心臓部にi.MX 6を採用。 - APS

Success STORIES
ザイリンクス株式会社
ST マイクロエレクトロニクス株式会社
株式会社東芝 セミコンダクター & ストレージ社
東芝マイクロエレクトロニクス株式会社
スパンション
京都マイクロコンピュータ株式会社
リネオソリューションズ株式会社
www.aps-web.jp
https://twitter.com/APS_inscape
https://www.facebook.com/APSfan
LEADER’S VOICE
https://plus.google.com/+APS-WEBjp
パイオニアがカーナビ/AVの
心臓部に i.MX 6を採用。
6 機種のソフトや基板を共通化してコスト削減。
i.MX6SoloX
フリースケール・セミコンダクタ・ジャパン株式会社
いよいよ終盤に突入、Cortex-A入門。
APS A C A DE M Y
Cortex-A 入門編
Volume.10
2015.3
13
第 回
17
i.MX6Quad
超豪華プレゼント企画
提供:フリースケール・セミコンダクタ・ジャパン株式会社
cover photo:フリースケール・セミコンダクタ・ジャパン株式会社 / パイオニア株式会社 / 丸文株式会社 スタッフの皆様
Contents
Success STORIES
Volume.10 2015.3
10
www.aps-web.jp
ザイリンクス株式会社
16
パイオニアがカーナビ / AV の
心臓部に i.MX 6シリーズを採用。
6 機種のソフトや基板を共通化してコスト削減。
22
58
APS A C A D E M Y
28
Cortex-A 入門編
第
13
17
回
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超豪華
プレゼント企画
40
Freescaleエコシステム推奨パートナー情報
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年2回
(3/8月) 勤務先・ご自宅まで無料でお届けいたします。
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組込み Linux の先駆的エンジニア集団
リネオソリューションズの挑戦。
リネオソリューションズ株式会社
44
無料 定期購読受付中
内部バストラフィックを見える化。
PARTNER-Jet2が R-Car の性能を最大限に引き出す。
京都マイクロコンピュータ株式会社 パートナー対談:ルネサス エレクトロニクス株式会社
提供:フリースケール ・ セミコンダクタ ・ ジャパン株式会社
https://www.facebook.com/APSfan
スパンションが Cortex-R5マイコンを拡充。
産業・家電のARMエコシステムを次世代の車載の世界へ。
スパンション
34
60
車輪型ヒューマノイドロボット「HJM-47」の
モータ制御に東芝の TMPM370 が活躍。
株式会社東芝 セミコンダクター&ストレージ社 / 東芝マイクロエレクトロニクス株式会社 ユーザー対談:有限会社はじめ研究所 / 株式会社イーエスピー企画
フリースケール ・ セミコンダクタ・ジャパン株式会社 ユーザー対談:パイオニア株式会社
いよいよ終盤に突入、Cortex-A 入門。
業界の常識を打ち破る顔認証テクノロジー
STM32F429で認証時間 0.3 秒を実現。
ST マイクロエレクトロニクス株式会社 ユーザー対談:株式会社テラプローブ
LEADER'S VOICE
04
新たな可能性と価値を手に入れよう! SWエンジニアのためのSDSoC開発環境。
Zynq-7000 SoC とUltraScale+ MPSoC プラットフォーム。
イーソル株式会社 P44-45 | 株式会社エンビテック P46-47
日本ローターバッハ株式会社 P48-49 | 横河ディジタルコンピュータ株式会社 P50-53
ファルコン電子株式会社 P54-55 | 丸文株式会社 P56-57
APS ARM 検索
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i n s c a p e
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APS Volume.10 2015 年 3 月発行
Editor in Chief
中川千洋 Editorial Staff 佃和久 浦邉康雄 Design 鳥居崇広
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TEL : 045-308-6581 FAX : 045-308-6582 http://www.inscape.jp
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© inscape Inc. 2015 All rights reserved.
LEADER'S VOICE
フリースケール・セミコンダクタ・ジャパン株式会社
パイオニアがカーナビ/AVの
要があります。しかし、製品の高機能化が
進むにつれ、機能要求にソフトウェア開発
心臓部にi.MX 6を採用。
が追いつかなくなっていきます。そこで、
Android OS によるプラットフォーム統一を
図り、製品企画に応じたラインアップを提
案できるようになりました。
6 機種のソフトや基板を共通化してコスト削減。
パイオニアは、同社の海外向けカーナビ製品 4 機種、車載 DVD AV 製品 1 機種、海外・国内向けAV 製品 1 機種のメイン・
プロセッサとして、フリースケールの「i.MX 6DualLiteプロセッサ」および「i.MX 6Soloプロセッサ」を採用した。従
来、同社の海外向け車載製品には 2 系統のソフトウェア、OS、基板が存在し、これらを個別に開発していたが、今回、
を用意している点などが i.MX 6シリーズ採用の決め手になったという。ここでは、こうした車載製品開発の経緯を、
企画や設計にかかわった担当者に話を伺った。
海外向けを中心とする
パイオニア株式会社
カーエレクトロニクス事業統括部
カー市販事業部 事業企画部
マルチメディア企画部 企画 2 課
蛭田 裕達 氏
製品開発の経緯を教えてください。
パイオニア西脇:新製品のコンセプトが
決まり、共通に、そしてスケーラブルに使
フリースケール・セミコンダクタ・ジャパン株式会社
マイクロコントローラ・グループ
ビジネス・デベロップメント
MPU
大林 久高 氏
えるプラットフォームが欲しい、という話
が企画部門から開発部門へ来たのは、2012
製品で別の基板、別の OS、別のアプリケー
年の夏ごろです。最初の 3 カ月は、どのよ
フトウェアの順に完成度を上げていきます
ション・ソフトウェアを使っていたところ
うな技術を使い、どのような構成でシステ
が、Android のおかげでハードウェアの完成
を一つに統合し、スケーラブルに使えるよ
ムを組んでいくのか、という検討を行いま
度に依存せず開発することができました。
ションの機能を除いた構成になります。プ
が転送した画面データを車載製品がデコー
うにすることでした。当社が車載製品の OS
した。プロセッサが決まったのはこの段階
ロセッサの処理性能はカーナビ製品ほど必
ドして、液晶モニタに表示します。2014 年
として Android を採用したのは、今回が初
です。実際のハードウェアで検証を始めた
要ないので、Cortex-A9 シングルコアの i.MX
の機種は Apple CarPlay™ に対応していまし
めてです。2013 年以前の機種では、ローエン
のは 2012 年の秋になります。フリースケー
6Soloプロセッサを載せています。最後の 1
た。2015 年の機種は、これに加えて Android
ドの製品には ITRON を、ハイエンドの製品
ル が 提 供 し て い る i.MX 6 シ リ ー ズ の 評 価
パイオニア蛭田:例えば CarPlay の処理で
機種は少し変わった製品で、iPhone と組み合
Auto™ にも対応しました。Android 搭載のス
には Windows 系の組込み OS を使っていま
ボード SABRE(セイバー:Smart Application
す。問題となるのはレイテンシでした。これ
わせて使う車載製品です。6.2 インチの液晶
マホをつないで、車載製品からコントロール
した。これを、Android に 1 本化しました。
Blueprint for Rapid Engineering)を入手し、
は、ユーザーが操作した時の応答速度に影響
モニタと静電容量方式のタッチパネルを搭載
します。これは、
アフターマーケット向けカー
パイオニア西脇:従来のプラットフォー
どのくらいの性能を期待できるのか、付属
します。性能の低いプロセッサでは間に合い
州で販売している車載製品 6 機種に i.MX 6
し、Apple CarPlay™ 規格に対応しています。
ナビ /AV DVD 製品としては世界初
ムで新しい機能を追加しようとした場合、
の BSP(Board Support Package)に ど の よ
ませんでした。
シリーズを搭載しました。機種はカー・ナビ
この製品のみ、日本国内でも販売しており、
MIXTRAX は、当社が開発した「ノンストッ
ITRON 向 け と Windows 向 け の 両 方 の ア プ
うな機能があり、どこまで使えるのか、な
ゲーション製品で、2014 年 1 月に量産を開
i.MX 6Solo プロセッサを搭載しています。
プミックス再生」の機能で、楽曲を切れ目な
リケーション・ソフトウェアを開発する必
どを検証しました。2013 年の年明けに最初
車載製品 6 機種に
i.MX 6シリーズを採用
どのような製品に i.MX 6 シリーズを搭載
したのでしょうか?
パイオニア蛭田:北米、南米、アジア、欧
始しました。最上位機種は 7 インチの液晶モ
ニタと静電容量方式のタッチパネルを搭載し
ています。その下の機種はタッチパネルが
4
製品群が企画意図に合致
i.MX 6 シリーズはどのような処理を実行
していますか?
※1
です。
プロセッサの選定に影響を与えたアプリ
ケーションはありますか?
以前からフリースケールのプロセッサを
使っていたのでしょうか?
くつなげて再生します。ちょうどクラブの DJ
の試作が行われ、
のように、似た曲調や近いテンポの曲だけを
Android OS の
パイオニア蛭田:カーナビ製品本体では
自動選曲して、次々と切り替えていきます。
ポーティングと
ないのですが、ヘッドアップ・ディスプレ
抵抗膜方式に、さらにその下の機種は液晶
パイオニア蛭田:2D グラフィックスの GUI
従来は曲のテンポの解析をパソコン上で実行
デ バ イ ス・ ド ラ
イの表示用に使ったことがあります。カー
モニタが 6.2 インチに、というように機能差
描画処理、ナビゲーションの地図情報処理、
する必要があったのですが、プロセッサの性
イバの開発に着
ナビのメイン・プロセッサには、長らくル
を持たせて価格を変えています。これらの製
スマートフォン連携の通信・表示処理、USB/
能が上がったので、車載製品の内部で解析処
手 し ま し た。 そ
ネサス エレクトロニクス社の SH 系のプロ
品 に は、2 個 の ARM® Cortex®-A9 コ ア を 内
SDメモリに記録した動画ファイルのデコード
理を実行できるようになりました。
の 後、 数 回 の 試
セッサを使っていました。
蔵する i.MX 6DualLite プロセッサを載せてい
処理、MIXTRAX と呼ぶ当社独自の音楽再生
ます。次の 1 機種は車載 DVD AV 製品です。
処理などを実行しています。スマートフォン
開発上の課題はありましたか?
ブラリやミドル
7 インチの液晶モニタと抵抗膜方式のタッチ
連携では、車載製品がタッチパネルの座標情
パイオニア蛭田:今回の開発の大きなポ
ウ ェ ア、 ア プ リ
パネルを搭載したカーナビ製品からナビゲー
報をスマートフォンに送り、スマートフォン
イントは、それまでカーナビ製品と DVD AV
ARM PARTNERS SUCCESS
LEADER'S VOICE
LEADER'S VOICE
Android OS と i.MX 6シリーズを採用しこれらを 1 本化した。機能・性能についてスケーラブルな製品ラインアップ
Androidとの相性とスケーラブルな
作 を 行 い、 ラ イ
※ 1 パイオニア社調べ(2015 年 3 月)
図 1:i.MX 6DualLite プロセッサを搭載した最上位機種「AVIC-8100NEX」。
ケ ー シ ョ ン・ ソ
なぜ、メーカーを変える必要があったの
ですか?
パイオニア西脇:今回、企画部門のほう
ARM PARTNERS SUCCESS
5
Ethernet 経由で試作機とパソコンを接続し、
西脇 秀和 氏
部門にも説明に回っていただきました。
感がありました。
イブラリのように Linux カーネル上に実装
社やフリースケール日本法人のメンバーが、
されるプログラムについては、Linux をイン
お客様と話し合いながら一つ一つ問題を解
サなのにフリースケール製品でいいの?」と
ストールしたパソコン上で開発し、プログ
決していくしかないと思います。
いう声があったのだと思います。パイオニ
フリースケール大林:問題が起こった際、
丸文加藤:社内では「カーナビのプロセッ
豊富な周辺機能を備え、
長期供給を保証
アさんは、自動車メーカーへ OEM 供給する
i.MX 6 シリーズにはどのような特徴があ
また、試作機にはデバッグ用のシリアル・
そこで立ち止まってしまうお客様もいらっ
カーナビ製品や車載オーディオ製品も開発
ポートが用意されており、パソコンからコ
しゃいます。幸い、パイオニアの技術者の
しています。その意味で、高い水準の品質
マンドを送りながらデバッグすることも可
皆さんは、自分たちでどんどん開発を進め
管理が要求されます。プロセッサの品質を
能です。さらに上位の Android Runtime 上
ていこう、多少のハードルがあっても自分
懸念されるのは、当然だと思います。そこで、
2012年11月に出荷を開始しました。スケー
で動いているアプリケーション・ソフトウェ
たちで乗り越えていこう、という姿勢でし
設計部門の方が理解していることを、製品
ラビリティを意識して、最初から 5 種類の製
アについては、パソコン上のAndroid環境(エ
た。パイオニアの皆さんは私たちをパート
化に関係する方々にも理解してもらうため
品(Quad、Dual、DualLite、Solo、SoloLite)
ミュレーション)での開発がメインとなりま
ナーとして扱っていただき、一緒に開発し
の場を設けていただきました。特に「フリー
を発表しています。2015 年 2 月にはヘテロ
す。チームに 1 台程度、動作確認用のボード
ていこう、一緒に製品を立ち上げよう、と
スケールは自動車の制御系の半導体で実績
ジニアス SoC である SoloX を加え 6 種に広が
を用意する、といった具合です。
いう感じで、プロジェクトを進めることが
があり、車載インフォテインメントについ
りました。また、i.MX 6 シリーズはそれぞ
できました。
ても自信があります」ということをアピール
れの信頼性保証レベル(Qualification)に応
今後の製品開発の展開を教えてください。
しました。
じた、車載機器向け/産業用機器向け/コン
パイオニア蛭田:当社としては、「コネク
BSP のデバイス・ドライバはそのまま組み
込んだのですか?
るのでしょうか?
フリースケール大林:i.MX 6 シリーズは
海外メーカーのプロセッサを新規採用す
加藤 高宏 氏
シューマ機器向けの製品を展開しています。
テッド化の実現」を成長戦略の軸の一つとし
るにあたって、パイオニア社内では問題と
実際に品質上の問題は発生したのですか?
i.MX 6 シリーズの特徴は、豊富な周辺機能
ています。「車載機器」、
「情報サービス」、
「周
なりませんでしたか?
パイオニア西脇:デバイスのバグも含め
で す。 高 速 イ ン タ フ ェ ー ス と し て は、PCI
辺機器」の三つを組み合わせてクラウドにつ
パイオニア西脇:いろいろと議論になり
て、大小さまざまな問題がありました。中
Express や、Serial ATA が載っているライン
なぎ、コネクテッド・カー・ライフ市場を
うわけではありませんので、異なる部分は
ました。過去の経験やサポート実績から国
にはチップ内の設計に起因する問題も見つ
アップがあり、産業用機器に使われていま
展開していきます。今後も力を入れていく
では、適切な選択ができないと思いました。
デバイス・ドライバ等のカスタマイズが必
内メーカーのプロセッサを推す人もいます
かり、それをどういう形で収束させていく
す。豊富なマルチメディア機能は、タブレッ
のは、AV 機器とカー・ナビゲーション機器
国内外のさまざまな半導体メーカーと協議
要 で し た。 大 き な カ ス タ マ イ ズ 例 と し て
し、戦略面から i.MX 6 シリーズを推す人も
か、問題解決に向け根気よく付き合ってい
トやカー・ナビゲーションの用途で使われ
の融合です。また、Android などのオープン・
した結果、最終的に i.MX 6 シリーズを採用
は、画面出力の部分です。スマートフォン
いました。また、海外メーカーはビジネス・
ただき、一つ一つクリアして生産にこぎ着
ています。
プラットホームへ先行して対応していきま
することにしました。海外向けの機種とい
(Android)では、画面出力は 1 系統が標準で
モデルが明確なので、意見も真っ二つに割
けました。チップの設計情報を明らかにし
丸文加藤:フリースケールは 10 年、15 年
うこともあり、スケーラビリティを考えた
す。一方、当社が開発しようとしている車
れました。リファレンスの BSP は無償で提
なければ解決できない問題は、フリースケー
の長期供給保証を行っています。そこを評
とき、廉価な機種にも搭載できるプロセッ
載製品は、画面出力が 2 系統必要になりま
供されますが、動作保証はありません。世
ルの米国本社と協議することもありました。
価して製品を採用していただいているケー
サであることが条件となります。i.MX 6 シ
す。例えば、自動車の前席でカーナビの画
界中のユーザーからWeb 経由でノウハウを
ただ、最初からある程度覚悟して採用した
スも少なくありません。
リーズは車載向けに 4 コアの Quad、2 コア
面を、後席は AV エンターテインメントの画
入手するスタイルも国内メーカーと違う点
こともあって、「思ったよりはきちんと対応
フリースケール大林:日本ではスケーラ
することが要求されます。車載で言うと「e
の Dual と DualLite、1 コアの Solo の 4 種類※ 2
面を、というように異なる画面出力が要求
です。当初は戸惑いましたが、開発の立場
してくれたな。意外とやるな」という印象
ビリティ、コスト・パフォーマンスが評価
コックピット」がよい例です。現在、i.MX 6
が用意されていてスケーラビリティが高く、
されます。標準の BSP では未対応であった
では「すぐに動くものがある」というのは魅
です。初めての海外旅行じゃないですけど、
されて、産業機器や教育用タブレットなど
シリーズを採用していただいているお客様に
今回の企画意図に合っていました。
ため、フリースケールの助言をもらいなが
力的でした。当社も日本企業なので、トッ
多少トラブルのようなものがあるんじゃな
にも採用されています。今後は車載アプリ
後継の製品を提供することはもちろん、新し
ら当社でデバイス・ドライバのカスタマイ
プダウンでものごとが決まるわけではあり
いかな、と思いつつも、そこを乗り越えて
ケーションが一番増えてきます。
い製造プロセスと、Cortex-A50 シリーズなど
う視点で見たとき、スマートフォンやタブ
パイオニア西脇:使えるところはそのま
レットの世界をうまく取り込んでいかない
ま 使 い ま し た。 た だ し、 当 社 の 製 品 は フ
と製品開発が成立しません。従来のカーナ
リースケールの評価ボードと同じ構成とい
ビ用 LSI のメーカーに絞って検討していたの
ソフトウェア開発はどのように進めまし
ズを行いました。
パイオニア西脇:ソフトウェアの階層ご
i.MX シリーズの採用で社内は大論争
へ切り替えるにあたって、何か違いは感じ
確 認 し な が ら デ バ ッ グ し ま す。 当 社 で は
ましたか?
ARM 純 正 開 発 ツ ー ル で あ る DS-5™ を 使 い
パイオニア西脇:良くも悪くも国内メー
ました。いったん Android OS が動き始める
カーとは文化が違います。サポートは、国
と、Android SDK に 含 ま れ る ADB(Android
内販売代理店である丸文に間に入っていた
ARM PARTNERS SUCCESS
フリースケール大林:今後は複数の OS、
複数のアプリケーションを 1 つの SoC で対応
ションの開発に力を注げるように、ソフト
i.MX
6SoloLite
プロセッサを国産品から海外メーカー製
デバッガを使いプロセッサの動作状態を
Debug Bridge)が 使 え ま す の で、USB や
との連携も推進します。
ていきます。さらに、お客様がアプリケー
とに開発の方法が異なります。Android OS
の ポ ー テ ィ ン グ が 完 了 す る ま で は、JTAG
す。それから、スマートフォンやクラウド
の新しいコアを使って、新製品の開発も進め
たか?
6
丸文株式会社
デマンドクリエーション本部
DC 第 1 部 第1課
係長
LEADER'S VOICE
LEADER'S VOICE
用が必須だと考えていました。Android とい
行かないと私たちも先がない、という危機
ポートの違いはあると思います。そこは当
で は、 ス ケ ー ラ ビ リ テ ィ の あ る プ ラ ッ ト
フォームを実現するために Android OS の採
ません。このため、丸文には、我々の品質
ソフトウェア開発環境が構築されます。ラ
ラムを試作機に転送して動作を検証します。
パイオニア株式会社
カーエレクトロニクス事業統括部
カー技術部 プラットホーム開発部 開発 1 課
副参事
丸文加藤:国内メーカーと比べると、サ
だきました。
i.MX
6SLX
i.MX
6Solo
i.MX
6DualLite
i.MX
6Dual
i.MX
i.MX
i.MX
i.MX
i.MX
i.MX
6SoloLite
6SoloX
6Solo
6DualLite
6Dual
6Quad
ピン互換
ソフトウェア互換
図 2:i.MX 6DualLiteプロセッサ搭載モジュール。
このモジュールの変更でスケーラビリティを実現。
※ 2 企画当時は、車載向け製品は 4 種。2015 年 3 月現在は、SoloX が加わり 5 種。
i.MX
6Quad
図 3:i.MX 6 シリーズ ラインアップ。
ウェアのサポートにも力を入れていきます。
丸文加藤:販売代理店の立場で、2 ~ 3 年
後の製品開発を見据えて、お客様にフリー
スケールの情報と技術サポートを提供して
います。また、半導体メーカーだけでなく、
ソフトウェアを含めた技術力の優れたエコ
システムパートナーも紹介していきたいと
考えています。
ARM PARTNERS SUCCESS
7
テクニカル・ノート
フリースケール・セミコンダクタ・ジャパン株式会社
Technical NOTE
ユーザ・エクスペリエンスの制約を取り払うスケーラブルなマルチコア・ソリューション
i.MX 6 シリーズ・プロセッサ
スケーラブルなマルチコア・プラットフォーム
i.MX 6 シリーズ・プロセッサの特長
i.MX 6(アイドット・エムエックス 6)アプリケーション・プロセッ
i.MX 6 シリーズ・プロセッサの主な製品機能としては、3D クラス・
サは、ARM® Cortex®-A9 アーキテクチャをベースとするシングルコ
ビデオ・デコードに対応するデュアルストリーム 1080p H.264 映
アの i.MX 6Solo と i.MX 6SoloLite、デュアルコアの i.MX 6Dual と
像処理、200MT/s のコンソールスタイル 3D グラフィックス、比類
i.MX 6DualLite、クアッドコアの i.MX 6Quad、そして 2015 年 2
のないディスプレイ解像度を実現するフリースケール Triple Play グ
月に発表した Cortex-A9 コアを1つと Cortex-M4 コアを統合したヘ
ラフィックス・アーキテクチャ、UI アクセラレーションに対応する
テロジニアス SoC である i.MX 6SoloX の 6 種のデバイスで構成され
2D BLT エンジン、ベクタベース・グラフィックスに対応する 2D
ます。i.MX 6 シリーズは、シングルコア、デュアルコア、クアッドコ
OpenVG エンジンなどがあります。
アの間でソフトウェア互換性、電力機能互換性、ピン互換性を備えた
業界唯一の ARM ベースのアプリケーション・プロセッサです。高性
能のスケーラブルなマルチメディア処理、パワー ・マネジメント機能
■その他の主な特長
●
内蔵、ソフトウェア互換およびピン互換により、お客様は 1 つのハー
ドウェア・デザインを用意するだけであらゆる製品ポートフォリオを
最大 2 つ(デュアル QXGA、2048 × 1536)または 4 つ(デュ
アル WUXGA、1920 × 1200+ デュアル HD1080)の同時表
示に対応するディスプレイ・サポート
展開することができ、製品開発を容易にします。また、車載インフォ
●
LVDS や HDMI などのディスプレイ・インタフェース
テイメント・システムやディスプレイベース産業機器、医療機器、電
●
E Ink 低消費電力ディスプレイ技術のサポート
●
カメラ・インタフェース
子書籍端末、特定市場向けメディア・タブレットなど、さまざまな分
野の革新的な最先端製品に幅広く採用されています。
●
■長期製品供給プログラム
i.MX プロセッサ・シリーズが車載 / 産業機器市場においても幅広く支
●
持されている理由として、フリースケールの長期製品供給プログラム
があります。本プログラムでは、車載市場、通信市場、および医療市
●
場向け製品について、最低 15 年の供給体制を確保しています。他の
PCIe/SATA/Gigabit Ethernet、USB/SD/MIPI、CAN コ ン ト
ローラ /MLB150 バス
64 ビット・メモリ・バス、DDR3/DDR3L/LP-DDR2 をサポー
トするメモリ・インタフェース
最新 i.MX 6 シリーズ・プロセッサ
i.MX 6SoloX
プレゼント
応募の詳細は
裏表紙に!
