平成26年度府中緑ケ丘中学校区報告書(PDF文書)

事業名:府中町立小・中学校教職員が協同で実施する研究推進事業
連携地域名:府中町立府中緑ケ丘中学校区小中連携地域
連携地域を構成する学校
学校名
府中町立府中緑ケ丘中学校
府中町立府中南小学校
府中町立府中中央小学校
学級数
21
25
20
児童生徒数
668
744
613
(H27.2.1現在で記入)
1 指導上の課題
取組の重点項目を決定するに至った調査結果
分析
タイプⅡ(教科の知識・技能を活用する力)が,小学校は国
語の,中学校は国語,数学,英語の通過率が低い。このことから,
知識・技能を活用し表現する力,考えたことを書く力に課題があ
ると考えた。
2 研究の概要
(1)研究テーマ及び研究のねらい
①研究テーマ
自律する学習主体の確立
~自分の考えを表現させる場と指導法の研究をとおして~
振り返る」
・
「めあて」を赤で,
「まとめ」を青で囲む。
・発問を工夫する。
・自分の考えを表現させる場の工夫をする。
・ノート指導を充実させる。
③ 振り返りを書かせる場面
・振り返るための素材を与える。
・振り返りを書く場を設定する。
・振り返りの観点を示す。
・主語,述語を意識させる。
④ ノート指導
・めあて達成のため,何を書かせるか,どの場面で書かせるかを
明確にする。
・評価規準をもとに書かせた内容を見取る。
⑤ 学習の基盤
・学習規律(姿勢)
・教室環境(教室にごみのない環境)
・生活習慣(挨拶)
3 実践事例
【教科指導・生徒指導】
(1)指導上の課題
文章の内容の読み取りや簡単な感想を述べることはできるが,
具体的な根拠を挙げて感想や考えなどを書くことができない。
(2)学年 中学校 第3学年
(3)教科及び単元(題材)について
① 単元(題材)名
国語 深まる学びへ
説得力のある考えを述べよう」
(批評文)
② 単元(題材)の目標
論理の展開を工夫し,資料を適切に引用するなどして,説
得力のある文章を書くことができる。
③ 指導計画
(全5時間)
次
②研究のねらい
自らの考えを大切にし,友達の考えのよさに触れ,互いの
違いを認め理解し合いながら,その関わりの中から新しい見
方や考え方を学んでいくような子どもの育成を目指す。
研究仮説を,
「自分の考えを表現させる授業づくりとかかわ
り合う人間関係づくりを進めていけば,自ら進んで学習に取
り組む子どもを育成することができるであろう」と設定した。
(2)研究組織・体制
1
2
3
(
本
時
)
学習内容(時数)
○批評文について知
る。
○批評文に必要な要
素について知る。
○批評文の例をみて,
書き方を学ぶ。
○提示したテーマの
中から取りあげる
テーマを選ぶ。
○資料を収集する
・インターネットや書
籍を使って,客観性
のある資料を集め
る。
・資料を引用するとき
のルールを学ぶ。
○分析するための観
点を考える。
・他者との交流を通し
て自分の考えを深
める。
○テーマに対する自
分の意見をもつ。
○論理の展開を工夫
して,説得力のある批
(3)取組の重点項目
【教科指導・生徒指導】
○自分の考えを書かせる場の設定。
・授業の終末において振り返りを書かせる。
・ノート指導を充実させる。
・授業始まり,授業終わりの挨拶の徹底させる。
【めざす子どもの姿】
自ら進んで学習に取り組む子ども
○ 自分の考えをもつ子ども
○ 自分の考えを表現する子ども
○ 自分の考えを深める子ども
【取組内容】
① すべての教育活動で取り組む事項
・肯定的評価を行う。
(児童生徒を褒める。
)
② 授業づくり
・学習の流れ「つかむ→考えをもつ→考えを深める→まとめる→
4
評価
関 書 言
○
○
評価規準
○批評と批判の違いを理解しているか
・批評とは:自分なりの価値基準の根拠を
明確にして物事を評価すること
○批評文に必要な要素を理解しているか
・現状把握
・肯定的評価(よい点)
・否定的評価(問題点)
・適切な資料の引用
・自己の意見
○批評文の書き方を理解しているか
○批評文に書く事柄の選択ができている
○資料の収集
・著作権
・引用のルール
・客観性のあるデータの意味
・自他の体験の想起
○
○分析するための観点に応じて書けている
・よい点
・問題点
・特性
・価値
○テーマに対する考え方の深化されたもの
が書けている
○
○論理の展開を工夫して説得力のある説明
・段落構成
・段落の構成について
・根拠と主張の書き方
・資料の引用
・根拠と主張を明確に
・発表・態度の確
認
・机間指導による
観察
・収集した資料
・発表・態度の確
認
・机間指導による
観察
・ワークシートの
書き込み
・発表・態度の確
認
・机間指導による
観察
・作成された批評
して書く。
文
○書いた文章を読み
合い,よりよくする。
・発表・態度の確
認
・ノートの記述
文が書けている
評文を書く。
考える。
評価方法
○文章の推敲
(4)重点項目との関連
重点項目 自分の考えを書かせる場の設定
