平成26年度 筑波大学理工学群社会工学類 卒業研究論文 企業キャラクターが企業にもたらす イメージとその活用 社会経済システム主専攻 20111125 島田千彬 指導教官 石井健一 1 目次 第1章. 研究目的・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 1-1.研究の背景 1-2.先行研究 1-3.事前調査 1-4.仮説の設定 第2章. 調査方法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・7 2-1.調査対象 2-2.アンケートの内容 第3章. 分析結果、考察・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9 3-1.パーソナリティ特性の因子抽出 3-2.各因子と個人要因の関係 3-3.キャラクターと企業イメージに関する検証 3-3-1.キューピー・味の素での比較 3-3-2.グリコ・明治での比較 3-3-3.ライオン・花王での比較 3-4.仮説の検証 第4章. まとめ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17 4-1.結論 4-2.本研究の問題点と今後の課題 参考文献 謝辞 付録 2 第1章. 研究目的 1-1.研究の背景 現在ゆるきゃらや妖怪ウォッチのようなキャラクターが流行し、関連グッズもかなり売れており、日本 におけるキャラクタービジネス市場は表 1 で見られるようにかなり大規模になっている。 表 1:日本におけるキャラクタービジネス市場推移 出典 矢野経済研究所 矢野経済研究所によるとキャラクタービジネスとは、「ライセンス契約によりキャラクターを商品化、 広告販促使用、映画やテレビ、マンガなどのメディアへ展開するビジネスをさし、商品化権と版権で構成 される。」と述べられており、日本のキャラクター市場は 2013 年が 2 兆 3110 億円、2014 年予測が 2 兆 3420 億円となっている。2013 年以降はゲームや SNS,映画、ご当地キャラクター等から新たな人気キャラクタ ーが誕生するなど、明るい兆しが見えている。 (矢野経済研究所) また、キャラクターを使って企業イメージや商品イメージを高める手法は、昔から行われてきた。特に アメリカでの「ミッキー・マウス」「オールドジョー」がその代表的な例である。そのような企業キャラ クターには 2 種類あり、既存キャラクターを使用し、企業のブランド力を上げる場合と、オリジナルキャ ラクターを自ら作ってキャラクターブランドとする場合がある。中でもオリジナルキャラクターには、① 製品そのものをキャラクター化したもの(例:ペプシコーラ) ②製品の機能的価値をもとに、そこから 価値や意味を抽出したもの(例:植物物語) ③製品の価値や意味から開発され、そのブランドに新しい 意味を付け足すために開発されるもの(例:キレイキレイ) に分けることができる。(菅原・2009)。 現在、オリジナルの企業キャラクターを新しく生み出したいという企業のニーズが増えており、オリジ ナルキャラクターを制作してくれる企業も存在する。このようにキャラクターが増え続けている時代の中 でキャラクター同士の差別化を行う上でも、企業キャラクターを一つのコミュニケーション戦略としてと らえることがますます重視されている。 しかしこのような、企業キャラクターやゆるキャラにおいてキャラクターばかりが先行してしまい、そ の地域や特産物、または企業の認知に果たして本当につながっているのかという問題があるといえる。本 来ならば売りたいものは地元の知名度やその企業の商品であって、キャラクターはその手段・道具である はずなのに、キャラクターばかりが注目を集めてしまうという本末転倒になってしまっているのではない か?ということができる。ブランドを拡張することは簡単なことであるが、安易な拡張は希薄化を起こし てしまう。つまり、他と何ら変わりのない、ただのキャラクターになってしまうといえる。 3 そこで本研究では、我々に長年親しまれている企業のキャラクターはブランドキャラクターとして、企 業に影響を与えているのか、それとも、現在のゆるキャラ等でみられる例のように、キャラクターのみが 認知され、あまりブランドキャラクターとしての役割は果たしていないのかについて調査した。 今回は調査対象をキャラクターがある企業とない企業の 6 社にしぼり、イメージをそれぞれ比べること で、キャラクターの有無が消費者の企業イメージにどのように関係しているのかを調査する。消費者が企 業キャラクターに対する価値観を見出し、企業にとって新たなキャラクターブランドをつくる上での参考 となることを目的とする。 1-2.先行研究 (1)ブランドパーソナリティについての先行研究 ブランドパーソナリティとは、 「あるブランドから連想する、態度や価値観を含めた人物特性の集合で ある。」 (松田・2003)と定義されており、ブランドパーソナリティが、ブランドを人格化して認識さ せ、ブランドの自己表現的な機能を強くドライブすることができるため、イメージ面における特徴やブラ ンドパーソナリティを作り出すユーザータイプや使用シーンのイメージ属性が差別化を創造するポイン トになっている。そのためマーケッターは、市場をセグメントするためにパーソナリティ変数を使用し、 消費者のパーソナリティに関連したブランドパーソナリティを製品に賦与していると述べられている。 (松田・2003)。 ブランドパーソナリティについてはあまり世界でも研究がなされてこなかったのだが、今までされて きた最も有名な研究が J.Aaker(1997)によるブランドパーソナリティ特性の抽出であった。J.Aaker に よると、5つの次元「誠実因子」 「刺激因子」 「能力因子」 「洗練因子」 「素朴因子」が発見された。しかし、 これらの因子の異文化での適合性については検証されなかった。そこで、日本特有のブランドパーソナリ ティを研究したのが松田智恵子の「日本的ブランドパーソナリティの測定」である。この研究によると日 本的ブランドパーソナリティ次元は「誠実因子」「能力因子」「内気因子」「洗練因子」「男性的因子」の 5 つが抽出された。J.Aaker の因子と内容を比較すると、「能力因子」「刺激因子」「洗練因子」「素朴因子」 はそれぞれ、松田の「能力因子」「元気因子」「洗練因子」「男性的因子」に相当していることが明らかと なった。さらに、この調査と J.Aaker の次元での大きな違いは J.Aaker の「誠実因子」にあたる次元が抽 出されず、その代わりに新たに「内気因子」が抽出された。この「内気因子」は「内気な」「恥ずかしが りやの」 「地味な」 「控えめな」のなどといった『内向性』や『謙虚さ』を表す特性であり、これは日本特 有のパーソナリティ特性であるといえる。