Cortex-M4 プロセッサと Cortex-A クラス・システムを統合すること
製品開発における包括的なサポートとして、フリースケールでは
で、高度な OS を実行する処理能力とリアルタイム応答性を兼ね備え
開発ツール / ソフトウェア・サポート、SABRE(セイバー:Smart
る、費用対効果に優れたシングルチップ・ソリューションが実現しま
Application Blueprint for Rapid Engineering)開発システム、フ
す。この革新的なヘテロジニアス・アプリケーション・プロセッサ設
リースケール・コネクト・パートナー・プログラムを提供しています。
計は、スタンバイ時の消費電力を大幅に削減する低消費電力モードが
コネクト・パートナー・プログラムは、フリースケールのソリュー
追加され、より小型のフォーム・ファクタ設計を可能にし、システム
ションをベースとした組込み設計をする上で重要なソースです。本プ
入力に対する高速なリアルタイム応答性も実現します。
ログラムは独立したエンジニアリング企業のグローバル・ネットワー
クで構成され、設計作業の時間を短縮するのに不可欠なツール、ソフ
■ i.MX 6SoloX の主な特長
●
トウェア、テクノロジ、エンジニアリング・サービスおよびトレーニン
デュアルポート Gigabit Ethernet オーディオ・ビデオ・ブリッ
グを提供します。フリースケール・コネクトは、リファレンス・ボー
ジング(AVB)
:改良されたトラフィック・シェーピング機能、
ドからソフトウェアの最適化にいたるまで、お客様がよりスマート
パケット優先順位付け機能により、車載分野をはじめとするさま
で、よりつながる世界を創るための強力で包括的なエコシステムです。
ざまなアプリケーションの QoS(サービス品質)に貢献
WEB サイトより最適なパートナーを見つけることができます。
●
費用対効果に優れた 2D/3D グラフィックス・プロセッシング・
www.freescale.com/PARTNERS
●
クアッド SPI や Raw NAND をサポートするなどの柔軟なブート・
ユニット(GPU)
:高度化した HMI の開発を促進
お問い合わせ先
オプション、DDR3 と LPDDR2 の両方に接続可能なメモリ・コン
ハイ・アシュランス・ブート、暗号化エンジン、乱数発生器、改
ざん検知などのセキュリティ機能
トローラ
フリースケール・セミコンダクタ・ジャパン株式会社
標準的なシステム・インタフェースのスマートな統合:UI やワイ
市場向けのデバイスに関しては、最低 10 年の供給体制を確保してい
●
パワー・マネジメント機能内蔵
ます。該当する製品は WEB ページで公開されています。
●
0.8mm ピッチ BGA パッケージ
ヤレス接続向けのさまざまなインタフェース・オプションによる、
www.freescale.com/PRODUCTLONGEVITY
●
民生 / 産業 / 車載グレード製品
システム設計の柔軟性向上や全体的な部品コストの削減
●
Consumer
Industrial
Automotive
i.MX6SoloLite
• Single ARM Cortex -A9
up to 1.0 GHz
®
®
• 256 KB L2 cache, Neon,
VFPvd16
Trustzone
• 2D graphics
• 32-bit DDR3
and LPDDR2
at 400 MHz
• Integrated
EPD controller
• 10/100 Ethernet MAC
Secure JTAG
赤字は左側の製品との差分
i.MX6SoloX
• Single Cortex -A9
up to 1.0 GHz
®
i.MX6Solo
• Single Cortex®-A9
up to 1.0 GHz
• Single Cortex®-M4
up to 200 MHz
• 512 KB L2 cache, Neon,
VFPvd16
Trustzone
• 256 KB L2 cache, Neon, VFP,
Trustzone
• 3D graphics
with one shader
• 3D and 2D graphics
• 2D graphics
• 32-bit DDR3
and LPDDR2
at 400 MHz
• 32-bit DDR3
and LPDDR2
at 400 MHz
• Dual Gigabit Ethernet MAC
w/ hardware AVB support
• Integrated
EPD controller
• PCIe controller
plus PHY
• HDMIv1.4 controller plus
PHY
• LVDS controller plus PHY
• Gigabit Ethernet MAC
• MLB and FlexCAN
controllers
• PCIe controller plus PHY
• Analog camera interface
• 8-channel, 12-bit ADC
• LVDS controller plus PHY
• MLB and FlexCAN
controllers
i.MX6DualLite
• Dual Cortex®-A9
up to 1.0 GHz
• 512 KB L2 cache, Neon,
VFPvd16
Trustzone
• 3D graphics
with one shader
• 2D graphics
i.MX6Dual
• Dual Cortex®-A9
up to 1.2 GHz
• 1 MB L2 cache, Neon,
VFPvd16
Trustzone
• 3D graphics
with four shaders
• Two 2D graphics engines
• 64-bit DDR3
and 2-channel 32-bit
LPDDR2 at 400 MHz
• 64-bit DDR3
and 2-channel 32-bit
LPDDR2
at 533 MHz
• Integrated
EPD controller
• Integrated
SATA-II
• HDMIv1.4 controller plus
PHY
• HDMIv1.4 controller plus
PHY
• Gigabit Ethernet MAC
• Gigabit Ethernet MAC
• PCIe controller plus PHY
• PCIe controller plus PHY
• LVDS controller plus PHY
• MLB and FlexCAN
controllers
i.MX6Quad
• Quad Cortex -A9
up to 1.2 GHz
®
• 1 MB L2 cache, Neon,
VFPvd16
Trustzone
• 3D graphics
with four shaders
• Two 2D graphics engines
• 64-bit DDR3
and 2-channel 32-bit
LPDDR2
at 533 MHz
• Integrated SATA-II
• HDMIv1.4 controller
plus PHY
• Gigabit Ethernet MAC
PLL, Osc
Clock & Reset
Smart DMA
Temp Monitor
ADC
ROM
ARM PARTNERS SUCCESS
PTM
256KB L2-cache
CPU2 Platform
16KB I-cache
• PCIe controller
plus PHY
Security
• LVDS controller plus PHY
• LVDS controller
plus PHY
TrustZone
• MLB and FlexCAN
controllers
• MLB and FlexCAN
controllers
RNG
16KB D-cache
64KB TCM
MMC 4.4 / SD 3.0 x1
UART x6
USB2 OTG & PHY
USB2 Host & PHY
USB2 HSIC Host
2x 1Gb Ethernet
+ IEEE1588 +AVB
Multimedia
Hardware Graphics Accelerators
3D
MMC 4.4 / SD 3.0 x3
I2C x4, SPI x5
Cortex-M4, MPU, FPU
2D
PXP
CSC
Rotate
Combine
Gamma Mapping
Audio
RAM
ASRC
ESAI, I2S/SSI x5
S/PDIF Tx/Rx
2 x FlexCAN
GPIO, Keypad
MLB25/50
1x PCIe 2.0 (x1 lane)
External Memory
Display and Camera Interface
NAND (BCH62)
24-bit RGB
16-bit NOR
1ch LVDS
2x DDR Quad SPI
2x 20-bit CSI
LP-DDR2 / DDR3 / DDR3L x32,
400 MHz
Ciphers
Security Ctrl
Secure RTC
Analog NTSC
eFuses
Standard Feature
図 1:i.MX 6 シリーズの製品ラインアップ
32KB D-cache
8ch 12-bit ADC
Internal Memory
Connectivity
NEON
Power Mgmt
LDO
URL:www.freescale.com/ja/
32KB I-cache
PWM x8
RDC
TEL :0120-993-082
Cortex-A9
IOMUX
Timer x3
Watch Dog x3
〒153-0064 東京都目黒区下目黒 1-8-1 アルコタワー 15F
CPU1 Platform
System Control
8
フリースケール・コネクト・パートナー・
プログラム
Optional Feature
図 2:i.MX 6SoloX のブロック図
ARM PARTNERS SUCCESS
9
Success STORIES
Success STORIES
ザイリンクス株式会社
ザイリンクス株式会社
新たな可能性と価値を手に入れよう!
SWエンジニアのための SDSoC 開発環境。
Zynq-7000 SoCとUltraScale+ MPSoCプラットフォーム。
FPGA ベンダーとして知られるザイリンクスが量産中の「Zynq®-7000 All Programmable SoC」が絶好調だ。デュアルコアの ARM®
Cortex®-A9プロセッサに FPGA ファブリックを組み合わせた SoC で、画像処理用途を中心に採用が広がっている。さらに同社では、
最先端の16nmプロセスを使ったクワッドコアのARM Cortex-A53プロセッサなどを搭載した
「Zynq Ultrascale+™ MPSoC」
も発表した。
開発ツールの状況を含めて、SoC への取り組みを訊いた。
ザイリンクス株式会社
マーケティング部
プロダクト マーケティング スペシャリスト
さ
しん
査 錚氏
すね。たとえば ADAS を例に挙げると、「Zynq-
とつは「Zynq-7000」の正式名称にもあるよう
7000」であれば要求仕様や処理アルゴリズムの
に「All Programmable」という点が挙げられる
変化を吸収して速やかに対応できるところがメ
と思います。ARM 側も FPGA 側もいずれもプロ
リットとして受け入れられたと考えています。
グラマブルですし、それぞれの機能の切り分け
性能が必要になれば ARM Cortex-A9 プロセッサ
もお客様が自由に設定できます。また、動作中
で処理している機能を FPGA に落としてハード
に FPGA ロジックの一部を書き換えるパーシャ
的に処理させることも可能ですから、とてもフ
ル・リコンフィギュレーション(部分的再構成)
レキシブルにアーキテクチャを構成できます。
という機能を活用して、処理アルゴリズムを動
査:具体的な数字は申し上げられないので
的に切り替える使い方を試みている先進的なお
すが、採用に至った案件数や今後見込まれる
客様もいらっしゃいます。このほか、システム
採用機会などは、当初の予想を上回る勢いで
性能の大幅な向上の実現、部品コストの削減、
伸びており、社内では「ザイリンクスの歴史
消費電力の抑制、設計生産性の向上といったメ
のなかで最も立ち上がりの早い製品」と言わ
リットをご評価いただいていますし、その結果
れています。また、エコシステムは 200 社以
として、スマートな機器やシステムを実現でき
上がパートナーとして、ツールなどの関連ソ
るところが最大の特長になります。
した傾向が顕著ですが、ASIC では膨大な開発費
リューションを提供してくれています。そう
丸山:産業機器のお客様からはプラットフォー
や開発期間が必要になります。一方、市販の
した意味でも自信をもってお客様にお勧めで
ム展開がしやすいという声を聞きます。産業機
ASSP では差別化が難しいといった課題があり
きるソリューションです。
器は、機能は同じでも出荷先の仕様に応じてイン
ます。そこで、ソフトウェアで機能をプログラ
タフェースを一品一葉的に設計しなければなら
ムできるプロセッサと、ハードウェアで機能を
採用案件が順調に増えているというお話です
ない場合が多く、
「All Programmable」な「Zynq-
プログラムできる FPGA をひとつにまとめてし
が、「Zynq-7000」のどういったところがメリッ
7000」を使えば FPGA 部分でそういった差異を簡
まおうということで、「Zynq-7000」を開発し製
トとして捉えられているとお考えでしょう。
単に吸収できます。画像処理においても、画像
品化しました。半導体プロセスについては、当
査:いくつもの理由があると思いますが、ひ
の規格が変わったときにも柔軟に対応できます。
社はファブレスなので、台湾の TSMC 社とパー
トナーシップを組み、性能と消費電力をきわめ
て高いレベルでバランスさせた 28nm の「HPL
Quad-CoreARM® Cortex® -A53
(High-Performance, Low-power)」プロセスを
画像処理を中心に
さて、ザイリンクスといえば FPGA(フィール
ク 7000)としてお話しますが、デュアルコアの
ドプラグラマブルゲートアレイ)を 1985 年に世
ARM Cortex-A9 プロセッサと FPGA ファブリッ
界で初めて実用化した半導体ベンダーとして知
クをひとつのデバイスに統合した製品で、当
「Zynq-7000」の発売からおよそ 3 年が経過し
今日は大崎にあるザイリンクス本社にお邪
られていますが、最近では、ARM プロセッサコ
社の SoC の第一世代にあたります。まず、な
ましたが、ユーザーの反応や採用状況はいかが
魔しています。本誌に登場されるのは、単独
アと FPGA を統合した「Zynq-7000」も手がけ
ぜこういった SoC を開発したかという理由です
ですか?
では今回が初めてということで、お話を伺え
ています。まずは「Zynq-7000」についてあら
が、さまざまな製品やシステムの機能が高度化
丸山:発売以来、お客様からはとても高い評
ることを楽しみにしてきました。よろしくお
ためて紹介してください。
するにつれ、メーカーの開発現場では、より効
価をいただいています。採用事例として多いの
査:2010 年 春 に 発 表 し、2012 年 か ら 出 荷 を
率的な実現手段が求められるようになってきた
は、RRH(リモートラジオヘッド)のような通信
開始した「Zynq-7000 All Programmable SoC」
背景が挙げられます。特に競争が激しく差別化
系のほか、ADAS(先進運転支援システム)やマ
は、正式名称だと長いので「Zynq-7000」
(ジン
が求められる分野や、成長が著しい分野でそう
シンビジョンやプリンタのような画像処理系で
「Zynq-7000」の採用が増加
ザイリンクス全員:こちらこそよろしくお願
いします。
10
ARM PARTNERS SUCCESS
共同で開発しています。
ARM® Mali- 400MP
H.265 Video Codec Unit
Smarter Network
・帯域最適化
・高性能処理で負荷分散
機能
願いします。
Dual-CoreCortex-R5
Zynq UltraScale+™
MPSoC
Zynq-7000
All Programmable SoC
Dual-CoreCortex-A9
Smarter Vision
・H.265ビデオコーデック
・2D/3D グラフィック
Smarter Vision & Network
・Kintexベースのファブリック
・帯域最適化
Smarter Control
・省電力、
ローコスト
・省スペース
Smarter Control & Vision
・Artixベースのファブリック
・帯域最適化
性能
図 1:All Programmable SoC ポートフォリオを拡大。
ARM PARTNERS SUCCESS
11
Success STORIES
Success STORIES
ザイリンクス株式会社
ザイリンクス株式会社
る新しい開発ツールです。従来の「ISE」を改良
る A/D コンバータなども搭載されます。
・ エ ン ジ ニ ア が「Vivado」を、 ソ フ ト ウ ェ ア ・
すね。どういった用途を想定しているのでしょ
エンジニアが「SDK」を用いて、それぞれ別チー
うか?
ムで設計を行っていました。弊社には「Vivado
黒田:EDA ベンダーも高位合成に取り組んで
HLS」という C/C++ で記述された関数をハード
いますが、「SDSoC」はデバイス ・ ベンダーが開
ウェア IP 化できる高位合成ツールがありますが、
発するツールであり、自社のデバイスおよび組
Advanced のさらに次の規格となる 5G の基盤や、
HLS を使って作成した IP をシステムに組み込む
込みのプラットフォームをターゲットにして、
このうち「Vivado HLS」は 2011 年に当社が買収
ADAS であれば複数のセンサーからの情報をよ
ためには、設計チームをまたぐ多くの手作業と
品質のすり合わせも含めた一気通貫の垂直統合
した AutoESL 社の技術をベースにしたツールで、
り高速に処理し、精度の高い認識が可能になり
ハードウェアの知識や経験が必要でした。たと
フローを実現できる状況にあると言えますので、
C/C++/System C を使ってコーディングした機
ます。また、医療機器の画像処理やビッグデー
えば、IP をどのような方法でプロセッサと接続
そもそもの立ち位置が違います。その意味でも
能を、人手で書いた RTL と遜色のない RTL に落
タ解析のアクセラレータなどにも応用できると
すればパフォーマンスを最適化できるのかとい
このようなツールは、ほかでは実現が難しいの
とし込むことが出来ます。
考えています。
う検討や、プロセッサからこの IP を呼び出す為
だろうと考えます。
黒田:「Vivado」には、論理合成や配置配線
だけでなく、高位合成ツールの「Vivado HLS」
や、IP 資産を IP-XACT 準拠のリポジトリとして
査: 基 本 的 な ア プ リ ケ ー シ ョ ン は 現 行 の
管理してデザイン全体の結線作業を自動化する
「Zynq-7000」の延長にあると思っています。LTE
「Vivado IP Integrator」なども含まれています。
丸山 利広 氏
開発ツールの整備に
積極的に投資
「Zynq-7000」の開発環境はどのようなツール
が用意されているのですか?
黒田:ARM Cortex-A9 プロセッサ用ソフト
ウェアの開発環境として、ザイリンクスではソ
フトウェア開発キット「SDK」を提供しています。
12
ザイリンクス株式会社
グローバルセールス アンド マーケット
ツール メソドロジー アプリケーション部
シニア エンジニア
黒田 成一 氏
の API をどうするのか、といった作業です。こ
しゃるように多くのブロックを統合しますので、
れらのシステム統合のための作業には多くの設
そんなに入れて何に使うの?という疑問は当然
計リソースと時間が必要でした。「SDSoC」は、
あると思うのですが、産業系のお客様にご紹介
その問題を解決する為に、C/C++ のコードから
さて、ザイリンクスは米国時間の 2015 年 2 月
すると「これこそが欲しかったデバイスなんだ
ハード化した IP を生成できるだけでなく、その
今日は、現行の「Zynq-7000」
、16nm で作ら
23 日 に、16nm の「Zynq UltraScale+ MPSoC」
よね」という反応をいただくこともあって、よ
IP をシステムに組み込むために必要な作業の効
れる「全部入り」ともいえる「Zynq UltraScale+
査:Cortex-A53 と Cortex-R5 のヘテロジニア
を発表しました。ついにこの世界も 20nm を切
り高速に、より小型に、という飽くなきニーズ
率化が可能になります。しかも、ハードウェア
MPSoC」
、そして高位合成を支援する「SDSoC」
ス・ ア ー キ テ ク チ ャ に よ っ て「Zynq-7000」
るプロセスノードに突入するのかと驚いてしま
にお応えできるソリューションではないかと考
の知識は必要ないので、ソフトウェアエンジニ
のお話をそれぞれ伺って、SoC に対するザイリン
の 5 倍以上の価値を目指して開発を進めてい
うのですが、概要を紹介してください。
えています。
アが自分一人だけで HW/SW システムを実装で
クスの「本気度」を感じました。
る「Zynq UltraScale+ MPSoC」は、社内の私た
全部入りの
「Zynq UltraScale+ MPSoC」を発表
査:「Zynq UltraScale+ MPSoC」はヘテロジ
きるようになります。
ソフトウェアエンジニアが自分で
ニアス・アーキテクチャによって現行の「Zynq-
ている Eclipse 上で動作するツールで、「Zynq-
7000」の 5 倍以上の価値を提供することを目的
7000」に内蔵される ARM Cortex-A9 プロセッサ
に開発を進めている SoC で、サンプル出荷は
のほか、当社がソフトウェア IP として提供して
2015 年第 4 四半期を見込んでいます。目的に応
果たしてどのぐらいの処理性能が実現される
いる独自の「MicroBlaze™(マイクロブレイズ)」
じたコアそれぞれに得意な仕事を割り振って全
のか、実チップの登場が楽しみですが、一方で、
プロセッサにも対応しており、ヘテロジニアス
体最適化を図ろうとの考えのもと、メインとな
ここまで規模が大きくなると開発が相当難しく
System Edition」のツール群を統括的に連携さ
なマルチプロセッサ設計が可能です。FPGA 部
るクワッドコアの ARM Cortex-A53 プロセッ
なることが予想されます。先ほど開発環境につ
せるという関係です。C/C++ ソースコードの中
分 の 開 発 ツ ー ル が「Vivado® Design Suite( ビ
サをはじめ、リアルタイム処理用のデュアルコ
いて伺いましたが、「Zynq UltraScale+ MPSoC」
からハードウェアでアクセラレートしたい関
バド)」です。これまでザイリンクスでは「ISE
ア ARM Cortex-R5 プロセッサ、2D および 3D
に向けて新たなツールの予定はありますか?
数を「SDSoC」の GUI 上で指定すると、HW/SW
Design Suite」という開発環境を提供してきま
のグラフィクス処理用の ARM Mali™-400MP、
黒田:「SDSoC」というツールを米国時間の
コンパイラがソースコードを解析し、「Vivado
したが、今後のさらなる大規模化にも対応でき
パワーマネージメントプロセッサ、セキュリ
2015 年 3 月 9 日に発表しました。「SDSoC」は、
HLS」が必要なアクセラレータを生成します。
るツールが必要と考え、「ISE」とは別に新規に
ティエンジンなどを搭載しています。また、品
フルシステム(HWと SW)
の最適化をソフトウェ
そして、「SDSoC」が生成されたアクセラレー
開発されたものです。これによりタイミングの
種展開では、H.265 対応のハードウェア CODEC
アエンジニアが C/C++ のみで実現できるコンパ
タのインタフェースとコネクティビティを最適
制約だけではなく配線混雑や配線長をも考慮し
も搭載されます。そのほか、DDR4 コントローラ、
イラを備えた、非常にシンプルな ASSP と同様
な構成にし、「Vivado IP Integrator」がプラット
た三次元解析によって配置配線を行なえるよう
288Kbit の「UltraRAM」メモリブロック、ARM
の C/C++ プログラミング環境のような画期的
フォームとアクセラレータを統合します。さら
になり、配線チャネルや使用ゲートが集中する
Cortex-A53 プロセッサ用の L1 キャッシュと L2
なツールです。このツールは、FPGA の設計経
に、アクセラレータとコネクティビティを制御
キ ャ ッ シ ュ、DisplayPort、PCIe Gen2、USB3.0、
験のないソフトウェア ・ エンジニアが、「Zynq-
するドライバー ・ コードが生成され、アクセラ
査:「Vivado」は、ザイリンクスの経営陣が今
SATA3、IEEE 1588、6Gbps SerDes な ど の 高 速
7000」や「Zynq UltraScale+ MPSoC」をターゲッ
レーションの対象としていた関数(API)のラン
の体制になってから、積極的に投資を行ってい
インタフェース、ミックスドシグナルを実現す
トにしたアプリケーションを一人で設計するこ
タイムをハードウェア ・ ベースの内容と差替え
ARM PARTNERS SUCCESS
いのでしょうか?
丸山:「Zynq UltraScale+ MPSoC」はおっ
ソフトウェアエンジニアの皆さんが使い慣れ
「ホットスポット」問題を解消しています。
そうした機能は、他ではまだ実現されていな
これでもか、というぐらいの「全部入り」で
確保が難しいと考えました。
グローバルセールス アンド マーケット
エンジニアリング本部
シニア エンベデッド スペシャリスト
るまでの作業が自動で行われます。
したシステムの開発のためには、ハードウェア
していくだけでは将来的なスケーラビリティの
ザイリンクス株式会社
とを可能にします。従来「Zynq-7000」を使用
HW/SWシステムを実装できる世界へ
先ほど説明のあった「SDK」や「Vivado」と
の関係はどうなるのでしょう?
