乃木坂RT2013 第8章 男性性器・ 腎・泌尿器腫瘍の 放射線治療 国際医療福祉大学病院 放射線治療・核医学センター 北原 規 泌尿器腫瘍 1.前立腺 2.膀胱 3.精巣 4.腎臓,尿管 5.陰茎 1.前立腺癌 危険因子 PSA,部位,分化度 Gleason Score リスク群と転移 放射線治療計画 合併症 いろいろな照射法 治療成績 前立腺 前立腺は男性にだけあり、 精液の一部をつくる臓器で 恥骨の裏側に位置し、栗の 実のような形をしている。 前立腺にがんが発生する 病気が前立腺がんである。 前立腺がんの統計 年齢別にみた前立腺がんの罹患率は、65歳以上で増加する。 罹患率の年次推移は、1975年以降増加しているが、その理由の 1つは、Prostate Specific Antigen (PSA)による診断方法の普及に よるものである。この方法によって、従来の直腸指診では困難で あった早期のがんが発見されるようになった。 死亡率の年次推移は、1950年代後半から90年代後半まで増加 し、その後横ばい状態である。 日本人の罹患率は、欧米諸国およびアメリカの日系移民より低 く、欧米諸国の中ではアメリカ黒人の罹患率が最も高い傾向が ある。 前立腺癌 高齢者に多い 腫瘍マーカー(PSA)測定により発見率が増大 進行が非常に緩除な症例もある 骨転移をおこし急速に重症化する症例もある 前立腺がんの発生 がんは、前立腺の細胞が正常の細胞増殖機能を失い、 無秩序に自己増殖することにより発生する。最近、遺伝 子の異常が原因といわれているが、正常細胞がなぜが ん化するのかまだ十分に解明されていないのが現状で ある。がんは周囲の正常組織や器官を破壊して増殖し、 他の臓器に広がり腫瘤を形成する。他の臓器にがんが 広がることを転移と呼ぶ。前立腺がんが、よく転移する 臓器としてリンパ節と骨があげられる。 ラテントがんについて 前立腺がんは、加齢により増加するがんの代表である。前立腺が んの中には比較的進行がゆっくりしており、寿命に影響を来さない がんも存在する。元来前立腺がんは欧米に多い病気であるが、実 はこのようなおとなしいがんに関しては欧米でも日本でも地域差は ないといわれている。 他の原因で死亡した男性の前立腺を調べてみると 日本人でも70歳 を超えると2∼3割、80歳を超えると実に3∼4割に前立腺がんが 発生しているとされている。(このようながんはラテントがんと呼ば れる)。このような高齢者に発生する前立腺がんの25%から半数程 度はおそらく寿命に影響を及ぼさないがんと考えられている。がん にもこのような生命に異常を来す可能性の低いものもあるというこ とである。一方で悪性度の高いがんは時間の経過とともに進行し、 臨床的に診断されるようになる。この頻度には人種差があり、米国 黒人ではもっとも頻度が高く、次に白人が高いとされている。 原因と予防 前立腺がんの確立したリスク要因は、年齢(高齢者)・人種(黒人)・ 家族歴である。動物実験などから、アンドロゲンが前立腺がん発生 に重要な役割を果たしているのではないかと考えられてきましたが、 現在のところ、疫学研究ではこの仮説に一致する結果は得られて いない。最近では、IGF-‐1によってリスクが高くなる可能性が指摘さ れています。 食事・栄養素に関しても、現状では確立された要因はないが、リス ク要因として脂質、乳製品、カルシウム、予防要因として野菜・果物、 カロテノイド(なかでもリコペン)、ビタミンE、セレン、ビタミンD、イソ フラボンなどが候補に挙げられている。喫煙、体格、アルコール、 身体活動についても、関連の可能性が探られている。 症状 他のがんと同じように早期の前立腺がんに特有の症状はない。 あるとしてもその多くは前立腺肥大症に伴う症状である。具体的に は排尿困難(尿が出にくい)、頻尿(尿の回数が多い)、残尿感(排 尿後、尿が出切らないで残った感じがする)、夜間多尿、尿意切迫 (尿意を感じるとトイレに行くまでに排尿を我慢できない状態)、下腹 部不快感などである。このような症状があり、たまたま病院を受診 した際に前立腺がんの検診が併せて施行され、検査の結果、前立 腺がんが発見されることが殆どである。