1 月 25 日発行 CRI Times 2015 vol.64 from SASAYAに 10 月 25 日発行 発行 税理士法人 中央総研 桑 名 市 大 福 4 0 6 - 1 TEL0594-23-2448 FAX0594-23-3303 今月の担当 鈴村 純 岩永 和樹 E-mail:[email protected] URL:http//www.cri-sasaya.com 2015 年度税制改正 ― 贈与を中心に ― 【はじめに】 2015 年度の「与党税制改正大綱」は、12 月 30 日 と遅れて発表になりました。安倍首相が衆議院の解散 に打って出たためです。この解散は、大義なき解散と 云われましたが、安倍さんの気持ちになってみると良 く理解ができます。安倍さんの就任以来の最大の課題 は、我々を苦しめてきたデフレ不況の脱却でありまし た。思い切ったアベノミクスも第 3 の矢である成長 戦略に懸念が残るものの正しい方向だったと思います。 問題は、消費増税です。民主党政権時代に 3 党合意 で取り決められたものです。アベノミクスがデフレ 不況克服のアクセルとすれば、消費増税は強力なブレ ーキです。5%から 8%に、更に 10%にと安倍さんの 決断記者会見での憔悴ぶりは気の毒でありました。 消費増税に本気の財務省による用意周到な政界 対策・マスコミ対策に外堀を埋められたのです。この 外堀を埋められて孤軍奮闘の安倍さんにとって、10% への増税先送りを決めるには、解散しかなかったので はないでしょうか。 【2015 年度税制改正】 今年の大綱は、1 月 14 日に閣議決定されました。 第 189 通常国会が、1 月 26 日(月)から 6 月 24 日 (水)の 150 日間開催されます。2 月に入りますと、 2015 年度税制改正法案がこの 189 通常国会に上程さ れます。さらに、3 月末に国会を通過し、4 月 1 日に 施行されることになります。 【今年から適用される相続増税】 相続増税については、2013 年度税制改正により、 決定され、今年の 1 月 1 日から適用になっています。 昨年 12 月の国税局のデータによりますと、2013 年 分の相続税の申告の状況について、被相続人数(死亡 者数)は、約 127 万人であり、このうち相続税の課税 対象となった被相続人数は約 5 万 4 千人ですので、 課税割合は 4.3%です。 課税価格は 11 兆 6,253 億円で、 被相続人 1 人当たりでは 2 億 1,362 万円となっていま す。税額は、1 兆 5,367 億円で、被相続人 1 人あたり では 2,824 万円となっています。 相続税の基礎控除額は、「3,000 万円+600 万円× 法定相続人の数」となり、従前の 60%になっています。 増税ですね。更に相続税率についても課税価格が 2 億円から 3 億円について、相続税率が 40%か 45% になり増税ですね。前述の 2013 年分の被相続人 1 人 当たりの課税価格は、2 億 1,362 万円であり、この 2 億円から 3 億円のゾーンを課税強化しています。 さすが財務省ですね、狙い打ちであります。 【今年から適用になる贈与減税】 今年の 1 月 1 日から、贈与税の税率構造は、 「特例 贈与」と「一般贈与」に区分されました、特例贈与と は、20 歳以上の者が直系尊属から受ける贈与について 適用になっています。贈与税の課税価格が 300 万円か ら 3,000 万円のゾーンは、5%と 10%の減税になって います。つまり、300 万円以下のチマチマした贈与は 減税の対象にはしないということでしょう。また、 一般贈与は、課税価格が 1,000 万円から 1,500 万円の ゾーンは 5%の減税になっています。 【相続増税への対応策】 上記でも、お分かりの様に、相続増税への賢い対応 策は、贈与減税や非課税規定をうまく組み合わせて 節税を図ると良いでしょう。 【結婚・子育て資金の一括贈与】 2015 年度税制改正の目玉として、結婚・子育て資金 の一括贈与に係る贈与税の非課税措置が創設される 予定です。20 歳以上 50 歳未満の個人が、直系尊属か ら 1,000 万円(結婚資金は、300 万円)までを限度と して非課税措置が手当てされています。教育資金の 贈与と同様に、金融機関を経由する事になります。 この非課税措置は、2015 年 4 月 1 日から 2019 年 3 月 31 日までの間に拠出されたものに限り、贈与税を 課さないこととされる予定です。 【その他の贈与】 相続時精算課税制度は、1 月 1 日より、60 歳以上の 親・20 歳以上の子と孫が対象となり、今年の税制改正 で、 適用期間が 2019 年 6 月まで延長される予定です。 また、直系尊属からの住宅取得等資金の贈与の非課 税制度が見直され、最高 3,000 までの贈与枠が手当て され、適用期限が 2019 年 6 月まで延長される予定で す。 教育資金の一括贈与に係る贈与税の非課税制度は、 2019 年 3 月まで延長される予定です。 ≪代表社員 笹谷俊道≫ 【 中央総研セミナーのご案内 】 恒例の中央総研セミナーを次の要領で開催します。 お誘い合わせのうえ、是非ご出席下さい。 1 日時 2015 年 4 月 9 日(木)13:30~16:00 2 場所 ホテル花水木(定員 300 名) (注)改めてご案内致しますが、日程を手帳にメモして 頂ければ幸いです。 平成 26 年分住宅ローン控除 2015 年度税制改正大綱 昨年 12 月 30 日に、2015 年度税制改正大綱が決定さ れました。この中には、法人税率の引き下げ案も織り 込まれています。 今年も確定申告の時期が近づいてきました。 平成 26 年 4 月に消費税が 8%に引き上げられ、消費 税増税前に住宅を購入された方も多いのではないでし 法人税については、成長志向に重点を置いた法人税 ょうか。 改革ということで、税率を 23.9%(現行 25.5%)に引き 今回は、住宅ローンを組み住宅を購入された方が 下げ、 平成 27 年 4 月 1 日以後に開始する事業年度につ 確定申告をすることにより受けられる特典「住宅借入 いて適用されます。また、中小法人の軽減税率の特例 金等特別控除」いわゆる“ローン控除”の平成 26 年分 (所得の金額のうち年 800 万円以下の部分に対する税 確定申告についてご紹介したいと思います。 率:19%→15%)については適用期限が 2 年延長されま す。 大きな変更点は、住宅を居住の用に供した日が消費 税の増税前か増税後かで計算式が変わってきます。内 <法人税の税率> (平成27年度) 中小法人 (※)等 容は下記のようになります。 現行 改正案 年800万円以下の金額 19.00% 15.00% 年800万円超の金額 25.50% 23.90% ≪所得税≫ ~平成26年3月 平成26年4月~ 年間最大控除額 20万円(30万円) 40万円(50万円) 控除率 1% 1% 控除期間 10年間 10年間 25.50% 23.90% (※括弧内の金額は、認定長期優良住宅等の場合)平成 中小法人以外の普通法人 26 年 3 月までの方は、平成 25 年分の内容から変更な 公益法人等 年800万円以下の金額 ・ 協同組合等 年800万円超の金額 15.00% 19.00% 19.00% しです。平成 26 年 4 月以降の方は、最大控除額が大幅 に増額されています。ここで注意が必要ですが、消費 税の経過措置によって 4 月以降に住宅の引き渡しを受 ※ 中 小 法 人 と は 、 期 末 資 本 金 の 額 が 1億 円 以 下 の 法 人 (資 本 金 の 額 が 5億 円 以 上 の 法 人 の 完 全 子 法 人 等 を 除 く )を い い ま す けても消費税税率が 5%になる特例を利用している方 現在の法人実効税率は、標準税率ベースで 4.62%で す。今回の法人税率の引き下げが実施されれば、 (法人 は、居住の用に供した日が 4 月以降であっても上図の 左側の控除内容になります。 事業税の標準税率の引き下げ・引き上げと合わせて) つまり、購入した住宅に課税される消費税率が 5% 平成 27 年度に 32.11%(▲2.51%)、平成 28 年度には なのか 8%なのかで控除内容が変わってしまうことに 31.33%(▲3.29%)となります。 注意が必要です。(適用されている税率は、請負契約書 これにより、法人実効税率を数年で 29%台に引き下 げるという目標に、 大きく近づくことになりそうです。 <法人実効税率> (平成27年度) (標準税率) 中小法人 所得税に合わせローン控除に係る住民税の改正も下 記のように行われております。 現行 改正案 年400万円以下の金額 25.90% 21.42% 年400万円超 年800万円以下の金額 27.58% 23.20% 年800万円超の金額 36.05% 34.33% 34.62% 32.11% 中小法人以外の普通法人 等で確認して下さい。) ≪住民税≫ 適用限度額 ~平成26年3月 平成26年4月~ 97,500円 136,500円 所得税で控除しきれなかった場合、住民税から控除さ れます。その控除額の上限が増額されました。 確定申告時期は、2 月 16 日~3 月 15 日(本年度は 3 月 16 日)となっていますが、還付申告に関しては、 1 月 1 日から提出することが可能です。税金が還付さ れるまで約 1 ヵ月程度かかりますので早めの資料準備 平成 27 年度税制改正による増収・減収見込み額は、 法人税率の引き下げで 4,570 億円の減収。 一方、 欠損金の繰越控除制度の見直しで 1,630 億円、 および申告をお勧めします。なお、2 年目以降は、会 社で行う年末調整にてローン控除を受けることができ ます。確定申告後、税務署から 9 年分の住宅借入金等 租税特別措置の見直しで 1,410 億円の増収となる見込 特別控除申告書が届きますので、無くさないように保 みです。 管し、毎年会社へ提出してください。 ≪岩永≫ ≪鈴村≫
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