黒田:「SDSoC」は、「SDK」や「Vivado HLS」、
「Vivado IP Integrator」などを含む「Vivado
ARM コア+ FPGA から
生まれる新たな可能性を追求
7000」ユーザーにとどまらず、「Zynq-7000」で
は物足りないとお考えの設計者の皆様のご期待
丸山:ありがとうございます。なかでも Mali-
に応えられるものと確信しています。
ちも完成を心待ちにしているほどで、さらに新
400 GPU や H.265 コーデックを内蔵した「Zynq
しい可能性をもたらしてくれると考えています。
UltraScale+ MPSoC」は、
「Zynq-7000」を超える
ザイリンクスの今後の取り組みに期待してくだ
領域を目指したきわめてエキサイティングなデ
さい。
バイスです。既存の開発環境に加え、新たに
「SDSoC」もリリースされます。現在の「Zynq-
アプリケーションをアクセラレートする
HW/SWシステムをC/C++から素早く構成
C/C++ アプリ開発
システムレベル
パフォーマンスを
短時間で推定
本日はありがとうございました。
システムレベル
プロファイリング
・FPGAを利用したアクセラレーションに関わる
従来の手設計作業を全て自動化
アクセラレートしたい
C/C++ 関数を指定
・ソフトウェアに比べ最大100倍の性能UP
・レイテンシ、バンド幅、デバイス使用率の最適化
HW/SWシステム最適化コンパイラ
ARM コード
Main( )
コネクティビティ
GCC
アクセラレータ
Func( )
Vivado
図 2:ソースコードで指定した関数をハードウェアアクセラレータとして論理合成するとともに
インターコネクトやデバイスドライバなどの自動生成を行う「SDSoC」。
ARM PARTNERS SUCCESS
13
テクニカル・ノート
ザイリンクス株式会社
Technical NOTE
組込みソフト技術者も簡単にハードウェアのパフォーマンスを活用
All Programmable SoCポートフォリオ
ARM® コアと FPGA を 1 チップに統合した
Zynq®-7000 AP SoC
タスク毎の最適なエンジンを提供する
Zynq MPSoC
Zynq AP SoC / MPSoC 向け開発環境、
SDSoC
クリックひとつで
ハードウェア化を実現
ザ イ リ ン ク ス の Zynq-7000 All Programmable SoC は、 ハ ー ド
Zynq UltraScale+ MPSoC は、業界初 All Programmable SoC を
SDSoC 開発環境は Zynq All Progammable SoC / MPSoC 向けの
SDSoC 開発環境を使ったハードウェア化の手順はとてもシンプルで、
ウェア、ソフトウェア、および I/O をプログラムできるため、システ
ベースに構築された新しいプラットフォームで、次世代レベルのシス
革新的なコンパイラです。SDSoC を使用することでソフトウェア開
ユーザはハードウェア化したいソフトウェア記述された関数を指定し
ム レベルの差別化や高い統合性を可能にし、優れた柔軟性をもたらし
テム統合とインテリジェンスを可能にし、Zynq-7000 に比べて、1
発者は簡単にシステムの性能や効率の向上が可能になり、さらに製品
て、右クリックから「ハードウェア化」を選択するだけです。
ます。
ワット当たりのパフォーマンスを最大 5 倍以上にするヘテロジニアス
化のスピードを加速して競合より一歩リードした製品開発を実現でき
マルチプロセッシングを実現します。
ます。
SDSoC 開発環境を使用して、ソフトウェアだけで開発された映像の
Zynq-7000 プラットフォームを使用すると、リアルタイムのハード
動き検出処理の機能を、ハードウェアでアクセラレーションする手順
ウェア ベース プロセッシングと最適化されたシステムインターフェ
タスクごとの適切なエンジンを統合した最高レベルのプロセッシン
SDSoC 開発環境は使いやすい Eclipse 統合設計環境で、ヘテロジニ
イスを使用しソフトウェアベースの制御と解析を連動させ、よりス
グ プラットフォームで、プロセッシングシステムには ARM 社製の
アスな Zynq プラットフォーム開発向けに、下の図にある 4 つの大き
マートなシステムを設計できます。そのため、BOM コスト、NRE コス
クワッドコア Cortex-A53 APU、デュアルコア Cortex-R5 RPU、
な機能を提供します。
ト、設計リスクを抑え、市場への参入を加速できます。
Mali™-400MP2 GPU を提供します。加えて、消費電力・セキュ
全ての組込みシステム開発にかかわる方が簡単にハードウェア化によ
るシステムパフォーマンス向上を得られる SDSoC 開発環境を使って、
リティ・セーフティの専用プロセッサを搭載し、業界最高レベルの
ユーザは C/C++ で記述されたアプリケーションコードをもとに、C
Zynq All Programmable SoC / MPSoC の機能を最大限に活用し
主な採用済みアプリケーションは、高度なドライバーアシスタンスシ
低消費電力と堅牢性を提供します。さらに DisplayPort や USB3.0、
ソース上で関数のプロファイリングをすることで、どの関数でどのく
ていただけます。
ステム、医療機器の高解像度イメージ処理や産業用コントローラ、マ
SATA3、PCIe Gen2 などの高速トランシーバ付きペリフェラルも
らい実行時間がかかり、ハードウェアでアクセラレーションを行った
シンビジョン、LTE の無線基地局などの処理速度や認識精度の市場要
完備します。プログラマブルロジック部は約100 万 LC までのスケー
場合にどれくらいの実行時間になるのか分析します。
求が極めて高く、差別化が不可避なセグメントに集中しています。ま
ラビリティを持ち、一部のデバイスには H.265 ビデオ CODEC、高
た、機能安全・ソフトエラー検出と修正・セキュリティと信頼性とい
速トランシーバー付きの 100G EMAC、150G Interlaken、PCIe
ハードウェア化したい関数が決まれば、SDSoC のコンパイラを使い
う、IoT を実現する上で必要になる要件を全て満たすことができること
Gen4 を持ちます。
対象の関数のハードウェア化を行います。SDSoC は、関数のハード
も、多くの顧客に採用されている要因のひとつです。
Zynq MPSoC は TSMC 社の 16nm FinFET+ プロセステクノロジー
のコネクティビティの最適な選択を自動で行い、さらにハードウェア
低消費電力で高性能なデバイスを実現するために TSMC 社と共同で
上に、20nm 世代から採用した業界初の ASIC クラス UltraScale アー
化された回路に対する API も自動生成します。
開発した FPGA に最適な HPL プロセスを使用しており、既に量産出
キテクチャを採用しています。
頼性を要求する品種や、さらに最高 40% の低消費電力化を提供する
-1LI/-2LI 製品も量産出荷を開始しました。
従来であればハードウェア知識のある開発者が手動で行っていたこれ
Zynq UltraScale+ MPSoC は、数年後に市場が必要とする機能を
「全部入り」で提供する次世代 SoC です。
らの作業を、SDSoC が自動で行ってくれるので、ユーザは FPGA に
関する知識がなくても簡単にパフォーマンスの向上を実現できるよう
になります。
Zynq-7000 AP SoC
Devices
Z-7010
Z-7015
Z-7020
プロセッシング・システム
プロセッサコア
866 MHz
~1.3M
(85k LC)
~1.9M
(125k LC)
~1.9M
(275k LC)
~5.2M
(350k LC)
~6.6M
(444kLC)
240KB
380KB
560KB
1,060KB
2,000KB
2,180KB
3,020KB
200GMACS
276 GMACS
593 GMACS
1334 GMACS
1334 GMACS
2662 GMACS
-
Gen2 x4
-
アジャイルミックスドシグナル(XADC)
マルチ・スタンダード 3.3V I/O
C/C++ アプリ開発
100 GMACS
Gen2 x4
ザイリンクス株式会社
〒141-0032 東京都品川区大崎 1-2-2 アートヴィレッジ大崎セントラルタワー 4 階
URL:http://japan.xilinx.com/
システムレベル
プロファイリング
プラットフォーム開発者および
システムアーキテクト向けの
エキスパートユーズモデル
アクセラレートしたい
C/C++ 関数を指定
SDSoC の「ソフトウェア定義」がもたらす可能性
ASSPと同様のC/C++プログラミング環境を提供
容易
CPU
SW で
プログラムする
従来のSoC※ 100
150
200
100
212
212
250
-
-
-
150
150
150
150
マルチ・ギガビット・トランシーバ
-
4
-
4
16
16
16
ソフトウェア定義での
All Programmable
SoC/MPSoC
RTLフローによる
Zynq SoC/MPSoC
130
図 1:Zynq-7000 All Programmable SoC ポートフォリオ スケーラブルなラインアップでデバイス間の移行も簡単
QR コードアプリで読み取ると
動画が再生できます。
お問い合わせ先
HW/SWシステム
最適化コンパイラ
高性能マルチ・スタンダード 1.8V IO
ARM PARTNERS SUCCESS
システムレベル
パフォーマンスを
短時間で推定
HW/SWシステム最適化コンパイラ
Gen2 x8
2x 12bit 1Msps A/D コンバータ
プロセッサ・システム I/O
I/O
システムレベルのプロファイリング
2x USB 2.0 (OTG), 2x Tri-mode Gigabit Ethernet,
2x SD/SDIO, 2x UART, 2x CAN 2.0B, 2x I2C, 2x SPI, 4x 32b GPIO
~1.1M
(74k LC)
http://bit.ly/1ETXwbi
開発の容易さ
プログラマブル・ロジック
PCI Express®
(ルート・コンプレックスまたはエンドポイント)
ASSPと同様のプログラミング環境
DDR3, DDR3L, DDR2, LPDDR2,2x QSPI, NAND, NOR
~430K
(28k LC)
「SDSoC 開発環境のデモ」
(時間 : 約 7 分、日本語字幕付)
Z-7100
L1 Cache 32KB I / D, L2 Cache 512KB, on-chip Memory 256KB
周辺インタフェース
ブロックRAM
Z-7045
Up to 1 GHz
外部メモリ
Peak DSP Performance
(Symmetric FIR)
Z-7035
NEON™ & Single / Double Precision Floating Point
メモリ
ASICゲート換算
Z-7030
Dual ARM® Cortex™-A9 MPCore™
プロセッサ拡張機能
最大周波数
スマホで動画
ウェア化を自動的に行うと同時に、プロセッサとハード化された回路
荷しています。オートモーティブグレードや防衛グレード向けの高信
14
を ビデオでご覧いただけます。
パフォーマンス / ワット比、
「Any to Any」
(任意のデバイス間)
コネクティビティ
※ 特定分野向け(イメージ/ビデオ、SDR など)
図 2:SDSoC 開発環境
高性能
図 3:SDSoC の「ソフトウェア定義」がもたらす可能性
ARM PARTNERS SUCCESS
15
Success STORIES
Success STORIES
STマイクロエレクトロニクス株式会社
STマイクロエレクトロニクス株式会社
業界の常識を打ち破る顔認証テクノロジー
STM32F429で
認証時間 0.3 秒を実現。
た小型の基板をターンキーソリューションとし
の辞書から検索して結果を出すまでが約 0.3 秒で
て提供します。もうひとつが ARM ベースのマイ
す。対応できる人数はフラッシュメモリの容量
コンに対応したIPソフトウェアとしての提供です。
次第ですが、1MB の内蔵フラッシュの場合では、
およそ 200 人分の顔データを格納できます(図 2)
。
たとえ瓜二つの双子であっても高速かつ誤りなく見分ける最先端の顔認証テクノロジー「TeraFaces™」が登場した。高性能プロセッサ
わずか 3cm 角基板に
や大容量メモリを必要としていたこれまでの顔認証の常識を打ち破り、Cortex®-M4ベースのマイコン(ST 製 STM32F429)
で実現した
テラプローブ古京:顔認証技術は登録人数に
顔認証機能を搭載
のが特徴だ。わずか 3cm角の小型基板ながら認証時間0.3 秒を達成。パーソナルロボットやおもちゃへの搭載のほか、
来店客ごとのサー
応じて認証に要する時間が長くなっていきます
が、当社の「TeraFaces」は 1 人だろうが 200 人
ビス提供など新たな応用が見込まれており、業界の注目度も高い。
「TeraFaces」を開発したテラプローブの皆さんにお話を伺った。
さっそくですが、
「TeraFaces」テクノロジー
を組み込んだ顔認証モジュールを紹介してくだ
人間から見てそっくりな双子でも正確に識別し
さい。
ます。
テラプローブ深澤:これがそのモジュール基
ST 菅 井:STM32F4 シ リ ー ズ は、 内 蔵 フ ラ ッ
板です(図 1)。大きさはおよそ 3cm 角で、当
シュメモリをゼロウェイト相当で読み出す
社調べですが、顔認証モジュールとしては世界
「ART Accelerator™」や マ ル チ AHB バ ス マ ト
最小と考えています。基板には「TeraFaces」の
リックスなどの独自アーキテクチャを採用して
ソフトウェア IP を動作させるための Cortex-M4
おり、180MHz 動作時に 608 CoreMark という
し、技術提供交渉を粘り強く行った結果、NEC
ベースの ST 製マイコン「STM32F429」のほか、
Cortex-M4 ベースのマイコンとしては業界最高
さんから NeoFace の技術を提供していただき、
画像を扱うために外付けの RAM チップを載せて
性能を達成しています。もともと性能の高いハ
「TeraFaces」を開発しました。「TeraFaces」のア
います。上側から出ているフレキシブルケーブ
イエンド品なのですが、深澤さんたちは効果的
ルゴリズムは「NeoFace」のものをそのまま使っ
ルはカメラの接続用です。また、TFT LCD パネ
なチューニングを行うことで、うまく使いこな
ていますが、組込みで動かすための仕組みはす
ルをオプションとして接続することもできます。
していらっしゃる印象ですね。
株式会社テラプローブ
先行技術開発室
室長
ふるきょう
古京 直也 氏
べてテラプローブが独自に開発しています。
ST 石川:先日、白垣さんからモジュールを見
せていただいたんですが、とても小さいことに
どういったソリューションを展開する予定で
すか?
テラプローブ古京:顔認証技術「TeraFaces」
業界の常識を打ち破る開発に挑む
まずはじめにテラプローブの概要を簡単にお
願いします。
テラプローブ古京:テラプローブは 2005 年
組織で、今回ご紹介する顔認証技術や生体信号
た。その中で顔認証技術は、おもちゃやコミュ
の取得技術などに取り組んでいます。なお、今
ニケーション・ロボットなどのニーズはあるは
日参加している深澤は顔認証製品の技術開発
ずなのに、高性能なパソコンが必須で業務用途
リーダーを担当し、白垣はテクニカルセールス
でしか使えないというのが実情でした。それで
や新製品の企画を担当しています。
あれば業界の定説を覆して組込みレベルでの実
の設立で、半導体ウェハのテストや半導体デバ
16
加えて、顔認証のスピードの速さにびっくりし
ました。
「TeraFaces」のように画像処理に STM32F4 マ
イコンを応用した事例はほかにもありますか?
ST 菅井:もちろんあります。とくに今回採
テラプローブ深澤:高速性能は「TeraFaces」
用 し て い た だ い た「STM32F429」と い う 製 品
は 2 種類のソリューション展開を考えています。
の 特 徴 の ひ と つ で、STM32F429 マ イ コ ン の フ
は、TFT LCD コントローラやカメラインタフェー
ひとつがモジュールで、
「TeraFaces」を実装し
ラッシュメモリにあらかじめ登録しておいた顔
ス、外付けメモリ用インタフェースを搭載して
現にチャレンジしてみようじゃないか、という
イスのパッケージングなど、いわゆる最終工程
なぜ顔認証技術の開発を始めたのですか?
のが始まりですね。そこで、世界中にある顔認
を主な事業としています。その中で私どもが所
テラプローブ古京:組込み事業を新たに手が
証技術を徹底的にベンチマークしました。顔認
属する先行技術開発室は、従来とは異なる事業
けるにあたって画像処理の応用で何かできない
証技術の中では、認証率、認証時間を含めて
分野を開拓しようと 2014 年 2 月に立ち上がった
だろうか、という考えは以前から持っていまし
もっとも優れている NEC の「NeoFace®」に着目
ARM PARTNERS SUCCESS
だろうが 0.3 秒という時間はほぼ変わりません。
図 1:「TeraFaces」テクノロジー搭載 顔認証モジュール。
図 2:「TeraFaces」のシステム構成
ARM PARTNERS SUCCESS
17
Success STORIES
Success STORIES
STマイクロエレクトロニクス株式会社
STマイクロエレクトロニクス株式会社
や性能や消費電力などがわれわれのニーズに
この点もテラプローブ様の製品の方向性に沿っ
フィットするのは ST の STM32F4 シリーズ以外
ているものと考えます。
にないと判断しました。
そうすると 2015 年中には「TeraFaces」を組
テラプローブ古京:お客様があらかじめ決
込んだ最終製品やサービスが市場に登場する可
まっている半導体の最終工程事業とは異なり、
能性もあるわけですね。ところで、ST に対する
「TeraFaces」はより多くのお客様を対象に展開
要望や期待などはありますか。
していく製品ですから、ビジネスの足かせを作
ST マイクロエレクトロニクス株式会社
マイクロコントローラ・メモリ・セキュア MCU 製品グループ
マイクロコントローラ製品部
石川 義章 氏
らないよう、採用するマイコンアーキテクチャ
テラプローブ深澤:要望としては内蔵 RAM 容
とマイコンベンダーは時間をかけて精査しまし
量の拡大ですね。今の品種は最大が 256KB です
た。深澤には開発環境や入手性や汎用性を含め
が、384KB から 512KB ぐらいあれば外付け RAM
株式会社テラプローブ
てワールドワイドの視点でベンダーのベンチ
先行技術開発室
製品開発グループ
グループリーダー
マークをしてもらいましたが、その中で ST の評
価がものすごく高かったんですよ。また、実際
深澤 宏 氏
にお会いしたあとの対応もすごく良くて。
ST マイクロエレクトロニクス株式会社
マイクロコントローラ・メモリ・セキュア MCU 製品グループ
マイクロコントローラ製品部
マネージャー
菅井 賢 氏
ST 石川:2014 年 5 月に開かれた「ESEC(組込
先行技術開発室
セールスエンジニアリンググループ
アカウントマネージャー
す。もう 1 つは、やはりさらなる性能アップで
しょうか。
まこと
白垣 眞 氏
テラプローブ白垣:性能がアップすれば、カ
メラの前で立ち止まらなくても歩いているうち
いますし、先ほども触れたように Cortex-M4 プ
みシステム開発技術展)」の前に、出展を予定さ
井さんとお会いするのは今日が初めてですが、
いなので、機会があれば是非お手伝いさせてく
に認証が済み、ドアが開いて個人ごとのサービ
きれば、より自然な使い方ができるようになる
ロセッサの性能を引き出す仕掛けも入っていて、
れていたテラプローブ様から、当社の評価ボー
実際は以前からお世話になっていたわけですね
ださい!(笑)
スが受けられる、といった世界が実現できるか
でしょうから。
なおかつそれらが小型パッケージにギュッと収
ドを使ったデモシステムを展示したいんだけど
(笑)。そうやってインターネットを探せば使い
められているので、セキュリティカメラ用途を
もいいだろうか、ということでコンタクトをい
こなしのいろいろなノウハウを知ることができ
はじめ画像処理に使われるお客様は他にもい
ただいたのが最初ですね。
るのも ARM のいいところだと思います。
らっしゃいます。
総合的な評価により ST を選択
ステムを構成していました。
テラプローブ白垣:そのあとも評価ボードを
もしれません。
快適な生活を支える新技術に取り組む
ST 石川:高性能化という意味では、最新の
最後に展望をお聞かせください。
Cortex-M7 プ ロ セ ッ サ を 搭 載 し た STM32F7 シ
テラプローブ古京:「TeraFaces」もそうなん
「TeraFaces」は、2014 年 5 月に ESEC で展示さ
リーズの量産が間もなく始まります。この製品
ですが、より生活が楽になるようなテクノロ
パソコン上で動作する NEC の「NeoFace」を
れたのち、7 月には評価システムの提供が発表
は STM32F4 シリーズの上位互換製品として 1000
ジーであったり、日々が過ごしやすくなるよう
ベースに「TeraFaces」を開発されたわけですが、
され、11 月には ST 製マイコンに対応した IP で
CoreMark の性能を実現したのが一番の売りです。
なテクノロジーを目指していきたいと考えて
実装ではどのような課題がありましたか?
提供されることもアナウンスされました。市場
Cortex-M7 コア自体が高性能なことも有るので
いて、生体が発する微弱な信号を使った新しい
の反応はいかがでしょうか。
すが、ST のノウハウとして Flash アクセラレータ
ユーザーインタフェースの研究にも熊本大学と
テラプローブ深澤:はい、当初は「STM32F407」
が載った ST 製の評価ボードを買ってきてデモシ
そもそもの話として、マイコンのプラット
貸し出していただいたり、2014 年 11 月の「ET
テラプローブ深澤:技術的な細かいところ
フォームとして ARM® アーキテクチャを選んだ
(組込み総合技術展)」では ST さんのブースに
は申し上げられないんですが、数 GHz のプロ
テラプローブ白垣:たいへん多くのお問い合
である「ART Accelerator」などアーキテクチャ
共同で着手しています。われわれはもともと半
背景と、ARM ベースのマイコンの中から ST を
「TeraFaces」のカタログを置かせていただいた
セッサや数 GB のメモリなどの豊富なリソース
わせを頂戴しています。お客様の話なので詳し
に工夫をしてコアの性能を最大限に引き出した
導体のテストを本業とする会社ですが、今後は
りと、いろいろと協力していただいてとても心
が使える高性能パソコンとは違って、組込み
くは申し上げられませんが、たとえば従来の
のがポイントです。もちろん、STM32F4 シリー
そういった新しい事業にも積極的に取り組んで
強く感じました。
の世界では使えるメモリはせいぜい数百 KB な
ID カード認証を顔認証にするようなセキュリ
ズ に 搭 載 し て い る CMOS カ メ ラ I/F や TFT-LCD
いきます。
ので、まずは使用メモリをいかに減らすかを
ティ手段の置き換えだけではなく、既存の色々
コントローラ、グラフィックアクセラレータな
ST 石川:STM32 ファミリは高い性能と豊富
考えました。カメラインタフェースから画像
な製品やシステムに顔認証機能を追加して付加
どのペリフェラルを継承しています。Cortex-M4
なペリフェラルがもたらす汎用性と、製品間の
を取り込むだけでもメモリを使いますし、顔
価値を高めるような、まったく新しい使い方で
とはバイナリ互換ですし、パッケージが同じ品
高い互換性を兼ね備えています。「アプリケー
認証の処理にもメモリを使うなど、あらゆる
すね。こうした引き合いと合わせて、2020 年
種は STM32F4 シリーズとのピン配置互換を維
ションの付加価値創造に貢献する製品」 という
ルーチンでメモリにアクセスするので、元々
の東京オリンピックに向けて「おもてなし」を
持していますから、マイコンを載せ替えるだけ
コンセプトの下で、製品ラインアップと開発環
選んだ経緯を教えてください。
テラプローブ深澤:開発に着手した時点では
どのマイコンを使ってもいいという状況では
あったのですが、それぞれのアーキテクチャに
使用メモリの最適化が実装上の鍵
ついて社内でベンチマークを行った結果、やは
り世界のスタンダードとして使われている ARM
を採用すべきとの結論に至りました。次にマイ
ARM アーキテクチャや ST のマイコンについて
は、どういった情報を元に勉強したのですか?
コンベンダーの選定をしたわけですが、顔の撮
テラプローブ深澤:やはりインターネットで
の「NeoFace」の認証アルゴリズムは変えずに
向上させる手段として、顔を登録したお客様そ
で性能ニーズに応じたプラットフォーム展開が
境の拡充を進めています。ST としても、テラプ
影のためにカメラの接続は必須でしたし、LCD
すね。とくに ARM アーキテクチャの歴史から書
アクセスを最適化するなどの作業の積み重ね
れぞれに個別のサービスを提供するような応用
可能です。いずれ評価ボードが出てきましたら、
ローブ様のモジュールのように、アプリケー
インタフェースもあったほうが望ましく、さら
かれていた「APS ACADEMY」
(http://www.aps-
ですね。
も提案していきたいと考えています。
是非試してみてください。処理性能は STM32F4
ションの可能性を切り拓く画期的な製品づくり
に性能面では、認証対象者を 1 秒以上待たせる
web.jp/academy/)はずいぶん勉強になりました。
シリーズのおよそ 1.7 倍になると見込んでいます。
に貢献するマイコンの開発をこれからも積極的
と遅いと感じさせてしまうので、0.5 秒以下を目
ST 菅 井: こ の 機 会 に 言 っ ち ゃ い ま す け ど、
に進めていきますので、是非ご期待いただけれ
指すにはマイコンの動作周波数として 150MHz
以上は要るだろうと考えました。そうやって各
ベンダーのマイコンを探してみたところ、機能
18
株式会社テラプローブ
チップを載せずに済み、基板の小型化が図れま
ARM PARTNERS SUCCESS
「APS ACADEMY」の Cortex-M 入門編は実は私が
書いてるんです。
テラプローブ深澤:そうだったんですか。菅
ST 菅井:深澤さんたちのチームは独力でシ
ST 石川:私もテラプローブ様のモジュールは、
ステムを完成させるほど技術力が高く、正直な
顔認証技術の応用の可能性を広げる素晴らしい
テ ラ プ ロ ー ブ 深 澤:C o r t e x - M 7 ベ ー ス の
ところを言うとこれまで ST としては特別な技
製品だと考えています。STM32 ファミリのコン
STM32F7 シリーズに載せかえるだけで性能が上
術サポートはしていないんです。だから FAE で
セプトの一つが、お客様のアプリケーションの
がるというのはちょっと楽しみです。認証時間
ある私は本当はここに座ってちゃいけないぐら
可能性を広げる高い汎用性と拡張性なのですが、
が現在の約 0.3 秒から仮に 0.1 秒ぐらいに短縮で
ばと思います。
本日はどうもありがとうございました。
ARM PARTNERS SUCCESS
19
テクニカル・ノート
STマイクロエレクトロニクス株式会社
Technical NOTE
進化を続ける STM32 ハイエンド・シリーズ
STM32F746/F446
Cortex®-M7 コアでさらに広がる
STM32 ハイエンド・シリーズ
Cortex-M7 コアベース
STM32F7 シリーズ
Cortex-M4 コアベース
STM32F446
新たなアプリケーション開発プラットフォーム
STM32Cube
ARM® Cortex-M コア搭載マイコンで、豊富な実績を誇る ST マイク
ロエレクトロニクス(以下 ST)の STM32 シリーズに、新たに世界
S TM3 2 F7 4 6 / 7 5 6 シ リ ー ズ は 最 高 動 作 周 波 数 2 00MH z の
STM32F446 は、 最 高 動 作 周 波 数 180MHz の Cortex-M4 コ ア
現 在、ST で は ユ ー ザ の ソ フ ト ウ ェ ア 開 発 負 荷 を 削 減 す る ソ フ ト
Cortex-M7 コアによる高性能(1000 CoreMark)と、フルセットの
(608 CoreMark)に、豊富な外部 I/F とコンパクトな内蔵メモリを組
ウェアパッケージ STM32Cube を提供しています。これは、PC 用
初の Cortex-M7 コア搭載製品である STM32F7 シリーズが加わりま
ペリフェラルにより、あらゆるコンシューマ機器、産業機器の制御に
み合わせた STM32F4 シリーズのスタンダードとなる新製品です。外
した。高性能 Cortex-M7 コアの性能を最大限に引き出す ST 独自の
対し、高度なリアルタイム処理性能と拡張性を提供する超高機能製品
部メモリの拡張性を実現する SDRAM I/F およびデュアル Quad SPI
アーキテクチャ(AXI/AHB マルチレイヤバスマトリクス、内蔵 Flash
です。
や、CMOS カメラ I/F、専用電源を持った USB OTG HS/FS、SDIO
メモリからのゼロ・ウェイト実行を可能とする ART Accelerator™)
により、従来のマイコンの性能を大きく超える 1000 CoreMark を
STM32F746/756
実現しています。さらに、STM32F4 シリーズとの互換性を保って
■ CPU 動作周波数:200MHz
おり、アプリケーションのプラットフォームに新たな可能性を提供
■ 1000 CoreMark、200MHz 動作時
します。一方、Cortex-M4 ベースの STM32F4 シリーズにも新たに
■ 最大 1MB の内蔵 Flash メモリ、
の GUI ツ ー ル(STM32CubeMX)と フ ァ ー ム ウ ェ ア ラ イ ブ ラ リ
(STM32Cube)のパッケージとして無償で提供されます。
などの豊富な外部 I/F は、アプリケーションにシームレスな拡張性を
STM32CubeMX:ペリフェラルの初期設定 C コード自動生成、ピン
提供します。これらにより、さまざまな産業機器やコンシューマ機器
アサイン、消費電力計算が可能
に自由度の高いプラットフォームを提供します。
STM32Cube: ペ リ フ ェ ラ ル・ ラ イ ブ ラ リ、USB ラ イ ブ ラ リ、
STM32F446
TCP/IP スタック、グラフィック・ライブラリ、各種サンプルプログ
STM32F446 が加わり、STM32 ハイエンド・シリーズのラインアッ
分散配置した大容量 SRAM(320KB + 16KB ITCM + バック
■ CPU 動作周波数:180MHz
ラム、および、STM32 シリーズ製品間でのアプリケーションソフト
プはさらなる進化を続けます。
アップ SRAM 4KB)
、命令 / データキャッシュ(各 4KB)
■ 512KB または 256KB 内蔵 Flash メモリ、
の移植を容易にするハードウェア抽象化レイヤ(HAL)
これらの 2 製品が加わり、現在、STM32 ハイエンド・シリーズとして、
以下の 7 製品群を展開しています。
■ ST 独自の Flash メモリ・アクセラレータ、
128KB 内蔵 SRAM、バックアップ SRAM 4KB
AXI/AHB マルチレイヤバスマトリクス
■ ST 独自の Flash メモリ・アクセラレータ
煩わしいペリフェラルの初期設定は、簡単なグラフィカル・ウィザー
■ SDRAM 対応外部メモリコントローラ(FMC)
■ SDRAM 対応外部メモリコントローラ(FMC)
ドを使用して終えることができますので、ユーザはアプリケーション・
<Cortex-M4 ベース >
■ デュアル Quad SPI(QSPI)
■ デュアル Quad SPI(QSPI)
ソフトの付加価値の追求に、より多くの時間を割くことが可能となり
■ STM32F401/F411 ■ STM32F405/415
■ 専用 DMA を搭載した Ether、USB 2.0 OTG HS、
■ CMOS カメラ I/F
ます。
■ STM32F407/417 ■ STM32F446
■ STM32F427/437 ■ STM32F429/439
Chrom-ART アクセラレータ(高速グラフィック処理理用ハード
■ USB 2.0 OTG FS x1 + HS/FS x1
ウェア・ブロック)
■ 最大 20 個の通信インタフェース(USART x4、UART x2、
■ TFT-LCD コントローラ
SPI x4、I2C x4、CAN x2、シリアルオーディオ I/F x2、
<Cortex-M7 ベース >
■ CMOS カメラ I/F
■ STM32F746/756
■ 12bit ADC x3 ユニット(最大 24ch, 2.4Msps)
、12bit DAC x2
■ 12bit ADC x3 ユニット(最大 24ch、2.4Msps)
■ 最大 15 個の 16bit/32bit タイマ(200MHz カウントクロック、
■ 12bit DAC x2
ここでは、STM32F746/F756 シリーズと、STM32F446 をご紹
介します。
お問い合わせ先
S/PDIF、SDIO)
ST マイクロエレクトロニクス株式会社
営業部 TEL:03-5783-8310 FAX:03-5783-8216 http://www.st-japan.co.jp
販売代理店
■ 最大 14 個の 16bit/32bit タイマ(モータ制御対応タイマ含む)
モータ制御対応タイマ含む)
■株式会社バイテック:03-3458-4611
WLCSP(81pin)
■ LQFP(100pin/144pin/176pin/208pin)
、
■クロニクス株式会社:03-5322-7191
■株式会社トーメンエレクトロニクス:03-5462-9622
■ LQFP(64pin/100pin/144pin)
、UFBGA(100pin)
、
■ セキュリティおよび暗号化機能
■アクシスデバイス・テクノロジー株式会社:03-5484-7340
■伯東株式会社:03-3355-7635
UFBGA(176pin)、TFBGA(216pin)
、WLCSP(143pin)
動作周波数
(MHz)
CoreMark
DTCM
1200
ITCM
AHBS
Cortex-M7
L1-Cache
4KB I/D
1000
1x AXI to
4x AHB layer
800
USB HS
DMA
LCD-TFT
DMA
Chrom-ART
AcceleratorTM
ITCM RAM
16 KB
ART
Accelerator
AXI to
Multi-AHB
Cortex-M4
SRAM
16 KB
AHB2
ペリフェラル
FMC
180
ARM PARTNERS SUCCESS
200
(外部メモリ
コントローラ)
MHz
QuadSPI
図 2:STM32F7 アーキテクチャ
84
ユーザーコード
STM32F427 STM32F429
STM32CubeMX
STM32F405 STM32F407
100
APB1
AHB1
ペリフェラル
Cortex-M3
120
STM32F446
168
SRAM
240 KB
8 layer
multi-AHB
bus matrix
608 CoreMark
398 CoreMark
STM32F746
NEW
180
AHBP
Cortex-M7
図 1:STM32 ハイエンド・シリーズ CoreMark 性能
20
Ether
DMA
PC上の設定ツール
FLASH
1MB
400
0
AXIM
DMA2
1000 CoreMark
600
200
DMA1
NEW
200
DTCM RAM
64 KB
STM32Cube
組込みソフトウェア
ミドルウェア
RTOS, USB, TCP/IP, Graphics...