また前立腺がんが進行して も転移がない場合の症状は前立腺肥大症と大差ない。 前立腺がんは進行すると骨に転移しやすい。前立腺自体の症状は なく、たまたま腰痛などで骨の検査をうけ、前立腺がんが発見され ることもある。また肺転移によって発見されることもある。 1.前立腺癌 前立腺癌:危険因子 高齢, 良性前立腺肥大,食事(脂肪摂取) 前立腺癌の家族歴 ホルモン因子 (血清 testosterone) 職業被曝 (カドミウム) 人種 (黒人,移民の日本人) 性行動 (multiple partners), 性感染症 喫煙, vasectomy(パイプカット) 1.前立腺癌 PSA (Prostate-‐specific antigen) 年々増加中, 高齢化,生活習慣や食事の欧米化 PSAは前立腺上皮に局在する糖蛋白 2.5ng/ml以上が異常,前立腺容積と年齢の影響 米国PCS研究 T1:8.3,T2:11.2,T3:20.9ng/ml以上 人種差あり 治療による半減期2か月 PSA velocity(PSA年間増加量 ng/ml/year) PSA doubling time(PSA倍加時間) 1.前立腺癌 部位,分化度 部位 peripheral zone 70% transitional zone 20% central zone 10% 組織学的分化度-‐-‐-‐予後に影響 well/diff.-‐-‐G1 mod/diff-‐-‐G2 poor/diff-‐-‐G3 1.前立腺癌 Gleason Score 腫瘍組織の悪性度を5段階に分類 腫瘍内の組織像で最も普遍的な組織像 (第一パターン)と次に多い組織像 (第二パターン)とする 2 4=well/diff 5 7=mod/diff 7 10=poor/diff 1)第二パターンが第一パターンより良性の時,予後を改善 2)第一と第二のパターンスコア(両方の和)が5以下 їリンパ節転移陽性例でも癌が死因とはなりにくい 3)パターンスコアが4以下 їリンパ節転移の確率は極めて低い ステージ分類 M N M0 N0 T 原発腫瘍 T1 触知不能、または画像では診断不可能な臨床的に明ら かでない腫瘍 組織学的に、切除組織の T1a 6%以下に、偶発的に発見 される腫瘍 組織学的に、切除組織の T1b 6%以上を越え、偶発的に 発見させる腫瘍 針生検により確認(たとえば 遠隔転移 所属リンパ節 T1c PSAの上昇による)される腫 遠隔転移なし 瘍 所属リンパ節転移なし (前立腺癌取扱い規約第3版3 病期 M1 N1 T2 遠隔転移あり 前立腺に限局する腫瘍 所属リンパ節転移あり T2a 片葉に浸潤する腫瘍 T2b 両葉に浸潤する腫瘍 T3 前立腺被膜を越えて進展する腫瘍 被膜外へ進展する腫瘍(片 T3a 葉、または両葉) T3b 精嚢に浸潤する腫瘍 T4 精嚢以外の隣接組織(膀胱頸部、外括約筋、直腸、挙 筋、および/または骨盤壁)に固定、または浸潤する腫瘍 1.前立腺癌 リスク群と転移 低リスク群:T1 2a かつ PSA < 10 かつ Gleason score 2 6 中等度リスク群:T2b, PSA 10 20または Gleason score 7 高リスク群:T3以上 または PSA > 20 または Gleason score 8 10 転移:早期から出現 1.前立腺癌 生化学的再発の定義 ASTROの定義: 放射線治療後に3回連続してPSAが上昇 した場合 ヒューストン会議による定義: 最低値より2ng/ml以上の上昇 1.前立腺癌 骨盤内リンパ節転移の推定 =2/3 初診時PSA +(Gleason score-‐6) 10 Seminal vesicle浸潤の推定 =初診時PSA +(Gleason score-6) 10 1.