西沖の山発電所(仮称)新設計画 計画段階環境配慮書のあらまし(PDF

西沖の山発電所(仮称)新設計画
計画段階環境配慮書のあらまし
平成 27 年 3 月
山口宇部パワー株式会社
山口宇部パワー株式会社は、電源開発株式会社、
大阪ガス株式会社並びに宇部興産株式会社の共同
出資により設立された会社です。
はじめに
事業実施想定区域の位置及びその周囲の状況
平素より皆様には、当社の事業活動につきまして、格別のご理解とご協力を賜り、厚くお礼を申し
上げます。
我が国のエネルギー需給構造は、海外の資源への高依存による供給体制の根本的な脆弱性、人口減
西沖の山地区
少や技術革新等による中長期的な需給構造の変化、新興国需要拡大等による資源価格の不安定化、更
には世界の温室効果ガス排出量の増大などの課題を抱えてきました。最新の国の『エネルギー基本計
第4貯炭場
(宇部興産(株)沖の山コールセンター)
画』(平成 26 年 4 月 11 日閣議決定)によると、石炭は「安定供給性や経済性に優れた重要なベース
ロード電源の燃料として再評価されており、高効率石炭火力発電の有効利用等により環境負荷を低減
事業実施想定区域
しつつ活用していくエネルギー源」であり、「老朽火力発電所のリプレースや新増設による利用可能な
最新技術の導入を促進する」とされています。石炭は、供給安定性やコスト面で優れたエネルギー資
源であり、資源の大部分を海外に求める我が国において、バランス構成の取れた電源構成を実現する
上で不可欠の役割を果たしてきましたが、東日本大震災以降も、石炭火力発電は、我が国のベースロー
西沖の山
桟橋
ド電源の主翼を担う供給力として重要な役割を果たしてきたところです。
沖の山地区
(宇部興産(株)沖の山コールセンター)
このような背景のもと、電源開発株式会社、大阪ガス株式会社、並びに宇部興産株式会社は、宇部
0
300
「地図・空中写真閲覧サービス」
(国土地理院ホームページ)
600 m
興産株式会社構内において発電事業を実施するため、「山口宇部パワー株式会社」を設立し、低廉かつ
事業の内容
安定的な電力を西日本広域に供給していくために、供給安定性や経済性に優れた石炭を燃料とする火
力発電を導入することとしました。
一方で、石炭火力発電を十分活用していくためには、石炭の燃焼に伴う環境負荷を抑制し高効率・
低炭素化を進めていく必要があります。
事
業
の
名
西沖の山発電所(仮称)新設計画
称
事業実施想定区域の所在地
山口県宇部市大字西沖の山
したがって、山口宇部パワー株式会社の石炭火力発電事業においては、利用可能な最新技術である
原
類
汽力
超々臨界圧(USC)の発電設備の導入により単位発電量あたりの二酸化炭素排出量を抑え、低炭素化
発
力
1 号機:60 万 kW・2 号機:60 万 kW 合計 120 万 kW
を推進するとともに、硫黄酸化物(SOx)
・窒素酸化物(NOx)・ばいじんの排出を抑え、地球環境へ
燃
料
石炭
の負荷抑制を図ることにより、国の方針への合致を目指す計画としました。
運
期
1 号機:平成 35 年夏(予定)・2 号機:平成 37 年夏(予定)
なお、運転開始は 1 号機は平成 35 年(2023 年)、2 号機は平成 37 年(2025 年)を予定しております。
動
力
電
転
の
端
開
種
出
始
時
設備配置計画
宇部市
山陽小野田市
道路)
産専用
)宇部興
興産(株
路(宇部
事業実施想定区域
山口県
付帯
設備
)
向(A案
今治市
福岡県
事業実施想定区域
佐賀県
長崎県
1
熊本県
0
50
100km
注:図中に示した各設備の位置
放水方
東温市
愛媛県
大分県
B
備
付帯設
(循環水 )
ポンプ等
島根県
広島県
場
第4貯炭 ールセンター)
の山コ
産(株)沖
(宇部興
ラ・
1号ボイ
タービン
)
ラ・
2号ボイ
タービン
1号環境