STM32F411
STM32F401
機能
APB2
エントリー
スタンダード
ハイエンド
省電力アーキテクチャ
(Dynamic efficiency)
カメラI/F
外部メモリコントローラ
SDRAM I/F(STM32F446)
グラフィック・アクセラレータ
TFT-LCDコントローラ
SDRAM I/F
図 3:STM32F7 シリーズ、F4 シリーズラインアップ
ユーザーの設定に応じた
C言語プログラム・コードの
初期化ファイルを自動生成
ハードウェア抽象化レイヤ
図 4:STM32Cube ソフトウェア・パッケージ
ARM PARTNERS SUCCESS
21
Success STORIES
Success STORIES
株式会社東芝 セミコンダクター&ストレージ社 / 東芝マイクロエレクトロニクス株式会社
車輪型ヒューマノイドロボット
「HJM-47」
のモータ制御に
株式会社東芝 セミコンダクター&ストレージ社 / 東芝マイクロエレクトロニクス株式会社
HAJIME ROBOT
イーエスピー企画
東芝のTMPM370が活躍。
セプトが素晴らしいことから、はじめ研究所へ
も薦めたという。「当初は、ブラシレス DC モー
タのなかでも組込みやすいものを使いたいとい
うことで、イーエスピー企画の江崎さんと一緒
ヒューマノイドロボット製作で著名な「はじめ研究所」は、車輪型ヒューマノイドロボットの「HJM-47(はじめロボット47 号機)」に
に研究をしていたのですが、なかなかうまくい
東芝セミコンダクター & ストレージ社(以下、東芝)の ARM® Cortex®-M3 搭載マイコン TMPM370 を採用した。はじめ研究所に
きませんでした。江崎さんから TMPM370 を紹
TMPM370 を紹介したのが、モータ制御技術で多くの実績を持つイーエスピー企画である。ここでは TMPM370 の搭載理由に加え、
介されて、ベクトル制御が簡単に使えるものが
最新製品となるCortex-M4F 搭載マイコン TMPM470 の有用性などを聞いた。
あるのだったら、ということで採用することに
決めました」
(坂本氏)。ロボットに使用するモー
タには、TMPM370 に搭載されているエンコーダ
有限会社はじめ研究所
取締役・工学博士
坂本 元 氏
などの位置決めに必要な機能が活用できる。
はじめ研究所が製作した車輪型ヒューマノイ
ド ロ ボ ッ ト「HJM-47」は、2013 年 12 月 13 日 に
東芝マイクロエレクトロニクス株式会社
ミックスシグナルコントローラ統括部
ミックスシグナルコントローラ応用技術部
部長
増田 孝雄 氏
日本テレビで放映された「リアルロボットバト
TMPM370 評価ボードに
ドライバやモータを追加
ル日本一決定戦」向けに開発し、見事に優勝を
遂げた。現在は、テーマパークやイベントのエン
ロボットとしてパワーのあるパンチが打てる。
タテインメントロボット、また大学や研究機関
「 モ ー タ を 評 価 す る な ら、 ド ラ イ バ や モ ー
タ も 必 要 だ と い う こ と で TMPM370 が 搭 載
された評価ボードにそれらを乗せた評価プ
での研究用のプラットフォーム機体として利用
されている。
ベクトル制御に必要な
ソフトウェアが不用に
車輪に電動バイク用のインホイールモータを
ラ ッ ト フ ォ ー ム と い う 形 に し ま し た( 図 1)」
2 輪、補助輪として自在キャスター 4 輪を使用し
ギアが衝撃に弱いと、パンチした際にモータ
(イーエスピー企画 江崎氏)。さらに江崎氏は、
た合計 6 輪の車輪型ロボットである。車輪で移
の保護回路が働いてすぐに停止してしまう。そ
TMPM370 に搭載されたベクトルエンジンは、
動するため、平地のコンクリートやアスファル
こで、バネなどの衝撃を吸収するものを入れて
ブラシレス DC モータのベクトル制御の重い処
ト上で時速 40km での走行が可能だという。上
いるという。腕の重量を軽くしたり、腕の長さ
理部分をハードウェアで対応できるというコン
半身の関節には強力なモータを使用し、バトル
も制限があったため腰をひねることでリーチを
稼ぐなどの工夫を凝らした。
「HJM-47 の開発には東芝の TMPM370 が搭載
実用性を考えると大型の
がけるようになりました。身長 2m の二足歩行
である TMPM370 が搭載されている。TMPM370
されたイーエスピー企画の開発プラットフォー
ロボ ット(集合写真内)の開発が終わり、現在
をはじめ研究所に紹介したのがイーエスピー
ムを採用しました。他のマイコンで組んでいた
4m のもの(はじめ研究所 坂本氏 搭乗)を開発
企画である。イーエスピー企画と東芝は関係
ベクトル制御のソフトウェア部分がハードウェ
ロボットのなかでも人に似せたヒューマノイ
しています。小型ロボットだと、おもちゃやホ
が 深 く、「IAR シ ス テ ム ズ 社 か ら 提 供 さ れ る
アで入っていて、演算速度が速いことから、ベ
ドロボット(人型ロボットや二足歩行ロボット
ビーで終わってしまいますが、実用性を考える
TMPM370 搭載ボードをイーエスピー企画さん
クトル制御部分のソフトウェアはほとんど不用
など)が、注目を集めている。はじめ研究所は、
と大型のものが必要になります。しかし、大型
にサポートしてもらっています。特にモータ制
になりました」
(坂本氏)。
2002 年からヒューマノイドロボットを開発・販
ロボットは、作るのが難しく部品が少ないため
御の開発ボードでは、イーエスピー企画の高い
さらに坂本氏は、モータ数の制限はなかった
売してきた。
「もともと人型の小型ロボットか
大変苦労しました」
(坂本氏)という。
技術力が活かされているので、TMPM370 がリ
が、使用数が多くなると重量がかさんだり、故
リースされた頃から協力いただいています」
(東
障のリスクも多くなってしまう。今回のモータ
ヒューマノイドロボットが必要
22
らスタートしたのですが、より実用的なロボッ
はじめ研究所が製作した車輪型ヒューマノイ
トを開発したいということで大型ロボットを手
ドロボットの「HJM-47」に、東芝のARM マイコン
ARM PARTNERS SUCCESS
芝 廣里氏)。
図 1:TMPM370 搭載ブラシレス DC モータ開発プラットフォーム。6 月には新バージョンの発売が予定されている。
構成として、肩、肘、首などの関節部にサーボ
ARM PARTNERS SUCCESS
23
Success STORIES
Success STORIES
株式会社東芝 セミコンダクター&ストレージ社 / 東芝マイクロエレクトロニクス株式会社
株式会社東芝 セミコンダクター&ストレージ社 / 東芝マイクロエレクトロニクス株式会社
ており、ロボカップ世界大会など多くの大会で
アドバンストエンコーダを搭載している。「使
優勝や入賞を果たしている。
う 側 と し て 心 を 打 た れ た の は、TMPM370 や
「モータ制御は多くのノウハウが必要になり
TMPM470、TMPM070 のパッケージは基本的に
ます。お客様のなかには長らくモータを専業に
ピン互換であり、ハードウェア的な互換性が活
してきて多くのノウハウがある方ばかりでなく、
かされていることです」
(江崎氏)。
「それに加え
モータ制御の経験が少ないところが多いのも事
レジスタも同じにしており、ソフトウェアも互
実です。そういうお客様でもベクトルエンジン
換性をもっているので、基本的にそのまま使用
を使えば、モータ制御を行うことが容易になり
いただけます」
(三枝氏)。
ます」
(江崎氏)。「モータにはモータごとの個
アドバンストベクトルエンジンを
搭載した TMPM470
TMPM370 は、Cortex-M3 プ ロ セ ッ サ を
80MHz で動作させており、ブラシレス DC モー
タの効率的な制御を実現するベクトル制御
性があり、それぞれのモータに合わせたチュー
省エネの観点からも
エンジンを内蔵している。さらに、2 モータへ
東芝マイクロエレクトロニクス株式会社
ミックスシグナルコントローラ統括部
ミックスシグナルコントローラ応用技術部
ミックスシグナルコントローラ応用技術第一担当
主務
廣里 暢盛 氏
の対応や周辺アナログ回路内蔵といった特長
株式会社イーエスピー企画
代表取締役
により、モータを使用する製品の省エネを促
江崎 雅康 氏
進できる。「ソフトウェアでベクトル制御を行
ピン互換を維持したパッケージ
ベクトルエンジンが有用
ラメータチューニングシステム)と呼ぶお客様
のモータ制御システムのチューニングを助ける
「国内のお客様は基本的に国内ベンダの製品
であると認識されており、現在、国内外問わず
多くの引き合いがあります。さらに、省エネの
す。ベクトルエンジンを使用することで、ク
製品を開発しました」
(増田氏)。
東芝マイクロエレクトロニクス株式会社
ミックスシグナルコントローラ統括部
ミックスシグナルコントローラ応用技術部
ミックスシグナルコントローラ応用技術第一担当
三枝 昭久 氏
3 種類の PI ゲインを
適正に調整できる PTS を開発
も効率良いチューニングが可能となります。PTS
モータを 13 個(大 7、中 4、小 2)、車輪部にハ
ロック周波数が低いマイコンでも対応できま
第 1 世代のベクトルエンジンは、ブラシレス
観点からもベクトルエンジンに注目が集まって
の開発コンセプトは、手軽に最適値を探れるよ
ブモータを 2 個搭載したという。
す」
(東芝 三枝氏)。「マイコンにいろいろなこ
DCモータのベクトル制御の複雑な計算をハード
います」
(増田氏)。「日本の国内総消費電力の
ベクトル制御には、電流、速度、位置推定と
うなツールをご提供しようというものです」
(三
「これらのモータは分散制御しています。腰
とをやらせようとすると、より高速なクロッ
ウェアで実行できるようにしたもので、セクタ
57%はモータが消費しており、ブラシレス DC
いう 3 種類の PI 演算があり、そのゲインを適正
をひねりながら腕を伸ばすなどの各モータが連
ク周波数が必要になり、発熱や消費電力の増
ごとに計算式が変わる相変換や座標軸変換など
モータのベクトル制御技術は電力不足問題解決
に調整する必要がある。PTS は、ベクトル制御
動する動作は、別のマイコンで集中管理をして
大などの課題が生じます。ベクトルエンジン
の複雑な演算を専用演算ユニットとスケジュー
のカギのひとつとなるでしょう。家電製品や自
に必要な最適制御ゲインを可視化するツールだ。
制御しています」
(坂本氏)。
を活用することで、クロック周波数を低く抑
ラで構成されたベクトル制御エンジンが自動的
動車など民生用途では、ブラシレス DC モータ
「PI ゲインの調整は、いままでは経験豊富なモー
で、PTS だけですべて簡単にできるというもので
TMPM370 は、ブレーキと首周りのモータ制
えられ、消費電力の低減など、多くのメリッ
に処理できる。第 2 世代のベクトルエンジンプ
の採用が急速に進むことで省エネが広がってい
タの専門家が時間をかけて行っていました。PI
はないが、ある程度のところまで絞り込んでく
御に使用した。腕の制御はパワーが必要なので、
トを感じていただけると思います」
(東芝 増田
ラスは、第 1 世代のベクトルエンジンの機能に
ます。ただし、国内総電力消費量の 50%を占め
のパラメータは無限にありますが、PTS を使う
れるだけでも有用なツールといえるでしょう」
現在、イーエスピー企画と TMPM370 を使用し
氏)。
加え、1 シャント専用関数の追加など、カスタマ
る産業用途分野や 25%を占める業務分野はこれ
ことで絞り込むことができます。絞り込んだ後、
TMPM370グループの後継となるのがTMPM470
イズ性を向上している。最新のアドバンストベ
からです。いままさに、消費電力 1/2 の工場を
実際にモータを回して測定し、最適な点を見つ
「 は じ め 研 究 所 と し て は、 ロ ボ ッ ト を ど ん
「購入したモータは必ずしもベストだとは
だ。「TMPM470 は、 コ ア に 最 大 144MHz 動 作
クトルエンジンは、非干渉制御やデッドタイム
目指すための模索が始まっているように思いま
けることができるので、それほど経験がなくて
どん大きくしていきたいと思っています。そ
思っていません。たとえば、産業用ロボットで
の ARM Cortex-M4F を 採 用 し、 第 3 世 代 の ベ
補償など新機能を加え、さらなる性能や使い勝
は何かにぶつかったときに停止する保護回路は
クトルエンジンとなるアドバンストベクトル
手が向上したものとなっている。
「ベクトルエン
た制御基板を開発中とのことだ。
ジンは世代を更新することによって、よりかゆ
きの衝撃で止まってしまっては倒れてしまいま
御向けマイコンです」
(東芝 増田氏)。さらに、
いところに手が届くものになっています。ア
ベクトル
エンジン
センサレス矩形波制御の位置検出を容易にす
ドバンストベクトルエンジンは、TMPM470 と
(VE)
るアドバンストエンコーダ(A-ENC)を搭載し
TMPM475 に搭載されており、今後は、モータ
開発環境は、Eclipse の統合環境に gcc のクロ
ており、プログラマブルモータドライバ(PMD)
制御向けのすべてのマイコンにアドバンストベ
スコンパイラを使用しているという。「はじめ
と組み合わせることで、センサレス矩形波制
クトルエンジンを搭載していきます」
(三枝氏)。
研究所さんのように先端を走っているのならそ
御が可能となっている。2015 年 2 月からサンプ
ういった環境でも良いでしょうが、産業界に落
とし込むには、商用の開発環境が必要になりま
ルの出荷を開始している。「ベクトルエンジン
は東芝オリジナルのペリフェラルで、第 1 世
「今後は、ベクトルエンジンばかりでなく、周
辺のアナログ回路なども取り込んでいくことで、
さらに使い勝手の良いマイコンをご提供してい
すので、イーエスピー企画としてはそういっ
代の『ベクトルエンジン』、第 2 世代の『ベク
たツールにも対応しています」
(江崎氏)。この
トルエンジンプラス』、第 3 世代の『アドバン
東 芝 は Cortex-M0 を 搭 載 し た TMPM070 グ
HJM-47 以外にも、はじめ研究所は小型、中型、
ストベクトルエンジン』と進化しています(図
ループもラインアップしている。最大周波数
大型など各種ヒューマノイドロボットを製造し
ARM PARTNERS SUCCESS
2)」
(三枝氏)。
きます」
(増田氏)。
40MHz で動作させ、ベクトルエンジンプラスや
2015 年 3 月から、PTS の提供を開始している。
「モータ制御のチューニングは非常に泥臭い世界
(江崎氏)という。
チューニングできません。制御マイコンとして
エンジン(A-VE)を搭載した最新のモータ制
(坂本氏)。
枝氏)。
うなると購入してきたモータでは思うように
必要ですが、二足歩行ロボットで足をついたと
す。もっと柔軟なモータ制御が必要になります」
24
ニングが必要となりますが、東芝では PTS(パ
を使いたがります。海外でも日本製品は高品質
うと、コアへの負荷が大きくなることからク
ロック周波数の高いマイコンが必要となりま
す」
(江崎氏)。
ベクトルエンジンの進化
専用ハードウェアとソフトウェア処理の協調により、
さまざまな環境下でのモータ制御に
柔軟に対応し進化を続ける。
高機能化、高性能化を実現する
新関数群の追加
第3世代
りロボットに適した制御ができるのではと期待
アドバンスト
ベクトルエンジン
しています」
(坂本氏)。「モータが大きくなって
1 シャント専用関数
+カスタマイズ性向上
第2 世代
相変換演算とPMD、ADCが
連動し、CPU 負荷低減
TMPM370 や TMPM470 を 使 用 す る こ と で、 よ
M470 グループ製品
もパワーデバイス部分が変わるだけで、ロジッ
クはそのまま活かせます。今後は、IGBT や SiC
などのパワーデバイスを使用することで、大
ベクトルエンジン
プラス
型モータの制御に対応していきます」
(江崎氏)。
M370 グループ製品
第1世代
「モータ制御に向けたマイコンのラインアップ
の拡充に加え、性能を上げて価格を下げるとい
ベクトルエンジン
M070 グループ製品
う相反する要件を追求していきます」と増田氏
は結んだ。これからも東芝の提供するモータ制
御に関するソリューションは注目していくべき
図 2:数ある ARM マイコンのなかでも、その違いが際立つ東芝のベクトルエンジン。
すでに第三世代へと進化を遂げている。
だろう。
ARM PARTNERS SUCCESS
25
テクニカル・ノート
Technical NOTE
株式会社東芝 セミコンダクター&ストレージ社 / 東芝マイクロエレクトロニクス株式会社
CPU パフォーマンス以上の機能を実現
進化する東芝のモータ制御マイコン
東芝のモータ制御マイコンとは?
