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2015 年 6 月 1 日
News Release
報道用資料
(英国本社リリース参考訳)
ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス㈱
〒153-8578 東京都目黒区上目黒
2-1-1 中目黒 GT タワー
低炭素社会の実現に向けてのビジネスケース
ポール・ポールマン(ユニリーバ グローバルCEO)/カイオ・コフ‐ベーゼル(ドイツ銀行副会長)が
気候変動対策を呼びかけるメッセージをG7諸国に一斉配信
2015年6月1日 英国ロンドン発:
低炭素社会の実現を目指すことは、ビジネスや経済にとっても有益である。世界では、多くのビジネスリーダーがそう
主張し、産業界全体に気候変動対策を呼びかけています。国連気候変動会議(COP21)の開催まで半年を切った
いま、意欲的な目標を掲げ、地球の未来を守るリーダーシップを各国首脳に求める声は、ますます広がりを見せて
います。
そのような状況を受け、本日、ポール・ポールマン(ユニリーバ グローバルCEO)およびカイオ・コフ‐ベーゼル(ドイツ
銀行副会長)は、気候変動対策を求めるメッセージを、G7諸国において一斉配信いたします。
なお、ポール・ポールマンは、世界最大級の消費財メーカーであるユニリーバ社のグローバルCEOであり、「持続可
能な開発のための経済人会議」の会長でもあります。ユニリーバ社に成長とサステナビリティを両立する新しいビジ
ネスモデルを導入し、ブランドの売上成長やコスト削減、原料の安定供給につなげていることで知られています。カイ
オ・コフ‐ベーゼル氏は、再生可能エネルギーの分野をリードするドイツ銀行副会長です。また、「欧州気候基金」会
長も務めています。両氏は「経済と気候に関するグローバル委員会」のメンバーです。
■低炭素社会の実現に向けてのビジネスケース(日本語参考訳)
ポール・ポールマン/カイオ・コフ‐ベーゼル 共同執筆
気候変動をめぐる論争は、いま、ぎりぎりのタイミングで大きな転換期を迎えています。気候変動対策の事例が増
え、経済効果を生み出しています。このことは、今回のG7サミットにおいて、主要国首脳が持続的経済成長とゼロ・
カーボンという議題に正面から取り組むことを促すでしょう。
「経済と気候に関するグローバル委員会」のメンバーとして私たちも関わらせていただいた「ニュー・クライメイト・エコノ
ミー報告書」では、気候変動対策と経済成長が両立できるばかりか、相互に強化し得ることが示されています。欧
州、米国、中国など世界各地の政府が、初めてCO2削減目標を掲げ、着実に歩み出しています。このような方向転
換は、世界中で、排出量規制課金を含む500の気候変動関連の法規制に反映されました。直接的には欧州連合
排出権取引制度、間接的には中国での大気汚染防止法改正に結実しています。転換が始まっていますが、加速
させる必要があります。いま考えなければならないことは、転換を起こしたいかではありません。これから先、どうやっ
て上手く転換させていくかなのです。
欧州経済の置かれている状況は、ますます相互依存によって形作られるようになってきています。グローバルな貿
易、国際的な投資、サプライチェーンの統合、高度に発達した物流、そして現代のコミュニケーションツールとデジタ
ル化が、経済発展の方向性に多大な影響を及ぼしています。その一方、新興市場では、近年鈍化しているとはい
え、急速な経済成長が見られます。例えば中国は、クリーンテクノロジーの分野で最大の投資国となりました。アジア
は2009年に世界の中流層の消費の23パーセントを占めていましたが、2030年には60パーセントを担うことになりま
す。
このような状況のもと、欧州は根本的な方向転換を求められています。第一に、必然的かつダイナミックな低炭素
社会への転換点を前に、気候変動と規制リスクの詳細な分析をもとに投資が行われるようにするとともに、持続可
能ではない旧態依然のビジネスの枠組みに閉じ込められないようにしなければなりません。炭素バブルに関する警
告を真剣に受け止める必要があります。9,000億ドル規模の政府系投資ファンドであるNorgesも、気候変動が運用
