ファーマライズDI No.94

ファーマライズDI No.94
(Drug Information 医薬品情報 )
2015/5/29
ファーマライズ医薬情報研究所 DI室
1. 効能効果の追加
薬品名
解説
改訂年月
プロプラノロール塩酸塩錠
右心室流出路狭窄による低酸素発作の発症抑制 が追加
10mg「日医工」(日医工)
*鶴原と東和薬品には適応なし
2015.04
2. 剤形追加
薬品名
解説
薬価収載
セイブルOD
従来の普通錠に剤形追加(*普通錠も引き続き販売)
2015.05
錠 50mg・75
湿気をさけて保存する必要あり
mg
〈参考〉・OD50mg錠:25℃、75%RH 無包装状態 3 ヶ月後に溶出性が規格外
(三和化学)
・高温多湿条件下(40℃、75%RH1ヶ月)では PTP のままでも吸湿に起因する
硬度の低下及び錠剤質量の増加が認められた
3. 販売中止
薬品名
解説
販売終了時期
ザジテン点眼液UD0.05%
【代替品】ザジテン点眼液 0.05%
2015.10 末日
(日本アルコン)
使い捨てタイプはなくなる
経過措置は未定
4. 販売名の変更
薬品名
解説
出荷時期
吸水クリーム(各社)
(旧)吸水軟膏
2015.08 頃(メーカーによって異なる)
親水クリーム(各社)
(旧)親水軟膏
2015.05 頃(メーカーによって異なる)
〈解説〉第 16 改正日本薬局方(2011 年)では、軟膏剤のうち乳化した製剤は「クリーム剤」として分類。別名
として「親水軟膏」「吸水軟膏」の名称は残されていた。今回、各社が局方名にあわせた名称に変更。
5. 人生の最終段階における医療の決定プロセスに関するガイドライン
人生の最終段階を迎えた患者や家族と、医師をはじめとする医療従事者が、患者にとって最善の医療とケ
アを作り上げるためのプロセスを示すガイドライン(平成 19 年に策定)
【ガイドラインの内容】
①
人生の最終段階における医療及びケアの在り方
薬局も医療・ケアチームの一員として患者や家族
の医療とケアを考える必要がある
医師など医療従事者から適切な情報の提供と説明がなされ、それに基づいて患者が医療従事者と話
し合いを行い、患者本人による決定を基本として医療を進めることが最も重要な原則。医療行為の開
始・不開始、医療内容の変更、医療行為の中止などの判断などが記載されている
②
人生の最終段階における医療及びケアの方針の決定手続
患者の意思が確認できる場合、できない場合について記載されている
平成 27 年の改訂から表記が変更 「終末期医療」⇒「人生の最終段階における医療」
6. 新薬情報
ザファテック錠 50mg ・100mg
(トレラグリプチンコハク酸塩)
武田薬品工業
2015.5.28 発売
持続性選択的DPP-4阻害薬
〈効能・効果〉2型糖尿病
〈用法・用量〉通常、成人には100mgを1週間に1回
高度の腎機能障害、透析中の末期腎不全患者・・・禁忌
中等度腎機能障害患者30≦Ccr<50(ml/min) ・・・50mg
Ccrに対する換算値として(年齢 60 歳、体重 65kg)
・男性:1.4<血清クレアチニン≦2.4(mg/dl)
・女性:1.2<血清クレアチニン≦2.0(mg/dl)
食事の影響:朝食絶食に対し朝食開始 30 分後で、AUC2.5%↓にて大差なし。
〈排泄・代謝〉主に腎臓から未変化体として排泄される。
僅かに CYP2D6 で代謝されるが、その活性代謝物の血中濃度は未変化体の1%未満程度。
〈特徴〉
週1回で効果が持続する。
ネシーナの成分アログリプチン(安息香酸塩) の1箇所の水素がフッ素に置換されたものが本剤のト
レラグラプチン(コハク酸塩)。
既存の DPP-4 阻害薬よりも DPP-4 阻害作用が強い⇒血中濃度が低くなっても効果が持続する。
(服用後1週間でも DPP-4は80%程度阻害される。)
補足:DPP-4 活性の IC50 値(nmol/l)は、本剤(トレラグリプチン 1.3)、ネシーナ(アログリプチン 5.3)、
ジャヌビア・グラクティブ(シタグリプチン16.0)であり、本剤は少ない量で阻害作用が得られる。
半減期は単回投与で約 54 時間、反復投与で約18時間。半減期が既存の DPP-4 阻害薬としては長い
ことも作用持続に少し寄与しているが、あくまで作用持続の主要因は DPP-4 阻害作用の強さによる。
患者さん用パッケージ付き PTP(週1回のビスホスホネート系と同様のもの)
1週間分の薬価は、【ザファテック≦既存のDPP-4阻害薬】(オングリザ高用量は同じ。他は高い。)
〈のみ間違えた場合の対応〉・・・患者指導用の服薬注意書には、図で書かれている。
①
のみ忘れ:次回予定日までに気付いたときにのむ(予定日に気付いても2錠まとめてのまない)
②
予定より早くのんだ:次回は予定通りにのむ
③
2錠同時にのんだ :次回は予定通りにのむ(2錠のんだ場合、医師・薬剤師に相談するよう記載あり)
*②③で予定通りにのむ理由
過量投与のデータは十分に集積できていないが、100mgを12週間、毎日服用でも副作用はプ
ラセボと同等であったため安全性は高いと考えられる。
DPP-4 阻害率は100%が最大のため、量が多くても効果は大差なし。
⇒DPP-4 活性阻害率(%)は、 1錠服用・・・1日目 約 100%⇒1週間後 約 80%
2錠服用・・・1日目 約 100%⇒1週間後 80%以上(100%未満)
〈臨床効果〉既存のDPP-4阻害薬と同等
ネシーナ25mg、ジャヌビア・グラクティブ50mgから本剤100mgへの切り替えでHbA1cに差はなか
った。
本剤100mg単独投与12週後のHbA1cは 0.9 低下。
脂質代謝ではプラセボとの比較で、TGは 15 低下、TCは 7 低下。