量産中
Cortex®-M4F@144MHz
ROM
PKG
**TMPM47x
*開発中
Cortex®-M3@80MHz
**計画中
1995 年、 東 芝 は 最 初 の イ ン バ ー タ モ ー タ 制 御 用 マ イ コ ン
ベクトル制御
TMP88CK49 の 販 売 を 開 始 し ま し た。16MHz 8bit マ イ コ ン で
インバータモータ制御を実現するために、独自回路 Programmable
Motor Driver(PMD)を開発し、センサレス矩形波制御を容易に実現
しました。これによりエアコン室外機のインバータ化に大きく貢献し
ました。
また第二世代 PMD では、正弦波生成回路を追加し、洗濯機インバー
TX19A 56MHz
256K
100pin
TMP19A71
128K
64pin
TMPM373FW
128K
48pin
TMPM374FW
128K
44pin
TMPM376FD
512K
100pin
TMPM370FY
256K
100pin
ベクトルエンジン
(VE)
スケジューラ
拡張
*TMPM470FD
384K/512K
100pin
*TMPM475FD
384K/512K
100pin
TX04 series
Cortex®-M3@80MHz
Cortex®-M3@40MHz
TMPM375FS
64K
30pin
ベクトルエンジン
プラス
(VE+)
補正機能
強化
**TMPM37xFY
256K
100pin
アドバンスト
ベクトルエンジン
(A-VE)
TX03 series
正弦波制御
&
矩形波制御
TLCS870/X 20MHz
タ化とモータ静粛化に大きく貢献しました。このように東芝では、そ
の時々のお客様の要求に応えることができる、モータ制御マイコンを
TMPM372FW
1M
144pin
Cortex®-M4F@120MHz
TMP88FW45A
120K
80pin
TMP88F846
8K
44pin
TMP88FH41
16K
44pin
高性能化
ベクトルエンジン
プラス
アドバンスト
(VE+)
エンコーダ *
(A-ENC)
* 矩形波制御用位置検出回路
Cortex®-M0@40MHz
*TMPM07x
64K
44pin
*TMPM07x
64K
48pin
*TMPM07x
64K
64pin
アドバンストベクトルエンジンを搭載した
M470 グループ製品が新登場
開発の負担を大幅に軽減する
パラメータチューニングシステム PTS
Cortex-M4F コアを搭載したマイコン「TX04 シリーズ」の新製品と
PTS は、東芝のモータ技術を駆使し独自に開発したモータパラメータ
して、家電などに使用される DC ブラシレスモータを 2 個同時に制御
チューニングシステムです。モータ制御開発に必要なモータ定数(抵
可能なマイコン「TMPM470FDFG」
、
「TMPM475FDFG」をライン
抗、インダクタンス)を自動測定します。また、ベクトル制御に必要
アップに追加し、2 月からサンプル出荷を開始しました。エアコンや
な PI 演算のゲインをシステム上で計測することで、負荷状態に応じた
冷蔵庫、洗濯機等の家電製品はもちろん、産業インバータ、AC サーボ
最適ゲインを計測することにより、開発の負担を大幅に軽減すること
等の幅広い分野まで活躍できることを期待しています。
ができます。
Cortex®-M0@40MHz
**TMPM07x
TLCS870/C1 8MHz
32K
30pin
■ 新製品の主な特長
■ PTS の主な特徴
● Cortex-M4F 最大 120MHz 動作
●モータ定数の測定(抵抗、インダクタンス)
(相補 PWM 最小単位:8.3ns)
●モータ定数から、各 PI ゲインを演算
2010 年からは、ベクトル制御用マイコン第三弾として、ARM 社
●非干渉制御、デッドタイム補償、
●ベクトル制御に必要な PI ゲイン(電流、速度、位置)の測定
Cortex®-M3 コアを採用し、PMD、ベクトルエンジン、プログラマブ
出力リミット等を追加したアドバンストベクトルエンジン(A-VE)
●ゲイン測定結果の表示
●相補 PWM 出力(PMD)12bitADC、
●測定ごとの電流波形データの保存
A-VE が連動動作することで、ソフト負荷を低減
●リアルタイムでマイコン内部データの波形表示が可能
A-ADC
●高速 PWM での電流検出を実現する変換速度 1us 12bitADC
● GUI 上からマニュアル操作により、
PMD4
センサレス矩形波制御の位置検出を容易にする
目標回転数でモータを回転、停止することができます
世に送り出してきましたが、一貫して「CPU パフォーマンス以上の機
TLCS870/X 16MHz
TMP88Cx49
TMP89FM82
32K
48pin
TX00 series
注)計画中製品の仕様は予告なく変更させていただく場合がございます。 2013
能を実現」というコンセプトで進めてきました。
2014
2015
図 1:モータ制御用 MCU ロードマップ
®
ル ADC を搭載した、TMPM370FYFG の販売を開始しました。
A-VE
Advanced VE
PMD(Programmable Motor Driver)
丁度 20 年の節目の年になる、2015 年は 2 つの新製品の販売を開始
→ 3 相 PWM 出力回路
します。
VE(Vector Engine)
→ ベクトル制御用コプロセッサ
VE,VE+
Advanced ENC
ADC
Cortex-M4F コア 120MHz にアドバンストベクトルエンジン(A-
PMD3
VE)、アドバンストエンコーダ(A-ENC)、プログラマブル ADC を搭
ベクトル制御
載した、高性能ベクトル制御用マイコン 4 品種の販売を開始します。
PMD1
器(FPU)と DSP 命令を追加し、モータ制御に必要な多種多様の演算
間を最短 32us まで短縮したことで、16KHz PWM でも間引くことな
く制御が可能になっています。また、VE+ によるシフト PWM 機能に
より、1 シャントにおける低速時の電流検出を容易にしています。
更に、A-ENC には、センサレス/センサ付矩形波制御に対応したセン
サモードが内蔵されており、ソフト負担を極力削減した位置検出、な
です。
※ ARM および ARM Cortex は ARM Limited の EU およびその他の国における登録商標です。
お問い合わせ先
株式会社東芝 セミコンダクター&ストレージ社
ミックスドシグナル IC 営業推進部
2nd generation
3rd generation(Now)
ミックスドシグナル IC マーケティング担当
Next generation
TEL:044-548-2821 FAX:044-548-8329
Web:http://www.semicon.toshiba.co.jp/
TMPM470FDFG/TMPM475FDFG
新製品
特長
高性能 / 低消費電力 Cortex-M4F 最大 120MHz 動作
モータ制御回路内蔵(A-VE, ADC, PMD)
FLASH 高速書き換え
・最大動作周波数
・内蔵メモリ
・デバッグ回路
・低消費電力動作
・内蔵高速発振器
±1%
● 内蔵周辺機能
・アドバンストベクトルエンジン(A-VE) 2 ユニット
・PMD
・12ビットADコンバータ(1us変換)
・A-エンコーダ
・16ビットタイマ
・UART/SIO
・I C/SIO
・DMA
・ウォッチドッグタイマ (WDT)
2 チャネル
2 ユニット
2 チャネル
10 チャネル
4 チャネル
1 チャネル
1 チャネル
・パワーオンリセット (POR)
PLL/CG
POR/VLTD
負荷状態に応じた最適ゲインを計測します。
ARM
Cortex-M4F
WDT
FLASH
16bit Timer
RAM
SIO/UART
DMA
OFD
New Vector
Engine
(A-VE)
PMD
システム構成
●パソコン
●インバータ基板
●PTS3 基板
●モータ
時間の掛かるベクトル制御のモータ評価時間を削減。
お客様の負担を減らしモータを回すことが可能です。
顧客インバータ基板
12bit A/D
PTS 操作、
測定結果保存
PTS3
IO port
ROM
TMPM470FDFG 512KB (Flash)
・電圧検出回路 (VLTD)
A-ENCODER
Debug
I2C/SIO
製品名
・周波数検知回路 (OFD)
より進化した最適ゲイン選定用データ
モータパラメータチューニングシステム (PTS) は、
モータ定数 ( インダクタンス、抵抗 ) を自動測定します。
4.5 ~ 5.5V(単一電源/レギュレータ内蔵)
120MHz
Flash ROM: 512KB
SRAM: 32KB
JTAG/SWD/SWV 2bitトレース対応
クロックギア (1/2, 1/4, 1/8, 1/16に分周可能)
スタンバイモード (IDLE/STOP)
・動作電圧
モータのベクトル制御に必要なパラメータを自動的に測定
また、ベクトル制御に必要な PI 演算のゲインをシステム上で計測することで、
10MHz
● Cortex-M4F コア
2
らびに PMD とタイマの連動により、ソフト処理なく転流動作が可能
※ NANO FLASH は株式会社東芝の登録商標です。
図 2:東芝独自のモータ制御用ハードウェアの推移
より高機能になっています。
40MHz の速度ながら、VE+ 搭載によりベクトル制御のソフト実行時
● CAN コントローラを搭載(TMPM475)
正弦波出力回路
1st generation
流/電圧の相変換演算に加え、非干渉制御、デッドタイム補償を加え、
クトル制御用マイコン 3 品種の販売を開始します。
アドバンストエンコーダ(A-ENC)
位置検出、自動転流
保護機能
を短時間で実行可能です。A-VE は第三世代 VE で、基本機能である電
バンストエンコーダ(A-ENC)、プログラマブル ADC を搭載した、ベ
●
PMD2
Cortex-M4F コアは、Cortex-M3 コアをベースに、浮動小数点演算
Cortex-M0 コア 40MHz にベクトルエンジンプラス(VE+)、アド
多機能 VE
位置検出回路
プログラマブルADC
■ TMPM470 グループ
■ TMPM070 グループ
高速 ADC
測定結果(最適ゲイン範囲)を
3Dグラフで表示
電流波形等の測定時のデータを保存
測定後に実際のモータの動作を確認可能
電流時定数
RAM
パッケージ
32KB LQFP100
BLDC
モータ
SIO
PTS
Algorism
USB(UART)
⊿θ
誘起電圧
● パッケージ
・LQFP100 14x14mm 0.5mmピッチ
図 3:TMPM470FDFG / TMPM475FDFG
26
ARM PARTNERS SUCCESS
図 4:パラメータチューニングシステム (PTS)
図 5:進化した最適ゲイン選定用データ
ARM PARTNERS SUCCESS
27
Success STORIES
Success STORIES
スパンション
スパンション
スパンションがCortex-R5マイコンを拡充。
産業・家電のARMエコシステムを
次世代の車載の世界へ。
コンなどの制御(ボディ系)に向けた「CAN FD
電)する」ジェネレータがあり、「それぞれの制
MCU(S6J311x)
」を、同年 10 月にスピードメー
御に一つの CPU コアを割り当てることを想定し
タや燃料計などの次世代クラスター(インパネ)
て、デュアルコア構成を採用しました」
(田子
に向けた「2D/3D グラフィックス MCU(S6J32x)
」
氏)。各 CPU コアは最大 200MHz で動作する。
米国スパンションは、Cortex®-R5 コアを搭載する車載用マイコン「 Traveo™(トラビオ)ファミリ」を出荷している。自動車のパワー
を発表した。さらに 2015 年には、ボディ系やク
トレイン系、ボディ系、クラスター系の三つの用途に向けた製品を提供する。ここでは、Traveo ファミリの機能や特徴について説明す
ラスター系の製品を 4 ~ 6 品種発表する予定。
る。また、
2015 年 2 月に同社が発表した HMI(Human Machine Interface)向け汎用マイコン(FM4ファミリ)の概要についても述べる。
スパンション
取締役
布施 武司 氏
るレゾルバ(角度センサー)のインタフェース
ファミリ名の「Traveo」は、乗り物による移
回路、および CPU コアの負荷を減らすベクトル
動や旅を意味する「Travel」からきているとい
演算器を 2 個ずつ搭載している。例えばベクト
う。同社はこれまでマイコン製品に、「F」で始
ル演算器は、モーターの角度計算、3 相電流の正
まるファミリ名を付けることが多かった。「ス
規 化、3 相 -2 相 変 換、PID(Proportional Integral
パンションに変わったということ、そして車載
Differential)制 御、 電 流 - 電 圧(I-V)変 換、2 相
用にもいよいよ ARM マイコンを使う時代が来た、
-3 相変換といった処理を実行する。
ズムの検証に使用できる評価ボード(MB2198-
16 ビット、32 ビットのマイコン製品を出荷して
2010 年頃に ARM アーキテクチャの採用へと舵
同社は、本マイコンの評価や制御アルゴリ
という強いメッセージを出したいということで、
新しいブランド名を付けました」
(赤坂氏)。
いる。このうち 32 ビット・マイコンについては、
本マイコンは、モーターの回転位置を検出す
770-E)も用意している(次ページ 図 2)。この
デュアルコア構成で
ボードは、車載ネットワークへの接続用として
モーター駆動と電力回生に対応
FlexRay や CAN(Controller Area Network)、 シ
を切った。
リアルインタフェース(UART、SPI)の各インタ
EV/HEV のパワートレイン系で使う「ツイン
フェースを備えている。また、プログラミング
した汎用マイコン「FM4/FM3/FM0+ ファミリ」
モーター MCU」は、倍精度の浮動小数点演算ブ
用のシリアル /USB インタフェース、モーター
がよく知られているが、車載用マイコンについ
ロックを備える Cortex-R5F コアを 2 個搭載して
電力供給ボードと接続するためのインタフェー
ても Cortex-R4 コアを搭載した「FCR4 ファミリ」
いる。EV/HEV 駆動システムには「自動車を駆
ス、2 チャネルのレゾルバ・インタフェース回路
を 2010 年頃に製品化している。当時、日本の
動する」モーターと「減速時に電力を回生(発
なども装備する。
同社の製品では、ARM Cortex-M 系コアを搭載
自動車業界において ARM マイコンに対する期待
度はそれほど高くなかった。しかし 2011 年 3 月
■ S6J326CK / S6J326CL
の東日本大震災を経て、マイコンの 1 社集中購
自動車に搭載されるマイコンは、その他の機
器(家電機器や通信機器、産業用機器など)に
今年は 40nm プロセスで製造した製品を出荷す
買に対するリスクが強く意識されるようになり、
カーもユーザーも保守的である。
る予定です。また、マイコンに組み込むフラッ
安定供給を重視する自動車メーカーや電装機器
組み込まれるマイコンに対して、「別格」とし
しかし、こうした状況は徐々に変わりつつあ
シュメモリについては、微細化や高速化に対応
メーカは、複数の半導体メーカーから調達しや
て扱われることが多い。これは、安定供給、長
るようだ。汎用マイコンの市場でシェアを伸ば
しやすい eCT(embedded Charge Trap)技術を
すい ARM マイコンに目を向けるようになった。
期保証、緊密な顧客サポート、振動や熱、ノイ
している ARM® アーキテクチャが、車載用マイ
導入しています」
(布施氏)。
ズへの対応、機能安全認証、セキュリティなど、
コンに実装されるようになったことが、その一
自動車特有の要求が多く存在するためである。
因となっている。スパンションは、車載用マイ
その結果、車載用マイコンの市場は参入障壁
が高く、閉鎖的な印象が強い。例えば、車載用
28
る。技術情報の開示について、マイコンのメー
コンの世界に ARM のエコシステムを根付かせよ
こうした追い風を受けて、2014 年にスパン
ションが新たに市場へ投入した車載用マイコン
Cortex-R5 コア搭載の
車載用マイコンを続々発表
である(図 1)
。同年 5 月に電気自動車(EV)や
マイコンの世界では独自の命令セット・アーキ
「現在、55nm および 90nm の CMOS プロセス
スパンションは、前身となる旧富士通セミ
トレイン系)に向けた「ツインモーター MCU
テクチャや専用の開発ツールが幅をきかせてい
で製造したマイコン製品を出荷していますが、
コンダクターのマイコン事業の頃から、8 ビット、
(MB9DF56x)
」を、同年 6 月に照明やドア、エア
ARM PARTNERS SUCCESS
Traveo™
Max Frequency 240MHz
CAN FD / EthernetAVB / MediaLB / SMC
Traveo 2D / 3D engine
Cortex-R5
クラスタ
■ S6J324CK / S6J324CL
Cluster SoC
Traveo™
■ S6J312A / S6J3129 / S6J3128
Cluster
Traveo™
Max Frequency 112MHz
CAN FD / LCDC / SMC
■ S6J32DAK / S6J32DAL
Cortex-R5
Max Frequency 240MHz
CAN FD / EthernetAVB / MediaLB / SMC
Traveo 2D engine
Cluster SoC
Traveo™
Body
ボディ
Traveo™
Max Frequency 144MHz
CAN FD / Flash max 4MB
Cortex-R5
EV/HEV
モーター
(パワートレイン)
Max Frequency 160MHz
CAN FD / SMC
Traveo 2D / 3D engine
Cortex-R5
Cortex-R5
■ S6J311E / S6J311D / S6J311C / S6J311B
が、
Cortex-R5 コアを搭載した「Traveo ファミリ」
ハイブリッド車(HEV)のモーター制御(パワー
うとしている半導体メーカーの 1 社である。
Cluster SoC
■ S6J311A / S6J3119 / S6J3118
Body
Traveo™
Max Frequency 96MHz
CAN FD / Flash max 1MB
Cortex-R5
■ MB9DF566 / MB9DF565 / MB9DF564
TwinMotor
Control
Traveo™
Cortex-R5
Dual
Max Frequency 200MHz * 2
Motor control / 2 * RDC / 3 * 12bit ADC
CAN / Flexray
2014
2015
図 1:Traveo ファミリのロードマップ。
ARM PARTNERS SUCCESS
29
Success STORIES
Success STORIES
スパンション
スパンション
コ ア と 最 大 4M バ イ ト の フ ラ ッ シ ュ メ モ リ を
ビット D-A コンバータや、複数の音源の音を重
内 蔵 し て い る。 ま た、 車 載 ECU(Electronic
ねるためのミキサ回路を搭載している。ミキサ
Control Unit)のセキュリティを確保するための
は、例えばカーナビの音声に効果音を重ねる場
機能として、SHE(Secure Hardware Extension)
合などに使用し、グラフィックと合わせてユー
Version 1.1 規格に準拠する暗号化モジュールを
ザー体験の向上に寄与する。さらに、SHE 準拠
搭載した。これは、暗号鍵の管理を CPU コア
の暗号化モジュールも搭載している。
からハードウェア的に分離し、認証処理によっ
スパンション
自動車事業本部
自動車事業部
事業部長
赤坂 伸彦 氏
なお、車載用マイコンのユーザーに対して、
てデータの改ざんや抜き取りを防止する仕組み
ISO26262(自動車向け機能安全規格)に基づく
である。SHE 規格は、欧州の電装機器メーカー
「セーフティ・マニュアル」を提供する。このド
な ど を 中 心 と す る 業 界 団 体 の EVITA(E-safety
キュメントには、車載用マイコンの安全メカニ
Vehicle Intrusion Protected Applications)が 策
定している。「製造不良がセキュリティ・ホー
ルになることもあります。出荷テストでは、通
常の故障モードのほかに、SHE(暗号化モジュー
スパンション
自動車事業本部
自動車事業部
プロダクトマーケティング部
部長
田子 治 氏
ル)との連携動作を考慮した特殊な書き込み試
5Mbps 伝送が可能な
次世代 CAN に対応
自 動 車 の ボ デ ィ 系 制 御 に 使 用 す る CAN FD
MCU は、その名の通り車載ネットワークの新
特徴である。CAN FD は、自動車や FA(Factory
篭橋 悟 氏
スパンション
ズム、故障モードに対する故障検出アーキテク
マイコン事業部
マーケティング部
部長
チャ、ハードウェアのコンフィグレーションな
どが記載される。
中津浜 規寛 氏
2D 描画と音声コマンド入力を
低コストで実現
対応する。「当社製のグラフィックス・ライブ
イ コ ン の 評 価 ボ ー ド(S6T3J300111A176A2)
す る。WVGA(800 画 素 × 480 画 素 )と WQVGA
も 提 供 し て い る。CAN FD の ほ か、LIN(Local
(400 画素× 240 画素)の 2 画面出力に対応して
CAN FD、MOST(Media Oriented Systems
ここまで、車載用マイコンの新製品について
オーサリング・ツールを開発しているサード
Interconnect Network)やシリアル(UART)と
おり、例えばクラスター・ディスプレイとヘッ
Transport)、Ethernet AVB(IEEE 802.1 Audio/
述べてきたが、同社は Cortex-M 系コアを搭載す
パーティとの協業も計画しています」
(中津浜
いったインタフェースを備えている。
ドアップ・ディスプレイの 2 画面を同時に制御
Video Bridging)のインタフェースを備えている。
るマイコン製品の拡充も進めている。
氏)。
できる。ヘッドアップ・ディスプレイでは、投
ディスプレイとの接続については、ディジタ
す で に Cortex-M3 コ ア を 搭 載 す る FM3 フ ァ
ボイス制御 MCU では、不特定話者による音
影するガラスの曲面に合わせた画像の歪み補正
ル RGB 出 力、RSDS(Reduced Swing Differential
ミリを 500 品種以上、Cortex-M4 コアを搭載す
声コマンドの認識をソフトウェア処理によって
(Warping)が必要になる。このような画像処理
Signaling)
、FPD-Link に 対 応 す る。FPD-Link は
る FM4 ファミリを約 100 品種市場に提供して
実現している。「声の高さや話速、イントネー
も、グラフィックス・コアを利用してリアルタ
LVDS 規格の一種で、サイズの大きいディスプ
いる。また、Cortex-M0+ コアを搭載する FM0+
ションが変わっても、高い確度で認識でき、登
イムに実行できるという。
レイや離れた場所にあるディスプレイとの間の
ファミリを今後 100 品種以上ラインアップする
録できる音声コマンド数は現在は 100 個で、日
データ転送に利用する。
予 定 だ。2015 年 2 月 に は HMI(Human Machine
本語以外の言語にも対応できます」
(山下氏)。
Interface)の応用に向けた FM4 ファミリの新製
また、1M バイトのフラッシュメモリを二つ内蔵
2D/3D グラフィックスで
クラスターの表現力を向上
Automation)機器などで普及しているネット
車載ネットワークとの接続については、LIN、
ラリとオーサリング・ツールを提供しています。
ワーク規格 CAN の次世代版で、CAN の開発元で
クラスター向けに供給される2D/3Dグラフィッ
あるドイツ Robert Bosch 社が 2012 年 3 月に仕様
クス MCU には、最大 240MHz で動作する Cortex-
グラフィックス・データを格納する外付けの
を公開している。従来の CAN は、ペイロードの
R5F コ ア と 共 に、 独 自 に 開 発 し た 2D/3D グ ラ
フラッシュメモリとの接続については、同社が
データ長が 8 バイト固定だったが、CAN FD では
フィックス・コア(GPUコア)を組み込んだ。こ
2014 年 2 月に発表した高速メモリ・インタフェー
品を発表した。2D 描画とディスプレイ制御の機
する。これにより、片方のフラッシュメモリを
最大 64 バイト可変(12/16/20/24/32/48/64 バ
のグラフィックス・コアは、2D ラスタ描画、2D
ス規格「HyperBus™」に対応している。HyperBus
能を備える「グラフィックス MCU(S6E2DH)」
使って音声認識処理を行ないつつ、もう片方で
イト)となっている。これに伴って、伝送速度
ベクタ描画、3Dポリゴン描画、ディスプレイ制御、
対応のフラッシュメモリ(HyperFlash)と組み合
と、音声コマンド入力を実現する「ボイス制御
プログラムのオンラインアップデートを実行で
は数百 Kbps ~ 1Mbps(通信路長などにより異な
画像キャプチャ制御といった機能モジュールを
わせた場合、最大 200M バイト /s の速度でグラ
MCU(S6E2CCxxF/G,MB9BF568RF)」である。例
きる。
る)から最大 5Mbps に向上した。
備えている。また、本マイコンは前述のCAN FD
フィックス・データを読み出せるという。
えば冷蔵庫などの家電機器、ウェアラブル機器、
また本マイコンは、オーディオ出力用の 16
CAN FD を利用すると、既存の CAN ネットワー
MCU と 比 べ て、 よ
POS(Point of Sale)端末、ヘルスケア機器など
クおよびソフトウェア資産への影響を最小限に
り多くの種類の外部
の入出力パネルの表示、および音声コマンド入
抑えながら、従来の CAN より高速なネットワー
インタフェースを備
力に利用できる。
クを構築できる。
「パワートレイン系やシャー
えている。
グ ラ フ ィ ッ ク ス MCU の 周 辺 機 能 は、 前 述
スピードを重視した
積極的な事業展開
汎用マイコンの高性能 CPU コアの拡充に向け、
シ系(サスペンション、ステアリングなど)の
ま た、2M バ イ ト
のクラスター向け車載用マイコンと共通点が
ARM 社から Cortex-M7 コアのライセンスを取得
ネットワークには、高機能な FlexRay が用いら
の V R A M( ビ デ オ
多 い。 グ ラ フ ィ ッ ク ス・ コ ア は、 コ ス ト 効
したことを 2014 年 11 月に発表した。「スパン
れています。一方、ボディ系やクラスター系で
RAM)を内蔵してお
率 や 消 費 電 力 を 考 慮 し て 機 能 を 絞 っ て い る。
ションになって 1 年半。米国企業としての良い
コスト要求の強いところは CAN FD で対応して
り、外付けの VRAM
ま た、512 K バ イト の VRAM を 内 蔵 し て お り、
ところと、私たちが培ってきた良いところの相
外付けのRAMがなくても機能する。フラッシュ
乗効果を引き出し、スピードを上げて事業を展
メモリ用高速インタフェースの HyperBus にも
開していきたい」
(布施氏)と結んだ。
いきます」
(田子氏)。
本マイコンは、最大 144MHz 動作の Cortex-R5
30
技術本部
マイコン設計センター
自動車マイコン設計部
プロジェクト課長
験も行っています」
(篭橋氏)。同社では、本マ
規格である「CAN FD(CAN with Flexible DataRate)」インタフェースを搭載する点が大きな
スパンション
ARM PARTNERS SUCCESS
スパンション
マイコン事業部
マーケティング部
(D D R 3 S D R A M な
ど)がなくても動作
図 2:ツインモーター MCU 評価ボードによるデモンストレーション。
山下 博義 氏
ARM PARTNERS SUCCESS
31
テクニカル・ノート
スパンション
Technical NOTE
人とモノをつなぐ、スパンション HMIソリューションのご提案
Cortex®-M4F 搭載 FM4ファミリ
グラフィックスディスプレイコントローラ内蔵
FM4 ファミリ S6E2DH シリーズ
S6E2DH シリーズは、高性能 ARM® Cortex-M4F コア搭載の MCU
です。2D レンダリンググラフィックスディスプレイコントローラ
(GDC)
、専用ビデオ RAM、豊富な通信やデジタルペリフェラルを統
合して業界最先端の組み合わせを実現しています。
■ S6E2DH シリーズの主な特長:
● ARM 社製 Cortex-M4F、160MHz 動作
○ 384KB フラッシュ、36KB SRAM
USB 2.0(ホスト / デバイス)、DMAC(8ch)、DSTC(128ch)
、
○
CAN-FD、I2S(2ch)、SD カードインタフェース
レイの一体化を実現する統合型の組み込みプロセッサです。GDC は、
リッチなグラフィックス処理が可能で、S6E2DH マイクロコントロー
ラ CPU のグラフィックス処理への負荷を大幅に低減することができ
ま す。 さ ら に、NAND や NOR フ ラ ッ シ ュ お よ び SDRAM へ の 高 速
インタフェースやスパンションの HyperBus™ インタフェースがグラ
フィックス機能の一部となっており、コード実行を阻害することなく、
高速で画像データを転送することが可能です。
■応用例(ターゲットアプリケーション)
・表示機能を有する白物家電(洗濯機、電子レンジ、冷蔵庫等)
・ヘルスケア製品(血圧計、体組成計等)
・産業機器・計測機器(制御装置等)
・セキュリティシステム(ドアホン、認証システム等)
・その他表示デバイスを有する各種システム
外部バスインタフェース(SRAM、SDRAM、NOR フラッシュ、
ARM Cortex-M 系 CPU のプログラム開発に必要な各種 3rd パーティ
S6E2CCxxF/G シ リ ー ズ は、ARM Cortex-M4F プ ロ セ ッ サ と、2
つのバンクに分けられた最大 2MB オンチップフラッシュを搭載した
NAND フラッシュ)
24 チャネル 1Msps 12 ビット ADC
○ 8 チャネルベースタイマ
(PWC/ リロードタイマ /PWM/PPG)
○ インバータ制御に最適な、多機能タイマ
○ デュアルフラッシュバンク、1 バンクにつき最大 1 MB ブロック
DSTC(256ch)
、CAN-FD、CAN(2ch)
、I2S,
SD カードインタフェース、Ethernet MAC
○ 外部バスインタフェース
利用して、スパンション独自のボイスコマンド制御ソリューションを
(SRAM、SDRAM、NOR フラッシュ、NAND フラッシュ)
準備しました。これによりコストを重視する各種アプリケーションや
○ 最大 32 チャネルまでの 2Msps 12 ビット ADC、
ホーム IoT 市場への HMI の応用が容易となります。
2 チャネル 12 ビット DAC
(UART/CSIO(SPI)/ I2C/LIN)
■ボイスコマンド制御 ライブラリ機能:
○ 多機能タイマ 3 ユニット(A/D 起動コンペア、IC、OC、
話者独立型ボイス制御
波形ジェネレータ、フリーランタイマ、PPG タイマ)
○ 100 以上のコマンドに対応
○ 16 チャネル UART/CSIO(SPI)/I2C/LIN
○ 内蔵フラッシュに保存および
○ 192 ピンの FBGA パッケージおよび 176 ピンの LQFP
●
● 統合型 2D レンダリング
グラフィックスディスプレイコントローラ(GDC)
○ 最大 512KB までのビデオ RAM および
リアルタイムにデコードされたコマンド
2MB ビデオ用フラッシュ(SiP 品の場合)
○ 高速クアッド SPI、HyperBus インタフェースおよび
SDRAM インタフェース
○ 内部VRAMで最大WVGAまでの解像度(8ビットカラー)に対応
○ 外部SDRAMで最大SVGAまでの解像度(24ビットカラー)
に対応
○ テキストファイルを使って定義されたユーザコマンド
■ FM4 S6E2CC シリーズデータシート :
○ コマンドをライブラリ機能に変換するために
http://www.spansion.com/downloads/s6e2cc_ds709-00009-e.pdf?hmipr
提供されたソフトウェア
● ノイズ低減機能を内蔵
● 複数の言語に対応(英語、中国語、ドイツ語、日本語)
● 120/176 ピンの LQFP/TEQFP パッケージ、
● ボイス区間検出、ウェイクアップワード
および 161 ピンの FBGA パッケージ
● 利用者の発音認識サポート
http://www.spansion.com/downloads/s6e2dh_ds709-00029-e.pdf?hmipr
■開発環境・ツール
ボイスコマンド制御ライブラリが付属されたS6E2CCシリーズスター
タキットは、3 月より提供開始となります。
お問い合わせ先
Spansion コーポレートコミュニケーション部
〒210-0004 神奈川県川崎市中原区新丸子東三丁目1200 番地 KDX武蔵小杉ビル
リングツール(無償)およびスターターキットを 2015 年 3 月より提
TEL :044-920-8132
供する予定です。
E-mail:[email protected]
Graphics MCU
Keypad
GPIO
Mic
I2S
Speaker
I2S
A/D
Touch Sensor
I2C/SPI
Voice MCU
USB
Cortex-M4F
Flash / RAM
384KB / 36KB
Graphics
2D
Engine
Microphone
SD IF
Wi-Fi
MFS
Serial IF
Sensor, etc.
