USB3.0対応高速JTAG デバッガと、動的解析ツール PARTNER-Jet2

テクニカル・ノート
Technical NOTE
USB3.0 対応高速 JTAG デバッガと、動的解析ツール
PARTNER-Jet2
PARTNER-Jet から、
PARTNER-Jet2 へ
USB3.0 対応高速化と、
ARM プロセッサデバッグ向け最適化
■ 一万台以上の実績ある「PARTNER-Jet」
PARTNER-Jet2 は、高速動作を誇る PARTNER-Jet の全てを見直し、
2003 年 9 月から約 10 年にわたり、
JTAG エミュレータ「PARTNER-
さらに高速な JTAG エミュレータに生まれ変わりました。特に ARM
Jet」を提供してきました。PARTNER-Jet は、当時の最速の JTAG
CoreSighrt デバッグアーキテクチャでより高速に動作するよう設計
エミュレータであっただけでなく、組み込みシステム開発の多様化や
しており、例えば Cortex-A9 搭載 SoC では、メモリダウンロードで
高機能化に伴うプロセッサや OS 環境の変化に対応すべく、常に進化
約 3 倍の高速化やステップ実行などの高速などを実現しており、より
をし続けてきました。マルチコア対応、Linux 対応、また新規のプロ
軽快に使える PARTNER デバッガに仕上げています。
セッサ対応をはじめ、多くの機能を追加しています。これらの進化
また、より高速に動作できるよう、ホストパソコンとの接続では
は、発売当初の PARTNER-Jet でもデバッガソフトウェアのアップ
USB3.0 にも対応しています。そして、高速化のための見直しの結果、
デートのみで最新の機能の全てが利用できるようになっています。例
USB2.0環境下でもPARTNER-Jetに比べて更に高速化されています。
えば、Cortex®-A15 プロセッサも、ソフトアップデートのみで当初の
PARTNER-Jet でもデバッグ可能です。
PARTNER-Jet はユーザーの皆様のご支持をいただき、発売以来約
10 年で1万台以上を提供する事ができました。
■ 新世代 JTAG エミュレータ「PARTNER-Jet2」
「PARTNER-Jet2」は、PARTNER-Jet の高機能・高性能・使いやす
さなどすべて継承し、さらに進化できる JTAG エミュレータとして提
供できるよう、完全新規に設計・開発した JTAG エミュレータです。
使いやすさとしては、USB バスパワー動作への対応や、またデバッグ
プローブのホットプラグ接続に対応しました。また、新世代の ARM®
V8 アーキテクチャで採用されている 64bit プロセッサを効率よくデ
バッグできるよう、全てを再設計しています。また、新世代の高速
トレース ETM HSSTP への対応などを見据えたインタフェース構造
を採用しています。進化し続ける ARM プロセッサに追従できるよう、
PARTNER-Jet2 も進化し続けていきます。
図1:PARTNER-Jet2
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ARM PARTNERS SUCCESS
◯ ARM CoreSight AHX-AP/AHB-AP 対応
CPUからのメモリアクセスだけでなく、AXIバス経由でメモリアク
セス可能です。Cortex-A15 などにおいて、40bit 物理アドレス指
定での参照の他、キャッシュやMMUを介さずに参照が可能です
◯ 多くの CoreSight コンポーネントに対応
ト レ ー ス 関 係 で は、ETM/PTM/ETB/ETF な ど へ の 対 応 の 他、
Cortex-M プロセッサで多く使われる MTB/ITM/SWO にも対応
しています。
◯ マルチコアや SMP デバッグへも対応し、CoreSight による H/W
同期ブレークも実現します
◯ ARM v8 含 む Cortex 世 代 の ARM プ ロ セ ッ サ か ら、ARM7 や
ARM9 まで対応します。JTAG-AP にも対応しており、ARM9 と
Cortex の混在デバッグも可能です。
◯ 多くの ARM 用コンパイラに対応
ARM 純正コンパイラ、GCC コンパイラの他、IAR コンパイラや
WindowsEmbedded コンパイラでソースデバッグが可能です。