前立腺癌 予後因子を踏まえたNomogram Partin table: staging nomogram(多変量解析による) 病理stage GS: 2-‐4 5-‐6 3+4 4+3 8-‐10 PSA 0-‐2.5 各項目毎に限局性である% 2.6-‐4 被膜外進展 % 4.1-‐6 SV浸潤 % 6.1-‐10 リンパ節転移%を表記 >10 Contemporary update of prostatic cancer staging nomograms. Urology 58: 845, 2001 1.前立腺癌 Kattan Table:術後の再発を予測 各パラメータに対応する点数を合算 їスコアに対応する予測値を読み取る PSA 8 →88点 GS 8 →45点 被膜浸潤→0点 断端陽性 →33点 SVあり →25点 LNなし →0点 合計191点 7年無再発 →約50% 1.前立腺癌 治療前PSA値とstage, GSと再発 照射して5年後の予測:Cancer 79: 2154, 1997 1.前立腺癌 予後グループ分けの試み Stage, Gleason score, PSAで定義 Cancer 79: 1370, 1997 QOL(生活の質) 排尿機能・排便機能 90 80 高得点が よい QOLを示す 70 60 手術 小線源療法 外部照射 コントロール 得 50 点 40 30 20 10 0 排尿機能 排便機能 Davis study 治療法の選択 療法名 良い適応と特徴 待機療法 グリーソンスコアーが6かそれ以下でPSAが 20ng/ml以下、病期T1-‐T2 手術療法 期待余命が10年以上でPSA<10ng/ml, グ リーソンスコア7以下、かつ病期T1c-‐T2b 放射線治療 (外照射法) 局所前立腺がん、局所進行前立腺がん 緩和としても使用される 密封小線源治療 グリーソンスコアーが6かそれ以下でPSAが 10ng/ml以下、病期T1c-‐T2b 内分泌療法 全身に作用するため転移を有する前立腺癌 の場合には第一選択。しかし治療を続ける と、いつかは再燃と呼ばれる治療抵抗性と なる 治療法の選択(生命予後10年以上) 放射線治療 密封小線源 待機療法 手術療法 内分泌療法 (外照射法) 治療 T1a T1b T1c 前立腺生検により病期を確定することが適切 T2a T2b T3a T3b T4 N+ 強く薦められる 薦められる M+ あまり薦められ ないが選択可能 全く薦められない 1.前立腺癌 前立腺癌の放射線治療 治療装置の進歩→前立腺に大線量を集中可能 手術しなくても手術と同等かそれ以上の成績 手術に比べ失禁、性機能障害の頻度が低い 多様な治療法→患者の状況、価値観で選択 1.前立腺癌 多種多様な放射線治療法 組織内照射 低線量率線源による永 久刺入と高線量率線 源を用いた一時刺入 左図は前者の刺入法 と刺入後の写真 3次元外照射 陽子線照射 前立腺部に線量 を集めることが 可能、「集光」治 療と言える Red :90% Green :80% Blue :70% yellow:50% cyan :30% V o l u m e % Green :Rectum Red :Prostate Cyan :Bladder Yellow:Femoralhead Dose cGy F ig.1 Dose distribution in 4 field. F ig.2 D V H curve in 4 field. University Hospital of SH OWA Red :90% Green :80% Blue :70% yellow:50% cyan :30% V o l u m e % Green :Rectum Red :Prostate Cyan :Bladder Yellow:Femoralhead Dose cGy F ig.3 Dose distribution in X4 field. F ig.4 D V H curve in X4 field. University Hospital of SH OWA Red :90% Green :80% Blue :70% yellow:50% cyan :30% V o l u m e % Green :Rectum Red :Prostate Cyan :Bladder Yellow:Femoralhead Dose cGy