平成 25年 (行 コ)第 326号 事件 控訴人 市東孝雄 被控訴人 成 田国際空港株式会社 原審 (平 成 19年 (行 ウ)第 29号 千葉県知事 による農地 法 20条 1項 に よる許可取消請 求事件 (甲 事件)〔原告 市東孝雄 、被告 千葉県〕 平成 20年 (ワ )第 2338号 土地明渡請求事件 (乙 事件 ) 〔 原告 成 田国際空港株式会社 、被告 市東孝雄 、参加行政庁 千葉県知事〕 平成 20年 (ワ )第 2341号 建物等収去土地明渡請求事件 (丙 事件 ) 〔 原告 成 田国際空港株式会社 、被告 市東孝雄 、参加行政庁 千葉県知事〕 弁論 再開 申立 書 2015年 東京高等裁判所第 19民 事部 口係 控訴人訴訟代理人 6月 8日 御中 弁護 士 瀬 敬 一 郎 夫 瀬 藤 同 久 保 長 谷 士 口 田 ││ り 田 哲 也 申 十 の 趣 旨 標記事件 につい て、 日頭弁論 を再開す る。 との決定 を求 める。 申 す の 理 由 経過について (1)本 件控訴審は、 2014年 3月 26日 に員阿爾誠裁判長裁判官の下で行 われ の第 1回 口頭弁論以降、 2015年 3月 4日 までに、 4回 の 口頭弁論 が開催 されてきていた ところ、御 庁は、突如 として弁論終結 を宣言 した。 同弁論期 日において、控訴人 は、裁判官忌避 を申立てた。現在、特別抗告 中である。 (2)2015年 6月 5日 夕方、裁判官忌避 申立が最高裁 に特別抗告中で確定 し ていないにもかかわ らず、判決期 日をわず か 1週 間後 の 6月 12日 に指定 し た。 (3)し か し、本件 の審理には、以下に述べ る事由が存在 してい るので、控訴人 は本書面 を以て、終結 された本件 の弁論 を再開 し、 しか るべ き審理 の続行 を 求 める。 2 本件控訴審 の争点 (1)第 一審判決 は、現在農業 を営 んでいる控訴人 の農地 の うち、天神峰農地 と南 台農 地 の解約 申入れ を容認 し同農地 の明渡請求を認 めた。天神峰農地 と南台農 地は、別件千葉地裁民事 2部 係属明渡訴訟 と併せ ると控訴人 の農地 の約 73パ ーセ ン トに該 当するばか りでなく、農業を営む上で必要不可欠な農機具置き場、 出荷場 な どの諸施設 はす べ て 自宅 に隣接 した天神 峰農地 に設 置 されて い るた ‐ 2‐ め、天神峰農地 と南台農地 を失 うことは控訴人に 「農業をや るな」 とい う内容 である。原判決は、農民に対す る F死 刑判決」であ り、仮 に原判決が維持 され ることになれば、控訴人が農業を営み続けることが不可能 とすることは明白で ある。 被控訴人 らは 「離作補償 があるではないか」 とい うが、そ もそ も離作補償 は農業 をや めることに関す る 「補償 Jで あ り、決 して農民 が農民 として生き てい くための 「補償 Jで はない。市東家 では親子三代 90年 に二 つて農 地を 耕作 し土壌 にこ うした無能民 の血 と汗 の努力 の末に改良 に改良 を重ね、よ う や く完成 した有機栽培 にな じむ土壌 を完成 させてい る。 したが つて、控訴人 が耕作 している本件小作地 の上壌は、金銭 で代替 で きるものではなく、被控 訴人 らの 「離作補償」 なるものは全 くのまやか しである。 上記 の よ うに、原審判決 は、控訴人に 「死ね」 とい うに等 しい判決 である か ら、控訴人 の幸福迫求権 (憲 法 13条 )を 侵害す るばか りでな く、控訴人 が農業を続 ける ことは事実上不可能 となるため、職業選択 の 自由 (憲 法 22 条)に 反 し、農 地を奪 われ るとい うことで財産権 の保障 (憲 法 29条 )に 反 し、生存が危 うくなるた め生存権 (憲 法 25条 )に も反す る。 しか も、農地 法 20条 の解約許可によつて取 り上げるので適正手続 (憲 法 31条 )に も反 す る。 (2)本 件訴訟 は、小作人 (控 訴人)の 同意 を得ずに秘密裏 に売買 された農地を、 農民でない買主 (被 控訴人空港会社)が 一方的に農地 の解約許可申請 を行 い、 被控訴人千葉県 の許可を得 て小作人 の明渡 しを求めてい る事案である。 小作人 の同意を得ずに小作地を売買す る こと自体、農地法 3条 2項 1号 に 違反す る。 しかも、被控訴人空港会社 は農民でないに もかかわ らず、空港敷地外をも 具体的な転用計画 もな しに秘密裏 に買 うといつた農 地法 3条 、 含めた農地を、 5条 に明白に違反す る売買である。 ‐ 3- また、本来農業を保護す るための法律 である農地法 に基づいた明渡 し請求 であ り、農業 を継続す ることを極 めて強 く希求 してい る控訴人を、農地法 に 基 づいて農地を奪 い、農業 を事実上や めさせ るとい う大 きな矛盾 をも手 んで い る。 (3)控 訴人の場合 のよ うに農地法 20条 2項 2号 を適用 され 、その意思 に反 し て小作契約 を消滅 させ られて小作権を転用事業 のために失 うとい う場合 が憲 法 29条 3項 の 「公共 のために用ひる」場合 に該 当す る。 しか も、憲法 29条 3項 の 「正 当な補償」 は、「公共用地 の取得 に伴 う 損失補償基準要綱」 の第 10条 、 11条 により小作権補償、 24条 に基づ く 建物等 の移転補償、 34条 ない し 37条 の農業補償 が行われ る必要 があ り、 金銭 をもつて補償す る場合 には、被収用者 が近傍において被収用地 と同等 の 代替地等 を取得す る ことを うるに足 りる金額 の補償 を要す るもの とい うべ き である。 控訴人 の小作地は、全耕作地 の 73%で あ り、農作業場、農機 具置場、種 苗施設、離れな どの農業経営 に不可欠な施設であ り、憲法 25条 、29条 で保 障 された生存権的財産 であ り、本件解約許可処分 は生存権的財産を奪 つて控 訴人 の生存権を全面的 に侵害す るもので あ り、憲法上許 されない。 3 弁論再開の必要性 (1)控 訴人は、前回弁論期 日前に 10人 の人証 を請求す る立証計画書及び人証 調べ に関する意見書を提出 し、人証請求 として受理 されてい るが、 1人 も調 べ ない まま結審 してい る。 しか し、上記 2の よ うに本件控訴審 は、極 めて深刻な人権侵害を伴 う上に、 全 く先例 のない事案 であるため、 10人 の人証は必要不可欠 である。 (2)ま ず、控訴人市東孝雄 は、 自分 の耕作地 の 73%に あたる小作地 (天 神峰 る賃貸借契約 の解 消に よつて 農地及 び南台農地)を 農地法 20条 の適用 によ、 ‐ 4‐ 取 り上げられ よ うとしてい るのであ り、控訴人市東孝雄 が本件小作地 で行 つ てい る有機無農薬農業 の具体的実態 が調べ られ るべ きである。 それ は、控訴人市東孝雄 に とつて、営農継続 を不可能 とし、生活、生存 の 基礎 を根底か ら破壊 され ることを意味す るものである。原審判決 の誤 りの最 大 の原因は、被控訴人 が取 り上げようとしてい る上記天神 峰農地・ 南台農地 が、控訴人市東孝雄 の営農 の基盤であ り生存権的財産 であることについての 基本的認識す ら原審判決 が欠落 させてい る点にある。 また、原審判決 の誤 りの根本的原因 には、営農 の基盤たる小作地を取 り上 げ られ よ うとしてい る控訴人市東孝雄 の農民 としての誇 りや祖父・ 父 の代 か ら受けてきた小作農 としての幸酸・ 苦労へ の基本的認識す ら欠落 させてい る 点 がある。 そこで、控訴人本人 の人証調べ は不可欠である。 (3)前 述 した農地法 との関係 で石原健 二元 立教大学教授、憲法 29条 3項 との 関係 で内藤光博専修大学教授、「成 田空港 の公共性 」 との関係 で鎌倉孝夫埼 玉大学名誉教授、小作人 の同意を得ず に売買 された農地 の農業実務 に関 して 小川浩元野栄町農業委員会農業委員 の 4名 の学者証人、実務者証人 を請 求 し た。 