平成26年度行政監査結果

備
監
第
9 9
号
平 成 27 年 3 月 31 日
備
前
市
長
 村 武 司 様
備 前 市 議 会 議 長
田
口
健
作
様
備前市監査委員
大
田
備前市監査委員
掛
谷
淳
一
繁
平成 26 年度行政監査結果報告書の提出について
地方自治法第 199 条第 2 項の規定に基づき監査を実施し、同条第 9 項の規定
により、その結果に関する報告を決定したので、別紙のとおり提出します。
行政監査結果報告
備前市監査委員
第1.行政監査の意義
行政監査は、地方自治法第 199 条第 2 項に基づき一般行政事務の執行について行うも
ので、組織、人員、事務処理方法その他行政運営全般に関し、同法第 2 条第 14 項の「事
務を処理するに当たっては、最少の経費で最大の効果を挙げ」及び同条第 15 項の「常に
その組織及び運営の合理化に努めるとともに」、「その規模の適正化を図らなければなら
ない」という規定の趣旨に沿って、同法第 199 条第 3 項及び同施行令第 140 条の 6 の「事
務の執行が法令の定めるところに従って適正に行われているかどうか」について、その
適法性及び経済性・効率性・有効性の観点から行う監査である。
第2.監査のテーマ
「鍵の保管と管理状況について」
第3.監査の目的
例月現金出納検査において、支出伝票等の検査を行っているが、支出伝票に添付され
た請求書の品目に「合鍵」が含まれているものが散見された。合鍵の種類や用途は確認
できないが、価格は数百円程度と比較的安価であり、消耗品費として支出されている。
備前市の場合、予定価格が 3 万円未満の物品の購入に際しては、各課長は市長等の決裁
を省略し、直接購入できる(備前市会計規則(規則第 57 号)第 158 条第 3 項)とされて
おり、また、食糧費、修繕料を除いたその他の需用費が 20 万円未満の場合の支出負担行
為等に関しては、各課長が専決を行うもの(備前市事務決裁規程(訓令第 7 号)第 6 条)
とされており、実際に、支払伝票には課長の決裁があることから、合鍵の購入自体につ
いては、問題はない。
しかしながら、安価であることや事務決裁が簡素化されているがために、安易に合鍵
を購入し、その鍵の目的とする財産、動産、安全、情報などの保全、管理、保安等が危
険にさらされる可能性を危惧するものである。さらに、合鍵の購入とオリジナルの鍵の
保管や管理状況は密接な関係にあるものと容易に推察される。
従って、備前市での各種、各用途の鍵の保管や管理が適正、かつ、効率的に行われて
いるかを主眼に監査を実施し、市民の財産である公有物品や施設の保全、使用が適正に
行われることを目的とするものである。
第4.監査の範囲
監査の対象範囲は本庁内(北棟、保健センター、福祉事務所含む。)の部署が所管して
いる、あるいは取り扱う錠・鍵に限り監査を実施した。ただし、次に掲げるものは除い
た。
・公用車(自動車等の車両)の鍵
・本庁舎や執務室への入退室用電子鍵
・業務用パソコンやコピー機等事務用機器のセキュリティ解除用カードキー
・更衣用ロッカー等で個人所有物品の保管を主な目的としているもの
1
第5.監査の着眼点
・鍵の管理は適切に行われているか。
財産等の保全、管理、保安等の重要性などによる施錠方法と錠の堅牢性の評価、財産
等の保全、管理、保安等の重要性と使用頻度による現有本数の適正性、管理者の設定、
使用者の限定と把握、紛失時の対応、職員の異動時の引き継ぎ状況等を確認する。
・鍵の保管は適切に行われているか。
財産等の保全、管理、保安等の重要性や鍵の使用頻度を反映した保管場所であるか。
貸出・使用管理簿等は設置されているか。
第6.監査の期間
平成 27 年 2 月 18 日から平成 27 年 3 月 25 日まで
第7.監査の方法
監査の実施に当たっては,「第5.監査の着眼点」に沿って監査することを基本とし、
「第4.監査の範囲」に掲げた部署を対象に資料の提出を求め、実地調査により検分す
