第 回日本医師会臨時代議員会

昭和
年
月
日 第
第
種郵便物承認
広島県医師会速報(第
号)
年(平成
年) 月
日( )
回日本医師会臨時代議員会
医学・医療の恩恵はすべて国民に帰するもの
と き 平成 年 月 日㈰ 午前 時 分
ところ 日本医師会館 講堂 月 日㈰午前 時 分から日本医師会館(文京区・本駒込)において、第 回臨時代議
員会が開催され平成 年度日本医師会事業計画及び予算が報告され、医療政策の提言と実現
や、医の倫理・医療安全対策の推進と医療事故調査制度の実施に向けた取り組みなど 項目
の重点課題が示された。議事では、平成 年度日本医師会会費減免申請の件の 議案が上程
され、満場一致で可決承認された。
また中国四国医師会連合からの代表質問に、木下成三代議員(徳島県)を含む 問、個人
質問では清水信義代議員(岡山県)、大橋勝英代議員(愛媛県)を含む 問の質問に対して
理事者による答弁があった。広島県からは関連質問で檜谷義美代議員(広島県医師会副会長)
が地域医療構想策定問題と看護学校問題について、原豊代議員(広島県医師会理事)が地域
医療構想区域の急性期病床オーバーの問題を指摘、それぞれ答弁を受け定刻午後 時には閉
会となった。
第
回日本医師会臨時代議員会 次第
日 時 平成 年 月 日㈰ 午前 時 分 場 所 日本医師会館 東京都文京区本駒込 丁目 番 号 .開 会
.会長挨拶
.報 告 平成 年度日本医師会事業計画及び予算の件
.議 事 第 号議案 平成 年度日本医師会会費減免申請の件
.閉 会 ( )
年(平成
年) 月
日
広島県医師会速報(第
午前 時 分定刻、加藤寿彦議長が挨拶。出席
者数確認は受付時の出席名簿によるとし、代議
員定数
名、出席 名、欠席 名、欠員 名を
確認し会の成立を宣した。
冒頭挨拶に立った横倉義武日本医師会会長は、
「医学・医療の恩恵はすべて国民に帰するもの」
などと挨拶した(全文後掲)。
続いて、平成 年度の事業計画を中川俊男副
会長が重点課題 項目を簡潔に報告し、平成
年度の収支予算報告を今村聡副会長が行った。
議事に入り、第 号議案 平成 年度日本医師会
会費減免申請の件が上程され、今村聡副会長が提
案理由を説明、高齢を理由に , 名で ,
千円、疾病を理由に 名で , 千円、出産・
育児を理由に 名で , 千円、震災を理由に
名で , 千円、計 , 名( , 千円)の
会費減免が全会一致で承認された。
続いて代表質問・個人質問に移り、代表質問
は木下成三代議員(徳島県)から「災害時の情
報システムについて」など 問に対して答弁がな
された。個人質問では清水信義代議員(岡山県)
から「医療事故調査制度において設置される
『支援団体』について」、大橋勝英代議員(愛媛
県)か ら「新 サ ー ビ ス 貿 易 協 定(Ti
SA;
nSer
vi
c
esAgr
eement
)について」な
Tr
adei
ど 問が行われ、関連として檜谷義美代議員
(広島県)、原豊代議員(広島県)が追加質問し
た。すべての質疑応答が午後 時に終了し閉会し
た。
本会からは、平松恵一会長をはじめ、檜谷義
美、豊田秀三、平川勝洋、望月昭、原豊、伊藤
仁、佐々木正博、温泉川梅代、鳴戸謙嗣、土屋
隆宏の各代議員が出席、随行として荒木敏明事
務局長、市玖ノリエ事務局次長、坂口晃治広報
情報課長が傍聴した。 第
回日本医師会臨時代議員会
会長挨拶
日本医師会会長 横倉 義武
本日は、第 回日本医師会臨時代議員会にご
出席をいただき、誠にありがとうございます。
はじめに、日頃から日本医師会の会務運営と
諸事業にご理解とご支援をいただいております
ことに対し、厚く御礼申し上げます。
本日の臨時代議員会では、来年度事業計画・予
算のご報告と、会費減免に係る議案を上程いたし
ております。慎重にご審議の上、なにとぞご承認
賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。
号)
