大腸と膵臓の話

大腸と膵臓の話
H27.5.30 健康教室
本日の予定
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大腸と膵臓の話(大家)
・・・ 約30分
腸内環境を良くするには
森先生
 膵臓に負担をかけないためには
・・・ 約30分

膵臓の本は少ない・・・
大腸について
だいちょうキンくん
大 腸
長さ:約1.5m
 はたらき⇒便をつくる
水分やミネラルや栄養
分を吸収する

腸内フローラ(腸内細菌叢)
大腸の中の多種多様な細菌の集まりのこと
 腸内細菌の数は約100兆個
1000兆個!
 腸内細菌の種類は数100~1000に上る

腸内フローラの役割
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免疫力を高める(腸内、体全体)
ビタミンを産生する
便をつくるためのはたらき
体の代謝への影響
脳内の神経伝達物質の産生に関与
腸内フローラがくずれると・・
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便通に異常を来す ガスが異常に多くなる
発がん物質の産生
炎症性腸疾患、肥満、糖尿病、動脈硬化、自己免
疫疾患(リウマチ等)、アレルギー疾患(喘息、アト
ピー性皮膚炎)、うつ病 などなど・・ 種々の疾
患との関連
炎症性腸疾患
(潰瘍性大腸炎、クローン病)
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腸を中心に慢性の炎症を起こす病気
比較的若年者に多い
原因は完全には解明されていないが遺伝的
因子と環境因子が関与していると言われている
長期に罹患すると大腸癌のリスクが上昇する
治療は内服薬(ペンタサ、アサコール、
プレドニン免疫調整薬等)、注腸薬、座薬、
点滴注射(TNFαという炎症を起こす
物質を抑制する薬)、白血球除去療法等
感染性腸炎
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夏場は細菌性食中毒に注意
厚生労働省資料:原因別年間患者数
1位ノロウィルス 2位ウェルシュ菌
3位カンピロバクター 4位ブドウ球菌
5位腸管出血性大腸菌
調理前の手洗い 調理器具を清潔に
肉類はしっかり加熱 生肉(生レバー、ユッケ等)
は絶対に食べない
糞便移植
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健常者の便を患者の腸管に注入する(内視鏡や
チューブを使って腸内に注入する)
最初は偽膜性腸炎という抗生物質が原因で発
症する腸炎に対して行われた
その後最近では炎症性腸疾患、過敏性腸症候群、
慢性便秘、肥満等への応用が検討され、日本で
も臨床研究が開始されている。
膵臓について
すいぞうくん
膵 臓
膵臓の位置:
胃の裏側に横たわる
ように位置する
長さ15~20cm
幅3~4cm
厚さ2cm
重さ120g
膵臓のはたらき
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外分泌機能:膵管を通して消化管に消化液を分泌する

内分泌機能:血液中にホルモンを分泌する
FP0006 膵臓のはたらき
膵臓の主な病気
急性膵炎
 慢性膵炎
 膵臓癌

急性膵炎
原因はアルコールがダントツに多い
次いで胆石 げん
重症膵炎では
多臓器不全を起こして
10%程度が死に至る
怖い病気
急性膵炎の診断
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血液中の膵酵素(アミラーゼ、リパーゼ)が著明
に上昇
超音波やCT,MRIで膵臓の著明な腫れ、膵臓周囲
の液体貯留、膵臓が溶けているような所見等が
みられる。
重症では腹水や胸水がたまることもある
急性膵炎のCT
正常な膵臓
急性膵炎像
膵仮性嚢胞
急性膵炎の治療

軽症⇒絶食 十分な補液 点滴による治療
・重症⇒多臓器不全
・動注療法(カテーテルを動脈に入れて膵臓の
動脈に直接薬を入れる)
・血液浄化療法(血液から種々の有害な物質を
取り除く)
・選択的消化管除菌(腸内細菌のうち重症感染
症の原因となる菌を除去する)
・膵臓周囲に膿がたまる⇒ドレナージ
・他種々の合併症の治療
慢性膵炎
慢性膵炎の原因
原因はやはりアルコールが最多
 脂肪の多い食生活も要注意
 最近は自己免疫性膵炎という全く原因の異
なる膵炎も増えている

慢性膵炎のCT
正常な膵臓
慢性膵炎
膵管の拡張と膵石
慢性膵炎の膵管像
FP0021 慢性膵炎の臨床経過
慢性膵炎の治療-1
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代償期:腹痛や炎症をおさえるための治療
食事⇒高脂肪食は避ける 断酒
薬⇒消化剤、制酸剤、蛋白分解酵素阻害薬
鎮痛剤、鎮痙剤
膵石の治療⇒膵石の破砕(体外衝撃波)
膵管狭窄の治療⇒バルン拡張、ステント留置
(内視鏡を用いる)
等
禁
慢性膵炎の治療-2

以降期~非代償期
腹痛は軽減してくるが、膵臓機能が低下す
るため、膵臓のはたらきを補う治療が必要
消化機能の低下(栄養失調)
⇒消化酵素の補充
ビタミンの補充
糖尿病の合併⇒インスリンが必要になる
ことが多い
膵臓癌
2011年のがん罹患率
1位
2位
3位
4位
5位
男性
胃
前立腺
肺
大腸
肝臓
女性
乳房
大腸
胃
肺
子宮
計
胃
大腸
肺
前立腺
乳房
2013年のがん死亡率
1位
2位
3位
4位
5位
男性
肺
胃
大腸
肝臓
膵臓
女性
大腸
肺
胃
膵臓
乳房
計
肺
胃
大腸
膵臓
肝臓
膵
臓
癌
は
予
後
が
悪
い
膵臓癌の治療、予後
治療
切除可能であれば手術
約70%は手術不能・・ ⇒ 化学療法(抗がん剤)による
治療が主体
場合によって放射線治療の併用
しかし・・
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切除率 30%程度
5年生存率 5~10%程度
罹患率と死亡率がほぼ同じ・・
⇒ がんの中でも予後が悪い
膵癌早期発見のための取り組みの1例
(尾道市)
危険因子(+)⇒膵酵素測定、腹部超音波施行
膵管の拡張や嚢胞
ご静聴ありがとうございました。
続いて森先生の
お話です!