CAN
BEMS
QSPI,
HyperBus
TFT Panel
図1:スターターキット外観
Display
Controller
SDRAM IF
Speaker
Cortex-M4F
Codec
I2S
ASR
Automatic
Speech
Recognition
Switch
Flash
A/D
Custom
Commands
Software on MCU
HS
QSPI
32.768kHz
RTC
SDRAM
Keypad
図 3:スターターキット外観
GPIO
USB
USB
SD IF
Wi-Fi
MFS
Serial IF
Sensor, etc.
CAN
BEMS
External
Bus
1MB
1MB
LVD
VRAM
512KB
図 2:MCU ブロック図および周辺システム接続例
Security
(200MHz Max)
SPI Flash
2MByte(SiP)
ARM PARTNERS SUCCESS
○ 最大 2MB のフラッシュ、最大 256KB の SRAM を準備
○ 16チャネルベースタイマ(PWC/リロードタイマ/PWM/PPG)
8 チャネル多機能シリアルインターフェース
製統合開発環境の他に、スパンションより専用グラフィックスオーサ
32
● ARM 社製 Cortex-M4F、最大 200MHz 動作
FM4 ファミリの中でも特に性能を追求したマイコンです。本製品を
○
■ FM4 S6E2DH シリーズデータシート :
■開発環境・ツール
■ S6E2CC シリーズの主な特長:
○ USB 2.0(ホスト / デバイス:2ch)、DMAC(8ch)、
○
○
本シリーズは、産業・民生・家電アプリケーションにおけるディスプ
高性能マイコン FM4 ファミリ
S6E2CC シリーズを利用した
ボイス制御ソリューション
Dual Flash
Bank
RAM
256KB
Ethernet
MFT
DAC
pSRAM
Voice
command
data
TFT Panel
Text Display
of Voice
Command
図 4:MCU ブロック図および周辺システム接続例
ARM PARTNERS SUCCESS
33
Success STORIES
Success STORIES
京都マイクロコンピュータ株式会社
京都マイクロコンピュータ株式会社
内部バストラフィックを見える化。
PARTNER-Jet2が
「統合コックピット」を提唱している。その 3 つ
としたデバッガに注力してきており、R-Car の多
とは、(1)フレキシビリティ、(2)スケーラビ
くのユーザーへの納入実績がある。しかし、最
リティ、(3)パーソラナイズである。フレキシ
近ではソフトウェアのサイズが大きくなり、プ
ビリティは、自動車メーカー各社の要求に対す
ラットフォーム系やオープンソース系の OS が
ルネサスエレクトロニクス(以下、ルネサス)は、以前から自動車分野を注力分野のひとつとしてきており、制御系や情報系に向
るマルチ仕様を実現することだ。スケーラビリ
使われるようになると、ユーザーのデバッグに
けた多くのソリューションを提供してきている。情報系に向けた SoC である R-Car の第二世代の出荷を開始している。R-Car は第
ティは、エントリーからプレミアムまでライン
対する要望に変化が出てきた。
二世代から内部バスのトラフィックが計測可能な機能を追加し、京都マイクロコンピュータ(以下、KMC)の JTAG エミュレータ
ア ッ プ を 持 た せ、 い ず れ の R-Car で も ソ フ ト
R-Carの性能を最大限に引き出す。
「PARTNER-Jet2」で、バストラフィックがリアルタイムかつビジュアルに計測できるようになった。
「ソースコードデバッグはできて当たり前で、
ウェアの互換性を持つことで、マルチ車種に拡
それに加えてバストラフィック計測など、い
張できること。パーソラナイズは、個人に応じ
ろいろ SoC 内部に探りを入れたいというニー
たマルチニーズを手軽に実現できることとなる。
ズが出てきています。そこで第二世代の R-Car
こういったコンセプトを満たすためのソフ
に入っている機能を用いて、バストラフィッ
トウェア開発やデバッグは、複雑かつ大規模化
ク計測ができようにしました。バストラフィッ
しており、効率的な開発ツールが求められてい
ク計測は、半導体メーカーが開発に使用して
る。そのニーズに応えたのが、KMC の PARTNER-
いる高価なツールやシミュレータでは可能で
Jet2 である(次ページ 図 2)
。PARTNER-Jet2 は、
すが、JTAG ポートで手軽にできるのは珍しい
Linux など IT 系の OS 上で動作するアプリケー
PARTNER-Jet をベースに 64 ビットコアやバス
と思います」
(KMC 辻氏)という。CPU とメモ
ションは ARM を活用することが多いという。ま
トラフィック計測に対応するなど進化させたも
リ間のトラフィックが性能に大きく影響する。
た、以前 SH 向けに開発し、安定しているアプ
のだ。
以前のように複数のデバイスを基板上で接続
ルネサス エレクトロニクス株式会社
車載情報システム事業部
車載情報戦略部
部長
吉田 正康 氏
リケーションは、そのまま SH で動かしたいと
いうニーズも多く、それらに応えているとのこ
していた時には、ロジックアナライザなどを
内部バストラフィック計測を
JTAG ポートでできるのは珍しい
とだ。
ルネサスでは、車のオーナーや自動車メー
用いて測定することも可能だが、R-Car のよう
な近年の SoC は、機能が統合されているため、
それもできない。
KMC は、以前から JTAG エミュレータを中心
カーなどのニーズに応じた 3 つのコンセプトの
「 従 来 は ユ ー ス ケ ー ス を い た だ き、 ト ラ
フィック幅を机上で計算していました。でも
その方法ですと、お客様が仕様を変るたびに
H2
幅広いラインアップと
3 つのコンセプト
もはや自動車は、動くコンピュータと言っ
の幅広いラインアップを持つ。ちなみに第一世
として SH-Navi や EMMA Car などカーエレクト
代の R-Car は、R-Car H1、R-Car M1A、R-Car E1 と
ロニクス分野に向けた SoC を提供してきまし
なる(図 1)。開発用ボードも各 R-Car ごとに用
た。いままで複数のアーキテクチャが混在して
意されている。
ても良いほど、エレクトロニクス化が進んでい
いたのですが、2011 年にそれらを統合したのが
い ず れ の R-Car も ARM® と SH な ど の マ ル
る。ECU(Electronic Control Unit)に代表される
R-Car です。2013 年~ 2014 年にかけて、R-Car の
チ CPU 構成としており、使用されるアプリケー
制御系はもちろんのこと、カーナビゲーション
システムなどに代表される CIS(Car Information
System:車載情報システム)の普及もめざましい。
ルネサスは、CIS に向けた SoC として R-Car を
34
提供している。「以前からルネサスは、情報系
ARM PARTNERS SUCCESS
第二世代の出荷を開始しています」
(ルネサス吉
田氏)。
第 二 世 代 の R-Car は、R-Car H2、R-Car M2、
R-Car E2 というプレミアムからエントリーまで
ションによって CPU コアを使い分けることがで
きる。たとえば、エンジン起動時にカメラを立
ち上げるとか、ラジオのチューニングなど速く
起動させたいアプリケーションは SH を使用し、
H1 12K DMIPS
・4x Cortex-A9
・SH-4A
・Automotive, 45nm
・4x Cortex-A15
・4x Cortex-A7
・SH-4A
・Automotive, 28nm
M2
M1A 3K DMIPS
・Cortex-A9
・SH-4A
・Automotive, 45nm
E1 1.3K DMIPS
・Cortex-A9
・Automotive, 45nm
・2x Cortex-A15
・SH-4A
・Automotive, 28nm
CA15
CA15
CA7
CA7
IMP
Image
CA15
CA15
CA7
CA7
Ethernet
AVB
G6400
Graphics
CA15
SGX544MP2
Graphics
図 1:R-Car の製品ラインアップ。
USB3.0
VCP3
FullHD codec
アルタイムで計測ができませんでした。そこで、
R-Car の第二世代からは、バストラフィック計
測ができるような機能を追加しました」
(ルネ
Ethernet
AVB
CA15
USB3.0
サス伊藤氏)。
具体的には、バスの要所ごとにカウンタを設
け、メモリ間のデータの流れをカウントするこ
とでトラフィック数を見ている。各所にあるカ
E2
・2x Cortex-A7
・SH-4A
・Automotive, 28nm
VCP3
FullHD codec
再計算が必要になり、システムの動作中にリ
CA7
SGX540
Graphics
CA7
VCP3
FullHD codec
Ethernet
AVB
ウンタを一元管理する機能があり、それに対し
USB2.0
て、カウントのスタート/ストップ、カウント
のパターンなどの設定を JTAG を介してプログ
ラミングしている。
ARM PARTNERS SUCCESS
35
Success STORIES
Success STORIES
京都マイクロコンピュータ株式会社
京都マイクロコンピュータ株式会社
面の一部が欠けるとか音が飛ぶなどの不具合が
きるなど、多くの特長を持つ。
起きたとき、バスの問題かもしれないなど、不
グアーキテクチャである CoreSight™ に寄ると
具合の要因の切り分けが可能になります」
(KMC
よりソフトウェアとの連動性を高めていくとい
ころが大きい。通常の CPU を介してデバッグ
由良氏)。「まずは状況を把握し、そして改善す
う。「現在、関数とバス負荷の関連性を見るこ
することに加え、CoreSight のオプションであ
る。その後で、きちんと改善されたのかを検証
とができる専用ソフトウェアを開発中していま
る AXI-AP を用いることで、CPU を介さずにカ
する必要があります。そのためにも手軽にバス
す。これによって、バス負荷を高めている関数
ウンタを統合する機能ブロックにアクセスし
トラフィックを計測できるツールは有用です」
を特定することができ、きめ細かなチューニン
(KMC 辻氏)。さらに、計測のための特別な準備
各 種 設 定 が 可 能 と な っ た か ら だ。「CPU を 介
京都マイクロコンピュータ株式会社
東京オフィス
ゼネラルマネージャ
グが可能になります」
(KMC 由良氏)。
また、PARTNER-Jet2 とのさらなる統合、ソフ
するデバッグでは、CPU を止めない限りメモ
が不要な点も大きなメリットである。いままで、
リを読むことはできません。今回のバストラ
こういった計測を行う場合、バスの負荷を重く
トマクロ方式のトレースへの対応、専用プロー
したダミーのプログラムを用意するなど手間が
ブの追加で LCD の LVDS(Low Voltage Differential
必要だった。今回のツールでは、ダミーのプロ
Signaling)のロギング、外部インタフェースのロ
グラムなどを一切用意することなく、実システ
ギングなども可能にしていくという。
ルネサス エレクトロニクス株式会社
フィック計測の肝は、CPU を介さずに測定し
車載情報システム事業部
コックピットソリューション部
担当課長
て い る こ と で す。 ま た、PARTNER-Jet 時 代 か
ら 培 っ て き た KMC の 高 速 JTAG 制 御 技 術 が あ
辻 邦彦 氏
バストラフィック計測ツールの今後として、
こういったことができるのは、ARMのデバッ
伊藤 伸高 氏
るため、高精度・正確な計測を実現できまし
た」
(KMC 辻 氏 )。「 し か も、 計 測 対 象 と な る
東京オフィス
由良 守 氏
「今回のバストラフィック計測は、R-Car に計
ムで計測できる。
「ダミーのプログラムの使用など実システム
測機能が搭載されていたからこそ実現できたも
ルネサスとしては、今後 CIS の高性能化に応え
「あくまで計測ツールなので、ソフトウェア
ソフトウェアを変えずに済むことは、お客様
たように上がらないことが多く、バス負荷を上
のプログラムに手を入れると、バスの負荷が変
のです。しかし、オンチップデバッガが進化し
るべく、大規模化/複雑化するチップセットの
の改変が不要で、CPUを止めずにバストラフィッ
にとっても大きなメリットがあります。測定
げるプログラムを書くのは意外と難しいもので
化したり、全体の挙動が変わってしまうことが
てきたように、今後はバストラフィック計測の
開発に注力していきます。また、いままでにな
ク計測が可能となっています」
(KMC 辻氏)。
のためのプログラムを作る必要がなく、実機
す。このツールを用いることでバス負荷を上げ
あります」
(ルネサス吉田氏)。さらに、手を入
ための機能が一般化していけば、他の SoC でも
かったような複雑なソフトウェア開発やデバッ
に付いているデバッグポートを使用できます」
たときの状況を見ることができます」
(KMC 辻
れたプログラムを再ビルドするだけでも多くの
できるようになるでしょう」
(KMC 辻氏)。「第
グなどのニーズに対して、パートナーと共に
氏)。
時間がかかってしまうことも避けられる。
三世代の R-Car には、さらに細かくバス負荷を
次々に新しいソリューションを提供していきま
見られるようにしていきますのでご期待くださ
す」
(ルネサス吉田氏)。 「高性能な SoC を活か
い」
(ルネサス伊藤氏)とのことだ。
すのはソフトウェアです。お客様が最もコスト
ソフトウェア開発者にとって
使い易い情報が得られる
(KMC 由 良 氏 )。「SoC 内 部 の バ ス ト ラ フ ィ ッ
ク計測ツールは、シミュレーションのものが
「自動車のアプリケーションは特に高い信頼
ルネサス側のメリットとして、吉田氏は、ま
ほ と ん ど な の で、 今 回 の PARTNER-Jet2 の よ
性が求められますので、バスの使用率やピーク
ずはお客様にとって問題点を洗い出せることで
今回のバストラフィック計測は、第二世代の
うに実システムでリアルタイム計測できるの
時の値を前もって知っておくことがポイントと
開発の効率化が図れること。次に、ルネサスと
R-Car に対して ARM 用 JTAG 接続のみで SoC 内部
はほとんどなかったと思います」
(ルネサス吉
なります。バストラフィック計測ツールを用い
して、SoC 開発に際して内部バスや各ブロック
の AXI バス負荷などを測定できるものだ。しか
田氏)。
ることで、いろいろな条件でピークを越えない
の動きの最適化を手軽に図れることを挙げた。
も、測定用のソフトウェアやハードウェアの改
変が不要、ARM 用 JTAG さえ接続すれば製品出
荷用 ROM でも計測可能、Cortex®-A15 / A7 プロ
利用しキャッシュヒット率などを同時に測定で
をかけているのがソフトウェア開発であり、今
技術的な
無理難題を言い続けて欲しい
チューニングに加え
す」
(KMC 由良氏)。
さまざまな用途に対応可能
バスの負荷とソフトウェアの相関を把握する
今後はよりソフトウェアとの
連動性を高めていく
「『速くて使い易い』をコンセプトにした JTAG
ツールを KMC さんと一緒に開発してきました。
デバッガを提供してきました。そのコンセプ
ことが必要になることから、キャッシュのヒッ
トに加え、『常に進化し続けるツール』であり
いままで見えなかったバス負荷が見えるよう
ト率/ミス率をバス負荷の計測と同じ時間軸で
たいと思っています。PARTNER-Jet は提供から
に な る と、 バ ス ト
表示できるようにした。さらに、命令の実行状
10 年以上経過しますが、ハードウェアの改版
ラフィック計測に
況を表示することで、ソフトウェア自体のビ
なしにソフトウェアの進化のみで常に最新の
よるチューニング
ジー状態とバス負荷の状況を合わせて表示でき
アーキテクチャに対応してきました。もちろん
に 加 え、 さ ま ざ ま
るなど、長年デバッカを提供してきた KMC なら
PARTNER-Jet2 もそのように進化させていきま
な用途に対応でき
ではの機能が盛り込まれている(図 3)。
す。購入した後も常に進化し続けるツールを提
「バス負荷を上
げるようなプログ
供していきますので、技術的な無理難題を言い
バスの状態の把握と検証を
続けて欲しいと思います」
(KMC 辻氏)。
手軽にできるのが最大のメリット
さらに由良氏は、「PARTNER-Jet は進化し続け
ラムを書いたとき、
ARM PARTNERS SUCCESS
効率を上げることができるでしょう」
(ルネサス
「今回、R-Car に向けたバストラフィック計測
るようになる。
図 2:PARTNER Jet2 の外観写真。
回のようなツールを活用することで、少しでも
伊藤氏)。
ようにシステムを設計することが可能になりま
セ ッ サ の PMU(Performance Monitor Unit)を
36
京都マイクロコンピュータ株式会社
てきましたが、デバッガの範疇を出ていなかっ
CPU は キ ャ ッ シ ュ
ユーザーにとってこのツールを使うことの最
たと思います。R-Car のように SoC が大規模化し
を使ってしまうの
大のメリットは、状態の把握と検証にある。「た
た現在、デバッガに加えバストラフィック計測
でバス負荷が思っ
とえば、ある程度開発が進んだシステムで、画
図 3:R-Car 内部バス計測画面。
ツールなど、違うアプローチにツールが求めら
ARM PARTNERS SUCCESS
37
テクニカル・ノート
京都マイクロコンピュータ株式会社
Technical NOTE
USB3.0 対応高速 JTAG デバッガと、動的解析ツール
PARTNER-Jet2
PARTNER-Jet から、
PARTNER-Jet2 へ
USB3.0 対応高速化と、
ARM プロセッサデバッグ向け最適化
トレース機能の強化と、
動的解析ツール "QProbe"
Renesas 第 2 世代 R-Car 専用、
SoC バスプロファイルツール
■ 一万台以上の実績ある「PARTNER-Jet」
PARTNER-Jet2 は、高速動作を誇る PARTNER-Jet の全てを見直し、
ト レ ー ス メ モ リ 搭 載 の PARTNER-Jet2 Model20 で は、 標 準 で
PARTNER-Jet/Jet2 は、高速な JTAG 制御による快適なデバッガ使
2003 年 9 月から約 10 年にわたり、
JTAG エミュレータ「PARTNER-
さらに高速な JTAG エミュレータに生まれ変わりました。特に ARM
4GByte のトレースメモリを搭載します。これは 1GByte のトレース
用感を提供してきました。この高速 JTAG 制御技術を生かして、実現
Jet」を提供してきました。PARTNER-Jet は、当時の最速の JTAG
CoreSighrt デバッグアーキテクチャでより高速に動作するよう設計
メモリを搭載していた PARTNER-Jet Model40 の 4 倍の容量です。
したのが、第 2 世代 R-Car 専用 SoC バスプロファイルツールです。
エミュレータであっただけでなく、組み込みシステム開発の多様化や
しており、例えば Cortex-A9 搭載 SoC では、メモリダウンロードで
4GByte あると、例えば ARM Coretx-A9 でも約 30 秒(Coretx-A9
高機能化に伴うプロセッサや OS 環境の変化に対応すべく、常に進化
約 3 倍の高速化やステップ実行などの高速などを実現しており、より
シングルコア、1GHz、PTM トレース)のトレース保存が可能になり
第 2 世 代 R-Car に 内 蔵 さ れ て い る バ ス プ ロ フ ァ イ ル ユ ニ ッ ト を、
をし続けてきました。マルチコア対応、Linux 対応、また新規のプロ
軽快に使える PARTNER デバッガに仕上げています。
ます。さらに、PC との USB3.0 接続により、トレースデータを PC
Cortex プロセッサを介さずに JTAG から AXI-AP 経由で直接に設定と
セッサ対応をはじめ、多くの機能を追加しています。これらの進化
また、より高速に動作できるよう、ホストパソコンとの接続では
にストリーミング保存が可能になります。これにより、PARTNER-
読み出しを行う事で実現しています。JTAG 経由で外部から高速、か
は、発売当初の PARTNER-Jet でもデバッガソフトウェアのアップ
USB3.0 にも対応しています。そして、高速化のための見直しの結果、
Jet2 本体内の 4G バイトを超える容量のトレースデータ保存が可能で
つ正確に読み取るために、KMC が JTAG デバッガで培ってきた技術を
デートのみで最新の機能の全てが利用できるようになっています。例
USB2.0環境下でもPARTNER-Jetに比べて更に高速化されています。
す。また、別売の解析ソフト "QProbe" を使えば、さらに高度な解析
応用しています。
えば、Cortex®-A15 プロセッサも、ソフトアップデートのみで当初の
PARTNER-Jet でもデバッグ可能です。
PARTNER-Jet はユーザーの皆様のご支持をいただき、発売以来約
10 年で1万台以上を提供する事ができました。
■ 新世代 JTAG エミュレータ「PARTNER-Jet2」
「PARTNER-Jet2」は、PARTNER-Jet の高機能・高性能・使いやす
さなどすべて継承し、さらに進化できる JTAG エミュレータとして提
供できるよう、完全新規に設計・開発した JTAG エミュレータです。
使いやすさとしては、USB バスパワー動作への対応や、またデバッグ
プローブのホットプラグ接続に対応しました。また、新世代の ARM®
V8 アーキテクチャで採用されている 64bit プロセッサを効率よくデ
バッグできるよう、全てを再設計しています。また、新世代の高速
トレース ETM HSSTP への対応などを見据えたインタフェース構造
を採用しています。進化し続ける ARM プロセッサに追従できるよう、
PARTNER-Jet2 も進化し続けていきます。
◯ ARM CoreSight AHX-AP/AHB-AP 対応
が可能です。QProbe では、標準で以下の解析機能を搭載しています
CPUからのメモリアクセスだけでなく、AXIバス経由でメモリアク
1) 関数実行タイミング表示
セス可能です。Cortex-A15 などにおいて、40bit 物理アドレス指
2) 関数実行履歴表示
定での参照の他、キャッシュやMMUを介さずに参照が可能です
3) 関数呼び出し関係表示
◯ 多くの CoreSight コンポーネントに対応
5) 関数プロファイル表示
Cortex-M プロセッサで多く使われる MTB/ITM/SWO にも対応
6) 関数実行偏差統計表示
◯ マルチコアや SMP デバッグへも対応し、CoreSight による H/W
同期ブレークも実現します
◯ ARM v8 含 む Cortex 世 代 の ARM プ ロ セ ッ サ か ら、ARM7 や
ARM9 まで対応します。JTAG-AP にも対応しており、ARM9 と
Cortex の混在デバッグも可能です。
◯ 多くの ARM 用コンパイラに対応
かつ実行パフォーマンスに影響を与える事なく、R-Car SoC 内部バス
のトラフィック状況を把握する事が可能です。さらに、ARM プロセッ
サの PMU にも対応しており、キャッシュのミス率や命令実行状況な
4) ソースカバレッジ表示
ト レ ー ス 関 係 で は、ETM/PTM/ETB/ETF な ど へ の 対 応 の 他、
しています。
外部から計測しているので、実行するソフトウェアの改造は不要で、
ども把握する事が可能です。
7) コンテキスト実行履歴表示
計測したデータは、Windows 上の専用 GUI ソフトウェアで表示・保存
8) コンテキストプロファイル表示
が可能で、また保存データ再生表示も対応しています。データは一般
9) コンテキスト実行偏差統計表示
的な CSV フォーマットなため、高度な解析を自由にする事も可能です。
また、3) ~ 6) の機能については、タスクなどコンテキスト別にフィル
タリングして表示可能になっています。
PTM/ETM トレースと QProbe を組み合わせれば、ソフトウェアのほ
ぼ実際の実行時間での解析が可能で、より厳密に実行状況を把握する
ARM 純正コンパイラ、GCC コンパイラの他、IAR コンパイラや
事が可能です。さらに、PARTNER-Jet2 と QProbe の組み合わせは、
京都マイクロコンピュータ株式会社
WindowsEmbedded コンパイラでソースデバッグが可能です。
外部バストレースプローブや SD カード I/F プローブの提供で、ETM
営業部 075-335-1050 / 東京オフィス 03-5157-4530
トレースなどが使えない環境でも解析ができるようになる予定です。
図1:PARTNER-Jet2
38
ARM PARTNERS SUCCESS
お問い合わせ先
図 2:PARTNER-Jet2 の高速性(PARTNER-Jet との比較)
関数呼び出し関係表示
コンテキスト履歴表示
関数プロファイル表示
コンテキストプロファイル表示
図 3:Qprobe 解析画面表示例
http://www.kmckk.co.jp
mail: [email protected]
内部バスレイアウトで表示
測定時にリアルタイム更新
測定時にグラフをリアルタイム更新
再生時は、任意の箇所や範囲を表示
各グラフ別に、表示・非表示を選択
測定中や再生中での変更可能
警告レベルを設定、表示
警告レベルを設定、表示
レベルはオプションで変更可能
レベルはオプションで変更可能
図 4:R-Car 専用、SoC バスプロファイルツール画面例
ARM PARTNERS SUCCESS
39
Success STORIES
Success STORIES
リネオソリューションズ株式会社
リネオソリューションズ株式会社
組込み Linux の先駆的エンジニア集団
リネオソリューションズの挑戦。
ジを保存しておく。そして、電源オンのときに
いています。Linux が搭載される機器ならどのよ
リネオソリューションズ(以下、リネオ)は、長らく組込み Linux に取り組んできており、数多くのソリューションを提供している。
保存したスナップショットイメージからシステ
うなものでも対応できます」
(山田氏)。「海外の
主な製品として、Warp!!、uLinux、Vzet、SmartU2 など幅広い。サービスとして、プロフェッショナルサービス、リネオテストラボ、
ムメモリを一挙に復元することで高速起動を実
事例ですが、Hertz のレンタカーに搭載されてい
レスキューサービス、コンサルティングなどがある。ここでは、リネオの各種ソリューションへの取り組みについて聞いた。
現する。システムにもよるが、起動に十数秒必
るカーナビゲーションシステムへも採用されて
要だったものが、わずか 1 ~ 2 秒で起動できる
います」
(三宅氏)。「Warp!! は、ARM® 以外の組
ようになる(図)。
込み向けプロセッサも幅広くサポートしており、
Warp!! の開発はお客様からのニーズに応えた
ものだ。「従来は冗長な部分を削ったりしてい
リネオソリューションズ株式会社
代表取締役社長
小林 明 氏
十数秒必要だったものが
わずか 1 ~ 2 秒で起動
Warp!! は、フラッシュメモリなどの記憶装置
に保存しておいたスナップショット領域を使用
いろいろなシステムに適応できるようになって
います」
(小林氏)。
ましたが、もっとドラスティックに起動時間を
さらに、スナップショットの保存についても
短くできないかということで開発しました」
(小
多用なモードを用意したり、圧縮率を可変す
木曽氏)。「従来のやり方では、ある一定時間ま
ることができるなど、システムに応じた柔軟な
での削減は効率良く行えますが、その先まで短
設定が可能となっている。「組込みシステムは、
縮しようとすると、労力が割に合わなくなって
いったん作り込んでしまうとそのまま使うこと
しまいます」
(三宅氏)。Warp!! は、基本的には
が多いのですが、Warp!! は完成後でも引数を変
すべてのLinuxベースのOSに対応している。
「技
更することで設定を柔軟に変更することができ
術的には Linux 以外の OS でも対応できるのです
ます」
(小木曽氏)。
が、我々が Linux のスペシャリスト集団なので
そうしています。Android は下回りが Linux なの
で対応可能です」
(小木曽氏)。
スイッチオフ直前までの
イメージで高速起動
して高速起動を実現するものだ。通常の起動は、
多くのステップを必要とする。それに対して、
完成後でも柔軟な引数設定が可能
中国では、SoC ベンダーやセットメーカーを中
Warp!! は、アプリケーションを起動した状態で
Linux 関連の多くの製品や
サービスを提供
インアップされている。Linux の高速起動テク
のシステムメモリに加え、レジスタの内容など
Warp!! は 2008 年にリリースし、今年で ver.5 ま
のハードウェア状態のスナップショットイメー
で順調にバージョンアップしてきた。採用実績
ノ ロ ジ ー と な る「Warp!!」、Linux/Android の
も増えており、2014
日本法人は株式を買い取ってリネオソリュー
プロセスを見える化する「Vzet」、各種機器に
年 12 月現在で 63 プ
ションズとし、現在に至っているという。
幅広く利用できるようにカスタマイズし、組込
ロジェクトを数え
「独立したことで製品が無くなってしまい、
みに特化した「Lineo uLinux」、組込み Linux
る(海外7件を含む)
。
ハードウェアとソフトウェアの受託開発を行っ
uLinux などの製品をゼロから開発しました」
開発環境の「Lineo uLinux ELITE」、組込みシス
「最近増えている車
ていました。開発には UNIX マシンを活用する
(小林氏)。製品はゼロからの開発になったが、
テムの自動更新のための「SmartU2 Agent」な
載関連や産業系に加
など、UNIX や C 言語に関しては豊富な経験があ
日本のお客様へのサポートは引き継いだとい
どである。
え、複合機やプリン
ります」
(小林氏)。
う。「たとえブランドが変わっても、同じエン
さらにサービスとして、プロフェッショナル
タなどの O A 機器、
1990 年代の後半に、「これからは Linux だ」と
ジニアが日本にいる、ということがお客様に
サービス、各種サポート、レスキューサービス、
P O S レ ジ、 医 療 機
いうことで Linux を中心とするようになり、さ
とっての安心感につながったと思います」
(三
コンサルティング、Linux カーネルの総合メンテ
器、制御機器、家電
らに組込み Linux へとシフトしていった。その
宅氏)。
ナンスなど、Linux に関するさまざまなメニュー
など、組込みLinux
を用意している。
搭載の多用なシス
リネオの創業は、1984 年のユナイテッドシ
ステムエンジニア(USE)に逆のぼる。「当時は、
40
営業活動を行っていた。
2003 年に Lineo, Inc. が買収されたのを機に、
後、USE 全株式を米 Lineo, Inc. に売却して Lineo
このように Linux に対して豊富な経験を持つ
の 100% 子会社となり、Lineo Japan, Inc. として
リネオには、Linux に関連した多くの製品がラ
ARM PARTNERS SUCCESS
海外へは 2010 年から展開している。「台湾や
図:フリースケールの i.MX を搭載した評価用タブレットのボード。
Warp!! を使用することで、Android のような大規模なシステムも数秒で起動できる。
テムで採用いただ
リネオソリューションズ株式会社
取締役
事業開発室 室長
三宅 昌宏 氏
ARM PARTNERS SUCCESS
41
テクニカル・ノート
Success STORIES
リネオソリューションズ株式会社
Technical NOTE
リネオソリューションズ株式会社
超高速起動ソリューション
と思っています。そのためには、マルチコアや
ストレージの高速化への対応がポイントとなり
Warp!!