F ig.5 Dose distribution in 120゚A rc. F ig.6 D V H curve in 120゚A rc. University Hospital of SH OWA Red :90% Green :80% Blue :70% yellow:50% cyan :30% V o l u m e % Green :Rectum Red :Prostate Cyan :Bladder Yellow:Femoralhead F ig.7 Dose distribution in 90゚A rc. Dose cGy F ig.8 D V H curve in 90゚A rc. University Hospital of SH OWA Red :90% Green :80% Blue :70% yellow:50% cyan :30% V o l u m e % Green :Rectum Red :Prostate Cyan :Bladder Yellow:Femoralhead F ig.9 Dose distribution in 80゚A rc. Dose cGy F ig.10 D V H curve in 80゚A rc. University Hospital of SH OWA 前立腺癌に対するI-‐125組織内照射 2003年に日本でも認可 K. Shinohara (Dept. of Urology, UCSF) 直腸超音波ガイド下における125I 挿入 刺入後のX線写真 前立腺癌への組織内照射: 胸部への線源の移動 肺への線源移動 (%:総シード数に対する割合) 右 上葉 7 中葉 2 下葉 41 左 上葉 3 下葉 19 心臓 1 11/119 (9%) 3/119 (3%) 74/119 (63%) 3/119 (3%) 26/119(22%) 1/119 102人:移動した線源は線量的には問題ない Mayo Clinic (IJROBP 59:665,2004) 1.前立腺癌 術後照射野CTV:前後左右4門 局所再発しやすい部位: anastomosis 69%, bladder neck 17% retrotrigone 14% Connolly et al. Local recurrence after radical prostatectomy: characteristics in sizes, location and relationship to PSA and surgical margins. Urology 47: 2225, 1996 1.前立腺癌 治療成績 10年PSA非再発率 低リスク群 約80% 中等度リスク群 約50% 高リスク群 約30% 小線源治療-‐-‐-‐早期前立腺癌(T1-‐T2a)に対して, 経会陰的組織内照射法の進歩-‐-‐-‐主に米国 経直腸超音波モニター下,テンプレートで刺入 2003年春に日本でもI-‐125組織内照射が認可 前立腺全摘や外部照射単独より予後が改善する可能性 術後照射:Stage Cでの5年無再発率 術後照射群 90%,手術単独群40%という報告あり 前立腺癌125I組織内照射 4年間、240例 PSA再発例なし 他病死1例 (心筋梗塞) Grade 3以上の有害事象なし 日本放射線腫瘍学会 2008 1.前立腺癌 組織内照射後の尿路合併症 RTOG toxicity grade 1: dysuria, urgency, bladder spasm ї少量薬剤必要 2: frequent urgency, nocturia, 早期の狭窄 ї他の薬が必要 3: obstructive symptoms їカテーテル, TURP IJROBP 45:59, 1999 IJROBP 45:59, 1999 1.前立腺癌 放射線治療の利点 手術と比較して治療後のQOLが高い T1-‐2例では手術と放射線治療成績に差なし 手術:高率にインポテンツ 性的活動期にある男性には大問題 術後に尿失禁が認められる頻度多い 放射線治療:主な副作用は直腸障害 勃起機能温存率5341例のメタアナリシス(2002) 小線源治療 80%,小線源治療+外部照射 69% 外部照射 68%,神経温存前立腺切除術22% 標準的根治的前立腺切除術16% 凍結療法13% 組織内照射とホルモン療法 potencyとの関わり IJROBP 50: 1235, 2001 1.