るべき対象を選定、抽出し、14 部署について平成 27 年 3 月 17 日に実地調査を行った。
第8.監査結果
概ね鍵の保管や管理は適正、かつ、効率的に行われているものと認められたが、一部
改善及び検討を要する事項が見受けられたので、以下、提出された資料や実地調査によ
り得られた調査結果を含め、意見を付するものとする。
1 提出資料について
対象部署に対して、次の項目について作成した資料の提出を求めた。
№
項
目
1
鍵の名称
2
鍵が目的とする保存等物品の種類
【保存している物品等で主なものを
3 種まで選択可能とした】
3
鍵が目的とする保存等物品の価値
4
保存等物品を保管している場所
5
錠の堅牢性
選択するものとして指定した項目
【各課で名称を付与 複数の鍵で同じ管理、取扱
いのものは、「一式」等とまとめて報告してもよ
いものとした】
金品(証券・通帳)/公印/車両/パソコン(電
子機器)/材料(補修材)・器具(測定器具)・
道具(ペンチ)/文具書類・本類/情報(電子・
紙)/個人所有物品/その他(部屋・主要・高額)
/その他(軽微)
高(金品・公印・個人情報・財産価値が高い・取
替ができない)/中(取扱者を限定している・す
ぐに補充ができない)/低(単に保管している・
個人所有物品)
手元(机・執務室内)/直近(庁舎内・敷地内)
/外部(近隣地・市内)/遠隔地(県内外)
堅牢(金庫・電子ロック・ダイヤル式・ピンプル
錠・複合)/その他(堅牢性高)/通常(扉・シ
リンダー錠)/簡易(机・ロッカー・市販南京錠)
/その他(堅牢性弱)
2
6
施錠方法
常時(ほとんど)施錠/執務時間外施錠/使用時
開錠後施錠/常時開錠(使用中止等時施錠)/そ
の他
7
鍵の使用頻度(主に開錠や使用に際
して必要とする回数)
多(毎日)/中(頻回)/少(年数回)
8
鍵の保有数の把握状況
把握している/把握していない/鍵がない(ダイ
ヤル・テンキー方式)
10
鍵、錠(施錠する施設等)の管理者
の設定
鍵使用(保有・貸与)者の限定
11
鍵の保管場所
9
12
13
14
15
16
17
有/無
有/無
専用場所(鍵付)(キーボックス・金庫)/常時
携行・管理者専属/指定・固定場所(人目につか
ない)/指定・固定場所(オープン)/その他(保
管の必要なし・暗証)
台帳(施錠する施設の場所、マスタ
ーキー所有者、鍵の本数、保管場所) 台帳有/台帳無/必要なし
の有無
必要性高く設置済・運用中/必要性高いが未設
鍵使用履歴管理簿・貸与者名簿・貸
置・検討中/必要なし(他種帳票で管理・使用者
出簿等の必要性と設置の有無
限定)
顛末書等の提出を求めている/口頭での報告を
鍵紛失時等の対応
求めている/特段の定めはしていない/その他
理由書等の提出を求めている/口頭での報告を
錠破損、交換時の対応
求めている/特段の定めはしていない/その他
起案等文書で決裁を得ている/責任者・係長の合
合鍵(スペアキー)(購入するとし
意を得ている/消耗品購入と同様としている/
た場合も含む)作成の決裁状況
合鍵の作成は認めていない/その他
錠の交換、暗証番号等の変更を行っている/返
職員の異動時の対応
却・引継を確認し履歴を保存している/特段の対
応はしていない/その他
所属長記載欄【各課担当者が設定した鍵名称ごとに所属長が次の項目について記載するものと
した】
上記の鍵、錠について現有数、管理 把握していた/一部分、把握していた/知らなか
a
状況、保存等物品の種類及び価値を った/他部署等、管理者が他にあるため、把握の
把握されていましたか。
必要がない/その他
現状の運用や管理方法についての
【自由記入とした】
b
意見等を記入してください。
今後の運用や管理方法についての
【自由記入とした】
c
方針等を記入してください。
※表中の【
】は現注記である。
3
2
資料の集計結果
1 鍵の名称
2
鍵が目的とする保存等物品の種
類(その1、2、3共通)
200
金品(証券・通帳)
公印