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さて、本代議員会の開催に当たり、若干の所
感を申し上げたいと存じます。
今年は我が国にとって、大きな二つの節目を
迎える年であります。一つは、戦後 年という
節目です。灰燼に帰した国土から、世界第 位の
GDPを誇るに至る経済復興を遂げた背景には、
医療に関する物的資源が乏しいなかで、懸命に
国民医療の向上に尽くした先達の尊い姿があり
ます。この 年間で、我が国は急速な高度経済
成長や産業構造の変化とともに、疾病構造の転
換や人口構成の変遷を経験してまいりました。
こうした経験のなかで、国民の健康と幸福に
寄与する制度として生まれたものが「国民皆保
険制度」であり、その成果として、現在、我が
国は世界でも有数の健康大国に数えられるまで
になりました。
もう一つは、阪神淡路大震災から 年という
節目の年であり、また、未曾有の被害をもたら
しました東日本大震災からも 年という月日が経
過しております。ここに、被災された皆様のご
冥福をお祈り申し上げますとともに、心よりお
見舞いを申し上げます。
二つの大震災の経験を経て、日本医師会の災
害への取り組みは、DMAT、J
MATの組織化が
すすみ、又今後の大災害への取り組みとして衛
星通信を利用した連絡網の拡充等、具体的な形
として結実いたしましたし、日本医師会は国民
保護法における公共団体の指定を受ける事が出
来ました。災害時の経験を共有させて頂いた各
医師会のご努力に敬意を表しますとともに、今
後の災害に備え、すべての医師会組織の緊密な
連携に向けた施策を強化すべく、引き続き推進
してまいります。
この二つの節目を迎えるなかで、改めて思い
ますことは、医学・医療の恩恵はすべて国民に
帰するものであり、われわれ医師はひたむきに
患者・国民に尽くすことがその本分であるとい
うこと。そして、そのひたむきさ故に、われわ
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広島県医師会速報(第
れ医師は、国民や社会からの信頼を得る中で、
その本分を発揮できてきたのだということであ
ります。
近年、我が国は日本の旅行者等からの海外で
の感染例により、諸外国から「麻しん輸出国」
という批判を浴びてまいりました。しかし、麻
しん排除に向けた努力が続けられてきた結果、
去る 月 日、世界保健機関(WHO)西太平洋
地域事務局は、ブルネイ、カンボジアとともに、
日本が麻しんの排除状態にあることを認定いた
しました。これも全国におられる先生方のたゆ
まないご努力の結果であり、心から感謝申し上
げる次第でございます。
国民の信頼に応え続けていく決意をもって、
我が国の医療を支え、国民の健康と幸福に寄与
していくことこそが、われわれ医師に課せられ
た普遍的な責務であり、また、矜持であると考
えます。
そして、医師会は、こうした医師の取り組み
や活動を有機的に結び、医学の進展による恵沢
を社会に適用させていくなかで、国民が等しく
良質な医療を享受できる社会作りに貢献してい
くことが、その役割であると考えます。
すなわち、医師の責務や医師会の役割、それ
らはすべて国民のためのものであります。
こうした信念のもと、団塊の世代が後期高齢
者となる
年に向けて、患者個々の状況に即
した良質且つ適切な医療を提供する体制作りを
推進してまいります。その際、今後ますます重
要になるのが、
「健康寿命の延伸」に向けた取り
組みであると考えます。
持続可能な社会保障制度を確立していくため
には、
「社会から支えられる側」であった高齢者
が「社会を支える側」 になれるよう、国民のラ
イフサイクルに応じた生涯保健事業の体系化が
必要です。現在、平均寿命と健康寿命には約
年の差がありますので、その差を縮められるよ
う、各種地域保健事業の拡充と、国民にとって
魅力ある検診項目の設定等による受診率の向上
に向け、引き続き、積極的な政策提言を行って