また、この調査の中では「能力因子」の中に、「誠実」「素直」 といった対人的要素の強い特性が含まれていることも、J.Aaker の次元とは異なる点である。各因子の特 性としては「能力因子」は“きちんとして落ち着いた、安心・信頼のある”、 「元気因子」は“明るき 元気で気楽” 、 「内気因子」は“地味でのんきでおとなしい” 、 「洗練因子」は“上品で高級で都会的”、 「男 性的因子」は“男性的でたくましい”が強く出ていた。 そこで今回はこの「能力因子」「元気因子」「洗練因子」「男性的因子」「内気因子」の5つの因子と、 各因子の中でも因子負荷量の高かった特性をブランドパーソナリティとして使用して、研究することにし た。 4 (2)キャラクターとブランドの関係についての先行研究 越川康子の「キャラクターとブランドに関する一考察」によると、以前からキャラクターブランドとい う表現があり、ゆるキャラなどご当地ブランドを荷うものや、ドコモのドコモダケのようなブランド表現 のキャラクターをキャラクタービジネスとして消費者に受け入れられているものもある。さらに、欧米で はキャラクターを用いたブランド・パーソナリティ表現に大きく3つのパターンがある。1つに、人間で はないものを人のように踊ったり話したりさせるもの、2つに人の姿または人に近い姿にさせるもの(擬 人化)、3つに消費者のイメージするような創造物(人・もの)にするものである。 また、ブランド要素のキャラクター研究において、キャラクターがブランドに与える効果・消費者の感 情について研究され、以下の5つにまとめられる。(越川・2013)。 ① 少し変わっている、奇抜なアドキャラクターを用いることにより、単にその広告に対する注意や関心 を高めることを狙う。 ② キャラクターに対してすでに出来上がっている消費者の関心を利用して、広告や広告商品に対する関 心を高めることを狙う。 ③ キャラクターに対する消費者の親しみや好意度を利用して、商品やブランドや企業に対する親しみや 好意度を高めることを狙う。 ④ 似たような性能や機能のブランドがいくつも市場に存在する場合、他社ブランドとの差別化を図るた めの、アドキャラクターの起用。 ⑤ キャラクターをシンボルとして用いることによって、ブランド・イメージの確立や強化を図る狙い。 以上のように、キャラクターは注意をひくための手段であるだけでなく、ブランドのシンボルとイメー ジの移転を行っている。「シンボル」であるキャラクターのイメージ・連想が「商品そのもの」を示し、 かつ、そのイメージ・連想を商品のイメージに移転させる。つまり、ブランドにおいてキャラクターは注 意をひきやすくブランドの持つ意味や個性をビジュアルで分かりやすく伝えるものである。良いとされる ブランドキャラクターはブランドの意味・製品との関連がわかり、そして、連想に結び付きやすいことだ といわれている。それゆえ、企業全体で製品とそのブランドの表現方法を、統一感を持って行い、永続で きるようにしていくべきであり、それが消費者のブランドへの価値や信頼につながる。(越川・2013)。 1-3.事前調査 今回の研究で、研究対象企業を選ぶために質的調査による事前調査を行い、キャラクターを有する企業 3 社とキャラクターのない企業 3 社の 6 社に選定された。対象は筑波大学生 11 人(うち男性 5 人、女性 6 人)である。この結果、一般的に親しまれている企業キャラクターの中でも、キューピー株式会社(以下 キューピー)の『キューピー』と江崎グリコ株式会社(以下グリコ)の『ゴールインマーク』とライオン 株式会社(以下ライオン)の『ライオンちゃん』が選ばれた。その理由としては、 「よく見るから」 「なじ みがある」 「よく食べる商品のキャラクターだから」 「親しみやすい」などが挙げられる。逆にあまり良い 印象でなかった企業キャラクターについては「何を意味しているかわからない」 「なじみがない」 「かわい くない」等の理由が挙げられた。 また、これらの 3 社に対して似ていると思う会社についてあげてもらった結果、キューピーに対しては 味の素株式会社(以下味の素)、グリコに対しては株式会社明治(以下明治)、ライオンに対しては花王株 5 式会社(以下花王)が比較対象とするキャラクターのない企業として選ばれた。 以上の6社を対象として、企業キャラクターが荷うキャラクターブランドとしての役割を明らかにする。 1-4.仮説の設定 企業キャラクターとその企業のイメージの関係について以下のような仮説を立てた。 「企業のキャラクターは企業の印象にプラスのイメージを与える」 先行研究によるとブランドとは企業選定において重要な役割を果たしていることが証明されており、企 業キャラクターも企業ブランドとしての役割を果たしているのではないかと考えた。もしそうならば、企 業キャラクターは企業になんらかのよい印象をもたらしていると考えられる。そこで、企業によるブラン ドパーソナリティをキャラクターのある企業とない企業で比較して、仮説を検証する。 6 第2章. 調査方法 2-1.調査対象 仮説を検証するためにキャラクターがある企業とない企業で、企業に対するイメージを質問紙にて量的 調査を行った。アンケートは 3 パターンあり、3 パターンをランダムに配布した。調査対象は、2014 年 11 月 5 に筑波大学の講義「社会調査実習」の授業に出席した社会工学類の 2 年生であり、授業の最後に実施 させていただいた。調査協力をしてくれた学生は 92 名(内、有効回答者数 89(男性 74 名、女性 15 名)、 有効回答率 96.7%)であった。 2-2.アンケート内容 アンケートは、その企業認知についての実態調査、心理尺度、アンケート回答者の実態調査の 3 つの質 問構成からなっている。 研究対象に選んだ企業は 1 章で挙げたようにキャラクターがある企業 3 社(キューピー株式会社“キュ ーピー”、江崎グリコ株式会社“ゴールインマーク”、ライオン株式会社“ライオンちゃん”)とない企業 3 社(味の素株式会社、株式会社明治、花王株式会社)である。これらの企業間で印象の違いを検証するた めに、以下の 3 パターンに分けてアンケートを行った。 パターン1:キューピー・グリコ・ライオンの 3 社においてキャラクターを質問紙に載せて企業のイメ ージ調査。 パターン2:キューピー・グリコ・ライオンの 3 社においてキャラクターを質問紙に載せずに会社のロ ゴだけを載せ、企業のイメージ調査。 パターン3:味の素・明治・花王の 3 社において、会社のロゴを載せて企業のイメージ調査。 また、企業の印象は日本のブランドパーソナリティの次元(松本・2003)のから導出されたパーソナリ ティ特性名 42 項目のうち因子負荷量の高いパーソナリティ特性 22 項目を使い質問票を作成した。