件数(重複あり)
14
書類・本類
情報(電子・紙)
鍵が目的とする保存等物品の価
値
4 保存等物品を保管している場所
手元(机・執務室内)
常時(ほとんど)施錠
37
多(毎日)
中(頻回)
67
把握している
186
有
件数
10 鍵使用(保有・貸与)者の限定
160
有
件数
11 鍵の保管場所
件数
件数
13
14 鍵紛失時等の対応
2
顛末書等の提出を求め
ている
件数
15 錠破損、交換時の対応
16
6
170
必要なし
98
合鍵(スペアキー)(購入するとし
た場合も含む)作成の決裁状況
理由書等の提出を求め
ている
17 職員の異動時の対応
件数
200
計
200
計
175
起案等文書で決裁を得
ている
23
0
200
計
177
0
責任者、係長の合意を得 消耗品購入と同様として 合鍵の作成は認めてい
ている
いる
ない
4
錠の交換、暗証番号等
の変更を行っている
100
2
0
200
4
200
その他
計
87
返却・引継を確認し履歴
特段の対応はしていない その他
を保存している
0
200
計
172
22
計
0
口頭での報告を求めてい
特段の定めはしていない その他
る
0
件数
12
99
26
その他(保管の必要な
し・暗証)
口頭での報告を求めてい
特段の定めはしていない その他
る
3
件数
200
200
鍵使用履歴管理簿・貸与者名簿・ 必要性高く設置済・運用 必要性高いが未設置・検 必要なし(他種帳票で管
貸出簿等の必要性と設置の有無 中
討中
理・使用者限定)
件数
200
計
指定・固定場所(人目に 指定・固定場所(オープ
つかない)
ン)
台帳無
3
29
計
常時携行・管理者専属
台帳(施錠する施設の場所、マス
12 ターキー所有者、鍵の本数、保管 台帳有
場所)の有無
計
200
40
12
200
計
無
専用場所(鍵付)(キー
ボックス・金庫)
0
200
0
40
160
計
27
109
無
その他(堅牢性弱)
計
鍵がない(ダイヤル・テン
キー方式)
14
200
85
少(年数回)
把握していない
285
計
常時開錠(使用中止等時
その他
施錠)
47
24
28
0
102
60
計
200
簡易(机・ロッカー・市販
南京錠)
使用時開錠後施錠
8
計
33
2
執務時間外施錠
その他(軽微)
遠隔地(県内外)
通常(扉・シリンダー錠)
11
件数
鍵、錠(施錠する施設等)の管理
9
者の設定
19
14
65
36
外部(近隣地・市内)
堅牢(金庫・電子ロック・
ダイヤル式・ピンプル錠・ その他(堅牢性高)
複合)
件数
8 鍵の保有数の把握状況
3
31
148
件数
鍵の使用頻度(主に開錠や使用
7
に際して必要とする回数)
個人所有物品
直近(庁舎内・敷地内)
件数
6 施錠方法
23
その他(部屋・主要・高
額)
44
133
件数
5 錠の堅牢性
3
高(金品・公印・個人情 中(取扱者を限定してい
低(単に保管している・個
報・財産価値が高い・取 る・すぐに補充ができな
人所有物品)
い)
替ができない)
件数
材料(補修材)・器具(測
文具
定器具)・道具(ペンチ)
パソコン(電子機器)
11
72
3
車両
7
計
0
200
200
提出された資料において鍵の総数は 200 である。ただし、鍵が複数ある場合で管理や
取扱いが同じである時は「一式」として資料作成をしてもよいものとしたため、実際の
鍵自体の本数はさらにあるものと推察される。
3
監査の結果と意見
監査の着眼点により鍵の管理や保管状況等を検証するところであるが、200 件全ての検
証は事務の効率性や時間の面からも難しい。従って、リスクによるランク付けを行う意
味からも、「保存等物品の価値が高い」とした鍵や錠について、監査の着眼点に基づき、
検証を行った。また、現況においての鍵の保管や管理の状況を検分するため、実地調査
を行った。
(1)錠の堅牢性について
表1
集計条件:保存等物品の
集計条件:保存等物品の価値
