軟組織の形態を維持することを目的とす
る。
通常骨補填材によりソケットを満たしているが欠損部を補填するにはゴールドスタンダードで
は自家骨が一番である。
今回自家骨採取するにあたって安全区域と考えらえる口蓋よりトレフィンバーで任意の骨を採
取して抜歯窩に移植する方法を考えたのでこれを発表する。
≪処置内容とその考察≫
最初に目的の抜歯を行い、必要な幅の大きさのトレフィンバーで socket を形成する。
次にあらかじめ Simplant で計測し socket 時と同じ幅の硬軟組織をトレフィンバーで採取する。
socket の幅や深さは 5~6 ㎜にする。
その口蓋により採取した自家骨と socket に填入する。縫合は単純縫合する。
≪考察≫
1 socket を充満するのに口蓋部より採取することが簡便である。オトガイ部より骨を採取する
のに神経マヒを回避することができる。
2 硬・軟組織の治癒が早い
3
4
唇側に欠損部があっても自家骨でカバーできる
ボーンテクニックにも応用ができる。
日本語演題
英文タイトル
キーワード
発表者名
下顎右側小臼歯1歯中間欠損に対して
インプラント補綴治療を行った1症例
A case of implant treatment
for the right mandibular premolar tooth
中間欠損
澤口
通洋
発表年月日
平成 27 年 4 月 12 日
【要旨】従来臼歯部1歯中間欠損にはブリッジによる補綴が多用されてきた.しかし,ブリッジ
は隣在歯の切削や荷重負担の増大および清掃性の難易度が問題となる.今回右下小臼歯1歯中間
欠損に,患者の要望もあり残存歯保護の面からインプラント治療を行い良好に経過しているので
報告する.
○患 者:36歳, 女性.
○初診日:2003年1月.
○ 主 訴:右下欠損部の咀嚼障害,審美障害
○既往歴:特記事項なし.(2ヶ月前の職場検診で異常なし)
○現病歴:5年前, 他院にて45を歯根破折のため抜歯.その後欠損部を放置するも,今回咀嚼
害,審美障害で補綴治療を希望され来院.
○現 症: 全身状態良好. 非喫煙者. 歯周組織検査は全歯にわたり歯周ポケットは3mm以内.
PCS10%以下, 顎関節機能異常なし. 左下Eは残存しており動揺も無く機能している
が,乳歯であることから将来破折などトラブル発生の可能性を伝えた.
○ 診断名 :(1) 45 欠損 (2)上下前歯部叢生(歯列矯正は希望せず)
主訴に関して局部床義歯,ブリッジ,インプラント,の利点欠点を説明した.患者は固定性補
綴物で隣在歯を削らない治療を希望した為,インプラント治療について同意を得た.パノラマ
エックス線写真撮影,スタディーモデル作製ののち.欠損部顎堤上部の萎縮が大きいため,ボー
ンマッピングにより大凡の顎骨形態を把握し, 下顎管に細心の注意を払い,より安全に実施可
能な埋入深度8mmの計画を立案した.2003年5月,直径3.3mm長さ8mmのインプラント体(スタンダ
ード,レギュラーネック,ストローマン社)を一回法で埋入した.免荷期間3か月後, 経過良好の
ため2003年9月,プロビジョナルクラウンを装着し, 2週間使用し, 隣在歯及び対合歯の違和
感,咬合痛,頬や舌の誤咬の確認などを行い,良好であったので,通法通り印象採得を行い, 2003
年10月にメタルボンドクラウンによる上部構造を装着した.
【考察および結論】上部構造装着後,3か月ごとにメンテナンスを行い口腔清掃状態と咬合状態
の確認,インプラント周囲組織の診査を行って,問題なく1年を経過したので,以後 6 ヶ月ごとの
メインテナンスに切り替えた.上部構造装着後約 11 年経過したが,周囲粘膜の異常およびエッ
クス線診査における異常な骨吸収像は認められず,安定した状態である .
今回,下顎臼歯部1歯中間欠損に対してインプラント治療を行った結果,清掃性の確保と隣在
歯の切削および荷重負担の増大を回避することができ残存歯の保護につながったと考えられる.