これら の質問は、 「1、当てはまらない」 「2、あまり当てはまらない」 「3、どちらとも言えない」 「4、少し当 てはまる」「5、当てはまる」の 5 点尺度で測定した。これらの得点が高いほど、その項目の当てはまり が強いといえる。以下は調査に使用した尺度の項目である。 能力因子 ・しっかりした・安定した・安心できる・信頼できる・きちんとした・誠実な 元気因子 ・元気な・のりがよい・明るい・自由な・積極的な 内気因子 ・内気な・寂しがりや・不器用な・おっとりした・恥ずかしがりや・のんきな 洗練因子 ・上品な・高級な・上流階級のような 男性的因子 ・男性的な・たくましい 以上の能力因子6つ、元気因子 5 つ、内気因子6つ、洗練因子 3 つ、男性的因子2つの計22項目であ る。 7 いずれの回答者もパターン 1 から3まで一つずつ割り当てられ、三つの異なる会社についてブランドパ ーソナリティを評定した。また、これ以外の項目として、各会社の認知度、商品の購買頻度、CM の視聴頻 度についても測定した。 8 第3章. 分析結果・考察 3-1.パーソナリティ特性の因子抽出 まず、ブランドパーソナリティの各項目の因子分析の結果、表 2 で示した通り、2-2で述べた通りの 結果が得られた。 松田(2003)によると、因子1=能力因子、因子2=内気因子、因子3=元気因子、因子4=洗練因子、 因子5=男性的因子に相当するといえる。 表 2:「ブランドパーソナリティ項目」の因子分析 因子 1 2 3 4 5 形容詞 / 因子名 能力因子 内気因子 元気因子 洗練因子 男性的因子 しっかりした 0.781 -0.055 0.117 0.02 0.085 安定した 0.831 -0.082 0.132 -0.03 0.008 安心できる 0.882 -0.062 0.097 0.029 -0.118 信頼できる 0.886 -0.049 0.08 0.051 -0.123 きちんとした 0.898 -0.054 0.093 0.037 -0.072 誠実な 0.721 -0.061 0.181 0.071 0.048 元気な 0.169 0.012 0.739 -0.043 0.052 のりがよい 0.078 -0.006 0.817 -0.043 0.096 明るい 0.155 0.017 0.846 -0.011 0.001 自由な 0.103 -0.001 0.741 -0.002 0.064 積極的な 0.105 -0.035 0.713 0.102 0.05 内気な 0.062 0.68 -0.025 0.119 0.055 寂しがりや -0.061 0.853 -0.138 0.093 0.136 不器用な -0.136 0.818 -0.03 0.167 0.209 おっとりした -0.049 0.804 -0.006 0.173 -0.007 恥ずかしがりや -0.116 0.86 -0.023 0.213 0.084 のんきな -0.13 0.634 0.236 0.149 -0.029 上品な 0.103 0.28 -0.016 0.798 0.079 高級な 0.081 0.241 -0.005 0.908 0.134 上流階級のような -0.009 0.351 0.03 0.799 0.22 男性的な -0.054 0.131 0.123 0.164 0.933 たくましい -0.065 0.179 0.138 0.189 0.813 因子抽出法: 主因子法 ,バリマックス回転 9 3-2.各因子と個人要因との関係 まず、男女別に因子分析を行い、差を比較した。 表 3:性別の因子得点平均 性別 男性 平均値 標準 偏差 女性 平均値 標準 偏差 F値 有意確率 能力因子 内気因子 元気因子 洗練因子 男性的因子 -0.04 -0.02 -0.03 -0.03 0.00 0.97 1.00 0.96 1.00 1.02 0.20 0.09 0.12 0.16 0.01 0.96 0.73 0.88 0.70 0.64 2.21 0.43 0.93 1.46 0.01 0.14 0.51 0.34 0.23 0.92 ① 男性:数値が一番低いものは能力因子(-0.03997)であり、一方、内気因子(-0.002729)と最も高 かった。しかし、すべての因子がマイナスなので男性はあまり企業に対してよいイメージがないとい える。 ② 女性:数値が高いものは能力因子(0.195408)、逆に最も低いのが男性的因子(0.0133427)である。 よって、女性は能力は評価するが、企業に男性的というイメージは持っていないといえる。 さらに、女性は男性とは逆ですべての因子がプラスなので男性よりも全般的に企業イメージは良いと いえる。 また、F 検定の結果5%水準で、どの因子にも男女差は見られなかった。よって男女において、企業イ メージに差はあまりないといえる。 次に、テレビの視聴時間ごとに因子得点を比較した。 表 4:テレビの視聴時間ごとの因子得点の平均 (分) テ レ ビ の 視 聴 時 間 0 平均値 標準 偏差 20 平均値 標準 偏差 30 平均値 標準 偏差 60 平均値 標準 偏差 90 平均値 標準 偏差 120 平均値 標準 偏差 150 平均値 標準 偏差 180 平均値 標準 偏差 240 平均値 標準 偏差 能力因子 内気因子 元気因子 洗練因子 男性的因子 -0.25 0.05 -0.11 0.13 0.04 1.11 1.08 1.06 0.90 0.96 1.04 0.10 -0.12 0.07 -0.23 0.04 0.10 0.34 0.65 0.20 0.18 0.35 0.04 0.05 -0.35 0.90 0.91 0.68 1.25 0.74 0.32 -0.51 0.17 0.23 -0.20 0.80 0.73 1.00 1.06 0.95 0.67 -0.35 0.25 0.36 0.12 0.44 0.70 1.16 0.90 0.83 -0.28 0.09 0.11 -0.43 -0.01 1.01 0.91 0.91 0.66 1.11 0.04 1.30 0.06 0.06 0.97 0.78 0.75 0.79 0.78 0.89 -0.08 0.00 -0.23 -0.21 0.17 0.73 0.87 0.77 1.05 0.93 0.35 0.06 -0.31 -0.21 0.15 0.76 0.61 0.80 0.84 0.82 この結果から、全くテレビを見ない人は、因子得点はどの因子でも比較的低いことがわかる。テレビを 見ない人はすなわち CM も見ないため、あまり企業に対するイメージがないのではないかと考えられる。 しかし、それ以外ではあまり傾向はみられなかった。 10 次に、キャラクターへの関心度の因子分析を行った。 