まいります。
あわせて、健康寿命を短くする要因である生
活習慣病予防に取り組むとともに、骨折・転倒、
関節疾患、また、加齢によって筋肉が減少して
いくサルコペニアへの、いわゆるロコモ対策の
重要性につきましても、広く社会に訴えてまい
ります。
他方、保健医療の充実による健康寿命の延伸
にあたり、個々の被保険者の予防への取り組み
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等に対し、保険料に過度な差を設けることは、
公平・平等を原則とする公的医療保険制度の在
り方の根幹に関わります。健康寿命延伸へのモ
チベーションをあげることは重要ですが、それ
は経済的インセンティブではなく、意識改革で
実行することが望ましいと考えます。また、現
在でもすでに、市町村によって住民の健康増進
活動が図られるなかで、保険料が下がる仕組み
になっておりますので、成功事例を参考にしな
がら、地域の実情に応じて、それぞれ展開して
いくことが大切です。そのためにも、すべての
国民に“かかりつけ医”を持ってもらうことが
必要であると考えます。
先日、雑誌の取材を受けたなかで、当面の目
標と将来の夢について尋ねられました。その際、
私は、
「当面の目標は医師会員を増やして組織を
強くすることであり、夢は、国民一人ひとりが
それぞれ“かかりつけ医”をもち、自分の健康
状況や病気について、
“かかりつけ医”に相談し
てくれれば大丈夫な社会をつくること」 とお答
えいたしました。
地域の“かかりつけ医”が豊富な知識と経験
をもとに、高齢者に対して栄養、運動、療養上
の指導などを一体的に提供することが、健康寿
命を延伸する柱であることは間違いないと考え
ます。
また、国が進めております地域包括ケアシス
テムの構築にあたっても、
“かかりつけ医”が患
者一人ひとりにあった形で必要な情報を提供し、
情報格差を埋めながら国民に安心を届けていく
ことは、大変重要であると考えます。
そして、そうした“かかりつけ医”の役割の
重要性が広く国民に没透していくなかで、多く
の国民が“かかりつけ医”を持つようになれば、
“かかりつけ医機能”を中心に据えた、地域医療
提供体制の確立を果たせるものと確信いたしま
す。これこそまさに、先に述べました夢の実現
であります。
そのためには、
“かかりつけ医”の活動を支援
するべく、必要な研修を用意し、地域の医療・
介護に係る情報を把握・提供できる体制整備が
必要です。また、折しも本年 月より、地域の実
情に応じて過不足ない医療提供体制を適切に構
築していくための「地域医療構想」が、原則と
して二次医療圏毎に策定されます。
これらはいずれも各地域の医師会が主導して
その役割を担うことが期待されますので、日本
医師会といたしましては、各地域医師会におけ
る取り組みを全力で支援していくなかで、
“かか
(
)
年(平成
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広島県医師会速報(第
りつけ医”機能の充実・強化と、国民が安心で
きる持続可能な医療の実現に努めてまいります。
あわせて、これらの取り組みをより実効ある
ものにするためにも、会員組織率の向上等によ
る医師会組織の強化が急務であります。医師会
が、真に我が国の医師を代表する団体として、
医療界のみならず対外的にも認められ続けてい
くためには、これ以上の組織率の低下はなんと
しても防がなければなりません。そのためには、
『日本医師会綱領』の理念の下、大同団結を呼び
かけ続けていくとともに、すべての世代、性別、
就労形態にコミットした、魅力ある医師会作り
が不可欠であり、現在、そのための方策につい
て、会内に設置しております「医師会組織強化
検討委員会」のなかで鋭意ご議論いただいてい
るところであります。
また、会員情報管理の効率化と機能の拡充に
向けた会員情報システムの再構築につきまして
は、都道府県医師会との相互利用等に向けて、