事前に用意した資料を基に,テーマについての
関
連 自分の評価を明確にさせ,その評価の根拠を明
らかにして,自分の考えを書かせる。
重点項目 授業の終末において振り返りを書かせる。
関
毎時間,授業の終末にめあてに対応した振り返
りを書かせる。めあてに対して,できたことや
連
できなかったこと,今後の改善点について等を
書かせる。
(5)授業の様子(児童生徒の変容)
振り返りを毎時間の終末に書かせることで,書くことに対す
る抵抗感がなくなってきた。
【生徒の振り返り文】
「段落分けをするときには,段落の始めの言葉に注目すること
が大切だと分かりました。また,段落の内容をまとめるとき
には,文末表現に注意してまとめることができました。
」
(6)検証
① 調査問題(詳細は省略)
問題の概要 文章を読んで,あなたの考える朗読の仕方
の工夫とその理由を,次の条件1から条件3にしたがっ
て書け,という内容の問題。
条件1 【メモ】の書き方を参考にし,○には朗読の仕
方の工夫を,▼にはその理由を書くこと。
条件2 ▼は,物語の内容を踏まえ,物語の中の言葉を
使って書くこと。
条件3 ○は,十五字以上,三十字以内で,▼は,四十
字以上,六十字以内で書くこと。
② 結果
③ 分析・考察
成果
このことから,単元の目標として設定した
(1)提示されたテーマの中から関心のある事柄を探し,
その事柄について自らの考えを深めようとしている。
(2)論理の展開を工夫し,資料を適切に引用するなど
して,説得力のある文章を書くことができる。
(3)自分の意見を効果的に表現するために,適切な言
葉を選択することができる。
を位置付けた授業を展開したことが有効だったと考えら
れる。
課題
誤答では解答類型5の反応率が5.5%である。
(誤答例)
○「感動して本当にそう思っているかのように読む。
▼今まではけんかをしていたが,ここからは今までとは
違って互いの美しさを認め合えるようになる場面だから。
このように解答した生徒は,具体的な工夫を書くこと
ができていない。よって,今後は具体的な事柄を表現
させることが大切である。
【授業づくりの基盤】
(1)具体的な取組内容
① 学習規律(姿勢)
<姿勢統一の合言葉> (小学校)
ぐう:イスを引く
ぴた:足の裏を床につける
ぴん:背筋を伸ばす
さっ:手をひざに置く
② 教室環境
すべての教室において床にごみが落ちていない状態で授業を
始める。
③ 生活習慣(挨拶)
<あいさつのものさし> (小・中共通)
あいさつレベル
1:あいさつを返す
2:大きな声で
3:自分から
4:会釈をしながら
5:立ち止まって
(2)児童生徒の変容
姿勢を意識して授業を受ける児童生徒が増えてきた。また,
教員から声かけが行われることで,どの授業においても一貫し
た指導が行われ,正しい姿勢への意識が高まったと考えられる。
教室環境もごみの落ちていない環境で授業を行うことで,落
ち着いた環境で授業が受けられ,学習に集中する雰囲気が高ま
っている。
授業では,気持ちのよい挨拶が定着しつつある。学校生活全
般においても,教職員自らが率先して挨拶をしていくことで,
児童生徒からの挨拶も増えている。
4 研究の成果と課題等
(1)成果
・
「自分の考えを書かせる手立ての工夫」を重点項目とし,
言語活動を工夫したりノートづくりをきめ細かく指導し
たりしたことで,自
分の考えを整理して
書く力がついてきた。
・通過率30%未満の割
合は小学校の国語科,
算数科について減っ
ている。算数科では,四則計算の力が伸びたことや分数
の計算に解答できたことが成果につながっている。
・中学校において,生徒による暴力件数が平成25年度が10
件であったのに対し,平成26年度は2件(1月1日現在)と
減少した。生徒指導主事を中心とした生徒指導体制が充
実し,教職員による意識統一された生徒への指導が行わ
れたことが,暴力件数の減少につながった。
(2)課題
・30%未満の生徒への効果的な指導方法の工夫
中学校おいて,通過率30%未満の生徒の割合が増加して
いる。
・具体的な事例を挙げて説明する力の育成
自分の考えの根拠を記述する問題の通過率42.3%(小学
校)
,算数・数学用語を正しく使って説明する問題の無解
答率33.7%(小学校)
,証明問題の通過率32.9%(中学
校)
)
・家庭学習習慣の定着
平日,家で,1時間以上学習している生徒の割合36.9%
(中学校)
(3)今後の改善方策等
・無答率を0%に近づけるため,日々の授業で最後までや
り切る意欲を高める指導を進める。
・授業展開の更なる工夫を行い,個別指導による肯定的な
評価を増やし,意欲や自信を持たせる。
・論理的に考えて,相手に分かりやすく伝えさせるための
個に応じた指導をさらに充実させる。
・自分の考えを持ち,表現力を高めるためのペアトークや
グループ活動の効果的な活用の研修を進める。
・小中学校が同じ時期(中学の定期試験週間)に学力強化
週間を設けて,学力強化及び学習習慣の定着に取組む。