4月の「産業医便り」 - 首里城下町クリニック

だな~
Dr田 名 の産業医だより 2015 年 4 月
10 月
糖尿病と腎臓病の関係について
~腎臓を悪くしないために~
だ
な
たけし
産業医 田名 毅
(首里城下町クリニック)
沖縄では糖尿病が原因で透析に導入される方が増えています。糖尿病から腎臓を悪くしないためのご講演を
うえず内科クリニックの上江洌 良尚 先生にお願いしました。まとめましたのでご報告します。
今回の講演の要旨をご紹介します。
◇沖縄県民は脂肪の摂取量が多く野菜の摂取量が
少ない。また運動不足、飲酒の機会や量が多い。
そのため肥満率、メタボ保有率が全国一高い。
結果、働き世代の死亡率が全国一高い状況にある。
◇糖尿病は I 型と II 型があるが、過食・肥満が原因で
起こる II 型糖尿病は血糖値を下げるインスリンが十
分に効果を発揮できなくなり(インスリン抵抗性)発
症する。そして、血液中に余分にあるブドウ糖が細い
血管、太い血管を傷つけて動脈硬化を引き起こす。
◇糖尿病を早めに治療して血糖値を下げる事が重要である。
糖尿病を放置して血糖値の高い状況が長く続くと、その後いくら
治療をしても傷ついた血管を治すことは難しくなり、腎不全(透析
が必要な状態)になったり、脳卒中・心筋梗塞を起こしかねない。
◇糖尿病が原因で失明する人は全国で年間 3,000 人、
透析になる人は 16,650 人。沖縄の透析患者は
4,235 人いて、全国でも多い地域になっている。
特に糖尿病が原因で透析になる人の数は全国平均の
1.8 倍で全国で最も多い。
◇このような合併症のために糖尿病に罹っている人の寿命
は、そうでない人と比べて 10-13 年短命といわれている。
◇腎臓がなぜ悪くなるかというと、糸球体という尿をろ過する毛細血管が傷んで、ざるの目がつまったような状態になり
毒素が出て行かなくなると考えると理解しやすい。そして、腎臓が悪くなればなるほど心臓病が起こりやすいこともわか
っている。
◇糖尿病で腎臓が悪くなると尿蛋白が出てくるが、この時点では腎臓がかなり悪くなっている。尿蛋白が明瞭に出
てくる前に早期発見に役立つ検査が微量アルブミン尿である。糖尿病をもっている人は、年に1回はこの検査を受け
腎臓の状態をチェックしてほしい。
◇糖尿病、そして腎臓病にならないためには、やはり早めに食事・運動による改善に取り組むことが重要
・食事:腹七分、よくかんでゆっくり食べる、肉の脂のとり過ぎをひかえる、食品の種類を多くとる、1 日三食(どうしても
二食という人は無理に三食にしなくてもよい)
・運動:30 分のウォーキング(10 分×3 回でも可)
・アルコールは適量で、休肝日を設ける
・禁煙
保健師・産業カウンセラー
◇治療を受ける上で心がけること
認定産業看護師
1)尿検査を受けて、腎症のチェック
4)血糖コントロール HbA1c7%未満
2)生活スタイルを見直す(前述)
5)LDL コレステロール 120 ㎎/dl 未満
相談窓口
3)血圧コントロール
130/80mmHg 未満
田名彩子
6)腎臓病が進んだときは蛋白制限 0.8g/Kg/日
産業医は、あなたの職場とそこで働く人々の心とからだ
◇糖尿病性腎症にならないためには
の健康を支援します。
生活スタイルを見直し、定期的に健診を受けて、必要なときには適切な治療を受けることです
※ 糖尿病も腎臓病もかなり悪くならないと自覚症状が出ないので、自分自身で身を守ることを考えてほしい。
★訪問日を設けている事業所の職員は、お気軽に訪問
日をご活用下さい。
保健師・産業カウンセラー
又吉雅代
看護師・衛生管理者