表 5:キャラクターについて関心度別の因子得点の平均 ャ キ ー へ のラ 関ク 心タ まったく興味はない 平均値 標準 偏差 あまり興味はない 平均値 標準 偏差 どちらでもない 平均値 標準 偏差 まあまあ興味がある 平均値 標準 偏差 能力因子 内気因子 元気因子 洗練因子 男性的因子 0.23 0.49 0.19 0.41 0.12 1.08 0.46 0.65 0.68 0.79 -0.20 -0.02 -0.08 -0.08 -0.03 1.01 0.98 0.97 0.94 0.98 0.07 0.06 -0.09 -0.03 0.05 0.96 0.89 0.94 1.00 0.91 0.33 -0.12 0.21 0.10 0.00 0.73 1.04 0.93 1.00 1.02 キャラクターに興味が全くない人はどの因子も比較的得点は高い(全て正の値)。よって、キャラクタ ーのイメージがなくても企業の印象は良くなると考えられることから、企業のイメージはあまりキャラク ターによって左右されないといえる。 次に、会社ごとの因子得点の平均と分散分析結果を示す(表6)。 表 6:会社ごとの因子得点表と分散分析 会社名 能力因子 内気因子 元気因子 洗練因子 男性的因子 キューピーあり 平均値 -0.42 0.31 0.18 -0.31 -0.33 標準 偏差 1.20 0.93 0.82 0.80 0.82 グリコあり 平均値 -0.56 -0.37 0.07 -0.24 1.05 標準 偏差 1.14 0.83 0.87 0.73 1.28 ライオンあり 平均値 -0.56 0.15 0.08 -0.14 -0.01 標準 偏差 1.09 0.92 1.02 0.87 0.83 キューピーなし 平均値 0.25 -0.05 0.26 0.21 -0.47 標準 偏差 0.74 0.91 0.94 1.04 0.70 グリコなし 平均値 0.11 -0.30 0.50 -0.06 0.09 標準 偏差 0.80 1.00 0.77 1.01 1.15 ライオンなし 平均値 0.19 -0.05 -0.17 0.13 0.05 標準 偏差 0.67 1.05 0.94 1.00 0.76 味の素 平均値 0.35 0.03 -0.20 -0.07 0.07 標準 偏差 0.65 0.92 0.86 1.01 0.89 明治 平均値 0.29 0.11 -0.16 0.06 -0.13 標準 偏差 0.96 0.96 0.98 1.01 0.69 花王 平均値 0.33 0.21 -0.60 0.41 -0.27 標準 偏差 0.77 1.03 0.95 1.00 0.63 F値 5.33 1.63 3.68 1.70 7.19 分散分析 有意確率 0.00 0.12 0.00 0.10 0.00 ※キューピーありはキューピーのキャラクターあり。 キューピーなしはキューピーのキャラクターなし。他同様 ① キューピーあり:能力因子が最も低く(-0.41762)、内気因子が最も高い(0.305712)。内気因子が高 いのは、キューピーの赤ちゃんのキャラクターの影響によって寂しがりや、恥ずかしがりなどの印象 が強いと考えられる。 ② グリコあり:能力因子が最も低く(-0.55634) 、男性的因子が最も高かった(1.0494147)。これはキャ 11 ラクターが男性であることがかなり影響していることが考えられる。また、次いで元気因子(0.065434) も高かったことから、ゴールインマークが作られた由来である『「おいしさと健康」を、よりいきいき とダイナミックにお届けしよう』、という背景が消費者に伝わっているのではないかと考えられる。 ③ ライオンあり:能力因子が最も低く(-0.55909)、内気因子が最も高かった(0.080121)。①から③まで ですべて能力因子が低いことから、キャラクターは能力因子に負の影響を与えていると考えられる。 ④ キューピーなし:①と比較すると能力因子、洗練因子において差が出た。特に能力因子において約 0.6 という大きな差が出た。能力因子と洗練因子のどちらも、キャラクターがない方が得点は高いことか らキャラクターの印象はあまりよくないといえる。 ⑤ グリコなし:②と比較すると、男性的因子で最も差が出た。 (約 0.96 キャラクターありのほうが高い) グリコの男性のキャラクターは企業の印象にかなり大きな影響を与えていることがいえる。また、次 いで能力因子においても差が見られた(約 0.6)ことから、能力においてはキャラクターがないほうが イメージはよいといえる。 ⑥ ライオンなし:③と比較すると最も差が出たのは、能力因子(約 0.74 キャラクターなしのほうが高い) であった。しかし、どの因子でも③では正の因子は⑥では負に、負の因子は正にという真逆の結果が 出たことから、キャラクターがあるのとないのでは印象が逆になっているといえる。しかし、能力因 子以外の因子ではあまり差は見られなかった。 ⑦ 味の素:能力因子が最も高く(0.345594)、元気因子が最も低くなった(-0.20008)。ここで能力因子 が高いのは、味の素の製品が高く評価されていると考えられる。 ⑧ 明治:能力因子が最も高く(0.291482)これはグリコよりも高い。製菓業界ではグリコのほうが明治 より売り上げが高く、シェアも大きいのに明治のほうが能力因子は高くなっているのはキャラクター の負の影響も少なからずあるのではないかと考えられる。 ⑨ 花王:洗練因子が最も高く(0.414971)、元気因子が最も低くなった(-0.60318)。洗練因子が高いこ とより、「高級」「上流階級」のようなイメージが花王にはあるといえる。しかし、実際はほかのトイ レタリー企業と比べても高級のものばかりを取り扱っているわけではないので、花王の「高品質を徹 底帝に追究する」という戦略においては能力因子に反映されているといえる。 ま た 、 分 散 分 析 の 結 果 、 能 力 因 子 ( f=5.53,p=0.00 )、 元 気 因 子 (f=3.681,p=0.00) 、 男 性 的 因 子 (f=7.194,p=0.00)において1%水準で有意であった。能力因子はキャラクターがないほうが平均値は高い のに比べ、元気因子はキャラクターがあったほうが高かった。よってキャラクターがあったほうが企業の 元気なイメージにつながるが、能力的なイメージにおいては負の影響をもたらしているといえる。また、 男性的因子はキャラクターありなしに関わらず、グリコが高かったことから、グリコのゴールインマーク が消費者にかなり意識されていると考えられる。 12 3-3.キャラクターが企業イメージに与える効果に関する検証 次にブランドパーソナリティ項目を会社ごとで比較する。 3-3-1.