現在、千葉県医師会のご協力の下、パイロット
スタディに取り組んでいるところであります。
医師会組織は三層構造をとっているため、
オールジャパンの強い医師会を目指していくた
めには、都道府県医師会、郡市区等医師会のご
協力が欠かせません。一昨年の 月時点では、都
道府県医師会員で日本医師会に未加入の方が約
万 千人、郡市区等医師会員で日本医師会に未
加入の方は約 万 千人おられました。まずはこ
うした方々に都道府県医師会、日本医師会にま
で何らかの形で参加いただければ、組織強化に
向けた大きな一歩になるものと考えております。
本年 月には、医療関係者と患者、国民との
信頼関係の構築に向けた医療事故調査制度の運
用が開始されるほか、年末に向けて、平成 年
度診療報酬改定及び来年 月の消費税率引き上げ
に関する議論が本格的に開始されるなど、重要
な案件が数多く予定されております。
こうした重要案件に対し、医師会としての主
張を貫くためにも、より多くの医師会員の力強
い後押しが不可欠でありますので、都道府県医
師会や郡市区等医師会に対し、引き続き、ご協
力を仰いでまいります。
なお、本年 月に予定されていた消費税率の
引き上げについては、平成 年 月まで延期せざ
るを得ない状況となりましたが、その間、地
域・医療・介護現場が混乱することによって国
民が不利益を被ることのないよう、政府に対し、
国民との約束である社会保障と税の一体改革を
着実に進めていくことを、引き続き求めてまい
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ります。
また、そうした取り組みの一環として、この
ほど会内に「医療機関等の消費税問題に関する
検討会」を新たに起ち上げ、財務省主税局およ
び厚生労働省保険局・医政局の担当官並びに三
師会・四病協の税制担当役員をメンバーにお迎
えいたしました。
「平成 年度税制改正大綱」では、医療に係
る消費税等の税制のあり方について、
「抜本的な
解決に向けて適切な措置を講ずることができる
よう、個々の診療報酬項目に含まれる仕入税額
相当分を『見える化』することなどにより実態
の正確な把握を行う」と記されました。
この『見える化』に向けた取り組みを検討会
で進めていくなかで、年末に決定予定の「平成
年度税制改正大綱」を睨みながら、控除対象
外消費税問題の抜本的解決を図ってまいります。
我が国と地方の長期債務が , 兆円を超え
るなか、将来的には労働人口の減少も見こまれ
ています。加えて、高齢化の進展に伴い、医療、
介護等を中心に社会保障費のさらなる増加が予
想され、国家財政上の大きな課題となっており
ます。
すでにご案内の通り、平成 年度介護報酬改
定率につきましては、政府の来年度予算編成に
おいて、全体でマイナス . %と非常に厳しい
内容になることが決定されました。そもそも介
護保険制度は、国民の老後の最大の不安要因で
ある介護を社会全体で支えるものとして創設さ
れました。その給付と負担については、国民の
理解を得られるよう、国民の共同連帯に基づい
た保険制度となっております。
日本医師会はこれまで様々な場面において、
国民が住み慣れた地域で質の高い医療・介護
サービスを受けられるよう、必要な財源を確保
した上で、社会保障の充実を図っていくことを
主張してまいりましたので、今回の結果は非常
に残念であります。
今後も財政を健全化しようとする立場から、
規制改革や成長戦略の名の下に、社会保障費の
削減を図り、公的医療保険給付の範囲を狭める
ような圧力は続いていくものと思われます。
しかしながら、医療と介護は高い雇用誘発効
果を持つため、地域の雇用を下支えしているほ
か、医学分野での技術革新は経済成長にも寄与
しており、社会保障と経済は相互作用の関係に
あるといえます。
ただ、経済学のなかで市場原理主義の最大の
障害は、社会的な責任に対する評価を加味しな
