日本社会を支えるファシリティマネジメント ● 公共 FM 進展への貢献 / 民間の知恵を生かして ヘルスケアFMの トレンド 上坂 脩 ヘルスケアFM研究部会 部会長 株式会社竹中工務店 本社医療福祉・教育本部 本部長付 認定ファシリティマネジャー 員の確保とともに、大変重要な気付きにつながっ 研 究 部 会 の 新しいトレンドの 萌 芽を 昨 年 の 活 動 ている。 を踏まえてご紹介したい。地域へ広がるBCPとFM マクロ化では、GISを活 用した災 害 時の必 要 情 インディケータの試みである。 報リアルタイム表 示システムを用 いて、災 害 医 療 東日本 大 震 災を契 機 に、医 療 機 能 継 続 へ の 取 コーディネーターや救急関係者へ、時系列で変化 り組みが災害拠点病院を中心として活発化してお するデ ータマッピング により、特 定 医 療 圏での 需 り、昨 年 の日 本 職業・災 害 医 学 会で は「 病 院BCP 給バランスを可視化するモデルを示すことが可能 とFMの 重 要 性 」の 教 育 講 演 を 求 められ た。本 年 となった。 の 集 団 災 害 医 学 会での 災 害 対 策マニュアルコン ファシリティ・イン の 発 想で の 従 来 型 のFM か ペティションでも、病 院BCPに取り組 んだ 事 例 が ら、地域と共存していくファシリティ・アウトのFM 多数提出されている。 への2 面性が今後のFM の重要な視点となること 病院BCPワーキンググループでは、当初の個別 を示唆している。 病 院 対 応 型BCP へ の 支 援ツールと共 に、地 域 全 温 故 知 新となる「実 力 病 院 のベストプラクティ 体で連 携できる地 域 医 療 対 応 型のBCP支 援ツー スに学 ぶ」シンポジウムでは、病 院 評 価 に用 いら ルにまで研究領域を拡大している。今年度の古川 れるクリニカル インディケ ータとともに、新 た に 医療福祉設備振興財団の研究助成を受けた新た FMインディケータを病院評価に用いて医療以外 な調査研究手法は、公益社団法人としてのJFMA の要素評価をまとめる動きであり、ファシリティと の 社 会 的 評 価 に大 い に貢 献できるため、単 年 度 いう場の2 つの構 成 要 素 から、 「コト」をホスピタ での成果達成を目指して奮闘している。 リティインディケータで、 「モノ」をファシリティイ 概 要 は、災 害 時 の 医 療レ ベルを時 系 列で可 視 ンディケータで評価していくという、医療関係者と 化 するレ ーダ チャートを 用 いた個 別 病 院 の 医 療 の連携評価を目指す独創的な試みである。 機 能 継 続 を 支 援 するFMツ ー ルVer.3の 開 発と、 実 力 病 院トップの亀 田 総 合 病 院 亀 田 病 院 長と 災害時に地域の医療機能継続を担う医療関係者 倉 敷 中 央 病 院 相 田 副 理 事 長にご同 席 いただくこ を 支 援 するFMツ ー ル の 新 規 開 発という、ミクロ ともかつてない試みであり、お互いの独自の病院 化・マクロ化に2分された調査研究である。 理念から導かれる人づくり、街づくりへのミッショ ミクロ化では、平常時の病院活動データを用い ンは共通のものがあり、ファシリティ・イン、ファシ た災 害 時シミュレ ーションの試 みは、従 来の災 害 リティ・アウトを奇しくも具 現 化されていたことが 時の受 入 病 床 確 保 から一 歩 進んで、ICU・HCUの 印象的であった。 リスク・ FORUM 2015を 契 機 に始まるヘ ルスケアFM B C P 規 模 が 限 界 点となることを 発 見し、ベッドコント ロー ルと医 療リソース供 給 の バランスが 参 集 人 SPRING ● 2015 JFMA JOURNAL 83
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