平成 28 年 11 月作成 T6044-1 1.はじめに スギ花粉のアレルゲンとして、スギ花粉表層のオービクルスに局 在する Cry j 1 及びスギ花粉細胞質デンプン中に局在する Cry j 2 の 2 種類のタンパク質が同定されています。 シカアレルテスト® スギ花粉アレルゲン Cry j 1 は、短時間かつ 簡単な操作で Cry j 1 を検出するイムノクロマト試薬です。本試薬を 使用することで、花粉に汚染されている箇所の特定や、清掃状態 の確認を客観的なデータに基づいて行なうことができます。 2.製品形態 シカアレルテスト® スギ花粉アレルゲン Cry j 1 07960-67 10 テスト 冷蔵(2 ℃~8 ℃) 製造より 6 ヶ月 製 品 名 製品番号 容 量 保管温度 有効期間 3.形状・構造等 テストデバイス・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10 個 成分:金コロイド標識抗 Cry j 1 マウスモノクローナル抗体 抗 Cry j 1 マウスモノクローナル抗体 4.使用目的 検体中の Cry j 1※の検出 ※スギ(Cryptomeria japonica)花粉の主要アレルゲン テストストリップの構造とイムノクロマト法の原理 5.原理 本品は、イムノクロマト法の原理に基づいて検体中の Cry j 1 を 検出する試薬です。 Cry j 1 を含む検体をテストデバイスの検体滴下部に滴下すると、 Cry j 1 はテストデバイス内のテストストリップ上を移動し、コンジュ ゲートパッドに含まれる金コロイド標識抗 Cry j 1 マウスモノクロー ナル抗体(以下、金コロイド標識抗体)と複合体を形成します。この 複合体はそのままメンブレンへ移動し、テストライン出現位置に固 定化されている抗 Cry j 1 マウスモノクローナル抗体と結合します。 これにより、金コロイド標識抗体が集積して赤色のテストラインが出 現します。検体中に Cry j 1 が存在しない場合は、金コロイド標識抗 体が集積しないためテストラインは出現しません。 Cry j 1 の有無にかかわらず、金コロイド標識抗体はコントロール ライン出現位置に固定化されている抗マウス免疫グロブリンウサ ギポリクローナル抗体と結合します。これにより、金コロイド標識抗 体が集積して赤色のコントロールラインが出現します。コントロール ラインは、検体が正常に展開したことの指標となります。 テストデバイスの外観と各部の名称 6.用法・用量(操作方法) 1. (1) (2) 2. (1) (2) (3) (4) (5) 使用器具 マイクロピペット タイマー 操作方法 テストデバイスの入ったアルミ袋を常温に戻して下さい。 アルミ袋からテストデバイスを取り出して下さい。 1 % BSA 含有ダルベッコ PBS(-)※を溶媒とする検体を調 製して下さい。 ※BSA は、Cry j 1 の安定化等に寄与しています。BSA を含 まないダルベッコ PBS(-)でも試験は可能ですが、検出 感度が低下する可能性があります。 マイクロピペットを用いて、検体 100 µL を検体滴下部に滴 下して下さい。 15 分後、判定部のラインの有無を観察して下さい。 平成 28 年 11 月作成 T6044-1 7.測定結果の判定法 1. 判定 (1) 陽性 テストライン出現位置とコントロールライン出現位置の両方に 赤色のラインが出現する(試験開始から 15 分以内であっても、 2 本のラインが確認できれば陽性と判定して構いません)。 (2) 陰性 テストライン出現位置に赤色のラインが出現せず、コントロー ルライン出現位置にのみ赤色のラインが出現する。 (3) 無効 コントロールライン出現位置に赤色のラインが出現しない。 9.実施例 「6.用法・用量(操作方法)」に従って、10 ng/mL Cry j 1 と 1 ng/mL Cry j 1 を供した際の写真を以下に示します。 ・10 ng/mL Cry j 1 ・1 ng/mL Cry j 1 陽 性 陰 性 無 効 ・Cry j 1 未添加(1 % BSA 含有ダルベッコ PBS(-)) 10.使用上の注意事項 1. 2. 2. (1) (2) (3) (4) (5) 判定上の注意 試験開始から 15 分以上が経過すると、偽陽性が生じる (Cry j 1 が存在しなくてもテストラインが出現する)場合があ ります。判定時間(15 分)は厳守して下さい。 検体の pH がダルベッコ PBS(-)の pH(pH7.4 付近)から大 きく外れると、検出感度が低下したり、偽陽性が生じる場合 があります。 無効判定となった際は、検体の展開に異常があったと考え られます。検体の粘度が高い場合には、検体を希釈してか ら再試験を行なって下さい。 検体に Cry j 1 が含まれていても、濃度が本試薬の最小検 出感度以下の場合には陰性となります。 本試薬は定性試薬であり、定量目的に開発されたものでは ありません。定量を目的とする場合は ELISA など他の方法 を実施して下さい。 8.性能 最小検出感度: 1 ng/mL Cry j 1※ ※弊社試験法によるものであり、測定条件によって変動する場合 があります。 3. 4. 5. 6. 本取扱説明書に記載された用法・用量(操作方法)に従って使 用して下さい。 本試薬は吸湿すると品質が劣化し、正確な結果が得られませ ん。アルミ袋開封後は直ちに使用して下さい。 本試薬は凍結を避けて保存して下さい。誤って凍結させた試 薬は使用しないで下さい。 有効期間を過ぎた試薬は使用しないで下さい。 アレルゲンを取り扱う際には、アレルゲンの暴露を避けるため に適切な保護具(手袋、マスク等)を着用して下さい。 本試薬を廃棄する場合は、当該地域の廃棄物に関する規定 に従い、衛生面、環境面に充分配慮して廃棄して下さい。 11.その他 1. 2. 3. 本試薬は試験研究用です。それ以外の目的には使用しない で下さい。 本試薬に付随して使用する器具については、それぞれの取 扱説明書をよく読んでから使用して下さい。 製品の仕様は、製品の改良のため変更する場合があります。 あらかじめご了承下さい。 12.参考文献 後藤陽子(2005)スギにおける花粉アレルゲンの遺伝的変異に関 する研究 林木育種センター研究報告(21), 1-66, 2005-03
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