ます。最新の ver.5 ではマルチコアへ対応しまし
た。SoC やコアの特長を上手に活かしていける
ソリューションとして、ご活用いただければと
瞬時に起動 驚きの速さ
その感覚はまさに“ワープ(Warp)”
考えています」
(小沢氏)という。
いきなりフルスロットルで走る
Warp!! は、Linux 標準のハイバネーションのコンセプトを基に、リネ
オ独自の技術で拡張して実現した高速起動テクノロジーです。
レスキューサービス
リネオソリューションズ株式会社
ソリューション統括部
統括部長
小木曽 直門 氏
「プロフェッショナルサービス」は、リネオが
長年にわたる組込みシステム開発で蓄積したノ
リネオソリューションズ株式会社
営業統括部
統括部長
ウハウや先進の Linux テクノロジーを融合させ
山田 茂 氏
ることで、ユーザーの要求仕様に即した Linux
システムを受託開発するものだ。さらに、シス
心にサポートしています。最近では欧米も増え
テムの不具合を短期間で修正する「レスキュー
は自己責任が基本となりますが、お客様が期待
てきています。たとえば、バッテリ消費がシ
サービス」は、リネオならでのサービスである。
する品質との格差を埋めるサービスをリネオが
ビアな小さなシステムへの搭載事例がありま
「レスキューサービスは、基本的に 2 週間の時間
提供することで、安心感をお届けしたいという
す。従来 1 日しかバッテリが持たなかったもの
をいただいています。しかし、万が一 2 週間で
趣旨で開始しました」
(小木曽氏)。カーネルに
が、Warp!! を搭載し、基本的な待機電力を激減
解決できないときは、いったん調査報告を実施
対するセキュリティを検証し、問題があれば
させることで、1 週間も持つようになっていま
し、これからの進め方などをお客様と協議して
パッチを当てるなどの対処をしたり、カーネル
す」
(三宅氏)。
います」
(小木曽氏)。なかには開発中のシステ
のリビジョンが上がる際に発見された不具合の
ムを持ち込まれることもある。「Linux で製作し
修正も実施している。また、SoC ベンダーのエ
「Android に特化したモードで、エンドユーザー
たシステムの出荷が間近に迫っているが、どう
ラッタ情報も反映しているという。
のイメージを保持することで、スイッチオフ直
しても修正できない不具合があるといったお客
前のイメージで高速起動ができます」
(三宅氏)。
様にも対応しています」
(山田氏)。
最 新 版 で は、Android Mode を 加 え た。
「今後もより多くのお客様に採用いただきたい
さらにリネオでは、「これから Linux」という
意味の「これりな」という無料の講座を不定期
通常のプロジェクトはある程度の助走期間が
で開催している。「最近、別の OS から Linux へ
あるが、レスキューサービスはいきなりフルス
の移行が増えています。Linux へ移行をお考えな
ロットルで走るようだ。「エンジニアにとって
ら、これりな講座をご利用ください」
(山田氏)。
は過酷ともいえるサービスですが、リネオのこ
「リネオは、安心して Linux を使っていただきた
れまでの組込み Linux についての豊富な経験と
いという思いから製品やサービスを提供してい
多くの蓄積があるからこそ提供できるサービス
ます。別の OS からの移行や、すでに Linux をお
です」
(山田氏)。最終的にはドキュメントも提
使いのお客様もリネオを活用していただけたら
供している。
と思っています」
(三宅氏)。
●
●
●
携帯端末 / デジタル家電、業務用機器など様々な製品に搭載可能
待機電力“0”を実現し、組込み Linux をエコなシステムに
高速起動はもはや標準装備
■ Warp!! の特徴
動作時のメモリやレジスタの状態をスナップショットとしてメディア
に保存し、電源 ON 時には保存したスナップショットを一挙に復元す
ることで起動高速化を実現しています。
高速化のキーはスナップショットイメージの RAM への高速展開
● 保存するスナップショットイメージのサイズ縮小
● 2 次記憶装置のスループットの確保
● 圧縮データの高速解凍
■スナップショット保存機能
● ターゲット単体でスナップショット保存を実行可能
● 製品に最適なスナップショット保存モードを選択可能
○ シャットダウン時にスナップショットを取り直す
ハイバネーションモード
○ 同じスナップショットを使い続ける高速起動モード
○ アクティブプロセスだけを保存対象とするセパレートモード
● スナップショットの圧縮と解凍
○ 約 1/5 ~ 1/2 に圧縮可能
○ I/O との並列処理による高速処理を実現
○ 非圧縮、通常圧縮、高速圧縮の 3 通りの方式をサポート
● 使うシーンに合わせた複数のスナップショット保存のサポート
搭載される製品の仕様に沿って、スナップショット保存や起動方法を
選択、組み合わせることで最適な起動高速を実現できます。
Warp!! が実現する超高速起動の動画を Web サイトで公開しています。
「速さ」と「使いやすさ」を実現する
リネオのテクノロジー
起動の「速さ」だけでなく、「拡張性」、「柔軟性」も高く評価いただい
ており、多くの製品への採用が進んでいます。2008 年のリリースか
ら現在の version5 へと Warp!! は進化しています。
■ Multi Core/Multi Storage 対応
CPU の Multi-core 化や Storage の高速化に対応できるよう、Multicore を効率よく使い、さらなる起動高速化が可能です。
■ Android Mode
Android 搭載機器ではユーザーの設定変更した状態を次の起動時に再
現可能です。終了時保存は不要で、起動時に瞬時に設定値を反映させ
ることで実現しています。
■ UserAPI
Warp!! の特徴の一つである柔軟性がさらに高まりました。UserAPI を
使いユーザースレッドで H/W 並列初期化、早期実行アプリの実現サ
ポートすることでさらなる高速化が可能です。
■スナップショット Switch 機能
複数のスナップショットイメージを用意し、Kernel 動作中にスナップ
ショット切り替えが可能です。
株式会社日立超 LSI システムズ様リアルタイム・オーガナイザ(RTO)
と連携し、T-Kernel と Linux の高速起動にも対応しています。
お問い合わせ先
リネオソリューションズ株式会社
東京オフィス 営業統括部
TEL:03-5367-9098 FAX:03-5367-9099
E-mail:[email protected] Web:http://www/lineo.co.jp/
小林氏も、「製品開発のラストワンマイルと
これからLinuxという意味の
「これりな」講座
いう大変なところを一緒に経験してきており、
今後もお客様と一緒になって満足できる製品や
サービスを提供していきます」という。
リネオソリューションズ株式会社
営業統括部
マネージャ
小沢 義久 氏
42
ARM
ARMPARTNERS
PARTNERSSUCCESS
SUCCESS
最近スタートしたサービスとして「リネオテ
リネオのソリューションは、5 月開催の ESEC
ストラボ」がある。「いままで個別に提供してい
2015 や 6 月開催の ET West 2015 などの各種展示
たセキュリティーサービスやシステム検証など
会への出展を予定している。興味のある方は是
を統合したものです。オープンソース系の OS
非足を運んで欲しい。
図1:Warp!! を用いた超高速起動のフロー
図 2:Warp!! Automotive Edition
ARM PARTNERS SUCCESS
43
イーソル株式会社| Freescaleエコシステム推奨パートナー情報
OS
リアルタイムOSプラットフォーム「eT-Kernel Platform」
eT-Kernel Platform Safety Package
シングルからマルチコアまで i.MX シリーズを幅広くサポート、信頼性確保と開発期間短縮を支援
ユーザ製品の機能安全規格(ISO26262/IEC61508/IEC62304)
の適合を強力にサポート
対応シリーズ □ QorIQプロセッサ □ i.MXプロセッサ □ Kinetisマイコン □ PowerQUICCプロセッサ □ Qorivvaマイコン
対応シリーズ □ QorIQプロセッサ □ i.MXプロセッサ □ Kinetisマイコン □ PowerQUICCプロセッサ □ Qorivvaマイコン
こんな課題に ... 。
こんな課題に ... 。
i.MX シリーズの各プロセッサで
ソフトウェア資産を流用したい
高性能・高品質なソフトウェア開発の
実現に膨大なコストが掛かっている
開発環境からランタイムまで、一貫
した製品・サービスが不足している
最終製品で機能安全の認証取得が
必要だが、実現方法が分からない
自社だけで機能安全認証に取り組
むと膨大なコストと負荷が掛かる
将来的に機能安全規格の認証取得
が必要になるかもしれず不安だ
概要
特長
概要
特長
組込みシステムの高機能化・高性能化により、開発現場のエンジニア
● TRON(ITRON/T-Kernel)と Linux も準拠している POSIX の、二つの標
自動車、産業機器、医療機器などのソフトウェア開発では、機能安全
● eT-Kernel プラットフォームを用いた製品開発で必要となる、安全・
ア開発における様々な課題が露見してきています。
●シングルコアからマルチコアまでサポート
イーソルはこのようなシステム開発において、ISO26262 ASIL D および
●ユーザシステムの安全機構の設計 / 実装 / 検証において必要な技術情
不足、品質の確保、開発プロセスの改善といった、組込みソフトウェ
eT-Kernel プラットフォームは、これらのニーズや課題を解消します。
リアルタイム OS「eT-Kernel」、開発環境「eBinder」、ファイルシステ
ム / ネットワーク /USB/ グラフィックスなどの各種ミドルウェア、およ
びプロフェッショナルサービスから構成されています。eT-Kernelプラッ
トフォームにより、組込みソフトウェア開発の効率化と品質確保の両
立が容易になります。
得意とする分野
44
OS
●スケーラブルなリアルタイム OS により、ソフトウェア共通化を容易
に実現
● i.MX との組み合わせにより、シングル/デュアル/クアッドコアに
民生機器
産業機器
ネットワーキング
ヘルスケア
モータ制御
スマート
エネルギー
コネクティビティ
規格の機能安全要件を満たす高い安全性の確保が求められています。
IEC61508 SIL4 認証済みの eT-Kernel をベースとした、機能安全規格への
適合を支援します。
おいてシームレスな活用が可能
eT-Kernel Platform Safety Package は、eT-Kernel に関するセーフティ・
●多くの実績に裏打ちされた高い信頼性
eT-Kernel Platform Safety Package の活用により、ユーザの最終製品の
●独自のシステム保護技術で信頼性と堅牢性の確保を強力に支援
●充実したプロフェッショナルサービス
強みと実績
自動車
ARM PARTNERS SUCCESS
準仕様に準拠
eT-Kernel は、コンパクトでリアルタイム性の高い RTOS、Linux との高い互換性
を持つ POSIX 仕様準拠 RTOS を含む、3 つのスケーラブルなプロファイルで構成さ
れており、アプリケーションの規模と機能に合わせた最適なものを選択できます。
eT-Kernel プラットフォームは、カーナビやデジタル家電に加え、航空・宇宙分野、
FA 機器、OA 機器など幅広い分野で多くの採用実績があります。
マニュアルとセーフティ・レポートなどのドキュメントを提供します。
規格適合にかかる工数とコストを大幅に削減できます。
適切な使用方法などの情報を提供
報を提供
●ユーザシステムの機能安全規格の認証取得に必要な、イーソル製品
の品質情報を提供
●機能安全への豊富な取り組みによって蓄積されたイーソルのノウハ
ウを、機能安全対応支援サービスのオプションとして提供、ユーザの
認証取得を強力にサポート
会社概要
1975 年の創業以来 40 年にわたり、高信頼かつ高性能
イーソル株式会社
の組込み OS・開発環境・各種ミドルウェアを自社開
〒 164-8721 東京都中野区本町 1-32-2 ハーモニータワー
TEL: 03-5302-1360 E-mail: [email protected]
開発やコンサルも行い、多様な開発実績による技術
http://www.esol.co.jp/
発、販売。ユーザシステムに特化した組込みアプリ
とノウハウを元にサービスを提供。
ARM PARTNERS SUCCESS
45
株式会社エンビテック| Freescaleエコシステム推奨パートナー情報
プログラマ / ライタ
ミドルウェア
Flasher ARM / Flasher Portable
生産ラインでも開発場所でも使用可能な ARM 用オンボードフラッシュ書き込みツールです。
emWin、emFile、embOS/IP、emUSB、emLib、emSSL、emModbus、emSecure、embOS
対応シリーズ □ QorIQプロセッサ □ i.MXプロセッサ □ Kinetisマイコン □ PowerQUICCプロセッサ □ Qorivvaマイコン
対応シリーズ □ QorIQプロセッサ □ i.MXプロセッサ □ Kinetisマイコン □ PowerQUICCプロセッサ □ Qorivvaマイコン
こんな課題に ... 。
こんな課題に ... 。
現場に持ち運んで数種類の製品の
ファームウェアを更新したい…
工場でのフラッシュ書き込み時に
データ内容を見られては困る…
ツールの年間サポート費用が掛
かってランニングコストが高い…
内蔵フラッシュ ROM が小サイズだ
けど、USB、GUI も追加したい…
ロイヤリティー費用等無駄なコスト
を削減して短い期間で開発したい…
実際の購入前にミドルウェア製品
を評価してみたい…
概要
特長
概要
特長
SEGGER 社製フラッシュ書き込みツール Flasher で、Kinetis ファミリー
● 実行ファイル形式:HEX、MOT、SREC、BIN
組み込みシステムにぴったりなミドルウェアソフトウェアを提供して
● 最低限の RAM、ROM 使用量で高速度パフォーマンス
フラッシュメモリにも書き込み可能です。CFI 式の外付け NOR フラッ
● ターゲット装置にシリアル番号(ID)の設定が可能
・emWin ( グラフィックソフトウェア、GUI ツール )
● ロイヤリティー費用は有りません
● 内蔵 128MB ディスクで複数イメージファイルを保存
・embOS/IP (TCP/IP スタック )
シリーズのマイコンデバイスの内蔵フラッシュはもちろん、外付けの
シュは自動認識設定可能です。生産ラインでのスタンドアロンモード
(パソコン側のプログラム起動は不要)及び LAN/RS232 シリアルポート
からスクリプトコマンドでの遠隔操作が可能です。
Flasher は、生産ラインでの使用のために最適化されていますが、持ち
運び楽々で現場でのファームウェア更新等も簡単にできます。
標準 J-Link デバッグプローブ(SEGGER 社製)と完全互換可能なので、
開発時も生産ラインでも同じ本体が使用可能です。
自動車
民生機器
産業機器
ネットワーキング
ヘルスケア
モータ制御
スマート
エネルギー
コネクティビティ
ARM PARTNERS SUCCESS
● スタンドアロンモードでボタンひとつでの書き込みが可能
● パッチファイルサポート(指定空間のみ更新)
● MSD (USB Mass Storage Device) として PC に接続可能
● 電源供給不要 (USB ポート /AAA 電池より供給 )
● JTAG 19 番ピンよりターゲットに 5V 電源供給可能
● J-Flash ソフトウェアの更新はいつでも無償
● 指定メモリセクターの書き込み禁止設定可能
います。
・emFile(FAT12、FAT16、FAT32 ファイルシステム)
・emUSB(USB ホスト・デバイススタック)
・emLib(AES、DES 暗号化処理)、emSecure
・emSSL(SSL/TLS スタック)
・emModbus(Modbus 通信プロトコルスタック)
●「Authorized Flashing」機能で大切なイメージデータを守る
全てのミドルウェアは embOS に対応済みですが、他の RTOS(μ ITRON
強みと実績
会社概要
● 数多くのサンプルプロジェクトで直ぐに使用可能
得意とする分野
46
SEGGER ソフトウェア(ミドルウェア + RTOS)
組み込みシステム向けの 15 年以上の長い開発経験を駆使して、お客様のニーズと
開発スタイルにマッチした、様々な開発環境で高品質な開発をお手伝いしていま
す。自社製品の販売を含めて SEGGER 社のソフトウェア製品のお客様のプラット
フォームへの移植、デバイスドライバ・BSP ソリューション等の受託開発を行っ
ております。
等)又は OS レス環境にも対応可能です。
● ソースコードにて提供
● お客様の開発モデルに合わせた各種類のライセンスモデル
● パソコン用評価版で GUI ツールの機能の確認が可能
● 無償評価版ダウンロードで購入前に評価可能
● TCP/IP 標準ソケットインターフェース
● GUI マルチ Layer、マルチディスプレイをサポート
● GUI 基本パッケージにフォントを付属(フォント変換ツール有り)
● フル USB ホスト機能(USB1.1、USB2.0)
● チックレス対応の embOS RTOS でさらに省電力
● OS のチック時間を動的に変更可能
エンビテックは、組み込みシステム開発向けのソ
株式会社エンビテック
リューションとソフトウェアサービスプロバイダー
〒 130-0021 東京都墨田区緑 4-8-8 中井ビル 4F
TEL: 03-6240-2655 FAX: 03-6240-2656
びハードウェア開発ツールの販売及び技術サポート
http://www.embitek.co.jp/
です。SEGGER 社の日本代理店としてソフトウェア及
を行っております。
ARM PARTNERS SUCCESS
47
日本ローターバッハ株式会社| Freescaleエコシステム推奨パートナー情報
デバッガ
TRACE32 PowerTools デバッグ&トレースツール
TRACE32 μTrace
フリースケール社の全プロセッサをサポートした JTAGデバッグツールのデファクトスタンダード
Cortex-Mシリーズ専用 オールインワンソリューション
対応シリーズ □ QorIQプロセッサ □ i.MXプロセッサ □ Kinetisマイコン □ PowerQUICCプロセッサ □ Qorivvaマイコン
対応シリーズ □ QorIQプロセッサ □ i.MXプロセッサ □ Kinetisマイコン □ PowerQUICCプロセッサ □ Qorivvaマイコン
こんな課題に ... 。
こんな課題に ... 。
ARM v8 コアのデバッグおよびト
レースを行いたい
PowerArchitecture/ARM の開発環
境を共通化したい
RTOS 環境でのデバッグとトレース
がしたい。
Cortex-M マイコンで長時間の実行
トレースをとりたい
Cortex-M の異種コアの同時デバッ
グをしたい
概要
特長
概要
特長
共通のデバッガハードウェアおよびソフトウェアで、多種多様な組込
・Cortex-A5x (ARMv8) を含む全 ARM コアをサポート
JTAG/SWD デバッグインタフェースを実装した全 Kinetis ファミリ対応
・C/C++, アセンブラレベルデバッグ
アルタイムトレースツールです。ARMv8 アーキテクチャを含む全 ARM
・SMP/AMP デバッグ
含むほぼ全てのコンパイラが生成するオブジェクト形式に対応してお
・Flash プログラミング
みプロセッサのプログラム開発に対応した、高機能 JTAG デバッグ&リ
コアをサポートしており、同種コア (SMP) はもちろん、異種コア (AMP)
環境でのマルチコアデバッグにも対応しています。
リアルタイムトレースを採取することで、実行履歴の検証だけではな
く、コードカバレッジ解析、ターゲットソフトウェアの実行時間解析、
各関数 / タスクの遷移の様子など、ソフトウェア品質の向上につながる
検証ツールを標準機能として装備しています。
また仮想プロトタイプターゲットに対応したフロントエンドデバッガ
も用意しており、プロジェクトの初期段階から TRACE32 デバッグツー
ルでの開発を進めることができます。
得意とする分野
48
デバッガ
・FlashROM プログラミング ( オンチップ /NOR/NAND/SPI)
・仮想化機能をサポート
・詳細な周辺レジスタの表示 / 変更
・RTOS 認識機能 (30 種以上に標準対応 )
・ETM, NEXUS によるリアルタイムトレース
・リアルタイミングストリーミングトレース
・関数 / タスクレベルの実行時間解析
・コードカバレッジ解析
民生機器
産業機器
ネットワーキング
ヘルスケア
モータ制御
スマート
エネルギー
コネクティビティ
の Cortex-M コア専用デバッグ & トレースツール「μ Trace」は、GCC を
り、様々な開発環境と容易に組み合わせて利用できます。Cortex-M3/
M4/M7 コアの環境では、デバッグ機能に加え、4-bit ETM コンティニュ
アスモードによるリアルタイムトレースを取得でき、本体に装備され
ている 256MByte トレースメモリ、または、リアルタイムストリーミン
グでホスト PC のハードディスクへ、直接、データ保存できます。ト
レースデータを元に、関数 / タスクの実行時間測定やタスク遷移図、
コードカバレッジ解析等のソフトウェア品質評価機能も実現します。
・プロトコルアナライザ / 消費電力測定 ( ロジアナオプション )
強みと実績
自動車
ARM PARTNERS SUCCESS
・全 PowerArchitecture コアをサポート
組込みデバッグツール分野において、ワールドワイドで最も採用実績が多いため、
安定性、機能性に優れています。多くの CPU アーキテクチャをサポートしており、
一貫した操作性が開発者のデバッグ効率向上に大きく貢献します。
デバッグと同時に消費電力測定も
行いたい
・異種 Cortex-M コアのマルチコアデバッグ
・JTAG および SWD デバッグ接続
・詳細な周辺レジスタ表示 / 変更機能
・オンチップ / オフチップ (256MByte トレースメモリ ) トレース
・各種 RTOS 対応機能を標準装備
・関数 / タスクレベルの実行時間測定
・コードカバレッジ解析
・リアルタイムストリーミングによる長時間トレース
・消費電力プロファイリング
会社概要
ローターバッハはハードウェアベースデバッグツール
日本ローターバッハ株式会社
のリーディングカンパニーです。数多くの MPU, DSP
〒 222-0033 横浜市港北区新横浜 3-8-8 日総第 16 ビル 4 階
Tel. 045-477-4511 E-mail. [email protected]
バッグ環境を提供しています。
http://www.jp.lauterbach.com/
組込みプログラム開発プロジェクトに、高機能なデ
ARM PARTNERS SUCCESS
49
横河ディジタルコンピュータ株式会社| Freescaleエコシステム推奨パートナー情報
IDE
ARM 純正統合開発環境「DS-5」/「MDK-ARM」
ARM 認定テクニカルトレーニング
ARM 正規代理店として、長年の実績と豊富なノウハウでお客様の設計・開発を強力にサポート
ARM 正規認定トレーニングセンター / パートナーとして、エンジニアの技術習得を強力にサポート
対応シリーズ □ QorIQプロセッサ □ i.MXプロセッサ □ Kinetisマイコン □ PowerQUICCプロセッサ □ Qorivvaマイコン
対応シリーズ □ QorIQプロセッサ □ i.MXプロセッサ □ Kinetisマイコン □ PowerQUICCプロセッサ □ Qorivvaマイコン
こんな課題に ... 。
こんな課題に ... 。
最新のコアやアーキテクチャに追
従した開発環境が必要…
概要
アプリケーション・プロセッサやマルチコア SoC など、ARM プロセッ
サを搭載したプラットフォーム向けのクラス最高のツールです。
ブートコードやカーネルのポーティングから、デバッグ、プロファイ
ルまで、ソフトウェア開発の全工程をサポートする、全 ARM コアに
対応した統合開発環境です。
【MDK-ARM の概要】
Cortex-M/R など、ARM マイクロコントローラ(MCU)に対応する統
合開発環境で、サポートするデバイスは 1,500 以上に上ります。
コンパイラ、IDE、デバッガ、リアルタイム OS、ミドルウェア、デバッ
グアダプタ、評価ボードといった全ての機能が揃っています。
得意とする分野
製品の品質向上のために、パフォー
マンス解析できるツールが欲しい…
【DS-5 の特長】
・Eclipse 上で動作する統合開発環境
・高度なトレース機能などを搭載する DS-5 デバッガ
・カーネルやアプリケーションなどのプロファイル解析が可能な、
Streamline Performance Analyzer
・最新の CoreSight IP に対応したオンチップデバッグ
【MDK-ARM の特長】
・信頼の ARM 純正コンパイラを同梱
・Cortex-M に最適化されたリアルタイム OS
・スタートアップコード、BSP サンプルを提供
民生機器
産業機器
ネットワーキング
ヘルスケア
モータ制御
スマート
エネルギー
コネクティビティ
最新のコアやアーキテクチャにつ
いての技術を習得したい…
概要
長年にわたり、組込み業界に貢献してきた信頼を基盤に、エンジニアの方々がよ
り効率的に開発を進め、より高品質な製品を作り出していただくために、新しい
技術やツールをタイムリーにご提供できるよう活動しています。
また、ARM 社正規代理店として国内 No.1 の販売実績を有し、お客様の ARM 搭載
製品開発をサポートする活動も行っています。
初めて ARM を使うので、実績のあ
るトレーニングを受けたい…
グローバルな認定資格を取得した
いが独学では難しい…
特長
【ARM テクニカルトレーニングの概要】
ARM 認定トレーニングセンター(Approved Training Center:ATC)
として、ARM 組込み開発が初めての方から、開発の第一線で活躍
されているエンジニアの方まで、目的に合わせて技術習得できる
よう、多彩なコースをご用意しています。
【ARM 認定試験対策トレーニングの概要】
国内初の ARM 認定トレーニングパートナー(ARM Accreditation Training Partner:AATP)として、ARM 認定エンジニア(AAE/AAME)
資格取得を目指すエンジニア向けのトレーニングを実施しています。
・Kinetis ファミリ専用開発キット「MDK-FREESCALE」を用意
強みと実績
自動車
ARM PARTNERS SUCCESS
信頼できる環境を使いたい…
サポートが充実していないと不安…
特長
【DS-5 の概要】
50
教材 / トレーニング
【トレーニングコース】
・ARM システムデザインコース(v6/v7 対応版)
・ARM Cortex-A/R ソフトウェアデザインコース
・ARM Cortex-M3/M4 ソフトウェアトレーニングコース
・ARM Cortex-M0 ソフトウェアトレーニングコース
・MDK-ARM を使用した ARM マイコン入門講座
・ARM AMBA トレーニングコース
・ARM マイコン 基礎 / 中級 / 応用講座
【ARM 認定試験対策コース】
・AAE 試験 対策トレーニング
・AAME 試験 対策トレーニング
会社概要
横河ディジタルコンピュータは、マイクロコンピュー
横河ディジタルコンピュータ株式会社
タや周辺システムの設計、開発に関わる組込みエン
〒 151-0053 東京都渋谷区代々木 4-30-3 新宿 MIDWEST ビル
E-mail:[email protected] TEL:03-6756-9405
を提供し、多くのエンジニアの方々から高い評価を
http://www.yokogawa-digital.com/
ジニアの皆様に向けて様々な開発ツールや開発環境
いただいています。
ARM PARTNERS SUCCESS
51
横河ディジタルコンピュータ株式会社| Freescaleエコシステム推奨パートナー情報
デバッガ
JTAG-ICE デバッグツール「adviceLUNA II」
フラッシュ オンボード プログラマ「NETIMPRESS」
計測 / 解析機能が充実、マルチコアや Linux/android 搭載の高性能機器からOSレス製品まで対応
生産ラインで必須となる高速プログラミング性能・高信頼性・汎用性・拡張性を実現
対応シリーズ □ QorIQプロセッサ □ i.MXプロセッサ □ Kinetisマイコン □ PowerQUICCプロセッサ □ Qorivvaマイコン
対応シリーズ □ QorIQプロセッサ □ i.MXプロセッサ □ Kinetisマイコン □ PowerQUICCプロセッサ □ Qorivvaマイコン
こんな課題に ... 。
こんな課題に ... 。
脱・感覚!
