30E06-pm15

30E06-pm15
漢方薬によるパラインフルエンザウイルス 2 型の増殖阻害
◯山本 秀孝 1 ,伊藤 愛 2 ,大河内 愛弓 2 ,佐藤 冴美 2 ,前田 友里恵 2 ,
2 1
鈴鹿医療大薬,
紀平 佐保子 2 ,河野 光雄 3 ,鶴留 雅人 3 ,植松 淳 2 ,駒田 洋(
2
鈴鹿医療大医療栄養微生物,3 三重大院医微生物)
目的:鼻炎、呼吸器疾患などに効果がある漢方薬の抗ウイルス作用を in vitro
で解析した。使用した漢方薬は、葛根湯加川弓辛夷、麻黄湯、猪苓湯、香蘇散、
竹如温胆湯、紫朴湯である。本研究では、呼吸器感染ウイルスである、ヒトパラ
インフルエンザウイルス2型(hPIV-2)に対する効果について検討した。
方法:細胞は LLCMK2 細胞を、ウイルスは hPIV-2 を使用した。漢方薬はツムラ
(株)の医療用漢方薬エキス顆粒を用いた。漢方薬は PBS に 100mg/mL になるよう
に懸濁させ、オートクレーブで滅菌後、遠心して上澄みを使用した。ウイルスの
増殖の有無は細胞融合の観察と赤血球吸着法(Had)で解析した。ウイルスタンパ
ク質の発現は間接蛍光抗体法で、ウイルスの遺伝子(RNA)は PCR 法で解析した。
ウイルスの細胞への侵入は、GFP 挿入・M タンパク質欠損組換え hPIV-2(rghPIV-2
ΔM)を用いて解析した。
結果及び考察:葛根湯加川弓辛夷、竹如温胆湯、紫朴湯とも 80μL で hPIV-2
による細胞融合、Had を阻害した。その他のものには抗ウイルス作用は認められな
かった。葛根湯加川弓辛夷はウイルスタンパク質の発現をほぼ阻害した。また竹
如温胆湯及び紫朴湯はある程度阻害した。葛根湯加川弓辛夷及び紫朴湯は NP、F、
HN 遺伝子の合成を阻害した。竹如温胆湯は F、HN 遺伝子の合成をある程度しか阻
害しなかった。3つの漢方薬ともウイルスの侵入とまたは増殖を完全には阻害し
なかった。ウイルスの細胞外への放出については、3種ともほぼ抑制した。アク
チン線維、微小管への作用の解析を行った結果、3種ともアクチン線維、微小管
の破壊が認められた。細胞骨格系の破壊により、ウイルスの移動が出来なくなり、
放出されるウイルス量が減少したものと思われた。