FishCluster - 慶應義塾大学 徳田研究室

FishCluster
-Web カメラ画像を用いた魚種判定システムB3 isokichi † 親 : tetujin さん ‡ † 慶應義塾大学 環境情報学部 1 概要
近年,動物のライフログデータを取得する研究や,ペッ
必要になると考えられる.
目的
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トの体調管理用のサービスなどの数は増加の一途をたどっ
本研究の目的は,水槽内の魚の種類を認識し水槽背景に
ている.また、ペットを飼うことで,人々の生活は潤いを
その情報を表示することで,人々にとって観賞魚の鑑賞や
与えられ豊かになる.本システムではその中でも最も手軽
飼育をより楽しいものにする事である.そこで,今回実装
でポピュラーな,鑑賞魚に着目している.本研究では水槽
するシステムでは,水槽に取り付けたカメラの画像から魚
内の魚の種類を認識し水槽背景にその情報を表示すること
を認識,魚種を区別し、水槽背面にその魚種の情報などを
で,人々にとって観賞魚の鑑賞や飼育をより楽しいものに
表示することでその目的を実現する.表示される魚種の情
するシステムを提案する.
報としては,魚の名前と分類,特徴,生態や生息地の情報,
2 はじめに
適した環境や食べる餌,またはその魚種ごとに分類分けさ
動物のライフログデータをとる研究や、動物のライフロ
グを使ったサービスは様々なところで行われている.また,
れた観賞魚のライフログデータなどが想定される.
機能要件とアプローチ
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動物のライフログデータを取得し人とのインタラクション
本研究の手法は,“魚の検知”,“魚種の判別”,そして “魚
を図る研究 [3, 5] や,PetFit[2] のように,ペットのライフ
の情報の表示” の三つの機能要件からなる.各々について以
ログデータを利用したサービスも出現している.本研究で
下に説明する.
は特に観賞魚の飼育や鑑賞に特化したシステムを提案する.
私は,水槽内複数の魚がいる時,どれがどの魚か見分けが
つかなくなってしまったり,異なる種類の魚の情報を混同
してしまう事に問題意識を持っている.そこで,水槽内の
観賞魚の種類を判別し水槽に情報を表示することで,個体
と魚種が一致しその情報を簡単に見分ける事ができる.ま
た,魚種ごとに分類分けされた観賞魚のライフログデータ
5.1
魚の検知
魚の検知については,水槽を撮影する Web カメラの画像
を画像解析する事で行う.魚が何匹,どこにいるのかを検
知する必要がある.水槽内に複数の観賞魚がいる事が想定
されているため,一匹ずつの魚を検知する必要がある.ま
た,画像解析のライブラリとして OpenCV[1] を用いる.
魚種の判別
を取得できるという点も,観賞魚を飼育していく上で非常
5.2
に役に立つものになると考えている.
“魚の検知” で検知した魚の種類を,検知した領域の大き
さ,領域内の特徴点,動くスピードなどから判別する.ま
た,実装を進めて行くに連れて考慮して魚種の識別のため
3 関連研究
本研究の関連研究としては,まず,水質異常検知を目的
とする魚類行動の画像監視-画像認識法の検討 [9] が挙げら
れる.この研究では,水棲生物を用いた水質監視法(バイオ
アッセイ法)を画像認識で管理している.この論文では,コ
に,その他のバラメーターも追加する事も考えている.実
際の観賞魚のバラメーターと魚種情報データベースの情報
を照らし合わせる事によって判別を行う.
魚の情報の表示
イ,フナ,およびタナゴを実験に用いて,その行動パターン
5.3
を連続監視する事によって異常行動や生死を検知し,水質異
しては,魚体を “1”(黒),背景を “0”(白)としたヒスト
“魚種の判別” で判別した魚種ごとの,名前と分類,特徴,
生態や生息地の情報,適した環境や食べる餌などの情報を,
魚種情報データベースより取得し,プロジェクションマッ
グラム2値化法を用いている.なお,この論文ではコイ,フ
ピングによって水槽の背面の “魚の検知” で検知した観賞魚
ナ,およびタナゴの区別は行われていない.また,Generic
の位置に合わせて投影する.
image classification using visual knowledge on the web[8] で
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常を早期発見する事に取り組んでいる.画像認識の手法と
現在の実装状況
は,インターネット上から大量の画像を自動収集し,それを
現在の実装の進捗状況として,ORF で実装した “Aqua
学習画像として用いて,一般の実世界画像に対する自動分
Mapping” では,クマノミをほぼ常時認識して,吹き出し
類を行っている.分類は特徴点を用いて行われている.こ
を表示する事に成功している.
