平成28年の金融商品税制改正に向けて年内にやることは 株式会社FPウィム 代表取締役 伊田 賢一氏 平成26年に上場株式・公募株式投資信託などの譲渡益課税や配当金等の所得税は、軽減税率だった 10% から元の20%課税に戻されました(復興特別所得税を加えると20.315%)。 また平成28年からは税制が大きく変わる金融商品も多くあります。 今回は株式会社FPウィムの代表取締役で一級ファイナンシャル・プランニング技能士の伊田 賢一氏にどの ような改正があるのかとその賢い対処法を解説していただきました。 ぜひご一読ください。 平成28年から金融商品の税制が大きく変わります。 金融所得課税の一本化によってほぼ一律に20.315%課税になります。 国内債権や外貨建て金融商品など、今までは非課税でしたが来年からは課税されるケースもありますので 注意が必要です。 税制面で今年中に売却した方が良いケース、来年以降に売却した方が良いケースなどを考えてみましょう。 ●現行の金融商品の税制 1.国内発行の利付債 国内で発行されている利付債は売却益に関しては非課税となっています。 【図表1】のように例えば利付債を発行時に債券価格100円で購入し、 期の途中に105円で売却した場合、利益5円は非課税です。 逆に期の途中に債券価格を105円で購入し、100円で売却、売却損▲5円が 発生しても損失はなかったものとされます。 また、期の途中で購入し、満期まで保有した場合の償還差益は、雑所得となります。 例えば債券価格95円で購入し、償還(満期)まで保有した場合の差益5円は雑所得となります。 この償還差益は他の債券の償還差損との内部通算が可能です。 【図表1】 債券の税制(現行) この情報記事は、 (株)セールスエデュケーション・ラボラトリーが配信しているメールマガジンを転用しています。 URL:http://www.se-labo.jp/ Copyright by TEMPSTAFF LIFE ADVISORY CO.,LTD. All rights reserved. 2.外貨建利付債 これも1.と同様の課税方法になります。 3.外貨建MMF 海外の高格付けの短期債券で運用する外貨建て公社債投資信託を指しています。 外貨が上昇し、売却時に為替差益を得ても非課税となります。 これは、為替差益が発生したという認識ではなく、債券価格が上昇したとみなされ、1.と同様に売却益 は非課税となります。 売却損が発生しても損失はなかったものとされます。 4.外国債券の割引債(ゼロクーポン債) 額面金額より割り引いて発行され、利息がゼロの債券を指しています。 売却益は譲渡所得とされ、総合課税の対象となります。 譲渡所得の金額は、次の算式により計算します。 ・所有期間5年以下の場合は、 譲渡益-特別控除50万円 例:総合課税の譲渡所得の金額=譲渡益80万円-50万円=30万円 ・所有期間5年超の場合は、 (譲渡益-特別控除50万円)×1/2 例:総合課税の譲渡所得の金額=(譲渡益80万円-50万円)×1/2=15万円 現行税制では、売却して利益を得た場合、特別控除50万円を差し引けます。 売却益が50万円以下であれば課税されません。 5年を超えて所有していた場合はさらに特別控除後の利益の1/2に課税されます。 ●平成28年以降の金融商品の税制 金融所得課税が一本化され、上場株式や公募株式投信の譲渡損益、分配金、配当や外債を含む公社債、 外貨建MMF、公社債投資信託の利子、分配金、譲渡損益、償還差益などの損益がすべて通算可能となります。 今年中に売却した方が良いケースは、外貨建MMFやドル建ての利付米国債などに含み益を抱えており、 保有している上場株式などに含み損を抱えていない人は年内に売却した方が有利になります。 一方、上場株式等に含み損を抱えている人は来年以降に売却した方が有利なケースもあります。 外貨建MMFの利益と上場株式等の損失を損益通算できるからです。 今まで見たように外債(利付債)を売却して得た利益は現行では非課税かゼロクーポン債のように特別控除が あります。 一方、満期まで待って得た償還差益は雑所得として課税されます。雑所得は給与などほかの所得と合算され 総合課税の対象となります。このため、満期が近い外債を持っている人は年内に売却する選択肢もあるでしょう。 金融商品は税制だけではなく、長期で保有するメリット(金利、相場など) も含め売却を検討するようにした方がよいでしょう。 この情報記事は、 (株)セールスエデュケーション・ラボラトリーが配信しているメールマガジンを転用しています。 URL:http://www.se-labo.jp/ Copyright by TEMPSTAFF LIFE ADVISORY CO.,LTD. All rights reserved. 【図2】為替差損益の計算方法を踏まえた主な外貨建金融商品の税制一覧 ※当資料は2015年4月現在の情報に基づくものです。詳しくは税理士または所轄の税務署にご確認ください。 いかがでしたか? 健康保険や公的年金等の保険料も軒並み上がっている上、平成29年4月に 消費税が10%に上がることも決まりました。 市中金利は超低金利という状況のなか、日本は租税負担率と社会保障負担率 を合計した国民負担率がどんどん上昇する一方です。 自助努力で無駄なコストを削減していくしかないとはいえ、 「何店舗か回って少しでも安いものを買う」 「水道光熱費を節約する」などの対策は、もう既に打っている方も多いのでは ないでしょうか。 ただ、国民負担率が上昇するなかでも、子や孫に対する 非課税贈与の拡充やNISA、生命保険で言えば医療・介護保険料の所得控除枠 の新設など税を優遇する制度もあります。 これからは個人でも税金に対する高い知識を持ちたいですね。 ※このご案内に記載の情報は法律上又は税務上の助言ではなく、このご案内をもって専門家の助言に代える ことはできません。 ※このご案内は、2015年4月現在の税制に基づいています。 ※今後、制度内容が変更される場合があります。 この情報記事は、 (株)セールスエデュケーション・ラボラトリーが配信しているメールマガジンを転用しています。 URL:http://www.se-labo.jp/ Copyright by TEMPSTAFF LIFE ADVISORY CO.,LTD. All rights reserved.
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