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広島県医師会速報(第
い点にあるとされています。一方で、医療は国
民・社会への奉仕そのものであることから、両
者はそもそも相容れ難いものであると考えます。
昨年 月にご逝去されました宇沢弘文先生は、
「医療は社会的共通資本であり、一つの国ないし
特定の地域が豊かな経済活動を営み、優れた文
化を展開し、人間的に魅力ある社会を持続的、
安定的に維持することを可能とするような自然
的、社会的装置である」と定義されました。
また、社会的共通資本である医療の管理にあ
たっては、
「職業的専門家の集団が、その専門的
知識と職業的倫理に基づき、自らを律しながら
具体的に行動する必要がある」 ということを、
年前に開催いたしました「日医総研設立 周年
記念シンポジウム」
のなかで、正にこの場所に
立って、お話されております。
すなわち、医師会には、プロフェッショナル
オートノミーに基づき、国民からの厳粛なる信
託をもって、医療を適切に管理していく責務が
あります。
本来、社会の病を癒すべき経済学が、社会保
障に間違った原理を持ちこみ、格差社会という
病を拡大させることのないよう、注意が必要で
す。
「上医は国を医す」 といいますが、いまこそ
この国の医療政策を、医師の専門家集団たる
我々が主導していくなかで、社会の安定に寄与
し、国民に将来の安心を約束していかなければ
なりません。
その決意と覚悟をもって、ただひたすらに国
民のためを思いながら、平成 年度の会務運営
に臨んでまいりますので、代議員の先生方にお
かれましては、引き続き特段のご理解とご協力
を賜りますよう、この場をお借りして深くお願
い申し上げます。
最後に、「第 回日本医学会総会
関西」
が、いよいよ 月 日より開催されます。
「医学
と医療の革新を目指して」をメインテーマに、
また、「健康社会をともに生きるきずなの構築」
を副題に掲げる本総会では、多くの医療を関係
者と国民とが、未来の医学・医療について共に
考える絶好の機会になるものと考えております。
実質上 年ぶりとなります本総会が盛会となり
ますよう、先生方の絶大なるご支援をお願い申
し上げ、私からの挨拶の言葉とさせていただき
ます。
本日は、よろしくお願いいたします。
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日(
)
代表質問(中国・四国ブロック分)
質問:災害時の情報システムについて(要旨)
木下 成三 代議員(中国四国ブロック・徳島県)
日本医師会が防災訓練の一環として、南海ト
ラフ大震災を想定した衛星利用実証実験を、平
成 年 月 日に日本医師会を中心として行わ
れた。今回の訓練で南海トラフ大震災では、情
報・通信の重要さが改めて示された。次の点に
ついてご質問をする。
. 近い将来、通信衛星「きずな」は運用が終
了すると伺っている。災害時における通信衛
星の有用性を日本医師会はどのように考えて
いるのか。また、今後の後継の通信衛星の運
用開始までの対応を伺いたい。
. 通常の通信手段が使用できない場合、衛星
電話等のその他通信システムについて、日本
医師会はどのように検討しているのか。各都
道府県の事情にもよるが、日本医師会が主導
して非常時の通信システムを構築していただ
きたい。
答弁:石井 正三 常任理事(要旨)
まずは、昨年 月 日に実施した防災訓練に
おいてご協力をいただいた関係者に感謝申し上
げる。
訓練で利用した衛星「きずな」は、平成 年
月に打ち上げられたが、設計寿命は 年で、現
状は 年ほど運用期間を延長している。次の衛星
打ち上げの具体的な目途もまだ立っていない状
況である。したがって次の衛星の運用開始まで
に使用できない状況が起こるということはあり
える。日本医師会の考え方としては、被災地の
情報の共有が重要であり、インターネットやク
ラウドの利用は非常に有効な情報共有手段であ
ると考え、通信が隔絶しがちな非常事態では,