キューピー・味の素での比較 キューピーのキャラクターあり、なしと味の素の3つで各因子得点表を比較した結果が、以下の表 7 の ようになった。 表 7:キューピー・味の素の各項目の平均値比較 因子 能 力 元 気 内 気 先 練 男性的 キューピーあり(N=29)キューピーなし(N=31) 味の素(N=29) f値 p値 項目 しっかりした 3.66 4.03 4.34 3.38 0.04 安定した 3.83 4.32 4.38 3.32 0.04 安心できる 3.86 4.65 4.45 8.51 0.00 信頼できる 3.97 4.61 4.52 6.51 0.00 きちんとした 3.72 4.39 4.40 6.61 0.00 誠実な 3.48 3.90 4.03 2.51 0.09 元気な 3.86 3.84 3.45 1.60 0.21 のりがよい 3.31 3.61 3.17 1.54 0.22 明るい 3.93 4.16 3.62 3.01 0.06 自由な 3.62 3.26 3.24 1.75 0.18 積極的な 3.31 3.58 3.38 0.77 0.47 内気な 2.28 2.13 2.28 0.34 0.71 寂しがりや 2.28 1.84 2.07 2.58 0.08 不器用な 2.31 1.90 2.07 1.66 0.20 おっとりした 2.31 2.10 2.14 1.11 0.34 恥ずかしがりや 2.31 2.10 2.14 0.54 0.58 のんきな 2.34 2.58 2.28 0.85 0.43 上品な 2.07 2.52 2.38 1.76 0.18 高級な 1.90 2.32 2.14 1.61 0.21 上流階級のような 1.79 1.97 1.90 0.33 0.72 男性的な 2.00 1.87 2.31 1.98 0.14 たくましい 2.03 2.10 2.28 0.51 0.60 この結果から有意なものは「しっかりした」(f=3.377, p<0.05)、「安定した」(f=3.32, p<0.05)、 「安心できる」(f=8.505, p<0.01)、 「信頼できる」(f=6.512, p<0.01)、 「きちんとした」(f=6.608, p<0.01) となり、能力因子でしか差が見られなかった。さらに、キャラクターがない方が平均値は高いことから、 キャラクターは能力因子についてはマイナスの影響があるということがいえる。 13 3-3-2.グリコ・明治での比較 グリコのキャラクターあり、なしと明治の3つで比較した結果が、以下の表 8 のようになった。 表 8:グリコ・明治の各項目の平均値比較 因子 能 力 元 気 内 気 先 練 男性的 項目 グリコあり(N=29) グリコなし(N=31) 明治(N=29) f値 p値 しっかりした 3.66 4.16 4.21 2.76 0.07 安定した 3.90 4.39 4.34 2.44 0.09 安心できる 3.72 4.45 4.45 7.07 0.00 信頼できる 3.66 4.39 4.48 7.90 0.00 きちんとした 3.52 4.16 4.41 6.48 0.00 誠実な 3.38 3.94 3.83 2.09 0.12 元気な 3.76 3.94 3.66 0.64 0.53 のりがよい 3.59 4.00 3.34 3.97 0.02 明るい 3.72 4.23 3.48 5.45 0.01 自由な 3.21 3.61 3.31 1.44 0.24 積極的な 3.45 3.81 3.45 1.95 0.15 内気な 2.03 2.00 2.34 1.48 0.23 寂しがりや 1.97 1.77 2.07 3.66 0.03 不器用な 2.14 1.77 2.07 1.65 0.20 おっとりした 1.86 1.90 2.14 1.90 0.16 恥ずかしがりや 1.86 1.90 2.14 0.87 0.42 のんきな 2.03 2.26 2.28 0.63 0.54 上品な 2.00 2.23 2.52 2.08 0.13 高級な 1.97 2.00 2.24 0.91 0.41 上流階級のよ 1.97 2.03 1.97 0.06 0.94 男性的な 3.24 2.39 2.17 7.95 0.00 たくましい 3.21 2.42 2.07 9.41 0.00 この結果から有意なものは「安心できる」(f=7.071, p<0.01)、「信頼できる」(f=7.904, p<0.01)、 「きちんとした」(f=6.481, p<0.01)、「のりがよい」(f=3.974, p<0.05)、明るい」(f=5.446, p<0.05)、 「寂しがりや」(f=3.661, p<0.05)、 「男性的な」(f=7.949, p<0.01)、「たくましい」(f=9.414, p<0.01) となった。特に能力因子と男性的因子で大きく差が見られた。能力因子ではキャラクターが無い方が平均 値は高いのに対して、男性的因子はキャラクターありの方が平均値は高いことから、これはキャラクター の見た目が男性的因子に大きく影響しているということがいえる。 14 3-3-3.ライオン・花王での比較 ライオンのキャラクターあり、なしと味花王の3つで比較した結果が、以下の表 9 のようになった。 表 9:ライオン・花王の各項目の平均値比較 因子 能 力 元 気 内 気 先 練 男性的 項目 ライオンあり(N=29) ライオンなし(N=31) 花王(N=29) f値 p値 しっかりした 3.41 4.29 4.28 9.46 0.00 安定した 3.59 4.32 4.31 8.01 0.00 安心できる 3.76 4.32 4.45 5.91 0.00 信頼できる 3.83 4.39 4.41 5.06 0.01 きちんとした 3.66 4.23 4.31 5.48 0.01 誠実な 3.66 4.23 4.17 3.68 0.03 元気な 3.79 3.55 3.38 1.33 0.27 のりがよい 3.45 3.10 2.86 2.23 0.11 明るい 3.72 3.81 3.07 5.01 0.01 自由な 3.31 3.06 2.97 0.93 0.40 積極的な 3.24 3.06 3.00 0.43 0.65 内気な 2.31 2.26 2.59 1.08 0.35 寂しがりや 2.29 2.00 2.24 1.08 0.35 不器用な 2.21 2.00 2.24 0.55 0.58 おっとりした 2.17 2.06 2.28 0.70 0.50 恥ずかしがりや 2.17 2.06 2.29 0.44 0.65 のんきな 2.66 2.19 2.17 2.05 0.14 上品な 2.14 2.43 2.76 2.76 0.07 高級な 2.03 2.32 2.59 2.35 0.10 上流階級のような 1.97 2.10 2.31 1.02 0.36 男性的な 2.28 2.32 2.00 1.27 0.29 たくましい 2.52 2.35 2.03 2.11 0.13 この結果から有意なものは「しっかりした」(f=9.459, p<0.01)、「安定した」(f=8.009, p<0.01)、 「安心できる」(f=5.908, p<0.01)、 「信頼できる」(f=5.06, p<0.01)、 「きちんとした」(f=5.482, p<0.01)、 「誠実な」(f=3.683, p<0.05)、「明るい」(f=5.014, p<0.01)となった。