前立腺癌 前立腺癌:まとめ *超高齢化社会の進行により本邦でも増加中 *PSAは早期発見,治療,再発の良いマーカー *放射線治療の照射法はいろいろ *新しいやり方 三次元照射や強度変調治療 高線量率組織内照射や小線源刺入など *内分泌療法は効果あり *PSA failureは必ずしも死を意味しない 2.膀胱癌 危険因子 一般 治療法 放射線治療の適応 放射線治療計画 治療成績 合併症 2.膀胱癌 膀胱癌の危険因子 喫煙-‐-‐-‐-‐-‐-‐-‐male 48%, female 32%(米国) 職業被曝-‐-‐-‐有機化学物質 chlorinated organic compounds 感染-‐-‐-‐ビルハルツ住血吸虫による尿路感染症 (発展途上国) 2.膀胱癌 膀胱癌:一般 *症状:血尿,(無症候性が多い) 上皮内癌や浸潤癌では頻尿や排尿痛 *死亡数:悪性腫瘍で男性11位、女性14位 *発症:70歳台で多く、50歳以下の発症はまれ *病理:90%以上が移行上皮癌,他は扁平上皮 癌や腺癌など,異型度G1∼3 *EGFR, Her-‐2など過剰発現,p53異常発現 2.膀胱癌 病理とstaging 浸潤度でstaging 2.膀胱癌 診断と治療の手順 Diagnosis and treatment algorithm 2.膀胱癌 膀胱癌の治療:従来は外科主体 内視鏡手術(経尿道的腫瘍切除術、TUR-‐Bt) 膀胱全摘除術 膀胱上皮内がんでBCG療法が無効なもの 男性は前立腺,精嚢,女性は子宮も同時摘出 男性は勃起機能の温存手術もあり(射精不可) 2.膀胱癌 放射線治療の適応 高リスクT1表在癌TUR後や再発時 悪性度G3は再発率高い 浸潤性に進展するのが約30% TURBT後のBCG他とRTで差なし (Dutch South Eastern Bladder Cancer Group) RTにより浸潤性15%に低下(Erlangen大学) T2-4で全摘術不可能な例や高齢者 可能な限りのTURBT→化療併用RT →膀胱全摘に代わる新しい option 2.膀胱癌 膀胱温存 Conservative surgery partial cystectomy:6-19%が適応 →単一,2cmマージンで切除可能病変 *CISや膀胱頸部や三角部は禁忌 →38-78%は局所再発する TURBT(T2-3) TURBT3週間後の生検:CRは10∼20%程度 →単独では不十分 2.膀胱癌 根治的放射線治療 米国では少なく,ヨーロッパでは多く使用 米国55-65Gy/一回1.8‐2Gy 欧州50-55Gy/一回2.5-2.75Gy 5-Y local control 31-45% Favorable factors: 比較的早期(T2 ±T3a),尿管狭窄がないこと CR,TURBT視覚的CR,CISがないこと, 腫瘍が小さい (<5cm),単一,Hb>10mg/dlなど 2.膀胱癌 放射線治療計画 GTV : 膀胱原発巣+転移LN CTV: 進展に合わせ,全膀胱を含める 筋層浸潤がある場合 →両側腸骨LN領域を含める *LN転移の頻度 pT2a:6-20%, T3a: 20-30%, T3b: 30-64% T4 : 45-59% 2.膀胱癌 Boost照射では, 健常部をspareする 2.膀胱癌 治療成績・根治照射5年生存率 author Duncan Blandy Davidson Fossa Moonen Borgaonkar Overall year 1986 1988 1990 1993 1998 2002 n T2 T3 963 614 709 308 379 163 40% 27% 49% 38% 25% 48% 26% 38% 28% 14% 17% 26% 24∼45% T4 12% 9% 2% - 2.