さまざまなインターネットへのアクセスを確保
することを考慮している。人工衛星はその つで
あり、日本医師会がJ
AXA(宇宙航空研究開発
機構)とインターネット衛星利用に関する協定
を締結したのもそれが理由である。
また被災地に派遣される医療チームの多くが
インターネットを活用すると思われるが、I
CT
の専門家ではない医療チームが、精密機械であ
る送受信アンテナと制御機材を被災地に運び入
れ、実験衛星「きずな」の通信の設定を行うと
いうことはほぼ不可能で、日本医師会とJ
AXA
との協定でも、そうした作業はJ
AXAや関連業
者が行うという取り決めになっている。そのた
(
)
年(平成
年) 月
日
広島県医師会速報(第
めに日本医師会は、汎用性の高い次世代衛星を
早期に打ち上げるように、毎年度の政府予算要
望活動で取り上げている。
大災害時において、日本医師会と被災地の都
道府県医師会、J
MATを派遣する被災地以外の
都道府県医師会との間で、情報共有と円滑な協
議を行うためには、複数の通信手段を確保する
必要がある。衛星利用実証実験を続けていく中
で、インターネット衛星、衛星携帯電話、ある
いは別の方法も複数活用する方策を検討し、実
際に試してご批判を仰ぎたいと考えている。
【追加関連代表質問】
質問:地域医療構想策定に関する日本医師会の
見解(要旨)
檜谷 義美 代議員(中国四国ブロック・広島県)
地域医療構想区域の調整は、県全体のレベル
から見た二次医療圏がベースになってしまいが
ちになり、県全体の中で市郡地区医師会がどれ
だけ関与していくか、構想区域設定の場所に協
議の場も含めて、だれがいつ招集して医療関係
者や病院関係者、場合によっては保険者の一部
もと言われているが、全体の調整はやはり都道
府県レベルでないと難しいと考える。構想区域
の設定には大きな問題が絡み、日本医師会とし
てのガイドラインを示していただければと思う。
答弁:中川 俊男 副会長(要旨)
まずは主たる土俵は都道府県の医療審議会に
なる。そこで構想区域の設定なども始めること
になると思うが、調整会議を策定段階から前倒
しで設置し、郡市区医師会もそこに何らかの形
で最初から加わることで、構想区域の設定が柔
軟に行われるようになるのではないかと思われ
る。県医師会が主導的に県庁と郡市区医師会を
取り持って、システムを早めにお作りになれば
と思う。
質問:地域医療構想区域における急性期病床
オーバーについて(要旨)
原 豊 代議員(中国四国ブロック・広島県)
中川副会長は、地域医療構想区域で不足分を
充足させるから心配しなくてもよいと、たびた
び言われており、先ほども慢性期病床のことを
言われたが、たとえば急性期病床がその構想区
域でオーバーしている場合は、そのままで急性
期が不足していれば増やすという考え方でもよ
いのか。急性期病床を減らす必要はないのか。
号)
昭和
年
月
日 第
種郵便物承認
答弁:中川 俊男 副会長(要旨)
原代議員のおっしゃるとおりである。不足し
ている病床を手当てする仕組みであって、今の
構想の考え方は過剰な病床を削減する仕組みで
はない。そのとおりです。
その他の代表質問(答弁略)
藤原 秀俊 代議員(北海道)
・介護報酬改定について
板橋 隆三 代議員(宮城県)
・産業医等が実施予定のストレスチェック制
度について
猪口 正孝 代議員(東京都)
・首都圏における地域医療構想策定に関する
日本医師会の見解はいかがか
松本 吉郎 代議員(埼玉県)
・地域医療連携推進法人(仮称)とヘルスケ
アリートが地域医療構想に及ぼす影響につ
いて
池端 幸彦 代議員(福井県)
・「地域医療構想」(ビジョン)における「慢
性期」病床必要量の算出等に関する日本医
師会の考え方について
塩見 俊次 代議員(奈良県)
・医療崩壊を招かないために
木下 成三 代議員(徳島県)
・災害時の情報システムについて
牧角 寛郎 代議員(鹿児島県)
・地域医療連携推進法人制度に対する日医の
スタンスは?