の研究によると似た画像の分類は精度が落ちるため,魚の
なお,ORF で頂いたフィードバックにも,他の種類の魚
分類に特徴点を用いる場合は領域を指定するなどの工夫が
や,複数匹になった時にうまく動作するのかというものが
†
††
多かった.
Naohiro Isokawa ([email protected])
Yuuki Nishiyama ([email protected])
Faculty of Environmental Information Studies, Keio University (†)
[2] PetFit https://www.docomopet.com/
[3] Yonezawa, K., Miyaki, T., Rekimoto, J. (2009, October).
Cat@ Log: Sensing device attachable to pet cats for supporting human-pet interaction. In Proceedings of the International Conference on Advances in Computer Enterntainment Technology (pp. 149-156). ACM.
[4] Namatame, N., Iwai, M., Aoki, S., Yamazaki, S., Tokuda,
H. (2007). Zoograph: An animal context extracting system
using simple and single sensor. In Workshop of 5th International Conference of Pervasive 2007.
図 1: システム構成図
7 システム構成図
システム構成図を図 1 に示す.
8 評価方針
評価は “魚を正しく認識する事ができたか”,“魚種を正し
く判定する事ができたか” の二点で行う.
魚の認識については,画像内に複数の魚がいたとき,そ
のうち何匹を正しく判定できたのか,また魚ではないもの
を魚として認識きてしまう割合を評価する.
[5] Paldanius, M., Krkkinen, T., Vnnen-Vainio-Mattila, K.,
Juhlin, O., Hkkil, J. (2011, May). Communication technology for human-dog interaction: exploration of dog owners’ experiences and expectations. In Proceedings of the
SIGCHI Conference on Human Factors in Computing Systems (pp. 2641-2650). ACM.
[6] Morishita, E., Itao, K., Sasaki, K., Higuchi, H. (2003).
Movements of crows in urban areas, based on PHS
tracking. GLOBAL ENVIRONMENTAL RESEARCHENGLISH EDITION-, 7(2), 181-192.
魚種の判定については,魚を正しく認識したときに,魚
[7] Takasaki, T., Nagato, R., Morishita, E., Higuchi, H.,
種を正しく判定できた割合と,正しく判定できなかった場
Kobayasi, I., Hosaka, H., Itao, K. (2001, April). Wild animal tracking by phs (personal handyphone system). In Selected Papers Of The International Conference on Machine
合にご認識した魚の割合を評価する.
また,上記の二つの評価から,システム全体での制度の
評価も行う.
9 スケジュール
-12月上旬
必要な知識,スキルを身につける.
(画像解析,魚類分類
学など)
- 12月15日
お給料がはいるため魚種判定のための数種類の魚を購入
する
- 12月下旬
魚認識カスケードの作成,魚種分類器の作成
-1月上旬
魚判別アルゴリズム完成
-1月下旬
水槽に情報を表示する
-2月4日
最終発表
10 まとめ
今期は,今期は水槽に取り付けたカメラの画像から魚を
認識,魚種を区別し,水槽背面にその情報を表示する.評
価は,水槽内の魚を正しく認識,判別できたかどうかの二
点で行う.
参考文献
[1] OpenCV http://opencv.org/
Automation (Human Friendly Mechatronics) (pp. 43-48).
[8] Yanai, K. (2003, November). Generic image classification
using visual knowledge on the web. In Proceedings of the
eleventh ACM international conference on Multimedia (pp.
167-176). ACM.
[9] 馬場研二. (1988). 水質異常検知を目的とする魚類行
動の画像監視-画像認識法の検討. 水質汚濁研究, 11(2),
114-122.