能力因子ではすべての因子で差 が見られたことから、キャラクターはない方が能力についての企業イメージは高いといえる。このことか ら、キューピーとグリコ同様にキャラクターは能力因子にマイナスの影響を与えているということができ る。 3-4.仮説の検証 今回「企業のキャラクターは企業の印象にプラスのイメージを与える」という仮説に対して、あまり支 持する結果は得られなかった。3-2のパターンごとの因子分析と分散分析で示したように、わずかなが ら元気因子においてはキャラクターがあったほうが得点は高かったことから、キャラクターは元気な印象 を多少は企業に与えるといえるが、能力因子においては、完全にキャラクターがないほうがよい印象にな るという結果になった。 また、キャラクターがある企業において、質問紙にキャラクターを載せたものと載せていないものだ け(パターン1とパターン2)を比較しても、能力因子以外はほぼ差がみられず、第 3 章で示した結果と ほとんど同じ結果になった。(付録の表 1~3)よって、企業キャラクターの有無により、企業の印象が変 15 わることは能力因子以外ではほぼない上に、能力因子においてはマイナスの影響すらもたらしているとい える。これらのことから、仮説は支持されなかったという結果となった。 16 第4章. まとめ 4-1.結論 今回の結果から、全ての企業においてキャラクターがない方が能力因子は高く、それ以外の因子ではほ とんど差が見られないということがいえる。ただ、グリコのキャラクターにおいては男性的因子のみにお いてキャラクターありの方が有意な結果となった。これはグリコの男性キャラクターが企業イメージにか なり影響を与えているといえる。 よって今回のようなメーカー企業にとっては、あまりキャラクターを強調しない方が良いといえる。キ ャラクターのおかげで企業ブランドの確立や企業認知には役立つと考えられるが、キャラクターが企業の イメージと関係しているとは考えにくいと言える。しかし、キャラクターが商品に書いてあったり、広告 に露出することでキャラクターのない企業との差別化はしやすく、一目でどの企業か判別しやすいという 点においてはキャラクターがある方がメリットであると考える。 従って、今回のような企業キャラクターは、キューピーのように、もともと有名であるキャラクターを 用いることで企業認知の拡散を狙い、商品のブランドイメージを増徴したり、グリコのゴールインマーク のようにみんなに親しまれやすいインパクトのあるオリジナルキャラクターを作ることで、キャラクター 認知から企業認知につなげるような戦略で使用されることが望ましい。 また、この結果にはキャラクターが作られた背景も関係しているのではないかと考えられる。そこで、 今回研究対象であるキャラクターの歴史的背景から考察する。 以下企業キャラクター誕生の背景まとめ キャラクター名 (それぞれ企業 HP より引用) 由来 1909 年にアメリカでキューピーが生まれ、キューピーのキャラクタ キューピー ーブームが起こり、その後日本でも絵本や広告に使用され始め、 マヨネーズを日本に持ち込んだ中島董一郎による会社のマスコット キャラクターとして起用された。なお、このキャラクターを使用し ている企業は他にもある。 ゴールインマーク 境内でかけっこをしている子どもが両手をあげてゴールインする姿 をもとに、 「おいしさと健康」を、よりいきいきとダイナミックにお 届けしよう、という決意を表わした。 ライオンちゃん ライオン株式会社という社名から、有名なイラストレーターによっ て描かれた。 今回の研究の対象であるキューピーとライオンは企業イメージと関連して作られたものではないため、 あまり有効な結果が得られなかったという可能性も十分に考えられる。一方、グリコのゴールインマーク は「おいしさと健康」をよりダイナミックに届けるという意図が含まれており、それが男性的因子に表れ たと考えられる。これを受けて、企業の戦略イメージ合わせたキャラクターや、それぞれの消費者ターゲ ット層を狙ったオリジナルキャラクターを作れば、企業に正の影響も十分に与えることができるともいえ る。 また、キューピーは既存のキャラクターを使っていることから、キャラクターだけが先行してしまい企 17 業にはあまり結びついていないと考えられる。それに対してゴールインマークやライオンちゃんのような オリジナルキャラクターは浸透するには時間を要するが、企業との関係を深めることができる。 よって、キャラクターを使用して、企業価値を高めるためにはそれを意図したキャラクターをオリジナ ルで作る必要があるといえるが、認知がない状態から浸透するにはターゲットとキャラクターがしっかり 合致していなければ受け手側にとってとらえづらく、オリジナルキャラクターを成功へと導くことは大変 困難であるといえる。 4-2.本研究の問題点と今後の課題 今後はもっと企業とキャラクターの関係が強い(企業が企業イメージを意図して作ったオリジナルキャ ラクター)ものについて研究すればさらに違った結果が得られるのではないかと考える。 また、キャラクターの連想にも個人差がある。今回の調査対象者は大学生であり、さらに女性の人数が かなり少ないことから結果に偏りが生じたと考えられる。今後調査を行う際は、大学生だけでなく幅広い 層の消費者に大規模なアンケートを取れば偏りもなくなり、さらに研究は改善の余地があるといえる。 18 <参考文献・資料> ・Aaker,J.L.(1997). “Dimensions of Brand Personality.” Journal of Marketing Research, 34(August). pp.347-356 ・松田智恵子(2003)「日本的ブランドパーソナリティの測定 -内気因子の発見-」小川孔輔著 『ブランド・リレーションシップ』 ・菅原由似(2009) 同文館出版 「キャラクタービジネスの戦略に関する研究」 ・後藤こず恵(2013) 「ブランド・パーソナリティとリスク -リスク管理者への信頼に関する考察- 流通科学大学論集-流通・経営編-第 25 巻第 2 号、p63-78 ・越川靖子(2013) 「キャラクターとブランドに関する一考察 湘北紀要 -地域振興とゆるキャラ発展のために -」 第 34 巻 p161‐176 ・矢野経済研究所 http://www.yano.co.jp/press/press.php/001283 ・キューピー株式会社 http://www.kewpie.co.jp/ ・江崎グリコ株式会社 http://www.glico.co.jp/ ・ライオン株式会社 https://www.lion.co.jp/index2.htm 謝辞 まず、ご指導を引き受けてくださり、研究、論文作成、その他多岐にわたり丁寧かつ有益な助言をくださ った社会工学類の石井健一先生に、心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。 