本 日、石原健 二元 立教大学教授 の鑑定書 (戊 410)、 小川浩元野栄町農 業委員会農業委員 の陳述書 (戊 411)を 提出す る。 また、内藤光博専修大 学教授 の意見書 を近 日中に提出予定である。 これ らの各証人は誤 つた原審判決 を正すために必要不可欠 の証人 である。 (4)上 記 の よ うな憲法問題、法律問題 に加 えて、被控訴人空港会社は、別件 で 確定 した文書提出命令 (戊 391、 成 393)を 無視 して今 日まで来ている。 文書提出命令 に違反 した場合、「相手方 が当該文書 の記載 に関 して具体的 な主張をす ること及び当該文書により証明す べ き事実を他 の証拠 により証明 す ることが著 しく困難 であるときは、裁判所 は、その事実 に関す る相手方 の 主張を真実 と認 めることができる」 (同 条 3項 )と ころ、控訴人 は、非提示 ‐ 5‐ 文書 の記載 に関 して具体的な主張をす る こと及 び非提示文 書 により証明す べ き事実を他 の証拠により証明す るこ とが著 しく困難であるか ら、同条 3項 が 適用 され るべ きである。即ち、地積測量図、同意書、境界確認書 が被控訴人 成 田空港会社により偽造 された ことで ある。 文書偽造は犯罪であるか ら、 被控訴人 空港会社 の責任 は極 めて重大 であ り、 「ク リーンハ ン ドの原則」 か らいつて も、本件訴訟 の帰趨 を決す るよ うな問 題 である。徹底的な事実解明が必 要 である。 この観 点か ら、地積測量図、同意書、境界確認書 が作成 された当時の事実 を最 も知る浅子直樹元空港公 団用地部長、法理哲 二元空港公団用地部課長補 佐、元永修 二元反対同盟法対部部員 の 3名 の証人を請求 した。 これ らの各証人は誤 つた原審判決 を正すために必要不可欠 の証人 である。 (5)そ の他、先例 のない にもかかわ らず 、また、控訴人 が 当初か ら土地間違 い を強 く主張 していたに もかかわ らず 、十分 な審議 をす る ことな く被控訴人空 港会社 の解約 申入れ を許可 した成 田市農業委員会 と、 この許可処分を支持 し た千葉県農業委員会 の あ り方 も問題視 されなければな らない。 この観 点か ら、武 田康雄元成 田市農業委員会第 4小 委員会委員長、鈴木耕 土元千葉県農業委員会事務局長 の 2名 の証人 を請求 した。 これ らの各証人 は誤 つた原審判決 を正すために必要不可欠 の証人 である。 4 弁論再開の相 当性 以 上述 べ た ところによ り、本件 にお い ては弁論 が再開 され 、控訴人 申出にか か る証拠調 べ がな され るべ き必要性 が極 めて大 きい。 民訴 153条 は「裁判所 は、終結 した 口頭弁論 の再開を命ず ることができる」 とし、 これ は裁 判所裁量 によるもの と解 されて い る。 判例 も 「弁論 の再開 をす るか否 かについ て の裁判所 の裁 量権 も絶対無制 限 の もの ではな く、弁論 を再開 して当事 者 に さらに攻撃 防御方法 を提 出す る機会 を ‐ 6‐ 与 えることが明 らかに手続的正 義 の要求 と認 め られ る特段 の事情 があるとき は、弁論 を再開すべ きである」 (最 判昭和 56年 9月 24日 、民集 35.6.1088) としてい るところである。 よつて、直 ちに弁論 を再開 し、上記 の人証調 べ及 び これに関連す る主張を行 う機会 を与えられ るよ う申 し立てる。 添付資料 戊 410 鑑定書 (石 原健 二元 立教大学教授 ) 戊 411 陳述 書 (小 川浩元野栄町農業委員会農業委員 ) 以上 ‐ 7・ ・
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