図 2:PARTNER-Jet2 の高速性(PARTNER-Jet との比較)
京都マイクロコンピュータ株式会社
トレース機能の強化と、
動的解析ツール "QProbe"
Renesas 第 2 世代 R-Car 専用、
SoC バスプロファイルツール
ト レ ー ス メ モ リ 搭 載 の PARTNER-Jet2 Model20 で は、 標 準 で
PARTNER-Jet/Jet2 は、高速な JTAG 制御による快適なデバッガ使
4GByte のトレースメモリを搭載します。これは 1GByte のトレース
用感を提供してきました。この高速 JTAG 制御技術を生かして、実現
メモリを搭載していた PARTNER-Jet Model40 の 4 倍の容量です。
したのが、第 2 世代 R-Car 専用 SoC バスプロファイルツールです。
4GByte あると、例えば ARM Coretx-A9 でも約 30 秒(Coretx-A9
シングルコア、1GHz、PTM トレース)のトレース保存が可能になり
第 2 世 代 R-Car に 内 蔵 さ れ て い る バ ス プ ロ フ ァ イ ル ユ ニ ッ ト を、
ます。さらに、PC との USB3.0 接続により、トレースデータを PC
Cortex プロセッサを介さずに JTAG から AXI-AP 経由で直接に設定と
にストリーミング保存が可能になります。これにより、PARTNER-
読み出しを行う事で実現しています。JTAG 経由で外部から高速、か
Jet2 本体内の 4G バイトを超える容量のトレースデータ保存が可能で
つ正確に読み取るために、KMC が JTAG デバッガで培ってきた技術を
す。また、別売の解析ソフト "QProbe" を使えば、さらに高度な解析
応用しています。
が可能です。QProbe では、標準で以下の解析機能を搭載しています
外部から計測しているので、実行するソフトウェアの改造は不要で、
1) 関数実行タイミング表示
かつ実行パフォーマンスに影響を与える事なく、R-Car SoC 内部バス
2) 関数実行履歴表示
のトラフィック状況を把握する事が可能です。さらに、ARM プロセッ
3) 関数呼び出し関係表示
サの PMU にも対応しており、キャッシュのミス率や命令実行状況な
4) ソースカバレッジ表示
ども把握する事が可能です。
5) 関数プロファイル表示
6) 関数実行偏差統計表示
7) コンテキスト実行履歴表示
計測したデータは、Windows 上の専用 GUI ソフトウェアで表示・保存
8) コンテキストプロファイル表示
が可能で、また保存データ再生表示も対応しています。データは一般
9) コンテキスト実行偏差統計表示
的な CSV フォーマットなため、高度な解析を自由にする事も可能です。
また、3) ~ 6) の機能については、タスクなどコンテキスト別にフィル
タリングして表示可能になっています。
PTM/ETM トレースと QProbe を組み合わせれば、ソフトウェアのほ
ぼ実際の実行時間での解析が可能で、より厳密に実行状況を把握する
お問い合わせ先
事が可能です。さらに、PARTNER-Jet2 と QProbe の組み合わせは、
京都マイクロコンピュータ株式会社
外部バストレースプローブや SD カード I/F プローブの提供で、ETM
営業部 075-335-1050 / 東京オフィス 03-5157-4530
トレースなどが使えない環境でも解析ができるようになる予定です。
関数呼び出し関係表示
コンテキスト履歴表示
関数プロファイル表示
コンテキストプロファイル表示
図 3:Qprobe 解析画面表示例
http://www.kmckk.co.jp
mail: [email protected]
内部バスレイアウトで表示
測定時にリアルタイム更新
測定時にグラフをリアルタイム更新
再生時は、任意の箇所や範囲を表示
各グラフ別に、表示・非表示を選択
測定中や再生中での変更可能
警告レベルを設定、表示
警告レベルを設定、表示
レベルはオプションで変更可能
レベルはオプションで変更可能
図 4:R-Car 専用、SoC バスプロファイルツール画面例
ARM PARTNERS SUCCESS
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