また、アンケートに協力してくださった友人、後輩、その他学生の皆様にこの場を借りて、感謝の意を表 します。 皆様のご協力があり完成した卒業論文です。ありがとうございました。 19 <付録> 付録1:キューピーの各項目の平均値比較 因子 能 力 元 気 内 気 先 練 男性的 キューピーあり(N=29) キューピーなし(N=31) f値 p値 しっかりした 3.66 4.03 1.68 0.20 安定した 3.83 4.32 3.61 0.06 安心できる 3.86 4.65 13.14 0.00 信頼できる 3.97 4.61 9.51 0.00 きちんとした 3.72 4.39 8.10 0.01 誠実な 3.48 3.90 2.40 0.13 元気な 3.86 3.84 0.01 0.93 のりがよい 3.31 3.61 1.34 0.25 明るい 3.93 4.16 1.00 0.32 自由な 3.62 3.26 2.44 0.12 積極的な 3.31 3.58 1.33 0.25 内気な 2.28 2.13 0.43 0.51 寂しがりや 2.28 1.84 4.62 0.04 不器用な 2.31 1.90 2.95 0.09 おっとりした 2.31 2.10 0.95 0.33 恥ずかしがりや 2.31 2.10 0.97 0.33 のんきな 2.34 2.58 0.89 0.35 上品な 2.07 2.52 3.65 0.06 高級な 1.90 2.32 3.07 0.09 上流階級のような 1.79 1.97 0.67 0.42 男性的な 2.00 1.87 0.39 0.54 たくましい 2.03 2.10 0.07 0.76 ※黄色は5%水準で有意 付録2:グリコの各項目の平均値比較 因子 能 力 元 気 内 気 先 練 男性的 p値 グリコあり(N=29) グリコなし(N=31) f値 しっかりした 3.66 4.16 4.98 0.03 安定した 3.90 4.39 1.75 0.03 安心できる 3.72 4.45 10.58 0.00 信頼できる 3.66 4.39 10.14 0.00 きちんとした 3.52 4.16 5.68 0.02 誠実な 3.38 3.94 4.16 0.05 元気な 3.76 3.94 0.46 0.50 のりがよい 3.59 4.00 3.16 0.08 明るい 3.72 4.23 5.31 0.03 自由な 3.21 3.61 2.86 0.10 3.28 0.08 積極的な 3.45 3.81 内気な 2.03 2.00 0.03 0.87 0.37 寂しがりや 1.97 1.77 0.83 不器用な 2.14 1.77 2.81 0.10 おっとりした 1.86 1.90 0.67 0.42 恥ずかしがりや 1.86 1.90 0.04 0.85 のんきな 2.03 2.26 0.89 0.35 上品な 2.00 2.23 0.86 0.36 高級な 1.97 2.00 0.03 0.87 上流階級のよ 1.97 2.03 0.08 0.78 男性的な 3.24 2.39 7.49 0.01 たくましい 3.21 2.42 7.45 0.01 ※黄色は 5%水準で有意 20 付録3:ライオンの各項目の平均値比較 因子 能 力 元 気 内 気 先 練 男性的 しっかりした 安定した 安心できる 信頼できる きちんとした 誠実な 元気な のりがよい 明るい 自由な 積極的な 内気な 寂しがりや 不器用な おっとりした 恥ずかしがりや のんきな 上品な 高級な 上流階級のような 男性的な たくましい ライオンあり(N=29) ライオンなし(N=31) f値 p値 3.41 4.29 14.70 0.00 3.59 4.32 11.84 0.00 3.76 4.32 5.75 0.02 3.83 4.39 7.26 0.01 3.66 4.23 7.08 0.01 3.66 4.23 5.63 0.02 3.79 3.55 0.89 0.35 3.45 3.10 1.58 0.21 3.72 3.81 0.12 0.73 3.31 3.06 0.90 0.35 3.24 3.06 0.42 0.52 2.31 2.26 0.04 0.85 2.29 2.00 1.38 0.24 2.21 2.00 0.68 0.41 2.17 2.06 0.05 0.83 2.17 2.06 0.23 0.63 2.66 2.19 2.75 0.10 2.14 2.43 1.39 0.24 2.03 2.32 1.39 0.24 1.97 2.10 0.33 0.57 2.28 2.32 0.04 0.84 2.52 2.35 0.44 0.51 ※黄色は5%水準で有意 付録 4:各企業の認知率、購買率、CM 視聴率比較 認知率(%) 「良く買う」率(%) 「良く見る」率(%) キューピーあり キューピーなし 味の素 グリコあり グリコなし 明治 ライオンあり ライオンなし 花王 100 93.15 100 100 100 96.6 100 96.65 100 10.3 0 6.9 9.7 10.3 6.9 12.9 34.5 13.8 0 22.6 24.1 6.9 12.9 17.2 17.2 29 20.7 付録5:各企業売り上げ上位商品の購買率 キューピー 商品名 購買率(%) 味の素 商品名 購買率(%) グリコ 商品名 購買率(%) 明治 商品名 購買率(%) ライオン 商品名 購買率(%) 花王 商品名 購買率(%) キューピーマヨネーズ 30.7 味の素KKコンソメ キューピードレッシング キューピーディップソース キューピーパスタソース パン工房 23.6 1.1 9 丸鶏がらスープ 18 ポッキー 鍋キューブ プリッツ 29.6 きのこの山 コロン フラン GABA カール キレイキレイ 21 24.5 アタック 17.2 ビーズ 12.4 カプリコ 10.9 アポロ クリニカ クイックルワイパー 10.9 22.8 19.9 17.6 クノールカップスープ 15.1 8.6 16.9 22.1 クリアクリーン 20.2 かるじゃが プッカ キシリデント 7.1 10.9 11.2 6.7 冷えピタ 6.4 28.5 26.2 ストッパ スープDELI 14.6 5.6 17.2 ビオレ 4.1 15.4 ソフラン 9 付録6:調査に用いたアンケート用紙(パターン1) 食品企業キャラクターの印象についての アンケート 筑波大学理工学群社会工学類、4 年の島田千彬と申します。 