備
対策設
硝・
(脱硫・脱 )
置
集じん装
案
( 2号環境
備
対策設
硝・
(脱硫・脱 )
置
集じん装
向
放水方
ク等)
(水タン
備
付帯設
1号煙突
2号煙突
構内道
0
1
2km
橋
リティ桟
ユーティ
は、現時点での配置例です。 0
100
200m
「電子地形図 25000」
(国土地理院発行) 2
構造等に関する複数案の設定
発電設備概念図
共通の計画
・発電所計画地は、最寄りの住居から約 900m 離れた場所に計画しています。
・ボイラ・タービンについては、取水路が短くなるよう、取水口に近接する敷地南側に配置します。
排煙脱硝装置
発電機
送電線へ
循環水
ポンプ
主変圧器
G
石炭
バンカ
蒸気
タービン
空気予熱器
排煙脱硫装置
給炭機
煙突
復水器
微粉炭機
ポンプ
F
P
一次通風機
し使用します。
F
F
押込通風機
・取放水口については、新たな地形改変の範囲や施設の規模を必要最小限にすることとします。
・貯炭場は、発電所東側に隣接する既設の宇部興産(株)沖の山コールセンター第 4 貯炭場を拡張
集じん装置
P
海水
ボイラ
・ばい煙処理設備と煙突については、ボイラ・タービンと並べて配置します。
・ユーティリティ桟橋を、南側海域にある西沖の山桟橋付近に新たに設置します。
誘引通風機
・運転開始後において、地盤沈下の原因となる地下水の汲み上げは行いません。
海水
凡 例
排水口
排水処理装置
複数案の設定
空気
石炭
蒸気
海水
空気
排水
純水・給水
石炭
排ガス
電気
●発電所の煙突の高さについて
A 案:1 号機、2 号機ともに煙突高さ 160m
付近にある宇部興産(株)発電所 216MW 発電設備と同じとしました。
B 案:1 号機、2 号機ともに煙突高さ 180m
煙突高さが 160 mより高い場合の大気質及び景観への影響を検討するために設定しました。
主要な工事の工程
工事開始後の年数
1
月
項目
全
体
工
程 ▼工事着工
準
備
工
事
1 号機建設工事
(試 運 転 含 む)
2 号機建設工事
(試 運 転 含 む)
●発電所冷却水の放水方向について
2
12
3
24
▼1 号機着工
4
36
5
48
▼2 号機着工
6
60
7
72
8
84
▼1 号機運転開始
A 案:南方向放水
南側から取水して、南側前面海域に放水するよう配置するものとしました。
B 案:東方向放水
南側から取水して、東側前面海域に放水するよう配置するものとしました。
2 号機運転開始▼
計画段階配慮事項の選定
計画段階配慮事項は、以下のとおり選定しました。
環 境 要 素 の 区 分
影響要因の区分
硫黄酸化物
大気質
窒素酸化物
施 設 の 稼 働(排 ガ ス)
浮遊粒子状物質
動 物
植 物
景 観
3
重要な種及び注目すべき生息地(海域に生息するものを除く。)
地形改変及び施設の存在
海域に生息する動物
施 設 の 稼 働(温 排 水)
重要な種及び重要な群落(海域に生育するものを除く。)
地形改変及び施設の存在
海域に生育する植物
施 設 の 稼 働(温 排 水)
主要な眺望点及び景観資源並びに主要な眺望景観
地形改変及び施設の存在
4
計画段階配慮事項に関する調査、予測及び評価の結果
計画段階配慮事項に関する調査、予測結果
計画段階配慮事項に関する評価結果
●大気質[施設の稼働(排ガス)]
煙突の高さによる違いを把握するため、複数案(A 案:160 m、B 案:180 m)を設定しました。
各項目の年平均値予測結果は、以下のとおりです。
項 目
(単位)
二酸化硫黄
(ppm)
二酸化窒素
(ppm)
予測
ケース
A案
(160m)
B案
(180m)
A案
(160m)
最大着地
バックグラウンド
濃度(a)
濃度(b)※1
0.00012
0.00010
0.00015
B案
0.00013
(180m)
A案
0.00005