保存等物品の価値「高」
価値「高」>
「高」>錠の堅牢性>
錠の堅牢性>保存等物品を保管
堅牢性>保存等物品を保管
している場所
高(金品・公印・個人情報・財産価値が高い・取替ができない)
件数
133
堅牢(金庫・電子ロック・ダイヤル式・ピンプル錠・複合)
9
手元(机・執務室内)
8
直近(庁舎内・敷地内)
1
その他(堅牢性高)
2
手元(机・執務室内)
2
通常(扉・シリンダー錠)
67
手元(机・執務室内)
47
直近(庁舎内・敷地内)
9
外部(近隣地・市内)
11
簡易(机・ロッカー・市販南京錠)
55
手元(机・執務室内)
48
直近(庁舎内・敷地内)
4
外部(近隣地・市内)
3
保存等物品の価値が高い 133 のうち錠の堅牢性が堅牢であるものは 9 であった。堅
牢としているものは耐火金庫や金庫の錠であり、堅牢性を有しているものと認められた。
保存している物品は表2のとおりである。
表2
保存等物品の種類
件数
情報(電子・紙)
5
5
金品(証券・通帳)
4
公印
4
書類・本類
4
その他(軽微)
1
その他(部屋・主要・高額)
1
※複数回答有
錠の堅牢性がその他(堅牢性高)は 2
であった。内訳は、手提げ金庫と建物出入口扉
であり、実地調査により堅牢性を有していることが認められた。
錠の堅牢性が通常(扉・シリンダー錠)は 67
55
簡易(机・ロッカー・市販南京錠)は
であるが保存等物品の価値が高いにもかかわらず、堅牢性が通常、または簡易であ
る場所に保存していることの合理性、安全性を検証するため、実地調査の必要性を認め
たが、錠の堅牢性が簡易であるもののほうが端的に現況を表すものとの観点から、錠の
堅牢性が簡易なもので保存等物品を保管している場所が手元、直近であるもののうちか
ら、保存等物品が金品、または公印であるものを抽出したところ、5 件であった。実地調
査を行ったところ、保存場所はロッカー等、堅牢性が簡易な場所であったが、施錠後の
鍵は施錠されていないが人目につかない場所に保管されていたもの、保存等物品が公印
であったが、現在、使用していない公印であったもの、施錠後の鍵は複数場所、多重施
錠により保管されていたものなど、概ね、適正に管理されているものと認められた。
次に、堅牢性が簡易で保存等物品を保管している場所が外部であるもの 3
堅牢性が通常で保存等物品を保管している場所が外部であるもの 11
については、
も含めて検証した
ところ、すべて市内各施設や建物の出入口の鍵であり、施設は鍵保管部署以外の部署が
通常管理しているが、夜間や特定の作業や業務時に入館する必要があるため、鍵を保管
しているものなどであった。また、資料作成時には、保存等物品は取替ができないもの
である時は価値を高とするとの選択肢しかなかったことから、建物についてはその価値
を高とせざるを得ず、結果、堅牢性が通常や簡易であることはやむを得ないものと認め
られた。
(2)鍵の使用頻度について
表3
集計条件:保存物品等の価値>鍵の使用頻度
高(金品・公印・個人情報・財産価値が高い・取替ができない)
件数
割合(%)
133
-
多(毎日)
58
43.6
中(頻回)
16
12.0
少(年数回)
59
44.4
31
-
中(取扱者を限定している・すぐに補充ができない)
6
多(毎日)
6
19.4
中(頻回)
5
16.1
20
64.5
36
-
多(毎日)
3
8.3
中(頻回)
3
8.3
30
83.3
200
-
少(年数回)
低(単に保管している・個人所有物品)
少(年数回)
総計
価値が高いほうが使用頻度が多い傾向にある。
(3)鍵の保管場所について
表4
集計条件:保存等物品の価値「高」>鍵の保管場所
高(金品・公印・個人情報・財産価値が高い・取替ができない)
件数
133
専用場所(鍵付)(キーボックス・金庫)
6
常時携行・管理者専属
1
指定・固定場所(人目につかない)
115
指定・固定場所(オープン)
11