今回、「キャラクターのビジネス戦略」というテーマのもと、企業のキャラクターと商品購買行動につい ての関係を調査する卒業論文のための資料集めを目的としたアンケートをさせていただきたいと思って おります。 以下の質問では、食品企業について質問します。回答いただいた内容は卒業論文以外に使用することはご ざいませんのでご理解のほどよろしくお願い致します。なお、名前は書いていただかなくて結構です。 答えられる範囲で構いませんのでご協力よろしくお願いします。 22 キューピー株式会社(調味料メーカー:代表製品『キューピーマヨネーズ』)についてお聞きします。 当てはまる番号に○を付けてください。 この会社を知っていますか? この会社の商品はどれくらい買いま すか? この会社の広告(CM)をどれくらい見 ますか? 1知っている 2知らない 1 全然買わない 2 あまり買わない 3時々買う 4よく買う 1全然見ない 2 あまり見ない 3 時々見る 4よく見る 当てはまらない あまり当てはまらない どちらとも言えない 少し当てはまる 当てはま る ・キューピーについて次の各項目の当てはまるもの1つに○をしてください。 しっかりした 1 2 3 4 5 安定した 1 2 3 4 5 安心できる 1 2 3 4 5 信頼できる 1 2 3 4 5 きちんとした 1 2 3 4 5 誠実な 1 2 3 4 5 元気な 1 2 3 4 5 のりがよい 1 2 3 4 5 明るい 1 2 3 4 5 自由な 1 2 3 4 5 積極的な 1 2 3 4 5 内気な 1 2 3 4 5 寂しがりや 1 2 3 4 5 不器用な 1 2 3 4 5 おっとりした 1 2 3 4 5 恥ずかしがりや 1 2 3 4 5 のんきな 1 2 3 4 5 上品な 1 2 3 4 5 高級な 1 2 3 4 5 上流階級のような 1 2 3 4 5 男性的な 1 2 3 4 5 たくましい 1 2 3 4 5 23 江崎グリコ株式会社(製菓会社:代表製品『ポッキー』、『プリッツ』)についてお聞きします。 当てはまる番号に○を付けてください。 この会社を知っていますか? この会社の商品はどれくらい買いま すか? この会社の広告(CM)をどれくらい見 ますか? 1知っている 2知らない 1 全然買わない 2 あまり買わない 3時々買う 4よく買う 1全然見ない 2 あまり見ない 3 時々見る 4よく見る 当てはまらない あまり当てはまらない どちらとも言えない 少し当てはまる 当てはま る ・グリコについて次の各項目の当てはまるもの1つに○をしてください。 しっかりした 1 2 3 4 5 安定した 1 2 3 4 5 安心できる 1 2 3 4 5 信頼できる 1 2 3 4 5 きちんとした 1 2 3 4 5 誠実な 1 2 3 4 5 元気な 1 2 3 4 5 のりがよい 1 2 3 4 5 明るい 1 2 3 4 5 自由な 1 2 3 4 5 積極的な 1 2 3 4 5 内気な 1 2 3 4 5 寂しがりや 1 2 3 4 5 不器用な 1 2 3 4 5 おっとりした 1 2 3 4 5 恥ずかしがりや 1 2 3 4 5 のんきな 1 2 3 4 5 上品な 1 2 3 4 5 高級な 1 2 3 4 5 上流階級のような 1 2 3 4 5 男性的な 1 2 3 4 5 たくましい 1 2 3 4 5 24 ライオン株式会社(トイレタリー用品、医療品、化学品メーカー:代表商品『キレイキレイ』、『キシリ デント』)についてお聞きします。当てはまる番号に○を付けてください。 この会社を知っていますか? この会社の商品はどれくらい買います か? この会社の広告(CM)をどれくらい見 ますか? 1知っている 2知らない 1 全然買わない 2 あまり買わない 3時々買う 4よく買う 1全然見ない 2 あまり見ない 3 時々見る 4よく見る 当てはまらない あまり当てはまらない どちらとも言えない 少し当てはまる 当てはま る ・ライオンについて次の各項目の当てはまるもの1つに○をしてください。 しっかりした 1 2 3 4 5 安定した 1 2 3 4 5 安心できる 1 2 3 4 5 信頼できる 1 2 3 4 5 きちんとした 1 2 3 4 5 誠実な 1 2 3 4 5 元気な 1 2 3 4 5 のりがよい 1 2 3 4 5 明るい 1 2 3 4 5 自由な 1 2 3 4 5 積極的な 1 2 3 4 5 内気な 1 2 3 4 5 寂しがりや 1 2 3 4 5 不器用な 1 2 3 4 5 おっとりした 1 2 3 4 5 恥ずかしがりや 1 2 3 4 5 のんきな 1 2 3 4 5 上品な 1 2 3 4 5 高級な 1 2 3 4 5 上流階級のような 1 2 3 4 5 男性的な 1 2 3 4 5 たくましい 1 2 3 4 5 25 次にあなた自身についてお聞きします。当てはまるものに○をつけてください。 ・あなたの性別をお答えください。 1男 2女 ・キャラクターについてどれくらい関心がありますか? 1全く興がない 2あまり興味はない 3どちらでもない 4まあまあ興味がある 5とても興味がある ・一日のテレビの平均視聴時間はどれくらいですか?()内に時間と分を記入してください。 ( )時間( )分くらい ・ ほとんどテレビは見ない ・以下の商品について買ったことのあるものの番号に○をつけてください。(いくつでも可) 1 キューピーマヨネーズ 12 プリッツ 23 キシリデント 2 キューピードレッシング 13 コロン 24 キレイキレイ 3 キューピーディップソース 14 かるじゃが 25 クリニカ 4 キューピーパスタソース 15 GABA 26 アタック 5 パン工房 16 カプリコ 27 ソフラン 6 味の素 KK コンソメ 17 きのこの山 28 冷えピタ 7 丸鶏がらスープ 18 フラン 29 クリアクリーン 8 鍋キューブ 19 プッカ 30 クイックルワイパー 9 スープ DELI 20 カール 31 ビーズ 10 クノールカップスープ 21 アポロ 32 ビオレ 11 ポッキー 22 ストッパ 33 一つも買ったことはない アンケートは以上です。ご協力ありがとうございました。 26
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