個人質問(関係分) 質問:医療事故調査制度において設置される
「支援団体」について(要旨)
清水 信義 代議員(岡山県)
今年の 月から「医療事故調査制度」が実施
されるが、第三者機関である医療事故調査・支
援センターについては、その役割がほぼ決まっ
たところであるが、もう つの大きな役割である
支援団体はほとんど何も議論されていない。
支援団体は医師を中心とし看護師、薬剤師、
そのほか医療に関係する人たちが医療事故の内
容を支援する場合に構成するものと思われるが、
その支援団体の構成、医療現場をよく知ってい
るという意味からも、これは各都道府県に設置
されるべきものと思っている。
また、施行に当たっては、かなりの経費がか
かるが、今のところ全く議論されていない。こ
昭和
年
月
日 第
種郵便物承認
広島県医師会速報(第
の支援団体について、ぜひ日本医師会が中心的
な役割を持っていただきたいと思うが、お考え
をお聞かせいただきたい。
答弁:今村 定臣 常任理事(要旨)
本年 月に実施が予定されている医療事故調
査制度の詳細については、現在医療法施行規則
の改正案についてパブリックコメントの募集が
進められており、今後厚生労働省より省令、通
知などが公表される見込みであることをまずご
報告申し上げる。
今回の医療事故調査制度では、中央に医療事
故調査・支援センターが設置され、その業務の
一部を委託される機関として、医療事故調査等
支援団体が厚生労働大臣により指定されること
になっている。
この支援団体は、医師会や病院団体など、既
存の機関・組織が指定をされるものと理解でき、
各都道府県医師会にはこの支援団体として指定
を受けていただきたいと考えている。また、各
地において医師会以外にも指定を受ける可能性
があるが、それぞれに単独で動き出すことなく、
連携を保ちながら有効に機能していくためには、
地域の核としての都道府県医師会の役割が大変
重要になると認識をしている。したがって各地
域の医師会を中心として、たとえば「○○県医
療事故調査等支援団体連絡協議会」といった会
議を定期的に開催していただき、日ごろから顔
の見える関係を築いていただくことも有効であ
ると考えている。
また、医師会の支援団体としての運営経費に
ついては、財政的な面でのご懸念は十分理解を
しており、今回の法律成立に際しての附帯決議
の中でも、制度運営に要する費用の公的費用補
助等の確保が謳われている。国としては中央の
第三者機関である医療事故調査支援センターに
対しては、何らかの財政的補助を行う予定とし
ており、支援団体もセンターの業務の一部を委
託されることになるので、相応の財政補助・援
助を国に対して働き掛けていくことにしている。
質問:新サービス貿易協定(Ti
SA;Tr
adei
n
Ser
v
i
cesAgr
eement
)について(要旨)
大橋 勝英 代議員(愛媛県)
Ti
SAは、外務省経済局サービス貿易室の下、
多国間協定が実は水面下で進んでいるものであ
る。
経緯としは、
年ごろまで貿易は物が主で
あったが経済のグローバル化に伴って先進国の
号)
年(平成
年) 月
日(
)
サービス産業はGDPおよび雇用の ~ 割を占め
るほど成長してきている。GATSというサービ
ス貿易に関する一般協定が 年議論されてきた
が、先進国と新興国の間で意見の対立でこの
年間は頓挫したままになっている。
これに代わるさらに自由な新たなルール作り
のため、Ti
SAは平成 年 月ジュネーブで発足
し、サービス貿易の比率が高まる中、物以外の
すべての貿易において、経済のサービス化、
サービスの国際化、高度化が挙げられている。
サービス分野は 分野領域に及び、研究・開
発・不動産等の実務、通信、建設、流通、教育、
環境、金融、病院を含む健康関連および社会事
業のサービス、観光、運送などである。参加国
も ヵ国で、TPPの ヵ国よりはるかに多く医
療、保険、雇用、食の安全に関して国民の知ら
ないところで、これらが交渉されているとすれ
ば国民生活上問題である。
わが国の鉄道、バス、電気、水道、ガス、教
育、医療などの採算性より公益性を重視する公
共サービスは各種の規制を受けているが、これ
ら規制は外国企業の参入の障壁となっているた
めすべて撤廃されるとされている。