益を減らし、政府がいずれ気候変動対策に真剣に取り組むであろうことを既に認識しています。
包括的なリスク計測と開示は、十分な情報を得て投資決定をする基盤になります。投資産業全体で気候変動とサ
ステナビリティを組み込む努力を行い、精緻な分析をもとに正しくリスクを理解した上で意思決定やデューディリジェ
ンス、資産管理のための法人契約、投資調査、信用格付けができるようにしていく必要があります。実際のところ、こ
れは金融セクターへの信頼を取り戻す機会だと言えます。
金融機関は、炭素資産リスクを考慮に入れるため、より多くのアクションを取らなければなりません。金融規制機関
は、銀行と協働して共通の環境デューディリジェンスの基準を確立し、財務機関のさまざまなリスクモデルに将来の
気候変動のシナリオをどう組み込めるかを協力して検討していくべきです。例えば、世界資源研究所と国連環境計
画・金融イニシアティブは、金融機関向けの初の炭素資産リスクガイダンスを共同開発しています。
また、環境・社会・ガバナンス(ESG)レポートの拡充は、投資プロセスにおいてニーズが高まっているESG情報に投
資家がアクセスできるようにするために極めて重要なメカニズムです。統合報告とESGデータの開示は、より長期的
な意思決定の材料になります。
第二に、EUは主要なプロダクト・エリアにおいて、先駆的な市場にならなければなりません。市場にアクセスするため
の基準やルールを高く設定すると、先発者に強いインセンティブを与えられます。イノベーションは、欧州の競争力
強化と低炭素社会の実現において中心的な役割を担うものです。技術面でのイノベーションをサポートしながら、マ
ーケット・プルのメカニズムを効果的に引き起こすことが明らかに求められています。例えば、セメント業界では、
2050年までにCO2排出量を50~63パーセント削減することが求められていますが、これは革新的なプロセスが展
開できるかにかかっています。イノベーションが研究段階から市場までの道のりを進むためには、明確なインセンティ
ブが必要なのです。EUとバイオ産業コンソーシアムによる37億ユーロのイニシアティブはその一例です。この官民パ
ートナーシップは、革新的な技術と最新の精製装置により、欧州の化石燃料への依存を減らすことを目指していま
す。
イノベーション・ポリシーは、循環型社会の実現に沿うアプローチを取る必要があります。使い捨ての商品を「デザイ
ンの段階から循環させることを考えた」商品に置き換え、逆方向の物流ネットワークを構築しようとすることは、新しい
アイディアの創出-そして職の創出を促進するでしょう。
ルノー社、フィリップス社、ボーダフォン社といった企業は、既に循環型社会に合う原則を導入しています。ユニリー
バ社は「ゼロ・ランドフィル・プログラム」により、2億ユーロのコスト削減を実現しました。英国のように、リサイクル産業
が発達していて、資源の再利用や廃棄物のエネルギー化に関わる産業も急速に拡大している国では、ゼロ・ランドフ
ィル(訳注:埋立廃棄物をなくす取り組み)というビジネスケースが強みを増しているのです。
公共セクターと民間セクター、市民社会の連携を含む、ネットワークの創出(クラスターリング)は、より実り多く、ダイ
ナミックな経済活動に貢献することができます。例えばEUは、高等教育機関、研究機関、企業の中から主要なプレ
イヤーを選び、「知識・イノベーション共同体」内で協力しあうことで、イノベーションを促進しています。クラスターリン
グ・インセンティブは、イノベーションと低炭素社会の実現に焦点を当てた野心的な産業政策の枠組みに沿って、気
候変動対策と競争力の両立に向かって一層努力すべきです。
産業の変化の歴史では、多くの場合、懐疑派が最初に考えていたよりも早く変化が起こりました。世界の国々は、旧
態依然のビジネスの枠組みを越えた方向性を探り、経済の転換を加速させるベスト・プラクティスを見出だすべく、
G7を注視しています。この旅の方向性をさらに明確にするために、2050年までに排出量ゼロというグローバル目標
をどうしても伝える必要があるのです。
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