効率的にチューニングがしたい…
概要
問題点の切り分けが難しい…
問題点を効率的に切り分けたい…
開発者間で、障害現象やデバッグ
結果を共有したい…
特長
「adviceLUNA Ⅱ」は、 マ ル チ コ ア MPU や Linux/Android を 搭 載 し た、
カーナビや情報家電のような高機能な組込み製品の開発から、OS を搭
載しない組込み製品の開発まで、幅広く最適なデバッグ環境をご提供
します。
使いやすい GUI に加え、プログラムの実行状況をチャート表示で視覚
的に確認することができるトレース解析機能や、プログラムの実行網
羅率を測定するカバレッジ測定機能、ARM PMU 情報表示機能などの計
測 / 解析機能が強化されているため、システム全体の動きを捉えやすく、
より効率的に製品開発 / デバッグを行うことができます。
【adviceLUNA Ⅱの主な特長】
・マルチコアデバッグに標準対応(AMP/SMP)
・Linux、仮想化技術をサポート
・多くの内蔵フラッシュ、パラレル NOR フラッシュに対応
・ターゲット電源 ON のまま JTAG 接続可能な活線挿抜機能
・ターゲット状態(メモリ / レジスタ / スタック)を別 PC で解析可能な
スナップショット機能
・過去のブレーク時にさかのぼってターゲット状態(レジスタ /
ウォッチなど)を表示可能なブレークヒストリー機能
・デバッグ中のソフトウェアに、デバッガ上から動的に print 文を
挿入可能なモニタポイント機能
・起動時処理や繰返し処理を自動化するコマンドスクリプト実行
得意とする分野
52
プログラマ / ライタ
強みと実績
自動車
民生機器
産業機器
ネットワーキング
ヘルスケア
モータ制御
スマート
エネルギー
コネクティビティ
ARM PARTNERS SUCCESS
長年にわたり、組込み業界に貢献してきた信頼を基盤に、エンジニアの方々がよ
り効率的に開発を進め、より高品質な製品を作り出していただくために、新しい
技術やツールをタイムリーにご提供できるよう活動しています。
また、ARM 社正規代理店として国内 No.1 の販売実績を有し、お客様の ARM 搭載
製品開発をサポートする活動も行っています。
製品(マイコン)毎に書込み環境を用
意するのは手間とコストがかさむ…
概要
プログラムが大きくなって来ている
ので、書込み時間を短縮したい…
多品種製造のため、煩雑な品種切
替え設定 / 作業を簡素化したい…
特長
【NETIMPRESS next の概要】
ラインでの導入利便性を追求した、より安全 / 高速で汎用性が高く使い
易い、コンパクト設計(157 × 110 × 45mm)のフラッシュ オンボード
プログラマです。
ライン用 PC 制御 / スタンドアロン制御の両方をサポートします。
【G-NETIMPRESS の概要】
多面取りマウントボードの状態におけるフラッシュプログラミングに
最適な、コンパクト設計(234.1 × 100 × 262.5mm)の量産向けオン
ボードプログラマです。
2 ~ 8 のプログラマユニットの増設が可能で、各ユニットを個別に
制御することができます。
【NETIMPRESS next の特長】
・高速プログラミング I/F 搭載(最大 10Mbps)
・BCR(バーコードリーダー)用 RS232C I/F 搭載
・Digital I/O(ライン設備との連携制御が可能)
・Script I/O からの品種選択が可能(5bit 32 品種)
・CAN 搭載モデルも提供
【G-NETIMPRESS の特長】
・プログラマユニット内に多数の書込み環境を保存して、高速
段取替えが可能
・ライン用 PC 制御をサポート
・海外工場への導入も安心(現地購入も可能)
会社概要
横河ディジタルコンピュータは、マイクロコンピュー
横河ディジタルコンピュータ株式会社
タや周辺システムの設計、開発に関わる組込みエン
〒 151-0053 東京都渋谷区代々木 4-30-3 新宿 MIDWEST ビル
E-mail:[email protected] TEL:03-6756-9405
を提供し、多くのエンジニアの方々から高い評価を
http://www.yokogawa-digital.com/
ジニアの皆様に向けて様々な開発ツールや開発環境
いただいています。
ARM PARTNERS SUCCESS
53
ファルコン電子株式会社| Freescaleエコシステム推奨パートナー情報
書込み
横浜発グローバルなマイコン ROM 書込みサービス
1個書きツールから数ミリオン量産対応システムまで
多種のフリースケールマイコンに対応。横浜、香港、台湾で大量の書込み実績
業界最大級、150 名のエンジニアが開発&サポートするフリースケールマイコン書込みツール
対応シリーズ □ QorIQプロセッサ □ i.MXプロセッサ □ Kinetisマイコン □ PowerQUICCプロセッサ □ Qorivvaマイコン
対応シリーズ □ QorIQプロセッサ □ i.MXプロセッサ □ Kinetisマイコン □ PowerQUICCプロセッサ □ Qorivvaマイコン
こんな課題に ... 。
こんな課題に ... 。
最新のマイコンのツール対応と、ミ
リオン単位の生産が短期間で必要
CSP、QFN など極小極薄特殊パッ
ケージ自動書込みと自動外観検査
国内外でテーピング、レーザー捺印、
ロット管理、暗号化、プロテクト
書込みツールが必要だが、開発予
算が組まれていない
オフラインでもインサーキットで
も使えるツールが必要だ
データーの書込みからテーピングま
で一連の作業を社内で自動化したい
概要
特長
概要
特長
●日本語で書込み仕様打合せ、横浜工場と同じ工程で海外 OUT/OUT 書
□ 都心からのアクセスの良い横浜で、テーピング、画像処理位置決め
1個書きの書込み装置から、超大量生産のオフライン自動書込み装置
□ ALL-100 UNIVERSAL プログラマ(キャンペーン中)
●書込みに必要な基本ツールは、OEM に頼らず全て HI-LO グループ内
□ 高度なセキュリティーシステムで IP を保護
ご用意しています。
□ ALL-200S 1 個書きフラッシュプログラマ(APS 特別先行リリース)
込み。捺印、テーピング、データ書込みを小量から対応
で設計、製造。自社ブランドで責任をもって対応させていただきます。
グループ 内での開発の特徴として、新規デバイス対応に必要な、ハー
ドソフト開発にかかるイニシャル費用は、一部の例外を除き基本的に
いただいておりません。デバイスリストに掲載されていない IC の書込
みも、お気軽にご相談ください。
●装置メーカーグループだから実現出来る書込み、捺印、外観検査作
業の自動化、手作業や熟練のカンやコツに頼る作業を可能な限り排除
●独立資本提携グループによるグローバルネットワークと迅速対応
得意とする分野
54
プログラマ / ライタ
□ 運賃コスト、納期を大幅に圧縮した OUT/OUT 書込み
民生機器
産業機器
ネットワーキング
ヘルスケア
モータ制御
スマート
エネルギー
コネクティビティ
まで、フリースケールマイコンのデータ書込みに関する様々な装置を
□ 横浜でパイロットラン、海外で短期間に大量自動書込み
プロテクト機能のソフト対応、シリアル番号書込み、QFP などのスタン
をはじめ実積多数
ケージにも対応しています。
□ 最新マイコン用ツールを短期間で開発後に、データ書込み。Kinetis
□ 短納期、極少数のキャリア媒体自動機変換及び書込み □ QFP を始め、LGA, QFN などノンボール品、CSP などの極小、極薄の
IC にも対応
□ プロテクトの処理など複雑なプロセスを伴う書込み
ダードのパッケージをはじめ、LGA, QFN などノンボール品、特種パッ
新規のマイコン開発対応、設定機能対応など、開発費は基本的にいた
だいておりません(量産で償却を前提)。お気軽にご要望ください。
□ 自動車業界向けに、特殊なプロセスを伴う書込み
強みと実績
自動車
ARM PARTNERS SUCCESS
機能搭載自動レーザー捺印などを伴う書込み
・ISO 車載スタンダード TS16949 認証済、エアーシャワーを完備した書込み工場
(海外)で、既に 10 ミリオン個以上のフリースケールマイコン書込み実績があり
ます。
・国内、海外ともにレーザー捺印、書込み、テーピング、外観検査などの一連の
作業を自社グループ装置で、自動化を実現しています。
□ FLASH-100 フラッシュプログラマ (キャンペーン中)
□ ALL-200G 8-64 個書きフラッシュプログラマ(APS 特別先行リリース)
□ 変換アダプタで様々なパッケージに対応
□ AT3-300D 自動書込み装置
□ AT3-310A 自動書込み装置 ( テープ対応高速 )
□ HL-730A テープ格納 IC 外観検査装置
□ HL-770 トレー格納 IC 3次元外観検査装置
□ テープイン、テープアウト装置
□ 画像処理機構付きレーザー捺印装置
会社概要
・台湾 HI-LO 社出資の日本法人。
ファルコン電子株式会社
・国内外での書込みサービス、FALCON のブランドで、
〒 233-0002 神奈川県横浜市上大岡西3-20-31
TEL: 045-367-8326 FAX: 045-367-8327 [email protected]
観検査、テーピング、画像位置決め処理機能搭載レー
http://www.falcon-denshi.co.jp/
フリースケールマイコン書込みツール及び3次元外
ザー捺印装置を提供。
ARM PARTNERS SUCCESS
55
丸文株式会社| Freescaleエコシステム推奨パートナー情報
ミドルウェア
ボード
i.MX 6(Cortex-A9)を用いた Miracast
WiSun Module
無線通信によるディスプレイ伝送技術プラットフォーム
スマートエネルギー / 家電制御の国際規格に対応するプラットフォーム
対応シリーズ □ QorIQプロセッサ □ i.MXプロセッサ □ Kinetisマイコン □ PowerQUICCプロセッサ □ Qorivvaマイコン
対応シリーズ □ QorIQプロセッサ □ i.MXプロセッサ □ Kinetisマイコン □ PowerQUICCプロセッサ □ Qorivvaマイコン
こんな課題に ... 。
こんな課題に ... 。
無線技術がなくとも、手軽に WiFi
機能を使用したい
市場にいち早く無線搭載製品をリ
リースしたい
WiFi CERTIFIED Miracast に対応さ
せたい
無線技術がなくとも、簡単に SubG
通信製品を使いたい
概要
特長
概要
特長
丸文株式会社では、SW のパートナーともに、Wi-Fi Alliance によって策
多種多様な WiFi ベンダーモジュールを用いて、Miracast を実現。
急成長しているモノのインターネット(IoT)市場において、その基盤
ボード仕様
ディスプレイ伝送技術を、i.MX 6 にて実現します。 Apple の AirPlay の
Car Navigation
要とされ、そのニーズを満たすため様々な新プロトコルの標準化と世
Cortex-M4@120MH z
定された Miracast(ミラキャスト)を用いた、1 対 1 の無線通信による
ミラーリングに代わるオープンな代替技術と銘打たれたものであり、A
社の携帯電話から B 社のテレビの上にディスプレイをミラーリングした
り、リアルタイムで会議室のプロジェクターとノートパソコンの画面
を共有したり、家のケーブルボックスからライブ番組をタブレットで
見たりできる技術です。
■使用分野■
HGW
Projector
■特徴■
・Source、Sink の双方に対応
・認証試験のサポート
(認証試験のプレテストや、Certified のサポート
・接続検証(iop)の公開と更新
(Miracast の接続機器情報の公開)
となるコネクティビティ技術には、堅牢な通信と低消費電力性能が必
界規模での利用が始まっています。そのような背景の中、国内外の有
力企業により、IEEE802.15.4.g 規格をベース相互接続を有する無線通信
規格の策定、普及を目的とした「Wi-Sun アライアンス」が設立されま
した。Wi-Sun アライアンスでは、宅内エネルギー管理アプリケーション
用の標準通信規格「ECONET Lite」向けの下位通信インターフェース規
格として、「Wi-Sun for ECHONET Lite Profile」を標準化しました。本モ
ジュールは、Wi-Sun に対応した製品です。
※本サポートに関しては、弊社パートナーにて対応
得意とする分野
56
市場にいち早く無線搭載製品をリ
リースしたい
強みと実績
自動車
民生機器
産業機器
ネットワーキング
ヘルスケア
モータ制御
スマート
エネルギー
コネクティビティ
ARM PARTNERS SUCCESS
・Freescale 製品に関する豊富な経験をもとにした技術サポート
・Freescale 製品のみでなく、SW を含めたシステムソリューション提案が可能
・Freescale 製品を中心とした HW の受託設計提案
国際規格に対応する無線製品を海
外へ展開したい
MCU:Kinetis(K24) Freescale 社製
FLASH 1MB
RAM 256KB
USB OTG(Full)
DSPI × 3
I2C × 3
UART × 6
DMA 16ch
RF :SX1272 Semtech 社製
会社概要
丸文株式会社は、設立以来エレクトロニクス技術を
丸文株式会社
基盤とする産業と研究開発分野を事業領域へ商品・
〒 103-8577 東京都中央区日本橋大伝馬町 8-1
デマンドクリエーション本部 DC 第 1 部 TEL:03-3639-8951
端エレクトロニクス電子応用機器をコンサルティン
http://www.marubun.co.jp/
情報・サービスを提供、現在は、半導体などの最先
グからシステムアップまで提供します。
ARM PARTNERS SUCCESS
57
APS AC A DE M Y
第
13
17
回
Cortex-A 入門編
コプロセッサの概要
コプロセッサとは?
コプロセッサのアクセス命令
コプロセッサへのアクセス方法
ARM プロセッサ(Cortex-M シリーズを除く)を使用する場合、プロセッサ機能
コプロセッサのアクセスは、MRC/MCR 命令で行います。特権モードでしかアク
ARM コンパイラを使用して、コプロセッサにアクセスする場合、“__asm” キーワードを使用したインラインアセンブリ言語またはアセンブリ言語で作成します。
のキャッシュや MMU などの設定はコプロセッサで行うため、コプロセッサレジ
セスできないコプロセッサレジスタがありますので、注意して使用します。
C/C++ コンパイラでのコプロセッサにアクセスする例
アセンブリ言語のコプロセッサにアクセスする例
ないため、専用命令を使用し、読み込みおよび書き込みを行います。メモリ空間
MRC 命令
インラインアセンブリ言語を使用する場合、アセンブリ命令を __asm{….} でまと
AAPCS ※ 1 に従って、アセンブリプログラムを作成することで、C/C++ 言語から
に配置されないことで、4G バイトすべてのメモリ空間を有効に使用できるメリッ
MRC 命令は、コプロセッサレジスタからプロセッサレジスタに読み込みを行いま
めて記述できます。
関数としてコプロセッサアクセス命令を実行することができます。
トがあります。特権モードでしかアクセスできないコプロセッサレジスタがあり
す。
スタを理解しなければなりません。コプロセッサは、メモリ空間に配置されてい
ますので、ご利用のプロセッサの「テクニカルリファレンスマニュアル※」を参照
ください。
MRC{ cond } coproc,# opcode1,Rd,CRn,CRm {, # opcode2 }
●コプロセッサは、16 個のコプロセッサが定義されています。
● CP15(コプロセッサ 15)は、システム制御機能を提供します。
設定項目
● CP11(コプロセッサ 11)は、倍精度の浮動小数点演算をサポートします。
cond
● CP10(コプロセッサ 10)は、単精度の浮動小数点演算に加えて、VFP アドバン
スド SIMD の両方のアーキテクチャの機能拡張をサポートします。
coproc
命令キャッシュ
CP15
MMU
バスインタフェースユニット
ライトバッファ
任意の条件コードを指定します。
命令が実行されるコプロセッサの名前を指定します。
コプロセッサ cp15 の場合は、p15 設定となります。
opcode1
3 ビットコプロセッサ固有のオペコードを指定します。
opcode2
オプションとしての 3 ビットコプロセッサ固有のオペコードを指定します。
Rd
Cortex-A9コア
設定内容
CRn
コプロセッサレジスタを指定します。
CRm
コプロセッサレジスタを指定します。
enable_caches FUNCTION
MRC p15,0,r0,c1,c0,0
; システム制御レジスタ(SCTLR) を読み込み
ORR r0,r0,#(0x1 << 12)
; 命令キッシュを許可(SCTLR.I[12])
ORR r0,r0,#(0x1 << 2)
; データキッシュを許可します。(SCTLR.D[2])
ORR r0,r0,#(0x1 << 11)
; プログラムフロー予測を許可します。
(SCTLR.Z[11])
MCR p15,0,r0,c1,c0,0
; システム制御レジスタ(SCTLR) を書き込み
;==================================================================
; データプリフェッチ機能を許可
;==================================================================
MRC p15,0,r0,c1,c0,1
; 補助制御レジスタを読み込み
ORR r0,r0,#(0x1 << 2)
; データプリフェッチ起動を有効 (ACTLR.DP[2])
MCR p15,0,r0,c1,c0,1
; 補助制御レジスタを書き込み
BX
lr
ENDFUNC
コプロセッサ設定例
MCR 命令
MCR 命令は、プロセッサレジスタからコプロセッサレジスタに書き込みを行いま
す。
Cortex-A9 プロセッサの初期化処理を行う場合、コプロセッサ 15(CP15)に設定
を行います。
今回は、以下の設定に関して説明します。
MCR{ cond } coproc,#opcode1,Rd,CRn,CRm {, # opcode2 }
● TLB(変換ルックアサイドバッファ)と分岐予測のアレイを無効化
サンプルプログラムを WEB にて掲載中!
http://bitly.com/a13-b
●命令 / データキャッシュを無効化
cond
日本語版「Cortex-A9 テクニカルリファレンス マニュアルリビジョン:r2p2」を参照ください。
coproc
設定内容
任意の条件コードを指定します。
● VFP/NEON のアクセス権と設定
●ベクタアドレスの変更設定
●キャッシュ・MMU・分岐予測の設定
命令が実行されるコプロセッサの名前を指定します。
コプロセッサ cp15 の場合は、p15 設定となります。
opcode1
3 ビットコプロセッサ固有のオペコードを指定します。
opcode2
オプションとしての 3 ビットコプロセッサ固有のオペコードを指定します。
Rd
ARM PARTNERS SUCCESS
__asm {
MRC p15,0,reg,c1,c0,0
// システム制御レジスタ(SCTLR)を読み込み
ORR reg,reg,#(0x1 << 12) // 命令キッシュを許可(SCTLR.I [12])
ORR reg,reg,#(0x1 << 2) // データキッシュを許可(SCTLR.D [2])
ORR reg,reg,#(0x1 << 11) // プログラムフロー予測を許可(SCTLR.Z [11])
MCR p15,0,reg,c1,c0,0
// システム制御レジスタ(SCTLR) を書き込み
//==================================================================
// Cortex-A9 のデータプリフェッチ機能を許可
//==================================================================
MRC p15,0,reg,c1,c0,1
// 補助制御レジスタ(ACTLR)を読み込み
ORR reg,reg,#(0x1 << 2)
// データプリフェッチ起動を有効 (ACTLR.DP[2])
MCR p15,0,reg,c1,c0,1
// 補助制御レジスタ(ACTLR)を書き込み
}
}
; キャッシュ・分岐予測の許可
できません。
設定項目
58
EXPORT enable_caches
デスティネーションプロセッサレジスタを指定します。r15(PC)は設定
データキャッシュ
※ Cortex-A9 の場合、英語版「Cortex-A9 Technical Reference Manual Revision:r4p1」または、
void enable_caches( void )
{
unsigned long reg;
ソースプロセッサレジスタを指定します。
r15(PC)は設定できません。
CRn
コプロセッサレジスタを指定します。
CRm
コプロセッサレジスタを指定します。
Information
第14回~第17回は「Webのみの掲載」です。第14回は4月20日に掲載予定。
「Cortex-M入門編(全20回)」
「RTOS入門編(全11回)」も公開中。
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