保存等物品の価値が高いもので、鍵の保管場所が専用場所 6
指定・固定場所で人目につかないところに保管している 115
付く場所に保管している 11 であった。
表4では常時携行・管理者専属は 1
常時携行・管理者専属 1
指定・固定場所だが人目に
だが、保存等物品の価値に限定しなければ、常時
携行・管理者専属としているものが 6(2 資料の集計結果参照) であった。実地調査
を行ったところ、そのすべては会計課の管理であり、業務に使用する主な金庫等につい
ては、会計管理者と他の担当者で分担するなどして、適正に鍵の管理が行われているも
のと認められたが、保存等物品が帳票等であるもので金庫に保存しているものについて、
施錠が行われていない状況が見受けられた。保存等物品の価値は高くないとはいえ、当
該金庫は会計課出入口付近に設置されていることから、他の金庫と同じく、勤務時間外
は施錠するなど、適正な管理に努められたい。【会計課】
指定・固定場所だが人目に付く場所(オープン)に保管している 11 について、鍵の
保管場所や管理状況の適否によっては、他の措置を講じるべきものである。従って、実
地調査により鍵の保管場所や管理状況を検分したところ、執務時は鍵が人目に付くとこ
ろに掲示されているが、執務時間以外では施錠され、施錠後の鍵は、施錠はできないが
人目につかない場所に保管されている、あるいは施錠できる場所に保管されているもの、
鍵の使用は係員に限定しているものなど、他の措置を講じているものと認められたもの
は 9 件であった。他方、鍵を使用する者の氏名、返却時の確認を記入するなどの使用者
7
名簿を設置しているが、鍵は常に執務室入口に掲示しているもの、鍵を使用するときは
担当者が使用者に同行しているが、鍵は常に執務室入口に掲示しているものが見受けら
れた。執務時間以外は、人目につかない場所等に保管するなど、適正な管理に努められ
たい。【総務課】
(4)鍵の現有数の把握状況について
表5
集計条件:保存等物品の価値>鍵の現有数を把握しているか
高(金品・公印・個人情報・財産価値が高い・取替ができない)
把握している
件数
133
121
把握していない
12
中(取扱者を限定している・すぐに補充ができない)
把握している
31
30
把握していない
1
低(単に保管している・個人所有物品)
36
把握している
35
把握していない
1
総計
200
保存等物品の価値が高いもので現有数を把握している 121
把握していない 12
であ
った。鍵が何本あるか把握できていない状況で、保存等物品の適正な管理が行えるのか、
甚だ疑問であり、憂慮する事態である。従って、保存等物品の価値が高いものに限らず、
現有数を把握していないもの 14 について実地調査を行ったところ、施設は鍵保管部署
以外の部署が通常管理しているが、夜間や特定の作業等のために入館する必要があるた
め、鍵を保管しており、キーボックスに他の鍵と一括して保管しているもの、そのうち
頻度は少ないものの他部署の職員が使用するものは、管理簿の設置を検討しているもの
が見受けられた。キーボックスは執務室内の壁に設置されており、錠はあるが鍵が無い
状態であると説明をうけた。キーボックス内の鍵については担当部署以外のものが容易
に持ち出せる環境ではないが、可能性を否定できるものでもない。その他の鍵について
は、担当部署で保管している鍵の現有数は把握しているが、指定管理者制度に基づく指
定管理者に貸し出している鍵の現有数は不明であるもの、担当者は現有数を把握してい
るが、現有している鍵の他に存在する可能性があるため、現有数を把握していないとし
た部署も見受けられたが、このことは、現有数を把握しているとした他の部署にも当然、
あてはまることであると推察される。本件に係る意見を文末に付する。
8
(5)合鍵作成の決裁状況について
表6
集計条件:保存等物品の価値「高」>合鍵作成の決裁状況
高(金品・公印・個人情報・財産価値が高い・取替ができない)
合鍵の作成は認めていない