浮遊粒子状物質 (160m)
(mg/m3)
B案
0.00005
(180m)
将来予測環境
濃度(c=a+b)
0.00312
0.003
0.00310
0.01215
0.012
0.01213
0.02205
0.022
0.02205
環境基準の
年平均相当値※2
0.013
0.028
0.034
最大着地
濃度地点
約 5.5km
(西)
約 6.6km
(西)
約 5.5km
(西)
約 6.6km
(西)
約 5.5km
(西)
約 6.6km
(西)
※ 1:バックグラウンド濃度は、事業実施想定区域から 10km 圏内の測定局における平成 21 ~ 25 年度の年平均値の平均値。
※ 2:環境基準の年平均相当値は、バックグラウンド濃度を求めた年平均値と環境基準に該当する値である日平均値の年間 2%除外
値(二酸化窒素は、日平均値の年間 98%値)との関係から求めた値。
●動物・植物(陸域)[地形改変及び施設の存在]
動物・植物(海域)[施設の稼働(温排水)]
景観[地形改変及び施設の存在]
計画段階配慮事項の項目
影響要素の区分
動 物
(陸 域)
地形改変及び
施設の存在
重要な種として、事業実施想定区域の主な植生区分(草地)を利用する可能性
がある 81 種が確認されました。このうち、主な生息環境が草地である 42 種
については、事業実施想定区域の周辺にも同様の草地が広く存在するため、影
響は少ないものと予測されました。
施設の稼働
(温排水)
重要な種として、事業実施想定区域の周辺海域において、脊索動物 8 種、軟体
動物 5 種、節足動物 2 種の合計 15 種が確認されました。既往の事例より推定
した温排水の拡散範囲の結果及び確認された重要な種の生態的特性から、温排
水が及ぼす影響は少ないものと予測されました。
植 物
(陸 域)
地形改変及び
施設の存在
重要な種として、事業実施想定区域の主な植生区分(草地)に生育する可能性
がある 43 種が確認されました。このうち、主な生育環境が草地である 40 種
については、事業実施想定区域の周辺にも同様の草地が広く存在するため、影
響は少ないものと予測されました。
植 物
(海 域)
施設の稼働
(温排水)
事業実施想定区域の周辺海域における重要な種、重要な群落、干潟及び藻場の
記録がないことから、
温排水がこれらに及ぼす影響はないものと予測されました。
景 観
5
地形改変及び
施設の存在
環境要素
大気質
(硫黄酸化物、
窒素酸化物、
浮遊粒子状物質)
影響要素の区分
施設の稼働
(排ガス)
評 価 結 果
大気質への影響については、A 案(煙突高さ 160m)、B 案(煙突高さ
180m)のいずれもバックグラウンド濃度と比較して十分低くなってお
り、将来予測環境濃度は環境基準の年平均相当値に適合していることか
ら、A 案、B 案のいずれも煙突高さによる大気質への影響の違いはほとん
どないものと評価しました。
動 物
(陸 域)
地形改変及び
施設の存在
陸域の動物への影響については、地形改変及び施設の存在による重要な種
への影響は少ないことから、重大な影響は生じないものと評価しました。
動 物
(海 域)
施設の稼働
(温排水)
温排水を東方向に放水する B 案とした場合には、周囲の海岸地形から判
断して閉鎖性の高い内湾への放水となること等から、南方向に放水する A
案の方が影響を低減しているものと評価しました。
植 物
(陸 域)
地形改変及び
施設の存在
陸域の植物への影響については、地形改変及び施設の存在による重要な種
への影響は少ないことから、重大な影響は生じないものと評価しました。
植 物
(海 域)
施設の稼働
(温排水)
海域の植物への影響については、事業実施想定区域の周辺海域における重
要な種、重要な群落、干潟及び藻場の記録がないことから、温排水を南方
