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日本社会を支えるファシリティマネジメント ● 公共 FM 進展への貢献 / 民間の知恵を生かして
ファシリティマネジャー
のための「防災訓練」
モデルシナリオと活用
上倉 秀之
リスクマネジメント研究部会 部会長
株式会社セノン 取締役執行役員
認定ファシリティマネジャー
ホームページのリスクマネジメント研究部会のサ
の 必 要 が 求 められている。しかし、想 定を 作り上
イトにて公 開しているが、構 成 は「自衛 消 防 隊 本
げる作業は手間と時間もかかる。そこで、リスクマ
部 隊」と「地 区 隊」の 活 動 につ いて地 震 発 生 直 後
ネジメント研究部会では、
「防災訓練モデルシナリ
の15分間と、発生から一時間経過後の15 分間に
オ」を作成した。
ついての訓練シナリオとなっている。
施 設では、消 防 法 等の関 係で「防 災 訓 練」を行
本 訓 練は、自衛 消 防 隊の活 動 内 容の体 験を目
うが、
「初 期 消 火」
「避 難 訓 練」
「AED 操 作」などが
的としており、建 物 被 害 調 査、情 報 収 集と発 信 な
中心であり、震災から4年を経過した今日では、年
どを盛り込んだ内容としている。
中行事化・形骸化・参加者の固定化などが課題と
訓 練 は、地 震 発 生 直 後 の15分 間 の「 前 段 」と、
なっている。また、入 居 テナント単 位 の自 衛 消 防
発 生 から一 時 間 経 過 後 の15分 間の「 後 段 」に区
隊地区隊の訓練も日常業務の中で実効性の高い
分され、5分 程 度のインターバルをお いて実施す
訓練を準備することが難しくなっている。
る。進行役は、進行役用の台本を元に訓練の進捗
しかし、首 都 直 下 型 地 震 にお いては 甚 大 な 建
を見ながら状況付与において程度と数を調整し、
物被害や、多数負傷者の発生が懸念され、防災セ
隊のレベルに合わせた「忙しさ」を演出する。
ンターの人員だけでは、対応できないことが予想
モデル訓練を行った結果、訓練を繰り返すこと
される。自衛 消 防 隊 本 部 隊と地 区 隊・防 災ボラン
での連度向上は想定のとおりであったが、情報収
ティア組織との連携が重要となる。また、帰宅困難
集においては「音情報(ラジオなど)」を「視覚情報
者受け入れについても「可能性」
と「受入の是非」
(ホワイトボ ード書き出しなど)」に変 換 すること
の議論ではなく、現実問題としての避難者受け入
は 予 想 以 上 の 人 出を 要 する。また、情 報 の 分析・
れを想定する段階となっている。
発 信にお いては建 物 周 辺だけでなく都 道 府 県 単
訓 練 にお いては、
「目的」
と「目 標 」の 設 定 が 重
位 の 地 名 等 の 知 識 が 不 可 欠であることが 分 かっ
要となる。訓 練 の 内 容 によって例えば「リスクや
た。
対応の知識を得る」
「具体的な対応の行動を体得
訓 練 は、準 備しなくては 実 効 性 が 上 がらな い
する」などの目的と、
「知識の理解は・訓練終了後
が、準備が目的ではなく訓練実施による災害対応
にアンケートで確認」
「行動の理解は、訓練時にお
力の向上と減災の取り組みの重要性の理解を進
ける行 動チェック表で確 認」などの目標を設 定す
めることが肝要である。
調査研究部会
災 害リスクの 高まりとともに、実 戦 的 防 災 訓 練
ることが望ましい。
また、訓練・演習は組織の練度に応じて段階的
にステップアップすることが肝要である。
「防 災 訓 練モデルシナリオ」そのものは、JFMA
SPRING ● 2015 JFMA JOURNAL
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