外国企業が何の制約も受けずに自由に公共事
業にも参入できるようになり、医療サービスが
市場原理にさらされることになる。一旦自由化
したものは元の公共性には戻せないラチェット
条項も組み込まれている。このような秘密裏に
進められているこの動きに対してご見解を伺い
たい。
答弁:石井 広己 常任理事(要旨)
昨年 月に参議院でTi
SAの交渉の進展状況に
関する質問指示書が提出され、その政府答弁書
において交渉の具体的な内容については非公開
となっている。
現在、政権与党の自民党は、高いレベルでの
自由化を目指すTPP交渉においてさえ、国民皆
保険制度などの聖域、死活的利益の確保を最優
先し、それが確保できないと判断した場合は脱
退も辞さないものとするという決議を採択して
おり明言している。
その決議に基づいて交渉を進めていると考え
ており、また、安倍内閣総理大臣はTPP交渉の
参加を表明した記者会見においても「世界に誇
る国民皆保険制度を基礎とした社会保障制度、
これらの国柄を私は断固として守ります」とも
述べておられる。
したがってTi
SA交渉においても、国益を守る
(
)
年(平成
年) 月
日
広島県医師会速報(第
ために強い姿勢で臨み、国民皆保険を堅持する
ために同様の方針が取られるものと考えている
が、注意は必要だと考える。
今後、Ti
SA交渉において医療に関する動きが
あれば、できる限り早く正確に把握して、迅速
な対応を政府に求める所存である。そして状況
に応じて必要な措置を取るべく、国民運動を展
開することも視野に入れている。
【追加関連個人質問】
質問:看護大学新設増加による既存看護学校
(特に医師会立看護学校)の臨時実習施
設確保の実態と要望(要旨)
檜谷 義美 代議員(中国四国ブロック・広島県)
昨年、広島県でも少し調査をしたところ、私
立の看護大学であるが年間授業料
万円である
のに対して、医師会立の看護学校は平均して
万~ 万円の年間授業料と大きな差がある。
研修実習病院に対して、医師会立の看護学校
からは 日 , 円が限度の研修費用も看護大学
では「 , 円、場合によっては , 円出しま
しょう」という看護大学まで現れて、研修をす
る医師会立の看護学校として研修先の確保が難
しくなっていると同時に、今の授業料のことも
含めて、地元で生まれ育って地元に定着してく
れる看護師が、経済的な理由で看護学校に進め
ないということにならないためにも、医師会立
の看護学校は絶対的に必要だと思うので、日本
医師会もぜひ協力をしていただければと思う。
答弁:釜萢 敏 常任理事(要旨)
檜谷代議員がご指摘くださった実習に必要な
費用の件も大変重要であり、大きな問題である
と認識している。引き続きご指摘いただいたと
おり日本医師会として対応してまいりたいと思
う。
檜谷 義美 代議員
公的な病院でさえも経済的な理由で「 , 円
では受けない。 , 円出せ」というようなこと
号)
昭和
年
月
日 第
種郵便物承認
を言う病院がある。この点も承知おきいただけ
ればと思う。
その他の個人質問(答弁略)
津田 哲哉 代議員(北海道)
・看護大学新設増加による既存看護学校(特
に医師会立准看護学校)の臨地実習施設確
保の実態と要望
清治 邦夫 代議員(山形県)
・在宅療養指導管理料について
金沢 和俊 代議員(埼玉県)
・日本医師会の「組織を強くする」ために
-まずは研修医の入会を-
山本 楯 代議員(愛知県)
・より信頼される医師会を目指して
藤森 次勝 代議員(大阪府)
・産業保健における労働者への「ストレス
チェック」の問題点
山田 和毅 代議員(和歌山県)
・医療事故調査制度について
清水 信義 代議員(岡山県)
・医療事故調査制度において設置される「支
援団体」について
大橋 勝英 代議員(愛媛県)
・新 サ ー ビ ス 貿 易 協 定(Ti
SA:Tr
ade i
n
Se
r
vi
c
e
sAgr
e
e
me
nt
)について
平田 泰彦 代議員(福岡県)
・急増するリハビリテーション料の査定と医
療現場が抱える問題点について
髙原 晶 代議員(長崎県)
・後発医薬品(ジェネリック)使用は本当に
医療費削減効果があるのか?
※平成 年度 日本医師会事業計画及び収
支予算書に関しては、日本医師会ホーム
ページをご参照ください。