新しい地盤調査法の開発(その2) CPT と SPT によるダブルサウンディング法 試験調査報告 平成27年4月 C P T 技 術 協 会 株式会社タカラエンジニアリング 1 1.はじめに 一般的なボーリングは礫や岩盤でも調査可能な汎用性を有しているが、N値0のような軟弱地盤で は SPT(標準貫入試験)のみでは強度評価に供するデータが得られない短所がある。一方、CPT(電気 式コーン貫入試験)はN値0のような軟弱地盤でも強度評価が可能な精度の高さを有するが、硬質地 盤に当たると貫入が困難となる短所があった。 そこで、これらの調査を一基のマシーンで行えるよう CPT 調査機を改造した。これにより、ボーリ ングの弱点である軟弱地盤部分は CPT で、CPT の弱点である硬質地盤部分は SPT での補完が可能とな り、地盤調査の効率化に貢献できる。 今回、中川低地(埼玉県春日部市)において試験調査を行ったので、その成果を報告する。 2. 調査地の地盤概要 付近のボーリングデータ(図-2.1)によれば、当該地は深度 25mまではN値0(モンケン自沈)の 極めて軟弱な地層で、まさしく CPT が適する地盤であった。一方 38m以深は硬質な砂礫層であり、支 持層厚を十分確認するためには、ボーリングが適する地盤構成であった。 図-2.4 付近のボーリングデータ 2 3. 調査概要 3.1 CPT(電気式コーン貫入試験) 電気式コーン(図-3.1②)を先端に取り付けたロッドを図-3.1①に示す貫入機により静的に貫入し、 先端コーン指数、周面摩擦力、間隙水圧、S波を同時に連続計測し、データーロガーに記録する。 ① CPT 貫入機 ② 先端コーン 図-3.1 CPT 調査概要図 3.2 SPT(標準貫入試験) CPT の静的貫入が困難となった段階(深度 36m)でボーリング用コアチューブに切り換え、CPT 調査 完了深度まで追い切りボーリングする(図-3.2①) 。削孔後 SPT 用サンプラーを孔底まで下ろし、JIS A 1219 に規定される標準貫入試験(SPT)を実施する(図-3.2②) ① 追い切り(ボーリング) ② 標準貫入試験(SPT) 図-3.2 CPT 貫入機による SPT 調査概要図 3 3.3 調査状況写真 写真-2.1 ダブルサウンディング用機械の搬入 写真-2.3 速度検層(S 波)状況 写真-2.2 CPT 調査状況 写真-2.4 SPT 試験状況 4. 試験結果 調査、解析結果の総括図を次頁図-4.1 に示す。深度 36 までは CPT コーンを静的貫入でき、軟弱地盤 の物性を明確化できた。それ以深の支持地盤の構成や相対密度は、SPT により補完できた。 この試験調査は、3月 30 日朝に機材搬入を開始し、2日後の 4 月 1 日午前中には機材を全て撤収で きる調査速度であった。データ整理もほぼリヤルタイムで行えるシステムが構築できた。 5. おわりに 埼玉県の低地部は軟弱層が厚く堆積しており、効率的な基礎設計を実施する上では、支持層確認のほ か軟弱層のせん断強度、圧密特性、液状化判定定数等を精度良く調査する必要がある。これに適うデー タを一般的なボーリングと原位置試験や室内土質試験により得ようとすると、期間は最低1.5 ヶ月(現 場調査 10 日、室内試験/分析 30 日)、コストは最低 300~350 万円程度(電力関係市場価格)はかかる。 一方本調査法によれば、期間は1週間(現場調査3日、分析 4 日) 、コストはその半分程度で済む。 本ダブルサウンディング法は、軟弱地盤調査の精度向上、調査期間の短縮、コストの縮減大いに貢献 できるツールと考えている。 (以 上) 4 N 値 土質分類 10 20 30 40 50 0 0 非排水せん断強度 Cu (kN/㎡) 20 40 60 80 100 0 100 先行圧密応力 Pc (kN/㎡) 200 300 400 500 0 過圧蜜比(OCR) (Pc/σv') 0.5 1 1.5 2 0 0 0 -1 -1 -2 -2 -3 -3 -4 -4 -4 -5 -5 -5 -6 -6 -7 -7 弾性波速度(Vs) (m/sec) 50 100 150 200 0 -1 -2 CPT換算値 CPT換算N値 CPT換算値 CPT換算値 SPT 既存試験値 既存8試験値 -3 サイスミック試験 解析値 -6 CPT換算値 有効土被圧(σv') 既存試験値 -7 -8 -8 -9 -9 -9 -10 -10 -10 -11 -11 -11 -12 -12 -12 -13 -13 -13 -14 -14 -14 -15 -15 -15 -16 -16 -16 -17 -17 -18 -18 -19 -19 -20 -20 -20 -21 -21 -21 -22 -22 -22 -23 -23 -23 -24 -24 -24 -25 -25 -25 -26 -26 -26 -27 -27 -27 -28 -28 -28 -29 -29 -29 -30 -30 -30 -31 -31 -31 -32 -32 -32 -33 -33 -33 -34 -34 -34 -35 -35 -35 -36 -36 -36 -8 深度 (m) CPT 0 細粒分含有率 Fc (%) 20 40 60 80 100 -17 -18 -19 -37 SPT -38 -39 -40 -41 -42 -43 CPT土質分類凡例 1.鋭敏粘土 2.有機質土~ピート 3.粘土~シルト質粘土 4.粘土混りシルト~シルト質粘土 5.シルト混り砂~砂質シルト 6.シルト質砂~きれいな砂 7.砂~礫混じり砂 8.非常に硬質な砂、粘土混じり砂 9.非常に硬質な細粒土 図-4.1 CPT,SPTダブルサウンディング解析総合図 250
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