また,患者からも高い満足が得られた.インプラント治療は口腔機能の保全維持,患者 QOL の向
上の面からも有効な治療法である事が示唆された.
日本語演題
上顎前歯部に GBR による骨増生を行い,ガイデッドサージェリーによるイン
プラント埋入を行う予定の1症例
英文タイトル
A plan of Implant Treatment for maxillary anterior with bone
augmentation and guided surgery.
キーワード
GBR , 骨増生 , ガイデッドサージェリー
発表者名
福西
雅史
発表年月日
平成
27 年
4月 12 日
【要旨】
現在,様々な骨増生法が開発され,水平的,垂直的に骨量が少ない部位に対しても,インプラント手術
の適応は拡大している.その反面,骨増生法や材料等の選択に苦慮することもあり,また治療の成否
は,テクニックセンシティブに追う部分も大きい.また,現在は CT による 3 次元的な診断を行い, ガ
イデッドサージェリーによる正確なインプラント埋入が可能となっている.今回,上顎前歯を抜歯
して,骨増生を行い, ガイデッドサージェリーによる,インプラント埋入を行う予定の1症例を供
覧し,ご批判ご指導を頂きたい.
患者:72 歳, 男性 初診日:平成 26 年 4 月 14 日
主訴: 上の入れ歯が合わない 既往歴:特記事項なし
現病歴:他院で上顎義歯を製作してから,使用時に疼痛あり.下顎は義歯を使用していない.
35 は歯根破折及び重度歯周炎.
治療内容:上顎義歯の調整.全顎的に歯周病治療及びカリエス治療.
平成 26 年 5 月 14 日 35 抜歯
6 月 16 日 35, 37 インプラント埋入
11 月 11 日 35,37 ハイブリッドセラミックスブリッジ装着
12 月 12 日 12,21 抜歯.同時にチタンメッシュを用いた GBR による骨増生
12 月 24 日 flap 部 necrosis によりチタンメッシュ除去
平成 27 年 1 月 30 日 14,16 インプラント埋入
4月
12,21 ガイデッドサージェリーによるインプラント埋入予定
【考察および結論】
今回,当初は,35 37 のみにインプラント埋入予定であり,その治療中に, 12 に歯根破折を生じて
抜歯となった.治療計画の立案が後手後手に回ってしまった.また, 12, 21 部の GBR のタイミン
グや治療方法の選択,治療手技など,反省すべき点が多い.
今後は,今回の反省を生かし,十分に慎重な治療計画の立案,インプラント治療に際しての口腔衛
生指導の徹底を行い, ガイデッドサージェリーによる正確なインプラント埋入を計画して,十分に
慎重にインプラント治療に取り組む所存である.
セレクテッドドクターによるシンポジウム
テーマ「リカバリーについて」
「インプラント上部構造破折の考察」
協和デンタル・ラボラトリー 木村健二先生
ご略歴
1980 年
日本大学歯学部附属歯科技工専門学校 卒業
1984 年
協和デンタル・ラボラトリー創業
1987 年
(有)協和デンタル・ラボラトリー 法人化
1999 年
ITI(straumann)上部構造認定ラボ取得
2001 年
WIELAND 社認定 AGC マスター
2002 年
日本大学歯学部附属歯科技工専門学校兼任講師
2005 年
日本歯科技工学会認定士
2006 年
デンツプライ三金公認セルコンインストラクター
2008 年
(社)日本口腔インプラント学会認定インプラント専門歯科技工士
2009 年
日本歯科審美学会認定士
2012 年
日本デジタル歯科学会評議員
2014 年
日本歯科審美学会認定士審議会委員(2014.4~2016.3)
2014 年
日本歯科審美学会評議員
(2014.4~2016.3)
2014 年 (社)日本口腔インプラント学会専門歯科技工士委員会委員
2015 年
東京医科歯科大学非常勤講師
(2014.7~2016.総会時)
(有)協和デンタル・ラボラトリー
千葉県松戸市新松戸 3-260-1