膀胱癌 膀胱温存:multimodality approach 2.膀胱癌 筋層浸潤膀胱癌への集学治療 Series multimodality Tx n 5-‐Y-‐S RTOG8802 TURBT, MCV, RT, CDDP 91 51% (1996) RTOG8903 TURBT MCV,RT,CDDP 123 49% (1998) Erlangen TURBT,RT, CDDP, CBDCA 415 50% (2002) or CDDP+5-‐Fu MGH TURBT MCV, RT+CDDP 190 45% (2002) Overall 49∼63% 2.膀胱癌 合併症 急性:下痢,頻尿,排尿時痛 晩期:直腸出血,慢性的頻尿,膀胱出血 膀胱萎縮 *膀胱全体50-60Gy→Gr3以上10∼30% *照射後半は膀胱の一部をはずすべき TD5/5 体積2/3:80Gy,3/3:65Gy 2.膀胱癌 膀胱癌:まとめ *高齢者に多い *表在癌ではTURBTが基本 *進行癌に対しては,膀胱全摘術が主流だった →TURBT+化学放射線療法で今後は 膀胱温存の方向か *放射線治療の後半では,膀胱の一部を spare することが肝要 3.精巣腫瘍 一般,病理,他 放射線治療の適応 放射線治療計画 治療成績 合併症 3.精巣腫瘍 一般 *胚細胞腫瘍 germ cell tumors (GCT)が最多 GCTはseminomaとnon-seminomaに分類 *25-40歳男性にGCTが多い (65歳以後はnon-GCT,主にNHLが多い) *地理的特性:デンマーク8.5人/10万人 白人が非白人より多い(黒人1人/10万人) 他にはマオリ族やアメリカインデアンに多い *危険因子:停留睾丸,対側睾丸腫瘍,家族歴 他にmumps orichitis, 外傷,etc 3.精巣腫瘍 精巣腫瘍の病理 Germ cell tumors Adnexal & paratesticular T seminoma methothelioma embryonal carcinoma soft tissue origin teratoma adnexal (rete testis) choriocarcinoma Miscellaneous yolk sac tumors carcinoid Sex cord stromal tumors lymphoma Leydig cell tumor cyst Sertoli cell T Metastatic neoplasms granulosa cell T Gonadoblastoma 3.精巣腫瘍 後腹膜LN転移ルート 右側睾丸 左側睾丸 3.精巣腫瘍 診断のアルゴリズム 腫瘍マーカー ɲ-‐ĨĞƚŽƉƌŽƚĞŝŶ;&WͿ͕ɴ-‐human chorionic ŐŽŶĂĚŽƚƌŽƉŝŶ;ɴ-‐hCG),LDH 3.精巣腫瘍 非精上皮腫の治療アルゴリズム 3.精巣腫瘍 精巣腫瘍:まとめ *胚細胞(GCT)が多い *後腹膜LN転移ルートが左右で異なる *術後照射はPALNのみで,骨盤内LNに しない方向 *術後照射線量は,病期によって異なる 一般には20∼36Gy 4.腎臓・尿管 一般 放射線治療の適応 放射線治療計画 治療成績 合併症 4.腎臓・尿管 一般 腎癌:人口10万人あたり、男8.2人、女3.7人(日本) *renal cell carcinoma=hypernephroma=Growitz¶s T *危険因子:喫煙,肥満,高血圧,家族歴, フェナセチン,赤肉食,尿路感染症反復, エストロジェン,トラトラスト,有機化合物, 後天性嚢胞性腎疾患 常染色体優性のvon Hippel-Lindau病 腎盂癌・尿管癌 *移行上皮癌が多い *同時/異時性に30-50%膀胱癌を合併しやすい *危険因子:喫煙(2.6-7.2倍),鎮痛剤(フェナセチン) 中国ハーブ, 感染性nephropathy 有機化合物,尿路結石 4.腎臓・尿管 治療のアルゴリズム 基本は 手術 4.