活動成果報告書 - 大学コンソーシアムせと

≪瀬戸市の現状と課題に関する統計データ分析≫
≪南山大学・総合政策学部・石川良文≫
≪瀬戸市役所行政経営部経営課≫
1.施策協働の目的
第5次瀬戸市総合計画の期間(2006 年度~2015 年度)が終了することを踏まえ、次期(第6次)
瀬戸市総合計画の策定に際して参考となる統計データの分析を行った。主に周辺他市町村との比
較分析、時系列分析等により瀬戸市の特徴、課題・問題点等を把握・考察すると共に、将来構想
の策定に参考となる資料を作成した。
2.協働担当課
瀬戸市役所行政経営部経営課
3.体制
南山大学総合政策学部教授石川良文の指導の下、南山大学総合政策学部石川ゼミナール(大
学院生1名、学部3年生15名)の学生が統計データを収集、分析した。
4.収集した統計データと分析方法
(1)分析方法
主に総務省統計局(e-stat)から、4 つの分野(①人口動態、②経済、③社会、④環境)に関
わる統計データを取得し、取得したデータを用いた時系列、地域間比較により瀬戸市の特徴につ
いて分析を行った。統計データを基に、人口 30、経済 43、社会 36、環境 42 の合計 151 指標によ
り分析した。
(2)対象期間及び比較地域
時系列分析にあたっては、1980 年から 2010 年までの概ね 30 年間の推移を捉えることとした。
また、地域比較にあたっては①近隣市(春日井市・尾張旭市・長久手市・日進市・豊田市)
、②1980
年に人口総数が瀬戸市の前後 2 位以内であった市(稲沢市・安城市・刈谷市・小牧市)
、③愛知県
市町村平均と比較することとした。
5.結果及び考察
本プログラムでは、151 の指標の時系列及び地域比較により分析を行ったが、紙幅の都合から
特に顕著な特徴があった指標を取り上げる。
①人口総数と高齢化率・労働力人口率
瀬戸市の人口は、2010 年現在 132,224 人であり、1980 年から約 1 万 2000 人増加しているが、
愛知県内の市町村では 11 位から 13 位に順位を落としている。また、高齢化率は 1980 年から 2010
年で 7.5%から 23.2%となっており、2010 年の高齢化率は同規模・近隣市の中では最も高い数値
であった。1980 年から 2010 年の間で常に愛知県市町村平均を上回っており、同規模・近隣市の
中でも常に最も高い数値となっていた。
労働力人口比率は 2000 年から 2010 年にかけて 53.7%から 50.1%へと減少している。また、1980
年代には愛知県市町村平均を上回り、同規模・近隣市の中でも上位の位置にあったが、2010 年に
は市町村平均を下回り、さらに同規模・近隣市の中で瀬戸市は最も低い数値となっている。
②高齢夫婦世帯割合・高齢単身世帯割合
瀬戸市は高齢夫婦世帯、高齢単身世帯の割合が極めて高く、高齢夫婦世帯数の世帯全体に占め
る割合は、2010 年現在 12.7%と同規模・近隣市の中では最も高い。また、高齢単身世帯数の割合
も 8.7%と最も多く、特に 2005 年から 2010 年の 5 年間で急速に増加した。
③財政力指数
瀬戸市の財政力指数は 2005 年から 2008 年にかけて大きな変化はなかったが、2008 年から減少
傾向にあり 2011 年では同規模・近隣市で最も低い 0.88 であった。また、愛知県市町村平均を常
に下回り、同規模・近隣市と比較しても低い値であった。
④標準価格(住宅地)
瀬戸市の標準価格(平均価格:住宅地)は 1995 年から 2009 年にかけて 112,000 円から 65,900
円へと減少し、同規模・近隣市や愛知県市町村平均と比較しても常に低い値となっている。
⑤観光レクリエーション利用者数
瀬戸市の観光リクレーション利用者数は、2010 年度の 230 万人から 2013 年度には 282 万人と
なり 3 年間で約 52 万人増加した。この大きな要因は「道の駅瀬戸しなの」が開業したことと考え
られ、瀬戸市内の観光レクリエーション施設・イベントとしては、岩屋堂、せともの祭を大きく
上回る利用があった。
⑥空き家率
2008 年における瀬戸市の空き家数は 6,540 戸であり、空き家率は 11.7%となっている。同規模・
近隣市、愛知県市町村平均 10.9%を上回り、最も高い値となっている。
⑦交通事故件数(人口千人あたり)
交通事故件数は、1980 年から 2005 年にかけて 2 倍近く増加しているものの、人口千人あたり
の交通事故件数は、同規模・近隣市の中では最も少ない状況が続いている。
⑧刑法犯認知件数(人口千人あたり)
刑法犯認知件数は、1984 年から 2009 年にかけて 1.64 倍に増加しているものの、近隣市町村の
中では最も増加率が小さく、人口千人あたりの件数も最も少ない。
6.成果
本施策協働プログラムは、瀬戸市の次期総合計画の策定に参考にして頂くために実施したが、
学生にとっても統計データの取得、加工の方法などを学ぶ機会となり、また地域の実情を客観的
に理解することができた。