向に放水する A 案と東方向に放水する B 案で評価結果に差は生じません。
景 観
地形改変及び
施設の存在
調 査 ・ 予 測 結 果
環境要素
動 物
(海 域)
計画段階配慮事項の項目
眺望点及び景観資源への影響については、直接改変はないことから、地形
改変及び施設の存在による重大な影響は考えられません。
竜王山(公園展望台付近)からの眺望景観は、A 案(煙突高さ 160m)
と B 案(煙突高さ 180m)のいずれも眺望景観に圧迫感を受けない程度
にあるものと評価しました。
総合評価
計画段階配慮事項に関する評価結果を踏まえ、以下の通り計画いたします。
煙突高さについては、大気質及び景観への影響の違いはほとんどないと考えられることから、付近
にある宇部興産(株)発電所 216MW 発電設備と同じ「煙突高さ 160m」となるよう計画いたします。
また、放水方向については、A 案(南方向)が温排水による動物(海域に生息する動物)への影響
を低減していることから、「南方向放水」となるよう計画いたします。
事業実施想定区域から 10km の範囲内には眺望点として、「竜王山(公園展望
台)」等 10 地点、景観資源として「竜王山」等 18 件が確認されました。眺望
点及び景観資源の直接改変はないことから、重大な影響は考えられません。ま
た竜王山(公園展望台付近)からの眺望景観は、煙突等が新たに視認されます
が景観資源の眺望が遮蔽されることはなく、また計画施設(煙突)を見た時の
垂直見込角は A 案(高さ 160m)が約 2.9 度、B 案(高さ 180m)が約 3.3
度と予測されました。
6
参 考
環境影響評価の手続き
法令に基づく環境影響評価の手続きは次のとおりであり、今回の「計画段階環境配慮書」の縦覧は
太枠の段階のものです。
今後、皆様のご意見をお聞きした上で、「計画段階環境配慮書」の内容を「環境影響評価方法書」
以降の手続きに反映します。「環境影響評価方法書」において評価項目等の選定を行い、現況調査・
予測及び評価した結果に基づき「環境影響評価準備書」を作成し、さらに「環境影響評価書」をとり
まとめます。
計画段 階 環 境 配 慮 書 の 手 続 き
国
事業者
送付
経済産業大臣
住民・地方自治体
県知事・
関係市長
計画段階環境配慮書
送付
公告・縦覧
現段階
送付
意見
環境大臣
住民の皆様
のご意見
意見
意見
意見
環境影響評価方法書
経済産業大臣
勧告
現況調査・予測・評価
意見
県知事・市長
意見
住民の皆様のご意見
意見
住民の皆様のご意見
環境影響評価準備書
経済産業大臣
勧告
環境影響評価書
意見
環境大臣
県知事・市長
事業の実施
計画段階環境配慮書の縦覧について
縦覧期間
平成 27 年
宇部市役所 2階 環境政策課
3 月 31 日(火)
山陽小野田市役所 2階 環境課
~
山口県宇部健康福祉センター(宇部環境保健所)
宇部興産ビル(事務所所在地)1階
4 月 30 日(木)
縦覧時間
午前 9 時
~
縦 覧 場 所
午後 5 時
備 考
山口県宇部健康福祉
セ ン タ ー、市 役 所 は
土曜日、日曜日、祝日
は除く
当社ホームページでもご覧になれます(http://www.yamaguchiubepower.jp)
環境保全の見地からご意見をお持ちの方は平成 27 年 4 月 30 日(木)[当日消印有効]までに意
見書を山口宇部パワー株式会社へお寄せください。
計画段階環境配慮書に関するお問い合わせ先
山口宇部パワー株式会社
見やすく読みまちがえにくい
ユニバーサルデザインフォント
を採用しています。
〒 755-0043 山口県宇部市相生町 8 番 1 号
TEL:0836-36-8933 FAX:0836-36-8935
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ベジタブルオイルインキ