Tel. 047-343-2670
Fax. 047-343-2658
[email protected]
http://www.kyowa-dental.co.jp
インプラント上部構造が口腔内において長期的な安定を達成するためには、個々の症例に適した材料および
設計の選択がなされたか否かが重要な鍵となる。これまで様々な種類の歯冠修復材料が開発されてきたが、各々
の材料には一長一短の特性があり、すべての点において完璧なものはまだ存在していないと考えられる。したが
って、患者固有の咬合力や顎運動に対し、使用材料の理工学的な特性と臨床的データから、最も適切と思われる
材料を選択する必要がある。また、CAD/CAM の発達に伴い設計・製作方法がますます多様化する中で、患者様
に最も適したものを製作するために、チェアーサイドとのコミュニケーションがもっとも重要であると考えてい
る。
今回は上部構造破折をテーマとし、口腔内を正確に再現した模型製作の重要性や適合精度が与える影響等につ
いて考察を行いたい。
「様々なリカバリー」
水口 稔之先生(歯学博士)
ご略歴
1988 年 日本大学松戸歯学部 卒業
1992 年 水口歯科クリニック 開業
2001 年 日本大学松戸歯学部歯学博士 取得
2009 年 水口インプラントセンター新宿 開業
日本口腔インプラント学会専門医
国際インプラント学会認定医
アジア・インプラント学会認定医
日本歯周病学会会員
日本審美歯科学会会員
日常臨床において、全てが「うまく行く」ことはないはずである。つまり、我々臨床家は日々トラブルとの戦
いであり、試行錯誤の連続である。
インプラント治療においてもそれは同様であり、高度で高価な治療であるゆえ、より重大な問題にもなる。
今回、演者の歯科臨床におけるトラブルに対する考え方やインプラント治療における様々なトラブルとそれに
対する「リカバリー」について発表する。
本発表では主にクレスタルアプローチによるサイナスリフトにおけるトラブルに対してのリカバリーについ
て
幾つかの症例を通して考察する。
クレスタルアプローチによるサイナスリフトは術野も狭く低侵襲と言われているが、盲目的で手技の難易度が
高く術中のトラブルにも対応しにくい。その時、最も問題になるのは「シュナイダー膜のパーフォレーション」
である。
「シュナイダー膜のパーフォレーション」が起こった時、演者はラテラルからのリカバリーとクレスタルから
のリカバリーをおこなっている。どちらも幸いにもリカバリーが可能であるが、今回定例会に参加していただい
た諸先生方やシンポジストの先生方にいろいろな観点からクレスタルアプローチによるサイナスリフトにおけ
るリカバリーについてご教授していただけたら幸いです。
また、サイナスリフト以外のインプラント治療におけるリカバリーの症例もご報告いたしますので、合わせて
ご審議願えれば幸いです。
クレスタル(歯槽頂)アプローチによる上顎洞底挙上術(SFE)で、上顎洞炎を引き起こした症例
小倉歯科クリニック 小倉隆一
ご略歴
1985 年 東北大学歯学部卒業
日本口腔インプラント学会
指導医・専門医・代議員
日本歯周病学会 専門医
東北大学歯学研究科 非常勤講師
日本口腔インプラント学会
編集委員
倫理審査委員
試験審査委員
抄録査読委員
1994 年 Summers によってオステオトームテクニックが紹介されてからは、私も含めて臨床家の先生方は、
試行錯誤しながら臨床に取り入れてきた。私は、歯槽頂アプローチによる SFE を挙上量が3mm程度までの症
例に用いてきた。第 4 回 ITI コンセンサス会議(2008 年)(ITI Treatment Guide Vol.5)では、歯槽頂テクニ
ックの SFE では側方開窓テクニックに比べて、骨高径を2~4mm しか増生できない点が短所として挙げられ
ている。
しかしその後、様々な情報・症例を見聞きする機会があり、ピエゾ機器を用いてさらに大きな挙上量の症例に
も挑戦するようになった。
その結果、私の技量不足もあり、大きな合併症を抱えることになった。