腎臓・尿管 放射線治療の適応 限局浸潤性腎癌 →腎摘除術や浸潤臓器合併切除を含む腎摘が標準 *開放腎部分切除術、腹腔鏡下の腎摘除術や 腎部分切除術も選択肢 *小径腫瘍に対するラジオ波蒸散術 術前照射:成績はいろいろ,確定していない 術後照射:遠隔転移,局所再発,生存率差なし 尿管癌 →腎尿管摘出術が基本 局所再発:low grade 9-15%, high grade 30-50% 放射線根治照射:標準外,術後残存や局所再発に可 術後照射:Stage IIIでは,局所再発高いが(∼45%), 遠隔転移も多くなるので,役割は明確でない 4.腎臓・尿管 放射線治療計画 腎癌:根治術後の適応なし 転移巣に対してはあり 脳転移ĺ定位手術的照射はある程度有効 (グレードB),全脳照射は有効でない 脊椎転移ĺある程度有効 骨転移に対する外照射は症状緩和に有用 (グレードB) 尿管癌:原発腫瘍床+マージン,領域LNには 4-5cmマージン,前後二門 1.8Gy/日,45-50.4Gy(対側腎に注意) gross diseaseには54-60Gy 4.腎臓・尿管 治療成績 尿管癌で術後残存例や局所再発例 *報告は多くない *11/19例が術後照射(Cozad et al) →生存期間中央値 RT群11か月,no RT群 4か月 *high risk では,術後照射が有用 T3-4の26例→9例は50Gy照射 →局所再発: RT群1/9,no RT群9/17 5-Y-S : RT群44%,no RT群24% * high risk は,遠隔転移多い→化療も必要 4.腎臓・尿管 合併症 *胃,十二指腸,小腸の炎症 (照射後1∼44か月,中央値5か月) *尿管癌 腎床を含めた術後照射→合併症多い 4.腎臓・尿管 腎,尿管癌:まとめ *腎癌,尿管癌の治療の基本は手術 *腎癌の転移巣には緩和照射の適応 *尿管癌の術後照射は有用だが, 報告例は少ない *化療の併用も必要か *広範囲な照射の合併症は中央値 5か月で出現する 5.陰茎癌 一般 放射線治療の適応 放射線治療計画 治療成績 合併症 5.陰茎癌 一般 *アジア,アフリカ,南米に多い *発展途上国の60歳台に多い *危険因子:包茎,慢性炎症,硬化性苔癬 PUVA療法(紫外線),喫煙, 陰部コンデイローマなど *新生児の割礼→陰茎癌になりにくくなる *ヒトパピローマウイルス16・18 →浸潤癌の50%で同定される 5.陰茎癌 放射線治療の適応 *外科的手術療法が標準治療 *放射線治療の最大利点は陰茎の温存 ĺ比較的若年で機能温存を希望する T1∼T2症例に根治的放射線治療 *外照射または小線源治療で、T1病変に 対して80∼90%という局所制御率 (外科的手術療法と同等) 5.陰茎癌 放射線治療計画 GTV:触診・視診または画像診断で認めら れる原発部位および腫大LN CTV:GTVの周囲1∼2cmの領域または 陰茎全体、および両側鼠径LN領域 骨盤LN領域 PTV:CTVにセットアップエラーを考慮した マージンをつけた領域 5.陰茎癌 I 期に対する放射線治療 I期(T1,N0)病変 *低エネルギーX線(表在治療用のKVX線)、 *電子線による外照射や小線源治療 (モールド照射、組織内照射)が適用 *組織内照射の対象 ї最大径4cm以下の病変 5.陰茎癌 T2以上の病変:全陰茎照射 および領域LN照射 5.陰茎癌 治療成績 局所制御率 T1病変 T2病変 80∼95% 45∼80% 5年生存率 LN転移陰性例 70∼90% 陽性例 12∼40% →リンパ節転移の有無が予後を左右する 5.陰茎癌 合併症 急性期: 陰茎部および外陰部の皮膚炎,表皮剥離 浮腫,尿道粘膜炎→可逆性 晩期: 尿道狭窄(10∼30%):最も重要 →拡張術で対処可能 皮膚の毛細血管拡張や潰瘍生成・壊死 *放射線治療後の安易な生検 →壊死の引き金,慎重な判断必要 下肢のリンパ浮腫:LN郭清術と術後照射例 5.陰茎癌 陰茎癌:まとめ *非常にまれ,ヒトパピローマウイルス *I 期には,電子線や組織内照射 *T2以上には,全陰茎照射 *全陰茎照射はいろいろなやり方あり *晩期合併症では尿道狭窄が重要
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