UV-Vis-NIR 分光光度計 - 地方独立行政法人大阪府立産業技術総合

Technical Sheet
No.14018
UV-Vis-NIR 分光光度計
キーワード: 透過率、反射率、吸光度、角度可変絶対反射率、カラー評価、日射反射・透過率、ヘイズ、
偏光
はじめに
UV-Vis-NIR(紫外-可視-近赤外)分光光度
計は、紫外~近赤外領域(190~3300nm)の吸光
度、透過率および反射率を測定する装置です。
UV-Vis-NIR分光分析の原理、測定方法などに
関しては、テクニカルシートNo. 02017「紫
外・可視分光光度計、フーリエ変換赤外分光
光度計」、No.11005 「紫外可視近赤外分光光
度計」をご参照ください。ここでは、当研究
所が、平成25年度に更新しましたUV-Vis- NIR
分光光度計(島津製作所株式会社製 Solid
図1
UV-Vis-NIR 分光光度計
図2
B4 サイズ PP シートの大型試料台へ
Spec 3700)について装置の概要を示すととも
に、測定例を紹介します。
装置の概要
本装置の外観を図 1 に、仕様を表 1 に示し
ます。大型試料室の採用により,最大 700×
560mm の試料をそのまま測定することがで
きます(図 2)。これにより、切断の難しい大
面積の強化ガラスなどの評価も可能です。ま
た、厚みのある試料の測定にも対応できます。
の設置
本装置は、角度可変絶対反射率測定装置(図
3)を備え付けています。この装置は、試料設
置台と検出器を同軸で回転させ、光の入射角
を任意(5~70°)で変えることにより、絶対
反射率の測定を行うことができます。また、
透過側に検出器をセットすることにより、入
射角を変えて透過率や透過光の散乱分布も測
定することできます。その他にも、付属ソフ
トの活用により、三刺激値・L*a*b*表色系・
マンセル表色系をはじめとしたカラー評価、
板ガラスの日射反射・透過率測定、フィルム
やガラスなどの透明度の指標であるヘイズ測
定および膜厚測定にも対応できます。
地方独立行政法人 大阪府立産業技術総合研究所(産技研)
http://tri-osaka.jp/
表1
UV-Vis-NIR 分光光度計 (島津製作所
株式会社製 Solid Spec 3700)の仕様
240~2600nm
波長範囲
190~3300nm(*)
紫外可視:0.1~8nm
(8 段切替)
バンド幅
近赤外:0.2~32nm
(10 段切替)
紫外可視:±0.2nm
波長正確さ(*)
近赤外:±0.8nm
紫外可視:±0.08nm
繰返精度(*)
近赤外:±0.32nm
測定レンジ
-6~6Abs
測光方式
ダブルビーム測光方式
(*)直接受光使用時
〒594-1157 和泉市あゆみ野 2 丁目 7 番 1 号
Phone:0725-51-2525
100
0°s
90
80
透過率(%)
70
60
50
20°s
40
40°s
30
60°s
20
10
0
図3
300
角
角度可変絶対
対反射率装置
置
400
500
600
700
800
波長((nm)
図5
入射角
角を変化させ
せた(0°/20°//40°/60°)
ときの透過率(s 偏
偏光)
入射面
面
s(senkreecht; 垂直)偏光
光
100
反射光
光
入射光
光
90
ガラス
ス
80
70
ITO
透過率(%)
4.
p(parallel; 平行)偏光
図4
偏
s および p 偏光
60
0°p
60
50
0
0°p
40
40°p
20°p
30
20
(角度可変透
透過率測定)
測定例(
10
透過率
率は、試料に
による光の吸
吸収と反射に
に依
0
存し、反
反射は照射す
する光の入射
射角度と偏光
光の
300
状態に依
依存します。 そこで、入
入射光を s 偏
偏光
と p 偏光
光に分け、角度
度を変化させながら、IITO
400
500
600
700
800
波長((nm)
図6
膜(Indium
m Tin Oxide))の付いたガ
ガラスに対し
し、
入射角
角を変化させ
せた(0°/20°//40°/60°)
ときの透過率(p 偏
偏光)
各偏光成
成分の透過率
率の測定を行
行いました。 図
4 に示す ように、s 偏光は入射面
偏
面に対して垂
垂直
かります。
光 の影響が大きく現れる ことがわか
な光の振
振動成分、p 偏光は入射
射面に対して
て平
に対して角度
度可変透過
ガ ラス、フィルムなどに
行な振動
動成分の光を
を表します。s および p 偏
測定を行うと上記と同
同様の現象が
が生じます。
率測
光の透過率を、4 つの異なる入射角
従 って、実際の測定の際
際には、試料
料の反射率
(0°/20°//40°/60°)で
で測定した結
結果を図 5 お
およ
および偏光の状態を考慮
慮する必要が
があります。
に示します。
び図 6 に
ITO ガ
ガラスの表面
面に入射する
る光の入射角
角度
お わりに
を変えて
ていくと、s 偏光と p 偏光の反射率
偏
率が
UV-Vis-NIR
U
R分光光度計
計は、フィル
ルム、プラ
変化しま すが、増減
減の傾向は s 偏光と p 偏
偏光
ス チック、ガラスおよび
び繊維製品な
など様々な
光(図 5)で
では光の入射
射角
で異なり ます。s 偏光
質管理や評価
価に対して
分 野における製品の品質
い透過率が低
低下するのに
に対
が大きく なるに従い
ご利用につ
極 めて有用な装置です。 本装置のご
偏光では逆に
に透過率が増
増大していま
ます
し、p 偏
お問い合わせ
せ下さい。
い ては、下記担当者にお
(図 6)。また、光の
の入射角を大
大きくすると
と偏
作成者
発行日
繊維・高分
分子科 井
井上 陽太郎
郎
2015 年 3 月 31 日
Phone
e 0725-51--2660