今回は 2013 年の全員発表研修会で発表させていただいた一症例を少し詳しく供覧させていただき、ディスカ
ッションのネタにしていただいて、多方面に発展したディスカッションができればと考えている。
症例の概要
初診:2008 年 7 月。52 歳。女性。
1.右側の歯槽頂アプローチによる SFE(2010 年 4 月)後に骨形成不全を起こし、既存の上顎洞底骨も吸収を
起こした。
2.その後、側方アプローチによる2回目の SFE(2010 年 10 月)を行ったが、再度、感染・骨形成不全を起
こした。
3.上顎洞底部の掻爬術(2011 年 2 月)を行い感染した移植材を除去したが、創面の治癒は良好ではなかった。
4.6┛相当部の骨形成不足のため側方アプローチによる3回目の SFE(2011 年 7 月)を併用してインプラン
トの同時埋入を行い、その後、上部構造を装着した(2012 年 12 月)
。まだ 2 年しか経過していないが、経過
は良好である。
特別講演
古賀
剛人先生
ご略歴
1986年
東京歯科大学卒業
1990年
千葉市美浜区、幕張新都心にて開業
(古賀テクノガーデン歯科)
1997年
スウェーデン、Uppsala大学口腔顎顔面外科大学院留学
(Craniofacial Implantology専攻、主任教授Jan M Hirsch)
1999年
Uppsala大学口腔顎顔面外科よりCertificate授与(Advanced
Implantology)
2008年
新潟大学非常勤講師(解剖学講座)
2009年
東京歯科大学大学院歯学研究科卒業(微生物学)
歯学博士取得
2009年
神奈川歯科大学横浜クリニック非常勤講師(インプラント科)
主な著作
・
「インプラント外科学 ベーシック編」(2003年)
・
「同 応用編」(2004年)、「偶発症編」(2007年)
・
「再生医療とインプラント」(2007年:上田実編 共著)
・
(以上クインテッセンス出版)
・
「開業医のための失敗しないインプラント」(2006年)
・
「臨床医のためのインプラント治療原論」(2009年)
・
(デンタルダイヤモンド社)
・
他 論文多数.
インプラント治療のリスクマネージメント再考
〜エビデンスとバイオロジーから考える治療・メインテナンス戦略〜
本講演では、われわれ臨床医がインプラント治療を行い、そして長期的な予後を考えた時のリスクを最小限に
する戦略について述べてみたい。インプラント治療の成功は、短期的成功と長期的なものに分類される。短期的
なものには、骨結合、いわゆるオッセオインテグレーションを得ることや、トラブルのない外科手術、咬合機能
が適切に再建され、発音や舌感、審美面で患者が受け入れられる補綴処置などがある。他方、長期的なものには、
適切な治療結果の維持や健康なインプラント周囲組織の継続が挙げられる。
最初に短期的なリスクマネージメントのアドバイスを行う。インプラント治療は、歯の喪失によって失われた
機能などの再建治療であるが、手術を伴うために、外科的な偶発症を引き起こすリスクと無縁ではない。手術の
偶発症は、出血、感染、神経損傷などが代表的なものだが、今回は、インプラント手術により生じる可能性のあ
る危険な出血の事故に関して概略を述べる。
事故は予防することが最善の作である事は言うまでもない。患者の外科的リスクをどう診断すればいいのか、
実践的なアドバイスと共に、インプラント治療を行う臨床医が、何をどの程度学べばいいのか、こうした面も提
言を行いたい。
また、補綴のリスクマネージメントに関しても、解剖生理学の視点から議論していきたい。診断と治療計画の
観点から、補綴もバイオロジーの考え方が重要なことをお伝えしようと思う。
長期的なリスクマネージメントとしては、近年、学会などで問題視されているインプラント周囲炎に関して、
エビデンスとしての報告、原因、予防、治療、メインテナンス、予後などに関して、現時点でわかっていること
を説明する。
実際、演者のオフィスでは、どのように対処しているのか、具体的にお伝えし、参加者の方々のご意見も伺え
れば幸いである。