Vol.45「クリスマスは京都から桑山彩子さんがやってくる」

前回 ホール・オルガニスト
梅 干 野 安 未 の
オ ル ガ ン 通 信 V O L . 4 5 Les Amis de l’Orgue de
Tokorozawa MUSE
早いもので、2014年もあと2週間となりました。オルガニストにとってクリスマスシーズンは
礼拝にコンサートに大忙しです。ヨーロッパでは一般的にクリスマスを家族とお祝いし(日本のお正
月のように)、そして大晦日から新年にかけての年越しを友人達とパーティーなどをして過ごします。
キリスト教徒の少ない日本ではそれが全く逆になりますね。師走の慌ただしい時期、クリスマスのご
準備に、ミューズでちょっと一息、音楽に心を委ねてみませんか?
12 月 19 日(金)はミューズにて500円オルガンコンサートが開催されます!今回
は、はるばる京都から桑山彩子さんがいらして下さいます。フランスは美食の街・
リヨンで学ばれた桑山さんは、権威あるドイツのジルバーマン・コンクールで一位
に輝いた実績を持つ実力派オルガニストです!現在は京都を拠点に活動なさって
いますが、なんと一児のお母さま!体力勝負のオルガニストとしては子育てと演奏
活動の両立は本当に大変だと思いますが、今回は午前の回に(11 時から)私もナ
ヴィゲーターとして登場しますので、これらのお話も是非伺いたいと思っています。
クリスマスの雰囲気満載のプログラムとなりますので、みなさまお楽しみに!沢山の
ご来場をお待ちしております!
先日11月3日は沢山のお客様にご来場頂き、ミシェル・ブヴァール氏によ
るオール・バッハ・リサイタルを迎えました。
コンサートホールでありながら、
空間ごと教会へとワープさせられるような、まるで魔法のような演奏でした。
バッハの音楽が持つ偉大な力が無心のままに放たれた、そんな純粋で美しい時
間。一つ一つの作品に一番良い音色の組み合わせを探して何時間も下の移動式
演奏台でリハーサルを重ね、妥協せずに丁寧に音楽に向かう姿はとても印象的
でした。バッハの素晴らしさはもちろん、ご本人が心からバッハの音楽を愛し
ていらっしゃることが伝わる演奏会だったのではないでしょうか。
前回 さて今回のオルガンぶらり旅。ご紹介するのは、パリ5区カルチエ・ラタン地区にあるサ ン ・ テ テ ィ エ
ン ヌ ・ デ ュ ・ モ ン 教 会 L église Saint-Etienne-du-Mont です。とにかく名前が長く、フランス語特有の
リエゾン(前の単語の語尾を繋げて読むこと)があるので、道を尋ねるだけでも一苦労のこの教会。聖ジュ
ヌヴィエーヴ(パリの守護神)の丘の上にあ
り、名門ソ ル ボ ン ヌ 大 学 のすぐそば、文学者
や哲学者などを祀るパ ン テ オ ン の裏にひっ
そりと佇んでいます。近くにはム フ タ ー ル 通
り という賑やかな市場があり、新鮮な魚屋さ
んやチーズ屋さんに加えてオシャレなカフェ
やレストランなどが軒を並べます。映画のロ
ケ地にもよく使われ、最近はウッデイ・アレ
ン監督の『ミッドナイト・イン・パリ』にも
この広場が出て来ていました!普段はソルボ
ンヌ大学の聡明な風貌の学生達で
れ、中世
のパリの街並を感じられる地区です。
オルガ ン INFO
-サ ン・ テ ティ エン ヌ ・デ ュ ・ モ ン教 会-
この教会の起源はなんと6世紀に り、元は修道院であった頃から少しずつ増改築が
施され今に至ります。パリで唯一ジュベ(内陣と身廊の仕切り)が残る教会で、聖ジュ
ヌヴィエーヴや思想家パスカルが埋葬されています。そして、オルガン好きの方はご存
知、フランス近代音楽屈指の作曲家モー リス ・デュ リュフ レがオルガニストを務めた
教会で、パリで最も古いとされる
1633 年製作のチョコレート色のオルガンケースを持
ちます。この木のケースには当時の職人による美しい彫刻が施され、ペダルタワーの上
には天使達も!オルガンは何度も改修を重ねられ、古典期の歴史的なオルガンケースと
は裏腹に、現在は 4 段
盤に 89 種類の音色と電気的アクションの演奏台をもつ現代風
のオルガンとなっています。オルガンの質は賛否両論ですが、なんといってもデュリュ
フレが実際に弾いていたオルガンということでは、まさに一見の価値ありです!
今後のミューズ
来年3月14日には私、
梅干野安未の所沢ミューズホールオルガニスト
としてのデビュー・リサイタル《音の魔術師フランツ・リスト》 を
迎えます。オルガン、舞台上の可動式オルガン演奏台、ピアノ、大スクリーンなどなど、ミューズの大ホー
ルをとにかくフルに使って、生涯を通して無数の編曲をしたフランツ・リストの知られざる魅力をお届けし
たいと思っております。オルガン通信次号ではこの演奏会についてより詳しく知って頂く特集を考えていま
すので、どうぞお楽しみになさって下さいね。それでは19日の500円コンサートでお目にかかりましょ
う
師走のお忙しい時期ですが、どうか皆様お元気で年末を、そして新年をお迎え下さい!