件数
133
69
起案等文書で決裁を得ている
1
責任者、係長の合意を得ている
59
消耗品購入と同様としている
2
その他
2
合鍵の作成は認めていない 69 起案等文書で決裁を得ている 1 責任者、係長の合意
を得ている 59 消耗品と同様としている 2 その他 2 であった。
起案等文書で決裁を得ている 1
について、他の模範となるものとして実地調査により
現況を検分したところ、当該鍵は担当部署が管轄している複数の部屋のマスターキーで
あって、鍵の保管は、複数場所、多重施錠により保管されており、最終、複数人の担当
者が持ち帰っていた。当該鍵については合鍵を作製したとの記録等はなく、仮に合鍵を
作製する必要があれば、鍵の重要性に鑑み、所属長の許可を得る必要性があるため、起
案等の文書により決裁を得るものとしているとのことであった。また、保存等物品の価
値が高いもの以外では、起案等文書で決裁を得ているとしているものが 3 件あり、同様
に実地調査を行ったところ、いずれも非常時に開設等がされる避難所などの施設の鍵で
あって、鍵は施錠はできないが人目につかない場所に保管されていた。当該鍵は、地元
団体等との協定の締結に伴って鍵の管理や保管等について決裁を受けているものであり、
担当部署の専属とする鍵の合鍵作成については、起案等文書をもって決裁を受けている
ものは見受けられなかった。
次に、消耗品購入と同様としている 2
について、保存等物品の価値が高いものである
ことに鑑み、合鍵作成を消耗品と同様と取り扱うことの是非を検分するため、実地調査
を行ったところ、当該鍵は市内施設に設置されている設備や器具の鍵であって、鍵は施
錠できる場所に保管されていた。当該鍵については合鍵を作製したとの記録等はなく、
仮に合鍵を作製する必要があれば、単に現在と同じく、消耗品費として支出するとのこ
とであった。
以上のことから、合鍵を作製する、あるいは作成するとした場合においては、起案等文
書により決裁を受けてはいないが、責任者や係長の合意、または、支払書での決裁をう
けて作成されているものと認められた。
(6)台帳の有無と使用履歴管理簿等の必要性と設置の有無について
表7
9
集計条件:保存等物品の価値>台帳の有無
件数
高(金品・公印・個人情報・財産価値が高い・取替ができない)
133
台帳有
3
台帳無
72
必要なし
58
中(取扱者を限定している・すぐに補充ができない)
31
台帳無
10
必要なし
21
低(単に保管している・個人所有物品)
36
台帳無
16
必要なし
20
総計
200
表8
集計条件:保存等物品の価値「高」>鍵使用履歴管理簿・貸与者名簿・
件数
貸出簿等の必要性と設置の有無
高(金品・公印・個人情報・財産価値が高い・取替ができない)
133
台帳有
3
必要性高く設置済・運用中
2
必要性高いが未設置・検討中
1
台帳無
72
必要性高いが未設置・検討中
16
必要なし(他種帳票で管理・使用者限定)
56
必要なし
58
必要なし(他種帳票で管理・使用者限定)
58
台帳有は全件中(200)3 件のみであり、そのうち使用履歴管理簿等の必要性高く設置
済・運用中 2
使用履歴管理簿等の必要性高いが未設置・検討中 1
であった。
台帳有 3 については、他の模範となるものであるので実地調査により現況を検分した
が、そのうちの使用履歴管理簿等の必要性高く設置済・運用中 2 について実地調査を行
ったところ、台帳とされていたものは、いずれも保存等物品の使用管理簿や鍵の使用履
歴簿であったもので、台帳とは言い難いものであった。従って、台帳有 3
のうち 2 件は
台帳無と認められた。また、当該使用履歴管理簿等の必要性高く設置済・運用中 2
のう
ち 1 件について、使用履歴管理簿等が設置済、あるいは運用中とされていたものは、保
存等物品の使用管理簿であり、鍵の使用履歴管理簿等ではないと認められたが、1 件につ
いては、鍵を使用する際に、使用者の氏名を記入させるなど、鍵の管理運用について適
正に行われているものと認められた。次に、台帳有で使用履歴管理簿等の必要性高いが
未設置・検討中 1
について、実地調査を行ったところ、当該鍵は市営住宅各部屋の鍵で
あり、各部屋の鍵本数が記載された台帳の設置が認められた。使用履歴管理簿等の必要
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性については、入居者への鍵の貸出や返却履歴、また、錠の取替実績の記録等の管理簿
の設置を検討しているとのことであった。
以上のことから、保存等物品の価値が高いもの 133 件のうち、1 件のみが台帳を設置し
ており、使用履歴管理簿等の設置も検討しているとのことであった。
全体を通して意見を付する。
実地調査にあたり、簡易な場所に価値の高いものを保存していることや施錠後の鍵が施
錠できない場所に保管されていることの保障に、警備会社の設置したセキュリティー機
器の存在をあげるものが多数あった。備前市は警備会社と警備業務委託契約を締結して
おり、夜間等の本庁舎への入館や執務室への入室については比較的強固に守られている
と認められるものであるが、当該セキュリティー機器に漫然とせず、保存等物品の保管、
管理には万全を期すことを期待するものである。
各課に依頼した資料の項目の一つには、施錠する施設の場所やマスターキー所有者、鍵
の本数、保管場所などを記載した台帳の有無について調査するものを設定していたが、
提出された資料を基に実地調査を行ったところ全 200 件中、1 件のみが台帳を設置して
いるとの結果となった。「(4)鍵の現有数の把握状況について」で述べたが、鍵の現有
数が把握できているとした部署においても、元々の鍵の本数や現在までの占有者、使用
者等が不明であり、鍵の管理状況も検討されていないとすれば、現在において鍵の現有
数を把握することは困難であると推察される。さらに、合鍵を作製する場合には、起案
等文書で決裁を受けるにしろ、責任者等の合意を得るにしろ、合鍵を作製したとの履歴
が記録されていないことは、さらに、鍵の現有数の把握を困難とし、現在の鍵の保管が
厳重であっても、保存等物品が危険にさらされているといわざるを得ない。現在、現有
する鍵や錠の台帳を設置しても、前述したとおり、不安を払しょくすることはできない
が、施設等の改修や機械備品の更新、造作物等の新築や新造に伴い、錠や鍵の把握がで
きるときには台帳を整備するなどし、鍵の使途や使用頻度等を考慮した管理方法や保管
場所などを検討され、鍵の本数や使用者に変更があった場合は履歴を記録するなど、適
正な管理に努められたい。
実地調査を行ったところ、鍵を施錠できる場所に保管、施錠し、施錠後の鍵を再度、他
の施錠できる場所に保管、施錠を行い、最終、鍵を複数人に分散して持ち帰っている部
署が見受けられた。保存等物品の管理の点からは、有効かつ適切な方法であると認めら
れるものである。ついては、職員が鍵を持ち帰ることのリスクも十分検討され、保存等
物品の価値に着目するなどし、鍵の持ち帰りについて、ルールや規則の制定に努められ
たい。
各課に依頼した資料の項目の一つには、職員が異動した際の鍵の対応について調査する
ものを設定していたが、提出された資料では、200 件の全てにおいて「特段の対応をして
いない」との結果となったが、資料の所属長意見では、これまでの口頭での引継を引継
書に記載し、確実に引き継ぐように改めるとする意見が多数あったことは、評価するも
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のである。異動する職員が鍵や錠についての保管、管理責任を問われないためにも、異
動時に後任者に確実に引き継ぎ、記録することが必要不可欠であると思慮するものであ
る。今後も鍵や錠の管理について、万全を期されたい。
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